人気と知名度が高いプログラミング言語の一つである「C言語」は「C++」や「C#」などのプログラミング言語と比較されることが多いです。プログラミング言語に詳しくない人からすると、「どれも同じじゃないの?」「1つの学習法で3種類習得できそう…」なんて思われるかもしれません。
実はC言語とC++、C#はそれぞれ特徴や用途が異なります。そこで今回は、C言語とC++とC#の違いについて、それぞれの特徴や用途、メリットについて解説し、比較を行っていきます。
C言語やC++、C#はいずれも日本における需要が高く、習得することでエンジニアとしての市場価値の向上を期待できます。エンジニアとしてのスキルアップを目指したい方や、C言語やC++、C#の習得を目指している方、それぞれの特徴について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
新潟県出身。都内の某大学を卒業後、IT企業に就職。システム開発業務や運用保守業務に携わる。趣味は旅行と食事。写真は広島に旅行に行った際に食べたお好み焼き。
C言語とは何か?
C言語は世界的な人気が非常に高いプログラミング言語の一つです。C言語を習得することで、C++やC#の学習も有利に進めることが可能となります。
まずは、そんなC言語の特徴や用途、メリットについて解説します。C言語について詳しく知りたい方は、こちらの内容を参考にしてみてください。
C言語の特徴
C言語は1972年にアメリカで開発された歴史の深いプログラミング言語です。非常に汎用性が高く、システム開発や、ソフトウェア開発・ゲーム開発・ハードウェア開発など、様々な現場で活用することができる、いわば「万能言語」にあたるプログラミング言語であるとされています。
プログラミング言語の歴史そのものとも言えるC言語は、現在OSのルーツにもなった「Unix」と共に成長を遂げます。Unixは従来の複雑で負担の大きい開発環境を改善するために誕生したミニコンピューター用のOSでした。生産性が高く、多くのエンジニアの注目を集めたUnixは、実はC言語によって構成されています。
現在のMac OSやLinuxは、Unixの技術を受け継いで誕生したOSです。そんなOSの起源ともいえるUnixを生み出したC言語は、瞬く間に世界中へと普及し、一躍人気のプログラミング言語となりました。
現代でもC言語の影響力は凄まじく、C++やC#、そしてapple社がObjective-Cもまた、C言語がルーツとなったプログラミング言語です。C言語自体の人気も高く、プログラミング言語の人気ランキングで示したサイトの「TOBIE Index」では、2024年2月現在、C言語は世界で2番目にユーザーが多い言語であることが明らかになりました。
今後もC言語は高いニーズと人気を維持し続けると予想されます。
参照:TOBIE Index
C言語の用途
C言語は汎用性が高いプログラミング言語なので、既存システムの運用保守だけでなく、広範囲な最先端分野においても採用されています。具体的にはシステム開発や、ソフトウェア開発・ゲーム開発など、幅広い分野で活用されています。
C言語では、企業の基幹業務、根幹業務を管理するシステムである、基幹システムの開発を行うことができます。C言語の安定性や処理速度の速さは基幹システムの開発に適していると言われています。システム開発に関わる現場に参画する際は、C言語の習得を目指す必要がある場合もあるでしょう。
また、WindowsやMac、LinuxなどのOSにもC言語の技術が活用されています。Windowsのメモ帳や「Chrome」「Safari」などのブラウザ、「MySQL」などは、C言語によって作られたものです。
さらに、ゲーム開発においてもC言語は活用されており、世界的な人気を博す「スーパーマリオブラザーズ」シリーズでも、開発初期にはC言語が用いられました。軽量で高速なプログラムを作ることができるC言語は、ゲーム開発にも適しています。現在は、C言語を軸に誕生したC++やC#がゲーム開発に用いられています。
C言語のメリット
汎用性が高く品質の良いC言語には以下のようなメリットがあります。
- 柔軟な開発を実現できる
- 異なるOSへの移植も簡単
- 他言語への互換性が高い
C言語は自由度が高いプログラミング言語です。C言語を習得することで、ソフトウェアからハードウェア、ゲーム開発に至るまで様々な開発に関わることができるようになります。また、JavaやRubyなどのプログラミング言語の動作環境もC言語で書かれているので、C言語を理解すればOSや言語の仕組みがわかるようになります。
また、C言語は、標準規格がANSI(米国国家規格協会)によって制定されています。ANSIの標準規格に則って書かれたプログラムは、様々なOSで動作するため、開発の途中で別のOSに移植する際も問題なく実行することができます。
さらに、C言語はC++やC#、Objective-Cなどの他言語との互換性が高い点も特徴の一つです。C言語を習得することで、他言語の学習をスムーズに進めることができます。複数のプログラミング言語を使いこなしたいとお考えの場合は、ぜひC言語を最初に学習してみてはいかがでしょうか。
C++とは何か?
C言語と混同してイメージされやすいプログラミング言語の一つが「C++」です。C言語とC++は名称が非常に似ているものの、その特徴や用途は異なります。
ここでは、C++について解説いたします。C++について詳しく知りたい人はぜひ参考にしてみてください。
C++の特徴
C++は、C言語を機能拡張したプログラミング言語で、略して「シープラプラ」または「シープラ」と呼ばれます。C++は、C言語にオブジェクト指向を加え、より効率よくプログラミングできるように作られました。
オブジェクト指向とは、オブジェクトを作成し、操作することによってコンピュータを動かすプログラミングの手法を指します。汎用性が高く、品質が高いC言語にオブジェクト指向を加えたことで、よりシステム開発の性能を高めることに成功しました。
C++の前身である「C with Classes」は1979年に開発されました。その後名称がC++に変更されたのは1983年のことです。C言語の拡張バージョンとして開発されたC++は、意外にも長い歴史を持っています。プログラミング言語の人気ランキング「TOBIE Index」では、C言語に次いで3番目にランクインしており、その人気の高さを証明しています。
ランキングの入れ替えが変動する中でも、C++は常にトップ10の地位を保っていることから、高い人気を獲得していることが分かります。
C++の用途
C++には、複数の種類があります。代表的なC++の種類としては、「Borland CC++(ボーランドシープラスプラス)」や「Visual C++(ビジュアルシープラスプラス)」が挙げられます。それぞれの種類の特徴によって、得意な開発分野が異なります。
Borland CC++はアメリカのボーランド社が開発したC++です。公式サイトから無料でダウンロードすることができるため、手軽に使用開始することができます。また、機能解説や動作環境についても公式サイトから確認することができるため、C++初心者の方でも挑戦しやすいのではないでしょうか。
Borland CC++はスマートフォンアプリやゲームの開発に活用されることが多いです。初心者でも使用しやすい仕様なので、ゲーム開発の経験が無い方にもおすすめのプログラミング言語となっています。
Visual C++は、Microsoft社が提供している統合開発環境です。現在はVisual Studioの一部として提供されています。Visual C++は、WindowsやWebアプリ、iOSとAndroid、クラウドサービスなどのアプリ構築環境を整えるために用いられます。C++を用いたパソコンのアプリ開発には欠かせない存在となっています。
ほかにもC++は、大規模業務システムや公共機関のシステムの開発などを担当します。C言語と同じく、汎用性が高く、様々なシーンで活用されているプログラミング言語であることが分かります。
C++のメリット
C++を活用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- クラス機能がある
- オブジェクト指向である
- 例外処理ができる
- フレームワークが多い
C言語には、データ構造の定義をするために使われている「struct」という機能があります。structをもとに開発されたのがC++で用いられているクラス機能です。クラス機能を活用することで、構造体と関数を一度に管理できるようになりました。
また、C++はオブジェクト指向を取り入れたプログラミング言語です。オブジェクト指向を取り入れたことで、よりシステム開発に特化した性能を獲得することに成功しています。様々なプログラミング言語が誕生した現在も、オブジェクト指向を取り入れたC++は第一線で活躍しています。
さらにC++では例外処理をすることが可能です。例外処理を実施することで、特定のエラーが発生した際に、エラー発生用の処理が自動で行われます。C言語でもエラーが発生した際には、戻り値として特定の数値を設定することでエラーが検出することができますが、検出性能としてはC++の方が優秀であると言われています。
また、C++は対応するフレームワークの種類が多いことも特徴の一つです。C++専用のフレームワークとしては「Qt」「TreeFrog Frameworkg」「Crow」などが挙げられます。フレームワークを活用することで、より効率的に業務を進めることが可能となります。
フレームワークを活用することで、開発するシステムやアプリのクオリティを一定以上に引き上げることも可能なので、C++を活用する際は、ぜひフレームワークについても調べてみてください。
C#とは何か?
C++と同じく、C言語と混同されやすいプログラミング言語の一つに、「C#」があります。実は、C#はC言語とはほとんど関係のないプログラミング言語なのです。
ここでは、C#の特徴や用途、メリットについて解説します。C#について知りたい方は、ぜひこちらの内容を参考にしてみてください。
C#の特徴
C#はMicrosoft社が2000年に開発したプログラミング言語です。同じく「C」が付く人気の高いプログラミング言語ということで、C言語との関連性をイメージされやすいのですが、実はC#の誕生には、C言語はほとんど関係がありません。
C#はC言語ではなく、C++をベースに開発されたプログラミング言語です。C++自体がC言語の機能を拡張したバージョンなので、まったく無関係であるとは言い切れませんが、C#の開発にあたり、参考にしたのはC++とJavaであると言われています。
C++とJavaの長所を取り入れたC#には、C言語やC++との互換性がありません。C言語とC#のように一緒に使うことができないので、注意が必要です。
また、C言語やC++のようにハードウェアの開発には適していませんが、Microsoft社が開発したプログラミング言語なので、Windowsアプリケーションなどのソフトウェア開発や、Webアプリ開発には最適です。検索エンジンの「Bing」や、Microsoft社の公式サイトは、C#を用いて開発されています。
加えて、C#はMicrosoft社が積極的に開発を続けているため、様々な新機能を活用できる点もメリットの一つです。
C#の用途
C#は、C言語やC++と同じように汎用性が高く、様々な開発に用いられます。アプリ開発や業務システムなどに活用されており、活躍の機会が多いプログラミング言語であると言えます。
また、C#はゲーム開発の現場で活用されることが多いです。ユニティ・テクノロジー社が開発しているゲーム専門の開発環境「Unity」を使用することで、C#を用いてゲーム開発を行えます。
Unityにおいては、「C#スクリプト」と呼ばれるC#を使用する専門の箇所があり、C#を使用して動作や処理を実装することが可能です。MacやWindows、PlayStation4などの主要なゲームハードで動作するゲームを作ることができるため、本格的なゲーム作成を行いたい人にとって、C#の習得は欠かせません。
C#のメリット
C#を活用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- オブジェクト指向である
- 汎用性が高い
- ライブラリが豊富
C#はC++と同様に純粋なオブジェクト指向のプログラミング言語です。C#を用いて開発を行うことで、オブジェクト指向言語であることから完成品のカスタマイズがしやすくなり、仕様変更への柔軟な対応が可能となります。
オブジェクト指向の開発では、開発者一人ひとりが多数のパーツによって構成されるコンテンツを細部に至るまで十分に把握しており、構造について理解を深めながら業務を進めるため、業務効率の向上を実現しやすいという特徴もあります。
また、C#はWindows、Mac、Android、iOSなど数多くのプラットフォームに対応可能なので、幅広い内容の開発に活用することも可能です。システム開発やアプリ開発、ゲーム開発など、様々な分野の開発に携わりたい方には、C#の習得をおすすめします。
さらに、C#は対応するライブラリの種類も豊富です。代表的なライブラリとしては、「JSON.NET」「NLog」「moq」などが挙げられます。ライブラリを使用することで、効率的でスムーズな開発を実現することも可能です。C#を習得する際は、対応するライブラリについても調べてみてください。
C言語とC++とC#の比較
C言語とC++、C#はそれぞれ名称が似ていることからイメージが混同しやすい傾向にあります。それぞれの特徴を正しく把握することで、開発に最適なプログラミング言語を選択することができるようになります。
ここでは、C言語とC++、C#を比較した結果について解説します。各プログラミング言語の違いについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
C言語 | C++ | C# |
オブジェクト指向なし | オブジェクト指向あり | オブジェクト指向あり |
C++と互換性あり | C言語と互換性あり | 互換性なし |
業務システム/組み込みシステムなどの開発に利用 | 業務システム/組み込みシステム/ゲームなどの開発に利用 | パソコンアプリ/ゲームなどの開発に利用 |
C言語とC++
コンパイル型の汎用プログラミング言語であるC言語は、誕生から現在に至るまで、その品質の高さから多くの人気を獲得しています。そんなC言語をベースに開発されたプログラミング言語がC++です。
C++はC言語にオブジェクト指向を加えたプログラミング言語です。誕生以来、システム開発に特化した性能が多くのエンジニアに愛されています。ただし、言語構造はC言語と比べても難解になっているため、習得難易度は高まります。
また、クラス機能や例外処理の機能が導入されたことで、より明確で効率的な開発を実現しました。一見すると、機能が高いC++の方が使い勝手が良さそうですが、実際にはC言語も同等以上のニーズを獲得しています。
汎用性が高く、品質の良いC言語は、幅広い分野の開発に用いることも可能なので、学習コストが低く、効率的にスキルアップを目指せます。エンジニアとしての市場価値を高めたい人は、C言語から学習を進めることもおすすめです
C++とC#
C#はC++をベースに生み出されたプログラミング言語です。そのため、名称は似ていますがC言語との直接的な関係はありません。
C++とC#は文法や構文は酷似していますが、まったくの別系統であり、相互の関連性は薄いと言えます。「C#からC++の関数を呼ぶ」「C#からC++(DLL)に配列を渡す」というように、工夫をすることで両者を結び付けることはできますが、互換性のあるC言語とC++のように、手軽に両方を同時に使用することは難しいです。
また、C++は比較的大規模な業務システム開発や、IoT用ソフトウェア開発など、速度や効率が重視される開発で用いられることが多いのに対し、C#はゲーム開発分野やWindowsアプリの開発にて主に活用されます。携わる案件によって使用言語を変えることもできます。
どれから学ぶべきか?
C言語やC++、C#はいずれも人気の高いプログラミング言語です。現在でも多くの現場で使用されているため、スキルの取得を目指す人も少なくないはずです。
ここでは、C言語やC++、C#の学習を検討している人に向けて、どの言語から学習すべきかについて解説します。それぞれの言語のうち、どの言語から学ぼうか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
C言語がおすすめの人
C言語は汎用性が高く、クオリティの高いプログラムを設計できることから、開発から50年ほどが経過した現在でも、多くの現場で活用されています。また、様々なプログラミング言語のルーツとなっていることから、C言語を学ぶことでほかの言語の構文や文法を理解しやすくなるという特徴があります。
C言語は、エンジニアとして様々な種類のプログラミング言語を習得したいと考えている人に習得をおすすめします。C言語をルーツとするC++や、そんなC++をルーツをするC#も、事前にC言語を学習しておくことで、スムーズな習得を目指せます。効率的に学習を進めたい人には、C言語から学習することがおすすめです。
C++がおすすめの人
C++は、スマホアプリや業務システム、Webアプリケーションなどの開発に利用されるプログラミング言語です。なかでも、大規模で効率とスピードが重視される開発との相性が良く、業務システム開発やIoT用ソフトウェア開発などでも専用のプログラミング言語として用いられることが多いです。
そのため、大規模な開発に関わりたいと考えている人がC++の学習に向いていると言えます。ただし、オブジェクト指向が取り入れられていたり、メモリやCPUなどのハードウェアの知識が重要になるため、習得難易度は高めです。プログラミング初心者の場合は、習得までに時間を要することも考えられます。
C#がおすすめの人
C#は、C++をベースに作られたプログラミング言語であるものの、C言語やC++との互換性はなく、独自性のあるプログラミング言語となっています。
C++を用いて開発できるものとしては、ゲームやWindowsアプリなどが挙げられます。ゲーム開発分野については、開発環境のUnityを用いることで、MacやWindows、PlayStation4などの環境で使用可能なゲームを作ることも可能です。
C#はゲーム開発やアプリ開発に関わりたいとお考えの方におすすめです。VRやMR、ゲームハードの発達により、ゲーム開発分野は今後もニーズを拡大することが予想されます。希望の分野でスキルを伸ばしたい方は、ぜひC#の習得を目指してみてください。
C言語とC++とC#のまとめ
今回は、C言語やC++、C#の違いやそれぞれの特徴、習得するメリットについて解説しました。
C言語は開発から50年あまりが経過した歴史あるプログラミング言語ですが、現在に至るまで高いニーズを維持し続けています。そんなC言語をルーツとして誕生したC++やC#もまた、高い人気を獲得しているプログラミング言語の一つです。
C言語やC++、C#を習得することで、幅広い業務に対応することも可能となります。エンジニアとしての市場価値を高めたい人は、ぜひ学習を進めてみてください。
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