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アジャイル開発のメリットやデメリットを解説!事例から学ぶ成功のポイント

開発を行う際にいろいろ調べていると「アジャイル開発」という言葉を見聞きするでしょう。開発を行う際、アジャイル開発が一般的な開発手法と何が違うのか理解しておく必要があります。
しかし、アジャイル開発の進め方やメリット、デメリットを把握しきれていない人は多いでしょう。
そこで今回は、アジャイル開発の進め方とメリット・デメリットを解説していきます。適切な開発を行うためにも、アジャイル開発について深く知っておきましょう。

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20年以上のシステム開発経験から、要件定義からプログラム開発、導入や顧客研修まで全工程に関して深い知識を持っています。新しい技術を追い求めることが好き。

アジャイル開発とは

アジャイル開発とは

アジャイル開発とは、プロダクト価値の最大化とリリース期間の短縮化を主眼におき、プロジェクトスタート時に要件をあえて決め切らず、企画→設計→開発→テストといった開発工程を小さいサイクルで繰り返す開発手法です。「アジャイル」は俊敏、敏速なという意味です。国内でも「Chatwork」やレシピ動画サービス「dely」など人気のサービスが、アジャイル開発で開発されています。

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アジャイル開発とウォーターフォール開発

アジャイル開発とウォーターフォール開発

アジャイル開発はウォーターフォール開発と様々な点が異なりますが、近年ではアジャイル開発を取り入れる現場が増えています。世界のアジャイル開発の動向を読み解く「The 15th State of Agile Report」 によると、海外市場において84%以上がアジャイルを実践しているとするアンケート結果もある一方で、2019年のガートナー社の調査では、国内のアジャイル開発の割合は約4割にとどまります。

海外と比べてアジャイル開発の導入が遅れている背景には、市場環境の違いがあります。アジャイル開発では、短い開発期間単位でプロダクトの改善を進めるため、依頼側と開発側がワンチームになることが欠かせません。米国では自社開発企業で働くエンジニアが多いのに対し、国内では開発プロジェクトをソフトウェア開発専門企業に委託するケースが多いことがあげられます。具体的に、主に以下の2点がアジャイル開発を進めるにあたって課題となります。

要件定義

アジャイル開発は、初期段階で要件を決め切らずに開発を行います。そのため、納品物を定義しきれないため、ウォーターフォール型からアジャイル開発へ転換するにあたって、RFPや委託契約に工数がかかるケースが多くなります。

コミュニケーションコスト

日本では、大規模なシステム開発になるほど、いわゆる多重下請構造になりやすいという商慣習があります。そのため、実際の開発者と発注者が直接コミュニケーションを取る機会が多くありません。多くのアジャイル開発の現場では「スクラム」という日々密なコミュニケーションをとる開発手法がとられるため、多重下請構造ではそもそもアジャイル開発が成立しないという背景があります。

一方で、同ガートナー社の調査では、大手企業を中心にアジャイル開発を採用予定とする企業も増えており、国内でも今後導入が進んでいくと考えられます。事業会社においてもデジタル人材を雇用し開発チームの内製化を進めたり、外部委託の場合も開発会社と直接契約するなど、内製・外注を問わずアジャイル開発の環境が整う背景にあります。

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アジャイル開発のメリット

アジャイル開発は、顧客満足度の向上や変化への柔軟な対応など多くのメリットがあります。顧客と密に連携し、要件を反映することで顧客満足度が高まります。また、継続的なフィードバックによりリスクの早期発見と軽減が可能となるでしょう。さらに、短いサイクルで開発を進めるため、早期リリースと迅速な改善を実現できます。加えて、要件変更にも柔軟に対応する点が変化への強みとなり、頻繁な成果確認で、開発チームのモチベーションも向上するでしょう。

顧客満足度の向上

アジャイル開発では、顧客と密接に協働しながら開発を進めていくため、顧客の要求を的確に反映することが可能です。
各イテレーションの終わりに成果物を確認し、顧客からフィードバックを受けることで要件の漏れや誤解を防ぎ、フィードバックに基づき迅速に改善を行えるので、顧客が求める品質の製品を提供できる可能性が高まります。また、開発の進捗状況を見える化できるため、顧客は納得の上で受け入れることができ製品に対する満足度は向上するでしょう。このように、アジャイル開発は顧客との緊密なコミュニケーションを実現し、顧客ニーズを把握しながら開発を進めることで顧客の期待に沿った高品質な製品を提供でき、顧客満足度の向上に結びつきます。

リスクの早期発見と軽減

アジャイル開発では、短いイテレーションサイクルを繰り返し、各サイクルの終わりに成果物を顧客に提示します。顧客からフィードバックを受けることで、要件の誤解や不具合、リスクを早期に発見・共有することができます。発見したリスクに対しては、すぐに対策を講じることが可能なので、リスクが大きくなる前に適切に対処でき、テスト先行の開発手法を取り入れることで、不具合の発生自体を防ぐことが可能となります。さらに、計画立案や進捗管理を頻繁に行うことで、スケジュールの遅延リスクにも早期に気づくことができるのでプロジェクト全体のリスクを最小限に抑えることができるのです。

早期リリースと迅速な改善

アジャイル開発は短いイテレーション期間を設定し、各期間ごとに機能の一部をリリースしていきます。そのため、完全なシステムが完成するずっと前から、部分的な成果物を顧客に提供することが可能であり顧客はその成果物を使いながら、フィードバックを開発チームに伝えることが可能です。開発チームはそのフィードバックを次のイテレーションに反映し、迅速に改善を重ねていくことができるため製品の完成を待たずに、より早い段階から顧客の声を製品に取り入れられるというメリットがあります。
逆に顧客も、完成を待たずに製品の一部を使用でき、長期間放置されることなく改善が続けられます。このようにアジャイル開発では、早期からの部分的リリースと、その後の継続的な改善サイクルが実現できるのです。

変化への柔軟な対応

DX開発、特にデジタライゼーションの文脈が強いプロジェクトでは、本開発の前にPoC(概念実証)もしくはMVP開発(ミニマム・バイアブル・プロダクト)が採用されるケースがあります。PoC、MVP開発を経る場合、ユーザーインタビューによるフィードバックを受けて、仕様変更や追加が発生するケースがあります。
もし仕様を決め切ったウォーターフォール開発であれば戻り工数が大きくなってしまいますが、そもそも仕様変更を前提としたアジャイル開発であれば、最低限の戻り工数でユーザーのニーズに最大限応えることができ、サービスの成功可能性を高めることが可能です。また副次的なメリットとして、プロダクトを改善を重ねるにあたってでエンジニア、プロダクトデザイナーのクリエイティビティを発揮しやすいため、チームが活性化しやすいという効果も見込めます。

開発チームのモチベーション向上

アジャイル開発では、短いイテレーション期間の中で確実に成果を出すことが求められます。
イテレーション終了時に開発した機能を顧客に提示し、フィードバックを受けられますので頻繁に成果を実感でき、自分たちの働きがすぐに評価される環境は開発者のモチベーションを高めます。
また、顧客の求める本当の製品を作れているかを確認できるため、作業に誇りを持てるようになります。
フィードバックを生かして改善を重ねていけば、自身のスキルアップにもつながり、開発の進め方を自律的に決められる点もチームのモチベーションを後押しするでしょう。
開発者は継続的にやりがいを感じられるため、モチベーション低下に悩まされることなく生産的に開発を進めていくことができます。

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アジャイル開発のデメリット

アジャイル開発には、プロジェクト管理が難しく高度なスキルが必要なことや、文書化の不足、顧客との密接なコミュニケーションが欠かせないなどのデメリットがあります。短いイテレーション期間を繰り返すため、常に計画と進捗を管理する必要があり、プロジェクト全体を見渡す高度な管理能力が求められます。また、開発者に高い技術力と自走力が必要で、未経験者が参加する場合は導入に時間がかかるなど課題が生じがちです。さらに、要件の柔軟な変更を受け入れるため、設計書などの文書が不足しがちになり、後々理解が難しくなったり見直しが発生するリスクがあります。加えて、頻繁に顧客と連絡を取り、要件や改善点を共有し続ける必要があるため顧客の理解と協力が欠かせず、負担が大きくなる可能性も無視できません。詳しく解説していきましょう。

 プロジェクト管理の難易度が高い

外注にせよ内製にせよ、プロジェクト管理の難易度が高いことが挙げられます。上記でも触れたとおり、外注であればRFPを定義することがウォーターフォール型開発に比べて困難です。さらに、要件定義ができた場合でも、フィードバックを重ねていく段階で開発の方向性がブレやすく、開発チームが自己組織的になることで、全体の把握がむずかしくなり、納期管理の難易度が高いことが挙げられます。

高いスキルと経験が必要

アジャイル開発を円滑に実践するためには、開発チームに高いスキルと経験が必要となります。
まず、個々の開発者に高度な技術力が求められます。自律的に動ける自走力も不可欠でありチーム全体としてもアジャイル開発の経験と知識が必須条件となってきます。
未経験者がアジャイル開発に参加する場合、適切な教育と指導が欠かせません。しかし、そのための時間とコストがかかるため、導入に難航することもあります。
また、プロジェクトの中核を担うスキルの高い人材が不足していると、うまく機能しません。要件の変更にも適切に対応できず、プロジェクト自体が破綻するリスクすら存在します。
このようにアジャイル開発を成功させるには、高いスキルと豊富な経験が必要不可欠なのです。

文書化の不足

アジャイル開発では、要件の柔軟な変更を受け入れることが基本的な考え方となっています。そのため、開発の初期段階で詳細な設計書や仕様書を作成することはしません。変更される可能性が高いからです。代わりに、簡素な計画書を作り、開発を進めていく手法が取られます。このような手法のため、開発が進むにつれて、設計書や仕様書が不足していくリスクは避けられません。開発者同士でも、製品の仕様を正確に共有することが難しくなる恐れがあります。また後々、ドキュメントの不足が課題となり、仕様の見直しや変更管理が困難になることも多く、新しいメンバーが参加した際にはプロジェクトの習熟にも時間がかかります。
このように、文書化の不足は、アジャイル開発における大きなデメリットの一つと言えるでしょう。適切な文書化を行い、ドキュメントを適切に管理することが、プロジェクトの品質を保つために重要となります。

顧客との密接なコミュニケーションが必要

アジャイル開発では、顧客と密にコミュニケーションを取り続けることが極めて重要視されます。なぜなら、顧客の要求や改善点を適切に反映し続けることが、アジャイル開発の根幹となるからです。具体的には、各イテレーションの終わりに顧客に成果物を提示し、フィードバックを求めます。そのフィードバックを次のイテレーションに生かすことで、顧客の本当の要求に沿った製品開発を目指します。
このサイクルを開発期間中、継続的に実施する必要があり、顧客との綿密なやりとりが不可欠なのです。しかし、顧客側にも相応の理解とコミットが求められるため、負担が大きくなるリスクがあります。特に要件の変更が頻繁に発生した場合、顧客への説明や調整作業が膨大になる可能性もあります。
このように、アジャイル開発を実践するには、顧客との密接なコミュニケーションが必要不可欠ですが、それが過剰になれば大きなデメリットとなりかねません。

アジャイル開発の事例

アジャイル開発は、多くの企業で実践されています。
ITサービス大手の富士通では、アジャイル開発を積極的に採用しています。自動車メーカーのテスラも、スピーディな開発のためにアジャイル開発を活用しています。グルメサービスのRettyでは、ユーザー要求に素早く対応できるアジャイル開発を導入しました。
このように、様々な業界や規模の企業において、アジャイル開発の実例が見受けられます。それぞれの事例を詳しく見ていきましょう。

富士通

富士通は、常に変化する市場のニーズに迅速に対応するため、アジャイル開発の導入と実践を推進しています。
同社では、従来の事前計画型から仮説検証型へとビジネス戦略を転換する必要があると考えています。そのためには、経営層を含む全社的な改革と、アジャイル思考に基づく企業文化の形成が不可欠となります。
特に人材育成がアジャイル推進の鍵となるため、スクラムマスターやプロダクトオーナー、アジャイルエンジニアの3つの役割ごとに、5段階の育成ステップと求められるスキルを定義しています。最上位のレベル5は、高度な知見とスキルに加え、社内外で実力が認められる水準です。
さらにアジャイル開発の知識や各種手法の習得、関連する資格取得などにも力を入れ、人材育成を総合的に推進しています。
また、お客様からの「人材育成」「チームビルディング」「技術適用」といった課題に対しても、それぞれの観点から支援を行っています。
つまり富士通は、アジャイル開発の理念と実践を通じて、市場の変化に機動的に対応できる体制を全社的に整備しているということができます。

テスラ

テスラは電気自動車の製品開発においてアジャイル開発を積極的に取り入れています。同社のアジャイル開発の特徴は、圧倒的なスピード感にあります。
毎日、自動車のマイナーモデルチェンジを実施し、60個の部品が新たに導入され、61個以上の部品が削除されています。ヘッドライトなどの部品は、わずか2日で設計から製造、テスト、リリースまでを完了させています。
また、予算管理もアジャイル的で、1分ごとに予算の見直しを行っています。一般企業ではクォーター単位や年単位での見直しが一般的ですが、テスラではそれよりはるかに高い周期で予算管理を実施しています。
このように、製品開発から予算管理に至るまで、極めてスピーディな開発サイクルを実現しています。顧客のニーズに迅速に対応し、製品の機能やデザインを絶えず改善し続けることを可能にしているのがアジャイル開発なのです。

Retty

Retty株式会社は、グルメサービス「Retty」の開発・運用を自社で行っており、ユーザーに対してスピーディーにサービスの価値を届けるため、アジャイル開発を志向していました。
当初は個別のスクラム開発を実施していましたが、チーム間での優先順位の違いから、全社的な最優先課題に取り組めないといった問題が生じていました。そこで、開発プロセス自体でこの課題を解決する仕組みが必要と考え、大規模スクラムフレームワークのLeSS(Large-Scale Scrum)を導入しました。
LeSSの導入により、ユーザーへの価値提供のスピードアップ、定期的なアウトプット、小さな改善の積み重ね、プロダクト全体の視点での優先順位付けなどの効果が得られました。また、開発チームが自律的になったことで、マネジメントコストが削減され、更なる改善への余力が生まれました。
一方で、Web開発とアプリ開発の一体化や、一部の開発チームのLeSS未適用など、課題も残されています。Rettyではこれらの課題に対し、より良い開発手法を「実験」し続けながら、LeSSの導入を推進していく方針です。

失敗しないためのアジャイル開発のはじめ方

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アジャイル開発は柔軟性に富むメリットがある一方で、うまく活用できなければ開発が立ち往生するリスクがあります。そこで失敗を避けるため、重要な3つのポイント「情報収集」「スクラム開発への理解と社内標準化」「適切なプラットフォームの選択」についてこの章で解説していきます。

情報収集

「アジャイル開発」と言っても、外注・内製なのか、開発するサービスによって必要なリソースはさまざまです。はじめて取り組む際には、まずは情報収集をすることをおすすめします。DX開発経験が豊富なパートナー企業であれば、アジャイル開発に成功したケース、失敗したケースを多く見てきているので、有益なアドバイスを得ることも可能です。

さらに、アジャイル開発外部人材を責任者クラスで採用するということも考えられます。当社は、大企業の中核事業、新規事業などDXプロジェクトの支援をしており、さまざまな企業様からのご相談が可能です。

スクラム開発への理解と社内標準化

アジャイル開発を推進する手法はいくつかありますが、主に「スクラム」が採用されています。「スクラム」とは、ラグビーのスポーツに例えてチーム全員で開発を推進する手法です。ウォーターフォール型開発で言う「プロジェクトマネージャー」は存在せず、代わりに「スクラムマスター」がプロジェクトの代表者として開発を後押しします。

その他、1週間を1つの期間単位として区切る「スプリント」の概念、日々のミーティングである「デイリースクラム」、タスクや必要項目を順番に並べた「バックログ」などのドキュメントにはたとえエ ンジニアではなくても一通りマスターしましょう。そして、実際にプロジェクトを始める前には、スクラムマスターとともに用語の定義やプロジェクトの進行方法について標準化し、チーム内で共通認識を持つことが開発を円滑に進めるポイントです。

適切なプラットフォームの選択

アジャイル開発ではウォーターフォール開発に比べて進捗管理の難易度が高く、開発エンジニア個人に委ねられる部分が多くなります。そのため、プロジェクト管理、ドキュメント管理の両方において使いやすい開発プラットフォームの選択が重要です。さらにエンジニアの採用難易度が高い昨今では、開発者体験の向上が欠かせません。開発エンジニアは、難易度の低いコードの繰り返しが起きることで、離職につながる可能性があります。中朝的な観点でチームを安定させるためにも、ローコードツール(開発自動化ツール)の導入を検討しましょう。

アジャイル開発で必要な要素は?

前述した通り、アジャイル開発は要件の追加や仕様変更に強い反面、開発プロセスの管理が難しいといったトレードオフの関係があります。

製品やサービスが目まぐるしく変化する昨今では、アジャイル開発に適したプロジェクトの数が多いと言えます。

しかし、アジャイル開発を成功させるためには、いくつか条件を満たす必要があります。

導入までの準備期間、開発者のスキルの把握、育成、そしてノウハウの蓄積。

場合によっては「従来の開発手法が効率的だった」なんてことも珍しくありません

大胆にスタイルを変更をする前に、しっかりとアジャイル開発に必要なポイントを把握しておきましょう。

開発チーム内でのコミュニケーション体制

クライアントの解決したいニーズに応えていくスタイルが、アジャイル開発の真骨頂です。

そのため、クライアントのニーズを拾い上げる「プロダクトリーダー」、要件を受け取りイテレーションの優先順位を決定する「チームリーダー」、用意されたイテレーションを実装していく「プログラマー」まで、分け隔てないコミュニケーションが取れることがポイントです。

従来の司令型の体制では各自の役割が明確になり確実な開発がこなせますが、それではアジャイル開発のメリットである柔軟性とスピード感が損なわれてしまいます。

チームの一員として動く意識が大切です。

開発者のスキルの把握

限られた人員や予算の中で判断を重ねて、スピーディなサービスインを目指すのがアジャイル開発です。

クライアントから要件を吸い上げるのはもちろん、開発者側も開発状況を逐一オープンにしていく必要があります。

誰が、どんなスキルを持っているか、どんな専門が得意であるのか、チームの共有資産として連携を強め、お互いにサポートできる状況を常に作っておくことがポイントです。

チーム内での共有

個人で常に技術やコミュニケーションスキルのアンテナを貼り続けるのも大事ですが、一種の風通しの良さを取り入れる必要もあります。

スキルアップの機会としてチーム単位でのオリエンテーションを加えたりなど、信頼関係の土台作りも重要となってきます。

開発者が一人の専門家であるに越したことはありませんが、別の専門家と気軽にコンタクトを取れる現場環境であったり、新しい技術にチャレンジできるノウハウが蓄積されているかもポイントです。

アジャイル開発のタスク管理でおすすめのツールは?

API開発ツール

アジャイル開発においては、チーム間でのタスク管理が必須です。

そのためにも開発環境に適したツールの活用が推奨されます。

機能としてスクラムボードやカンバンボードに対応しているサービスが良いでしょう。

イテレーションに相当する計画管理や日次スクラムなど、ある程度カスタマイズ性が高く、課題の進捗状況を確実に追跡できる機能が備わっていることもポイントです。

さらに開発チームとプロジェクトオーナー間での共有も可能か、開発者以外でも取り扱うことのできるシンプルなUIである、といったポイントも考慮にいれましょう。

開発チームとクライアント、両者にとって使いやすいツールを選出することでコミュニケーションをより円滑にし、プロジェクトの継続的な改善が実現できます。

主なアジャイル開発向けのタスク管理ツールについて5つご紹介します。

  • 1.Trello
  • 2.Asana
  • 3.JIRA
  • 4.Backlog
  • 5.Monday.com

1.Trello


Trelloカンバン方式のプロジェクト管理ツールです。

タスクをカード化し、進捗状況に応じてボード上で自在に移動できます。

チームでのタスク共有や、付箋を使ったブレインストーミングなどにも活用できます。

無料プランと有料プランがあり、直感的なUIは高いユーザビリティを誇ります。

開発現場だけでなく、さまざまなビジネスシーンで活用可能なシンプルさが特徴です。

反面、カスタマイズ性には乏しいため、アジャイル開発においては小規模プロジェクト向けです。

項目 内容
メリット
  • カンバン方式で視覚的にタスクを把握しやすい
  • 無料プランが使いやすく、個人でも活用しやすい
  • カードを自由に移動できるので進捗管理が簡単
デメリット
  • ガントチャートや高度なレポート機能がない
  • プロジェクト間で作業を共有する機能がない
  • 大規模プロジェクトには機能が不足する可能性がある

2.Asana


Asanaタスク管理やプロジェクト管理に特化したサービスです。

カレンダー機能やガントチャートの作成、タスクの優先順位付けなどが特徴的です。

タスクごとにメンバーをアサインできるため、アジャイル開発におけるチーム単位での作業分担に適しています。

ビジネス向けの有料プランとベーシックな無料プランがあります。

プロジェクト間でのタスク共有が強力なため、並行した開発に適しています。

項目 内容
メリット
  • タスクの優先順位付けと期限管理が行いやすい
  • プロジェクト間でタスクを共有できる
  • カレンダービューでスケジュール管理が可能
デメリット
  • UIが他社サービスと比べて複雑で習熟が必要
  • 有料プランが高額な場合がある
  • カンバン方式での管理がやや不得意

3.JIRA


JIRAアトラシアン社が提供するプロジェクト管理ツールです。

アジャイル開発を前提としたスクラムボードやカンバンボードに対応しており、ソフトウェア開発プロジェクトに広く利用されています。

課題の追跡や進捗管理、ウィキなどの機能を備えており、カスタマイズ性が高いのが特徴です。
反面、デフォルトのUIが煩雑であったり、小規模開発においては豊富な機能を持て余してしまう可能性があります。

他社のサービスと比べ経験者向けといえますが、最もポテンシャルを秘めたツールです。

項目 内容
メリット
  • アジャイル開発に最適化されている
  • カスタマイズ性が非常に高い
  • 課題管理・追跡が確実にできる
デメリット
  • UIと操作が複雑で慣れが必要
  • 小規模プロジェクトでは機能を持て余す可能性が高い
  • 導入コストと学習コストが高い

4.Backlog


Backlogはソフトウェア開発プラットフォームであるGitHubと連携可能なプロジェクト管理ツールです。

開発者でのソースコード管理や共有、課題管理、ウィキなども利用できます。運用体制の柔軟さと、使いやすいUIが特徴です。

前提条件としてGitHubを普段から使い慣れていたり、プロジェクト開発の経験がある程度とされます。

新規プロダクトや開発初心者を含めたチーム編成においては、別のツールやサービスとのメリット・デメリットを比較しながら熟考する必要があります。
無料の個人プランと、有料のビジネスプランがあります。

項目 内容
メリット
  • Gitリポジトリと密に連携できる
  • ウィキ機能でナレッジ共有が可能
  • モバイルアプリの操作性が良い
デメリット
  • GitHubを活用した開発環境でないとポテンシャルを発揮できない
  • プロジェクト管理の機能が不足
  • ガントチャート機能が他社と比べてシンプル

5.Monday.com


Monday.comはプロジェクトとワークフローを集約して一元的に管理できるサービスです。

カンバン方式に加え、ガントチャート、カレンダービューなどの表示切り替えが可能です。

テンプレートの利用や、自動化ルールの設定により、効率的な業務運用を実現できます。

個人から中小企業向けに幅広いプランが用意されているため、アジャイル開発への有効活用が可能な比較的新しいサービスでしょう。

無料プランの機能が限定的なので、開発環境においては有償プランがほぼ必須です。

項目 内容
メリット
  • 高度なワークフローとプロセスを設計可能
  • テンプレートが豊富で導入が容易
  • 自動化ルールでプロジェクト全体の効率化が図れる
デメリット
  • 無料プランの機能が限定的
  • プロジェクトの規模に比例してコストが増大していく
  • プロジェクト間の連携に工夫が必要

アジャイル開発に向いているプロジェクトの特徴


プロジェクトによっては「そもそもアジャイル開発に向いているか」といった観点も必要です。

クライアント主導でプロジェクトを作り込みたい場合、こまめにクライアントの意見を反映させられるため、ユーザビリティの高い製品を作ることができます。

このようにユーザー体験が重視される製品開発では、アジャイル開発の利点を最大限に活かせるでしょう。

開発チーム目線でのメリットとして、少人数でより迅速に開発を進められるため、リソースを最大限に活用できる点もあげられます。

市場のニーズ変化に対する機動性も高く、ベンチャー企業や中小企業にとって、アジャイル開発は理想的な環境だと言えます。

下記のような特徴があります。

  • 仕様変更や追加が予想されている
  • 発注側・受注側の関係がフラット
  • イテレーションのタイミングで振り返り、進め方を改善していくプロジェクト

細かく解説していきましょう。

仕様変更や追加が予想されている

開発チームとクライアント双方の意見を常に取り入れられるため、要望に基づいての仕様変更や追加に強い点を解説しました。

競合が予想されるレッドオーシャン業界でのプロジェクトであれば、アジャイル開発は最も適した開発手法といって良いでしょう。

開発サイドだけでは他社との比較ができない状況であっても、クライアントの要件にしっかり耳を傾け、入念にリサーチすることで開発側が早期の仕様変更に着手することが可能です。

仕様変更や追加やに関して、後述するイテレーションのタイミングで優先順位の調整が可能な為、市場ニーズに合わせた新規ビジネスをたちあげたいクライアントにとって強力なメリットになります。

発注側・受注側の関係がフラット

従来のビジネスであればクライアントから一方的に要件を受け取り、それに基づいて開発を行うのが基本でした。

アジャイル開発ではクライアントと対話しながら要件を詰めていく関係性が求められます。

発注側も受注側も対話の中で温度感をあわせ、ともにプロジェクトを完遂する一人のステークホルダーとして関わっていくフラットな関係が理想的とされます。

そのため、クライアントもチームの一員として参画するプロジェクトという意識をもつ必要があります。

アジャイル開発手法の中には、クライアントからサービスの駆動テストに関して直接フィードバックをもらう開発手法もあり、上下関係ではなく、対等な立場での協力体制が不可欠とされます。

反対に、大企業とその下請けのような関係性の場合、コミュニケーションの機会を設けるのが難しく、メリットを活かしにくいです。

アジャイル開発以外の手法を想定する必要があるでしょう。

イテレーションのタイミングで振り返り、進め方を改善していくプロジェクト

「イテレーション」とは反復性のことを指します。

アジャイル開発においては、短いサイクルの開発区間をイテレーションと総称します。

他にもサイクル、スプリントといった言葉を用いますが、開発手法によって使い分けされているだけで、同様の意味で使われます。

このイテレーションを継続的に回すことで、クライアントのニーズにより適ったプロジェクトへと、開発自体のプロセスもブラッシュアップされていきます。

例えば、クライアントがサービスの全体像をつかめていない場合、まず開発初期に実装されたコア機能を体感してもらいそこから追加したい要件について意見を伺い、次のイテレーションで検討・開発をする、といった進め方が可能です。

このイテレーション(反復)を繰り返すうちに「どういったインプットをすれば、どういったアウトプットが返ってくるのか」といった実態が次第に明確になり、クライアント側が開発されている成果物に対してイメージしやすくなります。

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なぜソフトウェア開発をしているのか…それはクライアントの問題・課題解決がすべてと言っても過言ではありません。プロジェクトをリリースして終わりであってはいけないのです。

クライアントには叶えたいソリューション(解決や解答)があり、その手段としてサービスやソフトウェア開発の実現までお手伝いをするのが開発チームの役割です。

アジャイル開発は、常にソリューションを課題の中心に置き、クライアントと一緒になって成果物を作り上げていくための手法です。

リリースしたその後であっても本当に問題が解決されたのか、しっかりと見定めていくことをお忘れないようにしてください。

まとめ:アジャイル開発でビジネスイノベーション

アジャイル開発は、市場の変化に機動的に対応し、ビジネスにイノベーションをもたらします。Jiteraでは、要件定義を書くだけでAIが生成するツールで、アプリ・システム開発を行っています。制作している途中で要件が変更になっても柔軟に修正しながら開発できるので、アプリ開発・システム開発のご相談があればお気軽に相談ください。アジャイル開発の柔軟性を最大限に活かせば、スピーディーな製品開発が可能となり、競争力の源泉となります。変化を受け入れ、俊敏に対応することで、新しい価値創造に繋がるでしょう。

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