「車両管理システムって何?できることが知りたい」
「車両管理システムの具体的な機能は?導入するメリットが知りたい」この記事では車両管理システムの概要を説明し、代表的な8つの機能を紹介します。また車両管理システムを導入する際の流れや、システムの選び方の解説を行っています。 車両管理に関する専門知識がない人にも分かりやすいよう、専門用語を極力使用せず、使用する場合は必ず説明を加えています。この記事を読めば車両管理システムの役割や、導入するメリットが理解できるため、是非最後まで目を通してみてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
車両管理システムとは?
車両管理システムとは、企業が事業で利用する車両を、安全かつ効率よく運用・管理するためのシステムのことです。英語表記でFleet management(フリート・マネージメント)と記載される場合もあります。 このセクションでは車両管理システムの機能を説明し、システム導入の必要性について解説していきます。
車両管理とは
車両管理という言葉は、社用車を管理する業務全体を指します。車両だけでなく、ドライバーに対する業務管理も車両管理の一環です。以下、車両管理に含まれる代表的な業務をまとめます。
車両に対して |
各車両の運行管理 |
それぞれの車両の稼働率を把握 |
保険・車検の管理 |
ドライバーに対して |
運行業務の管理 |
ドライバーの稼働率の把握 |
運転日報の管理 |
安全運転・交通事故の防止に対する指導 |
トラックなど緑ナンバーの車両だけでなく、営業車などの白ナンバーの車両も車両管理の対象です。所有車両だけでなく、リース車両も管理の対象となります。
車両管理システムの必要性
車両を運用している企業・団体では、上記した車両管理の業務がどうしても必要となります。しかしExcelなどを使った情報の管理には限界があります。 記録が分散しやすく、また記録が増えていくにつれて把握が困難に。車両管理の業務を担当する人員や、現場のドライバーたちの負担が年々増えていってしまいます。 車両管理システムは、車両管理の業務を一元的に管理できるシステムです。車両とドライバーの運行状況を管理し、全ての車両が今どこにいるのかを把握。また車両のルートや速度を記録することができ、効率の良いルートや安全運転に対する指導も行えます。 車両管理システムを導入することで、車両管理の業務に対する負担を大きく軽減できます。またドライバーの業務の効率化も図れるため、ドライバーの負担軽減や交通事故の防止にも繋がります。
依頼する前に確認するポイントは?
導入を検討する前に、まず車両管理システムにはどのような機能があるのか確認しておきましょう。このセクションでは車両管理システムの代表的な機能を8つ紹介します。
予約管理機能
予約管理機能は車両の使用状況をシステム上で管理し、予約ができる機能です。共用の社用車のスケジュールを全員で共有し、使用の予約やキャンセルを行うことができます。 どの車両をいつ誰が使用するのかを明確化でき、社用車の運用上のトラブルを回避できます。またスマートフォンアプリと連動できるシステムの場合、社外からも使用状況の確認が可能です。複数の社用車を複数人が使用する、営業車などで非常に便利な機能となっています。
デジタルキー機能
デジタルキー機能とは、従来の鍵ではなく、スマートフォンを用いて車両の開錠・施錠を行う機能のことです。1台の車両に対して複数の合鍵を作る必要がなくなり、鍵の紛失といったトラブルもなくなります。 鍵の機能は指定された時間だけ有効となり、スマートフォンを紛失した場合でも、遠隔操作で鍵の機能をオフにできます。そのため防犯性に非常に優れており、レンタカーの管理業務などでも積極的に取り入れられています。 また非対面で鍵の受け渡しができるのも大きなメリットで、物理的に鍵を管理する負担を無くすことができます。
アルコールチェック機能
2022年4月の道路交通法の改正で、管理者に対して、ドライバーのアルコールチェックが義務付けられました。しかし多くのドライバーが所属する企業・団体において、全員を詳しくチェックして記録に残すことは、管理者の大きな負担となってしまいます。 アルコールチェック機能では、測定結果をシステム上で管理することが可能です。またシステムによってはアルコールチェッカーと連動でき、測定結果が自動で記録されます。 そのため管理者の負担を大きく軽減でき、チェックの精度は向上。ドライバーの拘束時間も減るため、日々の業務の円滑化に繋がります。
日報類のデジタル化機能
車両管理の業務において、最も煩雑化しやすいのが日報の管理です。車両とドライバーごとの日報・月報の管理。そして車両の点検記録や、アルコールチェックの記録を保存しなくてはなりません。 車両やドライバーが増えるごとに記録量は増えていき、年数を重ねるごとに膨大な量のデータになっていきます。そのため記録が分散しやすく、現状の把握にも時間がかかってしまいます。 日報類のデジタル化機能がある車両管理システムでは、日報・月報が自動でデータ化され、システムに提出されます。管理者の負担を大きく軽減するだけでなく、ドライバーの日々の負担も軽減されます。
車検や保険更新時期のアラート機能
車両管理の業務において、絶対に忘れてはならないのが車検・保険の更新です。しかし手作業での管理では、ヒューマンエラーのリスクが常に付きまといます。 多数の車両を管理しており、車両によって更新の時期にズレがある。あるいは更新時期と繁忙期が重なるなどの原因により、更新漏れが発生した事例が存在します。 アラート機能を利用すれば、車検・保険の更新時期が近づくと自動で通知が届きます。これにより、更新漏れの発生リスクを限りなく低減できます。
運転傾向分析機能
運転傾向の分析機能は、ドライバーの全ての運転状況を記録し、分析する機能です。例えば急発進や急ブレーキを検出する「安全評価」システムや、アイドリングストップを確認する「エコドライブ評価」システムなどがあります。 分析機能の導入により、ドライバーの運転状況に合った指導が可能です。ドライバーが自覚してない危険な運転も検出できるため、未然に事故を防止し、ドライバーの身を守ることにも繋がります。
動態管理機能
動態管理機能とは、GPSで車両の位置情報を把握し、システムに記録する機能のことです。車両の現在地が常に記録されるため、走行ルートもデータ化されます。 動態管理機能の導入によって、全ての車両の運行状況を把握できます。また車両管理システムの中には、全ての車両の走行ルートを記録し、最適な走行ルートをドライバーに提案するシステムもあります。これにより、新たに担当する走行ルートにおいても、効率的なルートを選択することが可能です。
車両稼働状況集計機能
稼働状況を自動で集計してくれる車両管理システムもあります。時間帯や曜日、季節ごとに車両の使用状況を把握することで、運用の見直しや車両数の削減に繋がります。 また自動集計の機能がない車両管理システムもありますが、予約管理機能やデジタルキー機能でも代用可能です。システムに車両ごとの稼働状況は記録されているため、状況の確認と見直しを行うことができます。
車両管理システムを導入する流れは?
このセクションでは車両管理システムを導入する大まかな流れを、6つの段階に分けて説明していきます。段階ごとにやるべきことを明確化することが、車両管理システムの導入を成功させるカギとなります。
業務課題・問題を明確化し導入の目的を決める
車両管理システムにはそれぞれ違った特徴があるため、まず大切なのは業務課題・解決すべき問題を明確化することです。 車両管理システムの多岐にわたる機能の中で、何の機能が必要で、導入のゴールをどこに設定するのか。導入の目的を明確に設定することが、車両管理システム選びで失敗しないコツです。 目的が明確でないと、システムを導入しても1部の人員しか利用しない、抱えている問題がほとんど解消されないなどの結果に繋がってしまいます。
課題を解説できるシステムを選ぶ
導入の目的を明確化した後は、目的に合った機能のある車両管理システムを選択します。欲しい機能のあるシステムが複数ある場合、機能面やコスト面で比較・検討してみてください。 比較する際に考慮すべき点は、次のセクションで詳しく説明します。
範囲や人数を限定してテスト運用
本格的に車両管理システムを導入する前に、少人数に限定して導入のテストを行うのも重要なプロセスです。 導入の目的を本当に果たせるのか、想定外のデメリットは発生しないかなど、担当者の声を聞きながら検討を行います。車両管理システムによっては無料トライアルが可能なため、トライアル期間の有無も確認してみてください。
ドライバーの理解や管理システムの周知を徹底する
車両管理システムの導入を成功させるためには、管理者やドライバーの理解が必要です。今までのやり方を変えることに対する抵抗や、運転をシステムで管理されることに対する反感を感じてもおかしくはありません。 しかし車両管理システムの導入は、管理者やドライバーの負担を大きく軽減し、何より事故の防止に繋がります。導入の目的を共有し、管理者・ドライバーにとって大きなメリットであることを理解してもらう必要があります。 管理者やドライバー用のマニュアルが用意されているシステムの場合、マニュアルと合わせて説明することで導入をよりスムーズに行えます。
本格運用
社内から導入の理解を得られたら、本格的な運用をスタートします。 導入してすぐは混乱が予想されるため、システムを利用するためのサポートやマニュアルの配布が必要です。また定期的にフィードバックを受け取り、マイナスの意見が多い場合は協議の場を設ける必要があります。 車両管理システムには業務中のドライバーの情報が逐一記録されるため、嫌悪感を抱くドライバーが少なくありません。記録された情報を扱うルールを明確に設定し、周知することで理解が得られる場合があります。
最終目的:全従業員がシステムを利用し業務効率を向上させる
車両管理システムを導入する最終目的は、システムの機能を使いこなし、車両管理を極限まで効率化することです。 導入時の目的を達成した後も、車両管理システムの他の機能を導入することで、効率化が図れる業務はないか。定期的に話し合いを行うことで、業務の改善点と新たな機能の活用場所を洗い出すことができます。システム導入の成果を社内で共有することで、システムを利用するモチベーションの向上にも繋がります。 導入後のサポートを実施している車両管理システムもあるため、積極的に利用してシステムの様々な機能を活用していきましょう。
車両管理システムの選び方
このセクションでは車両管理システムの選び方を解説します。車両管理システムを選ぶ基準は、大きく分けて3つです。
- 課題を解決できる機能があるか
- コスト面
- 車載デバイスのタイプ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自社の課題を解決できる機能があるかどうか
まず最も大切なポイントは、その車両管理システムに自社の課題を解決する機能があるかどうかです。 明確化した課題とシステムの機能を見比べ、課題に対して機能が十分かどうかの確認が必要です。クリアしたい課題が複雑な場合は、システムの機能を活用することで問題が解決できるかどうか、開発企業に確認してみた方が良いでしょう。 またドライバーに対して事前に要望調査を行うことで、ドライバー目線で使いやすいシステムを選択できます。導入時の混乱を事前に防止できる上、新たな業務課題の発見にも繋がります。 車両管理システムには様々な機能があり、導入すればするほどコストが高くなるため、必要な機能の選定も必要です。
予算にあっているか
車両管理システムにおけるコストは、大きく分けて以下の2つです。
- 初期費用
- サービス利用料
まず初期費用として、車両に取り付けるデバイスや、システムで使用する機器の購入費用が必要なケースがあります。特に車両の現在地・ルートを把握する動態管理機能を利用する場合、デバイス・機器の購入費用を必要とするケースが多いです。 サービス利用料は月額制、あるいは買い切りタイプを提示しているシステムが多いです。月額制の場合は、車両1台ごと/利用者1人ごとなど、システムによって少しずつ違いがあるため、まずは見積もりを依頼して検討することをおすすめします。 無料トライアルを利用してテストを行い、機能・料金を比較してみるのも大切です。
デバイスのタイプで選ぶ
車両に設置するデバイスでシステムを選ぶのも1つの方法です。設置したいデバイスにシステムが対応しているか確認してみてください。以下で主要なデバイスタイプの比較を行っています。
デバイスタイプ | メリット | デメリット |
OBD-Ⅱポート型 | ・OBD-Ⅱポートに機器を差し込むだけ ・設置工事が不要 ・車両の入れ替えも簡単 |
・国産のガソリン車でないと、OBD-Ⅱポートがない場合がある |
シガーソケット型 | ・アクセサリーソケットに機器を差し込むだけ ・設置工事が不要 ・車両の入れ替えも簡単 |
・シガーソケットの位置によって、機能が十全に働かないケースも |
アプリ型 | ・スマホ・タブレットにアプリをインストールするだけ ・機器の設置が不要 |
・ドライバーの誤操作のリスク ・プライバシーへの配慮が必要 (私用のスマホ・タブレットを利用する場合) |
ドライブレコーダー型 | ・ドラレコの機能も合わせて導入可能 ・映像記録を社内教育にも利用可能 |
・導入コストが高い ・設置工事が必要 |
デジタルタコグラフ搭載型 | ・デジタルタコグラフの機能も合わせて導入可能 ・他のデバイスと比べて多機能 |
・導入コストが高い ・設置工事が必要 |
車両管理システムのまとめ
車両・ドライバーの状態を把握し、適切に記録する必要のある車両管理の業務。しかし車両・ドライバーの数が増えるほど作業量は膨大となり、管理者の負担は大きくなります。 車両管理システムを導入することで、管理者の負担が軽減され、業務の効率化が見込めます。またドライバーそれぞれの運転の分析を行う機能もあり、交通事故を減らしてドライバーの安全を守ることにも繋がります。 この記事では車両管理システムの概要や主な機能を紹介し、導入の流れとシステムの選び方を解説しました。車両管理システムの導入には社員の理解が必要なケースが多く、またクリアしたい課題を明確にしておくことが大切です。 車両管理システムやシステムの導入に関する質問、また案件のご相談などがある場合、是非株式会社Jiteraにご連絡ください。ご質問・ご相談内容に寄り添った、適切なアドバイスをさせていただきます。