デジタルアートからバーチャル不動産まで、NFT(Non-Fungible Token)はブロックチェーン技術を使ってオンラインの所有権のあり方について新しい風を吹かせています。
この記事では、NFTの基本からブロックチェーンとの深い関係、仕組み、そして多岐にわたる種類について具体的に解説していきます。
また、NFTの利用方法やメリット、導入時の注意点についても詳しく掘り下げていきますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。

食品商社営業からシステムエンジニアへと転職後、バックエンドエンジニア(Java, PHP)として尽力。開発リーダーを含む上流工程〜下流工程に携わる。IT関連記事から芸能・法律など幅広ジャンルにて執筆。
NFTとは何か?ブロックチェーンとの基本的な関係
非代替性トークン(NFT)は、デジタル資産の独自性と所有権を保証する技術です。
ブロックチェーン技術を基盤として、NFTはデジタルアート、音楽、ゲーム内アイテムなど、あらゆる形のデジタルコンテンツの一意性と希少性を確立しています。
ここでは、NFTがブロックチェーン上でどのように機能するのか、そしてブロックチェーンとNFTの間の基本的な関係性についてを掘り下げていきます。
NFTとはブロックチェーン上で何を表す?
NFTまたは非代替性トークンは、ブロックチェーン上での一意のデジタル資産を表しています。
これは、デジタルアート作品、音楽ファイル、ビデオクリップ、ゲーム内アイテム、ツイートやデジタル不動産までのあらゆる形のデジタルコンテンツを含むことができます。
NFTの重要性は「非代替性」という特徴にあり、これは各NFTが独自のメタデータと識別情報を持っているので他のどのトークンとも異なることを意味しています。
この一意性によってデジタルコンテンツの希少性が保証されるため、クリエイターやアーティストは自身の作品の真正性と所有権をデジタル世界で確立できます。
ブロックチェーンは取引の記録を分散型のデータベースに保存する技術であり、改ざんが困難な取引の記録を保持していますが、NFTの生成、取引、および所有権の追跡に不可欠となります。
この技術によりNFTの所有権情報や取引履歴が安全に保存されて公開された結果、NFTの所有者は自分がそのアセットの正当な所有者であることを確実に証明できるようになります。
ブロックチェーンとNFTの違いとは?
ブロックチェーンとNFTはお互いに関連していますが、根本的には異なる概念といえます。
ブロックチェーンはデータの分散型記録システムまたは技術のフレームワークを指しており、NFTはその上で生成される特定のタイプのデジタル資産を指しています。
ブロックチェーンは、NFTを含むあらゆる種類のデータやトランザクションの安全な記録を提供する基盤技術です。
一方、NFTはブロックチェーン技術を使用して作成されるデジタルアセットであり、独自の所有権情報を持っているので交換可能な他のアセット(例えばビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨)とは異なります。
ブロックチェーンは、NFTだけでなく仮想通貨やスマートコントラクトなどのさまざまなデジタル資産やアプリケーションの実行に使用される技術プラットフォームです。
NFTはこのプラットフォーム上で特定の用途に使用されるアプリケーションの一例に過ぎず、ブロックチェーンは道路のようなもののため、NFTはその道を走る車の一台と考えることができます。
ブロックチェーンとNFTの関係性
ブロックチェーンとNFTの関係性は、ブロックチェーンがNFTが存在することを可能としておりNFTの機能を発揮するための基盤となっている関係です。
ブロックチェーンは、NFTの生成、保管、取引を安全かつ透明に行うためのプラットフォームを提供していますが、NFTはブロックチェーン上に永続的に記録され、その一意性、不変性、および所有権の証明を保証することができます。
そのため、デジタルコンテンツの所有権を確実に証明できるので、これからのデジタルコンテンツ1つ1つにも価値が見出されます。
ブロックチェーン技術によってNFTは世界中の誰もがアクセスできる分散型ネットワーク上で安全に取引されるため、アーティストやコンテンツのクリエイターなどは中間者を介さずに作品を直接販売でき、購入者は作品の真正性を確認できるため安心して取引できるようになります。
NFTの仕組みと種類
非代替性トークン(NFT)によってブロックチェーン技術を活用し、デジタルアイテムの所有権を証明しすることで一意性を保持できるようになりました。
ここではNFTの基本的な仕組みとその多様な種類について掘り下げていき、NFTとメタバースとの関連性についても具体的に解説していきます。
NFTの基本的な仕組み
NFTは、ブロックチェーン上で一意のデータとして記録されるデジタルアセットで、各NFTには作成者、所有者、取引履歴などの情報が含まれており、これらの情報はブロックチェーンに不変の記録として記録されていきます。
ブロックチェーン技術の特性上これらの情報は改ざんが困難であり、NFTの信頼性と透明性を保証するものとなっています。
NFTの作成(ミンティング)プロセスでは、デジタルアイテムをブロックチェーン上に登録してそれを一意のトークンとして発行していきます。
この作業はスマートコントラクトを介して自動化されており、アーティストやコンテンツのクリエイターは自身の作品をデジタル世界で唯一無二のアイテムとして証明することができるようになります。
活用例としてはデジタルアートの分野が特に注目されており、アーティストは自分の作品をNFTとしてミンティングし、オンラインマーケットプレイスで販売することができるなどがあります。
購入者はその作品の正当な所有者としての権利をブロックチェーン上で証明された形で取得することによって、デジタルアートの価値を確立して、アーティストの収益源として機能させることが可能となります。
主なNFTの種類とそれぞれの特徴
NFT(Non-Fungible Token)はブロックチェーン技術を活用してデジタルアセットの所有権を証明する一意のトークンのことです。
その適用範囲は広く、アートからゲーム、バーチャル不動産まで多岐にわたっています。
ここでは主なNFTの種類とそれぞれの特徴を具体的な活用例を交えて解説していきます。
アートNFT
アートNFTは、デジタルアート作品の所有権を証明するために使用されており、アーティストは自分の作品をNFTとしてミント(発行)し、それをオンラインで販売することができます。
この過程はアーティストにとって新たな収益源を作り出してくれるため、デジタルアートの価値を高めるものとなっています。
例えばビープル(Beeple)の作品「Everydays: The First 5000 Days」は、アートNFTとして6900万ドルで販売され、デジタルアートの価値を世界に示すことができました。
このようにアートNFTはアーティストとコレクターの間で直接取引が可能であり中間業者を介さないため、アーティストにより多くの収益が還元される特徴があります。
コレクティブルNFT
コレクティブルNFTは限定版のデジタルコレクタブルアイテムとして発行され、これにはトレーディングカード、キャラクター、スポーツ選手のカードなどが含まれています。
NBA Top ShotはバスケットボールのハイライトをコレクティブルNFTとして販売するプラットフォームであり、ファンはお気に入りの選手などを所有する新しい方法となっています。
これらのNFTは、希少性とファンの熱量(人気度合い)に基づいて価値が決定されるため、熱狂的な市場を形成しているといえるでしょう。
ゲームNFT
ゲームNFTはビデオゲーム内で使用されるアイテムやキャラクター、土地などを指し、これらはプレイヤーによって購入、販売、交換が可能となっています。
「Axie Infinity」は、プレイヤーがNFTとして自分のクリーチャーを育成して戦わせることができるブロックチェーンベースのゲームですが、それぞれのアイテムなどはプレイヤー間での取引が可能となっています。
このようなゲームNFTはプレイヤーがゲーム内で獲得したアイテムの実際の所有権を持つことを可能にしてくれるので、デジタル資産としての価値を持つようになっています。
デジタルアセットNFT
デジタルアセットNFTは、音楽、ビデオ、電子書籍など、あらゆる形式のデジタルメディアを指し、これらのNFTはクリエイターが自分の作品の配布と収益化を直接管理できるようにしてくれます。
例えば音楽家は自分の楽曲をNFTとして販売し、ファンはその楽曲の限定版所有権を得ることができます。
これによってクリエイターは中間業者を介さずに収益を上げることができ、ファンはアーティストを直接サポートすることができるというWin-Winな関係を生み出すことが可能となっています。
バーチャルランドNFT
バーチャルランドNFTは、メタバース内の仮想土地や不動産を指し、所有者はその土地上でビジネスを展開したり、イベントを開催したりすることができます。
例えば「Decentraland」は、ユーザーがバーチャルランドを購入し、自分だけの空間を構築できるメタバースプラットフォームです。
バーチャルランドNFTはデジタル世界での不動産投資としての役割を果たしているため、新たな経済活動の場ともなりつつあります。
NFTとメタバースの関連性
NFTとメタバースは、デジタルの世界の新たな可能性をもつ技術として密接に関連しているといえるでしょう。
メタバースは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を活用した没入型のデジタル空間を指しており、NFTはその中で利用できる所有権などを指しています。
例えばメタバース内での不動産取引ではバーチャルランドNFTが重要な役割を果たしていて、ユーザーはメタバース内で土地を購入してその土地上でビジネスを展開したり、イベントを開催したりすることができます。
メタバース上でオリジナルのデジタルコンテンツがユーザー間のみで取引されるため、メタバース空間の認知と発展が増大すればNFTへの認知・発展へと繋がり、よりデジタルの世界における資産の流通が活発化していくと考えられます。
NFTの利用方法とメリット
NFT(Non-Fungible Token)はブロックチェーン技術を活用して独特のデジタルアセットを作成して、その所有権を証明する手段です。
この技術は、アート、音楽、スポーツ、ゲーム、そしてメタバースなど、多岐にわたる分野で利用されていますがNFTの利用方法は多様で、それぞれの分野で独自のメリットを提供しています。
ここではNFTの具体的な利用方法と活用事例、そしてNFTを活用することのメリットについて解説していきます。
NFTの利用方法と活用事例
音楽NFTの事例
音楽業界ではNFTがアーティストにとって新たな収益源となり始めています。
例えばアーティストのグライムスは自身の音楽とビジュアルアートを組み合わせたNFTを販売し、わずか20分で約600万ドルの収益を上げました。
音楽NFTはアーティストが直接ファンに作品を販売できるため、中間業者を介さずに収益化できる点が大きなメリットです。
また、限定版リリースや特典付きのコンテンツ提供により、ファンとの新たなつながりを築くことも可能になります。
スポーツNFTの事例
スポーツ分野では、NBA Top Shotが大きな成功を収めています。
このプラットフォームではバスケットボールのハイライトシーンをNFTとして販売し、ファンはお気に入りのプレイヤーやその決定的瞬間を所有することができます。
NBA Top Shotはその存在によってスポーツのエキサイティングで決定的な瞬間を永遠に保存することができるようになったので、その一瞬一瞬に価値をつけて交換することを可能にしました。
スポーツNFTはファンが直接選手やチームをサポートできる手段としても機能するため、スポーツ業界におけるファンエンゲージメントを高めているといえます。
NFTを活用するメリット
NFTを活用することには多くのメリットがあります。
まず、NFTはデジタルアセットの希少性と所有権を保証してくれます。
ブロックチェーン上での記録は改ざんが困難でアセットの真正性と独自性を保証することができるため、アーティストやコンテンツのクリエイターは自身の作品の価値を高めて、適正な収益を得ることが可能になります。
また、NFTはグローバルな市場での取引を可能にしてくれます。
インターネットに接続できる環境があれば世界中のどこからでもNFTを購入・販売することができ、アーティストやコンテンツのクリエイターは地理的な制約を超えて作品を展開でき、より広いオーディエンスに届けることが可能になります。
さらに、NFTは新たなファンとの繋がりの形を実現してくれます。
限定版のリリースや特典付きNFTの提供を通じて、ファンであれば限定ものや自分しか所有していないなどの所有欲をより強く満たすことができるきっかけとなるため、これまでは難しかったファンとの深い関係を築くことができ、それぞれがWinWinの関係となることができます。
これは、アーティストやブランドにとっては長期的なロイヤリティを確保するための有効な手段の1つとなり得るでしょう。
NFTの導入における注意点と解決策
NFT(Non-Fungible Token)の導入は、アート、音楽、ゲーム、不動産など多岐にわたる分野であらゆる可能性を秘めていますが、その導入にはいくつかの注意点があり、適切なリソースや体制の確保が必要となり、技術的、法的、市場に関する問題点に対する理解と対処法を知ることも重要となるでしょう。
ここでは、NFT導入の際の主な注意点と解決策について具体的に解説していきます。
NFT導入に伴うリソースや体制の確保方法
NFTプロジェクトを活用しようとする場合は、適切なリソースと体制の確保が大切です。
NFTを理解してその価値を最大化するためには、ブロックチェーン技術に精通した専門家や開発者の確保が不可欠で、NFTプロジェクトは多様なスキルが要求されるため、マーケティング、法務、デザインなど異なる分野の専門家をチームに組み込むことが重要となります。
この解決策としては外部の専門家やコンサルタントを活用することが有効ですが、他にも社内での研修やワークショップを定期的に実施し、従業員のNFTおよびブロックチェーン技術に関する知識と理解を深めるなども実施できるでしょう。
さらに、NFTプロジェクトに特化したプラットフォームやツールを活用することで開発や運用の効率化を図ることができるようになります。
NFT導入における問題点とその対処法
NFT導入にはいくつかの問題点が存在しますがその一つが、著作権や知的財産権の問題です。
NFTによるデジタルアセットの販売や流通は、既存の著作権法に新たな課題を作り出しているのも事実です。
そして、市場の不透明性や価格のボラティリティも投資家やクリエイターにとって大きな問題となり得ています。
これらの問題に対する対処法としてはまず、法的な側面について専門家のアドバイスを受けることが重要となります。
NFTの発行や販売に関連する法的リスクを事前に把握して適切な契約書の作成や利用規約の設定を行うことで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
また、市場の透明性を高めるためにNFTの発行元や取引履歴を公開し、ユーザーに対して十分な情報提供を行うことも重要となります。
ブロックチェーンとNFTのまとめ
この記事では、NFTの基礎からブロックチェーンとの関係、仕組み、種類に至るまで解説してきました。
NFTはデジタル所有権という概念を実現させることができるため、ブロックチェーン技術を駆使して幅広い分野で活用されています。
これまで利益が還元されることの少なかったミュージシャンや芸術家、その他コンテンツのクリエイターにとってはこの動きが活発化していくことに期待する声も多い一方で、まだまだ世間に浸透していくにはその仕組みと理解を得るのに時間がかかる領域でもあります。
しかし、NFTは今後さらに発展していく市場であることは間違いないため、早い段階で知識を溜めていき今からでも活用していくのはおすすめと言えるでしょう。
今回のテーマであるNFTをはじめ、ブロックチェーンや仮想通貨など疑問やお問い合わせ等ある方は、Jitera社の得意とする領域ですので、Jitera社へ一度ご相談してみてはいかがでしょうか。