フロントエンド開発の現場でUIのコンポーネント管理をより効果的にするツールとして、Storybookが広く採用されています。Storybookは、React、Vue、Angularなど多くの主要なフロントエンドフレームワークに対応しており、UIコンポーネントを独立して開発、テストし、それを文書化することができるツールです。このツールの利用により、開発者はコンポーネントを個別に分離して考えることができ、それによってUIの再利用性と一貫性を高めることが可能になります。また、Storybookはチーム間のコミュニケーションを改善し、デザインシステムの構築を容易にするなど、開発プロセスに多くのメリットをもたらします。
本記事では、Storybookでできること、メリットなどを詳しく解説します。
近畿大学理工学部生命科学科を卒業後、独学でReactやNext.jsを中心としたフロントエンド開発に特化し、2022年10月よりフリーランスエンジニアとして活動。ヨーロッパや東南アジアを旅しながら、いろんな文化や人との出会いを楽しみつつ、クリエイティブなUI/UX設計に取り組んでいます。
Storybookの概要
StorybookはUIカタログで、UIコンポーネントをブラウザでチェックすることができるツールです。
Storybookは主にフロント開発において使用されます。フロントエンドの開発では、複数のUIコンポーネントが組み合わさり、画面やページが作られます。その際に、コンポーネントの見た目や状態を確認する必要があります。
このような場合、Storybookを使用することでUIコンポーネントを独立した環境で確認することができます。また、React以外のフレームワーク(VueやAngular)にも対応しており、幅広いフロントエンド開発に利用できます。
関連する情報を示しますので、適宜参考にしてください。
Storybookの主な機能
Storybookには、以下の主な機能があります。
UIチェックのためのデモデータ
Storybookでは、実際のアプリケーションの状態に依存せずに、デモデータを使用してUIをチェックすることができます。これにより、開発者はUIの外観や動作を容易に確認することができます。また、異なる状態やテストシナリオのデータを用意することで、エッジケースの確認も簡単に行えます。
UIコンポーネントとページの管理
Storybookでは、UIコンポーネントとその表示方法をストーリーとして管理することができます。ストーリーは、特定のコンポーネントやその状態、プロパティなどの組み合わせを表現します。開発者はストーリーを使って、さまざまな状態や変更を即時に確認することができます。また、ストーリーのグループ化やタグ付けなどにより、複数のコンポーネントやページを整理し、検索やナビゲーションを容易にすることもできます。
Storybookの導入方法と使用例
Storybookのインストール
Storybookを導入するには、まず任意のReactプロジェクトを作成します。create-react-appコマンドを利用すると簡単にプロジェクトを作成することができます。以下のコマンドを実行します。
上記のコマンドでは、”my-app”という名前のReactプロジェクトが作成されます。
プロジェクトが作成できたら、プロジェクトのディレクトリに移動してStorybookをインストールします。以下のコマンドを実行してください。
cd my-app
上記のコマンドによってStorybookの初期設定が行われ、Storybookがプロジェクトに統合されます。
初めてのStorybook設定
Storybookがプロジェクトに統合されたら、Storybookの設定を始めましょう。
まず、Storybookの設定ファイルである.storybook/main.js
を作成します。以下のコードを追加して保存してください。
module.exports = {
stories: [‘../src/**/*.stories.js’],
addons: [‘@storybook/addon-actions’, ‘@storybook/addon-links’],
};
上記の設定では、srcディレクトリ内の.stories.jsファイルをStorybookが読み込むように指定しています。
次に、Storybookのスタイルを変更するための設定ファイルである.storybook/preview.jsを作成します。以下のコードを追加して保存してください。
上記の設定では、src/index.cssファイルのスタイルをStorybookに適用するように指定しています。
これでStorybookの設定が完了しました。
以上がStorybookの導入と初期設定の手順です。次は実際にStorybookを使用してUIコンポーネントを管理・表示する方法について解説します。関連する情報を参考にしながら、Storybookを活用して効率的なフロント開発を行いましょう。 【関連情報】
- StorybookはUIカタログで、UIコンポーネントをブラウザでチェックできる
- React以外のフレームワーク(VueやAngular)にも対応している
- UIのテストが手軽にできる
- サーバー側の準備を待たずにUI開発ができる
- パターンを事前にチェックでき、エッジケースも想定しやすい
- Storybookの導入方法は、任意のReactプロジェクトにnpx create-react-appコマンドで作成し、Storybookをインストールする
- Storybookのメリットは、コンポーネントの一覧性や再利用の簡単さ、変更の即時反映がある
- Storybookのデメリットは、実際のアプリケーションの状態とは異なることがある
- Storybookの導入に向いているプロジェクトは、フロントエンドが小規模で、エンジニアがフロントエンド開発に慣れていない場合
Storybookのメリット
Storybookの導入には、以下のようなメリットがあります。
フロント開発の効率化
Storybookを使用することで、UIコンポーネントの一覧性が向上し、開発効率が向上します。Storybookでは、コンポーネントごとに独立した状態を再現することができるため、コンポーネントのテストや再利用が簡単に行えます。これにより、開発者は実際のアプリケーションの状態を気にせずにコンポーネントの実装や修正に集中することができます。
エンジニアとデザイナーの認識の統一化
Storybookは、UIコンポーネントを実際にブラウザ上で確認することができるため、エンジニアとデザイナーの間での認識のずれを防ぐことができます。デザイナーが作成したデザインをStorybookに組み込み、開発者がそのデザインを元にコンポーネントを実装することで、双方の認識を統一化することができます。これにより、コミュニケーションコストを削減し、より良いユーザーエクスペリエンスを実現することができます。
以上がStorybookの主なメリットです。Storybookを導入することで、フロント開発の効率化やエンジニアとデザイナーのコミュニケーションの改善につながります。
まとめ: Storybookの効用と限界
StorybookはUIカタログであり、UIコンポーネントをブラウザでチェックできるツールです。Reactだけでなく、VueやAngularといった他のフレームワークにも対応しています。Storybookを導入することで、UIのテストが手軽に行えますし、サーバーの準備を待たずにUI開発を進めることができます。また、パターンを事前にチェックすることでエッジケースを見落とすことも少なくなります。
Storybookの導入方法は、任意のReactプロジェクトにnpx create-react-appコマンドを使用して作成し、Storybookをインストールすることです。Storybookの使用は直感的であり、初めての設定でも比較的容易に始めることができます。
Storybookのメリットは多岐にわたります。まず、コンポーネントの一覧性が向上し、再利用性も高まります。さらに、変更が即座に反映されるため、開発効率が向上します。また、エンジニアとデザイナーの認識を統一することができるため、コミュニケーションの円滑化にも寄与します。
一方、Storybookには注意点もあります。実際のアプリケーションの状態とは異なることもあるため、パフォーマンスやデータの正確性に関しては注意が必要です。また、Storybookの導入に適しているのは、フロントエンドが小規模であるか、エンジニアがフロントエンド開発に慣れていない場合です。大規模なプロジェクトやフロントエンドを得意とするエンジニアがいる場合は、Storybookの導入に慎重になる必要があります。導入の際はこれら人材の観点からも検討すると良いでしょう。
この記事ではStorybookの基礎知識をご紹介しました。Storybookについてまずはどのようなものか理解したいと考えている方、Storybookを取り入れるべきか検討されている方にとって、参考になりましたら幸いです。
Storybook含めた技術選定など開発課題をお持ちの方はぜひ一度Jiteraまでご相談ください。