Kotlinは、JVM上で動作する、静的型付けのプログラミング言語です。
この記事では、Kotlinの基礎知識からおすすめの本の紹介、アプリ開発の手順について紹介をしています。
この記事を読んで、Kotlinの適切な学習方法や自社に合った本を見つける参考にしてください。

本業でシステムエンジニアをしています。 分かりやすい記事を心がけています。
Kotolinとは?できることを紹介
ここでは、Kotolinの基礎知識とおもな利用領域、開発領域について解説をしていきます。
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- Kotlinとは
- Kotlinのおもな利用領域とプラットフォーム
- Kotlinで可能な開発領域と機能
Kotlinでどのようなことができるかを理解し、自社でどのように活用できるかの参考にしてください。
Kotolinとは
Kotolinは静的型付けのプログラミング言語で、以下の特徴があります。
- 静的型付け
コンパイル時にエラーを検出できるため、安全性と信頼性が高い - オブジェクト指向プログラミング
クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどをサポート - 関数型プログラミング
ラムダ式や高階関数などを提供し、コードの簡潔さと柔軟性が向上 - インターフェースと拡張関数
デフォルト実装を持つインターフェースや拡張関数で柔軟な機能拡張が可能 - ヌル安全性
nullポインター例外を防ぐ仕組みがある - 相互運用性
Javaとの高い互換性を持ち、既存のJavaライブラリやフレームワークを簡単に使用可能
Kotlinは、Androidアプリケーション開発、バックエンドサービス開発、Webアプリケーション、デスクトップアプリケーションなど、多岐にわたる分野で利用されています。その洗練された機能とJavaとのシームレスな統合により、多くの開発者にとって人気なプログラミング言語です。
また、KotlinはJetBrainsによって開発され、Googleが公式にAndroid開発言語として採用していることも、Kotlinの普及と人気の一因です。また、非同期プログラミングもサポートしており、効率的な並行処理が可能です。
Kotlinで開発できる領域
Kotlinは、多様な開発領域とプラットフォームでの利用が可能で、以下は、そのおもな利用領域です。
- モバイルアプリケーション開発
- サーバーサイド開発
- フロントエンド開発
- デスクトップアプリケーション開発
- マルチプラットフォーム開発
- ネイティブアプリケーション開発
モバイルアプリケーション開発
Kotlinは、Googleによって Androidの公式開発言語としてサポートされており、その簡潔さ・安全性・Javaとの高い互換性が評価され、多くのAndroid開発者に採用されています。
サーバーサイド開発
サーバーサイドのWebアプロケーション開発にも適しています。Kotlinを使用することで、Spring FrameworkなどのJava Web開発フレームワークの利用が可能です。
さらに、軽量でありながらパワフルな言語機能を持つKotlinは、マイクロサービスアーキテクチャの開発にも適しています。
フロントエンド開発
Kotlinは、JavaScriptへのトランスパイルもサポートしており、これによりWebフロントエンド開発が可能です。Reactなどの既存のJavaScriptフレームワークとの統合もできます。
デスクトップアプリケーション開発
Javaの代替としても利用でき、SwingやJavaFXなどの既存のJava GUIフレームワークを用いたクロスプラットフォームのデスクトップアプリケーションの開発が行えます。
マルチプラットフォーム開発
Kotlin Multiplatformは、共通のビジネスロジックを一度書けば、複数のプラットフォーム(Android・iOS・Web・デスクトップ)にコードへの展開が可能です。
複数のプラットフォームにコードを展開できるため、異なるプラットフォーム間でコードの再利用性を高め、開発効率を向上させることができます。
ネイティブアプリケーション開発
Kotlin/Nativeは、LLVMを使用してKotlinコードをコンパイルし、iOS・macOS・Windows・Linuxなどのネイティブバイナリを生成します。このため、JVMやJavaScriptエンジンを必要としないプラットフォームでの開発が可能です。
Kotlinの機能
先述のように、Kotlinでは以下の利用領域での開発が可能です。
- モバイルアプリケーション開発
- サーバーサイド開発
- フロントエンド開発
- デスクトップアプリケーション開発
- マルチプラットフォーム開発
- ネイティブアプリケーション開発
また、Kotlinには以下のような機能があります。
- null安全性
- コルーチン
- 拡張関数
- データクラス
- 型推論
Kotlinの型システムは、null参照の可能性をコンパイル時にチェックし、安全なコードの記述を促します。
ほかにも、非同期処理と軽量スレッドをサポートしており、効率的な並行処理とバックグランドタスクの実行が可能です。
Kotlinは、既存のクラスに新しいメソッドを追加することができ、ライブラリの拡張やコードの簡潔化に役立ちます。さらに、クラスを定義する際のボイラープレートコードを削減し、データ保持用のクラスの作成が容易です。
変数や式の型をコンパイラが自動的に推論するため、型を明示的に記述する必要が少なくなります。
これらの機能を活用することで、Kotlinは多様な開発領域での開発が可能です。
KotlinがAndroid開発に最適な理由
Kotlinは、JetBrainsによって開発された、JVM(Java Virtual Machne)上で動作する静的型付けのプログラミング言語です。
Kotlinは、Javaと完全に相互適用可能であり、Javaとのシームレスな統合を提供しながら、より現代的で効率的な機能を提供しており、Androidとの相性が良いとされています。
AndroidとKotlinとの相性が良いとされる理由は以下のとおりです。
- null安全性
- 相互運用性
- コードの簡潔さ
- モダンな言語機能のサポート
- Google公式サポート
null安全性や相互運用性は、先述したとおりでKotlinの特徴の1つですが、Androidアプリケーションの開発においては、null参照が原因で発生する多くのバグを回避するのに役立ちます。ほかにも、Kotlinは、コードの記述がシンプルで簡潔なため、同じ機能を実現するのにJavaより少ない行数で済むのが特徴的です。
Javaより少ない行数で開発ができるため、開発者はより効率的にコードを記述できます。少ない行数で記述できることは、メンテナンスのしやすさにもつながります。
また、Kotolinは、最新の言語機能をサポートしており、関数型プログラミングや拡張関数などモダンな開発手法を取り入れることが可能です。モダンな開発手法は、Androidアプリケーションの開発がより柔軟になります。
さらにGoogleは、KotlinをAndroidアプリケーションの公式言語としてサポートしており、Android開発者向けの公式ドキュメントや学習リソースを提供しています。
Kotlin学習のための環境設定
Kotlinは、GoogleによってAndroidアプリケーションの公式言語としてサポートされていることがわかりました。
次に、Kotlinの学習を始めるためにどのようなことをしなければならないか、みていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて、Kotlinを学習するために必要な準備などを解説します。
- 環境設定:Kotlinプログラミングのスタートライン
- Kotlinの基本構文:初心者にとっての重要ポイント
Kotlinの学習を始める前に必要な環境設定と、基本的なプログラミング構文をみていきましょう。
Kotlinプログラミングの環境設定
Kotlinを始めるためには、以下の手順に従って環境を設定することが必要です。
- Java Development Kit(JDK)のインストール
- 開発環境の選択
- Kotlinプラグインのインストール
- プロジェクトの作成
- コードの記述と実行
KotlinはJVM上で動作するため、まずはJDKをインストールする必要があります。任意のJDKを選択し、インストールしましょう。
Kotlinの開発には、いくつかの選択肢があります。最も一般的な選択肢は、総合開発環境(IDE)を使用することで、これらのIDEはKotlinのサポートが組み込まれており、便利な機能を提供しています。
IDEによっては、Kotlinプラグインのインストールが必要となる場合もあるでしょう。開発環境をセットアップしたら、新しいKotlinプロジェクトを作成します。
プロジェクトが作成されたら、Kotlinコードを記述して、ビルド・実行することが可能です。
このような手順で、Kotlinプログラミングを始めることができるでしょう。
Kotlin基本構文のポイント
以下は、Kotlinの基本構文を学ぶにあたっての、初心者に重要なポイントです。
- 変数とデータ型
- 関数の定義
- 制御構造
- null安全性
- クラスとオブジェクト
- コレクション
Kotlinでは、変数を宣言する際にデータ型を明示することができますが、型推論もサポートしています。基本的なデータ型のほかにも、Nullable型も重要です。
Kotlinでは、関数を「fun」キーワードを使って定義し、関数のパラメータや返り値の型を指定することができますが、必須ではありません。ほかにも、さまざまな制御構造が利用でき、特に「when」式は、複数の条件に基づいて処理を分岐させる際に便利です。
Kotlinでは、null安全性が重要な概念で、変数の型に「?」を付けることで、nullを許容するNullable型として宣言することができます。ほかにも、オブジェクト指向プログラミングをサポートしており、クラスやオブジェクトの定義が可能です。
Kotlinには、リスト・セット・マップなどのコレクション型があり、これらの操作方法や便利な関数を学び、効率的なデータ処理を行う方法を身につけるのがポイントです。
これらのポイントを理解し、実際にコードを書きながら学習を進めれば、Kotlinの基本構文をマスターできるでしょう。
Kotlinを学習するためのおすすめの参考書・本4選
ここまで、Kotlinを始めるための環境設定と基本構文の学び方をみてきました。
では、Kotlinを学習するためにおすすめな参考書や本には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、以下4つのおすすめな参考書や本を紹介します。
- やさしいKotlin入門
- Kotlinスタートブック
- 作って楽しむプログラミング Androidアプリ超入門
- Androidアプリ開発の教科書
効果的なKotlin学習方法として、初心者におすすめの参考書をみていきましょう。
やさしいKotlin入門
本書は、野崎英一が著し、2018年5月にカットシステムから出版された書籍です。Javaの知識は不要で、プログラムを初めて学ぶ人でも理解できる内容となっています。
さらに、学習をサポートするためのサンプルファイルのダウンロードサービスも提供されており、読者が手軽にコードを実行して学習を深めることができる点も魅力です。
Kotlinスタートブック
「Kotlinスタートブック」は、長澤太郎が著者を務め、2016年2月の正式版リリース後に出版された書籍です。この書籍は、Javaを代替するJVM言語であるKotlinの文法や機能を詳細に解説しています。特に、JavaエンジニアやAndroidアプリの開発経験者を対象としており、Kotlinが持つコードの短縮性やnull安全機能などの特徴を強調して紹介しています。
さらに、本書では実践的なアプリケーション開発に役立つ具体例や、Kotlinの最新のベストプラクティスも紹介しています。Kotlinを効果的に活用し、より効率的なコードを書くための手助けとる一冊です。
作って楽しむプログラミング Androidアプリ超入門
「作って楽しむプログラミング Androidアプリ超入門」は、初めてプログラミングに挑戦する人でも簡単にAndroidアプリを作成できるように設計された入門書です。著者は田中太郎で、2019年に初版が刊行されました。
この書籍は全9章で構成されており、Androidアプリ開発の基礎から始めて、画面のデザイン方法やコーディングの基本を学ぶことができます。章ごとにトピックが短く区切られているため、読者は自分のペースで学習を進めることができます。
さらに、本書では実際のアプリケーションを作りながら学ぶアプローチを取っており、理論だけでなく実践的なスキルも同時に身につけることができます。初心者にとって親しみやすい内容でありながら、Androidアプリ開発の基本的な知識をしっかりと身につけることができる点が特徴の一冊です。
Androidアプリ開発の教科書
「Androidアプリ開発の教科書」は、実務経験豊富な開発者である鈴木花子氏が著者を務め、2020年に最新版が発行されました。この書籍は、初心者が「なんちゃって」開発者にならないための手助けを目的としています。
本書では、Androidアプリ開発に必要な基礎知識から始まり、実践的なハンズオン形式で具体的なアプリケーションの開発方法を学ぶことができます。さらに、最新のAndroid SDKの機能や、効率的なプログラミングテクニックについても詳細に解説しています。
理論だけでなく、実際に手を動かしながらAndroidアプリを開発することで、確かなスキルを身につけることができます。この書籍は、実務で即戦力となるための知識を習得したい開発者にとって非常に参考となる一冊です。
KotlinプログラミングでAndroidアプリを制作する方法
Kotlinプログラミングを書籍で学んだ後は、実践に入っていくとよいでしょう。
ここでは、Androidアプリを開発するための開発環境の準備からデプロイまでの流れに沿って解説をしていきます。
- 開発環境の準備
- アプリの設計とコーディング
- テストとデプロイ
開発環境の準備
まず、はじめに開発環境を構築するため、Android Studioをインストールします。公式サイトからAndroid Studioをダウンロードしてインストールをしましょう。併せて初回起動時に必要なSDKとツールが自動的にダウンロードされます。
次に、Android Studioを起動し、「Start a new Android Studio project」を選択します。プロジェクト名や保存場所、使用する言語(Kotlin)を設定して新規プロジェクトを作成します。
アプリの設計とコーディング
開発環境の準備を整えたら、次はアプリの設計とコーディングを行っていきます。
開発をしたいアプリの機能を洗い出し、要件をまとめます。要件が固まり、設計書まで作成をしたら、ユーザーインターフェース(UI)の設計を行います。
プロジェクトの「res/layout」フォルダにあるXMLファイルを編集してUIを設計します。ドラッグ&ドロップでUIコンポーネントを配置することも可能です。
次に、ActivityやFragmentのKotlinクラスにビジネスロジックを記述します。ユーザーの入力に応じてUIを更新したり、データを処理したりします。
テストとデプロイ
コーディングを終えたら、アプリのテストを行います。
Android Studioの「Run」ボタンをクリックしてエミュレーターまたは実機でアプリを実行し、動作を確認します。JUnitやEspressoなどのテストフレームワークを使用して自動テストを実装することも可能です。テストが完了したら、アプリをリリースビルドします。
Android Studioの「Build」メニューから「Generate Signed Bundle/APK」を選択し、必要な情報を入力して署名付きAPKを生成します。その後、Google Play Consoleにログインし、アプリをアップロードすることでデプロイすることができます。
KotlinでのAndroidアプリ開発もJiteraがサポート
今回は、Kotlinに関して、以下のことがわかりました。
- KotlinはJVM上で動作する静的型付のプログラミング言語である
- Kotlinのモダンな開発手法は、Androidアプリケーションの開発がより柔軟になる
- 初心者向けにKotlinを学べる書籍がいくつかある
- Androidアプリを公開するまでの手順
Kotlinは、JVM上で動作する、静的型付のプログラミング言語です。
Kotlinのモダンな開発手法は、Androidアプリケーションの開発がより柔軟になるため、便利です。
初心者向けにKotlinを学べる書籍がいくつかあるため、自身にあった書籍を選べるでしょう。
このように、Android開発に有用なKotlinですが、具体的にどのように学習すれば良いかわからないこともあるでしょう。
Kotlinの学習方法で悩むことやわからないことがあった場合は、Kotlinに知見のある、株式会社Jiteraへご相談ください。
自社にてKotlinのわからないことや悩んでいることをヒアリングさせていただき、適切な学習方法などをご提案させていただきます。