AIイラスト生成サービスはプロンプトを入力するだけで、イメージ通りの画像を生成できる画期的なサービスです。
しかし、適切なプロンプトを入力しないと、思ったような出力にならない場合があります。
本記事では、AIイラストを適切に作成するためのプロンプトの書き方や、コツ、実際の生成例などを交えて紹介します。
より良いイラストを引き出すためのテクニックを、詳しく見ていきましょう。

システムエンジニア(SE)、プログラマー、ウェブサイト作成業務、ネットワークエンジニアなどを経験。 現在、フリーマルチライターとして活動中。最近はAI活用方面に没頭中。
AIイラストに欠かせないプロンプトとは
AIイラストを作成する上で、プロンプトは欠かせない要素です。
プロンプトとは、AIにテキスト形式で指示を出すことで、それに基づいて画像を生成させるための入力情報です。適切なプロンプトを入力することで、AIは人間の意図を正確に読み取り、思い通りの出力を行います。
プロンプトの目的は、生成AIに対してイメージ通りの出力をしてもらうための言葉を厳選することにあります。
適切なプロンプトを常に工夫し理想的な入力を行うことで、イメージと合致した画像を生成できます。
さらにプロンプトの内容次第で、画像の構図、被写体、色合いなどが変化し、個人や自社サービス特有の画風やブランディングに活かすことも可能です。
逆に不適切なプロンプトでは、AIが人間の意図を正しく理解できず、期待とは異なる出力になってしまう可能性があります。
適切なプロンプト入力を行うためには、それ相応の工夫が必要です。自然学習言語とイメージを一致させるために多くのトライアンドエラーが欠かせません。
本記事の後半ではプロンプトの一例を紹介いたしますので、より最適化させるための参考にして頂ければと思います。
プロンプトの3つの基本要素
効果的なプロンプトを作成するには、以下の3つの基本要素を組み合わせることが重要です。
- 被写体: 人物、風景、物体、抽象的な概念など、描きたい主題を明確に指定します。
- 視点や構図: 被写体を見る角度やカメラ位置、画角などを指定し、構図をコントロールします。
- 画風や描写: 現実的か抽象的か、暗くか明るいかなど、画風や描写のスタイルを指定します。
これら3つの基本要素を適切に組み合わせることで、思い通りの画像を生成できる可能性が高まります。
例えば
「profile picture of a happy middle aged woman with long brown hair standing outside in a sunny park with trees in the background, digital art」
(背景に木がある日当たりの良い公園の外に立つ、長い茶色の髪を持つ幸せな30代ほどの女性のプロフィール写真)
のように指定すると、下記のような画像が出力されます。
文脈をそのままプロンプトを指定することもできますが、より厳密なイメージを絞りたい場合、単語ごとで区切ると明確なイメージを学習させやすくなります。
「profile picture, 1woman, standing, middle aged, happy , long brown hair, outside, sunny park, trees, background, digital art」
(プロフィール写真、女性 1 人、立っている、中年、幸せ、長い茶色の髪、外、日当たりの良い公園、木、背景、デジタル アート)
とした場合、出力される画像は下記になります。
より一つ一つの要素が具体化し、文脈上では曖昧だった表現(木々の描写や、女性の表情など)が明瞭になります。
【コピペで使える】AIイラストのプロンプト一覧
実際にAIでイラスト作成をする際、初めての場合、プロンプトの書き方、どのようなキーワードを組み合わせればよいのか分からないことも多いでしょう。
今回は、コピー&ペーストで誰でも簡単に利用できるプロンプトの一覧をご紹介します。
人物、風景、物体、抽象的な表現など、さまざまなジャンルのプロンプトの一例を挙げてみました。
実際に生成AIに触れられる環境であれば、これらのプロンプトをそのまま活用するだけでなく、アレンジを加えたり、組み合わせを変えたりして自由にカスタマイズしてみてください。
なお著者はNovelAI Diffusionを主に活用していますので、同じ生成サービスを利用していれば紹介した内容により近いイメージを期待できるでしょう。
人物
まずは人物の例を紹介します。イラスト生成AIは基本的に複数人が苦手です。グループのプロンプトも紹介しますが、大人数のイラストはうまくいかないことも多いので試行錯誤してみてください。
例1
profile picture, 1 woman, standing, middle aged, happy, long brown hair, outside, sunny park, trees, background, digital art
プロフィール画像、1人の女性、立っている、中年、幸せそう、長い茶色の髪、外、晴れた公園、木々、背景、デジタルアート
例2
1 man, handsome, business suit, standing, confident
1人の男性、ハンサム、スーツ姿、立っている、自信に満ちている
例3
2 people, elderly couple, holding hands, smiling at each other
2人、高齢の夫婦、手を繋ぎ、お互いに微笑み合っている
例4
group, diverse friends, having good time together
グループ、様々な友人、一緒に楽しい時間を過ごしている
風景
続いて、風景イラストの生成に使えるプロンプトを紹介します。
例1
serene lake, surrounded, snow-capped mountains, sunrise
穏やかな湖、雪をかぶった山々に囲まれている、日の出
例2
city street, night, neon signs, people walking, bustling
市街地の通り、夜、ネオンサイン、歩行者、にぎやか
例3
fantasy landscape, floating islands, waterfall in sky
ファンタジーの風景、空に浮かぶ島々、空中の滝
例4
alien planet, purple soil, two moons in sky
地球外の惑星、紫の土、空に2つの月
物体
モノに関するイラストを生成する際のプロンプトを紹介します。
例1
realistic rendering, red sports car, winding road
実在感のあるレンダリング、赤いスポーツカー、曲がりくねった道路
例2
futuristic city, flying cars, towering skyscrapers
未来都市、飛行する車、高層ビル
例3
still life painting, various fruits, woven basket
静物画、様々な果物、編み籠
例4
antique golden pocket watch, ornate cover
アンティークの金の懐中時計、装飾のある蓋
抽象的な表現や感情表現
イラスト生成AIは抽象的な表現もイラストにしてくれます。細かい指定をしない分、AIによる思いがけないアイデアが生まれるかもしれません。
例1
abstract painting, expressing concept, freedom
抽象画、自由の概念を表現している
例2
surreal dreamscape, melting clocks, butterflies
超現実的な夢の景色、溶けた時計、蝶
例3
powerful illustration, depicting struggle, against adversity
力強いイラスト、逆境に立ち向かう闘いを描いている
例4
whimsical, children’s book illustration, joy of imagination
ふしぎな、児童書のイラスト、想像力の喜び
AIイラストにおけるプロンプトのコツ
画像生成AIを活用する際には、プロンプトの明瞭性が鍵を握ります。AIが何を作り出すべきかを明確な指示が必要です。
ここでは、画像生成AIのプロンプトを効果的に書くための、下記の5つほどコツを解説します。
- 具体的に詳細に指示する
- あいまいな単語は使わない
- コンテキスト(文章の前後関係)を追加
- 長さを考慮する
- 強調や制約条件は明確に指示
順を追って解説していきます。
内容や目的を明確に伝える
プロンプトを作成する際は、最初に画像の内容や目的を明確にすることが重要です。
ポートレートなのか風景なのか、リアルなのか抽象的なのか、といった全体像をプロンプトの冒頭で指示しておくと反映されやすくなります。
より具体的に詳細を伝える
たとえば「海の絵」という一般的なリクエストよりも、「夕日に照らされて、空も見渡せる海岸を一望できる絵」といったプロンプトが適切といえます。
背景や周囲の環境など、細部にわたる情報を加えることで、求めているイメージにより近い成果を得られるでしょう。
明確な言葉を使い、あいまいな単語は使わない
「美しい景色」といった主観的かつあいまいな表現だと思ったような出力結果を得られないケースが多いです。できるだけ具体的に詳しく指示しましょう。
例えば「夕日に照らされた海岸、オレンジ色の空、空の3割ほどを占める雲、沿岸に岩礁が一望できる景色」といった明確で具体的な指示が望ましいです。
コンテキスト(文章の前後関係)を追加
画像生成AIのプロンプトにおいて、コンテキスト(文章の前後関係)を盛り込むのも効率的です。
例えば先程の「夕日に照らされた海岸」に「穏やかな雰囲気でカモメが空を飛んでいる」という文脈を付け加えることで、さらに細かく厳密化なイメージイラストを生成できるでしょう。
テキスト全体の流れを踏まえて、特定の目標やキーワードを盛り込んで理想的なイメージに近づけていくのも有効な手段です。
イラストを参照にして新しくイラストを生成するi2i(image2image)といったオプションも数多くの生成AIに組み込まれていますので、こちらを有効活用するのもオススメです。
長さを考慮
短すぎる指示はAIに必要な情報を与えられないため、期待した結果が得られないことがあります。逆に長すぎる指示は、予期しない結果を引き起こす場合もあります。
画像作成に関係のない情報は極力少なくしましょう。情報過多は、AIが重要なポイントを見失う可能性を高めます。
まず「これは外せない」といったような本質的な指示をプロンプト前半に書き出し、あとから細かな条件を付け足していくのがよいでしょう。
強調や制約条件は明確に指示
特に重要な部分は強調したり、制約条件を付けたりすることで、AIにその部分を正確に認識させることができます。
例えば「夕焼けを背景に、中央で目立つように配置された犬」のように、画像のレイアウトやオブジェクトのサイズ、位置関係に関する明確な指示をすることで、AIはより精密な画像を作り出すことができます。
NovelAIのプロンプト記述例であれば {dog}(犬を強調指示)や[background](背景を控えめに)といった指示もくわえることができます。
強弱を上手く活かし、より注目させたい対象を決めていきましょう。
このように、AIイラストを作成する上では、作成したいイラストの情報を明瞭に伝えるスキルが必要です。スキルがあっても、やはりイメージ通りのものが出来上がらないこともあります。
そんな時は、ぜひJitera株式会社までお問い合わせください。
Jiteraは、AIを使ったシステム開発やアプリ開発、AIカスタムを得意としており、AIに関することであればどのような要望であっても対応することができます。イラスト作成をより簡単にするアプリ、ツール自体の開発も可能です。
DX推進にも力を入れているため、AIイラスト作成についてだけではなく、業務効率化のためにAIを使ってどのように解決していけるかまで相談をすることができます。
専属のエンジニアが徹底的にサポートしてくれるので初めての依頼であっても安心です。
AIイラストの作成例
プロンプトの書き方がイメージできましたら、次は実際にAIイラストを作成してみましょう。ここからはさまざまなジャンルの作例を紹介します。
人物、風景、物体、抽象的な表現など、先程まで解説したプロンプト例を使って具体的なイメージを掲載していきます。プロンプトの指示が、どのようにAIイラストに反映されているのかに着目してみてください。
男女
プロンプト例
【full, 1man,1girl,couple, holding hands, walk side by side, city street, night, neon signs】
ビジネス男性
プロンプト例
【portrait,1man, standing, handsome, business suit, confident, office】
アニメ風
プロンプト例
【1girl,full,Vtuber,standing, happy, long brown hair, red eyes, black dress】
Vtuber
プロンプト例
【 1girl, portrait, abstract, Vtuber, looking at viewer, medium hair, white, peace fingers】
風景
プロンプト例
【 alien planet, purple soil, moons in sky, milky way】
まとめ:AIイラストはプロンプト次第で差がつく
ここまで生成AIのプロンプトについて解説してきました。
ぜひ、本記事で解説したプロンプトの書き方のコツを活かし、思い通りの画像を生成できるよう工夫してみてください。
AIイラスト生成サービスを上手く活用することで、クリエイティブな表現の幅が格段に広がります。自動学習の癖やパターンを知り、トライアンドエラーを繰り返しながらプロンプトを駆使して、オリジナリティ溢れる創作活動にチャレンジしてみてください。
AIイラストは、クリエイターのアイデアを視覚化する新しい表現手段となり得ます。このテクノロジーを最大限活用することで、きっとクリエイティブな企画やアプリ・サービスの新規開拓など、可能性が無限に広がるはずです。