システム保守とは?運用との違いや業務内容、種類と費用相場から算出方法まで解説

システム開発が完了した後も、システムの安定した運用には保守が欠かせません。

システム保守とは、ソフトウェアのアップデートやハードウェアのメンテナンス、テクニカルサポート、インフラの維持など、多岐にわたる業務を指します。

本記事では、システム保守の種類や具体的な業務内容、そして費用の相場や算出方法について詳しく解説します。システム保守を外部に依頼する際に知っておくべきポイントを押さえ、適切な予算計画を立てるための参考にしてください。

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監修者 エンジニア Sakai

制御系システムや自動化システムの新規開発を中心に、15年以上の開発経験を持つ現役エンジニアです。『デジタルは人と人をつなぐもの』という言葉が好きです。デジタルの世界をわかりやすく伝えていきます。

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    システム保守とは

    システム保守とは、コンピュータシステムを安定的に運用し続けるために行う一連のメンテナンス作業です。

    主に、システムの不具合を未然に防ぐ予防保守、発生した問題に対処する是正保守、OSのアップデートや法改正に対応する適応保守、そして機能改善を行う完全保守の4種類があります。

    保守作業を計画的に実施することで、システムの安定性が保たれ、業務の継続性が確保されます。定期的な点検やアップデート、セキュリティ対策なども保守作業では重要です。

    システムの長期的な運用において、適切な保守管理は必要不可欠といえます。

    システム保守とシステム運用の違い

    システムを長期的に活用するためには、システム保守とシステム運用の両方が必要です。一見似ているように見えるこの 2 つの活動ですが、その役割と特徴には明確な違いがあります。

    目的

    システム保守とシステム運用では、それぞれ異なる目的を持って活動が行われています。以下の表で主な違いを比較してみましょう。

    項目 システム保守 システム運用
    主目的 システムの品質維持・向上 日常的なシステム稼働の確保
    対象 プログラム、データベース、設計書など サーバー、ネットワーク、アプリケーション
    成果物 修正プログラム、更新版など 運用報告書、障害報告書など

    このように、システム保守は主にシステム上の本質の改善に焦点を当てているのに対し、システム運用は日々のシステム活用を支える役割を担っています。

    主な活動

    活動内容を見ると、それぞれの特徴がより明確になります。

    項目 システム保守 システム運用
    定期的な活動 バグ修正、機能改善、プログラム更新 稼働監視、バックアップ、セキュリティ管理
    不定期な活動 緊急障害対応、パフォーマンス改善 インシデント対応、リソース管理

    これらの活動は相互に補完し合う関係にあり、どちらが欠けても効果的なシステム維持は難しいと言えます。

    タイミング

    実施タイミングにも特徴的な違いが見られます。

    項目 システム保守 システム運用
    実施頻度 定期的/必要時 常時
    作業時間 計画的な時間帯 24時間365日
    対応の緊急度 計画的/緊急時 即時

    このように、システム運用が継続的な活動であるのに対し、システム保守は計画的あるいは必要に応じて実施される特徴があります。なシステム管理が実現できます。

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    ITシステム保守の業務内容

    システム保守には、定期メンテナンス、障害対応、監視・ログ解析、セキュリティ対策、データバックアップと、多岐にわたる日常業務が存在します。

    定期的なメンテナンスとアップデート

    日次や週次で実施するサーバチェックや脆弱性診断、月次のセキュリティパッチ適用等、定期的なメンテナンスが基本となります。

    具体的にはまず、システムが動作するサーバーやストレージ、ネットワーク機器の稼働状況を毎日チェックし、CPU/メモリ利用率や通信トラフィック、入出力応答時間などの基本ステータス情報から問題の兆候がないか確認します。

    週次では、サーバOSやミドルウェア、データベース等の脆弱性検査を実施し、必要なセキュリティパッチの有無を調べます。新たな脆弱性通知に対してはただちにテスト環境で修正プログラム適用の検証を行った上で本番サーバーに適用します。

    月次で実行する定期作業としては、システム内データのエクスポートやカタログ情報のバックアップ取得、アカウントやパスワードの見直し等が代表的です。

    障害対応とリカバリー

    システム障害が発生した際には、原因調査と影響範囲の特定を迅速に行い、サービス回復に全力を注ぐ必要があります。

    まず、障害通知を受けた時点で、現象の切り分けが必要です。サーバダウンなのか、ネットワーク障害なのか、アプリケーションエラーなのか、起因となる領域を特定します。

    次に、障害個所の絞り込みと具体的原因の特定作業を素早く進めます。ハードウェアログや各種システムログからエラー要因を特定し、プロセス再起動や切り替えによるサービスリカバリを試みます。

    業務データ面での損害が大きい場合には、データ復旧を優先的に実施します。日頃からのバックアップ取得が活きてくる局面です。原因追及よりも、まずデータを復元することが最優先課題となる場合があります。

    セキュリティ対策

    システムを守るためにセキュリティ対策は重要で、外部からデータ入手など悪意のある攻撃を防がなければなりません。

    運用しているサーバのベースとなっているOSによってセキュリティ対策も変わっており、メーカーからリリースされているセキュリティパッチ適用やsshの鍵認証など対応は多岐に渡ります。

    また搭載する様々なソフトウェアでも独自の脆弱性を改善するために、常々情報がリリースされているのでチェックしておきましょう。

    継続的にセキュリティ対策を行いながら、安全に稼働できるようにシステム保守に努めることも必要です。

    システム監視とログ管理

    稼働状況を可視化するダッシュボードで日々監視し、ログレポートから障害兆候を早期に捉えることが欠かせません。

    可視化ダッシュボードとしては、CPU/メモリ/ディスク利用率や入出力負荷、ネットワークトラフィック等のリソース使用状況をグラフ化し、しきい値を超えた場合にアラートを出すよう設定しておきます。

    また、各種サーバーやミドルウェア、データベースなどから出力される詳細ログを収集・解析することで、例外処理が頻発していたり、特定のSQLに問題があるといった障害兆候パフォーマンス低下要因を特定できます。

    こうした監視ダッシュボードとログ解析は、表裏一体となってシステムの稼働状況を常時チェックすることを可能にします。日々蓄積するビッグデータを分析し、異常値や障害前兆を早期検知する好循環を生むのです。

    セキュリティ対策とデータバックアップ

    不正アクセス対策や情報漏洩防止に加え、重要データのバックアップとリストア機能の定期検証が必要です。

    セキュリティ対策では、ファイアウォールやIDS/IPSといった入り口対策に加え、アプリケーションレイヤーでのSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった脆弱性診断・対応を行います。

    併せて、アクセス権限の管理・見直し、通信のVPN化・暗号化、ログ取得の強化といった情報漏洩対策を実施します。

    データバックアップでは、業務上の重要度と変更頻度に応じて、日次・週次単位でのデータエクスポートと、冗長なオフサイト保管を自動実行します。

    加えて、ただ取得するだけでなく、実際に保管データを使ってシステムへのリストアテストを定期的に実施し、思わぬトラブルが障害時の復旧作業を著しく遅延させるリスクに備えます。

     

    ※クロスサイトスクリプティング・・・Webアプリケーションのセキュリティ上の欠陥を悪用し、サイト運営者になりすまして不正なスクリプトを実行する攻撃のことです。

    ※SQLインジェクション・・・Webアプリケーションの入力値検証機能の不備を突いて、本来アクセスできないはずのデータベースに不正にアクセスし、情報漏洩やデータ破壊等を引き起こす手口のことです。

    システム保守

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    システム保守の種類と費用相場

    システム保守は、システムの安定した運用を維持するために欠かすことのできない重要な作業になります。

    一般的にシステム保守費用は開発費用の5%程度と言われており、大規模システムでは15%が一般的です。また、ECサイト構築などサービス委託の場合は、ハードウェア・ソフトウェア費用の15%相当額の保守費用が別途発生する可能性があります。

    保守の種類は大きく分けて「予防保守」「改善保守」「適応保守」「訂正保守」の4つに分類されます。

    この章では4つの種類とその費用相場について解説していきます。保守の内容を理解することで、適切な保守体制を整え、システムの長期的な安定運用を実現できるでしょう。

    予防保守

    予防保守」とは、システムに障害が発生する前に定期的な点検や整備を行うことです。以下のような内容が含まれます。

    • バックアップの作成と確認
    • セキュリティパッチの適用
    • ストレージの状態監視とデータ削除
    • システムリソースの監視と調整
    • ログの確認と分析

    予防保守は、システムの安定した稼働を維持するために欠かせません。障害の未然防止や潜在的な問題の早期発見につながります。

    費用は、システムの規模やベンダーによって異なりますが、開発費用の2~5%程度(例:開発費1,000万円のシステムの場合、20 ~50万円程度)が目安とされています。定期的な点検は手間がかかりますが、突発的な障害によるダウンタイムコストを抑えることに繋がるでしょう。

    改善保守

    改善保守」は、既存のシステムの機能や性能を向上させる保守作業です。時代の変化に合わせてシステムを進化させることが目的となり、以下が見込めます。

    • ハードウェアの増設や交換による処理能力の向上
    • ソフトウェアのバージョンアップによる新機能の追加
    • データベースのチューニングによる検索・更新速度の改善
    • ユーザインターフェースの改修による操作性の向上
    • セキュリティ強化のためのシステム改修

    改善保守には一定の開発コストがかかります。費用は規模次第ですが、初期開発費の10~30%程度(例:開発費1,000万円のシステムの場合、100~300万円程度)が一般的とされています。改善保守を適切に行えば、業務効率の向上や売上増加につながる可能性があります。

    適応保守

    適応保守」は、法改正や新規ビジネス要件などの環境変化に対応するための保守作業です。

    • 税制改正に伴う会計システムの改修
    • 新商品の販売に伴うECサイトの機能拡張
    • クラウドシフトに伴うシステムのマイグレーション
    • 他社システムとの連携のためのインターフェース開発
    • モバイル対応のためのレスポンシブWebデザイン化

    社会環境や事業環境の変化に柔軟に対応することが目的となります。適応保守は一種のシステム開発に近く、かなりの開発コストが見込まれ、案件により異なりますが初期開発費の20~50%程度(例:開発費1,000万円のシステムの場合、200~500万円程度)が相場とされています。

    事業継続には欠かすことができないため、適応保守への投資は必要不可欠と考えてください。

    訂正保守

    訂正保守」は、システムの不具合やバグを修正する保守作業です。

    • プログラムのロジック誤りによる計算ミスの修正
    • データ紐付けの不備による参照エラーの解消
    • セキュリティホールの解消によるシステム脆弱性の除去
    • 画面デザインの不備による表示の見づらさの改善
    • 入力値のチェック漏れによる異常終了の防止

    システムの信頼性と安全性を確保することが目的です。訂正保守は突発的な案件が多く、案件の複雑さによりますが数万円から数百万円の予定外の費用が必要となります。

    適切な訂正保守を怠ると、業務に重大な影響を及ぼす可能性があるので気を付けましょう。

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    システム保守費用がかかる業務

    システム保守費用とは、開発システムを問題なく稼動させるために、管理や維持、顧客対応、トラブル対応で発生する費用がまとまったものを考えます。

    それによって、システム開発費の一部として適切に見積もりを行うことが重要です。また、将来的な要件に対応できるように適切な予算を確保することも忘れてはいけません。

    システム保守コストがかかる業務は、大きく分けて「ソフトウェア関連」「ハード関連」「人的リソース」の3つに分類できます。

    ソフトウェア関連

    ソフトウェア関連の保守業務には、主にソフトウェアアップデートとライセンス管理が含まれます。

    ソフトウェアアップデートソフトウェアは、最新版以降アップデートしなければ、エラーが発生し、大きなトラブルにつながってしまう場合がございます。通信障害や運用トラブルを防ぐためにも、ソフトウェアアップデートの保守費は気をつけてくださいないものになります。

    システム開発をする場合は、毎月どれくらいのライセンス費用が発生するのか、事前に見積時に確認することをおすすめします。

    ハードウェア関連

    ハードウェア関連の保守業務には、ハードウェアメンテナンスとインフラストラクチャの維持が含まれます。

    ハードウェア メンテナンス システム開発後は、ハードウェアのメンテナンスも必要です。 データベースに保管されているデータのバックアップやセキュリティ システムのアップデート、セキュリティリスクへの迅速な対応など ハードウェア メンテナンスの維持費に含まれます。

    インフラストラクチャの維持インフラストラクチャとは、システムの基盤や設備の要素のことをいいます。さらにインターネット回線、Webサービスを稼働させるためのサーバ、サービスを安定的に運用するための体制なども含まれます。

    これらはシステムの正常な稼働に確保されており、その維持費用はシステム保守上重要な要素となります。

    人的リソース

    人的リソースに関わる保守業務としては、主にテクニカルサポートが挙げられます。

    テクニカルサポート開発サービスにトラブルが発生した場合、非常に頼りになるのがテクニカルサポートの存在です。

    テクニカルサポートとは、開発システムの障害や操作方法などの技術問題に対するお問い合わせを、メールや電話、チャットなどで解決しますしてくれる技術サポーターのことです。専任できるテクニカルサポーターの設置には、一定の費用が必要となるため、保守費として考えておく必要があります。

    開発サービスごとの保守費用の目安

    自社で開発したいサービスがある場合は、次のようなシステム保守費用が発生することを想定しておきましょう。

    サービス名 システム開発費用 システム保守運用費用 合計金額(サービス委託費を含む)
    マッチングアプリ 2,000万円 300万円 350万円
    ソーシャルメディアアプリ 1,500万円 225万円 275万円
    AR(拡張現実)システム 1,200万円 180万円 230万円
    マッチングサイト 1,000万円 150万円 200万円
    ECサイト 800万円 120万円 170万円
    ポータルサイト 600万円 90万円 140万円
    日時予約システム 500万円 75万円 125万円
    eラーニングシステム 400万円 60万円 110万円
    CMS構築 300万円 45万円 95万円

    ※これらのシステム開発費用やシステム保守運用費用は、システム開発会社である弊社(株式会社Jitera)が算出した費用の目安となります。システム保守費用については、保守の範囲によっても異なりますので、詳しくは見積時にご確認ください。

    システム保守費用が変動するポイント

    企業のシステム運用において、保守費用の適切な見積もりと管理は非常に重要な課題です。

    保守費用は一度決定したら固定されるものではなく、システムの特性や運用要件によって大きく変動します。特に近年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴いシステムの複雑化が進み、保守費用の変動要因も多様化しています。

    本章では、保守費用を左右する主要な要因について、システム特性と運用要件の2つの観点から詳しく解説します。

    システム特性

    システムの内部構造や技術的特徴は、保守費用を決定する重要な要素です。特に、システムの規模が大きくなればなるほど、保守に必要な工数も比例して増加する傾向にあります。

    また、使用している技術の選択も、長期的な保守費用に大きな影響を与えます。

    ポイント
    システムの規模と複雑性 ・コード行数が多いほど、保守の工数が増加
    ・システム間の連携が複雑なほど、影響調査に時間が必要
    ・モジュール間の依存関係が多いほど、変更の影響範囲が拡大
    使用している技術の新旧 ・古い技術は専門家が少なく、保守コストが高騰
    ・サポート切れの技術は、セキュリティリスクも考慮が必要
    ・新技術への移行コストも考慮が必要
    カスタマイズの程度 ・パッケージの標準機能からの改修が多いほどコストが上昇
    ・バージョンアップ時の移行作業も複雑化
    ・独自開発部分の仕様書管理も必要

    これらの特性を考慮し、システム設計の段階から保守性を意識した選択を行うことで、将来的な保守費用の最適化が可能となります。特に、技術選定とカスタマイズの程度については、短期的な開発効率だけでなく、長期的な保守性も考慮した慎重な判断が求められます。

    運用要件

    システムの運用要件は、日々の保守作業の内容と量を直接的に決定する要因となります。特に、サービスの重要度が高いシステムほど、厳格な運用要件が求められ、それに応じて保守費用も増加する傾向にあります。

    ポイント
    サービスレベル(SLA) ・稼働時間が長いほど、監視や対応の人員体制が必要
    ・障害時の応答時間が短いほど、待機要員の確保が必要
    ・パフォーマンス要件が厳しいほど、定期的な性能調整が必要
    セキュリティ要件 ・高度なセキュリティ対策には、専門知識を持つ要員が必要
    ・定期的な脆弱性診断やパッチ適用の頻度
    ・インシデント対応体制の整備が必要
    バックアップと災害対策 ・データバックアップの頻度と保管期間
    ・災害時の復旧要件によってコストが変動
    ・定期的な復旧訓練の実施が必要

    これらの運用要件は、ビジネスの要求や法規制の変更によって随時見直しが必要となります。そのため、運用要件の変更に柔軟に対応できる保守体制を構築することが、長期的な保守費用の最適化につながります。また、定期的な要件の見直しと、それに伴う保守体制の調整も重要な管理ポイントとなります。

    システム保守費用の算出方法

    システム保守費用の算出方法

    システム保守費用の算出方法には、主に「定額制」「従量課金制」「時間制」の3つのパターンがあります。

    「定額制」は、保守作業の内容や工数に関わらず一定の月額料金を支払う方式です。「従量課金制」は、保守作業の発生量に応じて課金される方式であり、「時間制」は、保守作業に要した実作業時間に応じて課金される方式となります。

    それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、システムの特性や要件に合った算出方法を選ぶことが重要です。

    定額制

    定額制とは保守作業の内容や工数に関わらず一定の月額料金を支払う算出方法です。月額保守料金は、システムの規模や複雑度、サービスレベルなどを勘案して決定されます。

    具体的には、システムの初期開発費用の10~20%程度が目安とされていますが、大規模システムの場合はそれ以上の金額設定となることもあります。

    保守対象のシステム内容と提供されるサービス内容を十分に確認し、適正な月額料金を算出します。

    メリット:

    定額制は、保守作業の発生頻度が比較的高く、工数が一定程度見込まれるシステムに向いています。保守費用を毎月固定で払えるため、予算の平準化が可能となるためです。

    デメリット:

    保守作業が少ない場合は料金が高くつく可能性があります。中小規模の基幹システムや、サービスを委託するシステムなどに定額制が多く採用されています。

    従量課金制

    従量課金制とは保守作業の発生量に応じて課金される算出方法です。作業単位ごと(例:1ケース)の単価が設定されており、実際に発生した作業量に単価を乗じて費用が決まります。

    単価の設定は作業内容の複雑さや工数見積もりを基に行われます。例えば、プログラム修正は5万円/ケース、バッチ修正は3万円/ケースなど、作業種別ごとに異なる単価が設定されることが一般的です。

    メリット:

    従量課金制は、保守作業の発生頻度がそれほど高くない傾向のあるシステムに向いています。作業が起きないときは費用が発生しないため、コストを抑えられます。一方、大量の作業が集中すれば、その分多額の費用が発生するリスクがあります。

    デメリット:

    ウェブサイトの小規模改修や、スポット的な機能追加など、保守作業が断続的に発生するようなシステムでは従量課金制が採用されることが多いでしょう。事前に想定外の大量作業が発生しないことを前提とする必要があります。

    時間制

    時間制とは保守作業に要した実作業時間に応じて課金される算出方法です。単価は作業者の技術レベルや時間帯(夜間・休日は割増)によって異なります。

    例えば、プログラマの場合は、日中の通常時間帯なら1時間あたり5,000円、夜間や休日は7,000円といった単価設定がよくあります。作業時間を実数で集計し、単価に従って費用を算出していきます。

    メリット:

    時間制は、スポット的で工数見積もりが難しい保守作業に向いています。特に、障害対応や問い合わせ対応などは事前の工数予測が難しく、時間制で対応することが多いでしょう。

    デメリット:

    一方で、計画的な保守作業の場合は、工数見積もりが可能です。そういった作業に時間制を採用すると、過剰なコスト発生のリスクがあります。

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    システム保守の費用見積りから発注までの流れ

    システム保守を発注する際には、適切な見積もりを取り、条件の良い業者を選ぶことが重要です。

    計画的に進めることで、ニーズに合ったコストパフォーマンスの高い保守体制を構築できます。その具体的な流れを見ていきましょう。

    要件定義と現状分析

    システムを保守的に適切に発注するための始まりが、要件定義と現状分析です。この段階では、保守対象システムの詳細を洗い出し、必要なサービスレベルを明確にします。

    • 保守対象システムの基本情報(規模、複雑性、実行時間、開発手法など)の整理
    • システムスペック(サーバー台数、データ量、開発言語など)の確認
    • 必要なサポート品質とサービスレベルの定義
    • 現在のシステム状態と運用上の課題の洗い出し
    • 改善が必要な点の明確化

    これらの情報を基に、次のステップのための基礎資料を作成します。十分な現状分析と明確な権利定義は、適切な保守体制構築の基礎となります。

    RFP(提案依頼書)作成と配布

    RFPは保守業者に具体的な提案を依頼するための重要な文書です。要件定義と現状分析の結果を反映させ、正確かつ詳細なRFPを作成することが重要です。RFPの作成と配布には以下の点に注意してください。

    • 保守対象システムの詳細、求められるサービスレベル、具体的な保守作業内容の記載
    • 見積りの条件と提出期限の確実性
    • 正確に明確な記述
    • 候補者の選定(技術力、対応力、コスト、実績などを総合的に評価)
    • 選定された業者へのRFP配布と提案・見積り依頼

    正しいRFPを作成し、正しい業者に配布することで、質の高い提案と正確な見積もりを得ることができます。

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    見積書の確認

    提案された見積書は慎重に行う必要があります。 金額だけでなく、提案内容や品質面も含めて総合的に評価することが重要です。

    • 概算金額の検討性確認(市場や価格一般的な適正価格との比較)
    • 内容提案と発注要件との整合性チェック
    • サービス品質面での要件充足確認
    • 複数業者の提案内容の比較・検討(保守作業の範囲、実施体制、品質保証など)

    これらの子供の確認、最適な保守業者の候補を絞り込むことができます。

    交渉と契約内容の決定

    概算的な確認後、最適と思われる業者との交渉に入ります。この段階では、具体的な契約条件や作業内容の詳細を詰めていきます。以下の点に注意して交渉を進めます。

    • 格安や提案内容の調整・変更依頼
    • 契約期間や支払い条件などの基本的な契約条件の協議
    • 作業一定や品質保証に関する条項の明確化(作業の遵守事項、品質基準、検収条件、スリ不履行時のペナルティなど)

    それぞれにとって適切な条件を設定し、高品質な保守的なサービスの基盤を整えます。

    社内承認プロセス

    交渉が成立したら、社内での承認プロセスに入ります。経営層や関連部門に対して、選定した業者と契約内容の慎重性を説明し、承認を得る必要があります。説明を行います。

    • 選定した業者の提案内容、契約条件、期待される効果の説明
    • 保守的な投資の慎重性、リスク管理の適切性、長期的な運用戦略との整合性の説明
    • 必要に応じた追加説明資料の用意や条件の再交渉

    十分な説明と議論をしながら、組織全体の合意を得ることが重要です。

    発注と契約締結

    社内承認が得られたら、いよいよ正式な発注と契約締結の段階に入ります。この最終段階では、これまでの協議内容を正確に反映させ、双方の権利と義務を明確にすることが重要です。以下の点に注意して契約締結を進めます。

    • 発注書作成と選定業者への送付
    • 契約書への交渉内容に漏れのない記載
    • 重要事項(作業範囲、品質基準、報告義務、秘密保持、知的財産権の扱いなど)の明確かつ詳細な規定
    • 契約書内容の両方確認と必要な修正
    • 契約締結
    • 保守作業開始に向けた準備(引き継ぎ作業、保守体制の立ち上げ、事前の作業検証など)

    契約締結後は、スムーズな保守業務の開始に向けて、十分な準備期間を設けることが重要です。

    まとめ:システム保守費用は適正価格で委託すべき

    適正な水準を外した保守コストには、様々な対処があります。

    安すぎる価格設定はシステム保守の質の低下や事業継続へのリスクにつながる可能性あり、高すぎる保守的費用は企業経営を圧迫し、他の重要な投資の予算を制限することになるでしょう。

    このため保守的な費用は、長期的な事業への影響を考慮し、適切な段階を見極める必要があります。

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