Rubyとは?プログラミング言語としての特徴やできること、アプリの例などを解説

「Rubyでのプログラミングに興味があるけど、なんとなくハードルが高く感じる」「プログラミング言語Rubyの概要が掴みづらい」

そう思っていませんか?Rubyは多くのニーズがあるWebアプリ開発を得意としており、シンプルで学習しやすいプログラミング言語です。また、Ruby on Railsという強力なフレームワークもあり、実務を通じた学習が可能なためキャリア形成にも有用な言語です。

この記事では、Rubyの基礎知識から得意な分野、開発事例までを解説しています。ぜひRubyの魅力に触れてみてください。

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監修者 米谷

国立の情報系大学院で情報工学、主にUI/UXを学んだあと、NTT子会社に勤務。 退社後はフリーランスとして、中小規模事業者様のIT化、業務自動化を支援しています。 DX推進の提案やPythonなどを用いた専用RPAツール開発のほか、市営動物園の周年企画などにもITエンジニアとして参画させていただきました。

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    Ruby(ルビー)とは?

    Rubyは日本人のまつもとゆきひろ氏によって開発されたプログラミング言語です。

    1990年代後半から開発が始まり、今では世界中で利用されている言語となっています。
    世界中で愛されるプログラミング言語ですが、日本人が開発したこともあり非常に日本語フレンドリーなヘルプやガイドが用意されています。

    そんなRubyについて、まずは基礎知識を解説します。

    Ruby(ルビー)の基礎

    Rubyは、シンプルで直感的なプログラミングができる言語、という大きな特徴を持つプログラミング言語です。
    自然に読み書きできるコードを書くことができ、迅速なWebアプリケーション開発に向いている点に魅力があります。

    ※例えば「Hello World」プラグラムは下記のようなシンプルなコードになります

    puts “Hello World”

    Rubyはオブジェクト指向のスクリプト言語で、すべてのデータがオブジェクトとして表現されます。
    変数やデータ構造だけでなく、関数やモジュールといった構成要素もすべてオブジェクトであるため、一貫してオブジェクト指向という設計思想に統一することが可能です。

    また、

    • ガベージコレクションによってメモリの管理が半自動
    • 動的タイピング
    • 状況に合わせた多様な繰り返し処理手段
    • 豊富な標準ライブラリ
    • 高い拡張性

    など、特にWebアプリケーション開発の生産性を大きく高める機能が揃っているため、初心者にも非常に扱いやすい言語となっています。
    また、人気の「アジャイル開発」とも非常に親和性が高く、スピーディなWebサービス開発が可能です。

    開発環境も、WindowsやMac、LinuxなどさまざまなOSで開発できます。

    Rubyのインストールには、rbenvやRVMといったパッケージマネージャを利用すると便利です。
    ※例えば、rbenvを使うと次のようなコマンドで簡単に最新バージョンのRubyをインストールできます。(x.x.xはバージョン名)

    $ rbenv install x.x.x

    パッケージマネージャを使うことで、複数のRubyバージョンをスムーズに切り替えて開発できるため、スムーズに開発やRubyの学習を進めることができます。

    Rubyは動的型付け言語で、変数やメソッドの型を明示的に宣言する必要がありません。型が異なるデータを同じ変数に代入することもできます。これにより、柔軟なコーディングが可能になります。

    また、RubyにはGemと呼ばれる類似機能のメソッドをまとめたモジュールが用意されています。
    Gemによって文字列操作や配列操作などの一般的なタスクは簡単に記述でき、開発者の生産性が飛躍的に向上します。
    また、自然に読み書きできるシンプルな文法が採用されており、JavaやC++と比べるとコード量が少なくて済みます。

    Rubyではオブジェクト指向プログラミングが基本となっていますが、関数型プログラミングも柔軟に行えるなど、さまざまなスタイルでの開発が可能です。

    Ruby(ルビー)の歴史

    Rubyはまつもとゆきひろ氏によって1993年ごろから開発が始まりました。
    「プログラマの生産性向上」を目的とした設計思想が大切にされており、自然で読みやすいコードを書くことを重視しています。

    当初は個人的な研究としてスタートしましたが、1990年代半ばから本格的かつ実用的なプログラミング言語として設計が進みます。
    Perlよりも洗練されたオブジェクト指向スクリプト言語を目指し、1996年12月には初期のRubyインタープリタが公開されました。

    1997年2月には本格的なクラスライブラリが追加され、徐々に機能が拡張されていきます。
    2000年代に入るとRubyの認知度が高まり、企業での利用も徐々に増えていき、2006年のRuby on Rails登場によって、一気に世界的に注目を集めるプログラミング言語となりました。

    その後も多くのプログラマから支持される言語を目指し、定期的にフィードバックを得て、様々な拡張や改良が重ねられています。
    現在では定番のプログラミング言語の1つとして定着しており、今後もWebシステム開発を中心に活用されることでしょう。

    Ruby(ルビー)の将来性

    Rubyは安定して利用が広がっており、コミュニティの支えもあるため、当面は安定した地位を保っている言語です。Ruby on Railsに代表されるウェブアプリケーション分野での強みもあり、今後もウェブシステム開発の中心的存在として発展していくことが期待されます。

    Rubyはシンプルで柔軟な文法設計が開発者から高く評価されており、生産性の高い言語として根強い支持があります。また、Ruby on Railsをはじめとする実用的なフレームワーク群が充実しているのも強みです。

    一方で、Pythonなどの台頭もあり、世界的にはPythonに次ぐ位置付けとなっています。しかし、Rubyのシンプルさと生産性は変わらず魅力的で、Railsも高い開発スピードを誇っています。

    アジャイル開発手法が主流となる中、要件変更への対応力が求められており、Rubyはその点で優位性があります。グローバルでのシェアこそ下がっていますが、堅調に使われ続ける言語です。

    コミュニティの盛んな活動も続いており、新たなフレームワークなども登場しています。今後はAIやデータサイエンス分野など、新しい応用先でも活躍が期待されます。

    Ruby(ルビー)と他のプログラミング言語の違い

    Ruby(ルビー)とPythonの違い

    RubyとPythonはともにどちらもWeb開発に適した人気の高いスクリプト言語ですが、それぞれ異なる設計思想や文法を持っています。

    特徴 Ruby Python
    開発者について 日本人が開発した言語で、日本語の解説が豊富 オランダ人開発者が、学習しやすく明確で論理的なコードを目指して開発
    記法の特徴 シンプルで自然な記法 簡潔さが重視される
    オブジェクト指向 完全なオブジェクト指向言語を重視 オブジェクト指向を取り入れたマルチパラダイム
    静的型付け機能 静的型付け機能も強化されているが、基本は動的型付け 最初から静的型付け機能を持つ
    主要なWebフレームワーク Ruby on Rails DjangoやFlaskなど

    RubyもPythonも、シンプルかつわかりやすく、Webシステムをスピード開発するのに向いている言語です。

    Pythonについては、別の記事でより深堀りをしているため合わせてご参照ください。

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    Ruby(ルビー)とRuby on Rails

    Ruby on RailsはRubyのフレームワークであり、Webアプリケーションを効率的に開発するためのオープンソースツールです。

    Webアプリ開発に特化することで、より開発や保守を簡単に行えるように設計されています。

    特徴 Ruby Ruby on Rails
    種類 Ruby開発のためのプログラミング言語 Rubyを使ったWebアプリを開発するためのフレームワーク
    開発対象 汎用的なプログラミング Webアプリケーションに特化
    開発モデル 案件に合わせたプログラミング手法を自由に選択 MVCモデルに特化
    開発効率 高い柔軟性と自由度を持つ 非常に高速なWebシステム開発が可能
    コミュニティの活性度 活発なコミュニティは存在するが、Ruby on Railsほどの活気はない 非常に活発なコミュニティと情報交換の場が整っており、ヘルプや解説サイトの体制も充実

    Ruby on Railsの主な特徴は以下の通りです。

    MVCモデルによる開発

    Ruby on RailsはMVC(Model-View-Controller)モデルを採用しており、データ処理、表示、入力制御を分離して開発できます。

    各部が分離していることで、チームでの開発分担やアプリの管理が容易になり、保守性が向上します。

    高い生産性

    Ruby on Railsはプログラミングの手間を大幅に減らす便利な機能が豊富に用意されています。

    例えば、CRUD操作やユーザー認証などのWebアプリに定番のシステムを自動生成し、開発者がビジネスロジックに集中できるようにしています。

    活発なコミュニティ

    Ruby on Railsには世界中で活発に活動するコミュニティがあり、多くのイベントやカンファレンスが開催され、相互開発支援体制が確立されています。

    また、GitHub上で新しいシステムや技術の開発が積極的に行われており、誰もが開発プロセスへの参加や技術利用ができる環境が整っています。

    Ruby on Railsについては、別の記事でより深く取り扱っていますのでぜひご参照ください。

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    Ruby(ルビー)とC言語の違い

    RubyとC言語は、それぞれ得意分野が異なるプログラミング言語です。

    両方ともに多くのメリット・デメリットを持ちますが、例えば以下のような違いがあります。

    特徴 Ruby C言語
    言語タイプ インタプリタ型言語 コンパイラ型言語
    記法の特徴 シンプルな文法で簡潔かつ初心者でも読みやすい 厳密な記述を必要とし複雑ではあるが、高度な制御が可能
    パラダイム オブジェクト指向 手続き型言語
    メモリ管理 ガベージコレクターによる自動管理 プログラマーが明示的にメモリ管理を行う
    生産性とパフォーマンス 高い生産性をもち、スピード開発が可能だが、実行速度は遅い 開発にコストがかかるが、実行速度は速い
    最も得意な用途 Webアプリ 組み込みや基幹システム
    コミュニティとサポート 日本語にフレンドリーかつ親切なコミュニティが存在し、初心者向け 長年に渡る様々な知識の蓄積がある一方で、専門的すぎるため初心者には分かりづらい

    Rubyは扱いやすく初心者向け

    Rubyは初心者向けで扱いやすいことが魅力ですが、処理速度が遅いです。
    例えば、初心者がつまづきやすいメモリ管理は自動で行われ、日本人にも読みやすくシンプルな記法でプログラムが記述できます。
    また、オブジェクト指向を採用しており、定番の処理は豊富なライブラリに任せるだけで実装することができます。ただし扱いやすい反面、実行速度は遅いですし、ある程度のハードウェア性能が必要になります。
    また、メモリを厳密に管理したいような案件にも適しません。

    C言語は厳密なプログラミングが可能

    C言語は厳密な制御とメモリ管理が可能ですが、少々習得のハードルが高い言語です。
    厳密に記述する必要があるため実装効率が悪く、規模が大きくなると管理も大変になり、メモリも手動で厳密に管理するため、ある程度の専門技術が必要になります
    プログラミング初心者は、そのハードルの高さに苦手意識を覚えるかもしれません。
    しかし自由にリソース管理ができるので、ハードウェアに制限がある案件でも工夫次第で多くの機能を実装でき、実行速度も速いです。
    例えば、組み込みのような「リソースが限られており細かなOS制御が必要な場合」などはC言語を採用します。

    プログラミング言語はそれぞれ得意不得意があるため、用途や利用者の理解度に合わせた言語選択を行いましょう。

    より詳しくC言語について知りたい方は、別の記事でより深く解説しているので合わせてご参照ください。

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    Ruby(ルビー)の特徴やメリット

    Rubyの特徴・メリット

    ここでは、Rubyの特徴とメリットについて見ていきましょう。Rubyを学ぶことで得られる魅力を知ることができます。

    メリット 内容
    シンプルで自然な記法 ・読み書きしやすいコードが書ける
    ・プログラミング初心者でも扱いやすい
    生産性と開発スピードが高い ・簡潔なコードで実装が可能
    ・アジャイル開発に適している
    OJTによるスキルアップが可能 ・実務を通じてRubyを学ぶことができる
    ・コードレビュー等で技術向上できる
    豊富なライブラリ・フレームワーク ・Ruby on Railsをはじめ多くの選択肢がある
    ・用途に合わせて活用できる

    シンプルで自然な記法

    Rubyのコードは、JavaやC++と比べると、はるかに読み書きしやすいコードを書けるのが特徴です。
    複雑な記法を覚える必要があまりなく、プログラミング初心者でも扱いやすい言語といえます。

    例えば、変数定義に型指定が不要な点が挙げられます。
    「x = 10」のようにシンプルに変数を定義でき、メソッド定義も「def メソッド名」のように処理内容を自然に書くことができます。

    インデントに基づくブロック構文もRubyの特徴です。
    処理のまとまりをインデントで表現できるため、初心者でも自然と読みやすいコードを書くことができます。

    その他にも、文字列処理など基本的なタスクを直感的に使えるメソッドが用意されています。
    例えば「文字列.reverse」のように、メソッド名だけで目的が明確になるのが魅力的です。

    Rubyには日本人にも馴染みやすい非常に自然かつシンプルなコードを書くことができる、初心者フレンドリーな言語と言えるでしょう。

    生産性・開発スピードが高い

    Rubyは生産性の高さが大きな魅力の1つです。

    簡潔なコードで動作を実現できるため、他の言語と比べて開発スピードが速い特徴があります。
    短時間でアプリケーションを作成できるため、アイデアを形にするスピードが速くなります。

    また、動的型付けも相まってコード量が少なくて済むため、同じ機能を実装するのにかかる工数が圧倒的に少なく生産性が高い点も魅力的です

    例えば、Railsを使えばデータベース接続やViewテンプレートなどの基本的な機能が簡単に利用できるため、具体的なアプリ機能の実装に集中することができます。

    アジャイル開発手法との相性も良く、要件変更に柔軟に対応できます。
    特徴を生かしたTDD(テスト駆動開発)も実装しやすいため、現代の開発スタイルに合った言語といえます。

    実際、クックパッドやソフトバンクなどのサービスでRuby on Railsが採用され、機能改善のスピード感が高く評価されています。
    開発者の思考を直接的にコードに表現できるRubyは、アイデアをスピーディーに現実のサービスに落とし込むのに適しています。

    On the Job Trainingが可能な言語

    Rubyは実務を通じて学びながら開発できる言語です。
    Rubyはプログラミングの基礎的な概念さえ押さえれば、実際の開発作業を通じて実務スキルを習得できます。
    そのため基本をオンライン講義などで学んだ後は、アプリケーション開発を通じてより実践的なスキルを習得でき、仕事と学習を両立させながらキャリア形成を図ることが可能です。

    例えば、RubyやRailsの基本的な文法を学習した後は、簡単なCRUDアプリの開発にチャレンジしてみてもよいでしょう。開発を通じて、フレームワークの使い方やデバッグ方法などを習得できます。
    どんなプログラミング言語にも言えることですが、スキルは実際にコードを書くことで身につけるものです。
    その点で日本語サポートも充実しており、On the Job TrainingがやりやすいRubyは初心者にも入りやすい言語と言えるでしょう。

    また、会社側がコードレビューやペアプログラミングを取り入れることで、チームでスキルアップを図るOJTもやりやすくなります。Rubyの柔軟さは、スキル習得型の人材育成にも適しています。

    豊富なフレームワーク

    RubyにはRuby on RailsやSinatraなど、開発を支援するさまざまなフレームワークがあり、これらを使うことでより速く、効率的にアプリケーション開発を進めることができます。

    中でもRuby on Railsは現在最もメジャーなWebアプリケーションフレームワークです。
    データベース接続やテンプレートエンジンなどの基盤を簡単に構築でき、MVCモデルに基づいた迅速な開発が可能です。

    PadrinoやLotusなどのフルスタックフレームワークも存在し、Rails以外の選択肢も豊富です。
    例えばMicroframeworkのSinatraは、小規模なアプリケーション開発に適しています。

    機械学習やデータサイエンス分野でも、RubyからTensorFlowやOpenCVなどのライブラリを活用できるため、Rubyが使えるようになれば対応できるアプリケーション範囲がかなり広がります。

    様々な目的や規模に合わせてフレームワークを選択し、多くのニーズに対応できる点もRubyの大きな魅力の1つといえます。

    Ruby(ルビー)の用途やできること

    Rubyはウェブアプリケーションをはじめ、さまざまなソフトウェア開発に幅広く使用することができます。

    代表的な用途をいくつか紹介します。

    Webアプリケーション開発

    Ruby on Railsを使うことで、動的なWebアプリケーションを高速に開発できます。CookpadやSPEAK、freeeなどのサービスがRailsで提供されています。 RubyはWebサービス開発において強力な武器となります。

    RailsではMVCフレームワークを利用して、アジャイル開発が可能です。データベース連携やViewテンプレート、認証機能などの基盤を簡単に構築できるため、短期間でサービスインできます。

    掲示板やSNS、ECサイト、在庫管理システムなど、サービス次第で様々なWebアプリケーションを Ruby+Railsで開発できます。クラウド上に簡単にデプロイすることも可能です。

    たとえば、Cookpadはレシピ投稿SNSをRailsで構築しています。機能改善のスピードが速く、サービスが拡大しています。フリマアプリのメルカリもサーバーサイドはRailsを利用している例です。

    このように、Railsはアイデアを素早くサービスに落とし込むのに向いています。WebサービスにおけるRubyの優位性が発揮される領域といえます。

    データ分析

    Rubyではデータ分析を行うことも可能です。
    Rubyにはデータ処理用のライブラリやフレームワークが多数用意されており、それらを活用することで、データの取得、加工、分析を効率的に行い高度なデータ分析を行うことができます。

    例えば、RubyのCSVやJSONライブラリを使用してデータの読み込みや書き出しを行い、Daruを始めとした統計解析や可視化を行うためのフレームワークを組み合わせることで、データ分析をスムーズに進めることができます。

    近年はPythonを使ったデータ分析需要が大きく伸び、Rubyのデータ分析フレームワークはあまり活発には開発されていません。
    ですが、Ruby on Railsとの併用などRubyによるデータ分析にも独自のメリットがあります。

    機械学習

    RubyではTensorFlowやOpenCVなどの機械学習ライブラリを利用できます。AIアシスタントなどの実装も可能で、最先端分野でもRubyが使われています。

    例えば、TensorFlowが提供するニューラルネットワークの学習機能をRubyから呼び出すことができます。Rubyで前処理やデータ加工を行い、TensorFlowでモデル学習させる、ということが可能です。

    画像認識を行うOpenCVもRubyのラッパーライブラリが存在します。機械学習分野においてはPythonを中心とした開発環境やライブラリが主流ですが、Rubyでも同様のことが実現できます。

    Chatbotなどの対話型AIアシスタントもRubyで構築できます。Railsを使ってアシスタントの本体を作成し、TensorFlowで分類器や言語モデルを学習させることができるでしょう。

    ただ、同系統のプログラミング言語であるPythonのほうがより機械学習に向いています。
    Rubyでの機械学習はPython開発と比較検討し、日本語サポートの充実度やRuby on Railsの存在を加味して利点があると判断した場合でのみ採用することをおすすめします。

    プロトタイピング

    Rubyは柔軟かつシンプルで直感的な文法を持つため、プロトタイピングにも適しています。

    簡潔なコードでアイデアを素早く試すことができ、特にRuby on Railsフレームワークを使用することで、Webアプリケーションのプロトタイプを短期間で作成することができます。

    プロトタイプを作成し、フィードバックを得ることで、製品開発の方向性を早期に検討することができます。

    製品の方向性を決めるうえで、プロトタイピングは非常に重要な工程です。
    プロトタイピングについては詳しい話を別の記事に纏めていますのでぜひ合わせてご参照ください。

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    スクリプティング

    システム管理の自動化スクリプトやバッチ処理などをRubyで作成することもできます。簡単なスクリプトから大規模システムまで、用途はさまざまです。

    例えば、サーバのログを解析して異常を検知するアラートスクリプトや、CSVファイルを読み込んでデータベースにインポートするスクリプトなどが考えられます。

    Rubyは柔軟な文法のため、正規表現の利用など、テキスト処理に向いたスクリプティングが得意です。簡単なスクリプトなら数行で実装可能です。

    大規模システムの場合はRuby on Railsをバックエンドとして利用することもできます。RailsでAPIサーバを構築し、そこから別のスクリプトで処理を制御する、といったアーキテクチャがとれます。

    このように、Rubyは小規模から大規模まで、用途に合わせて柔軟にスクリプティングできるのが強みです。サーバ管理などに効果を発揮します。

    Ruby(ルビー)を使ったサービスやアプリの開発事例

    ここでは、実際にRubyが使われている有名なサービスや製品を紹介します。Rubyの実践的な活用事例を知ることができます。

    Cookpad

    Cookpad

    Cookpadは、日本最大級のレシピ共有サービスです。3000万人以上のユーザーに利用されています。サイトの開発はRuby on Railsを使って行われています。Railsによる迅速な開発力が、サービスの成長を支えていると言えます。

    Shopify

    Shopify

    Shopifyは、カナダを拠点とするECプラットフォームです。30万を超えるお店で採用されています。柔軟なカスタマイズが可能で、Ruby on Railsの採用が注目されています。開発者の生産性を高めるRailsは、ショップ機能の拡充に活用されています。

    Airbnb

    Airbnb
    Airbnbは、個人の部屋を旅行者に貸し出すグローバルなサービスです。Ruby on Railsの採用により、サービスのスピーディな展開が実現しました。急成長時に柔軟性と開発力が必要とされ、Railsが欠かせない役割を果たしました。

    Github

    Github
    Githubは、プログラマー向けのコード共有サービスです。Rubyで開発されており、開発者コミュニティにとって不可欠なサービスとなっています。サービス自体の高速な開発に加え、APIの提供などエコシステムの構築がRubyの特徴を生かしている例です。

    freee

    freee

    freeeは、日本のクラウド会計サービスです。Ruby on Railsを使ったアジャイル開発手法が導入されており、機能改善のスピードが速いサービスとして知られています。例えば、法改正への対応もスムーズで、ユーザーのニーズにきめ細かく対応できているのが強みです。

    X(旧Twitter)

    X(旧Twitter)

    X(旧Twitter)は、世界的なSNSサービスです。当初はRubyで開発され、Ruby on Railsによる素早いサービス開発が役立ちました。その後、規模拡大に伴いJavaなどに移行しましたが、アイデアの実装スピード感にはRubyの力が大きく貢献したと言えます。

    クラウドワークス

    クラウドワークス

    クラウドワークスは、国内のクラウドソリューションです。コミュニケーションツール「Chatwork」がRuby on Railsを使って開発され、機能追加のスピード感が高く評価されています。短期間で具体的な改善が提供されており、生産性の高さがうかがえます。

    Ruby(ルビー)開発の際の注意点

    ここでは、Rubyの欠点や課題について見ていきましょう。理想的な言語ではないことを知ることも大切です。

    デメリット 内容
    処理速度が遅い ・インタプリタ型言語のため実行速度が遅い
    ・動的型付けのため実行時に型チェックが発生
    メモリ使用量が多い ・動的型付けのため実行時にメモリを消費
    ・大量のデータを扱う場合にメモリ不足の可能性
    型チェックが必要 ・コンパイラのサポートがないため、変数の型保証ができない
    ・バグを発見しづらい
    Gemとの依存関係がある
    • 依存関係を管理するソフトウェアが必要
    • 運用・保守作業が必要

    処理速度が遅い傾向がある

    Rubyは処理速度が遅い場合があるのがデメリットです。Pythonなどの言語と比較すると、同じ処理を実行する際の速度が劣ることがあります。大規模なデータを扱う用途には向かないことがあります。

    Rubyはインタプリタ型言語のため、実行時にソースコードが解釈されて、そのまま実行されます。このため、コンパイルされたバイナリを実行するコンパイル型言語に比べて一般的に速度が遅くなります。

    また、動的型付けがパフォーマンスの低下にも影響しています。実行時に繰り返し型チェックが入るため、時間がかかってしまうのです。

    大量のデータをリアルタイムに処理する必要があるシステムでは、こうしたRubyの性質がパフォーマンスのボトルネックになることがあります。

    一方で、Railsアプリケーションなどはキャッシュを活用することで、実用的な速度を確保できます。アーキテクチャ上の工夫次第で、十分実用的な速度を得られる用途も多いです。

    メモリ使用量が多い

    Rubyは動的型付け言語のため、実行時に型変換が行われます。このため、メモリの使用量が多くなる傾向があります。変数の型を事前に厳密に定義する静的型付け言語と比較すると、メモリ効率が悪いです。

    たとえば、ある変数が最初は文字列型として定義され、後から整数型を代入するといった場合、Rubyでは実行時に型変換が行われます。この際にメモリを消費するためです。

    また、非常に大きなデータを扱うアプリケーションの場合、変数の中身がすべてメモリ上に置かれるため、メモリ不足の原因にもなりやすいです。

    こうしたメモリ使用量の多さは、Rubyの柔軟さとのトレードオフの関係にあり、欠点ではあるものの、Rubyの動的な特徴自体が生み出す副作用であるとも言えます。

    処理の最適化やキャッシュ利用で、ある程度の調整は可能ですが、根本的には多めのメモリを用意する必要があるでしょう。

    型チェックが必要

    Rubyは動的型付け言語であり、それが初心者に優しいシンプルなコーディングを実現しています。
    ですがその反面、動的型付けのためコンパイル時に型チェックが行われません
    つまり、変数の型にバグが有っても発見できないため、実行したときに初めて重大なエラーが発生するリスクがあるということです。

    これを防ぐためには、コードの単体テストリファクタリングを徹底することが重要です。
    また最近では、型チェックをサポートするツールやライブラリも登場しており、コーディング時にこれらを活用することでよりプログラムの安全性を高めることができます。

    Gemとの依存関係がある

    Rubyの魅力の一つに、Gemと呼ばれる豊富なライブラリが利用できる点があります。
    Gemをインポートすることで、複雑な処理が1~2行の簡単な記述でコーディングすることができるようになり、初心者でもわかりやすいコードを書くことができるようになります。
    ですが、このGemを複数利用すると依存関係が複雑になるという落とし穴があります。

    多くのGemを組み合わせてより複雑なシステムを開発する際に、

    • 併用してはいけないGemを併用してしまう
    • Gemのバージョンが食い違う

    といった実装ミスが原因で、リリース時にトラブルが発生することがよくあります。

    依存関係の管理を怠ると、バージョンの衝突セキュリティの脆弱性が発生するリスクが高まるため、Ruby開発ではGem依存関係管理ソフトウェアを適切に利用する必要があります。

    例えば、BundlerはRuby on Railsに標準採用されている、Gem依存関係管理ソフトウェアです。
    Bundlerを利用して定期的にGemの依存関係とバージョンをチェックして最新の状態に保つことで、トラブルを回避することができ、スムーズなプロジェクト進行が行えます。

    Rubyのまとめ

    この記事ではRubyの基礎知識やその魅力について解説しました。
    Rubyはシンプルで生産性の高いスクリプト言語です。Railsを使えば動的なWebアプリケーションもスピーディに開発できます。

    もしRubyを使ってアプリケーション開発を検討されている方は、まずはオンライン講座などを利用してRuby開発を体験してみることをおすすめします。
    開発経験の少ない方にも扱いやすく、基礎文法を学んだ上で実践を積むことで着実に開発スキルが向上するため、”Rubyによってできること””Rubyによって作れるもの”がどんどん増えていきます。
    ぜひRubyの世界を楽しんでみてください!

    RubyはRuby on Railsという強力なWeb開発フレームワークの基礎となる言語です。
    そのため多くの企業が自社のWebアプリのためにRubyを採用しており、様々なビジネスニーズに合わせたRuby開発が行われています。
    とはいえITシステムの導入にはある程度の専門知識が必要なため、Ruby開発が自社にどんなメリットをもたらすのかあまりピンとこない企業様も多いのではないでしょうか。

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