【入門】C言語でできることを初心者向けに解説!勉強方法や、他のプログラミング言語の種類や特徴とは?

みなさん、C言語を使った開発に興味がありますか?でも、C言語のことをよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

C言語は実行速度が速く、資源効率がいいなどのメリットがある反面、デバッグが大変だったり、セキュリティ面での注意が必要だったりと、習得のハードルも高い言語です。

この記事では、C言語の基本的なことから応用までを丁寧に解説します。 C言語の概要、できること、他の言語との違いなどを理解することができます。実例を踏まえた学習方法も紹介します。

記事内では、OS開発や高速処理アプリケーション開発に利用されているC言語の実際の利用シーンも参考にできます。

記事全体を通じ、C言語に対する理解を深めることができます。ぜひこの機会にC言語の可能性を知り、自身のスキルアップに役立ててください。

目次
監修者 Kota Ishihara

近畿大学理工学部生命科学科を卒業後、独学でReactやNext.jsを中心としたフロントエンド開発に特化し、2022年10月よりフリーランスエンジニアとして活動。ヨーロッパや東南アジアを旅しながら、いろんな文化や人との出会いを楽しみつつ、クリエイティブなUI/UX設計に取り組んでいます。

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    C言語とは?基礎知識と特徴

    C言語には高速に動作し、メモリを効率的に利用できるなど、特徴的な機能と性能があります。代表的なものを簡単に整理していきましょう。

    C言語のプログラミングパラダイム

    C言語は、手続き型言語と呼ばれるパラダイムを採用しています。プログラムは、関数などの具体的な手続きの羅列で記述され、順に実行されていきます。C言語は、この手続き型で機能志向な設計となっており、関数を切り出してモジュールとすることができます。

    手続き型言語の特徴は、プログラムの基本単位を手続き(関数)とし、メインプログラムから順に手続きを呼び出して実行していく点にあります。関数は独立した処理ブロックとなるので、コードの再利用性が高く保守がしやすいのが強みです。

    C言語であれば、main関数から始まるメインプログラム内で、printやscanといった入出力を行う関数を呼び出したり、独自の処理手順からなる関数を定義して実行する、というコーディングが基本的なプログラミングスタイルとなります。

    手続き型言語では、命令型宣言型の2つに大別されますが、C言語は前者で具体的にどういった手順で処理を実行するかを記述していく方式です。この点で、高水準の言語ながらハードウェアを意識できる、手続き中心のプログラミングが特徴だと言えます。

    C言語では、手続きである関数をまとまった機能単位(モジュール)として再利用できます。これによって、大規模開発でも機能ごとの役割分担が明確になり、コードの整理性や保守性も向上します。

    ※プログラミングパラダイム・・・プログラミングの考え方やコーディングスタイルのことです。C言語は手続き型言語というパラダイムで、関数を順次呼び出していくスタイルでプログラミングを行います。

    処理速度とメモリ効率が良い

    C言語は、コンパイルされたプログラムがハードウェアを直接制御できるため、処理速度が速く、メモリも効率的に利用できます。C言語で書かれたプログラムの実行は、他の言語よりもはるかに高速にできるのが大きな特徴です。

    C言語はコンパイル言語で、ソースコードは機械語に変換され実行ファイルが生成されます。この実行ファイルがCPUの命令を直接制御できるため、処理速度が非常に速いです。インタープリタ言語のPythonやJavaScriptなどと比較すると、数十倍から数百倍程度速い場合もあります。

    メモリ効率においても、C言語は手動でメモリの割り当てと開放を制御できるため効率よくメモリを利用できます。変数のデータ型も細かく指定できるので、必要以上にメモリを消費することがありません。

    こうした理由から、C言語は高速な処理が要求される、数値計算やデータ処理、コンピュータグラフィックス、高速表示が必要なゲーム、OSやデバイスドライバといった分野で活用されてきました。

    最近では、Webサーバーでの利用も進んでおり、高性能を要する大量アクセス対応のWebアプリケーション開発にもC言語は向いていると言えます。

    用途が広く汎用性が高い

    C言語は、高水準言語でありながらハードウェアを意識できることから、用途が広く汎用性が高い言語です。組み込みシステムから、ビジネスアプリケーション、ゲーム、OSといったさまざまなソフトウェア分野でC言語は活用されています。

    C言語は、機械語に近い低レベルな言語である一方、データ型や制御文といった高水準言語としての機能も備えています。この両立する特徴から多方面での利用が可能となり汎用性が大きいのです。

    例えば、組み込み機器にはリソースに制約があることが多いですが、そこでC言語を用いれば高パフォーマンスなプログラムを小規模に実装できます。一方で、巨大なWindowsサーバーのような大規模システムでも、C言語なら複雑なOS自体の開発が可能です。

    この他にも、3次元コンピュータグラフィックス、画像処理、通信プロトコル、量子化学シミュレーション、音楽合成、統計解析など高度な専門分野での利用実績もあります。

    変更可能なデータ型をサポートし、手続き型で柔軟なプログラミングができる一方で、メモリへのアクセスを直接制御できる低レベルな機能もあるC言語は、そうした複数の特徴が合わさった結果、多くの分野での利用が進んできました。

    ※手続き型・・・手続き型とは、プログラムを関数などの手続きの羅列として記述していくスタイルのことです。C言語はこの手続き型言語の特徴を持っており、関数を機能の単位として柔軟に組み合わせてプログラミングできます。

    他のOSに移植がしやすい

    C言語で書かれたプログラムは、コンパイラ次第で、ある程度他のプラットフォーム上でも実行可能です。条件を満たせばソースコードの互換性が保たれるため、あるOS上で動作するCプログラムを、他のOSに移植がしやすいのも特徴です。

    C言語のソースコードは可搬性が高く、OSやCPUの違うマシンでもコンパイルと実行が可能です。これはC言語の規格であるANSI Cが制定され、コンパイラ間の互換性が高められた結果です。

    例えば、Linuxでソースコードを書き、GCCでコンパイルして作成した実行ファイルをWindowsに持っていっても動作します。その逆に、Windows上のC言語のコードをLinuxのGCCでビルドすることもできるのです。

    ただし、使用する標準Cライブラリの違いや、OS依存のAPIがある場合はソース上での修正が必要ですが、それでもコンパイルし直せば比較的容易に他OSでも動作可能になります。

    このC言語の高い移植性が、多くのプラットフォームで動作する汎用的なアプリケーションやライブラリを開発できることを意味しています。異なる機種が混在している環境でも使える、ソフトウェアアセットの構築にC言語は向いていると言えるでしょう。

    C言語と他の言語の違い

    C言語は実行速度が速い言語であり、その理由としてハードウェアに近い低レベルアクセス、効率的なメモリ管理、高度なコンパイラ最適化、シンプルなランタイムなど多くの要因でその実行速度が速くなっているといえます。

    しかし、C言語は万能ではないため、目的・用途に応じて他の言語を使うべき場合もあります。人気言語との相違点を押さえておくことが大切です。

    Pythonとの違い

    比較言語 C Python
    種類 コンパイル言語 スクリプト言語
    実行速度
    生産性
    静/動的型付け 静的 動的
    プログラミング様式 手続き型 オブジェクト指向
    用途例 組み込み系、高速処理 AI、データ分析、ウェブアプリ

    Pythonは、動的型付けで生産性重視のスクリプト言語ですが、C言語は静的型付けで実行速度優先である点が異なります。文法・記述方法が全く違う2言語です。

    そのため単純比較する場合は、C言語とPythonのどっちが良いとは言い切れません。

    Pythonはスクリプト言語に分類され、動的型付けとソースコードの可読性を重視した構文を採用しています。オブジェクト指向ではあるものの、巨大な汎用ライブラリを活用した開発が特徴的です。

    一方、C言語はコンパイル言語で、静的なデータ型を明示的に定義し、ハードウェアを意識した細かい制御がしやすい構造となっています。手続き型でモジュール化しやすいアーキテクチャも異なります。

    C言語に比べ、Pythonの方が開発効率・生産性が格段に高いのですが、処理性能ではC言語の方が圧倒的に速いという違いがあります。

    用途としては、数値計算や組み込み系開発等の高速処理を要する分野でC言語が、Webアプリケーションや機械学習、データ分析といった開発生産性を重視する領域でPythonが使い分けられることが多いです。

    C++との違い

    比較項目 C C++
    パラダイム 手続き型 オブジェクト指向型
    実行速度
    コーディング効率
    メモリ効率
    大規模開発向き ×
    使用用途例 OS、組み込み アプリケーション

    C++は、C言語をベースにオブジェクト指向性能を高めた言語です。C言語は手続き型なのに対し、C++はオブジェクト指向である点が異なります。

    つまりC++は、C言語にクラス、継承、オーバーロードといったオブジェクト指向プログラミングの機能を追加した言語です。C言語は手続き型言語で機能中心のモジュール性が高いのに対し、C++はオブジェクト指向で設計思想が異なります。

    C++は大規模開発における生産性、保守性、再利用性に優れる反面、実行効率では劣ります。組み込みシステム等のリソース制約下ではC言語の方が適していると言えます。

    C言語からC++への移行は比較的容易ですが、両者は併用されることが多く、目的に応じて使い分けられています。C言語での処理速度を重視する部分と、C++での柔軟な拡張性を必要とする部分で役割分担する、といった具合です。

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    C#との違い

    比較項目 C C#
    種類 プロシージャ型言語 オブジェクト指向言語
    実行速度 高速 比較的速いがC言語には劣る
    生産性 低い 高い(フレームワークとIDEのサポートが豊富)
    型付け 静的型付け 静的型付け
    プログラミング様式 手続き型 オブジェクト指向、手続き型、イベント駆動
    用途例 システムプログラミング、組み込みシステム ウェブアプリケーション、デスクトップアプリ

    C#は2000年にマイクロソフトによって開発された比較的新しい言語で、主に.NETフレームワーク上で動作します。C#はオブジェクト指向を基本としつつ、手続き型やイベント駆動のプログラミングもサポートしています。

    C#は開発環境やフレームワークの支援が充実しているため、ウェブアプリケーションやデスクトップアプリケーションの開発において高い生産性を誇るのがC言語との大きな違いでしょう。

    実行速度はC言語よりは劣りますが、クロスプラットフォーム対応や安全性を考慮した言語設計がなされているため、商用ソフトウェア開発において広く利用されています。

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    Javaとの違い

    比較項目 C Java
    実行方式 コンパイル インタープリタ
    実行速度
    実行コード ネイティブコード バイトコード
    移植性
    メモリ制御
    使用用途 組み込み系、高速処理 アプリケーション

    Javaは「Write Once, Run Anywhere」をうたい文句とする汎用言語で、Java VM上であればOSを選ばず実行可能です。一方C言語は、コンパイル依存で高速実行を優先しています。

    Javaは仮想マシン上で動作するインタープリタ型言語です。ソースコードは一度Java VM用の中間コードにコンパイルされ、OSやCPUの違いを気にせずに実行できるのが大きな特徴です。

    これに対して、C言語はコンパイル後にCPUが直接実行するネイティブコードを生成します。OSやハードウェア構成に依存する部分があるものの、実行速度で圧倒的優位性があります。

    Javaは豊富な標準/外部ライブラリによる生産性の高さが特徴ですが、C言語の汎用性とパフォーマンスはかなわず、今も両者は併用されることが多いのです。

    学習難易度としても、javaにはオブジェクト指向という概念があれど、C言語のポインタやメモリ管理・実装時のエラーハンドリング、その他多くのIDEやフレームワークのサポートという点からC言語の方が難しいといえます。

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    JavaScriptとの違い

    比較項目 C JavaScript
    実行環境 OS、組み込み機器等 ブラウザ
    プログラミングパラダイム 手続き型 オブジェクト指向
    データ型 静的型付け 動的型付け
    実行速度
    用途 汎用(組み込み、サーバー等) フロントエンドWeb

    JavaScriptは、ブラウザで実行するWeb用途に特化した言語ですが、C言語はOS本体から組み込み機器まであらゆる場所で利用可能な汎用言語です。

    JavaScriptは、オブジェクト指向のスクリプト言語で、主にクライアント側のWebブラウザ上で動作します。HTMLと連携したインタラクティブなUIの実装やデータ通信が主用途です。

    これに対して、C言語は手続き型言語で、OSやサーバーソフトウェア、組み込み機器といった広範囲に渡って利用される汎用のコンパイル言語です。高速数値処理向きの構造です。

    用途として明確に区別されており、ウェブアプリケーション開発ではJavaScriptがUIを担当し、サーバーサイドでデータ処理を行う部分にC言語が利用される、ということが多いです。

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    C言語の学習方法

    C言語の効率的な学習のためには、基礎構文の理解から応用力育成まで体系的なステップを踏むことが大切です。主要な学習ステップを見ていきましょう。

    基礎文法の理解

    まずは、C言語の基本文法や変数・操作子の使い方など基本構文についての理解が第一歩です。文字と数字の出力方法から関数の定義と利用など、基本的プログラムの実装イメージを掴みます。

    C言語を学ぶ第一歩はまず、基本データ型(int, double, char等)の理解や、変数の定義、四則演算などの基本操作子の使い方を学ぶことです。これにより、C言語のプログラムの基本的な動作単位を理解できます。

    次に制御文(if、for、while文等)の理解が必要です。条件分岐やループ処理によって、プログラムに順次的な処理手順を記述できるようになります。

    さらには、hello world的な簡単な出力プログラムの作成や、数値や文字列を引数に取る関数の定義と利用方法を学ぶことで、実際のプログラミングにおける基本操作のイメージを掴むことができます。

    プログラム例題で実践

    基礎理解後は、実践を通じたより深い理解が必要です。具体的なプログラム例題を参考に、自身で似たような簡単アプリをコーディングすることで、技能の定着を図ります。

    C言語の基本構文についてある程度理解したら、次は簡単なプログラム例題のコーディングにチャレンジします。数あてゲームや四則演算問題生成器、ターミナルで動作する簡易サービス模擬アプリなど、身近な題材のプログラム例を参考にしつつ、実際に自分で似たような小規模アプリの開発を行なっていきます。

    こうした実践を通じて、変数の利用方法、条件判断と制御文、文字列やデータ入出力、関数活用方法といった基本構文の技能習得を体得していきます。コンパイルエラーや意図せぬ動作といった苦しみも体験することで、開発スキルも磨かれていきます。

    例題等の参考コードを読むだけではなく、必ず実際に自身の手を動かして試行錯誤を重ねることが大切です。これが思考回路として全体像を掴むのに役立ちます。

    ライブラリの利用方法習得

    C言語には、便利な標準ライブラリが用意されています。こうしたライブラリの活用方法を学ぶことで、自分一からコードを書くことなく機能を実装できるようになります。

    C言語には入力/出力、文字列操作、数学関数、メモリ管理等の標準ライブラリが用意されています。これらの利用方法を習得することで、基本的な機能は自作せずに済みます。

    例えば、printfによる出力、scanf による入力、strlenによる文字列処理、mallocによるメモリ確保といったライブラリ関数を使いこなせるようになることが重要です。

    また外部ライブラリとして、グラフィックス、数学計算、ファイル/通信処理、データベース、機械学習といった高度な機能も提供されています。これらの活用方法を学ぶことで、複雑な処理も比較的容易に実装が可能になります。

    ライブラリの使い方を覚えることと合わせて、適切なライブラリ選定力や互換性の確認力も求められるでしょう。

    実践を通じた応用力養成

    C言語を業務で活用する上では、理論や構文だけでなく、実践力が求められます。そこで代表的なC言語活用シーンを想定し、ドライバ開発、組み込み機器制御、OS、ゲーム、Webアプリケーションなどの開発実習を行うことで、実践力と汎用的応用力の育成を図ります。

    こうした実践教育では、要件定義、設計、コーディング、デバッグ、テストと実プロセスに合わせた開発体験ができます。グループ開発の体験も重要で、バージョン管理、コードレビューといった業務運用能力の向上も図れます。

    C言語でできること・つくれるもの

    C言語は高速性と汎用性から、多岐に渡るソフトウェア開発ニーズに対応できるのが最大の魅力です。代表的な開発事例を見ていきましょう。

    オペレーティングシステム(OS)

    WindowsやLinux、Android、iOSといった、世界中のコンピュータが使うOS自体がC言語で開発されています。OSカーネルなどの根幹部分にはC言語が不可欠です。

    Windowsをはじめ、主要なコンピュータのOSは、C言語で記述されたソースコードから構築されています。OSが提供する各種システムコールやドライバ、プロセス/メモリ管理、ファイル操作といった基本機能の大部分がC言語で書かれています。

    例えば、LinuxカーネルはC言語で記述されており、効率的なメモリ管理と速度の面で高い評価を受けています。また、Windows OSの多くの低レベルシステムコールやドライバもC言語で開発されているため、ハードウェアに近い操作が可能となり、システム全体のパフォーマンスを向上させています。

    C言語で記述できるOSカーネルはハードウェアやCPUアーキテクチャーを強く意識できるため、最適化された高速処理を実現できるのです。C++で記述されている部分もありますが、根幹を成すのはC言語なのです。

    スマートフォンに搭載されているAndroid OSにも、C言語は不可欠な要素技術として取り入れられています。アップルのiOSでも同様に、C言語が活用されているのです。

    デバイスドライバ、ファームウェア

    マザーボードやUSBデバイスといった、ハードウェアを直接制御するためのドライバーやファームウェアの開発に、C言語は適しています。

    C言語なら、CPUが接続する入出力端子のことを指すハードウェアレジスタや、メモリ上の入出力用の特定アドレスを指すメモリマップドI/Oといった、ハードウェア制御のための細かいインターフェースを操作することができます。

    このため、ドライバ開発では不可欠な言語として、広くC言語が採用されています。

    組み込み機器の制御用ソフトウェアであるファームウェアにおいても、C言語は標準的な開発言語として使われています。メモリ資源や電力消費が制約される組み込み機器であっても、手軽に小規模ながら実行効率の良いファームウェアがC言語なら作れるためです。

    例として、プリンターやスキャナーのドライバがあります。これらのデバイスはC言語で書かれたソフトウェアによって制御されており、ハードウェアとの間で高速にデータをやり取りすることが可能です。また、組み込みシステムでは、C言語がメモリの効率的な使用を可能にし、リソースが限られた環境での開発に適しています。

    プリンタや産業用ロボット、自動車、家電製品といった身近なハードウェアの制御ソフトの開発現場で広くC言語が使われていることを知っておきましょう。

    ※ファームウェア・・・ハードウェアを制御するためのソフトウェアプログラムのことです。組み込み機器向けに機器の動作を決定付ける制御用のソフトウェアとして、C言語は最適な開発言語と言えます。

    高速処理を要するソフトウェア

    C言語は、高速性が必要とされる3Dゲームの開発や画像処理、データ解析処理に広く使われています。膨大な計算処理を効率的に実行可能です。

    C言語なら、数値計算やデータ整形処理をCPUの特徴に合わせて最適化することができるため、単位時間当たりに処理できるデータ量や計算量を大幅に向上させることができます。

    これにより、大容量データの高速解析や複雑なシミュレーション、リアルタイムCG/画像処理、量子化学計算などを効率的に実装できます。

    特に3Dグラフィックスのレンダリング科学技術計算ビデオゲーム開発において重宝されています。

    例えば、複雑な物理シミュレーションを扱うソフトウェアや、リアルタイムでの画像処理を必要とするアプリケーションがこれに該当します。

    C言語が得意とする高速並列処理は、AIを含むビッグデータ処理基盤や画像認識・ディープラーニングの分野でも欠かせません。これからも計算性能指向の制約の厳しい用途ではC言語が重宝されるでしょう。

    Webアプリケーション

    最近では、C言語のWebフレームワークを利用し、高負荷回線対応の大規模WebシステムやWeb APIの開発も行われています。

    C言語には、WSGI互換のWebアプリケーションフレームワークが存在しており、高性能を要する大規模WebシステムやAPIサーバー開発にも利用されています。

    C言語の実行速度の高さを生かして、大量アクセスにも耐えうる高負荷回線向けのWebアプリケーション開発が行われています。また、C言語なら並列処理が得意なため、マルチスレッドで大量のリクエストに対応可能なウェブサービスも構築できます。

    高負荷なWebサービスやリアルタイム処理を必要とするアプリケーションでの使用例として、C言語を基盤とするブロックチェーン技術も注目されており、これにより金融取引の処理などが行われています。

    ※マルチスレッド・・・1つのプログラムで複数の実行単位のことです。C言語はスレッドの並列実行に強く、大量処理に対応できます。

    ※WSGI互換・・・PythonでWebアプリを開発する際の標準仕様です。C言語にもこの仕様に対応したWebフレームワークが存在します。

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    C言語のメリット

    C言語には実行速度の速さ、移植性の高さといった大きな強みがあります。代表的なC言語のメリットを整理していきます。

    メリット 内容
    高速性 ハードウェア近いレベルで動作するため、処理速度が極めて高速
    リアルタイム性が必要な用途に適している
    メモリ効率 メモリ制御が細かくできるため、メモリの使用効率が高い
    組み込みシステムなどリソース制約機器向き
    移植性 ソースコードの可搬性が高く、OSをまたいでコンパイル可能
    複数プラットフォームでの利用が容易
    汎用性 高水準+低水準言語の長所を兼ね備え、用途が広い
    実績が豊富で信頼性が高い

    実行速度が速いので、リアルタイム処理が得意

    C言語の処理性能は非常に高速です。これは、C言語がハードウェアと近いレベルで動作するためで、他言語と比べると数十倍速いということです。映像処理や通信制御のような、リアルタイム性が求められる処理に向いています。

    C言語で記述されたプログラムは、ネイティブコードとしてCPUが直接実行するため、PythonやJava、JavaScriptなどのインタープリタ言語と比べてもはるかに高速に処理を完了させることができます。

    グラフィックスや動画像のリアルタイムレンダリング、大量の信号処理、工業用ロボットの精密な動作制御など、正確なタイミングと高速応答が必要不可欠である用途向けに、C言語は理想的です。

    またC言語は並列計算に強く、マルチスレッドでの並列処理の記述も可能です。サーバー向けに大量のデータや通信処理を高速化するアプリケーションや、スパコン・量子コンピュータでの科学計算にもC言語は適しています。

    メモリ効率が良いので、リソース制約の厳しい組み込みシステム向き

    C言語はメモリの使用効率が高いため、組み込みシステムなどハードウェアリソースに制約がある場合に有効です。大容量のメモリを要求しない、小規模型のコンパクトなファームウェア開発が可能です。

    C言語は、ポインターを使ったメモリアクセスの直接的なコントロールが可能で、動的メモリ割り当てと開放もプログラマが制御できます。必要な分だけのメモリを、必要な時にのみ割り当てて活用できるため、メモリの使用効率を抜群に高められるのです。

    このC言語の特徴は、小容量のROMとRAMしか持たず、バッテリ駆動で長時間駆動を要する組み込みシステムやIoTデバイスの制御用ファームウェア作成に適しています。自動車や家電、産業機器などの組み込みシステム開発にC言語は欠かせないのです。

    移植性が高いので、複数プラットフォームでの利用が容易

    C言語のソースコードは移植性が高く、WindowsとLinuxといったOSの違いを越えて同じコードを動かすことができます。WindowsでもLinuxでも、同じC言語のコードをコンパイルして動作可能です。クロスプラットフォーム対応のシステム資産構築に向いています。

    ANSICというC言語の規格が制定されたことで、様々なアーキテクチャやOS上でのソースコードの互換性が高まりました。コンパイラさえ用意されれば、同じC言語のプログラムを複数のプラットフォームでビルドして実行できるのです。

    これにより、Windowsサーバーで動作するCアプリケーションを、そのままLinuxやUNIXでも稼働可能にするといった異なる機種の混在しているシステム基盤を構成できます。1つの開発資産を複数プラットフォームで運用することで、移行コストや保守コストの削減につながります。

    C言語ならクロスプラットフォーム対応の高められたシステム基盤やアプリケーションを容易に実現できるのです。

    汎用性が高いので、様々な分野のアプリケーション開発に適している

    C言語は用途の幅が広く、高速化が必要な処理から組み込みシステムまで、多岐に渡る開発ニーズに対応可能です。実績も豊富で、信頼性の高い汎用プログラミング言語です。

    C言語は、高水準の言語としての利便性と、ハードウェアを直接制御できる低レベル言語としての機能を兼ね備えています。この汎用的な特性から、ハードウェアの制御プログラムから重要な基幹システムまで、ほぼ全てのソフトウェア開発ニーズに対してC言語を利用できるのです。

    歴史的にも古くから利用され、その実績と信頼性が蓄積されているので、新規開発だけでなく既存大規模システムの保守改修においてもC言語が選ばれることが多いです。

    C言語は万能とは言えませんが、ある意味どのような開発状況においても有効な選択肢になりうるほど、柔軟に対応できる多目的言語なのです。

    C言語のデメリット

    C言語にはデバッグの難易度やメモリ管理の手間などの短所もあります。代償としてのデメリットがあるということを知っておく必要があります。

    デメリット 内容
    デバッグの難易度 実行過程が見えにくいため、バグの原因特定が困難
    デバッグに時間がかかり開発効率の低下につながる
    メモリ管理の手間 メモリの割り当て/開放の制御が必要で管理コストが高い
    メモリリークなどの原因になりうる
    セキュリティ面の脆弱性 バッファオーバーフロー等のセキュリティホール が生じやすい
    セキュアコーディングが必須
    コーディングミスの影響度 ポインタやメモリ操作の間違いが原因のエラーが発生しやすい
    品質管理が難しく高コストになりがち

    デバッグが難しいので、開発効率が低下しやすい

    C言語は実行の動作プロセスが見えにくいため、バグの原因特定に手間取りがちです。デバッグに時間がかかることで、開発効率の低下につながります。

    C言語は、ポインタやメモリアクセスといったハードウェアと近い処理を記述できる反面、実行時のプログラム内部で起きていることが可視化しづらい特性があります。

    そのため、プログラムに想定外の動作が見られた場合、バグの根本原因を特定するのが難しく、長期にわたる試行錯誤的なデバッグ作業を要することが少なくありません。

    C言語初心者にとって、そのデバッグの障壁は特に高く、開発生産性とコストパフォーマンスの低下につながる害となります。デバッグ手法の習得や、ツールの活用がプロダクティブなC言語を扱う上で大切になります。

    メモリ管理が手間なので、メモリリークなどの原因になりうる

    C言語では、メモリ操作を自分でコードで制御する必要があるため、メモリ解放のミスによるリークが発生しやすいリスクがあります。

    C言語には、ガベージコレクションといった自動的なメモリ管理機能がないため、プログラマがmalloc()などを用いて明示的にメモリの割り当てと開放を制御する必要があります。

    開発者がメモリ開放を忘れてしまったり、該当コードから脱出するタイミングを見誤った場合、未使用のメモリ領域がプログラム実行中に蓄積され続け、メモリリークを引き起こしてしまいます。

    これによって、メモリ資源が枯渇しアプリケーションが動作不能に陥ったり、セキュリティ脆弱性が生じたりする可能性があるため、C言語ではメモリ操作は常に細心の注意が必要です。

    セキュリティ面の脆弱性があるので、安全性確保のためのコーディングが必要

    C言語のプログラムには、バッファオーバーフローなどのセキュリティ脆弱性が生じやすいため、その対策のための注意が必要です。

    C言語では、メモリアクセスできる範囲を逸脱したり、データ入力値の適正性チェックを怠ったりすると、重大なセキュリティホールが生まれてしまう可能性があります。

    こうしたC言語コーディング時の安易なミスを悪用されることで、極めて重大な情報漏洩やサービス停止といった出来事につながる危険性が常に存在しています。

    そのため、C言語のセキュアコーディングは欠かせず、バッファ境界チェックやデータ検証、メモリ管理の崩壊防止といった安全対策は最低限の必須要件となります。

    ※バッファオーバーフロー・・・プログラムがデータを入れる領域のサイズ制限を超えてしまうことです。これにより重要なデータを消してしまったり、悪意あるコードを実行されてしまう潜在的リスクがあります。

    ※セキュアコーディング・・・コンピュータセキュリティを意識してプログラムを書くことです。C言語ではメモリアクセスのエラーなどが要因でセキュリティホールが生じる可能性があるため、その対策が必要です。

    コーディングミスの影響が大きいので、品質管理が難しくなりがち

    ポインタやメモリ操作のミスなどが原因で、プログラムの品質管理が難しくなりがちです。コーディング時の細心の注意が欠かせません。

    C言語では、ポインタの誤操作や境界チェックミスなどが原因で、プログラムが予期せぬエラーや異常動作を引き起こしてしまうことが少なくありません。

    こうしたコーディング上の小さなミスであっても、最悪の場合は重大なシステム障害に直接つながってしまう危険性が常にあるため、품質管理への影響は非常に大きいと言えます。

    そのため、C言語の開発現場では、コーディング規約の徹底やコードレビューの励行、静的コード解析ツールの利用など、品質向上のための取り組みが欠かせません。細心の注意を払わないコーディングがもたらすリスクを、常に意識することが重要です。

    C言語の開発環境を整える

    C言語の開発環境を整えるためには、適切なツールと設定が必要です。特に初学者にとっては、分かりやすく使いやすい環境が学習効率を高める重要な要素です。

    ここでは、C言語の開発において初心者におすすめのIDE(統合開発環境)とコンパイラ、効果的なデバッグ手法、そして初期設定からプロジェクト構築の基本ステップまでを具体的に解説していきます。

    初心者におすすめのIDEとコンパイラ

    C言語のプログラミングを始めるにあたり、初心者には特にVisual Studio Code(VS Code)Code::Blocksのようなユーザーに使いやすいIDEの使用をおすすめします。

    これらのIDEは、シンタックスハイライト、コード補完、エラーチェックといった機能があり、プログラミング学習の障壁を下げてくれます。

    VS Codeは軽量でありながら多機能で、拡張性も高く、多くのプラグインによりカスタマイズが可能で、Code::Blocksは特にC/C++開発に特化しており、シンプルな操作性が魅力といえるでしょう。

    コンパイラとしてはGCC(GNU Compiler Collection)を利用するのが一般的で、GCCはオープンソースであり、Windows, Mac, Linuxといった多様なOSに対応しているため様々な環境で利用することができます。

    デバッグツールと開発環境の整備

    デバッグはプログラミングにおいて避けては通れない重要なステップです。

    C言語のデバッグにはGDB(GNU Debugger)が広く使用されており、GDBを用いることでプログラムの実行をステップバイステップで追跡し、変数の状態やメモリの状況を詳細に確認することが可能です。

    また、IDEの中には内蔵のデバッガを持っているものも多く、例えばVisual StudioやEclipseでは、ビジュアルインターフェースを通じてデバッグ操作を行うことができます。

    開発環境の整備には、これらのツールのインストールに加え、必要なライブラリやプラグインの設定が含まれますが、これによってエラー検出、コードの最適化、実行効率の向上を図ることができます。

    初期設定と簡単なプロジェクト構築

    C言語でのプロジェクトを始める際には、基本的なファイル構造とビルド設定が重要となります。

    例えば、シンプルな「Hello, World!」プログラムを作成する場合、ソースファイル(.c拡張子)実行可能ファイルの生成に必要なMakefileを準備します。

    IDEを使用している場合は、多くのIDEが新規プロジェクトウィザードを提供しているのでこれを利用すると基本的なテンプレートが自動で生成され、ビルドと実行のプロセスをガイドしてくれます。

    まとめ:C言語は開発現場の課題解決に役立つ

    この記事では、プログラミング言語の中でも重要なポジションを占めるC言語について、 特徴・歴史・メリット・デメリットなど、全体像を概観してきました。

    C言語は奥が深く、一朝一夕には習得できない難しい言語ではありますが、その反面CPUを直接制御できる高速処理能力には大きな魅力があります。

    みなさんが抱える開発現場の課題解決に、C言語が役立つ可能性は大いにあります。ぜひこの機会にC言語の導入検討を始めてみてください。

    ソリューション開発の支援やC言語エンジニアの紹介などでサポートが必要な場合は、株式会社Jiteraまで遠慮なくお問い合わせください。

    例:開発手順、ツール、プロンプト

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