C++言語でできることとは?自社のどんな開発に活かせるのか事例をもとに徹底紹介

C++言語は高速性と柔軟性から多岐にわたる開発領域で活用されています。

この記事では、C++が選ばれる理由から具体的な開発事例、活用する際のポイントまでをC++言語について深掘りしつつ、開発にどのように活かせるかを具体的に紹介していきます。

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監修者 hiro1120_writer

食品商社営業からシステムエンジニアへと転職後、バックエンドエンジニア(Java, PHP)として尽力。開発リーダーを含む上流工程〜下流工程に携わる。IT関連記事から芸能・法律など幅広ジャンルにて執筆。

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    C++とは?選ばれる理由

    C++は、1980年代初頭にBjarne Stroustrupによって開発されたプログラミング言語で、C言語の直接的な拡張として設計されました。

    その設計には直接的なハードウェア操作の能力とソフトウェアの抽象化を同時に提供するという目的があり、このバランスによってC++はシステム/アプリケーションソフトウェア、ドライバー、クライアントサーバーアプリケーション、組み込みファームウェアなど、幅広い開発領域で選ばれています。

    C++が他のプログラミング言語と比較して選ばれる主な理由は、そのパフォーマンスの高さと効率性でしょう。コンパイルされたC++プログラムは直接機械語に変換されるため、実行時のオーバーヘッドが非常に少なく高速な実行が可能です。

    これは、リアルタイムシステムやリソースが限られている環境でのアプリケーション開発に特に重要といえます。

    また、C++はオブジェクト指向プログラミング(OOP)をサポートしているため、データと処理を組み合わせたオブジェクトを使用して、より整理された方法でプログラムを構築できます。

    オブジェクト指向のアプローチは大規模なソフトウェアプロジェクトの管理を容易にしてくれるので、再利用可能なコードを作成しやすくなります。

    C++のテンプレート機能は、ジェネリックプログラミングを可能にするので異なるデータ型で機能する関数やクラスを一つの定義で記述できるようにします。これによってプログラムの柔軟性が高まり、コードの重複を減らすことができます。

    さらに、C++は低レベルの操作をサポートしており、メモリ管理やハードウェア制御などシステムに近いレベルでのプログラミングが可能で、これはパフォーマンスが重要なアプリケーションやハードウェアと密接に連携する必要がある組み込みシステム開発において、C++を理想的な選択肢の1つとしています。

    具体的な活用例としてはゲーム開発が挙げられ、C++は高速な実行速度とグラフィック処理、物理シミュレーション、リアルタイムのインタラクションを要求するゲームエンジンの開発に広く利用されています。

    また、オペレーティングシステム、ブラウザ、データベース管理システムなどの多くの基盤技術もC++で書かれています。

    C++でできること

    C++は高いパフォーマンスと柔軟性から様々なアプリケーション開発に利用されています。

    ここでは、C++がどのように活用されているかについて具体的な例を挙げつつ解説していきます。

    高速なアプリケーション開発

    C++は、高速な実行能力を活かしてリアルタイムでの処理が求められる金融取引システムやビデオゲーム開発に広く利用されています。

    金融取引ではナノ秒単位での高速取引が求められ、C++はこの要求を満たすために選ばれます。

    例えば高頻度取引(HFT)システムは、市場の微細な変動を捉えて自動的に取引を行うために極めて高速な処理速度が必要とされます。

    また、ビデオゲーム開発では複雑なグラフィック処理や物理演算をリアルタイムで処理する必要があり、C++のパフォーマンスがゲームの応答性と没入感を高めるのに役立っています。

    システムソフトウェア開発

    オペレーティングシステム(OS)やデバイスドライバの開発においてもC++が重要な役割を果たしています。

    例えばMicrosoft Windowsは、コアコンポーネントの多くがC++で書かれています。

    C++はハードウェアに近い低レベルのアクセスを提供しつつ、オブジェクト指向の抽象化によって複雑なシステムの管理を簡便化します。

    Linuxカーネルの一部モジュールやシステムユーティリティもC++で開発されているので、効率性と柔軟性がシステムレベルのソフトウェア開発に適しているともいえるでしょう。

    デスクトップアプリケーション開発

    Adobe PhotoshopやMicrosoft Officeのような複雑なデスクトップアプリケーションは、C++で開発されています。

    これらのアプリケーションは高度な機能とユーザーインターフェースを提供しながらも効率的なパフォーマンスを実現する必要があります。

    C++は、QtやwxWidgetsといったクロスプラットフォームGUIフレームワークと組み合わせることで、開発者が一貫した利便性を提供しつつ、異なるオペレーティングシステム間でアプリケーションを簡単に移植できるようにできます。

    モバイルアプリ開発

    C++は、iOSやAndroidプラットフォーム向けのモバイルアプリ開発にも使用されています。

    特に、パフォーマンスが重要視されるモバイルゲームやリアルタイム処理を必要とするアプリケーションでC++が選ばれています。

    モバイルデバイスの限られたリソース内で最大限のパフォーマンスを引き出すため、C++の効率的なメモリ管理と高速な実行速度が鍵となっています。

    Webアプリケーション開発

    C++は、Webアプリケーションのバックエンド開発にも利用されることがあります。

    特に、データベースの操作やバックエンドのロジック処理において、高速な処理が求められる大規模サービスでの利用が見られます。

    C++で書かれたバックエンドは大量のユーザーリクエストを効率的に処理し、Webサービスのレスポンス時間を短縮することができます。

    データ分析

    大量のデータを扱うデータ分析や科学計算の分野では、C++の高速な処理能力が活かされます。

    例えば、気候変動のシミュレーションや遺伝子解析など膨大なデータセットを扱う研究では、C++で開発されたアルゴリズムが計算時間の短縮に役立っています。

    機械学習

    TensorFlowやPyTorchなどの機械学習フレームワークはバックエンドがC++で実装されているため、複雑な数学的演算を高速に処理し、機械学習モデルのトレーニング時間を大幅に短縮できます。

    C++の効率的な計算能力は、ディープラーニングの研究開発を加速させる重要な要素となっているでしょう。

    C++によるアプリケーション開発事例

    C++は高いパフォーマンス性を持っているため、多くの有名なアプリケーションやシステムの開発に利用されています。

    ここでは、Unreal EngineとGoogle Chromeについて、その開発背景とC++がどのように活用されているかについて具体的に見ていきましょう。

    Unreal-Engine

    Unreal EngineはEpic Gamesによって開発された強力なゲームエンジンで、その多くの部分がC++で書かれています。

    このエンジンは高度なグラフィックス、物理演算、AI、ネットワーク機能など、ゲーム開発に必要なあらゆる機能を提供しており、AAAタイトルからインディーゲームまでの幅広いジャンルのゲーム制作に利用されています。

    C++の性能の高さと拡張性は、Unreal Engineが提供するリアルタイムの高品質なグラフィックスレンダリングや複雑なゲームロジックの実装を可能にしています。

    また、Unreal Engineのソースコードへのアクセスが可能であるため、開発者はエンジンの機能をカスタマイズしたり新しい機能を追加したりすることができます。

    これによって開発者は自分たちの考えうる新たなユニークゲームを生み出すことが可能となっています。

    Unreal Engine

    Google Chrome

    Google Chromeは世界で最も広く使用されているWebブラウザの一つで、そのコア部分であるBlinkレンダリングエンジンはC++で書かれています。

    Chromeは高速なページ読み込み、安定した動作、セキュリティの強化に重点を置いており、これらの特性はC++の性能の高さと効率的なメモリ管理によって支えられています

    C++を使用することでGoogle Chromeは複雑なWebページを迅速に処理し、ユーザーに快適なブラウジング体験をお届けすることができます。

    また、Chromeの拡張機能やアプリケーションの開発にもC++が活用されており、ブラウザの機能を拡張することでより拡張性のあるWeb体験をユーザーに提供しています。

    Google Chrome

    C++を活用する際のポイント

    C++の活用においては、その強力な機能と柔軟性を最大限に引き出すためにいくつかの重要なポイントがあります。

    ここでは、C++を効果的に使用するための主要なポイントについて深掘りしていきます。

    基礎をしっかりと学習

    C++を学ぶ際には、基礎からしっかりと理解することが非常に重要です。

    C++はC言語の上に構築されており、オブジェクト指向プログラミングの概念を取り入れているため、データのカプセル化、継承、多態性などの強力な機能を利用することができます。

    例えばゲーム開発では、異なる種類のキャラクターやアイテムを表現するためにクラスの継承と多態性が活用されます。

    また、STL(Standard Template Library)のようなライブラリを理解して、コレクション、イテレータ、アルゴリズムなどを効率的に使用することで、開発の生産性を大幅に向上させることができます。

    基礎を固めることでC++の強力な機能を適切に活用できれば、より複雑で効率的なプログラムを作成することが可能になるでしょう。

    メモリ管理に注意する

    C++では開発者が直接メモリ管理を行う必要があり、これにはメモリの割り当てと解放が含まれ、不適切な管理はメモリリークや不正アクセスなどの問題を引き起こす可能性があります。

    例えば動的に割り当てたメモリ領域を適切に解放しないと、メモリリークが発生してアプリケーションのパフォーマンスが低下する原因となります。

    また、ポインタを使用する際には野生ポインタ(無効または不定のメモリ領域を指すポインタ)に注意し、常に有効なメモリ領域を指していることを確認する必要があります。

    さらにスマートポインタ(std::unique_ptrstd::shared_ptrなど)を使用することで、メモリ管理をより安全に行うことができます。

    スマートポインタはオブジェクトのライフサイクルを自動的に管理し、メモリリークのリスクを減らすことができます。

    デバッグツールを活用する

    C++で開発を行う際には、デバッグツールの活用が不可欠でしょう。

    C++のプログラムは複雑になりがちで、バグの特定が困難な場合が多々あります。

    Visual Studio、GDB、Valgrindなどのデバッグツールを使用することで、プログラムの実行フローをステップバイステップで追跡し、変数の値を監視することができます。

    これによってバグの原因を迅速に特定し、修正することが可能になります。

    また、Valgrindのようなツールを使用することでメモリリークや不正なメモリアクセスを検出し、プログラムの安定性を向上させることができます。

    効果的なデバッグプロセスを確立することで開発サイクルを短縮し、より高品質なソフトウェアを提供することができるようになるでしょう。

    C++を活用する上での注意点

    C++は強力な機能を持つ一方で、その利用にはいくつかの注意点があります。

    これらの注意点を理解して適切に対処することで、C++の機力を最大限に引き出すことができます。

    習得難易度が高い

    C++の習得は、他の多くのプログラミング言語に比べて難易度が高いとされています。

    これは、C++が提供する豊富な機能と低レベル操作へのアクセス、複雑なメモリ管理など、学習者が理解しなければならない概念が多いためです。

    例えばオブジェクト指向プログラミングの概念テンプレートメタプログラミングポインタと参照メモリ管理(動的メモリ割り当てと解放)、STL(Standard Template Library)など、これらのトピックは初学者にとっては特に難解といえます。

    新たにC++を学ぶ際には基本的な概念から始め、徐々に複雑なトピックへと進むことが重要です。

    また、実際のプロジェクトを通じて学んだ知識を適用し、理解を深めることも推奨されます。

    さらに、コミュニティやオンラインリソースを活用して疑問点を解消することも学習過程において非常に有効です。

    複雑なコードになりやすい

    C++の強力な機能は複雑なコードを書くことを可能にしますが、これが逆に読みにくく、保守が困難なコードにつながることがあります。

    特に、テンプレートやマクロ、複数の継承などの機能を過剰に使用すると、コードの理解とデバッグが難しくなる可能性があります。

    また、不適切なメモリ管理やポインタの誤用は、予期せぬ動作やセキュリティリスクを引き起こすことがあります。

    このような問題を避けるためには、コードの可読性と保守性を常に意識することが重要で、コードの再利用を促進するために関数やクラスを適切に分割し、過度な最適化や複雑な構造を避け、コード内で一貫したスタイルと命名規則を使用するのがよいでしょう。

    コンパイルエラーが発生しやすい

    C++のコンパイルエラーメッセージは、特にテンプレートを使用している場合に非常に複雑になりがちです。

    これは、テンプレートのインスタンス化の過程で発生する多数の階層とそれに伴うエラーメッセージが原因です。

    初心者にとっては、これらのエラーメッセージを解読して問題の根本原因を特定することは難しく感じるかも知れません。

    コンパイルエラーに効果的に対処するためには、まずは簡単なコードから始めて徐々に複雑さを増していくことをおすすめします。

    また、エラーメッセージを慎重に読み解きつつネットでの検索やコミュニティへの質問を通じて解決策を探ることや、現場での経験を積むことでより複雑なエラーメッセージにも対応できるようになります。

    まとめ:C++言語を使って自社の開発を加速させましょう

    本記事では、C++の基本から応用、具体的な開発事例に至るまでをその活用範囲とポテンシャルについて具体的に解説してきました。

    C++言語は、その高速性と柔軟性によって幅広い開発領域での活用が可能となっており、金融取引システムやビデオゲーム開発、オペレーティングシステム、デスクトップアプリケーション、さらにはモバイルやWebアプリケーション開発に至るまでの範囲に対応しています。

    多機能な言語である反面、初心者にとっては学習難易度が高めなため、段階を経て徐々に知識を蓄積させていくことをお勧めします。

    C++を扱えるようになれば、付随して同じようなオブジェクト指向言語のjavaなども扱いやすくなるようになるため、ぜひ基礎から学習してみることをおすすめします。

    今回のテーマであるプログラミング言語をはじめ、システム開発はJitera社の最も得意とする領域です。

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