シナリオテストとは?意味や作り方、注意点をサンプル例と共にわかりやすく紹介

システム開発において、シナリオテストはソフトウェアの品質を担保するうえで重要な役割を持っています。
今回は、シナリオテストについて

  • シナリオテストの特徴
  • 具体的な進め方
  • システムテストとの違い
  • ユーザーテストシナリオの作成と重要性
  • 結合テストシナリオの役割と作成方法
  • 注意点

を順に紹介します。

Nao Yanagisawa
監修者 Jitera代表取締役 柳澤 直

2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立

2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当

2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発

2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出

執筆者 星空瑠璃

情報系が得意です。

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    シナリオテストとは


    シナリオテストは、ソフトウェアやシステムの品質を確認する手法です。
    特定の使用ケースや状況に焦点を当てて動作を検証します。
    テスト開発者は、ユーザーがシステムをどのように使用するかを想定し、想定に基づいたテストケースを作成します。
    これにより、実際の運用状況での動作や機能の正確性を評価できます。

    シナリオテストはエンドツーエンドのテストを含み、システム全体の一貫性やユーザビリティを確認し、バグや潜在的な問題を特定する役割を果たします。
    開発サイクルの早い段階から終盤まで実施され、システムの信頼性と利便性を向上させる重要な手法です。

    シナリオテストの具体的な進め方


    ここからはシナリオテストの進め方を解説します。
    ユーザー視点の使用ケースに基づくテストで、具体的な手順や注意点を紹介します。

    シナリオの作成

    シナリオの作成は、シナリオテストの鍵となるプロセスです。

    最初に、ユーザーがシステムをどのように使用するかを理解します。

    次に、具体的な使用ケースやユーザーシナリオを特定し、それに基づいてテストケースを作成します。
    これには、入力データ期待される出力、および実施手順が含まれます。

    シナリオはユーザーが直面するさまざまな状況を考慮する必要があります。
    明確で一貫性があり、システムの各機能を包括的にカバーする手順を作成します。
    作成したシナリオは可読性が高く、実施可能であることも確認します。
    さらに、変更が生じた場合は迅速に更新できるように、柔軟性を持たせることも重要です。

    これらの手順を通じて、作成されたシナリオは効果的なシナリオテストの基盤を築く鍵となります。

    テストケースの作成

    テストケースの作成は、シナリオテストの肝となるプロセスです。

    まず、ユーザーの期待と実際の利用シナリオを把握します。

    これに基づき、具体的なテストケースを作成します。
    テストケースには、入力データ期待される結果、および実行手順が明確に記載されます。

    システム全体をカバーするようなエンドツーエンドの視点から、各機能やモジュールごとにテストケースを構築します。
    テストケースは簡潔で理解しやすく、再現性があるものにします。
    変更が生じた場合にもスムーズにアップデートできる柔軟性が求められます。
    また、テストケースはバグの特定だけでなく、ユーザビリティやパフォーマンスも考慮するべきです。

    徹底的で包括的なテストケースの作成が、システムの信頼性と品質を確保する鍵となります。

    テストの実行

    テストの実行は、シナリオテストの重要なフェーズであり、作成されたテストケースを用いてシステムの動作を検証します。

    まず、テスト実行の前に、テスト環境を整え、事前条件を確認します。

    次に、テストケースに基づいてシナリオを順次実行し、実際の結果を記録します。
    テストデータやパラメータを変更して異なる条件下での動作も確認します。
    エラーや問題が発生した場合には、それを適切にドキュメント化し、開発者に報告します。

    同時に、システムが期待通りに機能していることも確認します。
    網羅的で効果的にテストを実行するためには、テスト順序を検討し、結果を適切にログに残すことが不可欠です。

    実行フェーズでは、単体テストや結合テストなど他のテストフェーズで見逃された問題を特定することで、品質向上に貢献します。

    テスト結果の分析

    テスト結果の分析は、シナリオテストで不可欠なステップであり、テスト実行の結果を検証・評価します。

    まず、テストケースごとに実際の結果と期待される結果を比較し、不一致や異常を特定します。
    発見された問題はバグとして記録し、優先度を付けて開発者に報告します。

    同時に、問題の原因を特定し、修正に必要な情報を提供します。
    テスト結果の記録や報告は、トラッキングや後続の開発フェーズへの影響を最小限に抑えるために重要となります。

    また、テストの結果からシステムの安定性や性能に関する洞察を得ることも重要です。
    これに基づいて追加のテストや修正が行われることがあります。

    分析フェーズでは、サイクル全体での学習と改善を促進し、品質管理プロセスの一環として不断の進化を支えます

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      シナリオテストの作り方とサンプル

      ここからは、シナリオテストの作成方法と具体的なサンプルを解説します。

      効果的なテストシナリオの書き方

      効果的なテストシナリオの作成には、以下のポイントとテンプレートの活用が役立ちます。

      まず、ユーザーの期待と利用シナリオを把握し、具体的なテストケースを想定します。
      シナリオは、ユーザーが直面する様々な状況を考慮する必要があります。
      テンプレートを用いることで、一貫性があり、重要な要素を簡単にカバーすることが可能です。
      以下は、基本的なテストシナリオのテンプレートの例です。

      1. シナリオのタイトル

        明確かつ簡潔なタイトルを付け、シナリオを識別します。

      2. 目的

        このシナリオの具体的な目的を明確に定義します。

      3. 前提条件

        シナリオを実行するための前提条件や事前準備を列挙します。

      4. 手順

        具体的な実行手順をステップごとに記述します。
        入力データアクションを明確に指定します。

      5. 期待される結果

        シナリオの実行後に期待される結果や挙動を明記します。

      6. 例外ケース

        エラーや異常な挙動に対するテストケースも含め、例外ケースを検討します。

      このテンプレートを用いてシナリオを作成することで、システムの機能や品質に対する、網羅的で効果的なテストを行うことができます。

      シナリオテストの例と実践的な活用方法

      例として、オンライン予約システムのシナリオテストを考えましょう。
      シナリオは「ユーザーがホテル予約を行う」という典型的なケースに焦点を当てます。

      シナリオの例:ホテル予約

      1. シナリオのタイトル

        ホテル予約

      2. 目的

        ユーザーがシステムを使用してホテルを予約する際の機能を確認する。

      3. 前提条件

        ユーザーはシステムにログイン済みで、利用可能なホテルが登録されている。

      4. 手順

        ユーザーがホームページからホテル予約セクションにアクセスする。
        利用可能なホテルのリストが表示される。
        ユーザーが希望のホテルを選択し、日付や部屋の詳細を指定する。
        予約を確定する。

      5. 期待される結果

        正確な日付と部屋の予約がシステムに反映され、ユーザーに確認メッセージが表示される。

      6. 例外ケース

        予約ができない場合(満室、無効な日付など)にエラーメッセージが適切に表示される。

      上記シナリオを実行することで、ユーザーエクスペリエンスや予約機能の正確性を確認できます。
      各ステップでの挙動やエラーハンドリングが期待通りか確認し、システムの品質向上に寄与します。
      シナリオは継続的に更新し、新しい機能や変更に対応できるようにすることが重要です。

      このような具体的なシナリオテストは、開発サイクルの各段階で品質の確認と改善を支援し、ユーザーがシステムを効果的に利用できることを保証します。

      シナリオテストとシステムテストの違い

      シナリオテストとシステムテストの違い

      シナリオテストとシステムテストは、ソフトウェアテストの異なる側面を担当します。
      シナリオテスト特定の使用ケースに焦点を当て、ユーザー視点で機能を検証します。
      一方、システムテスト全体の機能や性能、セキュリティなどを包括的に確認します。
      シナリオテストはユーザビリティやユーザーエクスペリエンスの向上に貢献し、
      システムテストは全体的な品質や安定性の保証に重要です。

      シナリオテストの特徴と効果

      シナリオテストは、具体的な使用ケースや状況に焦点を当て、ユーザーの視点からソフトウェアやシステムの機能を検証する手法です。
      その特徴的な要素には、リアルな使用ケースの模倣ユーザビリティの検証エンドツーエンドのテストが含まれます。
      シナリオテストはユーザーが直面する実際の状況を考慮し、機能の一貫性やユーザビリティを確認することができます。
      効果としては、ユーザーエクスペリエンスの向上潜在的なバグの発見システム全体の一貫性の確保が挙げられます。
      開発者や利用者の期待に合致するソフトウェアを提供する上で、シナリオテストは不可欠な手法となっています。

      システムテストとの比較と相互作用

      シナリオテストとシステムテストは異なる側面からシステム品質を確認します。
      シナリオテストは特定の使用ケースを通じてユーザー視点で検証し、ユーザビリティやエンドツーエンドの一貫性を重視します。
      対照的に、システムテストは全体的な機能や性能、セキュリティなどを包括的に確認します。

      特徴 シナリオテスト システムテスト
      焦点 使用ケースや状況 全体的な機能や性能
      検証対象 ユーザビリティ、エンドツーエンド システム全体の正確性、安全性、パフォーマンス
      実施フェーズ 開発の中間から後半 開発サイクルの終盤
      影響 ユーザーエクスペリエンス向上、バグ発見 全体的な品質向上、重大な問題の特定

      これらのテストは相互に補完的であり、シナリオテストで発見されたユーザビリティの問題がシステムテストで修正され、
      逆にシステムテストで発見された全体的な問題がシナリオテストに影響を与えることがあります。
      そのため、継続的で統合されたアプローチが効果的です。

      ユーザーテストシナリオの作成と重要性

      ユーザーテストシナリオの作成は重要であり、システムを実際に利用するユーザーの視点から機能やユーザビリティを検証します。
      効果的なシナリオは、具体的な使用ケースを反映し、ユーザーエクスペリエンスの向上とシステムの信頼性の確保に貢献します。

      ユーザーテストシナリオの重要性

      ユーザーテストシナリオは、システムの品質向上において重要な役割を果たします。
      ユーザーが実際にシステムを利用する状況を模倣し、リアルな使用ケースに基づいたテストを行うことで、システムのユーザビリティやエクスペリエンスに焦点を当てます。
      ユーザーの期待や行動パターンに基づいたシナリオは、システムが実際の利用状況で期待通りに機能するかを確認する上で非常に有益です。
      これにより、ユーザーが直面する問題や不便さを事前に発見し、改善することが可能となります。
      ユーザーテストシナリオは、結果的に満足度向上とシステムの実用性向上に貢献し、最終的なシステム・製品の成功に繋がります。

      効果的なユーザーテストシナリオの構築

      効果的なユーザーテストシナリオの構築には、以下の手順が役立ちます。

      まず、ターゲットユーザーのプロファイルを理解し、ユーザーが期待していることや行動パターンを洞察します。

      次に、リアルな使用ケースやユーザーシナリオを抽出し、これを元に具体的なテストケースを作成します。
      シナリオは明確で分かりやすく、ユーザーが日常的に直面する状況を反映することが重要です。
      例えば、オンラインショッピングサイトのユーザーテストシナリオでは、商品検索、カートへの追加、購入手続きなどの典型的な購買フローを想定します。

      これにより、実際の利用体験に基づいたテストが可能となり、ユーザー満足度の向上とシステムの信頼性向上に貢献します。

      結合テストシナリオの役割と作成方法

      結合テストシナリオは、複数のモジュールやコンポーネントが結合して正常に動作するかを検証する役割を果たします。
      効果的なシナリオを作成するには、結合される要素の相互作用やデータの流れを理解し、エッジケースや例外状況も考慮に入れます
      具体的なテストケースは、結合された機能が動作するか確認し、データ整合性やシステム全体の安定性を確保します。
      結合テストシナリオは、システム全体の品質向上に貢献し、機能の結合に伴う潜在的な問題を早期に発見する重要な手法です。

      結合テストシナリオの基本と目的

      結合テストは、複数のソフトウェアモジュールやコンポーネントを組み合わせて動作を検証するテスト手法です。
      その目的は、個々のモジュールが単体で正常に動作するだけでなく、結合した際にも予期しない問題がないか確認することです。

      結合テストシナリオの基本は、結合対象のモジュール間でのデータのやりとりや相互作用を具体的に定義することです。
      これにより、異なる機能やコンポーネントが正常に動作し、データ整合性やシステム全体の安定性が確保されます。

      基本的なシナリオ作成は、結合される各要素の相互作用を考慮し、結合ポイントでのデータフローやエラーハンドリングも含めて網羅的に検証します。

      効果的な結合テストシナリオの作成手順

      結合テストシナリオを効果的に作成するためには、以下の手順とポイントが役立ちます。

      まず、結合されるモジュールやコンポーネントの相互作用を理解し、結合ポイントを特定します。

      次に、結合ポイントでのデータのやりとりや制御フローを考慮し、具体的なテストケースを洗い出します
      シナリオは正常な動作だけでなく、異常な条件やエラーシナリオも含めて網羅的に検証されるべきです。
      重要なポイントとして、結合ポイントでのデータ整合性や相互作用の正確性を確認することが挙げられます。
      また、異なる結合ポイントやモジュールの組み合わせによるテストも行うことで、統合的な動作を確認します。

      最後に、テストケースを明確かつ再利用可能な形でドキュメント化し、効果的な結合テストを実現します。

      シナリオテストの注意点

      シナリオテストの成功には明確な目的とリアリティが必要です。
      注意すべき点は、ユーザー視点のリアルな状況を反映し、変更への柔軟性を確保することです。

      シナリオの粒度を適切にする

      シナリオの粒度を適切に保つことが成功するシナリオテストの鍵です。

      シナリオが大きすぎると複雑さが増し、特定の問題を特定しにくくなります
      逆に細かすぎても全体像が見えず、網羅性が損なわれます

      適切な粒度とは、具体的なユーザーアクションや機能を明示することです。
      それにより、バグの特定と修正の効率を向上させます。

      バランスを取りつつ、実際の使用シナリオに基づいたテストを行うことが重要です。

      想定外の操作も含める

      シナリオテストの成功には、想定外の操作も含む柔軟性が重要です。
      ユーザーが予測できない行動や異常な操作に対処することで、実際の使用状況により近い状況を模倣できます。
      これにより、システムが予期せぬ状況においても正常に機能するかどうかを確認し、堅牢性を確保します。

      優先度をつけてテストする

      シナリオテストで優先度をつけることは効果的です。
      重要な機能ユーザーシナリオに高い優先度を付け、基本的な機能からテストを開始します。
      これにより、主要な機能が正常に動作することが確認され、システムの基盤が安定します
      その後、優先度を下げた機能やケースに移行し、全体的なテストカバレッジを向上させます。

      テスト結果を分析する

      テスト結果の分析はシナリオテストの不可欠な要素です。
      明確な基準に基づき、期待通りの結果との比較を行います。
      発見されたバグや問題点は詳細に文書化し、開発者へ報告します。
      また、テスト結果をもとに品質を向上させる策や追加のテスト項目を検討し、サイクル全体での学習と改善を促進します。

      シナリオテストのまとめ:シナリオテストでユーザーエクスペリエンスを向上

      シナリオテストは、ソフトウェアやシステムの品質を確認する手法です。
      リアルな使用ケースを通じてシステムを検証し、ユーザーが直面する状況を模倣します。

      この記事では、シナリオテストの基本、効果的な作成手順、注意点を紹介しました。
      ユーザーエクスペリエンスを最大化し、品質を確保するためには、シナリオテストを効果的に実施しましょう。

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