システム開発を行う場合、リグレッションテストが必要になります。
リグレッションテストの
- 定義
- 具体例
- 統合テストとの関係性
- テスト駆動開発(TDD)
- プロセスと手法
- 自動化と利点
- 自動化するときの判断基準
- 自動化ツール
- リグレッションテストを活用するメリット
- リグレッションテストの導入事例
について順に解説します。
リソース不足や体制の課題を克服し、品質保証を実現するための手助けになれば幸いです。
![Nao Yanagisawa](https://xs691486.xsrv.jp/wp-content/themes/JITERA/images/director-nao-1.png)
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
リグレッションテスト(回帰テスト)とは
リグレッションテストは、ソフトウェア開発において、既存の機能が新たな変更や追加機能によって影響を受けないか確認するテスト手法です。
変更が加えられるたびに、既存の機能が正常に動作することを確認することが主な目的で、システム全体の品質を保ち、バグや予期しない問題を未然に防ぐためにテストを行います。
リグレッションテストの意義は、開発プロセスにおける変更やアップデートが、既存の機能に対して意図しない影響を及ぼす可能性があるため、それを事前に発見し修正することです。
リグレッションテストの関連用語
リグレッションテストに関連する用語には以下のようなものがあります。
- リグレッション (Regression)
ソフトウェア開発において、既存の機能が新たな変更によって「逆戻り」せずに正常に機能し続けることを指します。つまり、リグレッションテストとは、変更によって以前の動作に「逆戻り」や退化が生じないことを確認するプロセスです。
- 回帰テスト (Regression Testing)
回帰テストは、リグレッションテストの別名で、システムの変更後に既存の機能が影響を受けていないか確認するために行われるテストです。
- ユニットリグレッションテスト (Unit Regression Testing)
ソフトウェアの最小単位であるユニット(関数やメソッドなど)に焦点を当てたリグレッションテストです。
- 機能リグレッションテスト (Functional Regression Testing)
ソフトウェアの機能全体にわたって行われるリグレッションテストで、主にユーザー利便性や全体の機能性を確認するのが目的です。
これらの関連用語は、ソフトウェア品質を維持し、新しい変更が既存の機能に悪影響を与えないようにするためのリグレッションテストの概念や手法を理解する上で重要になります。
回帰テストと再帰テストの違い
回帰テストと再帰テストはよく混同されます。
この2つのテストは、ソフトウェア開発において異なるテスト手法となっています。
回帰テストと再帰テストの違いをまとめると以下のようになります。
項目 | 回帰テスト | 再帰テスト |
目的 | 新しい機能や変更の影響を確認し、既存の機能や性能が正常に動作することを検証する | 特定の機能やモジュールの動作を詳細に検証し、不具合や問題点を特定する |
実行タイミング | 新しい機能や変更を加えた後に行う | 特定の機能やモジュールを開発・修正した際に行う |
対象範囲 | 既存のすべての機能やモジュール | 特定の機能やモジュール |
テストケース | 既存のテストケースを使用することが多い | 新しいテストケースを作成することが多い |
自動化 | 比較的自動化しやすい | 自動化が難しい場合が多い |
ここでは、回帰テストと再帰テストについて、
- 目的と実行タイミング
- 対象範囲
- テストケース
- 自動化されることが多いか
の4つについて解説します。
目的と実行タイミング
回帰テストの目的は、ソフトウェアに新しい変更が加えられた後に、以前に正常に動作していた機能が影響を受けないかを確認することで、変更が加えられた後に既存の機能が期待どおりに機能するかを確認します。
一方、再帰テストは、特定の機能や動作が期待どおりに機能するかを確認するために繰り返し実行されます。
新しい機能の追加や変更に対しても実行されますが、その目的は、特定の機能や動作が常に正常に動作することを保証することです。
回帰テストは変更の影響をチェックし、再帰テストは特定の機能や動作の品質を確認し、回帰テストは変更後に再帰テストは開発プロセスの中で繰り返し実行されます。
対象範囲
回帰テストは、ソフトウェアに加えられた新しい変更が以前のバージョンに影響を与えないかどうかを確認するため、変更が加えられた部分だけでなく、関連する他の部分にも影響が及ばないかをテストします。
そのため、回帰テストはソフトウェア全体を対象とします。
一方、再帰テストは、特定の機能や動作が期待通りに機能するかを確認します。
再帰テストは通常は変更や追加された機能に焦点を当ててその機能が正しく動作することを確認するため、再帰テストの対象範囲は変更や追加された機能に限定される場合が多いです。
テストケース
回帰テストは、ソフトウェアに加えられた変更が以前のバージョンに影響を与えないかを確認するために実行されるため、回帰テストでは変更された部分だけでなく、関連する他の部分にも影響が及ぶ可能性があるため広範囲なテストケースが必要です。
一方、再帰テストは、特定の機能や動作が期待通りに機能するかを確認するために実行されます。
再帰テストでは変更や追加された機能に焦点を当て、その機能が正しく動作するかどうかを確認するためのテストケースが選択されます。
回帰テストは変更が及ぼす影響を広く確認するために幅広いテストケースが必要ですが、再帰テストは特定の機能や動作を重点的にテストするためのテストケースが選択されます。
自動化されることが多いか
回帰テストは、変更が加えられた後に以前の機能が正常に動作することを確認するため、継続的なテストが必要です。
多くの場合、回帰テストは自動化されて変更が加えられたときに自動化スクリプトが実行されるので、手動で繰り返しテストする手間を省き、迅速かつ効率的にテストを実行できます。
回帰テストの自動化には、SeleniumやAppiumなどのUIテストツール、JUnitやTestNGなどのユニットテストフレームワーク、JenkinsやTravis CIなどの継続的インテグレーションツールがよく使用されます。
一方、再帰テストは通常、開発プロセスの中で頻繁に実行されるため、手動で実行されることが多いです。
再帰テストは、特定の機能や動作が期待通りに機能するかを確認するため、開発者やテスターが手動でテストケースを実行し、結果を確認します。
結合テストとリグレッションテストの関連性
結合テストは複数のモジュールやコンポーネントが正しく動作するかを確認するテストであり、これによって個々のモジュールの統合における問題を発見します。
一方で、リグレッションテストはソフトウェアに変更が加えられた際に、既存の機能が影響を受けずに正常に動作するかを確認するテストで、新しい変更がシステム全体に予期せぬ副作用をもたらすことを防ぎます。
結合テストで発見された問題が修正され、変更が適用された場合、その後にリグレッションテストを実施して既存の機能が正常に動作しているか確認します。
結合テストで特定された問題がリグレッションテストでも再現し、修正されたことを確認することで、ソフトウェアの変更が全体に及ぼす影響を徹底的に確認します。
テスト駆動開発(TDD)とリグレッションテスト
テスト駆動開発(TDD)は、ソフトウェア開発者がコードを書く前にテストケースを作成し、その後コードを書いてテストを通過させるプロセスです。
最初に、新しい機能や修正すべきバグに対するテストケースを作成しますが、開発者は望まれる機能や修正の要件を確認し、それに対応するコードを書く方針を明確にします。
次に、テストが失敗する状態から始め、その後コードを追加または変更してテストを通過させます。
リグレッションテストはTDDサイクル全体を通して継続的に行われ、小さな変更や追加が行われるたびにこれまでの機能が正常に動作するかを確認することで、新しいコードの追加や変更が既存の機能を壊さないよう確認します。
リグレッションテストの具体例
仮想通貨取引プラットフォームを例に挙げたリグレッションテストのシナリオは次の通りです。
仮想通貨のデポジット機能に変更があった場合を考えます。
- 基本的な機能の確認
以前正常だったデポジット機能が引き続き機能しているかを確認します。
- 異常系のテスト
デポジットのプロセス中に異常が発生した場合、適切なエラーメッセージが表示され、システムが適切に処理されているか確認します。
- 手数料の変更の確認
デポジット手数料が変更された場合、手数料が正確に課金され、ユーザーが予想した手数料額を支払えるか確認します。
- 取引の履歴確認
デポジットが完了した場合、ユーザーのアカウント履歴に正確にデポジット取引が記録されているか確認します。
逆に、失敗した場合はエラーログが適切に残るか確認します。 - 他の機能への影響の確認
デポジット機能の変更が、他の関連機能や取引全体に影響を及ぼしていないかを確認します。
このようなリグレッションテストのシナリオを実施することで、デポジット機能の変更がシステム全体に及ぼす影響を確認し、品質を保ちつつ新機能を導入することが可能です。
機能テスト
機能テストは、ソフトウェアの特定の機能が要件どおりに機能しているかを確認するテストプロセスです。
主な目的は、ソフトウェアがユーザーが期待する通りに機能し、要件仕様に従っているか確認することです。
シナリオは機能ごとに異なり、例えばユーザー認証機能の場合は正しいユーザー名とパスワードでログインが成功するかどうかなど、各機能の動作や挙動を具体的に確認します。
パフォーマンステスト
パフォーマンステストは、ソフトウェアやシステムが要求された性能基準を満たすかどうかを確認するテストプロセスです。
主な目的は、応答時間、処理能力、負荷耐性、およびスケーラビリティを評価して、システムの性能に関する信頼性を確認することです。
シナリオは、同時ユーザー数の増加や大容量データの処理など、様々な条件下でシステムが安定して動作するかどうかを確認します。
セキュリティテスト
セキュリティテストは、ソフトウェアやシステムが悪意のある攻撃から保護されているかどうかを確認するプロセスです。
主な目的は、潜在的な脆弱性やセキュリティの不備を特定し、修復することで情報資産を守ることです。
シナリオは、ペネトレーションテストや脆弱性スキャンを含み、不正アクセス、データ漏洩、またはサービス遮断などの攻撃からシステムを保護するための対策を確認します。
入力値の検証テスト
入力値の検証テストは、ソフトウェアが受け入れ可能な入力を正確に処理し、不正確な入力に対して適切に対処するかを確認するテストプロセスです。
主な目的は、ユーザーからの入力や外部システムからのデータがシステムに適切に取り込まれ、処理されるか確認することです。
シナリオは、有効なデータの正常な処理や、無効なデータに対するエラーハンドリングなどを検証します。
ユーザーインターフェーステスト
ユーザーインターフェース(UI)テストは、ソフトウェアのユーザーが直接操作するインターフェースが期待通りに動作し、視覚的に優れているかを確認するテストプロセスです。
主な目的は、ユーザビリティを向上させ、ユーザー利便性を確保することです。
シナリオは、画面の正確な表示、操作可能性、ナビゲーションの使いやすさ、ボタンやリンクの機能など、UI要素の正確性や直感的な使い勝手を確認します。
データベーステスト
データベーステストは、ソフトウェアのデータベースが正確かつ効果的に機能しているかを確認するテストプロセスです。
主な目的は、データの完全性、一貫性、可用性、およびパフォーマンスを保証することです。
シナリオは、データベースへのデータ挿入・更新・削除操作の正確性や、データの検索、トランザクション処理、複雑なクエリの実行などを確認します。
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リグレッションテストのプロセスと手法
効果的なリグレッションテストを行うためには、変更があるたびにテストケースを実行し、既存の機能が影響を受けていないか確認することが必要です。
自動化を活用して効率的かつ継続的にテストを実施し、テストケースの適切な管理がポイントとなります。
影響範囲の分析
影響範囲の分析では、変更がシステム全体に与える影響を正確に評価します。
コード、データベース、外部システムなどの依存関係を考慮し、変更が及ぼす機能や性能への影響を理解することが重要です。
優先度付け
優先度付けは、リグレッションテストで発見された問題や変更要件に対して、修正や対応の緊急度や重要度を評価し決定するプロセスです。
サービス上の重要性やユーザー利便性への影響を考慮し、リソースの最適な利用と品質向上を実現します。
テストケースの作成
テストケースの作成は、要件を確実に理解し、明確かつ網羅的なテストケースを設計します。
入力条件、期待される結果、事前条件、事後条件を詳細にドキュメント化し、変更や新機能に対する期待値を明示的に示すことが重要です。
また、テストケースの再利用性とメンテナンス性を考慮し、自動化の観点も検討します。
テストの実行
テストの実行は、注意深くテストケースを実行し、結果を正確に記録します。
異常な挙動やエラーが発生した場合は、それを詳細に報告し、開発者と協力して問題の解決に取り組みます。
テスト結果の分析
テスト結果の分析は、発見された問題の深堀りや優先度付けを行い、パターンや傾向を特定して品質改善の方針を検討します。
また、成功と失敗の要因を把握し、将来のテスト戦略に反映させることが重要です。
回帰テストに自動化ツールをおすすめする理由
回帰テストの自動化には多くのメリットがあります。
- 時間や労力の削減
- ミスの削減
- テストの効率化
について、順に解説します。
時間や労力の削減ができる
回帰テストの自動化は時間や労力の削減だけでなく、効率性と品質の向上にもつながります。自動化を導入することで、テストチームの生産性が向上し、開発サイクル全体の効率化が図られます。
反復テストの自動化
手動での回帰テストは繰り返し作業が多く、時間と労力がかかりますが、自動化によってこれらの作業を大幅に削減できます。
自動化スクリプトを定期的に実行すれば、テストケースの反復的な実行が自動化され、手動での作業に比べてはるかに迅速かつ効率的にテストを実行できます。
大量のデータや複雑なシナリオにも対応
さらに、自動化されたテストは大量のデータや複雑なシナリオにも対応でき、自動化ツールやスクリプトを使用することで、テストケースのカバレッジも広がります。
これにより、テストの信頼性と効果を向上させられるともいえるでしょう。
ミスの削減ができる
自動化された回帰テストはミスの削減に貢献し、開発プロセス全体の品質を向上させます。自動化により、テストの信頼性が高まり、効率的かつ正確なテストが可能になります。
一貫性を保てる
手動でのテストでは、人間のエラーが発生しやすく、テストケースの実行や結果の記録において誤りが生じる可能性があります。
しかし、自動化されたテストはコンピューターによって実行されるため、一貫性が保たれ、人間のミスが排除されます。
これにより、テストの信頼性が向上し、開発プロセス全体の品質が向上します。
再利用性が高い
さらに、自動化されたテストスクリプトは再利用性が高く、修正や拡張が容易です。
変更が加わった場合、テストスクリプトを簡単に更新して変更を反映できるので、手動でのテストケースの再作成や修正にかかる時間と手間を大幅に削減できます。
テストの効率化ができる
まず、自動化されたテストスクリプトは人間の手作業よりも迅速かつ一貫性を持ってテストを実行するため、テストの実行時間が大幅に短縮され、開発全体の効率が向上します。
また、テスト結果の自動収集やレポーティングにより、テスト結果の分析や問題の特定もより迅速に行えるでしょう。
さらに、自動化されたテストは24時間体制で実行可能です。
手動でのテストでは人間の労力や時間の制約がありますが、自動化されたテストはいつでも必要に応じて実行できるため、夜間や週末などの非稼働時間にもテストを実行し、開発サイクル全体を短縮できます。
回帰テスト自動化ツールの選び方・導入ポイント
回帰テストは、ソフトウェア開発において、既存の機能や性能が新しい変更によって影響を受けていないことを確認するために実施する重要なテストです。
しかし、手動で回帰テストをすると、時間や労力も多くかかってしまいます。
そこで、回帰テスト自動化ツールの導入がおすすめです。ツールを使って自動化することで、時間や労力の削減、ミスの低減、テストの効率化が図れるためです。
ここでは、回帰テスト自動化ツールを選ぶ際のポイントや導入のポイントについて解説します。
テスト範囲
まずは、どの範囲のテストを自動化の対象とするか明確にする必要があります。既存の主要な機能を網羅的にテストする回帰テストでは、可能な限り広範囲にわたって自動化を進めましょう。
ただし、全てを自動化するのは現実的ではありません。すべてのテストを自動化しようとすると、ツール選定や導入に時間がかかってしまう可能性があります。
まずは、自動化の優先順位を付け、重要なテストから自動化していくことをおすすめします。
テスト手法
回帰テストの自動化にはさまざまなテスト手法が用いられます。代表的なものに、Seleniumを使ったUI自動テスト、PostmanによるAPI自動テスト、JUnitを使ったユニットテストなどがあります。
これらの手法のメリット・デメリットを理解し、自社の開発環境や製品特性に合ったテスト手法を選択する必要があります。単一の手法に固執せず、複数の手法を組み合わせるのもよいでしょう。
スクリプティング言語
回帰テストの自動化には、Python、Ruby、JavaScript、C#などさまざまなスクリプティング言語が使われています。PythonやJavaScriptなど、広く使用されている言語をサポートしているツールの方が、柔軟性が高く、効率的なテストスクリプトの作成が可能です。
それぞれの言語には、得意な分野や特徴があります。プロジェクトで使用する技術や開発環境に合わせて、適切な言語を選択しましょう。
ライセンス
回帰テスト自動化ツールのライセンスには、オープンソースのものと商用のものがあります。
オープンソースのツールは無料で使用できますが、サポートや機能が限定されている場合があります。商用ツールは有料ですが、充実したサポートや機能を提供していることが多いです。
予算や開発規模に合わせて、最適なツールを見極めましょう。
継続的に使用できるツール選び
回帰テストの自動化は一過性のものではありません。長期的に維持・管理していく必要があります。
そのため、継続的な使用に耐えうるツールを選ぶことが重要です。使い勝手の良さ、拡張性、メンテナンス性など、様々な観点から検討し、チームで長く活用できるツールを見つけていきましょう。
回帰テストの自動化におすすめのツール5選
回帰テストの自動化は効率的な開発プロセスに不可欠です。
- Selenium
- Katalon Studio
- TestComplete
- Ranorex
- UFT
のツールについて、それぞれ特徴を解説します。
Selenium
ツール | Selenium |
言語 | Java、C#、Python、Ruby など |
テスト手法 | Web、モバイル、デスクトップ GUI |
ライセンス | オープンソース |
金額 | 無料 |
Seleniumは、Webアプリケーションのテスト自動化に広く利用される代表的なツールで、ウェブブラウザを介したUIテストに適しています。
Seleniumは、複数のプログラミング言語(Java、Python、JavaScriptなど)で使用でき、主要なブラウザ(Chrome、Firefox、Safariなど)をサポートしています。
一方、Seleniumは複雑なセットアップが必要であり、学習曲線も比較的高いです。
また、自動化されたテストの実行速度が遅い場合があることや、一部のUI要素に対して不安定に動作することがあるという欠点もあります。
Seleniumは柔軟性と豊富な機能を備えており、多くの開発者やテスターによって広く利用されています。
特に、ウェブアプリケーションのUIテストに焦点を当てたい場合には、Seleniumは優れた選択肢となるでしょう。
Katalon Studio
ツール | Katalon Studio |
言語 | Java、Groovy |
テスト手法 | Web、モバイル、API、デスクトップ GUI |
ライセンス | オープンソース & 商用 |
金額 | 無料、年額79〜599ドル |
Katalon Studioは、回帰テスト自動化に特化した総合的なツールで、Web、モバイル、APIなど多岐にわたるアプリケーションテストをサポートします。
GUIでのテストケース設計が容易であり、これによって非技術者も効果的にテストスクリプトを作成できます。
強力なレコーディング機能と組み合わせられるスクリプトモードがあり、これにより柔軟性が向上します。
豊富なプラグインや統合機能も魅力的で、CI/CDツールやJira、Gitなどとのスムーズな連携が可能です。
一方で、無料版は機能制限や一定の学習コストがあります。
Katalon Studioは使いやすく、多岐にわたるアプリケーションテストを総合的にサポートする強力な自動化ツールとして、中小規模のプロジェクトやテスターに広く受け入れられています。
TestComplete
ツール | TestComplete |
言語 | VBScript、JScript、DelphiScript、C++Script、C#Script |
テスト手法 | Web、モバイル、デスクトップ GUI |
ライセンス | 商用 |
金額 | 1ライセンス3,199ドル |
TestCompleteは、Web、デスクトップ、モバイルなど、さまざまなプラットフォームのアプリケーションを対象とした回帰テスト自動化ツールです。
豊富な機能と柔軟性を持ち、幅広いテストケースをカバーします。
TestCompleteは、直感的なUIを備え、テストスクリプトの作成や管理が容易です。
また、強力なオブジェクトリポジトリを通じて、アプリケーションのUI要素を簡単に識別し、テストスクリプトに組み込めます。
さらに、内蔵された画像認識機能を利用することで、GUIの変更に対しても堅牢なテストができます。
一方で、TestCompleteは他のツールと比較して価格がやや高めであり、学習コストもそれなりにかかる場合があります。
また、特に初心者にとっては一部の機能の使い方が複雑に感じられることがあります。
TestCompleteは幅広いアプリケーションを対象にした強力な自動化ツールであり、特に企業や大規模プロジェクトに適しています。
しかし、その高機能さには学習コストや価格の面での配慮が必要です。
Ranorex
ツール | Ranorex |
言語 | C#、VB.NET |
テスト手法 | デスクトップ GUI、Web、モバイル |
ライセンス | 商用 |
金額 | エンタープライズ年額15,000ドル |
Ranorexは、幅広いプラットフォーム(Web、デスクトップ、モバイル)に対応した回帰テスト自動化ツールです。
直感的なGUIを備え、コーディングが不要なため、技術的な知識がない人でも簡単にテストスクリプトを作成できます。
Ranorexの特徴の1つは、強力なオブジェクト識別機能です。
これにより、UI要素の変更に強く、スクリプトの安定性が向上します。
また、統合開発環境(IDE)が含まれており、テストの記録、デバッグ、実行ができます。
一方で、Ranorexは他のツールと比較して価格がやや高めであり、学習コストも一定程度かかります。
また、一部の高度な機能を利用するには追加のライセンスが必要となる場合があります。
Ranorexは使いやすく、幅広いアプリケーションを対象とした信頼性の高い自動化ツールです。
特に、テクニカルスキルに自信のないユーザーや、UIテストの安定性を求める企業に適していますが、その高機能さには学習コストや価格の面での注意が必要です。
UFT
ツール | UFT |
言語 | VBScript |
テスト手法 | Web、デスクトップ GUI、ERP/CRM、SAP |
ライセンス | 商用 |
金額 | ライセンス5,452ドル、年間メンテナンス2,726ドル |
UFT(Unified Functional Testing)は、市場で利用可能な代表的な回帰テスト自動化ツールの1つです。
元々はHewlett Packard Enterprise(HPE)によって開発され、後にMicro Focusによって引き継がれました。
UFTは、Web、モバイル、デスクトップなど、さまざまなプラットフォームでのアプリケーションテストをサポートしています。
UFTの主な特徴には、強力なレコーディング機能、統合開発環境(IDE)、豊富な統合機能が挙げられます。
UFTは、VBScriptというスクリプト言語を使用してテストスクリプトを記述し、複雑なテストシナリオを容易に実現できます。
また、UFTは、ALM(Application Lifecycle Management)やJenkinsなどのCI/CDツールとのシームレスな統合を提供し、テストプロセス全体を効率化します。
一方で、UFTは他のツールと比較して高価であり、学習コストも高い場合があります。
また、UFTはWebベースのアプリケーションのサポートにおいては他のツールに劣る面もあります。
UTFは、大規模なエンタープライズ環境での利用や、既存のHP製品との統合を重視する場合には、優れた選択肢となるでしょう。
中小企業がリグレッションテストを活用するメリット
中小企業がリグレッションテストを活用すると、システム開発において数多くのメリットが生まれます。
まず、リグレッションテストは変更やアップデートがシステム全体に与える影響を確認するため、新機能の追加や修正が既存の機能に悪影響を与えないか確認できます。
また、中小企業では開発リソースや予算が制約されることがありますが、リグレッションテストの自動化を導入することで、テストの効率が向上し、継続的な品質確保が負担なく実現できます。
中小企業がリグレッションテストを有効活用することで、効率的な開発プロセスや高品質なソフトウェアの提供が可能となり、競争力を向上させることができます。
品質の向上
品質の向上には、不具合の早期発見と修正による信頼性の向上が含まれ、顧客満足度の向上や製品・サービスの信頼性向上に直結するので、長期的にみると企業の評判の向上や競争力の強化につながります。
また、不具合による顧客からのクレームや修正コストの削減により、サービスの効率が向上します。
リリースの効率化
リリースの効率化によって、素早い変更の導入や新機能の提供が可能となるので、市場投入の速度が向上し、顧客への価値提供が迅速化します。
効率的なリリースは競争力を高め、市場での立ち位置を向上させます。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上には、品質の高い製品やサービスの提供が不可欠で、品質の向上により不具合が減少するため顧客は信頼性のある製品を期待します。
これは顧客満足度を向上させ、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながるので、顧客満足度の向上は企業の評判の向上にもつながり持続的なサービス成長につながります。
企業におけるリグレッションテストの導入事例
ここからは、実際にリグレッションテストを導入したことで成功した中小企業を紹介します。
株式会社イトーキ
株式会社イトーキでは、リグレッションテストの導入により効果的な品質管理と開発プロセスの効率化を達成しました。
新しい機能や変更が導入される際、リグレッションテストを用いて既存の業務機能に対する影響を確認します。
過去のアップデートで発生していた不具合や予測不能な動作がリグレッションテストによって事前に発見され、修正が早期に行われたため、製品の品質向上と同時に開発チームの作業効率が向上し、迅速なリリースサイクルを実現しました。
リグレッションテストの導入により、イトーキはより信頼性の高いソフトウェアを提供し、顧客満足度が向上しました。
株式会社ニトリ
株式会社ニトリでは、リグレッションテストの導入が大規模なWebプラットフォームの開発において重要な役割を果たしました。
新しい機能や変更が頻繁に行われる中、リグレッションテストを使用して既存の機能に予期しない影響がないか確認しました。
プラットフォームのアップデート時に、リグレッションテストによって検出された不具合が、実際のリリース前に修正され、ユーザー利便性の安定性が向上し、システム全体の品質が確保されました。
また、リグレッションテストの導入によって開発プロセスが迅速化され、製品の信頼性が向上しました。
まとめ – リグレッションテストを活用してシステム開発を成功させましょう
リグレッションテストはシステム開発において不可欠な手法であり、その重要性は言うまでもありません。
新しい機能や変更が導入される際、既存の機能が正常に動作しているか確認することで、品質を維持し、不具合の早期発見を可能にします。
特に中小企業においては、限られたリソースの中で効率的かつ迅速な開発が求められますが、リグレッションテストの自動化はその要請に応え、開発プロセスの効率化と品質向上を同時に実現します。
バグの早期発見や品質確保だけでなく、リグレッションテストはリリースの安定性向上や顧客満足度の向上にも貢献してくれます。
システム開発における課題に直面した際は、ぜひJiteraにご相談ください。