AI、RPAの違いとは?特徴やそれぞれを組み合わせた活用事例などを紹介

近年、企業の競争力を左右する重要なキーワードとして注目を集める「DX(デジタルトランスフォーメーション)」
しかし、「DX」と聞くと、何から始めればいいのか、具体的なイメージが湧きにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、DXを成功させるために欠かせない「AI」と「RPA」との違い、そして3つの技術を組み合わせることで生まれる相乗効果について解説します。
さらに、実際に企業がDX、AI、RPAをどのように活用しているのか、具体的な活用事例などを紹介します。

監修者 Kyama23_writer

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    AI、RPAとは?それぞれの違いを比較

    まずは、本記事で登場する「AI」「RPA」について解説をしていきます。
    ここでは、この2つの技術がどのような技術なのか、基本を理解しましょう。

    項目 AI RPA
    概要 人工知能の総称。様々な分野の技術を含む ソフトウェアロボットによる業務自動化
    機能 画像認識、自然言語処理、予測モデリングなど様々 定型的なデスクワーク業務の自動化
    活用例 医療診断、交通制御、マーケティング分析など 入力作業、データ移行、報告書作成の自動化など
    人的作業 人工知能の開発、学習データ付与が必要 RPAシナリオ作成と実行管理が必要
    メリット 高度な判断、認識、予測が可能 人的ミスが減り、作業効率が大幅に向上
    注意点 人工知能の倫理的課題、正確性の担保 高度な判断は困難、例外処理が課題

    AI(人工知能)とは

    AIとは「アーティフィシャル・インテリジェンス」を略した言葉で「人工知能」を意味します。
    AIの定義はひとつに定められていませんが、一般的に人間の言葉の理解や認識、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術を指します。

    近年、「ChatGPT」などの登場で大きな注目を集めているAIですが、実はAIの研究は1950年代から始まり今日まで続いているのです。
    その中で、大きく3回のブームがありました。

    第一次AIブーム(1950~1960年代)

    「推論」や「探索」の技術を用いた、オセロやチェスなどのテーブルゲームをできるAIや、チャットボットの元祖「ELIZA」が誕生しました。

    第二次AIブーム(1980~1990年代)

    専門家のように推論をするシステムが登場し、株価や医療など幅広い分野で実用化されるようになりました。

    第三次AIブーム(2000年代~)

    コンピュータが大量のデータやルール、パターンを発見し自動で学習する「機械学習」が登場しました。

    RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

    RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは

    RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、パソコン上の単純作業を自動化するソフトウェアです。
    プログラミングの知識がなくても比較的簡単に導入・運用できるため、近年多くの企業で導入が進んでいます。

    RPAは、DXを推進していく中で、必要不可欠な技術です。
    その理由は以下の3つがあります。

    1. 業務効率化

    RPAは、単純作業を自動化することで、人件費や業務時間を大幅に削減できます。
    例えば、以下のような業務を自動化できます。

    • データ入力
    • 資料作成
    • システム操作
    • メール送受信
    • フォーム入力

    これらの単純作業を自動化することで、担当者はより付加価値の高い業務に集中できるようになり、業務効率が大幅に向上します。

    2. コスト削減

    人件費や業務時間の削減は、コスト削減にもつながります。
    RPAを導入することで、以下のようなコスト削減効果が期待できます。

    • 人件費削減
    • 残業時間削減
    • 外部委託費削減

    RPAは、導入初期に費用がかかりますが、長期的に見るとコスト削減効果が期待できます。

    3. ミス削減

    RPAは、人間によるミスを防ぎ、業務の品質向上に貢献できます。
    人間は、単純作業を長時間行うと集中力が途切れ、ミスが発生しやすくなります。一方、RPAはミスなく正確に作業をこなすことができます。

    RPAは、DX推進に必要不可欠な技術ですが、導入にはメリットだけでなく導入コストや業務プロセスの見直し、セキュリティ対策などの課題があります。
    導入を検討する際には、自社の業務内容や環境をよく検討した上で、メリットとデメリットを比較検討し、導入効果の測定方法や従業員の理解と協力についても考慮する必要があります。

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    自治体や行政など公共部門でのAIとRPAの活用事例

    AIやRPAの活用は企業だけでなく、自治体や行政でも積極的に導入され業務の効率化を実現しています。

    ここでは、次の自治体でのAIとRPAの活用事例を紹介します。

    東京都足立区

    東京都足立区は、総務省が実施する業務改革モデルプロジェクトに参画し、RPAとAI-OCRによる申請書類の自動化検証を行いました。

    この検証は、「課税課」や「子ども施設入園課」などの5部署の「申告書のデータ入力業務」や「受理簿作成業務」など10の業務を対象に実施されました。

    RPAツールとしては、ソフトバンクが提供する「SynchRoid」、AI-OCRにはCogent Labsが提供する「Tegaki」が使用されました。

    対象の10業務のうち6業務において効果があり、年間約1436時間の削減効果が見込めるという結果になりました。

    鹿児島県奄美市

    鹿児島県奄美市は新型コロナウイルス拡大に伴う国民1人10万円の特別定額給付金の受付処理作業に、AIーOCRとRPAを活用しました。

    申請書類をスキャンし画像をデータ化しAI-OCRにて口座番号などを読み取り、RPAが給付金システムに情報をと投入するということを行いました。

    作業時間は10分の1に短縮され、受付処理業務の効率化に成功しました。

    大阪府八尾市

    大阪府八尾市は新型コロナウイルス拡大による融資制度の保証認定申請件数が急増したことをきっかけにAI-OCRを導入しました。

    2020年に新型コロナウイルス感染症に伴う融資制度がスタートすると保障認定の申請件数が従来の7倍~8倍に増加し、職員の残業が増えてしまいました。

    この状況を改善することを目的に、AI-OCRを導入し、申請全体の6割を占める郵送申請のデータ化に活用され、処理に伴う残業がゼロになりました。

    神奈川県横浜市

    神奈川県横浜市は、RPA及びAI-OCRの導入にあたり、市内の就学援助業務を担当する職員を対象に現行業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に整理をしました。

    年間36000件ある紙の申請所のデジタル化を実現し、「ノンコア業務」を自動化することで、年間約2000時間の業務時間の削減に成功しました。

    また、RPAやAI-OCRの技術研修会や職員自らがRPAの指示書を作成し、業務改善を繰り返し職員一人一人の業務改善に対する意識向上をはかりました。

    大阪府豊中市

    大阪府豊中市は「とよなかデジタル・ガバメント戦略」を策定して、DXの推進を進めてきました。

    令和5年度から新たに始まった後継戦略「とよなかデジタル・ガバメント戦略2.0」が策定され、OCRやRPAなどを活用した業務効率化や生産性の向上を通じて市民サービスの充実を推進することを方針として示しました。

    法人民税異動届データ入力業務や法人税申告書印刷業務などの25業務でAI-OCRとRPAを導入しました。

    その後、業務を順次拡大し2023年3月末時点では77業務で利用され合計で、年間約10400時間もの業務時間の削減の効果がありました。

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    AIやRPAを組み合わせたDX化の成功事例


    AIやRPAは、今や企業の成長戦略に欠かせない技術です。ここからは、AIとRPAを組み合わせたDX化で成功を収めた5社の事例をご紹介します。

    株式会社okicom


    沖縄のIT企業である株式会社okicomは、RPAによる単純作業の自動化、自社開発アプリによる案件・目標管理、経理・労務系ITツールの活用など、DX化を積極的に推進しています。

    また、経営陣の強いコミットメントのもと、担当部署である創夢部を中心に、年毎の予算措置を行いデジタル技術・人材の育成にも力を入れています

    okicomはAIとRPAを活用したDX推進により、業務効率化と新たな価値創造を実現し、地域経済の活性化に貢献しています。

    株式会社okicom

    株式会社ブレイン


    システム開発企業である株式会社ブレインでは、画像認識機能によるレジ装置を開発しました。

    この装置は、AIとRPAを組み合わせた画像認識技術で、トレーに置かれたパンを自動で認識し、種類と数量を判別。購入金額を算出します。

    パンの種類を覚える必要がなく、誰でも簡単に操作できるため、人材不足や教育コストの課題を解決します。

    また、レジ会計に掛かる工数そのものも低減されたことから、店舗の生産性向上や顧客の会計待ちによるストレス軽減も実現しています。

    株式会社ブレイン

    株式会社山本金属製作所


    創業以来培ってきた技術とデジタル技術を融合させた革新的な取り組みで、ものづくりの未来を創造する株式会社山本金属製作所。

    2008年の金融危機を乗り越え、同社は「Intelligence Factory 2030」を掲げ、デジタル技術を駆使した変革に挑戦しました。

    機械加工プロセスや作業内容をリアルタイムで測定し、自社の強みを可視化。蓄積されたデータを徹底的に分析し、改善を重ねました。

    また、外部企業の知見や人材を積極的に活用することで、自社だけの力でなく、多様な視点を取り入れ、自社工場の自動化を実現し、自動化の仕組みを他社に導入する新たな事業創出にも成功しました。

    AIやIoTなどの最新技術を駆使し、機械加工プロセスの無人化や自動化を目指しています

    株式会社山本金属製作所

    株式会社ヨシズミプレス


    株式会社ヨシズミプレスは、金型製作から順送プレス加工までの一貫生産を行っている製造会社です。月50万個の精密部品を目視検査しており、従業員6名で約10日間かかっていました。

    株式会社ヨシズミプレスでは、コンサルティング会社のサポートでAIによる画像検査システムを導入。AIの学習データとなる良品・不良品の画像を1,000枚以上用意し、自社で整列機を製作するなど、試行錯誤を重ねました。

    導入の結果、検査時間は月300時間削減。人手のかかる検査が自動化され、従業員の負担軽減と利益率向上を実現しました。

    AI導入によってヨシズミプレスは大きな変革を遂げました。今後も挑戦を続け未来へ向けて力強く歩み続けています。

    株式会社ヨシズミプレス

    株式会社リョーワ


    株式会社リョーワは、福岡県北九州市に本社を置く、油圧装置のメンテナンス事業と外観検査システム事業を行っている会社です。

    創業以来、主に大手企業を相手とする油圧装置のメンテナンス事業を手掛けていましたが、2003年に現社長が就任すると油圧メンテナンス事業から機械全体のメンテナンス事業への転換推進に取り組むために2名の中途社員を採用。

    この中途社員が中心となり2014年に外観検査装置事業を立ち上げました。

    その後、AIによる画像処理技術に注力し、中小企業でも導入できる低価格なクラウド型AI外観検査システム「CLAVI」を開発し、遠隔メンテナンスサービスの開発も進めています。

    株式会社リョーワのDXは、経営者のマインドセットの転換と、外部人材の積極的な活用、事業変革のための長期ロードマップの策定という3つの特徴を備えています。これらの特徴を活かして、中小企業の外観検査のデジタル化に貢献しています。

    株式会社リョーワ

    まとめ:AIやRPAを組み合わせて最先端の業務効率化を行いましょう


    DXを成功させるためには、AIやRPAなどのデジタル技術を効果的に活用することが重要です。

    AIは、膨大なデータを分析し、人間では見つけられないパターンや洞察を発見することができます。RPAは、単純作業や定型作業を自動化することができます。

    AIとRPAを組み合わせることで、より効果的な業務効率化を実現できます。AIは、RPAが自動化した業務から得られるデータを分析し、新たな業務改善の提案を行うことができます。RPAは、AIの分析結果に基づいて、業務プロセスを自動化することができます。

    DXは、企業の競争力を高め、成長していくために不可欠な取り組みです。AIやRPAなどのデジタル技術を効果的に活用することで、DXを成功させ、企業の成長を実現しましょう。

    AIや業務効率化の相談は、是非株式会社Jiteraにお問い合わせください。Jiteraは、DXを推進する企業を支援しています。DXのコンサルティングや、AIやRPAの導入支援など、様々なサービスを提供しています。

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