スマホのアプリ開発には、さまざまなプログラミング言語で利用されますが、Pythonでも可能です。
この記事では、Pyhtonを利用してどのようにスマホアプリを作るかの方法や、成功事例などを解説しています。
この記事を読んで、Pythonを活用したスマホのアプリ開発をはじめてみてはいかがでしょうか。
Pythonを活用したスマホアプリ開発の基本とメリット・デメリット
Pythonは、シンプルで読みやすい構文をもち、数値計算からWebアプリ開発およびAI開発などの幅広い用途で利用ができます。
ほかにも、Pythonでは、スマホアプリの開発も可能です。
ここでは、Pythonでのアプリ開発の特徴やメリット・デメリットを以下の項目に分けて解説します。
- Pythonによるアプリ開発の特徴
- Pythonでスマホアプリを開発するメリット
- Pythonでスマホアプリを開発するデメリット
それぞれみていきましょう。
Pythonによるアプリ開発の特徴
Pythonでの、スマホアプリ開発の特徴には、以下のようなものがあります。
- クロスプラットフォーム開発が可能
- フレームワークを利用できる
- 迅速な開発が可能
- 豊富なライブラリがある
Pythonでは、クロスプラットフォーム開発が可能です。これは、一つの開発言語で、WindowsやmacOSなど異なるプラットフォーム上でのアプリ動作が可能となる開発手法のことです。
同じコードベースから、iOSとAndroidの両方のプラットフォームに対応した、アプリの作成が可能となります。
ほかにも、Pythonのスマホ開発をサポートするさまざまなフレームワークを利用したり、豊富なライブラリを利用したりすることで、迅速な開発が可能です。
Pythonの詳しい説明は、以下の記事が参考になります。
参考:Pythonでできることとは?活用事例やおすすめの学習方法、開発のポイントまでわかりやすく解説|JITERA
次に、Pythonが得意とする開発分野と、不得意とする開発分野をみていきます。
Pythonが得意とする開発分野
Pythonが得意とする開発分野は、おもに以下のとおりです。
- Web開発
- データサイエンスと機械学習
- 自動化とスクリプティング
- ゲーム開発
- ネットワークプログラミング
- 科学計算
Pythonは、これらの開発分野の中でも、数値計算・統計処理・データ解析を得意としています。
Pythonには、さまざまなフレームワークがあり、とくにAI分野の開発が進めやすいとされています。たとえば、SNSの顔認証・Webの検索結果表示・音声認識・カーナビというような分野で、Pythonで開発したAI技術が使われています。
このようなAI技術は、スマホアプリでも活用できると考えられており、Pythonならではの特徴といえるでしょう。
Pythonが不得意とする開発分野
Pythonが不得意とする開発分野は以下のとおりです。
- リアルタイム処理
- 大規模かつ高パフォーマンスなシステム
- 低レベルなハードウェア制御
- GPUプログラミング
Pythonは汎用性が高く、よいところばかりが見えがちですが、弱点もあります。
それは、実行速度の遅さ、です。
処理が複雑であったり処理速度が高速であることが求められるような開発には向いておらず、とくに、リアルタイム性が求められるゲーム開発には不向きです。ほかにも、大規模かつ高パフォーマンスが必要なシステムにも向いていません。
スマホンアプリ開発でも、リアルタイムなレスポンスを求める動きは得意としていないため、開発の際は注意が必要でしょう。
Pythonでスマホアプリを開発するメリット
Pythonでスマホアプリを開発するメリットは、おもに以下のようなものがあります。
- クロスプラットフォーム開発ができる
- 広範囲なライブラリとフレームワークの利用が可能
- 簡潔で理解しやすいプログラミングができる
- AIとの連動が可能
Pythonは、シンプルで扱いやすいプログラミング言語であるため、簡潔で理解しやすいプログラミングができることがメリットです。このため、学習コストも低く、初心者から経験豊富な開発者まで幅広い人がスマホアプリ開発に従事することができます。
Pythonとほかの言語との違いは、AI技術の利用ができることでしょう。スマホアプリとAIとの連動が可能なことは、Python独自の特徴であり、メリットでもあります。
Pythonでスマホアプリを開発するデメリット
Pythonでスマホアプリを開発するデメリットは、おもに以下のようなものがあります。
- パフォーマンスの制約を受ける
- ネイティブアプリと比べてパフォーマンスが落ちる
- リソースの利用量が多い
- 一部のライブラリやAPIが未対応
この中で、特筆すべきは、パフォーマンスの制約に関することです。
Pythonはインタプリタ型の言語であるため、実行速度が遅い、というデメリットがあります。インタプリタ言語とは、プログラム実行時にソース・プログラムを逐次解釈して、実行可能な形式に変換しながら処理を進めることです。
実行速度が遅いため、高度なパフォーマンスが求められるアプリケーションでは、その性能を十分に発揮できない可能性があります。
ほかにも、ネイティブアプリに比べて、一部の機能やパフォーマンスが制約されることがあります。たとえば、ネイティブアプリに比べて特定のプラットフォームの最新機能が使えなかったり、APIへのアクセスに時間がかかったりする、などです。
スマホアプリの性能やユーザーエクスペリエンスが重要な要素となる場合、ネイティブアプリ開発の方が適している場合もあります。
Pythonを活用したiOS・Androidスマホアプリ開発の方法
Pythonを活用して、スマホアプリ開発ができることがわかりましたが、具体的にどのように開発していくのでしょうか。
ここでは、iOSとAndroidアプリの開発のステップを解説していきます。
- Pythonを使用したiOSアプリ開発のステップ
- Pythonを使用したAndroidアプリ開発のステップ
それぞれみていきましょう。
Pythonを使用したiOSアプリ開発のステップ
Pythonを使用して、iOSアプリ開発を行うためのステップは以下のとおりです。
- アプリのアイデアと要件定義
- 開発環境の構築
- デザインとUI/UXの基本実装
- 機能コーディングとデバッグの実施
- テストとデプロイ
- App Storeへの提出
それぞれみていきましょう。
アプリのアイデアと要件定義
iOSアプリを作成するために、まずはアプリのアイデアと要件を明確にしましょう。
ユーザーのニーズを理解して、どのような機能やデザインが良いかを決めていきます。
アプリの目的・開発時間・予算などを考慮して、どれだけの要件を詰め込めるかを検討します。
開発環境の構築
要件定義ができたら、次は、開発環境の構築します。
Pythonのインストール・Kivyなどのツールのセットアップ・フレームワークのセットアップなどを行いましょう。
コードエディターやデバッグツールも用意しておけば、その後のスムーズな開発に役立ちます。
デザインとUI/UXの基本実装
アプリ開発における、デザインとUI/UXの基本実装は、重要な要素の一つです。
ユーザーが直感的に操作できるUIを設計し、快適なエクスペリアンスの提供を目指していくことがポイントです。
このとき、プラットフォームごとのデザインガイドラインに沿ったデザインを検討すると良いでしょう。
機能コーディングとデバッグの実施
アプリの要件とデザインを決めたら、実際にコーディングを始めていきます。
Pythonはシンプルなコードであるため、容易にコーディングができるでしょう。
選択したツールやフレームワークをうまく使ってUIを構築していけば、堅牢性や保守性の高いアプリ開発ができます。
開発中に発生するエラーやバグは、適切なデバッグ手法を用いて修正します。
こまめなデバッグを実施していけば、精度の高いアプリが作成できるでしょう。
テストとデプロイ
アプリの開発が完了したら、テストとデプロイを実施します。
アプリの動作やパフォーマンスを確認し、バグや改善点がないかを検証します。
テストはエミュレータを利用するとテスト実施が容易になりますが、実機でしかわからないこともあるため、実機でのテストもおすすめします。
テストが無事に完了したら、アプリをリリースするためにデプロイの準備を行います。
App Storeへの提出
アプリが完成したら、Apple Store Connect を使用して、iOSアプリをApp Store に提出します。
アプリの情報やスクリーンショットなどを提供して、審査に提出し、結果が出るのを待ちます。
審査を通過できたらユーザーへ公開できます。
Pythonを使用したAndroidアプリ開発のステップ
Pythonを使用して、Androidアプリ開発を行うためのステップは、以下のとおりです。
- アプリのアイデアと要件定義
- クロスプラットフォームの選択
- 開発環境の設定
- UIの設計と実装
- ビジネスロジックの実装
- テストとデバッグ
- Androidデバイスでのテスト
- ビルドとデプロイをしてGoogle Playへ提出
それぞれみていきましょう。
アプリのアイデアと要件定義
アプリ作成の前に、どのようなアイデアや要件定義をもってアプリを作成するかを決めていきます。
ユーザーのニーズを洗い出し、そのニーズを叶えるための機能やデザインを決定していきましょう。
要件定義の際は、プロジェクトにおける予算や開発時間なども考慮して、要件を決定していくのがポイントです。
クロスプラットフォームの選択
Pythonを使用してAndroidアプリを開発する場合、KivyやBeeWareなどの、クロスプラットフォームのフレームワークを検討するとよいでしょう。
フレームワークを利用すれば、PythonコードをAndroidアプリにコンパイルできます。
開発環境の構築
選択したフレームワークに必要な開発環境を構築します。
Pythonのバージョン管理・依存関係のインストール・Android開発用ツールのインストールなどを行います。
UIの設計と実装
ユーザーインターフェイス(UI)を設計して、必要な画面や機能を実装します。
UIデザインのためのツールやライブラリを使用すると、自身の求めるようなUIを設計しやすいでしょう。
ビジネスロジックの実装
要件定義で決めた、アプリの主要な機能やビジネスロジックをPythonコードで実装します。
データ処理・ネットワーク通信・データベースアクセスなどのビジネスロジックを実装します。
テストとデバッグ
ユニットテストやUIテストを実施し、アプリが期待通りに動作していることを確認します。
デバッグには、デバッグツールを利用すればバグやエラーが見つけやすく、精度の高いアプリが作成できるでしょう。
Androidデバイスでのテスト
エミュレータでもテストは実施できますが、実機でしか見つけられないバグも多いため、Androidデバイスでのテストを推奨します。
デバイスの挙動やパフォーマンスを確認し、必要に応じて修正を行いましょう。
ビルドとデプロイをしてGoogle Playへ提出
テスト実施が終わったら、アプリをビルドしてAndroidデバイスやエミュレータにデプロイします。
最終的な動作確認を終えたら、Google Play Console を使用して、Androidアプリを Google Playに提出します。
Google Playでの審査が通れば、ユーザーへの公開が可能となります。
Pythonを活用したスマホアプリの成功事例
Pythonを活用すれば、IOSアプリもAndroidアプリも作成できることがわかりました。
では、どのような実際にどのようなアプリがあるのでしょうか。
ここでは、以下3つの成功事例を解説します。
- Dropbox
- Sportify
それぞれみていきましょう。
出典:https://about.instagram.com/ja-jp
Instagramは、写真や動画の共有に主眼をおいたソーシャルメディアプラットフォームです。
このアプリは、Pythonを主要なプログラミング言語として採用しており、InstagramのサーバーサイドやデータベースにはPythonが利用されています。
Dropbox
出典:https://www.dropbox.com/ja/
Dropboxは、クラウドストレージサービスが利用できるアプリです。
サーバーサイドの開発にPythonを活用して、高い生産性と柔軟性を実現しています。
Sportify
出典:https://accounts.spotify.com/ja/login
Sportifyは、音楽ストリーミングサービスが利用できるアプリで、サーバーサイドやインフラストラクチャの開発にPythonが利用されています。
Sportifyのエンジニアたちからは、Pythonの柔軟性と生産性が高く評価され、Pythonの採用につながっています。
Pythonを使ったスマホアプリの開発に必要なリソースと体制
スマホアプリを開発するためには、多くのステップを踏むことが重要であることがわかりました。
このような開発を進めるためには、以下のようなリソースや体制が必要となります。
- 開発者
- デザイナー
- プロジェクトマネージャー(PM)
- テストエンジニア
- クラウドサービス
- コード管理や管理ツール
- ドキュメンテーション
上記のリソースや体制を組んでアプリ開発を行いますが、全てを自社で揃えることは難しいでしょう。
このようなとき、外部開発パートナーを選定して、アプリ開発を委託することが可能です。
次は、外部開発パートナーを解説します。
外部開発パートナーの選定
アプリ開発のリソースや体制を自社で準備できない場合、外部開発パートナーへ依頼することができます。
外部パートナーの選定は、以下のポイントをおさえておくとよいでしょう。
- 実績とポートフォリオの確認
- 専門性や技術力があるか
- 評判とクライアントの声を参考にする
- コミュニケーションがしっかりととれるか
- コストと予算に見合っているか
- サポートと保守がしっかりしているか
外部開発パートナーは、その専門性や技術力を活かしてアプリ開発を行います。このため、自身がどのようなアプリ開発を行いたいかを明確にした上で、そのアプリ開発を効率よく対応できる外部開発パートナーを選びましょう。
ほかにも、開発パートナーとの円滑なコミュニケーションが、プロジェクトの成功には不可欠です。コミュニケーションのスタイルや言語の適応力を確認して、協力しやすい関係を構築できるか検討する必要があるでしょう。
外部開発パートナーの活用のほかに、クラウドリソースの利用もあげられます。
次に、クラウドリソースを解説します。
クラウドリソースの利用
クラウドリソースとは、クラウドコンピューティングプロバイダーが提供する、ITリソースやサービスのことをさします。
これらのリソースには、おもに以下のような種類があります。
- 計算
- ストレージ
- データベース
- ネットワーク
- セキュリティ
これらのリソースは、オンデマンドでの利用が可能です。開発に活用すれば、リソースの準備をする必要なくアプリ開発ができるでしょう。
おすすめのPython学習方法
Pythonは、シンプルなコードで習得が容易であり、初心者におすすめなプログラミング言語です。
独学で学ぶのもよいですが、以下のような方法で学習すれば、効率よくPythonの学習ができるでしょう。
- 書籍
- 学習サイト
それぞれみていきます。
書籍
書籍を利用する場合、まずは基礎を理解してから、必要な情報を調べてアプリケーションを自作するのがおすすめです。
参考書などの書籍をただ読み進めるだけだと効率が悪いため、実際に何かを作って自分の環境で実行し、結果をみながら学習するのと効率よく学習できるでしょう。
学習サイト
学習サイトには、Python入門講座・Progate・ドットインストールなどがあります。
初心者コースや無料コースなどが豊富に用意されているため、自身のレベルに合わせた学習が可能です。単純な動画視聴だけでなく、ゲームを使った学習サイトもあるため、自身に合った学習サイトを探してみるとよいでしょう。
Pythonで実現できるスマホアプリの例
Pythonで実現できるスマホアプリには、おもに以下のようなものがあります。
- タスク管理アプリ
- 健康管理アプリ
- ソーシャルメディアアプリ
それぞれみていきましょう。
タスク管理アプリ
タスク管理アプリは、個人やチームがタスクや仕事を効率的に管理して、追跡できるようにするためのアプリです。
タスク管理アプリには、おもに以下のような機能があります。
- タスクの作成と編集
- 優先度と期限の設定
- タスクの進捗追跡
- 通知とリマインダー
- カテゴリやタグ付け
- レポートと分析
このように、タスク管理に便利な機能が豊富に搭載されています。
健康管理アプリ
健康管理アプリとは、診療歴・処方薬・運動状況など、医療や健康に関わる情報やデータをスマホに記録して管理できるアプリのことをさします。
健康管理アプリには、おもに以下のような機能が盛り込まれています。
- ユーザーのプロフィール
- 健康データの入力と追跡
- 目標設定と進捗追跡
- 栄養管理
- 運動トラッキング
- 心拍数や睡眠データのモニタリング
- 報告書作成や分析
- リマインダーと通知
これらの機能を組み合わせて、ユーザーの健康状態をモニタリングし、健康目標を管理できるアプリをPythonで作成できます。
ソーシャルメディアアプリ
ソーシャルメディアアプリは、インターネットを介して、人と人とのつながりをの場を提供するSNSアプリのことをさします。
Pythonで作られたソーシャルメディアアプリでは、Instagramが有名です。
このアプリには、おもに以下のような機能があります。
- ユーザー登録とプロフィール管理
- フィードと投稿
- フォロー&フォロワー
- コメントやいいね
- ダイレクトメッセージ
- 通知
- 検索
- グループやイベント作成
- ライブ動画配信
- ストーリー
これらの機能を有するソーシャルメディアアプリをPythonで作成するためには、ウェブ開発・データーベース管理・セキュリティ対策などの知識が必要です。
まとめ
Pythonを利用すれば、iOSおよびAndroidスマホアプリの開発が可能です。Pythonはシンプルなコードで誰でも手軽に学習することができ、初心者から上級者までさまざまな人がアプリを開発できます。
Pythonで開発されたアプリは多くあり、Instagram・Dropbox・Spotifyなどが有名です。
自社で必要なリソースや体制を揃えるのは難しいですが、外部開発パートナーへ依頼したりクラウドサービスを活用したりすることで、必要なリソースや耐性がなくてもアプリ開発が可能となります。
外部開発パートナーは、それぞれ得意な専門分野や技術力があり特徴が違うため、どの外部開発パートナーを選べばよいかわからなくなることもあるでしょう。
外部開発パートナーの選定に困った際は、アプリ開発の実績が豊富な、株式会社Jiteraに是非ご相談ください。貴社の要件をしっかりとヒアリングし、その要望に合ったアドバイスが提供できます。