バックエンド開発は、Webサービスの信頼性とパフォーマンスを支える重要な役割を担っています。サーバーサイドの処理やデータベース操作、APIの設計など、多岐にわたる技術が必要です。ユーザーが直接触れることはないものの、システム全体の機能性と効率性に大きく影響を与えます。
本記事では、バックエンド開発の基礎知識から、フロントエンド開発との違い、具体的な業務内容、使用する主なプログラミング言語、そしてエンジニアに求められるスキルや現状について、わかりやすく解説します。
技術の進化に伴い、バックエンド開発の重要性はますます高まっており、その需要と将来性についても言及していますので、ぜひ最後までお読みください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
バックエンド開発とは?4つの業務内容
バックエンド開発とは、サーバーサイドの処理やデータベース操作など、ユーザーが直接触れないシステムの中核を担当する開発領域です。
データベースの設計や操作では、データの整合性を維持してシステム全体の安全性を確保し、バックエンド開発者がAPIを設計や開発することで、フロントエンド開発者はユーザーインターフェースをスムーズに構築できます。
バックエンド開発はユーザーが直接触れない部分でありながら、システム全体の信頼性とパフォーマンスに関わる重要な役割を担っているのです。
要件定義・仕様設計
要件定義と仕様設計は、バックエンド開発のプロジェクト成功を決める重要なステップです。
要件定義では、クライアントやステークホルダーと話し合い、システムに必要な機能や性能、制約条件を明確にします。開発中の仕様変更や認識のズレを未然に防ぐことが重要です。
以下のようなことを決めるのもこの段階です。
- ユーザーがどのようにログインするか(ユーザー認証)
- データがどれくらい速く処理されるべきか(データ処理速度)
- システムがどれくらいの頻度で利用可能であるべきか(可用性)
- 問題が発生した場合にどれくらい迅速に復旧できるか(耐障害性)
仕様設計では、要件をもとにシステムの詳細を設計します。
データベースの設計ではデータの格納方法や入出力方法を決め、APIの設計では異なるシステムやアプリケーションがどのようにデータをやり取りするかを定めます。データの安全性を確保するために、データの暗号化やアクセス制御の方法を決めることも重要です。
要件定義と仕様設計をしっかりすることで、バックエンド開発者は明確な指針に従って効率よく作業でき、高品質なシステムを構築できるのです。
サーバーサイド開発
サーバーサイド開発は、バックエンドの中心的な業務です。要件定義と仕様設計で確定した内容をもとに実際のシステムを構築します。
これらを用いて、サーバーの動作やデータベースとのやりとりなどを実装します。ユーザー認証、データ処理、ビジネスロジックの実装、APIの開発などを含みます。
サーバーサイド開発は、システムの安定性とパフォーマンスを確保するために不可欠であり、高品質なバックエンドシステムを実現するために重要な役割を果たします。
テスト
テストは、開発したシステムが正確に機能するかを確認する重要なプロセスです。
バックエンド開発におけるテストには、単体テスト、結合テスト、システムテスト、ユーザ受け入れテストなど、さまざまな段階があります。
自動化ツールを用いることでテストの効率を高め、工期を短縮できます。テストで不具合を早期に発見し修正することで、システムの品質を高められるのです。
デプロイ・運用
デプロイ・運用は、開発したシステムを実際の環境にリリースし、安定して稼働させるための段階です。
デプロイでは、コードをサーバーに配置して必要な設定をします。継続的インテグレーション(CI)や継続的デリバリー(CD)のツールを使用し、自動化されたデプロイメントをすることが多いでしょう。デプロイの手間を省き、ミスを減らせるからです。
運用フェーズでは、システムのモニタリングが重要です。
異常が発生した際には迅速に対応するのはもちろん、定期的なメンテナンスやアップデートにより、システムの安定性とセキュリティを維持します。
運用中に得られるフィードバックをもとにシステムの改善や機能追加を計画し、ユーザーの要求に柔軟に対応していきます。
バックエンド開発で使用する主な言語
バックエンド開発では、さまざまなプログラミング言語が使用され、それぞれが独自の強みを持っています。主に用いられている言語の特徴や利点、適用分野を詳しく解説します。適切な言語を選ぶことは、プロジェクトの効率や品質を向上させる上で重要です。
Java
Javaは、バックエンド開発で広く使用されるオブジェクト指向のプログラミング言語です。堅牢性とスケーラビリティが特徴で、企業向けの大規模なアプリケーション開発に適しています。金融機関や大規模な企業システムでよく使われるのは、Javaの信頼性が高いためです。
Javaは、Java Virtual Machine(JVM)上で動作するため、プラットフォームに依存せずに動作します。
このため異なる環境での移植性が高く、システムの一貫性を保てます。SpringやHibernateなどの豊富なライブラリとフレームワークが用意されており、開発効率を大幅に向上させられます。Javaのマルチスレッド機能は、高いパフォーマンスと複雑な並行処理を実現します。
これらの特徴により、Javaは信頼性が求められるバックエンドシステムに適しているのです。
Python
Pythonはバックエンド開発で非常に人気のある言語です。簡素な文法と高い可読性により、保守しやすいことが大きな利点です。Pythonはインタプリタ型の言語であり、コードの実行が即座にできるため、開発プロセスが迅速になります。
素早いプロトタイピングや開発が可能なため、スタートアップや早期の市場投入が求められるプロジェクトに最適です。
DjangoやFlaskといった強力なフレームワークを用いることで、開発効率を大幅に向上させられます。機能が豊富で記述すべきコードを削減でき、時間と労力を節約できるからです。
Pythonは多様な用途に対応できる柔軟で強力な言語といえるでしょう。
PHP
PHPは、Web開発に特化したスクリプト言語で、多くのWebサイトやアプリケーションで使用されています。
動的なWebページを生成でき、サーバーサイドスクリプトとして機能します。
PHPは特に中小規模のプロジェクトや、迅速な開発が求められるスタートアップにおいて人気があります。
WordPressやDrupalといった多くのCMS(コンテンツ管理システム)はPHPで書かれているため、技術者でなくても簡単にコンテンツを更新し、Webサイトを運営できるのです。
また、PHPはMySQLなどのデータベースと容易に連携できるため、Webアプリケーションのバックエンドとして利用されています。
開発のスピードと効率性を求めるプロジェクトにおいて、PHPは非常に有用な言語といえるでしょう。
Go
Googleが開発したオープンソース言語です。高速コンパイルと並行処理が特徴で、バックエンド開発に適し、習得しやすいため人気があります。
静的型付けと標準ライブラリにより、高品質で生産性の高いコードを実現しており、シンプルな文法で複雑なシステムを効率的に管理することができます。
また、ゴルーチンによる並行処理は高負荷サービスに有効で、クラウドネイティブ環境やマイクロサービスにも最適です。
JavaScript (Node.js)
フロントエンド開発用言語ですが、Node.jsでバックエンドにも使用可能です。
Node.jsは非同期I/Oモデルで高パフォーマンスを実現し、リアルタイムWebアプリやAPIサーバーに適することができます。
フロントエンドとバックエンドを同一言語で開発可能。豊富なモジュールとnpmで機能追加が簡単なことも特徴です。
高パフォーマンスとスケーラビリティでバックエンド開発に広く採用されているプログラミング言語です。
C#
Microsoftが開発したオブジェクト指向言語です。Windows開発に強みを持っています。.NETフレームワークで豊富なライブラリとツールを利用可能なことが特徴です。
強力な型システムとガベージコレクションを備え、複雑な業務ロジックの実装が簡単で、ASP.NETでWebアプリケーション開発もできます。また、.NET Coreでクロスプラットフォーム開発が可能です。
エンタープライズソリューションや大規模Webサービスで広く採用されています。
Ruby
シンプルで生産性が高い言語です。Ruby on Rails (RoR) フレームワークで迅速な開発とプロトタイピングが可能です。
直感的な文法でメンテナンスが簡単な上、短期間での市場投入に適しているため特にスタートアップや中小企業に人気があります。
豊富なライブラリとジェム (RubyGems) で機能を迅速に実装することができ、信頼性と生産性が求められるバックエンド開発に有用です。
また、RoRで高品質なWebアプリを短期間で提供することを可能にしています。
お気軽にご相談ください!
バックエンド開発エンジニアに必要なスキル
バックエンド開発エンジニアには多岐にわたるスキルが求められます。特に重要なスキルとして、プログラミング、システム設計、テスト、問題解決、そしてコミュニケーション能力について詳しく解説します。これらのスキルを習得し、磨くことがエンジニアとしての成長とプロジェクトの成功に欠かせないでしょう。
プログラミングスキル
バックエンド開発エンジニアの基礎となる技術です。Java、Ruby、PHP、C#などの言語習得により、サーバーサイド処理やデータベース操作、API開発が可能になります。
プロジェクトの要件に応じて最適な言語とフレームワークを選択する必要があります。
プログラミングスキルの習熟は生産性と品質向上に不可欠です。高度なスキルを持つエンジニアは複雑な業務ロジックを効率的に実装できます。
システム設計スキル
効率的でスケーラブルなシステム構築に不可欠です。アーキテクチャ設計、データベース設計、API設計などを含みます。構成図を用いることでシステム全体を視覚化できます。
SpringやRuby on Rails、Laravelなどのフレームワーク活用で設計プロセスの効率化が可能です。
システム設計スキルを持つエンジニアの慎重な計画により高品質なシステムを迅速に市場投入でき、開発プロセス全体の効率が向上します。
テストスキル
テストスキルはシステムの期待通りの動作確認に重要です。単体テスト、結合テスト、システムテスト、ユーザ受け入れテストなどがあります。
自動化ツールでテスト効率を上げることも可能です。自動化ツールなら人為ミスを減らし、プロセスを迅速化できます。
また、早期の不具合発見・修正を実現できるため、製品品質が高まります。テストスキルは信頼性の高いシステム提供に不可欠なのです。
問題解決能力
問題解決能力は、技術的問題に迅速・効果的に対応するために必要です。デバッグ、ログ解析、パフォーマンスチューニングでシステムの安定性を維持できます。
新技術やツールの積極的な学習・導入が重要です。問題解決の速度と精度が向上し、開発プロセスがスムーズになります。
また、積極的な姿勢と柔軟な対応力は品質向上に貢献します。問題解決能力を持つことは、システムの安定性とパフォーマンス維持に欠かせないのです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、他のエンジニアやフロントエンド開発者、プロジェクトマネージャー、クライアントとの円滑な連携に重要です。
要求事項や仕様の共有、進捗報告、問題解決のディスカッションなど、多岐にわたる場面で必要です。明確なコミュニケーションで誤解を防ぎ、迅速な問題対応が可能になります。
技術スキルと優れたコミュニケーション能力の両立で、チーム連携を強化し高品質なシステムを提供できます。
バックエンド開発エンジニアの現状
バックエンド開発エンジニアの現状について、需要の拡大と人材不足、世界的な年収競争の激化、そして将来性について詳しく解説します。急速に進化する技術に対応するために求められるスキルと、それに伴うキャリアの可能性についても触れています。
需要拡大と人材不足の深刻化
バックエンド開発エンジニアの需要は急速に拡大していますが、人材不足が深刻です。
企業は高度なスキルを持つエンジニアを求めていますが、最新技術に精通した人材は少ない状況です。
多くの企業は技術トレーニングやキャリア開発プログラムを導入し、社内でのスキルアップを支援しています。リモートワークの普及により、グローバルな人材採用も進んでいます。
人材確保は依然として難しく、優秀な人材獲得競争が激化しています。エンジニアの年収や待遇も上昇傾向にあります。
エンジニアの育成と最新技術の習得が特に重要です。企業は長期的な視点で人材育成に取り組むことが求められます。
世界的な年収競争の激化
バックエンド開発エンジニアの需要増加に伴い、世界的に年収競争が激化しています。企業は適正な報酬を支給することが不可欠です。
リモートワークの普及により、グローバルな人材獲得競争が生まれ、エンジニアの年収はさらに上昇しています。
企業は適正な報酬と魅力的な職場環境を提供し、柔軟な働き方やキャリア開発の機会を設けることが重要です。
バックエンド人材の将来性
バックエンド開発エンジニアの将来性は非常に明るいです。
クラウドコンピューティングやマイクロサービスアーキテクチャの普及により、新しいスキルや知識を持つエンジニアが求められています。
まとめ:バックエンド開発はWebサービスの基盤
バックエンド開発は、Webサービスの信頼性とパフォーマンスを支える基盤です。
データベース管理、API設計、サーバーサイドの処理など、多岐にわたる技術が求められます。ユーザーが直接触れることはありませんが、システム全体の機能性と効率性に大きな影響を与えます。
株式会社Jiteraはデジタルコンサルティングのスペシャリスト集団です。
バックエンドエンジニアの人材に関する相談やその他IT関連の相談がある場合は、お気軽にJiteraへご連絡ください。