ComfyUIは、AI画像生成技術であるStable Diffusionをより簡単に操作できるノードベースのGUIツールです。
初心者でも簡単に使える設計が特徴的で、カスタマイズしやすくなっています。
本記事では、ComfyUIの基本的な機能や使い方、そして初心者がつまずきやすいポイントについてわかりやすく解説していきます。
食品商社営業からシステムエンジニアへと転職後、バックエンドエンジニア(Java, PHP)として尽力。開発リーダーを含む上流工程〜下流工程に携わる。IT関連記事から芸能・法律など幅広ジャンルにて執筆。
ComfyUIとは?

ComfyUIは、Stable Diffusionをベースに画像生成を行うためのGUIツールです。
Stable Diffusionは入力されたテキストプロンプトを基に画像を生成するAI技術で、ComfyUIはこの技術を活用するために開発されたものです。
ノードベースのユーザーインターフェースとなっており、画像生成の過程を視覚的に操作することが可能となっています。
他のツールと比較しても、ComfyUIは利用者のカスタマイズ性が高い点が注目されており、エンジニアでなくてもより複雑な操作が可能です。
ComfyUIの特徴

ComfyUIにはいくつか特筆すべき特徴があります。
ここでは、以下の3つに分けて解説していきます。
- 低スペックPCでも使える
- ノードベース操作によるカスタマイズ性の高さ
- カスタムノードによる拡張機能
低スペックPCでも使える
ComfyUIは低スペックのPC環境でも動作する設計がなされており、GPUがなくてもCPUのみで画像生成が可能です。
そのため、軽量なノードベースUIのおかげで画像生成も効率的に実行できるようになっています。
例えば、GPUのメモリが限られている環境でも、必要なリソースを管理しながら動作させることが可能となっています。
実際に、3GB未満のVRAMを持つGPUでも動作させる低VRAMモードも提供されています。
このような低スペック環境への対応は、全ユーザーにとって使いやすい点の1つともなっているでしょう。
ノードベース操作によるカスタマイズ性の高さ
ComfyUIの最大の特徴は、ノードベースの操作でカスタマイズができる点です。
利用者はノードを組み合わせて画像生成の過程を自由に構築できます。
このカスタマイズ性は既存の画像生成ツールとは異なり、利用者が自分のワークフローを完全に把握できる点が魅力です。
複雑な画像を生成する際には複数のステップを設定し、ノードごとに調整を加えることで細かな調整が可能となっています。
さらに、ワークフローはJSON形式で保存できるため、後で再利用したり他のユーザーと共有することも簡単です。
カスタムノードによる拡張機能
ComfyUIは、カスタムノードを導入することで機能を大幅に拡張できるようになっています。
ユーザーは独自のノードを作成してComfyUIに追加することで、新しい画像処理アルゴリズムや機能を導入できます。
また、画像生成だけでなく動画生成やアップスケーリング、AIによる詳細な画像修正など、用途に応じて機能を追加できるため、自分のニーズに合ったツールセットとして構築していき、複雑な画像生成を実現していくことができます。
ComfyUIの始め方

ComfyUIはStable Diffusionを効率的に操作できるノードベースのGUIで、画像生成の幅を広げてくれます。
初心者にとっては導入が難しいと感じるかもしれませんが、実際には手順を踏めば簡単なものです。
ここでは各方法に分けてダウンロードする方法を解説していきます。
Stability Matrixを使う場合
Stability Matrixは、Stable Diffusion関連のアプリを簡単に管理・インストールできるツールで、ComfyUIもこのプラットフォームからインストール可能となっているため、初心者にはおすすめの方法です。
GitやPythonなどの面倒な前提条件のインストールが不要なため、スムーズに導入を進めることができます。
インストーラーをダウンロード

まず、こちらから、MacOS用のインストーラーをダウンロードしましょう。
インストール

ダウンロードした StabilityMatrix-macos-arm64.dmg ファイルを開いて、「Stability Matrix」アイコンを「Applications」にドラッグ&ドロップしてください。

初回は上記のように警告が出ることがありますが、そのまま「開く」を押下して完了です。
GitHubページから直接ダウンロードする場合
もう一つの方法として、ComfyUIをGitHubページから直接ダウンロードしてインストールする方法があります。
Stability Matrixを使わず、最新のバージョンを自分のペースで管理したい方やよりコントロールした環境で作業したい方におすすめです。
この方法では、手動でファイルのダウンロードと展開を行う必要がありますが、手順に沿えば問題ありません。
7zファイルをダウンロード

まずは、ComfyUIの公式GitHubページにアクセスし、「Direct link to download」からzip形式のファイルをダウンロードします。
zip形式は圧縮されているため解凍作業が必要で、場合によってはダウンロードに少し時間がかかることもありますが、焦らずに進めましょう。
ファイルを解凍し、展開する

ダウンロードしたzipファイルを、解凍ソフトを使って展開します。
展開後自分のPC内で好きな場所に移動させましょう。
個人的には、整理しやすいようにDドライブやEドライブのルートディレクトリに保存するのがおすすめです。
ComfyUIを起動
「StabilityMatrix.exe」を実行すれば起動します。
ComfyUIの使い方

ComfyUIは、利用者がプロンプトだけでは表現しきれない複雑な処理や条件をGUI操作できる点が特徴です。
初心者にとっては最初は難しく感じるかもしれませんが、一度流れを掴むと感覚で操作できるようになります。
ここでは、ComfyUIを使いこなすための基本操作について解説していきます。
Stable Diffusionモデルを選択

ComfyUIを利用するには、まず使用するStable Diffusionモデルを選択します。
こちらリンクから好きなモデルファイルをダウンロードすることができます。
サイトが英語表記となっていますが、「Search Civitai」の検索フォームに欲しいモデル名を入れて検索してください。
例えば、アニメ系のイラストを生成したい場合は「blue pencil」がおすすめで、これらは商用利用も可能となっていますので、安心して利用できます。

ノードを配置する

ComfyUIの基本はノードを配置していく作業になります。
ノードは各処理やデータの中継点として機能し、画像生成に必要な要素を一つ一つつなげていく役割を持っており、ノードを配置して処理の流れを作成していきます。
画面上で右クリックすると「Add Node」でノードを追加できるので、最初は基本的なノードを配置し、徐々に理解を深めていきましょう。
ノードを接続する

配置したノードを正しく接続することがComfyUIの要となり、ノード同士を接続することでデータが順序よく流れていきます。
ノードをつなぐ線にはデータタイプごとに異なる色が使われており、黄色はテキスト、青は画像データを意味しています。
これは視覚的に接続のミスを防ぎやすい設計で開発されているためです。
サンプラーノードを設定する

画像生成のクオリティを大きく左右するのが「サンプラーノード」です。
「KSampler」というノードでサンプラーを選択します。
サンプラーには、「Euler A」や「DPM++ 2M Karras」などさまざまな種類がありますが、それぞれ画像生成のスタイルやスピードに影響を与えるものとなっています。
例えば、クオリティを重視するなら「DPM++」がよく使われ、スピードを重視するなら「Euler A」がおすすめです。
具体的な解説についてはこちらが参考になるかと思います。
解像度ノードを設定
解像度の設定は、最終的な画像の細かさを決定する重要な要素です。
「Resolution」ノードで画像の解像度を指定できます。
また、ComfyUIでも画像を高画質化するHires.fixを利用することは可能で、下記画像のような接続を実施することで高画質化することができます。

ただし、高解像度にすると生成時間が長くなりGPUの負荷が増えるため、自分のPC環境に合わせて設定しましょう。
VAEノードを設定する

VAE(変分オートエンコーダー)は、生成された画像の色やディテールを最適化する役割を持ちます。
右クリックで「loaders」「Load VAE』」を押下して追加された新しいノードを「VAE Decode」の「VAE」に繋げるだけで完了です。

VAEを使うことで生成された画像がより鮮やかになり、詳細な部分まで再現されるようになります。
例えばSDXL用のVAEモデルを適用すると肌の質感や細かい影の部分が鮮明になるため、よりリアルな表現が得られるでしょう。
ワークフローを保存する

一度設定したワークフローは、後で再利用できるように保存しておくと便利です。
上記画像のような表示の状態で、メニューの「Save」ボタンをクリックし、好きな名前をつけてワークフローをJSON形式で保存できます。

保存されたワークフローは、他のユーザーと共有したり後で簡単に編集したりすることができるので、自分だけの画像生成フローを蓄積していくことが可能です。
プロンプトを入力

画像生成の中心は、テキストプロンプトの入力になります。
「CLIP Text Encode」ノードに、生成したい画像の特徴を英語で入力します。
まだ日本語には対応していないため、利用に慣れていない人は翻訳ツールを使いながら英語で記述するのがポイントととなります。
画像生成開始

すべての設定が終わったら、右下の「Queue Prompt」ボタンをクリックして画像生成を開始します。

処理が進むとノードが緑色に表示され、どのプロセスが現在実行されているかが視覚的に確認できます。
生成が完了すると画像が画面に表示され、指定した保存場所に自動的に保存されます。
ComfyUIの活用例

ComfyUIはAI画像生成ツールとして、さまざまな業界で活用されています。
マーケティングからEコマース、ゲーム開発まで、柔軟なカスタマイズ性を活かした画像生成することが可能です。
ここでは、具体的な利用シーンについてそれぞれの項目で解説していきます。
マーケティング素材の生成
ComfyUIを使えば、マーケティング用の画像を手軽に作成できます。
ターゲッティングした対象に向けた画像をいくつも高品質で作成できるため、時間も手間もかかりません。
さらに、AIモデルを使ってターゲット層に合わせた画像を自動生成させ、A/Bテストを行うことも可能でしょう。
Eコマースへの活用
ComfyUIはEコマースの分野でも非常に役立つでしょう。
また、ComfyUIのカスタムノードを利用して、さまざまな背景やスタイルで同一商品の複数バージョンの画像を作成できるため、色々なシーンを想定した見せ方ができるのは非常に魅力的です。
ユーザーの「気になる!」を再現できるのはプロモーションの上で大切です。
ゲーム開発への活用
ゲーム開発においても、ComfyUIは大いに活用できます。
キャラクターのデザインや背景アートの作成は従来であれば多くの工数を必要とするもので、その分だけ人件費もかかるものでしたが、ComfyUIを導入すればより短期間でこの作業が可能となります。
特に、ノードベースの操作で様々なデザインを繰り返し試すこともできるので、効率性も圧倒的によくなります。
ComfyUIを使いこなすコツ2選!

ComfyUIは柔軟性と拡張性を備えていますが、しっかりと使いこなすためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、ComfyUIを使いこなすためのコツについて2つ解説していきます。
日本語に設定する
ComfyUIのデフォルト言語は英語ですが、日本語に設定することで操作が格段にしやすくなります。
プラグインをインストールする

まず、日本語化にはGitHubの「AIGODLIKE-ComfyUI-Translation」を利用します。
インストール手順は簡単で、ComfyUI Managerで検索してインストールしていきます。
言語オプションからに日本語に設定する

プラグインをインストール後、右上の歯車からAGLTranslation-langualgeの言語項目で日本語を選択してください。
アップスケールする
ComfyUIを使ったアップスケール機能を活用することで、低解像度の画像を高解像度に変換することが可能です。
GitHubから画像を保存

まず、GitHubから画像を保存しますが、保存する画像は上記画像内にある画像で問題ありません。
保存できたら次のスッテプへと移ります。
ComfyUIにドラッグ・ドロップする
画像の保存が完了したら、保存した画像を「ComfyUI」の画面にドラッグ&ドロップするだけです。
この操作で、「ComfyUI」で生成される画像をアップスケールするための準備は完了となります。
ComfyUIのおすすめ拡張機能5選

ComfyUIはStable DiffusionのノードベースGUIを活用した高精度な画像生成ツールですが、さらに強力なツールにするためには拡張機能が欠かせません。
ここでは、特におすすめしたい拡張機能5つを紹介していきます。
- ComfyUI-Manager
- ComfyUI Custom Scripts
- ComfyUI’s ControlNet Auxiliary Preprocessors
- ComfyUI Impact Pack
- SDXL Prompt Styler
1.ComfyUI-Manager
ComfyUI-ManagerはComfyUIでの拡張機能の管理を簡単にしてくれるツールで、この拡張機能を使うと複数のカスタムノードやスクリプトを一括管理できます。
初心者でも扱いやすいので、ノードのインストールやアップデート、削除までをすべてこのマネージャーで一元管理可能です。
2.ComfyUI Custom Scripts
ComfyUI Custom Scriptsは、ComfyUIの機能をカスタマイズしてさらに効率的に使えるようにする拡張機能です。
特におすすめなのはグラフの自動整列機能で、ノードを自動的に配置して見やすくするため、複雑なワークフローを見やすく整えてくれます。
また、プロンプトのオートコンプリート機能もあり、テキスト入力を効率化できるようになっています。
3.ComfyUI’s ControlNet Auxiliary Preprocessors
ControlNet Auxiliary Preprocessorsは、生成画像の精度をさらに高めるために画像前処理を行うツールです。
アニメーションやリアルな動きのあるシーンなどではよりクオリティが重要となってくるため、そういった場合で役立ちます。
このツールが深度やポーズのデータを自動的に取得して滑らかな動作を再現してくれるため、ポートレートや背景画像にも対応しており、さまざまなスタイルの画像生成に活用できます。
4.ComfyUI Impact Pack
ComfyUI Impact Packは、画像の検出、アップスケール、ディテール強化といった一連の作業を効率化するための拡張機能です。
このパックには多くのツールが含まれており、画像生成を高品質化させるための設定が簡単に行えるようになっています。
5.SDXL Prompt Styler
SDXL Prompt Stylerは、プロンプトにカスタムスタイルを適用するための便利なノードで、この拡張機能を使うとプロンプトにテンプレートを適用することができます。
ある程度利用していく中で、繰り返し行う必要のある入力作業を簡略化できるので、よく利用するものはテンプレ化してどんどん作業を効率化させていきましょう。
ComfyUIのメリット

ComfyUIは多機能で高い拡張性を持つため高品質な画像生成したい場合にもってこいのツールです。
そんなComfyUIのメリットについて3つほど紹介していきます。
カスタマイズ性と拡張性に優れている
ComfyUIのには、高いカスタマイズ性と拡張性があります。
ノードベースのインターフェースを採用しているため、ユーザーはワークフローを自由に構築でき、各ステップを細かく設定することが可能となっています。
また、コミュニティで開発された多数のカスタムノードやスクリプトをインストールすることで、機能を無限に拡張することができる点でも優れているといえます。
企業のマーケティング素材の生成やEコマースでの商品画像編集、ゲーム開発のキャラクターデザインなど、幅広い用途で利用可能となっています。
処理の流れ(ワークフロー)が分かりやすい
ComfyUIのもう一つの利点は、処理の流れが視覚的に把握しやすい点です。
ノードを繋げることで、各ステップの処理を簡単に確認できます。
頭で理解するのにこのグラフィカルなUIは最適で、操作が慣れていない人でも処理の流れがイメージとして理解できます。
また、苦労して作成したワークフローも全て保存可能で、後から再利用もできるため扱いやすくなっている点も魅力でしょう。
コーディングの知識がなくても活用できる
ComfyUIはコーディングの知識がなくても扱えます。
通常、AI画像生成ツールではコーディングや設定が必要ですが、ComfyUIはノードベースで視覚的に操作できるためその点では初心者でも使いやすいです。
ComfyUIのデメリット

ComfyUIは多機能な一方でいくつかのデメリットも把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、各デメリットについてそれぞれの項目で解説していきます。
操作が複雑 操作性が悪い
ComfyUIの欠点の一つは、操作が複雑になる場合があることです。
多機能である一方、特に初心者にとっては操作性が難しいと感じる部分もあります。
UIの見た目もシンプルとは言い難く、初めて触るユーザーにとってはどこから始めればよいのか戸惑うことも少なくありません。
うまくプラグインも駆使しながら利用していく必要があるため、使い方はあらかじめ学んでおく必要があります。
学習曲線が高い
ComfyUIを使いこなすにはある程度の学習が必要となるでしょう。
特に高度なカスタムノードを使ったワークフローの構築には経験が必要で、生成したい画像の特定部分にだけエフェクトを加える場合などでは、そのノードの設定やパラメータの調整に慣れるまでは時間がかかってしまいます。
また、エラーメッセージや不具合が発生した際に原因を特定するのに時間がかかることも多く、初心者には少しハードルが高いと言えるでしょう。
ワークフローによっては画質が低下する恐れがある
ComfyUIは非常に柔軟なツールですが、ワークフローや設定によっては生成される画像の品質が低下してしまう場合があります。
特にデフォルト設定で進めてしまうと意図しない結果になることもあり、趣味以外の場面で公的に利用していく際はどんな設定が必要で何をしたら質が下がってしまうのかなど、ナレッジを蓄えていく工夫も必要となるでしょう。
ComfyUIのまとめ

ComfyUIはStable Diffusionを基盤としたAI画像生成ツールで、ノードベースのGUIを活用して簡単に画像生成を操作できることが特徴です。
ノードを利用して目で追いながら作業ができるので比較的初心者にも使いやすく、コーディングの知識がなくても利用できます。
使いこなせば様々なシーンで応用できるため、この機会にぜひたくさん利用して使い方をマスターしてみてはいかがでしょうか?
JITERAではこのようなAI関連ツールやシステム開発は得意領域としていますので、ご相談やご依頼がある場合は一度問い合わせてみてください。


