Linux(リナックス)は、アプリケーションを動かすために必要なOSの一つですが、詳しいことを知らない人は多いでしょう。
Linux(リナックス)にはどんな特徴があり、メリットやデメリットは何か知っておくことは導入する上で重要です。
そこで今回は、Linux(リナックス)について徹底解説していきます。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
アプリ・システム開発は生成AIを活用することで、従来の開発ではあり得なかった、低コスト・高品質開発・スピード開発が同時に実現できます。
▼従来の開発とAIを使った開発の違い
システムソリューションを得意とし、新規事業からDX推進まで幅広いジャンルの開発実績があります。
Linux(リナックス)とは?基礎知識
Linuxは、コンピューターオペレーティングシステムの一種です。1991年、ヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズが個人的なプロジェクトとして始めたものでした。オペレーティングシステムとはコンピューターの「脳」のようなもので、ハードウェア(コンピューターの部品)とソフトウェア(アプリケーションやデータ)のやり取りを管理します。
以下、詳しく説明していきます。
初心者が知っておきたいLinux(リナックス)用語
Linuxに慣れていない初心者の方に向けて、重要な用語を簡単に解説します。
カーネル
カーネルはLinuxオペレーティングシステムの中核部分で、ハードウェアとソフトウェアの通信を担当します。カーネルはコンピューターのリソースを管理し、プログラムがハードウェアにアクセスできるようにします。ユーザーは通常、カーネルに直接アクセスすることはありませんが、カーネルはLinuxの安定性と性能に重要な影響を与えます。
シェル
シェルはユーザーがLinuxコマンドを入力し、プログラムを実行するためのインターフェースです。シェルはテキストベースでコマンドを受け付けて実行し、その結果を表示します。例えば、”ls”コマンドを入力すると、ファイルとディレクトリのリストが表示されます。シェルはLinuxの操作を制御するための重要なツールです。
コマンド
コマンドは、シェルで使用する指示または命令です。コマンドはLinuxシステム上でさまざまなタスクを実行するために使用されます。例えば、”mkdir”コマンドは新しいディレクトリを作成し、”cp”コマンドはファイルをコピーします。初心者は基本的なコマンドを学び、シェルを操作する方法を理解することが大切です。
パッケージ
パッケージは、Linuxでソフトウェアを管理するための方法です。パッケージはアプリケーションやライブラリなどのソフトウェアコンポーネントをまとめ、インストール、アップグレード、および削除を簡単に行えるようにします。異なるディストリビューションには異なるパッケージ管理システムがありますが、例えば”apt”や”yum”は一般的なパッケージ管理ツールです。
ディストリビューション
Linuxにはさまざまなディストリビューション(異なるバージョンやバリエーション)が存在します。これらのディストリビューションは異なるニーズに合わせてカスタマイズされており、利用者は最適なものを選ぶことができます。例えばUbuntuはデスクトップ向けに優れたディストリビューションであり、CentOSはサーバー向けに強力な選択肢です。ユーザーは自分の要件に合わせてLinuxディストリビューションを選ぶことができ、柔軟性が高いのもLinuxの魅力の一つです。
リポジトリ
リポジトリとは、様々なパッケージを配布している場所のことです。Linuxはオープンソースのため、リポジトリも世界中にたくさん存在します。パッケージをダウンロードしたり、使用したりするには別の操作が必要となります。
yum-config-managerのコマンドを使用することで、リポジトリを管理することができます。
スーパーユーザー
Linuxサーバにおける特権ユーザのことです。root権限(管理者権限)と呼ぶこともあります。一般ユーザがsudoコマンドを使用して特権ユーザとしてコンテンツを管理することも可能です。
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Linux(リナックス)の特徴やメリット
Linuxのメリットについて詳しく解説していきます。
オープンソース
Linuxの特別な点は、オープンソースであることです。これは誰でもLinuxのソースコード(プログラムの元データ)を見たり変更したりできることを意味します。つまり誰もがLinuxを改良できるため、多くの人々が共同でLinuxをより良くしています。オープンソースのメリットは多く、以下で詳しく説明します。
無料で導入できる
Linuxはオープンソースであるため、企業や個人がライセンス料を支払う必要がありません。これによりコストパフォーマンスが非常に高く、予算に制約のあるプロジェクトや新興企業にとっても魅力的です。
安全性が高い
世界中のサーバーやスマートフォン、スマートテレビなど、多くのデバイスで使用されています。そのため安定性が高く、セキュリティも強力です。
何千ものエキスパートがソースコードを検査し脆弱性を見つけて修正することができるため、より安全に運用することができます。
カスタマイズ性が高い
Linuxは強力なサーバーオペレーティングシステムとしても知られています。企業やウェブホスティングプロバイダーはLinuxを使用してウェブサーバーを構築し、カスタマイズできます。これにより性能やセキュリティを最適化できます。例えば、世界中で使用されているウェブサイトの多くはLinuxをベースにしています。
Linuxが備える高いカスタマイズ性は、サーバーの運用において非常に重要です。企業は自分たちのニーズに合わせてLinuxを調整することができ、パフォーマンスを向上させてセキュリティを強化できます。またLinuxには多くのオープンソースソフトウェアが利用可能で、これによりさまざまな機能やサービスをサーバーに統合することができます。
カスタマイズ性が高いのもオープンソースであるLinuxのメリットです。ユーザーはLinuxを自分のニーズに合わせて調整でき、新しい機能を追加したり不要な部分を取り除いたりできます。
低スペックの環境でも利用できる
Linuxはリソース効率が高く、低スペックのコンピューターや古いハードウェアでもスムーズに動作します。これは古いコンピューターをリサイクルして新たな目的に使う場合や、リソースに制約のある環境で利用する際に大きなメリットとなります。
古いラップトップやデスクトップコンピューターが不要になった場合、Linuxを導入することでこれらのデバイスを再利用することができます。一般的なLinuxディストリビューションは、比較的低いハードウェア要件で動作します。古いコンピューターにLinuxをインストールすれば、それをホームサーバーやメディアセンター、プログラム開発環境、または教育用コンピューターとして再利用することもできてしまうのです。
またリソースに制約のある環境で利用する場合、Linuxは高い効率性を持つため、ハードウェア資源を最大限に活用することができます。
Linuxがサーバーで使用されると、ウェブサイトやアプリケーションの安定性が確保されダウンタイム(サービス停止)が少なくなります。これによって、ユーザーエクスペリエンス(UX)を向上させるので、ビジネスにとって重要な要素です。
コミュニティが活発
オープンソースはコミュニティの協力によって成り立っています。開発者やユーザーが情報を共有し、問題を解決することでLinuxは進化し続けています。
Linuxのコミュニティも大規模で、情報を共有し問題を共に解決する文化が根付いています。この協力体制によってLinuxは進化し続けることができ、新しい技術に対応できます。これらの要因がLinuxの重要性を高めています。
Linuxの開発者コミュニティは非常に活発で、質問に答えてくれる仲間がたくさんいます。そのため、初心者でも手軽にプログラミングを学び、プロジェクトを始めることができます。
Linux(リナックス)で何ができる?できることや使い道
サーバーの運用
Linuxはサーバーとして多くの企業で活用されています。オープンソースでセキュリティが強く、安全に運用できます。
Linuxでは必要な分だけサーバーを構築できるため、コストを抑えながらサーバーを増設することもできます。
Web開発
Linuxで利用できるプログラミング言語はC言語、Python、Javaなどがあり、開発者はこれらの言語を使用して、ウェブアプリケーション、モバイルアプリなど、さまざまな種類のアプリケーションを作成できます。
さらに、Linuxには統合開発環境(IDE)やコンパイラなどのツールが多数用意されており、これらを使ってコードの作成やデバッグ、テストを行うことができます。
デスクトップ コンピューティング
LinuxはDTP(DeskTop Publishing)環境、DTM(DeskTop Music)環境としても活用できます。
Gimp、Inkscape、LibreOfficeといった無償ツールを使って、写真やポスターの加工、2Dアニメーションの作成が可能です。
UbuntuStudioでは、様々な音楽系のアプリケーションを利用して、音楽を作成・編集することができます。
ゲーミング
Linuxはゲーム機としても利用できます。近年では、macOSを抜いてゲーム用として2番目に多く使われるOSとなりました。
SteamOSというLinuxのOSがありますが、Steamというゲームのダウンローダーを活用するために開発されました。
また、PlayStationなどの家庭用ゲーム機にLinuxをインストールすることもできます。PlayStaion4のOSはFreeBSDというUnix系OSをベースにしており、将来的にゲーム機としてLinuxを利用することも増えるかもしれません。
プログラミング
C言語、Python、Javaなど、Linuxで利用できるプログラミング言語は多く、開発環境としても活用できます。
コンピュータ言語を深く理解するのにも、WindowsよりLinuxの環境の方が向いています。LinuxならAndroid用アプリケーションなどが開発できるため、開発目的でLinuxを選ぶのもおすすめです。
教育
Linuxはソースコードが公開されています。ソースコードを参照して個人で編集するなど、学習用OSとしても活用できます。
Linuxを採用する企業も多いため、触れておくとスキルアップにもつながるでしょう。
Linux(リナックス)が必要ないと言われる理由
Linuxには多数のメリットがありますが、WindowsやMacOSのように浸透せず、必要ないとすら言われることがあります。Linuxが必要ないと言われる理由について解説します。
他のOSと比較して使い慣れない
Linuxはオープンソースソフトウェア(OSS)であり、誰でもソースコードを変更できます。
そのため一般的な商用オペレーティングシステムとは異なり、メーカーによる保証やサポートが限定的です。これは企業が特定の問題に対して責任を負わないため、サポートが必要な場合にはサードパーティベンダーを利用する必要があることを意味します。
必要なソフトウエアが利用できない
Linuxは非常に多くのディストリビューションが存在しますが、特定のソフトウェアやハードウェアとの互換性に制約が生じることがあります。
特にデスクトップ環境で特定のソフトウェアアプリケーションを必要とする場合、そのアプリケーションがLinux向けに提供されていないことが多いです。
例えば一部の専門的なデザインソフトウェアやゲームはWindows向けに開発され、Linux上で直接実行することが難しいでしょう。また特定の企業や機関は固有のソフトウェアをWindowsやmacOS向けに提供しており、Linuxには対応していないこともあります。
ハードウェアとの互換性がない
Linuxは幅広いハードウェアに対応していますが、一部の周辺機器やプリンターなどが正常に動作しない可能性があります。
これはハードウェアメーカーがLinux向けのドライバーやサポートを提供していない場合に発生します。そのため、新しいハードウェアを導入する前にLinuxの互換性を確認することが重要です。
周辺が使っていない
Linuxのデスクトップシェアは3%ほどと言われており、WindowsやMacOSのように周囲で使っている人が少ないです。そのため、何か不明点があっても周りに聞きにくいことがデメリットです。
Linuxを試してみたい人は、日本語環境が整っている「Ubuntu」や「Linux Mint」などで触れてみるのがおすすめです。
Linux(リナックス)の導入事例
普及率が低いとはいえ、Linuxを導入している企業は多くあります。ここからは、実際の導入事例を紹介するので、自社に導入を検討する際の参考にしてください。
株式会社日本政策金融公庫
株式会社日本政策金融公庫では、国民事業、農林事業、中小事業それぞれの基幹システムを、Linuxを軸にオープン化と仮想化技術を適用したプライベートクラウド環境に統合しました。
統合することで、事業本部ごとに整備していたシステム運用管理体制を一本化できるようになり、システム全体の維持コストを削減することが可能になります。
JBSテクノロジー株式会社
JBSテクノロジー株式会社は、VMwareとHyper-Vを中心に、大規模から中小規模の、多種多様なシステム構築で実績をあげてきました。
クライアントで増加しつつある仮想化環境の構築に対して、Linuxサーバーとデスクトップオペレーティングシステムを幅広くサポートしていて今後需要が高まると予想されるRed Hat Enterprise Virtualizationのノウハウの獲得を開始し、Linuxに通じる社員の育成にも注力しています。
日鉄ソリューションズ株式会社
日鉄ソリューションズ株式会社は、既存事業で培ったソリューションと長期 10 年保証のサーバー製品「HAGANE」を用いて実績をあげてきました。
企業に展開する新しいソリューションを開発しており、通信最適化・高速データ伝送ソリューションにおいてLinuxを採用しました。
Linux(リナックス)を企業に導入する際の課題点・注意点
Linuxには素晴らしいメリットがありますが、企業に導入する際は注意しておくべき点があります。以下、詳しく解説していきます。
導入コスト
Linux自体は無料で利用できるOSですが、メーカーのサポートを受けられないケースもあります。
そのため、別途サポートサービスの契約が必要な場合がありコストがかかります。特にエンタープライズ向けディストリビューションでは、ベンダーのサポート契約は高額になる可能性があります。
また、Linuxの運用には特有の知識とスキルが求められます。専門的なスキルを持つ人材の確保・育成に人件費がかかる可能性があります。
サポート体制
Linuxがオープンソースであるがゆえに、トラブルが発生してもメーカーのサポートを受けられない可能性があります。
企業へ導入する際には、サードパーティのサービスを利用したり、社内のサポート体制を整えたりする必要があります。
セキュリティ対策
LinuxはWindowsなどと比べてシェアが少なく、Linux向けのマルウェアが開発されない、またマルウェアがroot権限を取得できないためセキュリティ対策は不要と言われていました。
Webサーバーに個人情報などの機密情報を保管しているケースが多く、近年ではLinux向けのマルウェアが増加しているため、OSやインストールしたソフトウェアを最新版にアップデートしておくなど、セキュリティ対策が必要です。
人材確保
Linuxの導入からサポート、運用には規模に応じた人材を確保する必要があります。
導入から運用まで行うサードパーティも多くあるため、専門家のサービス利用も検討しましょう。
社内ルールの整備
Linuxを企業に導入する際には、社内の運用ルールを整備する必要があります。
root権限と一般ユーザー権限の取り扱い、監視体制、非常時の対応、ライセンスの管理方法、ソフトウェアのインストールポリシーなど、運用を始めるための事前準備は抜かりなく行いましょう。
長期的な運用を考慮したリスク
日本国内でも人気のディストリビューションだったCentOS 7が2024年6月にサポート終了すると発表されています。
Linuxには様々なディストリビューションがありますが、企業に導入する際には、サポート期間も考慮しなければなりません。利用中のディストリビューションのサポートが終了するとなれば、移行先を検討する必要も出てきます。
まとめ:Linux(リナックス)の開発は専門業者に依頼
LinuxはITインフラやシステム開発の世界で重要な役割を果たしています。シンプルさと柔軟性、セキュリティの面で評価されており、多くの企業が採用しています。Linuxの魅力を探求し、プロジェクトに貢献したり、新しいスキルを習得したりすることができます。
株式会社JiteraはLinuxに関する相談やプロジェクトの支援に専門的な知識と経験を持っています。我々はLinuxの世界に精通し、あなたのアイデアやビジョンを形にするお手伝いをします。Linuxの開発に関心がある場合、お気軽にお問い合わせください。