スマートフォンの普及によりモバイルアプリの重要性が高まっていますが、いまいちモバイルアプリに関する知識が足りないと感じている人も多いでしょう。
コストを抑え、素早くアプリ開発を行うには、自社に合った要件や開発方法を選ぶことが重要です。
そこで今回はモバイルアプリの概要と開発方法、費用の基本について解説していきます。
モバイルアプリの開発を検討中ならば、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
モバイルアプリって何?
モバイルアプリとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で使うためのアプリケーションソフトのことを指します。
モバイルアプリは当たり前の存在になりましたが、その開発には高度なプログラミングスキルが求められます。自社開発は難易度が高いため、専門の開発会社に依頼するのが一般的です。
最近ではAR(拡張現実)やAI(人工知能)など最新技術を取り入れたアプリも登場しています。単なるゲームの域を超え、産業や医療分野での活用も進んでいるのが特徴です。
拡大し続けるモバイルアプリの現状
スマートフォンが当たり前の時代になった現在、モバイルアプリは私たちの生活になくてはならない存在となっています。
特にCOVID-19の影響で、配送アプリやオンライン医療相談アプリなど、「新しい生活様式」を支えるアプリへのニーズが高まっています。アプリ開発への投資は今後も続くとみられ、成長余地は大きいと言えそうです。
モバイルアプリの種類
モバイルアプリには、大きく分けて4つの種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
ネイティブアプリ
ネイティブアプリは、iOSやAndroidなど、特定のOS専用に開発されたアプリです。
ネイティブアプリのメリット
OSやデバイスの機能をフルに活用できる
カメラやGPS、連絡先などスマートフォンが持つ機能をAPIを通じて利用できます。
高速で滑らかな動作が可能
ネイティブコードで書かれているため、ウェブアプリよりもはるかに高速でストレスなく利用できます。
オフラインでも利用できることが多い
インターネットに接続されていなくても、アプリ内にデータを保存しておけば利用できるのが特徴です。
ネイティブアプリは上記のように、パフォーマンス面で優れています。ユーザーにストレスを感じさせない動作の良さが大きな魅力です。
ネイティブアプリのデメリット
OSごとに開発が必要でコストがかかる
AndroidとiOSでは開発言語が異なるため、それぞれから作成する必要があります。
OSのバージョンアップに対応するのが大変
新バージョンが出るたびに動作確認が必要で、対応に時間と手間がかかります。
クロスプラットフォームの提供が難しい
1つのアプリでAndroidとiOSの両方に対応するのは困難です。
以上のように、ネイティブアプリにはデメリットも存在し、特に複数OSへの対応では開発コストが割高になる傾向があります。
加えて、アプリの配信先によっては審査があるため、新機能の反映に時間がかかる場合があります。自社開発の場合、iOSとAndroidの両方の開発チームを準備する必要も出てきます。
Webアプリ
Webアプリは、ブラウザで利用するウェブサイト型のアプリです。
Webアプリのメリット
OSを問わず利用できるため開発コストを抑えられる
ブラウザさえあればOSを選ばずに利用できるため、1つのアプリを開発するだけで済みます。
修正した内容が即反映される
サーバー側の変更だけでアプリの内容を更新できるため、迅速な対応が可能です。
セキュリティ更新が不要
ブラウザ側でセキュリティを担保しているので、アプリ自体のアップデートは不要です。
加えて専用の開発ツールを用意する必要がないため、開発に参入しやすいことも大きなメリットです。コーディングの知識があれば、比較的手軽にWebアプリの開発が可能です。
このように、OS間の移植性の高さと開発の容易さから、コスト面での優位性がWebアプリの大きな魅力といえます。
Webアプリのデメリット
ネイティブアプリほど高速でない
ブラウザを介するため単純な処理でも少し待ち時間が発生します。グラフィックなどは重い傾向にあります。
インターネット接続が必要
オフライン時の利用は困難で、コンテンツの閲覧には通信環境が必須となります。
プッシュ通知を送信しにくい
ブラウザ上ではバックグラウンドからのプッシュ通知が使えないため対応が難しいです。
加えてユーザーエクスペリエンス(UX)の点でも劣ります。使い慣れたアプリの操作感とは異なるUIや動作の違和感が生じる可能性もあります。
このように、技術的な制約やユーザーエクスペリエンス(UX)の制限から、Webアプリは用途に制限があるのがデメリットです。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリは、Webアプリの技術とネイティブの機能を組み合わせたアプリです。
ハイブリッドアプリのメリット
1つのソースコードで複数プラットフォームに対応可能
共通のコードベースを作成し、OSごとに必要な独自の処理を追加することでiOS/Android双方に対応できます。
開発期間を短縮できる
ネイティブアプリのようにゼロから開発する必要がないので、開発期間を短縮できます。
ネイティブに近い操作感も実現可能
ネイティブのUI部品を用いることで、見た目と操作感の両方をネイティブ並にすることができます。
加えてWeb開発者でも参入しやすいことから、開発者の確保もしやすい傾向にあります。比較的小規模なアプリ開発において、開発コストと開発期間の両方を抑えられるのが強みです。
このように、開発効率と対応範囲の両面で優れているのがハイブリッドアプリの特徴です。
ハイブリッドアプリのデメリット
パフォーマンスはネイティブアプリに劣る
ブラウザを経由する分処理速度では劣るため、グラフィックの表現力に限界があります。
多機能なアプリに向いていない
高度な機能を実装しようとすると開発が複雑化するため、シンプルな機能に適しています。
アプリの修正に時間がかかることも
ネイティブ部品との連携する箇所が多い分、修正時の影響範囲が広がりがちです。
加えてOSのアップデートに対応するのが大変な場合があります。ネイティブのパーツとの依存関係が深いため、アップデート時の動作の保証に手間取ることも少なくありません。
このように、機能面と保守面での制限がハイブリッドアプリの欠点として挙げられます。
プログレッシブウェブアプリ
プログレッシブウェブアプリは、ウェブサイトをアプリのように利用できるアプリです。
プログレッシブウェブアプリのメリット
インストール不要で手軽に利用できる
専用のアプリをインストールすることなく、ウェブサイトを通じてアプリのように利用できます。
ウェブアプリの利点を生かせる
OS間を簡単に移行することが可能で、ウェブ技術を活用できるため開発しやすいです。
プッシュ通知にも対応可能
ネイティブアプリ並みにプッシュ通知を実装できるのが強みです。
加えてウェブアプリの技術を利用しているため、ウェブデザイナーやフロントエンドエンジニアでも開発が可能です。リッチなコンテンツを実装でき、段階的な機能強化がしやすいのも魅力の1つです。また、アプリストアへの公開審査が不要で、サービスの提供を始めるまでの時間が短縮できるのも大きなメリットの1つです。
プログレッシブウェブアプリのデメリット
ネイティブアプリほどの操作性は実現しづらい
スクロールのふるまいなど、細かい操作感の再現が難しいです。
オフライン機能の実装が難しい
オフラインでコンテンツを閲覧するための実装が複雑です。
流行の技術であるため将来性が不透明
ウェブ技術の進化に依存するため、長期的な展望は不明確です。
加えてプッシュ通知の許可を得るのが難しい場合があります。ネイティブアプリのように確実に許可を得られるとは限りません。またブラウザのアップデートに依存するため、新しいAPIを活用した機能拡張が制限されることがあります。さらに検索エンジンでの発見性がウェブサイトほど高くない可能性も考えられます。アプリとしての集客力が弱いため、十分なプロモーションが必要になります。
このように、技術面と将来性の不確実さが課題です。
モバイルアプリ開発の大まかな工程
モバイルアプリを開発する場合、以下のような工程を踏みます。
企画
アプリの目的やコンセプトを検討します。ターゲットユーザーや提供する機能を決めていきます。競合アプリの調査やユーザーへのヒアリングを行い、需要を見極めていくのがポイントです。
アプリ開発のネタ出しやアイディアに困ってはいないでしょうか。
別の記事で、アイディア出しのポイントについても纏めていますので参考にしてみてください。
要件定義
企画段階で考えた機能を実現するために必要な要件を詳細に定義します。機能の仕様に加えて、対応デバイスや使用技術、データ設計といった要件も定義していきます。
当然要件の中にはコストや開発期間といったものも含まれます。
開発コストにお悩みの場合は、別の記事で紹介している「アプリ開発に活用できる補助金解説」を御覧ください。
設計・デザイン
アプリの画面遷移や画面レイアウト、見た目などのデザインを作成します。UI/UXデザイナーがワイヤーフレームやプロトタイプを制作し、ユーザー目線での操作性を高めていきます。
開発
要件定義に基づき、実際にアプリをプログラミングしていきます。開発者が設計書に従って、アプリの各機能をソースコードとして実装していきます。単体テストを繰り返しながら、品質を担保していきます。
テスト
開発したアプリに問題がないか、要件は満たされているかを確認する作業です。品質管理担当者が機能面、UI面からテストを実施し、不具合を洗い出します。また一般ユーザーによるモニター調査も行い、実際の使用感の確認をします。フィードバックは開発チームに戻すことで、品質の向上を図ります。
ストア申請・審査
App StoreやGoogle Playで公開するために申請を行い、審査を通過する必要があります。ストア側の公開基準を確認した上で、必要書類を揃え申請します。審査で不備があれば修正対応が必要になります。公開まで1〜2週間かかる場合があるので、期間に余裕を持つことが大切です。
告知・マーケティング
リリースを知らせるプロモーション活動です。SNS広告や口コミサイトへの掲載、アフィリエイトを活用するなど、リリース前から継続的にプロモーションを実施します。アプリの魅力を正しく伝えるキャッチコピーやPVも作成します。早期ユーザーの獲得と評価の構築がマーケティングの重要な要素となります。
リリース
アプリを公開し、ユーザーが利用できるようにします。リリース後は、ユーザーからのレビューをチェックし、早期の改善点を洗い出します。また、KPIを設定してアクティブユーザーや収益の推移を把握することで、マーケティング効果を測定していきます。ユーザー数や売上目標に対する達成度を評価していくフェーズです。
運用・保守
アプリの不具合修正や改善を続けるフェーズです。ユーザーからのフィードバックを元に、継続的にアップデートを重ね、アプリの品質向上を図ります。またUIの刷新や新機能の追加など、アプリの魅力を維持する改善を行なっていきます。アクティブユーザーの長期維持が目標となるフェーズです。
モバイルアプリ開発で使用する主な言語
モバイルアプリの開発には様々な言語やフレームワークが用いられています。
目的やターゲット、メイン端末の仕様や予算、開発環境やライブラリなどに合わせて、最適なプログラミング言語やフレームワークを選ぶことが重要となります。
アプリ開発に用いられる出し表的な言語とその特徴については別の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ここでは、主要なスマートフォンのOSであるiOSとAndroidのアプリ開発に利用される代表的な言語について、簡単に紹介します。
Android
Java
Androidアプリ開発のスタンダードな言語です。プログラミングに慣れているエンジニアにとって扱いやすく、予期しないエラーや障害やセキュリティ上のリスクなどに柔軟に対応でき、高い生産性が特徴です。一方で、動作が重いとの指摘もある言語です。
Javaは他のプラットフォームでも利用されているため、Android専門でなくても習得しやすい言語です。大規模なアプリ開発に向いていて、GPUを活用したグラフィック表現にも対応しています。近年ではパフォーマンスの改善も進められており、Android開発における主力言語としての地位は揺るぎないものとなっております。
Kotlin
Javaとの相互運用性が高く、簡潔なコードが書けるため最近注目されている言語です。学習コストが低く生産性に優れている反面、まだ普及途上で資産が少ないといった課題があります。
Kotlinはnull値によるエラーを減らせるような言語設計になっています。またラムダ式などの最新機能に対応しているため、開発効率の面でも優れています。リソースはまだ少ないものの、Googleの後押しもあり今後普及が進む言語といえます。
※ラムダ式・・・無名関数を簡潔に定義できる記法のことです。処理内容を直接的に記述できるため、プログラムの見通しが良くなるメリットがあり、Kotlinなどの最近の言語で利用されています。
C#
JavaやKotlinに比べるとシェアは低いものの、Microsoft製品の知見が活用できる言語です。存在感はまだ小さいものの、ゲームアプリ開発を中心に徐々に利用が進んでいます。
C#はUnityなどのゲームエンジンとの親和性が高い言語です。3Dグラフィックス表現に長けており、アニメーション付きのUI実装に適しています。マルチプラットフォーム対応も可能で、ゲームアプリ以外での利用シーンも増えつつあります。
iOS
iOSのアプリ開発は基本的に、開発環境はMacなどのApple製品を中心に据えなければならないという問題があります。
別の記事で、Windows環境下にてiOSアプリ開発を行う場合の注意点を纏めていますのでご参照ください。
また、iOSアプリ開発はその人気さから様々な開発手法が登場しています。
iOSアプリ開発に最適なプログラミング言語について、別の記事で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
Swift
iOSアプリ開発の主流言語として君臨しています。プログラミングの入門言語としても適していて学習コストが低い一方、Appleに依存するといった特性があります。
Swiftはシンプルな文法とIDEのサポートにより、プログラミング初学者でも習得しやすい言語です。iOSアプリ開発の入門に最適な言語といえ、今後もこの傾向は変わらないでしょう。
Objective-C
Swift以前のiOSアプリ開発を支えた言語です。記法がやや複雑で学習コストが高い反面、柔軟度の高いコードの記述が可能です。最近はSwiftに主流の座を譲りつつありますが、過去の資産もある言語です。
Objective-Cは発展性と柔軟性に優れた言語で、大規模なアプリ開発にも対応できます。Swiftへの移行コストが高い企業では、今後も存続する言語と考えられます。
モバイルアプリ開発にかかる費用とコスト削減のポイント
自社のニーズに合わせたモバイルアプリを開発したいけれど、どのくらいのコストがかかるのかがわからないという方も多いのではないでしょうか。
モバイルアプリの開発工程で企画の次に要件定義を行いますが、コストはこの「要件定義」の内容によって大きく変動します。
とはいえ、費用感や見積もり相場があやふやなままでは要件定義を行うことすらままなりません。
そこで、一般的な「スマートフォンで使うアプリの開発」を行う場合の相場について紹介したいと思います。
開発コストを削減するポイントについても紹介しますので、ぜひアプリ開発の参考にしてみてください。
開発費用の内訳
スマートフォン用アプリを開発する場合、その要件や規模、専門性によって大きく開発費用が変わります。
ここでは一般的なスマートフォンアプリの開発にかかる固定費と開発費(変動費)のざっくりした内訳を紹介したいと思います。
固定費
項目 | 概要 | 相場感 | 備考 |
開発中、または開発後のサーバー費 | 多くのモバイルアプリは外部サーバー内のバックエンドシステムと連携するため、毎月のサーバー代が発生します | 年間 数千円~数万円 ※一般的な用途のレンタルサーバーの場合 |
リリース後はもちろんのこと、開発中でもアプリの稼働テストやデータの管理のためにレンタルサーバーの契約が必要になることが多いです。 |
配布用のストア利用料 | AppleやGoogleが提供しているアプリStoreに登録する代金 | Google Play登録費 25ドル(初回のみ)
Apple Developer Program 年間 99ドル |
アプリを配布する際には、一般的にApp StoreやGoogle Play ストアで配信するため、サービス登録料がかかります。 |
保守・運用費用 | アプリリリース後のバグ修正や新機能追加などの、メンテナンス費用 | 年間 数百万円 (システムの規模により大きく変動) |
リリース後に継続して利用してもらうためにはメンテナンスが欠かせません。
小~中規模ならば150万円~200万円程度で済むことが多いですが、大規模になると500万円以上かかることもよくあります。 |
SSL費用 | アプリの通信を暗号化するためのSSL証明書費用 | 年間 5万円~10万円 | 高度なセキュリティや通信システムを扱う場合は、別途必要となる費用が膨らみます。 |
開発費
アプリ開発にかかる変動費用は主に、
- 開発期間
- 人件費
の2つから相場感が決まります。
ざっくりと、
- 多くのエンジニアが長期間携わるほど、費用は高くなる
- アプリの規模が大きくなるほど、費用は高くなる
- システムや開発言語の専門性が高くなるほど、費用は高くなる
と考えてください。
外部の制作会社に依頼する場合、大まかに言えば
技術力 | 設計の規模 | ざっくりした基本月額単価 |
プログラミングのみ | すでに用意された設計書のコーディングのみ | 40万円~100万円 |
初級SE | 小規模で簡単なアプリの仕様・設計
ありふれている簡単なシステム設計・実装 |
60万円~100万円 |
中級SE | 中規模なアプリの設計
ある程度専門的知識や経験が求められるシステムの設計・実装 |
80万円~120万円 |
上級SE | 複雑で高度なシステムの設計
専門的かつ最新技術などが関わるシステムの設計 複数の人員が関わるプロジェクトをまとめ上げる必要があるシステムの設計 |
120万円~160万円 |
ぐらいの費用感です。
ただし、求める要件によって
- アプリのデザインを担当するデザイナー費用
- プロジェクトのマネジメント費用
- アプリ開発前の要件絞り込み段階から専門家に相談する相談費用
- アカウントの連携や決済など、メインではない機能の追加開発費用
など、費用が追加で大きく膨らむことに注意しましょう。
開発費用の相場
開発費が求める要件によって大きく異なるので、一概に相場を決めるのは難しいですが、平均相場は250万円前後かかると言われています。
例えばiOS用の小規模アプリならば、1つにつき100万円から200万円程度で開発するところが多いです。
開発規模感で言えば、
開発規模 | 人月 | 費用感 |
小規模 | 1~6人 | 60万円~200万円 |
中規模 | 10人前後 | 150万円~500万円 |
大規模 | 12人以上 | 400万円~1000万円 |
程度は必要になります。
また、フレームワークがある程度整っているアプリタイプであればある程度相場も決まってきており、
アプリのタイプ | 相場感 |
カタログ・フリーペーパー系 | 50万円~100万円 |
メッセージ、コミュニケーション系 | 100万円~500万円 |
スマートフォンを活用したビジネスツール | 50万円~300万円 |
ECサイト用ショッピングカートアプリ | 100万円~300万円 |
ぐらいが相場となります。
開発費用を抑えるためのポイント
アプリ開発の平均費用相場は約250万円と言われており、固定費も考えると開発費用は高額になりやすいです。
少しでも開発費を抑えたいときに検討するべきポイントをいくつか紹介します。
要件定義を明確にする
開発費が膨れ上がる最もよくある原因は、要件が絞り込めず無駄な機能を開発してしまうことです。
特にアプリ開発に詳しくない場合、手当たり次第に必要そうな機能を無駄に詰め込み、人件費と開発期間が膨れ上がることがよくあります。
企画内容を明確に洗い直し、本当に必要な機能のみに要件定義を絞り込みましょう。
目的と要件を明確にすることで、開発費用は大きく削減できることが多いです。
補助金の活用
近年のDX化推進やビジネスIT化促進の一環として、多くの補助金制度が整えられています。
代表的なものとしては
- IT導入補助金
- 最大450万円
- ものづくり補助金
- 最大5,000万円
- 持続化補助金
- 最大200万円
などです。
自社の事情に合わせた補助金制度を申請することで、開発費の負担が大きく軽減できます。
アプリ開発に活用できる補助金や助成金について、別の記事で詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
アプリ開発すべてを丸投げしない
例えば設計だけを外部のプロに頼り、アプリのデザインや実際のコーディングなどを社内で負担するのも手段の1つです。
近年はローコード開発やノーコード開発など、小規模なアプリを簡単に作れるツールが充実してきました。
低コストかつスピード開発を実現するフレームワークも多数登場し、どこまで外部に委託するかという選択肢は年々豊富になっています。
そんな中、「面倒だから」「よくわからないから」と開発会社にアプリ開発を丸投げしてしまうと、開発費が高くなってしまうのは当然のことです。
開発費が予算を圧迫しすぎているならば、一度どの範囲までをプロに任せるのかを検討してみるのもよいでしょう。
※株式会社Jiteraでもアプリ開発を自動化できる開発プラットフォームJITERAを提供しています。ご興味をお持ちの企業様は是非お問い合わせください。
モバイルアプリ開発の注意点
モバイルアプリを開発する際の注意点をまとめました。以下、詳しく解説していきます。
どの端末・OSに対応させるかはっきりさせる
iPhone、Android、あるいはタブレット版にするかなど、対応デバイスを明確にすることが重要です。対応端末が広範囲に及ぶと開発コストが跳ね上がるリスクがあるため、リリースする際は絞り込むことをおすすめします。
また、iOSとAndroidで共通の設計・開発リソースを最大限活用するのか、それぞれ個別に最適化するのかも重要な判断ポイントです。用途に応じて、クロスプラットフォームかネイティブ開発かどうかを見極める必要があります。
近年はスマートフォンやタブレットの種類も多様化していることから、複数のプラットフォームに対応したクロスプラットフォーム、マルチプラットフォーム開発が当たり前になってきています。
プラットフォームの垣根を超えた開発に興味がある方は、別の記事にて紹介していますので参考にしてみてください。
リリース先の特性を考えた仕様にする
App Storeでは審査があるため、規制に抵触する機能は作れません。一方でAndoroidなどのサードパーティーストアではそうした制限がない場合もあります。リリース先に応じて実装できる機能を検討する必要があります。
加えてプラットフォーム側が推奨するUIガイドラインにも配慮が必要です。App StoreではAppleが提供するUIの設計ガイドラインに沿ったUI設計を心がけることが望まれます。
開発中に大きな仕様変更が出ないように企画設計はしっかりと
要件定義後の仕様変更は、開発コストの大幅な増加につながりかねません。企画段階で十分に検討し、要件を固めることが重要となります。
仕様変更が発生するケースの多くは、ユーザー側の要望を確認不足のためと考えられます。ターゲットユーザーへのインタビューやアンケートを入念に行い、要件漏れがないか検討することが重要です。
リリース後の運用コストも視野に入れておく
アプリリリース後も、監視やカスタマーサポート、不具合修正などにコストが掛かります。運用フェーズの費用も計画段階で考慮しておきましょう。
アプリのバージョンアップに伴う新機能追加やデザイン刷新も継続的なコストとなります。またスマホOSのアップデートに対応するための修正対応も欠かせません。さらに、サーバーの保守やセキュリティ対策も継続的に必要となります。
運用フェーズの費用は、開発コストに匹敵する場合もあるため、事前の計画が不可欠です。
セキュリティ対策は万全に
個人情報の取り扱いや不正アクセス対策など、セキュリティ面の検討を入念に行う必要があります。脆弱性が発覚すると利用者の信頼を失いかねません。
SSL通信の採用、データの暗号化、アクセス権限の設定など、技術面からセキュリティを確保する必要があります。併せて、セキュリティ監査の実施や情報公開の方針を明確化することも重要です。セキュリティ事故が発生した場合の対応計画も事前に準備しておきましょう。
モバイルアプリ開発に使えるノーコードツール2選
近年は、プログラミング知識が乏しい人でも簡単にアプリが開発できるノーコード・ローコードなアプリ開発ツールがいくつか誕生しています。
アプリを実際に社内で開発する場合、プログラミング言語の知識がなくても専用アプリを開発できるノーコードツールはとても便利です。
今回は、モバイルアプリに特化したノーコードツールを2つ紹介したいと思います。
ツール | 開発するアプリ | 価格 |
Adalo | Webアプリ | スタータープラン 月額36ドル
プロフェッショナルプラン 月額52ドル ※機能制限された無料プランあり |
Yappli | ネイティブアプリ | 非公開(要問い合わせ) |
Adalo
Adaloはあらかじめ用意されている「部品」をグラフィカルに組み合わせていくことで、専用のアプリが作れるノーコード開発ツールです。
デスクトップやスマートフォン用にアプリが作れ、組み合わせた部品と必要なテキスト入力で簡単にアプリ開発ができます。
アプリの制作自体は、サイト内から登録すれば無料で始められるので、初めて社内でノーコード開発を行う企業がとりあえず試すのにも向いています。
ただし、アメリカ発のプラットフォームであり、基本的にツール内の表記が英語であることには注意が必要です。
ツール | 開発するアプリ | 価格 |
Adalo | Webアプリ | スタータープラン 月額36ドル
プロフェッショナルプラン 月額52ドル ※機能制限された無料プランあり |
Yappli
Yappliは、ノーコードでスマートフォン向けのネイティブアプリが開発できるツールです。
ドラッグ&ドロップの直感的な操作で専用アプリが開発ができ、さらに運用や分析ツールも付属していることが特徴です。
特にECや店舗のオムニチャネルプロジェクトでよく用いられており、大学の就職活動支援アプリの開発といったケースでも採用されています。
ツール | 開発するアプリ | 価格 |
Yappli | ネイティブアプリ | 非公開(要問い合わせ) |
まとめとアドバイス
ここまで、モバイルアプリの種類から開発方法や選ぶポイントについて解説してきました。
アプリ開発には様々な選択肢がありますが、自社の目的や要件に合った開発方法を選ぶことが重要です。リリース後の運用コストも視野に入れ、将来の拡張性に配慮した設計が重要です。開発業者の選定では、自社の要件に応じて実績や得意分野を確認する必要があります。
アプリ開発は一般的に専門性が高く、初めて手掛ける場合のハードルは決して低くありません。しかし、ユーザーとの接点を増やす有効な手段でもあります。ぜひ専門家である開発会社と相談しながら、成功確率の高いアプリ開発を目指してください。
株式会社Jiteraは、開発自動化プラットフォームを活用することで、スピードとコストの両立を可能にしています。
要件定義を書くだけでAIが生成する開発自動化プラットフォームにより、それぞれの事情に合わせたアプリを柔軟に低コストで開発可能です。
既存システムとの連携やアジャイル開発に対応可能で、豊富な実績があるのが強みです。アプリ開発に関するご相談があれば、ぜひjitera社にお問い合わせください。