近年のIT技術は凄まじい勢いで発展していますが、その中でもAIに関するイノベーションの勢いには目を見張るものがあります。社会や生活がより便利になることが期待される反面、著作権の侵害や雇用が奪われるなどといったリスクも懸念されています。
このように良くも悪くも大きな影響力を持っているAIですが、新たな収益源として、大手のテック企業はこぞって開発を進めています。この記事では、マイクロソフトが開発しているAIである、copilot(旧名Bing Chat)とはどのようなものかを解説していきます。
文系大学出身で、25歳の時にIT業界に足を踏み入れました。ヘルプデスクから要件定義まで、下流から上流まで文字通り叩き上げでキャリアを築き上げました。取得した資格もいつの間にかもう2桁に。趣味も資格取得。あと、映画鑑賞と飲み会。
Copilot(旧Bing Chat)の概要

Copilot(旧Bing Chat)とはマイクロソフトが開発しているAIチャットですが、大きな話題を呼んだOpenAI者のChat GPTに比べると、特徴や用途などが似通っていることもあって地味な印象が強いです。
しかし、実際に使用してみるとChat GPTなど他のAIチャットのツールとは異なる、独自の特徴を有していることも事実です。この章では、Copilot(旧Bing Chat)の基本的な概要や特徴、より効果的な活用方法などを解説していきます。
Copilotの基本機能と特徴
Copilotの特徴としては、まずWebから最新の情報を探し出すことに長けていることがあげられます。
ChatGPTなどはWeb検索機能が無いため、人為的にデータを取り込ませる必要があります。この場合、データを取り込む作業を行う人の思想や価値観、知識や判断力によって表示する情報の正確性が左右されてしまうというデメリットがあります。また、最新の情報を収集できないという点も大きなデメリットですが、これらのデメリットがCopilotの場合は全て解消されます。
そして、それだけでなく回答のソースとなったWebサイトのURLも確認できるというメリットがCopilotにはあります。
もしもColilotの判断に疑問を持った時はその根拠を自分の手で調べることができ、納得できない場合は自分の手で調べるという手段も取ることが可能です。他のAIチャットは判断の根拠が不明確であるため、真偽が怪しい情報だとしても鵜呑みにしてしまうリスクがありますが、Copilotの場合はそのリスクをかなり軽減することができます。
Copilotの活用シーン
Copilotのビジネスにおける活用方法としては、まず調査への活用があげられます。営業時のプレゼンで説得力を持たせる時や、プログラミングや経理業務などで自分の考えが正しいかを調べる時、現代のビジネスパーソンであればWebで情報収集をすることが一般的です。
そのような時、従来であれば検索エンジンで検索するワードを時間をかけて考え、更にそこから検索結果のWebサイトを時間をかけて吟味しなければなりません。
しかし、Copilotを活用すれば短い時間で目当ての情報を見つけることができ、ソースとなったWebサイトも調べることができます。このように、調査にかける時間や労力を、Copilotを活用することによって大幅に削減することができます。
従って顧客との折衝や新規顧客の開拓など、機械には遂行不可能で、尚且つビジネスの根幹に関わる業務に多くのリソースをつぎ込むことが可能になります。
Copilot導入のメリット

Copilotに限らず、AI関連のツールを導入して業務に活用することで、業務効率やコミュニケーションの質を大幅に上げることができます。
勿論AI関連のツールは急激な進化を遂げているとはいえ、まだまだ発展途上で改善の余地があることから全てを無条件で信頼することはお勧めしませんが、それでも適切な場面で上手く活用ができれば多くのメリットに授かることができます。Copilot導入のメリットには以下のようなものをあげることができます。
業務効率化への影響
Copilotを使うことによって、業務の効率化というメリットを享受することができますが、前述した調査関連の業務以外にも活用することができます。
例えば、メールです。技術職や営業職は勿論、事務職や一部の接客業でも、現代のビジネスパーソンにとって電子メールは必要不可欠です。
そして、電子メールの中でも、顧客や会社の上司からのメールは基本的に返信が必須となることが多いため、文章の中身を理解するだけでなく、返信の内容も考えなければなりませんし、失礼の無い言葉遣いにしなければなりません。従って、どうしても時間がかかってしまいます。
そのような時にCopilotがあれば、いくつかの指示だけでメールの文面を作成できるようになるため、メールの連絡に使う時間を大幅に節約できます。
また、資料の手直しなどもCopilotでできます。資料に使いたい文章と編集内容を指示すれば、適切な形に資料をCopilotが修正してくれます。資料の作成に数日かけることもあるエンジニアやセールスマンにとって、これは非常にありがたいことです。
参考:「Copilot」で変わる仕事術。AIと連携する新たなワークスタイルとは?|大塚商会 (otsuka-shokai.co.jp)
チームコミュニケーションの改善
Copilotを社内での会議などに使用することで、チームコミュニケーションをより円滑にすることが可能になります。社内のデータやニュースなどを蓄積させることで、AIに情報の管理を任せることができます。
情報を思い出したり記憶することは人間よりも機械の方が優れているため、会議の際にわからないことがあったとしても、いちいち社内の資料を調べなおさなくても良くなります。
また、抽出した情報をわかりやすく正確に表現してくれるため、認識の齟齬なども起こりにくくなります。
そして、そもそもコミュニケーションの量自体も減らすことができます。従来であればタスクの管理を行う際、会議を開いて直接話を聞くという方法を取っている場合も少なくありませんが、AIを使用すればAIが情報の抽出も行ってくれるので、会議を開く必要性がなくなります。
会議で物事を伝える際も、伝え方や説明の順序など、考慮しなければならない点が意外と多いため、コミュニケーションの量が多いと、それだけ精度が下がってしまいます。このように、Copilotを利用することで、チームコミュニケーションを改善することができます。
参考:Microsoft Copilot Studioとは?料金や活用事例について解説 – AvePoint Blog
Copilotの価格構造

Copilotを使用する際は必ずしも費用が発生するわけではなく、無料版もあります。勿論、有料版の方が使用できる機能も、機能1つ1つの質も高いですが、1度も使用したことがないものにお金を払うことに抵抗がある人も多いと思います。
しかしCopilotの有料版のプランの場合、1か月無料になる特典がありますし、1ユーザーごとの支払いと、商品のロットの単位が少ないため、1ユーザーだけ有料版を導入して暫く使用感を研究するといった柔軟な利用が可能です。
個別企業向けプランの紹介
個別企業向けプランとなる「Copilot Pro」では、上述した通り、1ユーザーにつき月額3,200円から利用可能になります。費用の単位が1ユーザーあたりになるので、稼働していないユーザーが生まれにくく、費用を最小限にすることができます。
また、年額ではなく月額になっており、小回りが利くため、途中で利用を辞めることになったとしても無駄な費用が発生しません。
そして、無料版と異なり、どこの時間帯でも使用することができるため、業務に支障をきたす心配がありません。
しかし1番のポイントはExcelやWordなど、マイクロソフトからリリースされているオフィス関連のソフトとの連携が可能になっている点です。
オフィスソフトとの連携を可能にすることで、Copilotのインプットにもアウトプットにもオフィスソフトを使用することができるため、業務の効率を大幅に上げることが可能になります。
このように多くのメリットがあるため、料金以上の価値があると言っても過言ではないでしょう。
無料版と有料版の違い
| 費用 | オフィスソフトの連携 | 利用可能時間帯 | |
| 無料版 | 0円 | 不可 | ピーク時以外の時間帯 |
| 有料版 | 1ユーザー月額3200円 | 可能 | 終日利用可能 |
参考:Copilot Pro プラン & 価格 – プレミアム AI 機能と GPT-4 & GPT-4 Turbo | Microsoft Store
無料版と有料版を比べると当然ですが、有料版の方が使い勝手も良くて機能の質が高いですが、無料版にメリットが全くないという訳ではありません。無料版を利用することで、AIやITの勉強を身をもってすることができます。
例えば、上記の表に記載されているピーク時とはどのようなものかは、実際に使えなくなってみないとわからないと思います。このような小さな疑問を解消していくことで、ITの知識を深められます。
また、上手く使いこなせれば無料ということもあり、コストパフォーマンスは非常に良いです。勿論、有料版も前述した様に多くのメリットがあります。ある程度以上の人員と予算が自社にある場合は、無料版よりも有料版の方を導入することをお勧めします。
有料版の方が使用できる時間帯と機能が多いため、様々な業務に活用することができます。ビジネスの規模が多くなって資金力も強くなってくると、営業に加えて管理にも力を入れなければならなくなり、従業員のタスクも増えるため、汎用性の高いツールを導入した方がメリットも多いです。
Copilot導入時の注意点

CopilotやそのほかのAIチャットに限らず、ITテクノロジーを導入する時は注意しなければならない点がいくつかあります。
前準備をせずにCopilotなどのITテクノロジーを不用意に導入した場合、投資したお金や労力が無駄になるだけでなく、最悪の場合セキュリティ事故を起こしてしまい、顧客からの信頼や多額の金銭を失う可能性もあります。
もしCopilotを導入する場合は必ず事前の調査をしたり、専門的なアドバイスを求めるべきです。
データセキュリティに関する考慮事項
Copilotの大きな特徴として、Web上の情報を検索してそのソースとなるURLまで表示できることをメリットとしてあげましたが、これはデメリットにもなりえます。
もし訪問者の情報を抜き出すためのWebサイトであるフィッシングサイトなどから情報とURLを抽出して表示し、そのサイトにアクセスしてしまった場合、重大なセキュリティ事故に発展してしまう可能性もあります。
このような事態を防ぐためにも、テクノロジーとマンパワーの両方を活用すべきです。まずテクノロジーについてですが、セキュリティの設定を効率良くするためにも、Webへの通信を一本化するためのツールであるプロキシを導入したうえでファイアウォールの設定やウイルス対策のソフトをインストールすべきです。
また、従業員には有害なWebサイトであるフィッシングサイトなどの特徴を教え、もしアクセスしてしまった場合の対処法について周知しておくことで被害を最小限に抑えることができます。
導入後のサポート体制
Copilotは日本語バージョンもリリースされているため、ツールに関するサポートを求めるために英語を使う必要はありません。また、少しづつ知名度も上がっているため、Web上に使用方法やアクシデントが起こった時の対処法などの情報もアップロードされています。
ただ、下記の参考サイトにあるように、マイクロソフトとのやり取りは基本的にチャットでのやり取りになるため、アクシデントや不明点がすぐに解決するとは限りません。
日系企業では殆どの場合、トラブルシューティングのためにカスタマーサポート用の電話サービスを設けており、このような対応に慣れ過ぎてしまっている場合、マイクロソフトの対応に困惑する可能性があります。
従って導入してからあれこれ混乱する前に、有識者にアドバイスを求めたり、無料版で使用感を事前に知っておくなどの対応が求められます。
参考:Windows の Copilot へようこそ – Microsoft サポート
まとめ:Copilotで業務効率化とコミュニケーション改善

Copilotには無料版と有料版の両方があり、無料版でもそれなりにメリットがありますが、やはり有料版の方が業務効率を飛躍的に高めてくれるため、中小企業にとってはメリットが大きいです。費用についても、1ユーザーあたり月額3200円と、安価なのも魅力の1つです。
ただ、前述した様にセキュリティやサポート体制においては注意しなければならないため、事前に実施しておくべきことが幾つもあります。
ここまで読んで、Copilotに興味を持ったものの、事前準備などで相談したいと思った人もいるかと思います。そのような場合、こちらのリンクをクリックして株式会社Jiteraに連絡をしてみることをお勧めします。

