HugoはGo言語で開発された高速な静的サイトジェネレーターです。テンプレートとMarkdownファイルからHTMLベースのウェブサイトを爆速構築できるのが大きな特徴です。
データベースが不要でセキュリティリスクも低いため、技術文書公開サイトやブログサイトの作成に最適なツールといえます。本記事では、Hugoの仕組みと効果的な活用法について解説します。
東京在住、大手IT企業出身、Web業界10年以上のアラサーです。新規事業開発やシステム開発にプロジェクトベースで関与したりこれまでの経験をもとに執筆活動を行っています。
Hugoとは

Hugoは静的サイトジェネレーターと呼ばれるツールの1つで、Go言語で開発された高速なHTMLサイト作成ツールです。マークダウンファイルからサイトを生成できるため、ブログやドキュメントサイト構築に最適です。
Go言語で実装された高速なサイトジェネレーター
HugoはWebサイト構築用のフレームワークで、Go言語で実装されています。そのため、他の言語よりもはるかに高速にサイトのビルドを行うことができます。1万ページ規模の大規模サイトでも数秒でビルドできるスピードが魅力です。
Go言語は、Googleが開発した近年注目されている言語で、パフォーマンスと並行処理に大きな強みがあります。その高速な処理能力を最大限に引き出せるようHugoがデザインされているため、ビルド速度が他を大きく引き離しています。
また、並行処理を活用することでマルチコアのCPUや複数台のサーバーを同時に処理させることもできます。リソースをフルに使っての高速化が実現でき、大規模化にも対応が可能です。開発者はサイトの成長に合わせてスケールアウトしていけるのが強みです。
テンプレートとマークダウン形式からHTMLサイトを生成
Hugoでは事前に作成されたテンプレートに、ユーザーが用意したマークダウン形式の記事コンテンツを当てはめることで、最終的なHTMLのウェブページが生成されます。マークダウン記法で記述できるために、執筆作業の効率が大きく向上します。
マークダウンは、見出しやリスト、リンク、画像貼り付けといった基本的な記法があるだけで、簡単に記事を作成できるのが特徴です。コーディング不要で直感的な記述が可能なため、執筆作業に集中できるのが魅力です。
そして作成されたマークダウンファイルをHugoが読み込み、HTMLやCSSファイルに変換。これによって完成されたマークアップ構造のウェブページが出力されます。テンプレートとマークダウンを組み合わせるこの仕組みが、Hugoの高速性を実現している要点といえます。
データベース不要で、セキュリティリスクも低減
Hugoは動的なデータベースを使わず静的HTMLファイルのみでサイトを構成するため、サーバー負荷も少なくセキュリティ面でのリスクが低減されます。またJavaScriptより軽量なため表示速度も極めて高速です。セキュリティと速度を両立できるのが大きな強みです。
通常のCMSでは記事投稿時にDBへの書き込みと、ページ表示時のDB読み出しのオーバーヘッドが生じます。しかし、Hugoは事前に静的HTMLを生成するアーキテクチャのためこれが不要で、サーバー資源の消費が少なくて済みます。
また、DBを持たない分だけサーバー上の脆弱性も減少します。セキュリティ面でのメリットも大きいため、セキュリティを重視する企業サイト等に最適といえます。JSに比べ約4割の軽さも高速表示に貢献しています。
Hugoを利用するメリット

高速処理で大量コンテンツにも対応
Hugoの最大の特徴は、Go言語による高速処理です。大規模なサイトでも数秒でページの生成が完了するため、大量のコンテンツでもストレスなく扱えます。サイトの成長に合わせて、こまめにビルドを実行することが可能です。
1万ページ規模の巨大サイトでも、Hugoなら10秒程度でのビルドが可能です。新しい記事を追加した時やデザイン変更した時もすぐに反映できるため、サイトの進化や拡大に柔軟に対応できます。
また、インクリメンタルビルドにも対応しているため、変更のあったページのみを再生成することができます。必要な部分のみ高速再生成することで、コンテンツ制作のサイクルを更に加速させることができるのです。
セキュリティリスクの低減
Hugoはサーバーサイドでの処理がほぼ不要な静的サイト生成システムのため、ウェブアプリケーション固有のセキュリティリスクを回避できます。また脆弱性の修正もHugo自体のアップデートのみで済むため管理コストが低くなります。
サーバー上で動的なコンテンツ生成は、脆弱性の温床となりがちですが、Hugoはデプロイ後は静的ファイルの配信のみ。攻撃対象が最小限で、リスクを抑えることができます。
また、サーバーレス環境に最適化されており、AWSなどで管理スタッフ不在の完全サーバーレス運用も可能です。この場合、サーバーレスという名の通りサーバーそのものが存在しないため、攻撃対象は皆無に等しいセキュリティを実現できるのです。
テーマのカスタマイズしやすさ
Hugoは様々なレイアウトのテーマが既に用意されており、テーマテンプレートファイルを直接編集することで、比較的容易にデザインをカスタマイズすることができます。高度な処理をJavaScriptで実装することも可能で、自由度の高いカスタマイズが魅力です。
Hugoの標準テーマには、Clean BlogやCreative Portfolioなど多彩なデザインテイストのものがあります。レイアウト変更やCSSのカスタマイズが基本的に可能です。また、ShortcodesやPartialsといった機能を使えば、JSやCSSの組み込みもできます。
豊富なテーマ群から好みのデザインを選び、自由度の高いカスタマイズを加える。この2ステップで、オリジナルテーマを実現できるのがHugoが提供する高いテーマ自由度の現れです。
技術文書サイトに最適
HugoはHTMLとCSSの知識があればカスタマイズ可能な点も魅力の1つです。技術解説記事やマニュアル、APIドキュメントやチュートリアルのような技術文書サイトの作成に最適といえます。
記事の内容が固定的で更新頻度の低い文書であればあるほど、Hugoで構築したほうが長所を発揮できます。表示速度の速さとセキュリティ面の安定性を両立でき、読者にストレスなく知見を提供できるのが大きなメリットです。
ブログサイト作成にも向く
Hugoはブログサイトの作成にも向いています。マークダウン構文の習得には若干のコストがかかりますが、記事作成のハードルを下げる効果が大きいです。記事更新作業のスピード感が生きるシーンです。
また、豊富なテーマをカスタマイズすることでブログらしい個性的なデザインが実現できます。高速表示とデザイン面での自由度の高さが、ブログサイト作成におけるHugoの強みといえます。
Hugoを使用することで、さまざまな種類のWebサイトを簡単に作成することができます。
そもそも静的サイトジェネレータって何?

静的サイトジェネレータの仕組み
静的サイトジェネレータとは、サイトを構成するHTMLファイルを動的に生成するのではなく、予めビルド時にすべてのHTMLファイルを作成する仕組みです。
事前に用意したテンプレートと記事の元データを組み合わせることで、HTMLファイルを静的に生成します。サーバー上で動的なプログラムを処理することがないので、表示速度とセキュリティの両立が可能となります。
通常のCMS(コンテンツマネジメントシステム)が記事投稿時にDBへの書き込みと、ページ表示時のDB読み出しで動的にHTML生成するのに対し、静的サイトジェネレータは事前のビルド時に全ページの静的HTMLを作成します。
そのため、公開後は高速な静的ファイルの配信のみで済むため、サーバーの処理能力以上のアクセスが集中した場合でも対応が可能です。また、DBを持たない分だけサーバーの攻撃対象が減るため、セキュリティリスクも低減されるという効果もあります。
Hugoの優れた生産性
Hugoはこの静的サイトジェネレータの中でも、開発速度と拡張性に優れています。記事データをマークダウンで記述でき、技術系コンテンツに最適化された豊富なテンプレートが利用できます。
記事の作成・更新作業を高速化し、開発者の生産性を最大化することがHugoの大きな特徴です。GitHubと連携した、自動ビルド・デプロイまで実現できるので、運用面でも大きなメリットがあります。
初心者でも短時間で美しいサイトが構築できる点も魅力的です。使い方に慣れれば、マークダウン記法の習得だけで直感的な記事作成が実現できます。大量のコンテンツを扱う場合でも、他CMSより圧倒的に開発期間を短縮できるのは大きな強みといえます。
Hugoの使い方

Hugoはコマンド1つで、高速にサイト構築を実現する静的ジェネレーターです。
簡単な手順で、テーマ設定からマークダウン記事の作成、HTML出力までを行うことができます。インストール方法は、Homebrew等のパッケージマネージャーを使うのが便利で、手軽に導入可能です。基本的な使い方をマスターするだけで、誰でもサクッと美しいサイトを構築できるのが魅力です。
Hugoのインストール
Hugoを利用するにあたって、まずインストールする必要があります。
インストール方法としては、公式サイトからパッケージをダウンロードしてインストールする方法と、HomebrewやChocolateyなどのパッケージマネージャーを使う方法があります。
コマンドラインツールであるHomebrewでインストールする場合、ターミナルで brew install hugo を実行するだけで完了します。簡単に導入できるため、おすすめの方法です。
Windows環境の場合はChocolatey、Mac以外のLinuxではSnapやAptなどを使ったインストール方法も用意されています。プラットフォームごとのパッケージ管理ツールを活用することでスムーズにインストールが可能です。
サイト作成の手順
Hugoでのサイト作成手順は以下の通りです。
hugo new siteコマンドでHugoサイトのひな形を作成git cloneコマンドで好みのテーマをダウンロードconfig.tomlファイル内で使用テーマを指定contentディレクトリ内でMarkdown記事を作成hugoコマンドを実行しHTMLファイルをビルドhugo serverでローカルサーバーを立ち上げプレビュー
以上のように、簡単な手順でHugoサイトを初期化から、ビルド・プレビューまでを行うことができます。基本的な使い方をマスターすることで、効率的にサイト構築を進められます。
Hugoの便利な機能
Hugoには、開発者の作業効率を大きく向上させる機能が数多く搭載されています。
例えば、記事へのカテゴリやタグの割り当て、新着順や人気順などの自動インデックス生成機能などが標準装備されており、記事の分類・管理がスムーズです。
また、数多くの美しいテーマが用意され、必要に応じてCSSやレイアウトのカスタマイズもできます。開発者はサイトの見た目や機能面の改善に集中できるのが大きなメリットです。
このように、Hugoが用意する様々な機能を活用することで、開発効率とウェブサイトの完成度を同時に高めることが可能となります。
Hugoの限界と対策

Hugoは高速性とセキュリティの良さがメリットですが、全てが完璧という訳ではありません。効果的に活用するためには課題への対応が欠かせません。本記事では、主要な課題と対策を解説します。
動的な変更が難しい → JavaScriptとの連携で補完
Hugoの課題の1つに、サーバーでの動的な処理ができない点があります。しかしJavaScriptを活用することで、ある程度はカバーが可能です。例えば、フォーム入力内容をAPIで処理し、サイトを動的に更新することができます。また、外部データをAPI経由で引き込み、表示することもできます。JavaScriptとの連携によって、静的サイトながら動的表現を実現できます。
具体的には、Vue.jsやReact.jsといったJavaScriptフレームワークを利用して、クライアントサイドで必要なUI操作を実装できます。また、サーバーレス機能を提供するAWS LambdaやFirebase Cloud Functionなどと連携させることで、動的データの取得・加工やユーザー操作とデータベースの同期なども可能です。
セキュリティ対策が必要 → 最新バージョンへの更新等
Hugoは公開時の脆弱性が少ないものの、総合的なセキュリティ対策が欠かせません。 コンテンツ管理者は依存性の脆弱性を常にチェックし、必要なライブラリのアップデートをこまめに実施する必要があります。また、GitHubやGitLab上で最新のHugoを使用して自動ビルドを実行することで、セキュリティと保守性を高められます。
特にGitHub Actions等を利用した自動ビルド・デプロイを設定している場合、リポジトリ内のHugoが自動更新されるためエラーを防ぎつつ、常に最新の安全が確率されたものを公開することが可能です。
併せて、SSL暗号設定の強化やWAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)の設定によるアクセス制限、ログ監視の徹底など、総合的なセキュリティ対策を推奨します。
Hugoの課題点と対策

HugoはGo言語で実装された高速な静的サイトジェネレーターです。マークダウン形式のテキストファイルを入力として、テンプレートに基づいたHTMLページを一括生成することができます。
生成される静的なWebサイトは高速表示が可能で、セキュリティ面でも優れているのが大きな特徴です。一方で動的な変更への対応に課題があることも事実です。
しかし、JavaScriptを活用した動的表現や、Github等での自動ビルドによって、課題はある程度克服が可能です。極めて高い開発スピードと運用性を兼ね備えているのがHugoの最大の魅力だと言えるでしょう。
本記事が、Hugoの考え方と基本的な使い方を知るきっかけとなれば幸いです。ぜひ導入を検討してみてください。
Hugo含めた技術選定など開発課題をお持ちの方は、ぜひ一度Jiteraまでご相談ください。
