OpenAI社が開発した対話型AI「ChatGPT」は、2022年11月に公開されると瞬く間にユーザー数を増やし、公開わずか2ヶ月後には世界で1億ユーザーを到達した革新的な人工知能チャットボットです。
世界中で大きな反響を呼んでいるChatGPTですが、2022年公開当初のモデルは「GPT3.5」と呼ばれています。
そこから2023年2月に「ChatGPT Plus」、そして同年3月には現行の最上位モデルである「GPT-4」が有料版として公開されました。
正統進化版でもあるGPT-4では何ができるようになり、そしてGPT3.5とはどういった部分が異なるのでしょうか。
この記事では、GPT3.5とGPT-4の違いについて、そしてどちらがおすすめか主要機能などを比較しながらご紹介します。
GPT3.5とGPT4の違い
まずは、価格や正確性、そして搭載している機能面などから分かるGPT3.5とGPT-4の違いについてご紹介します。
GPT3.5 | GPT-4 | |
価格 | 無料で利用可能 | 月額20ドルの有料プランへ加入が必要 |
速度 | 若干速い | 若干遅い |
正確性 | 正確性においては互角だが回答内容は異なる | |
長文対応 | 最大トークン数:16,384 | 最大トークン数:32,768 |
情報の鮮度 | 2022年1月までの学習データ | 2023年4月までの学習データ |
画像対応 | ×対応していない | ○対応している |
創造性 | 簡潔でシンプルにまとめる | 一歩踏み込んだ情報まで提案してくれる |
価格
まずは価格面を比較してみます。
- GPT3.5:無料
- GPT-4:月額20ドル(有料プランへ要加入)
公開当初から使用できるGPT3.5は、現時点でも無料で利用可能です。無料で高性能な人工知能チャットボットが利用できるのが話題となり、世界中であっという間にユーザーを増やしたのも記憶に新しいのではないでしょうか。
一方、GPT-4を利用するには「ChatGPT Plus」という有料プランへ加入する必要があり、こちらは月額20ドルとなっています。
ChatGPT Plusへ加入すると、最新のAI技術であるGPT-4が利用できるのに加え、ChatGPTプラグインの使用や専用のサポート窓口を利用できるなど、様々な特典がついてくるのが特長です。
速度
続いては、速度=質問を入力して回答を得られるまでの時間(レスポンス)を比較してみましょう。
GPT3.5、GPT-4双方へ「JITERAの導入事例を教えてください」と同じ質問を投げかけた場合の回答時間は以下の通りになりました。
- GPT3.5:4.22秒
- GPT-4:4.76秒
わずかな差ではありますが、GPT-4の方が時間がかかるという結果でした。
これは「GPT-4の方が処理できるパラメーター(要素の)数が多いから」「GPT-4の方がより複雑な構造をしているから」などが要因とされています。
ただし、応答速度はサーバーの負荷状況やネットワーク環境によって大きく影響を受けてしまうので、単純に比較ができない点に注意しなければなりません。
正確性
チャットボットに求められる要素として、「回答の正確性」があります。質問に対して正確な情報を提供できているか、誤解を生まない表現で回答しているかが重要です。
Web検索を行えば誰でも同じ情報が得られるもの、例えば特定のお店の営業時間などは、GPT3.5でもGPT-4でもほぼ同じ回答を返してくれるため、正確性においては互角といえます。
しかし、単純なWeb検索だけだと答えを得にくいもの、例えば「ちょうど10年後にビットコインの価値はどうなっているか?」といった誰も答えを持っていない質問をした場合は、GPT3.5とGPT-4によって回答内容が異なる点に注意が必要です。
GPT3.5は「10年後のビットコインの価値は…」と推測を混じえた回答を出しますが、GPT-4の場合だと、適切な情報がないと判断した場合は正直に「答えられない」と回答する傾向にあります。
長文対応
従来のチャットボットと異なり、ChatGPTは話し言葉や長文での質問にも対応可能です。ただし、長文についてはGPT3.5とGPT-4で対応できる能力が異なります。
それぞれの長文対応能力を比較する前に、ChatGPTが処理できる文字の単位数「トークン」について知っておかなければなりません。
トークンとは、一言で表せばChatGPTが認識できる「意味のある文字列の固まり」です。英語と日本でトークンの数え方は異なりますが、大まかに日本語1文字で1~3トークンだと考えて問題ありません。
上記を踏まえ、GPT3.5とGPT-4で処理できる最大トークン数は下記の通りです。
- GPT3.5:16,384
- GPT-4:32,768
単純にGPT3.5とGPT-4では、一度に処理できる長文の量は2倍違うのが分かります。
情報の鮮度
GPT-4はGPT3.5の上位モデルであるため、情報の鮮度もGPT-4の方が新しいと思われがちですが、実は公開当初はどちらも2021年9月までの学習データしか持っていませんでした。
そのため、従来であれば情報の鮮度に差はありませんでしたが、近年それぞれのモデルもアップデートされた結果、2024年4月時点では下記のように学習データ範囲が増えています。
- GPT3.5:2022年1月まで
- GPT-4:2023年4月まで
GPT3.5とGPT-4で学習データの範囲に差が生まれたため、より最新情報を含んだ質問をしたい場合は、GPT-4を利用するのがおすすめです。
画像対応
ChatGPTでは文字だけでなく画像での認識も可能ですが、画像に対応しているのはGPT-4のみです。
GPT-4はマルチモーダル(=複数種類のデータを処理できる)AIとも呼ばれ、画像を読み込ませるとその画像に対しての説明や、画像に関連した質問について回答してくれます。
例えば「野菜のキャベツ」の写真を読み込ませ、『これを使ってどんな料理が作れるか?』といった質問をすると、様々なキャベツ料理について回答するといった動きです。
GPT3.5では画像読み込みに対応していないので、画像を使った質問をしたい場合はGPT-4一択となります。
創造性
ChatGPTにおける上位モデルであるGPT-4は、創造性の部分においてGPT3.5より大きく進歩していると言っても過言ではありません。
質問者の意図やニュアンスを捉え、質問に基づく独創的な回答を生み出してくれるのが特徴です。
例えば「○○をテーマに見出しと本文を考えて」といった同じ質問をGPT3.5とGPT-4へ入力した場合、GPT3.5の場合はシンプルに見出しと本文を提案してくれますが、GPT-4の場合は一歩踏み込んだ情報まで提案してくれる傾向にあります。
どちらも十分に文章として成り立っていますが、やはり創造性や情報量といった部分ではGPT-4の方が上回っているでしょう。
GPT4に加入するのがおすすめな人とは
ChatGPTにおける上位モデルであるGPT-4は、使用するために有料プランへの加入が必要となります。
決して安くはない金額ですが、その月額料金を支払ってでもGPT4へ加入をおすすめしたい人とはどんな特徴でしょうか。ここでは、GPT4に加入するのがおすすめな人についてご紹介します。
より性能が高いAIツールを使いたい
GPT3.5と比べGPT-4は、一度に処理できる文章の長さや扱えるデータの種類、そして学習しているデータの範囲がより広がっているのが特長です。
情報の正確性も上がっており、GPT3.5では明らかに間違っていると分かる内容も回答していましたが、GPT-4では学習データに無い情報は「分からない」と正直に回答してくれるため、誤った情報を伝えないといった面ではより性能が高いといえます。
GPT-4は、ChatGPTの有料プラン(ChatGPT Plus)へ加入すると使用可能です。
AIの性能向上といった恩恵はもちろん、より先進的な機能を優先的に使えるといったメリットもありますので、より性能が高いAIツールを使いたい方は加入するのがおすすめです。
画像を生成したい
GPT-4は、AIによる画像生成も可能となっています。GPT3.5でも画像生成を試験的に対応していましたが、現在は使用できなくなっているため、ChatGPTでの画像生成はGPT-4のみの機能です。
AIによる画像生成は今や一般的となっており、普段からChatGPTを使っている方は、同じ操作画面から画像生成も行えるのはメリットといえます。
一度に長文を処理したい
日本語の文字数で表したとき、GPT3.5とGPT-4では下記の通り一度に処理できる文字数に差があります。
- GPT3.5:最大で5,000文字
- GPT-4:最大で25,000文字
文庫本1ページあたりが600文字程度ですので、GPT3.5だと「約9ページ」に対し、GPT-4では「約42ページ」ほどの処理能力です。
GPT3.5とGPT-4では単純に5倍の差があるため、一度に長文を処理したい方はGPT-4がおすすめといえます。
GPTsを使いたい
GPTs(ジーピーティーズ)とは、Chat GPTを目的に合わせてカスタマイズしてオリジナルのチャットボットを作れるサービスです。「GPT Builder」とも呼ばれています。
どんなものを作りたいか文章で入力するだけで、希望する分野に特化したチャットボットが作成できるのが特徴。作成したチャットボットは他の人との共有も可能となっています。
GPTsは有料プラン(ChatGPT Plus)の加入者だけが使えるサービスです。もちろんGPT-4も使えるので、どちらかが目的の方でも加入して損はありませんので、ぜひ一度検討してみてください。
GPT4へ加入する際の注意点
優秀なAIツールであるGPT-4ですが、まったく欠点が無いわけではありません。
- 情報の鮮度はリアルタイムではない
- すべての情報が正しいとは限らない
- すべての回答が安全とは限らない
上記のようにいくつか注意すべき点がありますので、ここではGPT4へ加入する際の注意点についてまとめています。
情報の鮮度はリアルタイムではない
GPT-4が学習しているデータは、2023年4月時点の情報までとなっています。そのため、情報の鮮度はリアルタイムではありません。
私たちは普段からGoogleなどの検索エンジンを使ってリアルタイムの情報に触れているため、GPT-4から出された回答も最新情報なのだと誤解してしまいそうになりますが、そうではないという点に注意しなければなりません。
直近1ヶ月以内に起きた出来事をGPT-4に聞いても正しい回答は得られませんが、GPT-4は学習していないデータについては「分からない」と回答するようになっているため、GPT3.5でしばしばあった「誤った情報を回答する」といったケースは少なくなっている傾向にあります。
すべての情報が正しいとは限らない
GPT-4が学習しているデータは2023年4月時点までの情報ですが、その期間内に該当する情報であったとしても、その情報が正しいとは限らない点に注意が必要です。
GPT-4はネット上にある膨大なデータから学習しているため、明らかに誤っている情報をそのまま学習してしまうといった問題点が見受けられます。
情報を得たいと思ってGPT-4を利用した場合、「その情報が正しいかどうか」は別の方法でも確認しておくのが無難です。
すべての回答が安全とは限らない
先述の通りGPT-4は膨大なデータを学習しているため、個人のプライバシーに関する情報が取得できてしまえるのではないかといった懸念が指摘されています。
個人だけに限らず、企業の機密情報をネット上へ書き込んでしまっているのであれば、それらも既に学習されていると言っても過言ではありません。
その情報が他のユーザーへの回答として利用される可能性もゼロではないため、ネット上へ企業の機密情報を入力する際は十分に配慮しなければなりません。
過去にはChatGPT自体の潜在的なバグによって、一部のユーザーへ他のユーザーの履歴が表示されるといったトラブルも生じているため、GPT-4利用の際にはこういったリスクがあると念頭におくのをおすすめします。
ChatGPTを使って何ができる?
ChatGPTは「非常に便利なAIツール」だとネット上では話題になっていますが、実際、ChatGPTを使えば何ができるのでしょうか。
実はChatGPTにも得意なこと・苦手なことが存在しており、使い方を誤ってしまうと望んでいない結果へつながる可能性があります。
ここでは、ChatGPTを使って何ができるかについて具体的にまとめました。
得意なこと
ChatGPTが得意とすることの一例をご紹介します。
- 日常会話
- 文章やメール本文の新規作成・添削
- 文章の要約や翻訳
- プログラミングやコーディング
- プログラムのデバッグ(ミスやバグを発見する)
- 企画書やプレゼンテーション資料の作成
- 表や関数の作成
ChatGPTはプログラミング言語(機械言語)との相性が良く、実現したい処理の内容を文章にするだけで、簡単なプログラムであればコード作成まで対応可能です。
他にも長文の要約や新しい文章の作成など、人間の頭だけで考えると時間がかかってしまう作業も効率化してくれます。
苦手なこと
一方で、ChatGPTが苦手とすることもいくつか存在します。
- 法律や医療(健康)などの高度な専門知識は乏しい
- 人間が持つ感情や人間関係についての理解が浅い
- 未来についての予想を提供する
- 直近で起きた出来事への質問
- 情報の信頼性が保証できない
- すべての国の言語に対応しているわけではない
ChatGPTが学習しているデータは期間や範囲が限られており、法律や医療など高度な専門知識が要求される情報や、直近で起きた出来事や今後起こり得る予測などは苦手です。
回答内容が正しいかどうか情報の信頼性も保証できないため、これらの用途でChatGPTを活用するのはあまりおすすめできません。
今後AIツールの使用がビジネスにおいて避けれない理由
AI技術が日々発展している現代においては、ChatGPTに限らず便利なAIツールがたくさん開発されています。
ビジネスにAIツールを活用している企業も増えており、この流れは今後さらに加速していくのは確実です。
今後AIツールの使用がビジネスにおいて避けれない理由について、詳しく解説します。
生産性が向上するから
AIツールを活用すれば、従来の業務の自動化や効率化が可能となり、結果的に生産性の向上が期待できます。
- 膨大なデータの整理や処理
- 文書の新規作成や添削
- 顧客からの問い合わせ対応の自動化
これらのルーチンワークはAIツールにとって得意分野であり、人間が手作業で行うと数カ月かかるような作業であっても、AIツールを使えばわずか数日で完了も可能に。
また、AIツールは休みなく動作させられるため、これまでその業務へ従事していた従業員は他の作業を行えるようになるのも企業にとって大きなメリットです。
意思決定の精度がアップするから
ビジネスにおける意思決定、もしくは今後を左右する決断を迫られる場面は数多くあります。
正しい判断をするためには膨大なデータや市場のトレンドを分析して戦略を立てなければなりませんが、このような作業はAIツールが最も得意としている範囲であり、AIツールを活用すれば意思決定の精度がアップするのは間違いないでしょう。
人間はこれまでの経験から今後の行動を決定しがちですが、AIツールを介すことで自身の経験に無い新たな視点を得られるため、ビジネスにおいても非常に有用といえます。
API連携をして新しい価値を創造できるから
多くのAIツールはAPIとしての機能提供も行っており、企業側はAIツールの一部の機能を自社サービスやプラットフォームへ組み込んで新たな価値を創造できる点が大きなメリットです。
また、AIツールによってユーザーがSNS上へ書き込んだサービスへの感想などを分析し、今後の製品やサービスの改善へ活かせます。
AIツールをAPI連携して自社のサービスへ組み込むのは、話題になりやすいといった相乗効果も期待できるでしょう。競合他社との差別化にも繋がり、ビジネスにおける競争力も強化できます。
まとめ:GPT3.5とGPT4の違いを押さえよう
今回はChatGPTのモデルである「GPT3.5」と「GPT-4」の違い、そして、どちらがおすすめできるか搭載されている機能などから比較しました。
公開当初から世界中で話題となったChatGPTは、現在の最上位モデルである「GPT-4」と無料で利用できる「GPT3.5」では、明確な違いが多数存在していました。
より性能が高いAIツールやAIによる画像生成、また、今後登場する最新のAI技術をいち早く使ってみたいのであれば、ChatGPTの有料プランである「ChatGPT Plus」へ加入してみるのをおすすめします。
ただし、ChatGPTも万能ではありません。学習しているデータは期間や範囲が限定されており、質問への回答や提供された情報が100%正しいとは言えない点に注意が必要です。
ChatGPTに限らず、今後もビジネスにおいてAIツールの活用は非常に注目されています。
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