近年、「働き方改革」が注目を集め、日本企業における雇用形態の多様化が進んでいます。社員一人ひとりのキャリアプランも多様化する中、人材管理においても新たな対応が求められるようになってきました。
この変化に対応するため、革新的な機能を備えた人事管理システムが脚光を浴びています。しかし、数多く展開されているサービスのうちから、自社に最適なシステムを選ぶのに迷ってしまうことも。
本記事では、人事管理システムの特徴やメリットを解説しながら、おすすめのサービスやシステムをご紹介します。ぜひ最適なツールの選定にご活用ください。
システムエンジニア(SE)、プログラマー、ウェブサイト作成業務、ネットワークエンジニアなどを経験。 現在、フリーマルチライターとして活動中。最近はAI活用方面に没頭中。
人事管理システムの主要な機能一覧

現代の人事管理システムは、多岐にわたる機能を提供しています。
採用、入退社手続き、人事評価、勤怠管理、給与計算、労務管理などに加え、経営戦略の多様化に対応するためのタレントマネジメント機能を搭載したシステムが主流となっています。
人事管理システムには、以下のような機能が存在します。
| 機能カテゴリ | 主な機能 | 機能の詳細 |
| 従業員情報の管理 | 従業員情報管理 | 従業員の基本情報(氏名、住所、連絡先、職務履歴など)を一元管理 |
| 雇用管理 | 雇用形態(正社員、パートタイム、契約社員)や入退社情報の管理 | |
| 職務・配置管理 | 従業員の部署や役職、配置変更などを管理 | |
| 給与計算と給与管理・勤怠管理・労務管理 | 勤怠管理 | 勤務時間、休暇申請、有給休暇の消化状況を管理 |
| シフト管理 | シフトの作成、変更、確認、休暇リクエスト対応 | |
| 給与計算 | 勤怠データを元に、給与の計算、支給、税金控除を自動化 | |
| タレントマネジメント・スキルマネジメント | 教育・研修管理 | 従業員の研修履歴、スキルアップ情報、研修計画の管理 |
| パフォーマンス管理 | 評価制度に基づく業務評価の管理、目標設定と進捗確認 | |
| 採用管理 | 求人管理 | 採用計画、求人広告の作成、応募者管理 |
| 面接・選考管理 | 面接スケジュールの管理、評価の記録、選考結果の管理 | |
| 法定対応 | 労働基準法対応 | 法的に必要な各種届け出や書類作成、雇用契約書の管理 |
| マイナンバー管理 | 従業員のマイナンバー情報の保管と管理 | |
| 福利厚生管理 | 福利厚生プログラム | 員に提供される福利厚生(保険、年金、健康診断など)の管理 |
各ツールの詳細な比較は後半で行いますが、まずは主要な機能について見ていきましょう。
従業員情報の管理
従業員情報の一元管理は、人事管理システムの最も基本的な機能です。生年月日、入社年度、職歴、配属先、職位、基本給、マイナンバーなどの個人情報に加え、技能資格や学歴・職歴なども管理します。
従業員一人ひとりの情報を正確に把握することは、適切な人事管理の大前提でしょう。多くの人事管理システムには、これらの個人情報を蓄積・管理できる機能が備わっています。
給与計算と給与管理
一元管理された基本情報をもとに、給与計算と支給実績管理を行うのも人事管理システムの重要な機能です。特にマイナンバー制度導入以降、給与管理が複雑化し、個人情報の取り扱いにも細心の注意が必要になりました。
自動化された給与システムは、人件費の削減に寄与するだけでなく、給与予測額の算出など将来的な人事管理にも役立ちます。
勤怠管理
勤怠管理システムは、従業員の出退勤や休日、休暇といった勤務状況を管理する機能です。勤務時間の打刻や出退勤記録はもちろん、休日出勤や総残業時間といった超過勤務管理、欠勤や休暇申請といった承認ワークフロー管理まで対応します。
従来のタイムカードや紙の申請書に代わり、あらゆる勤怠情報をデジタルで管理します。
採用管理
人材採用に関する業務情報を一元管理し、業務効率化を図る機能です。候補者の進捗状況を簡単に把握できるほか、応募者や面接担当者への面接日時調整のマッチングや連絡、再調整も一括で管理できます。
日程調整が最適化されることで、候補者を不必要に待たせたり、他の業務に支障をきたすリスクを軽減できるでしょう。また、求人媒体への対応状況やその効果を分析できるシステムもあります。
労務管理
従業員の社会保険や福利厚生の加入手続き、申請の電子化を行う機能です。従来はExcelや紙で管理し、メールや郵送など人手でやり取りしていた管理を、書類の作成から電子申請、確認まで一括で管理することで、労務にかかる負担を軽減します。
書類の参照や差し戻し、申請手続きの進捗確認もオンライン上で行えるツールが登場しており、従業員がスマートフォンなどの携帯端末で入力した情報を自動収集し、そのまま電子申請まで行えるシステムも増えてきました。
タレントマネジメント・スキルマネジメント
タレントマネジメントは、従業員のスキルや経験を一元管理し、人材開発や人材配置に役立てる機能です。
労働状況を管理する人事管理システムとは異なり、社員のスキルや経験値をデータ化することで、より効率的な人材管理が可能になりました。
新たな業務に活かせるスキルを持つ人材をすぐに特定できるため、戦略的な人材育成や配置が可能でしょう。
ここからは、目的別におすすめの人事管理システムを紹介します
- 給与管理に強いシステムは、「おすすめの人事管理システムランキング(給与計算と給与管理)」
- 勤怠管理に強いシステムは、「おすすめの人事管理システムランキング(勤怠管理)」
- 採用管理に強いシステムは、「おすすめの人事管理システムランキング(採用管理)」
- タレントマネジメントに強いシステムは、「おすすめの人事管理システムランキング(タレントマネジメント)」
おすすめの人事管理システムランキング(給与計算と給与管理)

給与管理システムは、従業員の基本給や手当、社会保険や税金などを基に給与計算を行い、給与明細の作成や人件費管理を行うシステムです。
ここでは、おすすめの給与管理システムを3つご紹介します。
| システム名 | 運営企業 | 価格 |
給与奉行クラウド |
株式会社オービックビジネスコンサルタント 「奉行シリーズ」 |
◆基本プラン(1000人以下の中小企業対象) 月額:5,500円〜 初期費用:0円〜 |
![]() PCA給与DX |
ピー・シー・エー株式会社 「PCAクラウドシリーズ」 |
◆基本プラン 小規模向け 月額:4,290~7,700円 ◆DXコンプリートプラン 月額:14,850円 |
マネーフォワードクラウド給与 |
株式会社マネーフォワード 「マネーフォワードクラウドシリーズ」 |
◆個人事業主向けプラン 月額:2,980円~ ◆中小企業向けプラン 月額:4,980円~ |
1位:給与奉行クラウド

給与奉行クラウドはオービックビジネスコンサルタントの奉行シリーズの一つで、総務人事クラウドの拡張機能としても提供されています。奉行シリーズは事務総務の定番ソフトであり、必要な機能を満遍なく搭載しています。
企業規模に応じた細かいプラン分けがされており、従業員1000名未満、1000~20000名、グループ企業一元管理向けなど、サービスが多彩な大手人事クラウドシステムといえます。
| システム名 | 給与奉行クラウド |
| 運営会社 | 株式会社オービックビジネスコンサルタント |
| サービス概要 | 中小企業向け定番会計ソフト 「奉行クラウド」シリーズの給与管理システム |
| 機能一覧 |
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| 料金 | 月額5,500円〜 初期費用無料 |
2位:PCA給与DX

PCA給与DXは、サービス開始から10年以上の実績を持ち、19,000社以上の企業で利用されている給与計算ソフトです。会計・給与・販売管理・税務を網羅した「PCAクラウド」シリーズの一部です。
PCA人事管理との連携も可能で、単体での導入から始め、必要に応じてソフト間の高い連動性を活かして段階的にデジタル化範囲を拡大できる柔軟性が特徴でしょう。DXコンプリートプランを選択することで、「PCAクラウド」シリーズの全機能の利用と連携が可能となります。
| システム名 | PCA給与DX |
| 運営会社 | ピー・シー・エー株式会社 |
| サービス概要 | 老舗人事管理システム「PCA」の給与管理機能 |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | ◆基本プラン小規模向け 月額:4,290~7,700円 ◆DXコンプリートプラン 月額:14,850円 |
3位:マネーフォワードクラウド給与

マネーフォワードクラウド給与は個人向け資産管理ソフトで大きなシェアを持つマネーフォワードが提供する、クラウド型の給与管理システムです。
多数のソフトウェアとのAPI連携が可能であり、既存の業務システムとの連携がスムーズに行える点が強みです。また、基本料金の安さも注目されており、コスト効率の高いツールとして評価されています。
| システム名 | マネーフォーワードクラウド給与 |
| 運営会社 | 株式会社マネーフォーワード |
| サービス概要 | オンライン家計簿、資産管理ツールで 人気のMFが提供する給与管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | ◆個人事業主向けプラン 月額:2,980円~ ◆中小企業向けプラン 月額:4,980円~ |
おすすめの人事管理システムランキング(勤怠管理)

勤怠管理システムは、タイムカードや休暇管理などの入力作業のミスを防ぎ、超過労働や有給休暇残数などの計算を自動化してくれます。
ここでは、勤怠管理のおすすめツールを3つ紹介します。
| システム名 | 運営企業 | 価格 |
ジョブカン勤怠管理 |
株式会社DONUTS 「ジョブカンシリーズ」 |
1ユーザごとに月額:200円~ ※500人以上は個別見積もり ※機能制限付き無料プランあり |
ジンジャー勤怠 |
jinjer株式会社 「jinjerシリーズ」 |
1ユーザーごと月額300円~ |
freee人事労務 |
freee株式会社 「freeeシリーズ」 |
1企業ごとに月額1,980円~ |
1位:ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理は、あらゆる勤務形態に対応した勤怠打刻を特徴とする、クラウド管理型の勤怠管理システムです。
モバイルアプリが充実しており、例えばタイムカード機能一つをとっても、モバイルGPSやLINEでのタイムカード打刻など、業務形態に応じた管理が可能です。
「出勤」「シフト調整」「休暇・申請」「工数管理(単独利用不可)」という4つの機能を組み合わせて選べる料金プランを提供しており、段階的なシステム導入が可能です。
| システム名 | ジョブカン勤怠管理 |
| 運営会社 | 株式会社DONUTS |
| サービス概要 | 様々な勤怠形式に対応する勤怠管理システムの定番ソフト |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 1ユーザごとに月額:200円~ ※500人以上は個別見積もり ※機能制限付き無料プランあり |
2位:ジンジャー勤怠

ジンジャー勤怠は法改正への迅速な対応、直感的な操作方法による使いやすさ、多言語対応、社内規程に合わせやすい細やかな設定が特徴的な、クラウド型勤怠管理システムです。
「勤怠業務をとにかく楽にシンプルに」をコンセプトに掲げており、シンプルで導入費用も安いため、まずは勤怠のデジタル化を試してみたい企業にも適しています。
| システム名 | ジンジャー勤怠 |
| 運営会社 | jinjer株式会社 |
| サービス概要 | 打刻のしやすさや勤怠時間の自動計算、低価格導入など 「手軽に使える」を主眼に置く勤怠管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 1ユーザーごと月額300円~ |
3位:freee人事労務

freee人事労働は使いやすさとわかりやすさで、特にスモールビジネスを中心に人気が高いfreeeが提供する統合型人事管理システムです。
管理者向けの給与管理機能と、従業員向けの打刻や入社手続きなどの機能を一括でデジタル化し、ミスが発生しやすい転記作業をなくすことで業務効率化を実現します。給与管理と勤怠管理が一体化した直感的な操作性が特徴で、多くのユーザーから支持を得ています。
| システム名 | freee人事労務 |
| 運営会社 | freee株式会社 |
| サービス概要 | クラウド会計ソフトとして業界トップクラスの知名度・人気度を持つ 『freee』が手掛ける給与管理・勤怠管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 1企業ごとに月額1,980円~ |
おすすめの人事管理システムランキング(採用管理)

採用管理システムは、手間のかかる採用面接日の調整や進捗管理を効率化し、人材確保の基盤となる業務をサポートします。
ここでは、おすすめのツールを3つご紹介します。
| システム名 | 運営企業 | 価格 |
HRMOS採用 |
株式会社ビズリーチ 「HRMOS」 |
非公開(要問い合わせ) |
ジョブスイートキャリア |
株式会社ステラス 「JobSuiteシリーズ」 |
スイートキャリア単体 月額:50,000円~ ジョブスイートフレッシャーズと同時契約 月額:70,000円~ |
HERP Hire |
株式会社HERP 「HERPシリーズ」 |
非公開(要問い合わせ) 機能制限付き無料プランあり |
1位:HRMOS採用

HRMOS採用は、大手転職サイトを運営する株式会社ビズリーチが提供する採用管理ソフトです。ビズリーチの強みを活かし、適職人材の選別などの分析力に定評があります。さまざまな経路から必要な人材情報や採用情報を一元管理できる点が特徴です
また、HRMOSはクラウド型の人事管理システムであり、HRMOS採用を導入後に、勤怠や給与などの別機能の追加導入もスムーズに行えます。統合的な人事管理を目指す企業にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
| システム名 | HRMOS採用 |
| 運営会社 | 株式会社ビズリーチ 「HRMOS」 |
| サービス概要 | 大手転職サイト「ビズリーチ」が運営する採用管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) |
2位:ジョブスイートキャリア

ジョブスイートキャリアは中途採用を主眼に置き、実務の効率化にこだわった採用管理システムです。姉妹商品として、新卒採用をメインに据えたジョブスイートフレッシャーズも提供しています。
20年以上の採用管理経験を活かし、中途採用のためのノウハウをパッケージ化したシステムが強みです。「徹底的に実務にこだわった機能」として、多くの企業から支持を得ています。採用業務の細かなニーズに対応できる点が特徴的です。
| システム名 | ジョブスイートキャリア |
| 運営会社 | 株式会社ステラス |
| サービス概要 | 中途採用に特化した採用管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | スイートキャリア単体 月額:50,000円~ ジョブスイートフレッシャーズと同時契約 月額:70,000円~ |
3位:HERP Hire

HERP Hireは、SlackやChatworkといったコミュニケーションツールとの連携機能に強みを持つ採用管理システムです。
基本的な採用管理システムの機能と幅広い採用サイトとの連携に加え、「社員が積極的に採用に参加できることで、より良い採用につなげられる」という現場巻き込み型採用をコンセプトとする点があげられます。
社内のコミュニケーションツールと連携することで、採用プロセスの透明性が高まり、社員全体で採用活動に取り組める環境を作り出せます。これにより、組織文化にフィットした人材の採用が期待できるでしょう。
| システム名 | HERP Hire |
| 運営会社 | 株式会社HERP |
| サービス概要 | SlackやChatworkなどの連絡ツールとの連携に 強みを持つ採用管理システム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) |
おすすめの人事管理システムランキング(タレントマネジメント)

タレントマネジメントシステムは、自社の人材をより的確に把握し、適切な業務配置や将来の育成につなげるための管理システムです。
ここでは、おすすめのツールを3つ紹介します。
| システム名 | 運営企業 | 価格 |
タレントパレット |
株式会社プラスアルファ・コンサルティング 「タレントパレット」 |
非公開(要問い合わせ) 公式サイトにて料金シミュレーションあり |
HRBrain タレントマネジメント |
株式会社HRBrain 「HRBrainシリーズ」 | 非公開(要問い合わせ) |
Proflly |
クラスメソッド株式会社 「Proflly」 | 50ユーザーごとに月額15,000円 20名以下まで無料 |
1位:タレントパレット

タレントパレットは、タレントマネジメント機能に特化したクラウド型のシステムです。特に集約した人材情報の統計的分析に定評があり、大量の人事情報をまとめ上げ、可視化してくれる管理システムとして評価を高く受けています。
導入時には社員一人一人に対して様々なアンケートを行う必要がありますが、それによって得た統計情報により、高度な人材分析と適切な業務配置を実現します。様々な評価項目に対応しており、社内規則に合った調整が可能なため、社内人材の活用推進を強力にサポートするでしょう。
| システム名 | タレントパレット |
| 運営会社 | 株式会社プラスアルファ・コンサルティング |
| サービス概要 | 情報蓄積と分析に強みを持つ、定番のタレントマネジメントシステム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) 公式サイトにて料金シミュレーションあり |
2位:HRBrain タレントマネジメント

顧客満足度No.1を誇る人事管理システム、HRBrainのタレントマネジメントシステムです。人材の把握を他の人事情報と連携して管理したい場合におすすめのシステムといえるでしょう。
様々な人事情報と連動しながら人材データの可視化が可能で、検索性の高いデータベースシステムが魅力となっています。統合的な人材管理を目指す企業にとって、効果的なツールです。
| システム名 | HRBrain タレントマネジメント |
| 運営会社 | 株式会社HRBrain |
| サービス概要 | 人事システム「HRBrain」の拡張機能。 HRBrainとの連携が強味 |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 非公開(要問い合わせ) |
料金についてニュース記事サイト「テレ東プラス」の聞き取り調査では、一部利用企業から規模11~30名の企業で月額69,800円、51~100名の企業で月額69,800円~約10万円との回答を得ているとのこと。
3位:Proflly

Profllyは管理よりもコミュニケーションツールとしての側面に重きを置いた、独自性の強いタレントマネジメントシステムです。業務配置や育成より、同僚の人となりを知ることで、社員同士の対話を促進し、業務効率化を目指すアプローチを取っています。
特に、社内のコミュニケーションを活性化させたい、組織の一体感を高めたいと考える企業にとって魅力的なツールとなるでしょう。
| システム名 | Proflly |
| 運営会社 | クラスメソッド株式会社 |
| サービス概要 | 管理ではなく、社内コミュニケーションを円滑にすることに 主眼を置いたタレントマネジメントシステム |
| 機能一覧 |
|
| 料金 | 50ユーザーごとに月額:15,000円 20名以下まで無料 |
人事管理システムの選び方

人事管理システムは、大きく分けて以下の3タイプに分類されます:
- 単体機能特化型
- 特定の管理機能に特化した単体タイプ
- シンプルなため、小規模な範囲から効率化に取り組む企業向け
- 統合人事管理システム拡張タイプ
- 複数の人事機能が複合し、単体でも動作するが連携することで強みを発揮する統合タイプ
- 他の管理システムと連携することで、業務を横断した自動化が可能
- ERP(Enterprise Resource Planning)
- 人事にとどまらず、会計・生産・物流・販売といった会社に必要な全情報を統合管理する基幹業務システム
- 導入コストと手間は大きいが、うまく導入できれば先進的な情報管理が実現可能
これらのタイプに加えて、各社が特徴あるツールを開発しています。システム選定の際は、以下の点を十分に検討することが重要です。
- 自社の課題と必要な機能は何か
- 企業規模に適しているか
- 社内規則や企業文化に合致しているか
次に、よく使われる比較指標をそれぞれ紹介します。
料金(コスト)を比較する
人事管理システムは、製品ごとに課金体系が異なります。例えば、
- スタートアップなどの小規模企業向け製品は、販売する製品単位も細かく分けて、導入コストを抑えている
- 「人事管理」「給与」など、アクセスするユーザーが限られる製品は、理由ユーザー数に応じたライセンス形式での販売が多い
- 「勤怠管理」など、一般社員がアクセスする製品は、社員数に応じたライセンス形式での販売が多い
そのため、パート・アルバイトが多い企業では、「まずは正社員から」「アルバイトから」など、段階的な導入も検討できます。ひとつのシステムにこだわらずに、現状での規模に適したコストを考えながら人事管理システムの選定を行っていきましょう。
必要な機能があるか確認する
「現在の会社が抱える問題点と、何を解決したいか」を明確にすることが非常に重要です。現在の業務状態と理想とする結果には、常に大きなギャップが存在します。
- 従業員のタイムカード打刻の手間やミスに問題を感じるなら、勤怠管理システムで打刻をデジタル化が有効
- 人手不足の原因が労務手続きの煩雑さにあるなら、労務管理システムで書類作成・申請をデジタル化が有効
全体を一気にデジタル化、システム化することは混乱を招く可能性があるため、まずは解消すべき課題やギャップを整理して検討・評価することをおすすめします。
また、中小規模かつ利用機能の課金制を採用しているシステムもあります。実際に機能を利用しながら、本当に必要な機能を抽出しながらプランを調整してのもよいでしょう。
社内規則やシステムと合っているか確認する
社内規則は会社によって様々であるため、社内規則に沿ったツールでなければ導入が難しくなります。ツール選定の際は、設定がどの程度カスタマイズでき、自社に合わせられるかを確認することが重要といえます。
また、一部機能をシステム化した後、別の機能をどのように連携させるかも検討すべきポイントです。この観点では、単体特化システムよりも、統合人事管理システムの利用機能を随時拡張していく方が「将来的に楽」かもしれません。
検討中のツールが、自社で使用している既存の業務システムとの連携やAPI利用に対応しているかも、重要な選定要素となります。自社システムとの互換性があるツール、または少なくとも共存できるツールであれば、導入後の混乱を最小限に抑えられるでしょう。
資料請求や問い合わせの前に、自社で使用しているシステムとその連携元を洗い出しておくことをおすすめします。
人事管理システム・ソフトのセキュリティやサポート面を確認する
人事管理システムは多くの個人情報を扱うため、情報保護はどのメーカーのシステムにおいても重要なテーマの1つです。逆に言えば、ただリーズナブルで安価なコストのシステムを採用するよりも、明確にセキュリティ対策を施された人事管理システムの選択が安全といえます。
各メーカーのツールがどのようなセキュリティ対策とサポート体制を持っているかは、事前に確認しておくのがよいでしょう。
人事管理システムの導入は会社を大きく変える一大イベントであり、常に社員への負担が伴います。
サポートを担当する部署を用意するほか、必要に応じて新システムへの研修業務も検討する必要があります。導入前に、システムに対してどのようなサポートが得られるのかを明確にしておくのが大切でしょう。
人事管理システムの導入のメリット

人事管理システムを導入する主なメリットには以下のようなものがあります。
- 従業員情報の一元管理:法改正などで複雑化する人事業務に対応できるようになる
- 業務効率化:書類の自動作成、情報入力の簡易化により、事務作業を効率化できる
- データ分析の活用:従業員のデータを集積し分析することで、今後の経営方針策定に活用できる。
- 情報セキュリティの向上:アクセス制限や情報の暗号化により、個人情報取り扱いを始めとした情報セキュリティが向上する
特に情報を集積することで、各種書類作成の自動化などの業務効率化を行い、人的ミス削減や人手不足の解消を達成することは、多くの企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
また、人事管理システムは多様化する雇用形態にも対応できるため、人手が必要な業務へ適切な人材を配置する際にも役立ちます。
生産性が向上し業務が効率化する
エクセルやスプレッドシートといった汎用性の高いシステムベースでの管理は、データ量が増えるほど参照が難しくなり、業務の圧迫を招きます。手続きに時間がかかり、ケアレスミスが起こりやすく、過去のデータ参照にも手間がかかります。
結果として、従業員が煩雑な作業に時間を取られ、生産性が低下していきます。人事管理システムを導入することで、情報を効率よく収集・確認し、事務作業の一部をシステムが代行することで生産性の向上が期待できるでしょう。
コストを削減できる
情報の保管・閲覧、書類の作成、各種申請の承認手続き、そしてそれに伴う関係者への連絡と返信確認。これらの管理手続きに費やされる人的コストは、企業の財務を圧迫し続けます。
社員全体の情報がシステムで一元管理されることで、定型業務の自動化や書類の自動作成、修正情報の自動追記など、従来手作業で行っていた煩雑な事務作業をシステムに任せることができ、割いていたコストの削減が期待できます。
正確なデータを取得できる
従来のエクセルや、電子メール、社内システムでの書式を用いた管理方法は、常に入力ミスや誤送信などの人的エラーのリスクがあります。
人事変更や承認手続きの反映に時間がかかり、人事評価情報の精度にもばらつきが生じ、それがさらなる人的ミスや連絡不備を招くという悪循環に陥りがちでした。
人事管理システムを導入することで、データの正確性を常にシステム側で自動検証することが可能になります。また、情報がシステム内に集約されることでファイルの分散を防ぎ、アクセス権の制御も容易になるため、セキュリティの確保もしやすくなります。
従業員からシステムを通して報告や申請ができる
人事管理のシステム化は、効率性と正確性の向上だけでなく、従業員の利便性も高めます。現代では、ほとんどの人がスマートフォンやタブレット等の情報端末を常に携帯しています。
人事管理システムを導入にあたって、例えば従業員が下記のような作業をする必要があるとします。
- 出退勤の記録
- 突発的な残業の申請
- 出張先からの緊急の承認依頼
これらの情報をスマートフォンから即時に報告・処理できるため、結果的に、直行・直帰のような業務も円滑に管理することができ、勤務開始・終了時間の正確な記録も容易になります。システムへのアクセスのしやすさも検討事項に含めましょう。
さらに、こういったデータをデジタルに蓄積することで、より深い分析が可能になり、実態に即した人事施策といった業務改善も期待できます。
人事管理システムのまとめ

これまで人事管理システムの特徴やメリット、おすすめのサービス・システムについて紹介してきました。
雇用環境の多様化に伴い、中小企業においても、社員や採用候補者に対するきめ細かな管理・分析、効果的なコミュニケーションが必要不可欠となっています。
この潮流に応えるように多種多様な人事管理システムが次々と登場しています。かつての「人事システム=大企業向けのERP」という図式は崩れつつあると言えるでしょう。
当メディアを運営する株式会社Jiteraでは、豊富な開発実績と不動産業界に精通したコンサルタントが、御社の課題やニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。
人事管理システムの選定や企業システムへの活用法など、作業範囲や納期を明確にした上で、柔軟な対応を心がけています。ぜひ、システムの選定から導入、カスタマイズ、アフターフォローまで、トータルでサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。




