PwCコンサルティング合同会社

PwCコンサルティング、「Jitera」を含む生成AIの導入と複合活用で実現する開発革新

  • #開発効率化
  • #開発自動化
  • #SI業
PwCコンサルティング合同会社

会社名

PwCコンサルティング合同会社

業界

コンサルティング

業種

サービス業

従業員規模

約12,700人(2024年度)

インタビュー担当者

PwCコンサルティング

PwCコンサルティング Digital & AI Transformation(DAX)チーム
/マネージャー N.H.(写真右)
/シニアアソシエイト S.O.(写真左)

Jitera

Head of Customer Success and Pre-sales, JP Y. N.

エンタープライズ開発で問われる「スピード・品質・再現性」をどう両立するか。PwCコンサルティングの技術部門は、各生成AIツールを段階導入・比較検証し、工程ごとに最適な役割を与える運用へ移行しています。本記事はその取り組みを紹介する特別編で、「Jitera」を含む複数の生成AIツールの選定・配置・運用ルールについてお聞きしました。

PwCコンサルティング 技術部門と生成AI活用について

― 担当部署についてお聞かせください。

N.H.:私たちはコンサルティングファーム内のエンジニアリングチームで、主に開発を担当しており、Technology Drivenで提案することを得意としています。 

当部署では、PoC(概念実証)から本番運用までを一貫して支援し、そこで得られた成功パターンをテンプレート化し、他プロジェクトへ横展開することで、再現性とスケーラビリティを両立させています。これは、生成AIのような先進技術を“実験”で終わらせず、確実にビジネスインパクトへと昇華させるための仕組みです。

チームには、Web・クラウド・データエンジニアリング・スクラムマスター・プロジェクトマネジメントなど、各領域のスペシャリストが集結しており、複雑な課題に対しても多角的かつスピーディに対応できる体制を整えています。特に生成AIの活用においては、技術的な深さと業務理解の広さを兼ね備えたメンバーが、クライアントの構想段階から伴走し、AIを実装可能なソリューションへと落とし込む役割を担っています。

― クライアント企業の主な業界があれば教えてください。

N.H.:業界・規模問わず、様々なクライアント企業にコンサルティングサービスを提供しています。またクライアントの課題に合わせたコンサルタントとエンジニアのチームを組み、最適な形で価値を提供できるようプロジェクトを実施する体制を取っています。

― 生成AIの導入の背景についてお聞かせください。

N.H.:開発スピードと品質の両立、そして再現性の確保が主要課題としてあります。特に、設計・テストの属人化によるリードタイムのばらつき、案件ごとに異なる「やり方」による学習の分散、スピードとセキュリティの両立が悩みどころでした。

当部署はコンサルティングの中で開発を行うことにおいて、いかに迅速にクライアントのご要望にお応えするものを作っていくかということが非常に求められます。従来モデルだと高品質=時間をかけてテストが必要で、クライアントとお約束しているタイムラインにアラインできないため、品質・スピード・ガバナンスのいずれも妥協しない開発プロセスの確立を目指しました。

そのため生成AIを活用した開発ができないか、私たちのチームで検証をしていたという背景があります。その中で「Jitera」を含む3つの自動化ツールが候補にあがり、現在は、ツールとプロセスの両面からの是正を目標に、プロジェクトごとに検証を進めています。

生成AIの導入方針、複数のツールを統合した設定方針

― 生成AIの導入方針についてお聞かせください。

N.H.:私たちはセキュリティ面を第一に考え、情報漏洩のリスクがないという点でクライアントに安心して利用いただけるツールを選定しました。

通常、生成AIはデータがどう使われているか見えてこないですよね。そのため、クライアントに説明しにくく、生成AIの使用における課題でした。ただ効果的に生成AIを使えば良いのであれば、当社のエンジニアが純粋なAIツールを使って十分に遂行できます。しかし、そうはいかない。オンプレミスモデルのようなパターンも含めて使えることをクライアントにお話ができるのは、管理者視点で非常に大事だと考えています。

S.O.:導入フローは「課題—効果—運用」の観点で評価し、選定しています。どのボトルネックを何%短縮できるか、テンプレート化や周辺ツール連携の余地は十分か、TCO(導入・運用・学習コスト)は妥当か。まず小規模PoCでスコアリングし、段階的な導入を計画しました。

― どのように各生成AIツールを使い分けているかお聞かせください。

N.H.:まず、フェーズに応じた適切なツールはどれなのかを考えて、適宜プロジェクトに導入しています。これまでに「Jitera」「クラウド型E2Eテスト自動化ツール」「AIコーディング支援エディタ」の検証・導入を進めてきましたが、例えば「Jitera」は設計・製造フェーズでの単体テストにフォーカスして使用しています。結合テストや総合テストの際は、テスト自動化の文脈で生成AIとして適切なツールを選定しています。

各ツールの位置づけ

― 「Jitera」の位置づけについてお聞かせください。

N.H.:「Jitera」は、ドキュメント、設計、UIデザイン、コーディングまでを一貫して扱い、個人の生産性だけでなく「チームとしての再現性」を高めることに主眼があります。プロジェクト運営とチーム開発に最適化された「全体最適のためのAI」です。

― 「クラウド型E2Eテスト自動化ツール」の位置づけについてお聞かせください。

S.O.:ブラウザやデバイスを跨いだ回帰テストを省力化します。ノーコードでシナリオ作成・並列実行ができ、UI破壊の早期検知に有効です。導入にあたっては、クライアントと共に設計・導入・運用の各フェーズで密に連携し、現場の要件や運用課題を把握しながら進めていきました。重要導線のみをE2E、その他は契約/APIテストに役割分担し使用しました。

― 「AIコーディング支援エディタ」の位置づけについてお聞かせください。

N.H.:エディタにAIを組み込んだツールで、コード補完や修正提案、リファクタリング、レビュー支援といった機能により、中〜上級エンジニアが高い生産性で開発できます。プロジェクト全体を統括するのは「Jitera」、日々の実装やテスト、レビューといった個別の開発作業を効率化する場面で活用しているのが、「AIコーディング支援エディタ」です。

生成AI活用による開発スタイルの変化

― 生成AI導入後のプロセスの変化についてお聞かせください。

N.H.:従来は、要件→設計→実装→テスト→リリース→運用の直列進行で、かつドキュメントやテスト作成は人力中心でした。AI前提では、ユーザーストーリーやアーキテクチャ比較の初稿を生成AIで用意し、レビューに人の判断を集中させています。

実装は「Jitera」で基盤とCRUDを素早く立ち上げ、ドメインロジックをAI支援で補完します。テストはユニット/契約を自動生成から始め、重要導線のみE2Eに寄せます。また、CI/CDでは品質ゲート(テスト、カバレッジ、脆弱性)を自動化し、例外時のみ人が介入しています。

S.O.:運用フェーズにおいてもツールの導入は効果を発揮しています。例えば、システムの監視や障害検知、ログ解析など、従来は人手で対応していた作業をAIが自動化することで、運用担当者の負担を軽減できます。また、AIがリアルタイムで異常を察知し、迅速な対応策を提案するため、サービスの安定稼働や品質維持にも寄与しています。私たちとしては、開発から運用まで一貫してAIを活用することで、プロジェクト全体の生産性向上と効率的なサポートを実現しています。これにより、限られたリソースでも高品質な運用が可能となり、クライアントの満足度向上につながっています。

Y. N.:クライアントからの指定があったり、ひとつのツールに一点集中させるのは難しかったりする場合に、やはり生成AIの組み合わせと使い方が大事になってきますね。現在、「Jitera」はMCP連携を部分的に提供を開始しています。ぜひ、そういうケースで活用していただきたいです。

― プロセスが変わった具体例があればお聞かせください。

S.O.:特に「ドキュメント作成」の観点で変化がありました。現状、同時並行で複数のプロジェクトを抱えながら開発を進めることが多く、次のプロジェクトにすぐ移らなければならない状況があります。さらにメンバーの入れ替えも発生するため、引き継ぎ書のような役割として設計書は必須です。その点で「Jitera」を活用しています。生成AIに”設計書をソースコードから書いて”と指示すれば、設計書を書いてもらえます。

Y. N.:どうしても先にドキュメントを作る必要があるというような順序性が変わったということですね。特にアジャイルだと、インクリメントファーストで動くものを実施すると言いつつも、結局エンタープライズのプロジェクトだと何か設計が見えたものがあって、コードがあるという流れがあったと思います。

しかし、生成AIを開発に組み込むことで、コードファーストみたいなことができるようになったということですね。その他にAIを前提とした場合にバリューチェーンが変わったなど、プロセス自体の変化はありましたか。

S.O.:はい、全体的に大きく変化したと思います。まず開発に関して、プロンプト等で要件を伝えるだけで開発できるため、これまでのように私たちがソースコードを書くことがほとんど無くなりました。

生成AI導入・検証による効果

― 生成AI導入後の効果についてお聞かせください。

N.H.:私たちは「Jitera」「AIコーディング支援」「E2E自動化ツール」を、それぞれ異なるプロジェクトで段階的に試しましたが、各プロジェクトにおいて効率化が実現できています。「Jitera」ではコーディング工数が平均約3割削減でき、短縮できた時間を例外系テストやリファクタなど品質向上に再投資しています。

考えるべき次の課題

― 生成AI導入後、新たな課題があればお聞かせください。

N.H.:先程S.O.が言ったことを踏まえて、私のようなプロジェクト管理や品質管理を行なう立場からすると、生成AIが出したものの妥当性や正確性をどのように評価するべきかという新たな課題が出てきたと思ってます。

例えば出力されたのは正しいソースコードなのか、コーディング規約の通りに出ているのかなど考えなければいけないんです。人間がやれば正確というわけでもないのですが、AIをどこまで信用するかは難しい問題です。

特に私が考えなければいけないのはテストケースですね。まずはスピード感を求めてリリースを最優先するクライアントの場合は、後から直そうという方針で進めたりします。しかし、リバースエンジニアリングを使うような品質の良いシステムがすでに動いていて、それを刷新をするという場合は、いかにMECEなテストを起こすかが非常に大事になってきます。

例えば、AIがテストケースを500項目も出してきてしまった場合にそれが妥当なのか、どう評価するべきか、考えなければいけません。これは課題でもあり、次に生成AIに期待するところです。

今後の生成AI活用について

― 今後、「Jitera」やその他の生成AIをどのように活用していくかお聞かせください。

N.H.:短期的には、「Jitera」を活用したテンプレート、品質ゲート、ドキュメント自動生成を統合した“着工キット”の整備を進めています。これは、プロジェクトの立ち上げを高速かつ高品質に再現可能にする仕組みであり、生成AIを業務プロセスに本格的に組み込む第一歩です。特に注力しているのは、AI活用がまだ十分に進んでいない「要件定義」フェーズと、AIの出力の妥当性評価です。この2点は、生成AIを単なる補助ツールから“構想支援のパートナー”へと昇華させる鍵だと考えています。

現在、業界全体でプロセスの標準化と自動化が進む中、定型業務の効率化はある程度達成されています。しかし、最も複雑で属人性が高く、かつクライアントのビジネス価値に直結するのが要件定義です。PwCコンサルティングでは、生成AIを活用してこの領域を構造化・モデル化することで、設計プロセスそのものを再定義しようとしています。

例えば、クライアントが明確なビジョンを持っていない場合でも、既存システムの情報や過去の事例を生成AIに入力することで、「このような業務設計が可能ではないか」「この課題にはこういったアプローチが有効ではないか」といった仮説生成やモデリングが可能になります。これは、従来のヒアリングベースの要件定義を超え、AIとの共創による構想支援へと進化するものです。

さらに、要件定義からテスト、リリース直前までの工程をAIが支援することで、人間はその妥当性や適切性の判断に集中できるようになります。これは、AIと人間の役割分担を最適化することで、プロジェクト全体の生産性と品質を飛躍的に高めるアプローチです。

“要件定義から”という視点は特に重要です。要件定義がうまく進まないメンバーがいる場合や、「全社方針だから」という理由だけでプロジェクトが進むことがあり、現場担当者が目的や進め方を十分に把握できていないことがあります。 PwCコンサルティングでは、そうした曖昧さを構造化し、プロジェクトの目的と進行を明確にする支援を通じて、AI時代のコンサルティングの新しいスタンダードを築いていきたいと考えています。

例えば、クライアントが具体的なビジョンをお持ちでない場合、私たちも模索しながら進めています。その際に、既存システムの情報や事例を生成AIに入力することで、例えば「こういうやり方をしているなら、こういう解決策が考えられるのではないか」といった提案やモデリングが可能になるといいなと思います。生成AIによって要件定義からテスト、リリース直前まで効率化が進み、人間はその妥当性や適切性を見極める役割を担う。そうした関わり方が最も効率的だと考えています。

“要件定義から”というのは特に大事で、実際に要件定義をうまくできないメンバーがいたり、エンタープライズのクライアントの場合に、全社方針で“やることが決まったからやっている”という前提で進められたりしているケースも多いです。フロントに立つ担当者の方自身が「どう進めればいいのか」「何のためにやるのか」をあまりイメージできていないことがあります。そうした部分も含めて、組み立てを支援していく必要があると感じています。

Y. N.:引き続き、Jiteraも様々な形でご支援できればと思っております。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

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