MVVMモデルとは?MVCモデルとの違いや仕組み、実装方法などをわかりやすく解説

MVVMモデルとは、効率的なシステム開発において重要なアーキテクチャです。多種多様な開発に活用される、人気の手法となりつつあります。そこでこの記事では、MVVMモデルについて詳しく解説します。

MVVMの基本構造、メリット、デメリット、MVCとの違い、実装方法、そして活用できるフレームワークまで幅広く紹介します。システム開発の効率化をしたいと考えている方はぜひ最後まで読んでみてください。

監修者 めだか

IT関連の会社でWebコーダー、某携帯キャリアでネット回線や携帯販売を行っていました。現在はライターを中心に、仕事で得た知識を活かして幅広く活動中。音声や動画の制作など、もの造りが好きです。

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    MVVMモデルとは

    MVVMモデルは、「Model-View-ViewModel」の略で、ユーザーインターフェース(UI)の設計パターンの1つです。アプリケーションの開発に主に用いられ、プログラムの仕事を適切に分担させられます。

    MVVMの構造は、以下の3つの主なコンポーネントから成り立っています。

    • Model(モデル):情報の保存や処理を担当
    • View(ビュー):ユーザーに情報を表示する役割
    • ViewModel(ビューモデル):データと見た目をつなぐ橋渡し役

    MVVMはUIロジックとビジネスロジックを分け、各コンポーネントの役割を明確化できます。開発の効率化やコードの再利用性の向上が期待できるアーキテクチャと言えるでしょう。

    MVVMとMVCモデル、MVPモデルとの違い

    MVVMモデルMVCモデルは、どちらもユーザーインターフェースのデザインパターンです。しかし、いくつかの重要な違いがあります。以下に主な違いを表でまとめました。

    それぞれが有効な開発ケースが存在するため、実際の開発にはどちらが適しているかしっかり見極めましょう。

    特徴 MVVM MVC MVP
    コンポーネント Model, View, ViewModel Model, View, Controller Model, View, Presenter
    View-Model(Controller)の関係 疎結合 密結合 密結合だが役割が明確
    データバインディング 双方向 単方向 双方向
    テストの容易性 高い やや低い 高い
    学習曲線 やや高い 比較的低い 高い
    適した開発規模 中〜大規模 小〜中規模 中規模

    構造と役割

    MVC、MVP、MVVMの主な違いは、ViewとModelの関係性を制御するControllerやPresenter、ViewModelの役割にあります。

    MVVMのViewModelは、ViewとModelの間で双方向のデータ連携を行い、データに変更があった場合は自動的にUIに反映される仕組みを持っています。

    MVCのControllerは、ViewとModelの間で情報を仲介する役割に留まり、UIの更新は手動で行う必要があります。

    MVPのPresenterは、ViewとModelを完全に分離し、全ての通信を仲介する役割を担っています。

    データバインディングの仕組み

    MVVMでは、ViewModelがデータバインディングの中心的な役割を果たしています。Modelのデータをview用に変換し、Viewでの操作内容をModelに反映するなど、双方向のデータバインディングを実現しています。データの変更は自動的にUIに反映されるため、開発効率が高く、保守性も優れています。

    これに対してMVCは、Controllerを介した単方向のデータバインディングを採用しています。UIの更新は手動で行う必要があり、データとUIの同期を取るための追加の実装が必要です。

    MVPは、Presenterを介して明示的にデータの更新を行い、ViewとModelの完全な分離を実現しています。

    テストの容易性

    MVVMは、ViewModelを中心としたデータバインディングにより、UIとロジックを分離したテストが容易です。特にViewModelのロジックテストは、UIの構築なしで実施できるため、効率的なテスト開発が可能です。

    MVCは、ControllerとViewの結合度が比較的高く、UIとロジックの両方のテストが必要となるため、テストの実装がやや複雑になります。

    MVPは、Presenterを介した明確な責務分離により、ユニットテストが書きやすく、高いテストカバレッジを実現できます。

    適用場面

    MVVMは、複雑なUIロジックを持つアプリケーションや、リアルタイムでの更新が必要なシステムに適しています。例えば、データ可視化ツールやSNS、ストリーミングアプリケーションなど、頻繁なUI更新が必要なケースで真価を発揮します。

    MVCは、シンプルなCRUD操作が中心のアプリケーションや、基本的な管理画面など、比較的単純なUI要件のプロジェクトに適しています。

    MVPは、ビジネスロジックが複雑で、テストや保守性を重視するプロジェクトに向いています。

    MVVMの仕組み

    MVVMの仕組み

    MVVMモデルの仕組みを理解するには、データの流れと各コンポーネントの相互作用を知ることが重要です。以下に、MVVMの基本的な処理の流れを説明します。

    1. Modelがデータソース(データベースやAPIなど)からデータを取得します。
    2. ViewModelがModelからデータを受け取り、Viewに表示するための形式に加工します。例えば、日付のフォーマット変更や計算処理などを行います。
    3. Viewは、ViewModelが提供するデータをユーザーに表示します。これは通常、データバインディングという仕組みを通じて自動的に行われます。
    4. ユーザーが画面上で操作(ボタンクリックなど)を行うと、ViewはそのイベントをViewModelに通知します。
    5. ViewModelは必要に応じてModelを更新し、更新されたデータを再びViewに反映させます。

    一連の仕組みにより、ViewとModelが直接やり取りすることなく、ViewModelを通じてデータの受け渡しが可能です。結果として各コンポーネントの責任が明確になり、コードの管理や変更も容易になります。

    MVVMのメリット

    MVVMモデルの採用で、開発者は幅広いメリットを受けられます。以下に主なメリットを挙げ、具体例を交えて解説します。

    再利用がしやすい

    MVVMでは、ViewModelがViewとModelの間のインターフェースとして機能します。ViewのUIとModelのロジックを分離して活用できるので、同じViewModelを異なるViewで再利用が可能です。そのため、情報を表示するViewModelを、デスクトップアプリケーションとモバイルアプリケーションの両方で使用できます。

    同じロジックを他のUIで再利用できるイメージです。例えば、入力された名刺や会社情報をDBに保存するビジネスロジックが挙げられます。

    依存関係を最小限に抑えられる

    MVVMは各コンポーネントが独立しています。そのため、1つのコンポーネントを変更しても、影響を最小限に抑えられます。ViewModelがViewとModel間でデータ処理を最適化するため、UIとデータを各々で紐づける必要はありません。

    また、双方向のデータバインディングで、ViewModelはViewの情報に依存せずにUIデザインを変更可能です。ViewやModelを変更する必要はありません。別々のコンポーネントで管理できるため、依存関係は最低限で済みます。

    コードの見通しが良くなる

    MVVMでは、各コンポーネントの役割が明確に分かれています。そのため開発の際に散見される、複数機能を利用するための長いコードの構造が整理され、全体の見通しが良くなります。ViewとModel間のやり取りはViewModelが自動で行うので、手動の更新が不要です。

    ViewModelの設計時に機能を最小限に抑えれば、再利用しやすく、わかりやすいコードを実現できます。一般的に大規模なプロジェクトでは、コードの管理や拡張が難しい傾向にあります。しかし、MVVMの使用で記述するコードの管理を簡略化可能です。

    テストが容易になる

    MVVMは他のアーキテクチャを使用した時と比べて単体テストが簡単です。View、ViewModel、Modelで単体のテストを実施できるので、テストに発生する手間を大幅に削減できます。

    ViewはViewModelから送信されるデータを表示するという明確な役割が存在するため、UIに関するテストを簡略化できます。一見テストが難しそうなViewModelとModelも、UIの操作は必要なくテストを実施できるので、保守性が高く、新しい機能の追加やバグ修正も容易に可能です。

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    テスト駆動開発(TDD)と相性がいい

    MVVMの構造は、テスト駆動開発(TDD)と相性が良いです。ViewModelの機能をテストファーストで開発し、その後Viewを実装するアプローチができます。 データバインディング自体は手動で実施する必要がないので、ロジックのテストに焦点を当てられます。

    合わせてMVVMは各コンポーネントの責務が明確に分かれているため、リファクタリングの影響範囲が少なく、テスト駆動開発も容易です。そのため、エンジニアごとに分担して品質の高いコードを効率的に記述できます。

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    MVVMの実装方法

    MVVMモデルを効果的に実装するためには、適切な手順と考え方が必要です。ここでは、MVVMの実装方法について手順を追って解説します。

    方法1. 開発環境の準備

    MVVMに適したプログラミング言語や環境を選択します。一般的な言語が以下のものです。

    • C#(WPF, Xamarin)
    • JavaScript(Vue.js, Knockout.js)
    • Swift(iOS)
    • Python(Kivy)

    また、データバインディングをサポートするフレームワークの使用の検討もしていきましょう。

    方法2. プロジェクトの構成

    プロジェクトのフォルダ構造を整理し、Model, View, ViewModelの各コンポーネントを明確に分離します。例えば、以下のような構造が考えられます。

    /src
    /models
    /views
    /viewmodels
    /services
    /utils

    方法3. Model(モデル)の設計

    アプリケーションのデータ構造とビジネスロジックを定義します。データの取得、保存、検証などの処理を実装します。

    例:javascript

    class UserModel {
    constructor(id, name, email) {
    this.id = id;
    this.name = name;
    this.email = email;
    }

    validate() {
    // バリデーションロジック
    }
    }

    方法4. View(ビュー)の設計

    ユーザーインターフェースを設計します。ViewModelとのデータバインディングを考慮し、プレゼンテーションロジックを最小限に抑えます。

    例(Vue.js):html

    <template>
    <div>
    <h1>{{ user.name }}</h1>
    <input v-model=”user.email” />
    <button @click=”saveUser”>保存</button>
    </div>
    </template>

    方法5. ViewModel(ビューモデル)の設計

    ModelとViewの橋渡し役となるViewModelを実装します。Modelのデータを加工し、Viewに提供するプロパティやコマンドを定義します。

    例:javascript

    class UserViewModel {
    constructor(userModel) {
    this.user = userModel;
    this.isValid = false;
    }

    validateEmail() {
    // メールアドレスのバリデーション
    this.isValid = /* バリデーション結果 */;
    }

    saveUser() {
    if (this.isValid) {
    // ユーザー保存ロジック
    }
    }
    }

    方法6. 各コンポーネントの連携(データバインディング)

    ViewとViewModelを連携させるためのデータバインディングを実装します。多くのMVVMフレームワークは、宣言的なデータバインディングをサポートしています。

    例(Vue.js):javascript

    export default {
    data() {
    return {
    userViewModel: new UserViewModel(new UserModel())
    };
    },
    methods: {
    saveUser() {
    this.userViewModel.saveUser();
    }
    }
    }

    方法7. テストの実施

    各コンポーネント、特にViewModelの単体テストを実装します。モックやスタブを使用して、依存関係を分離しテストを容易にします。

    例(Jest):javascript

    test(‘メールアドレスのバリデーション’, () => {
    const viewModel = new UserViewModel(new UserModel());
    viewModel.user.email = ‘invalid-email’;
    viewModel.validateEmail();
    expect(viewModel.isValid).toBe(false);
    });

    これらのステップを通じて、MVVMモデルの効果的な実装が可能です。

    MVVMで使えるフレームワーク

    MVVMアーキテクチャを効率的に実装するために、様々なフレームワークが開発されています。フレームワークは、データバインディングやコマンドパターンなどのMVVMの中心となる機能をサポートし、開発者の生産性を向上させます。

    ここでは、代表的なMVVMのフレームワークをいくつか紹介します。

    MVVM Light

    MVVM Lightは、.NET開発者向けの軽量で柔軟なMVVMのフレームワークです。コミュニティが活発で、学習リソースが豊富なメリットがあります。

    WPF、Xamarin、UWPなど、幅広いプラットフォームをサポートしており、WPFアプリやモバイルアプリなど簡単なアプリケーションの作成に向いています。簡易的ですがDIコンテナも活用できます。

    導入が容易でシンプルな構造かつ学習曲線が緩やかなため、MVVMの基本を学びたい初心者の方におすすめです。

    MVVM Lightの詳細を見る

    MVVM Toolkit

    MVVM Toolkitは、Microsoft社が開発しているMVVMフレームワークです。拡張性が高く多種多様な開発に活用が可能で、特にDIやデーバインディングの機能に優れています。Microsoft社公式がサポートしており、常に最新の技術に対応が可能です。

    .NET開発者向けに設計されているので、WPF、UWP、Xamarin.Formsなどのプラットフォームをサポートしています。豊富な機能と優れたパフォーマンスを用いて、大規模なアプリケーション開発に適しています。

    MVVM Toolkitの詳細を見る

    MVVM Cross

    MVVM Crossは、iOS、Android、UWP、macOSなどモバイル方面のクロスプラットフォーム開発に特化した、MVVMフレームワークです。5000社以上の企業が開発に活用した実績があり、コミュニティによる強固なサポートが受けられます。

    コードベースを使用して容易に動作とビジネス ロジックを共有が可能です。加えてデータアクセス、位置情報サービスと幅広い機能を追加できるプラグインを有しており、効率的な開発ができます。主にモバイルアプリケーションを開発をしたい方におすすめです。

    MVVM Crossの詳細を見る

    MVVM Kit

    MVVM Kitは、iOS開発者向けのSwiftベースのMVVMフレームワークです。WPF、UWPに対応しており、iOSアプリケーションの開発効率を大幅に向上できる特徴を持ちます。

    シンプルな構造と使いやすさが特徴で、軽量なため負荷もかかりません。Combineフレームワークとの統合も容易で、リアクティブプログラミングとの相性が良いです。依存関係が少ないため互換性に優れ、柔軟な開発を可能とします。

    スピーディな開発を行いたい方や、小規模から中規模の開発におすすめのフレームワークです。

    MVVM Kitの詳細を見る

    MVVM導入時のデメリットや注意点

    MVVMモデルには多くのメリットがありますが、導入する際にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。ここでは、それらを詳しく解説し、実装上のポイントを紹介します。

    構造が複雑でわかりにくい

    MVVMの構造は、小規模なプロジェクトでは過剰に複雑になる可能性があります。単純なアプリケーションでMVVMを採用すると、オーバーエンジニアリングになってしまう恐れも少なくありません。

    プロジェクトの規模や要件に応じて、適切なアーキテクチャを選択することが重要です。

    冗長的なコードになる

    MVVMでは、各コンポーネントをそれぞれ設計する必要があります。そのため、全体のコード量が増加する傾向です。

    特にViewModelの実装では、ModelのプロパティをそのままViewに渡すだけの単純な処理でも、別途コードを書く必要があります。

    小規模のアプリケーション開発には向かない

    MVVMは大規模で複雑なアプリケーションに適しています。そのため、小規模なプロジェクトではオーバーヘッドを起こしやすいです。

    シンプルなアプリケーションでは、MVVMよりもMVCを導入した方が開発効率が上昇する場合があります。

    学習曲線がやや高い

    MVVMの概念や実装方法を習得して開発に活用するには、ある程度の時間と努力が必要です。特に、データバインディングやコマンドパターンなどの関連技術の理解が求められます。

    チーム全体がMVVMを理解し、効果的な活用までに時間がかかる可能性があります。

    まとめ:MVVMは開発を効率化できるアーキテクチャパターン

    MVVMモデルは、UI開発を効率化し、コードの保守性を向上させる強力なアーキテクチャパターンです。複雑で品質の高いアプリケーションの開発をするには、最適な選択の1つでもあります。

    しかし、MVVMの導入には適切な判断が必要です。プロジェクトの規模や要件、チームの経験などを考慮し、MVVMが最適な選択肢なのかどうかを慎重に検討する必要があります。

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