パフォーマンステストツール(性能試験)は、ソフトウェアやシステム、アプリケーションのパフォーマンスを測定し、その安定性や耐久性を評価するプロセスです。
リリースに関わる重要な工程で、具体的に応答時間やスループット、リソース使用率などを計測し、ソフトウェアがどのように振る舞うかを検証します。
パフォーマンステストツールは、システム開発や運用において重要です。
そのため、ユーザー体験やビジネスの成功に直結するため、特に専用ツールの選び方が大切と言えます。
そこで本記事では、性能試験ツールの種類や特徴、選び方や20種類の性能試験ツールを紹介します。
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大学院を修了後、金融系SIerでSEとして従事。現在も外資系ITサービス企業で金融部門のSEとして勤務しています。ITの知見を活かしてWebライターとしても活動中です。
パフォーマンステストツール(性能試験)の3つの種類

パフォーマンステストツールは、多くの製品が流通し、それぞれ特徴や得意とする分野が異なります。
性能試験ツールを分類すると、以下の3種類に分けられます。
- 負荷テストツール
 - 耐久テストツール
 - API負荷テストツール
 
自分が扱っているアプリケーションやシステムに必要な性能試験に適したツールはどの種類なのか、以下の内容を参考に考えてください。
負荷テストツール

負荷テストは、特定の負荷条件下でシステムがどの程度のトラフィックを処理できるかを評価します。
大量のリクエストやデータを送り込み、システムが処理できる限界を見つけ出します。
負荷テストツールは、疑似的に大量のリクエストを発生させて、システムの応答時間を測定するのが特徴です。
負荷テストツールを選択する際には、開発しているシステムとの相性や想定している負荷状況を再現できることを確認します。
また、負荷テストを行うのはシステムのリリース直前であることが多いため、テストツールの設定に時間をかけられません。 そのため、負荷テストツールの設定が簡単かどうかを確認する必要があります。
耐久性テストツール

耐久性テストツールは、アプリケーションが要求されたパフォーマンス水準を満たしているかどうかを確認するために使用されます。
耐久性テストツールは、負荷テストのようにシステムの限界値を求めるのではなく、通常の負荷状況で応答時間やスループットが要件を満たしているかを確認します。
例えば、1時間当たり100リクエストを想定しているシステムの場合、ツールを使用して疑似的に1時間に100リクエストを発生させ、応答時間を計測します。
耐久性テストツールには、数時間にわたりリクエストを発生させる機能が必要です。
また、リアルタイムのモニタリングやレポート機能を備えているとアプリケーションの改善点を特定する際に役立ちます。
API負荷テストツール

API負荷テストツールは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)の性能や耐久性をテストするためのツールです。
APIは異なるソフトウェア間でのデータのやり取りや通信を可能にするため、APIの性能はアプリケーション全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
API負荷テストツールは、APIに対する同時接続やリクエストの量を増加させ、アプリケーションがAPI呼び出しに耐えられるかどうかを確認します。
API負荷テストを行うことでAPIのボトルネックやエラーが発生する条件を見つけ出し、修正点を特定することが可能です。
おすすめのパフォーマンステスト(性能試験)ツール26選

数多くの性能試験ツールの中から厳選し、おすすめのツールを26種類紹介します。
Webアプリケーションやソフトウェアなどのテスト対象や負荷テストやパフォーマンステストなどのテストの種類など、ツールそれぞれで得意なものが異なります。
どの性能試験ツールを選ぶのか決めかねている方はぜひご覧ください。
Apache JMeter

- Webアプリケーションやソフトウェアの負荷テストに使用
 - 多くのプロトコルやサービスに対応
 - インフラの用意が不要
 
Apache JMeterは、開発現場で良く使用される名の知れた負荷テストツールです。
Javaで実装されたオープンソースの性能テストツールのため、ツールの購入にかかるコストを抑えられます。
主にWebアプリケーションやソフトウェアの負荷テストに使用されます。HTTP、FTP、JDBC、など多くのプロトコルやサービスに対応しているため、汎用的に利用可能です。
性能テストツール専用のサーバーなどのインフラを用意する必要がなく、使い勝手がいいテストツールです。
LoadRunner

- 日本でリリースされて約30年の実席
 - オンプレミスかクラウドから選べる
 - 多くのプロトコルとプラットフォームをサポート
 
Load Runnnerは、Open Textが提供する統合型の性能テストツールです。
WebはもちろんSAPやOracleといったERP、AJAXなど多くのプロトコルとプラットフォームをサポートしています。
テストの要件に合わせて稼働環境をオンプレミスかクラウドから選べるため、多くのプロジェクトで利用できます。
日本でリリースされて約30年、多くの企業やプロジェクトで利用されている実績のあるツールです。
Gatling

- スケーラブルな性能テストフレームワーク
 - テストシナリオの管理や自動化が簡単
 - 1秒間に数千回のリクエストを再現することが可能
 
Gatlingは、2012年に登場したオープンソースの負荷テストツールです。
スケーラブルな性能テストフレームワークで、シンプルなDSL(ドメイン固有言語)を使用してテストシナリオを記述できます。
コード連携スクリプトを利用することにより、テストシナリオの管理や自動化が簡単に行えます。
また、1秒間に数千回のリクエストを再現することが可能なため、高負荷のテストにも対応が可能です。
K6

- JavaScriptを使用してテストシナリオを記述
 - 使用方法などのドキュメントが豊富
 - 初めてのテストツールでも取り組みやすい
 
K6は、Grafana Labs社とコミュニティが提供しているオープンソースの負荷テストツールです。
もともとは、LoadImpactというクラウドベースの負荷テストプラットフォームでしたが、2017年頃にK6に名称が変更されて、オープンソース版もリリースされました。

JavaScriptを使用してテストシナリオを記述し、テストを行います。
また、K6は使用方法などのドキュメントが豊富で、サポートも手厚いため、初めてテストツールを利用する方でも取り組みやすいツールです。
Apache Benchmark (ab)

- HTTPサーバー向けのベンチマークツール
 - 負荷のボリュームが少ない、単純な負荷テストの実施に有効
 - 開発環境のリソースを圧迫しない
 
Apache Benchmark (ab)は、HTTPサーバー向けのベンチマークツールで、局地的な性能を測りたい場合に役立ちます。
負荷のボリュームが少ない場合や単純な負荷テストを実施する場合に適しています。
ツール自体は、シンプルなコマンドラインツールで1ファイルのソースで動くため、開発環境のリソースを圧迫しません。
Locust

- Pythonスクリプトを使用してテストシナリオを記述
 - 一度に数百万の仮想ユーザーを投入感情
 - ピークタイムなどの大きな負荷も扱える
 
Locustは、オープンソースの性能テストフレームワークで、Pythonスクリプトを使用してテストシナリオを記述できます。

一度に数百万の仮想ユーザーを投入できるため、大規模な負荷テストを行えます。
また、実際に起こりうるピークタイムなどの大きな負荷も扱えるため、非常に実用的なツールです。
Tsung

- 汎用性が高く、多くのプロジェクトで利用可能
 - フォーマットがシンプル
 - 負荷を調整しやすく高負荷のテストも実行可能
 
Tsungは、オープンソースの分散型の負荷テストツールです。
TCPやUDP、HTTPなど多くのプロトコルをサポートしているため、汎用性が高く、多くのプロジェクトで利用できます。
また、テストシナリオは煩雑になりやすいXMLなものの、フォーマットがシンプルなのでわかりやすく、扱いやすくなっています。
それでいて、負荷を調整しやすく高負荷のテストも実行可能です。
WebLOAD

- 企業向けツールで数千規模のユーザーを設定可能
 - Webアプリケーションの負荷テストを実行
 - Webアプリケーションの問題点を検証可能
 
WebLOADは、クラウドまたはオンプレミスで利用できる性能テストツールです。
HTTPS、HTTP、XMLなどのプロトコル対応しており、Webアプリケーションの負荷テストを実行します。

また、企業向けツールで数千規模のユーザーを設定できるため、大きな負荷を与えてWebアプリケーションの問題点を検証できます。
Neoload

- 直感的な操作でテストシナリオの作成が可能
 - 高度なテストも行える
 - 実際のユーザーの動きを再現できる
 
Neoloadは、アプリケーションやAPIの負荷テスト、ストレステスト、およびモニタリングを実行できるツールです。
簡単なテストであれば、コードを書かなくても直感的な操作でテストシナリオを作成できます。

また、JavaScriptを使うことで複雑なテストシナリオを作成し、高度なテストも扱えます。 実際のユーザーの動きを再現できる点が魅力的なツールです。
BlazeMeter

- オープンソースツールと統合可能
 - UIが直感的に操作可能なデザイン
 - 詳細なレポートが出力可能
 
BlazeMeterは、企業向けのクラウドベースの性能テストプラットフォームです。
Apache JmeterやGatlingなど多くのオープンソースツールと統合できるのが特徴のテストツールです。

UIが直感的に操作可能なデザインとなっており、テストシナリオを簡単に作成できます。
また、詳細なレポートが出力されるため、パフォーマンスの向上に活かしやすいです。
Loader.io

- 無料で利用できる
 - チーム内でのレポートの共有も簡単にできる
 - グラフや統計情報使用したデータ表現が可能
 
Loader.ioは、無料で利用できるクラウドベースの性能テストツールです。
WebサイトやAPIのスケーラビリティを評価できます。 負荷テストをリアルタイムでモニタリングすることができ、チーム内でのレポートの共有も簡単に行えます。

Loader.ioのレポートは、グラフや統計情報使用したデータ表現が特徴です。
Artillery

- Node.jsをベースにしたスクリプト言語を使用
 - 理解しやすく学習コストが低い
 - クラウドで実行することも可能
 
Artilleryは、オープンソースの性能テストツールで、Node.jsをベースにしたスクリプト言語を使用してテストを記述します。
シンプルなフォーマットのyamlファイルでテストシナリオを作成できるため、理解しやすく学習コストが低いです。

ArtilleryをAWSにデプロイすれば、クラウドで実行することも可能です。
LoadUI

- WebサービスとAPIの性能テストが可能
 - 専用のサーバーは不要
 - 豊富なプラグインにより機能の拡張が可能
 
LoadUIは、SmartBearが提供するReadyAPIスイートの一部であり、WebサービスとAPIの性能テストを行えます。
クラウドベースの性能テストツールのため、専用のサーバーは不要です。 豊富なプラグインがあり、利用することで機能を拡張できます。
JProfiler

- テストシナリオの作成が簡単
 - 解析結果をわかりやすく表現
 - 使い勝手がいい
 
JProfilerは、Javaアプリケーションのプロファイリングと性能最適化に使用されるツールです。
テストシナリオの作成が簡単で、解析結果もわかりやすく表現されています。
そのため、使い勝手がいいのが魅力です。 ヒープウォーカー機能で、メモリリークなどのメモリーに関する問題を発見できます。

一般的にメモリーの問題は、発生個所を特定するのが難しく、JProfilerは有用なツールだと言えるでしょう。
Dynatrace

- ダイナミックなトレーシングを行える
 - システム全てを監視できる
 - AIにより問題点の特定と解決を自動で行う
 
Dynatraceは、アプリケーションのパフォーマンスをモニタリングし、ダイナミックなトレーシングを行えるプラットフォームです。
Dynatraceの特徴は、システム全てを監視できる点です。 アプリケーションのコードレベルまで監視をし、問題が起こっている場所を特定します。

また、AIを搭載しており、問題点の特定と解決を自動で行うことができます。
New Relic

- クラウドベースのプラットフォーム
 - 700種類以上の言語やサービスに対応
 - 信頼性の高いセキュリティ
 
New Relicは、アプリケーションモニタリングとパフォーマンス最適化のためのクラウドベースのプラットフォームです。
JavaやNode.js、Pythonなどの言語やAWSやAzureのサービスごとにテストツールが提供されており、700種類以上の言語やサービスに対応しています。

また、信頼性の高いセキュリティによって、分析したデータを保護することができます。
AppDynamics

- エンドツーエンドの監視が可能
 - アプリケーションの接続をマップ化
 - トラブルの発生している箇所をピンポイントで確認可能
 
AppDynamicsは、アプリケーションのパフォーマンス監視とトラブルシューティングをサポートするプラットフォームです。
エンドツーエンドの監視が可能で、アプリケーションの稼働状況だけでなくユーザーの属性や流入数、サイト上の行動などを把握できます。

アプリケーションの接続をマップ化し、トラブルの発生している箇所をピンポイントで示すことができます。
SolarWinds

- 数時間や数日の間、継続的に監視可能
 - 広範なネットワークのパフォーマンステストが可能
 - ネットワーク通知機能により警告を表示が可能
 
SolarWindsは、ネットワーク、サーバー、およびアプリケーションのパフォーマンスをモニタリングするツールを提供しています。
数時間や数日の間、継続的に監視することで広範なネットワークのパフォーマンステストが行えます。

また、ネットワーク通知機能があり、パフォーマンス指標を定義することで、値を超えると警告を表示することができます。
Splunk

- 様々なフォーマットのログを取り込み、分析することが可能
 - 情報収集が容易
 - 機械学習などのデータ活用機能を搭載
 
Splunkは、ログデータの分析を通じてアプリケーションのパフォーマンスを監視するツールです。
多くのAppが用意されており、様々なフォーマットのログを取り込み、分析することが可能です。
ログ分析のツールとして良く知られているツールのため、情報収集が容易です。
また、機械学習などのデータ活用機能が加えられており、今後の機能強化にも期待できます。
Nagios

- 監視ツール・性能テストとして利用可能
 - 大量のデータやリクエストを投入した際のパフォーマンスを観測が可能
 - サーバーへの負荷が少ない
 
Nagiosは、サーバーなどのインフラストラクチャとアプリケーションのモニタリングをサポートするオープンソースのツールです。
監視ツールとしての利用が多いですが、性能テストにも利用できます。
継続的にモニタリングできるため、大量のデータやリクエストを投入した際のパフォーマンスを観測することが可能です。
また、サーバーへの負荷が少なく、インフラコストを抑えつつ、十分なテストを行えます。
Taurus(タウルス)

- オープンソースのテスト自動化フレームワークで
 - テスト自動化のプロセスを簡素化
 - シンプルな設定や結果の可視化、耐久性
 
BlazeMeter が公開している Taurus は、オープンソースのテスト自動化フレームワークです。
異なるテストツールを統合的に管理することでテスト自動化のプロセスを簡素化することを目的としています。
Taurus の特徴は、シンプルな設定や結果の可視化、耐久性などです。YAML 形式の設定ファイルを使用することで、わかりやすく簡潔な設定ができます。
また、JMeter, Selenium, Gatling, Locust, Grinder などの人気のあるテストツールをサポートしており、それらのツールで実行したテストの結果を統合し、レポートとしてわかりやすく可視化します。
Test Studio

- 知識がなくてもテストを作成から実行可能
 - 信頼性と安定性の高いテストを作成可能
 - テストの効率化とコスト削減に貢献
 
Test Studioは、Telerikが提供するWebやモバイル、デスクトップアプリケーションのGUIテストに特化した自動化ツールです。
直感的なユーザーインターフェース(仕様)を備えており、コーディングの知識がなくてもテストを作成から実行までができます。

高速なテストレコーダーを使用すると、信頼性と安定性の高いテストを作成することが可能です。メンテナンスの手間を最小限に抑えられるため、テストの効率化とコスト削減に貢献します。。
また、最適化されたパフォーマンスとテストカバレッジの最大化を保証します。
nGrinder(エヌグラインダー)

- 複雑なテストシナリオの構築が可能
 - 包括的なテスト環境を提供
 - 負荷テストツールをベースに、アーキテクチャを最適化
 
nGrinderは、企業のニーズに応えるオープンソースのテストプラットフォームです。
テストスクリプトの作成や実行、効率的なテストの実施、サイトやアプリケーションのモニタリング、テスト結果の生成などの機能を提供します。
Jythonスクリプトを使用することで、複数のエージェントを活用した複雑なテストシナリオの構築が可能です。
nGrinderは、包括的なテスト環境を提供しており、テスト中に発生する問題点を特定し、改善するためのストレステストを実行できます。
The Grinderという負荷テストツールをベースに、アーキテクチャが最適化されているため、よりスムーズにテストできる点が特徴です。
Parasoft Load Test

- 使いやすくシンプルな設計
 - 必要に応じて機能を追加が可能
 - さまざまなタイプのテストを実施可能
 
Parasoft Load Testは、使いやすさとシンプルさを兼ね備えた優れた負荷テストツールです。
直感的なユーザーインターフェースを採用しているため、操作がしやすくなっています。
また、スクリプト拡張機能により、必要に応じて機能を追加することが可能です。
このツールを使用すると、ストレステスト、耐久テスト、コンポーネントテスト、スパイクテスト、インフラテスト、スケーラビリティテストなど、さまざまなタイプのテストを実施できます。
Akamai CloudTest

- 突発的なトラフィックの増加に耐えられるかどうか検証可能
 - リアルタイムの分析によってパフォーマンスのボトルネックを特定が可能
 - 少ないリソースで高品質のテスト結果を得られる
 
Akamai CloudTestは、ストレステストを実施するための優れたソリューションです。
このツールを使用することで、アプリケーションやWebサイトが突発的なトラフィックの増加に耐えられるかどうかを検証できます。
拡張性と堅牢性に優れたプラットフォームにより、大規模なイベントを正確にシミュレートし、リアルタイムの分析によってパフォーマンスのボトルネックを特定することが可能です。
Akamai CloudTestは、直感的なインターフェースを備えており、開発、プロビジョニング、テストの実行、そして高度な洞察の取得が容易に行えます。
少ないリソースで高品質のテスト結果を得られるため、コスト効率に優れています。
Vegeta(ベジータ)

- 、単一のマシンから毎秒数万件のリクエストを生成可能
 - 複数で同時にテストの実行が可能
 - JSON、CSV、Plot形式での出力をサポート
 
Vegeta は、Go 言語で書かれた高性能なオープンソースの HTTP 負荷テストツールです。
シンプルで使いやすく、単一のマシンから毎秒数万件のリクエストを生成できます。
URLのリストやパターンを使用して複雑なテストシナリオを作成でき、JSON、CSV、Plot形式での出力をサポートしています。

複数で同時にテストを実行できるため、単一のマシンの性能に制限されることなく、大規模な負荷テストを実現できます。
パフォーマンステストツール(性能試験ツール)を選ぶ際の5つのポイント

性能試験ツールは、実施するテストの種類だけでなく、扱っているシステムや環境、予算に合わせて選択する必要があります。性能試験ツールの具体的な選び方のポイントは以下の5点です。
- プロジェクトの要件を合っているか
 - テスト環境が用意されているか
 - 仮想ユーザーを多く生成できるか
 - 使用するプロトコルに対応しているか
 - サポートがついているか
 
プロジェクトの要件を合っているか
性能試験ツールを選ぶ際に重要なのは、プロジェクトの要件を正確に把握し、要件に合ったツールを選定することです。
プロジェクトが求める性能試験のスケールや複雑さ、テスト対象となるアプリケーションの種類などによって、適したツールは異なります。
例えば、大規模なWebサイトの性能試験を行う場合は、負荷テストに特化したツールが適しています。
また、トラフィックのピークタイムはないけれど、コンスタントにアクセスがあり、24時間365日稼働するシステムの場合、数実間にわたって稼働できるパフォーマンステストツールが必要です。
プロジェクトのニーズに合わせて性能試験ツールを慎重に選びましょう。
テスト環境が用意されているか
パフォーマンステストツールを使用する際は、テスト環境が組み込まれているものがおすすめです。
テスト環境が含まれていると、別途環境を用意する手間が省け、すぐに試験を開始できます。本記事で紹介したツールの多くには、テスト環境が標準で備わっています。
ただし、ツールによってはテスト環境が含まれていません。テスト環境が用意されていない場合は、自分でテスト環境を構築する必要があるため、時間とコストがかかる点に注意してください。
仮想ユーザーを多く生成できるか
パフォーマンステストでは、実際のユーザー行動を模倣するために多数の仮想ユーザーを生成する必要があります。
選定するツールが、必要十分な数の仮想ユーザーを生成できるかを確認しましょう。
ツールによって生成できる仮想ユーザー数は異なります。
小規模なテストであれば数百から数千の仮想ユーザーで十分かもしれませんが、大規模なシステムの場合は数万から数十万の仮想ユーザーが必要となる場合もあります。
また、仮想ユーザー数を増やすとライセンスコストが増大するツールもある点に気をつけましょう。
使用するプロトコルに対応しているか
テスト対象のアプリケーションが使用しているプロトコルに、パフォーマンステストツールが対応している必要があります。
一般的なWebアプリケーションであれば、HTTP/HTTPSに対応していれば問題ありませんが、その他のプロトコルを使用している場合は注意が必要です。
例えば、ゲームやチャットアプリケーションではWebSocketを使用している場合があります。
また、金融システムなどではFIXプロトコルを使用するケースもあるでしょう。テスト対象のアプリケーションが使用しているプロトコルを確認し、ツールが対象のプロトコルに対応しているか検討してください。
サポートがついているか
パフォーマンステストツールの使用中に問題が発生した場合、迅速に解決できるようにサポート体制が整っているかを確認しましょう。
特に、大規模なテストを実施する場合やテスト期間が限られている場合は、問題発生時の対応が重要になります。
ツールによってサポート内容は異なります。
オンラインドキュメントやFAQが充実しているものもあれば、電話やメールでのサポートを提供しているものもあります。また、サポート時間や言語対応なども確認が必要です。
自社の要件に合わせて、適切なサポート体制が整っているツールを選定するようにしましょう。
パフォーマンステスト(性能試験)を実施する際のステップ

システムやアプリケーションの性能を向上させるには、正しく性能試験を行う必要があります。性能試験の方法を誤っていると、高機能な性能試験ツールを使用しても正しい結果が得られません。
パフォーマンステストは以下の流れに沿って進めましょう。
- 目的の設定
 - 計画の策定
 - テストケースの設計
 - ツールの選定
 - テスト環境の準備
 - テストの実行
 - モニタリングとログ取得
 - 結果の分析
 
1.目的の設定
性能テストを行う主な目的を確定しましょう。アプリケーションの負荷耐性や応答時間の評価など、具体的な目標を設定します。
2.計画の策定
テストのスケジュールやテストケースの設計、リソースの確保などを含む計画を策定します。テスト計画はテストを円滑に進めるための土台です。
3.テストケースの設計
負荷テストやパフォーマンステスト、API負荷テストなどの異なる性能テストの要件に基づき、具体的なテストケースを設計します。異常系やピーク時の挙動を想定しておくことが重要です。
4.ツールの選定
使用する性能試験ツールを選定します。プロジェクトの要件に合ったツールを選ぶことが、効果的なテストを行う上で重要です。
5.テスト環境の準備
テストを実施するための環境を整えます。サーバー、ネットワーク、データベースなどの設定を確認し、テストに必要なデータを用意します。
6.テストの実行
テストケースに基づいて性能テストを実施します。負荷をかけたり、異常な挙動を模倣することで、システムの限界や弱点を見つけ出します。
7.モニタリングとログ取得
テスト中はシステムのモニタリングを実施し、性能の数値や問題の発生箇所を把握します。ログを取得し、問題の原因を特定できるようにします。
8.結果の分析
テスト結果を詳細に分析し、性能の改善点や問題点を洗い出します。テスト結果に基づいてアプリケーションの最適化を検討します。
性能テストの結果を解釈する観点として、主に以下の3点が挙げられます。
- 負荷の限界:負荷テストの結果から、システムがどれだけの負荷まで耐えることができるかを評価します。もし、負荷の限界値が現実的に発生しそうな値だった場合、サーバーのリソースやリクエストを処理するロジックなどを改善する必要があります。
 - 応答時間の評価:パフォーマンステストの結果から、アプリケーションの応答時間が要求を満たしているかどうかを確認します。これにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させるための改善点を見つけます。
 - ボトルネックの特定:モニタリング結果やログを基に、システムのボトルネックを特定します。ボトルネックを解消することで、システムの処理能力を改善できます。
 
テスト結果を正しく評価し、アプリケーションやシステムの改善箇所が明らかになり、性能の向上につなげることが可能です。
まとめ:パフォーマンステストを成功させるにはツール選びが重要

パフォーマンスツールの種類や特徴、選び方のポイント、性能試験の実施方法などを紹介しました。
多くのツールが流通しているため、各ツールの特徴を理解して、プロジェクトの要件に合ったものを選択する必要があります。
そして、パフォーマンステストツールを活かした試験を実行するには、正しい準備と正確な解釈が必要です。
目的や収集する項目などを綿密に計画してテストを行うことで、正確な評価ができます。
性能試験についての不明点や困ったこと、パフォーマンスツールに関する質問があれば、システム開発の実績豊富な株式会社Jiteraにお問い合わせください。
貴社の要件に対し、適切なアドバイスを提供いたします。
