「システム開発をしたいけれど、社内にリソースや体制がない…」
そうお悩みの、ベンチャー中小企業の代表・オーナー・情報システム部担当者の皆さま。
そんな皆さまにおすすめしたいのが、クロスプラットフォーム開発ツール「Flutter」です。
この記事では、Flutterの基本から環境構築方法、メリット・デメリット、活用事例までを解説します。
ぜひ、Flutterを活用して、システム開発の課題を解決しましょう。

『IT活用で業務を効率化させる!』がテーマ。 とある企業でITエンジニアとして10年以上お仕事をしています。 ITを活用して業務を効率化させたい、生産性を向上させるため日々勉強中。
Flutterとは何か?
まずは、Flutterとは何か。Flutterの基本概念と特徴について、解説します。
Flutterとは、Googleが開発したオープンソースのモバイルアプリ開発フレームワークです。
2018年にリリースされて以来、急速に普及しており、現在では世界中の多くの企業や個人がFlutterを使ってアプリ開発を行っています。
Flutterの基本概念
Flutterのアプリは、以下の3つの基本概念に基づいて構築されます。
- ウィジェット
- 状態管理
- フレームワーク
ウィジェット
Flutterのアプリは、ウィジェットという部品を使って構築されます。ウィジェットは、UI要素(ボタン、テキストボックス、画像など)や、アプリの状態を管理するロジックです。
ウィジェットは、親子関係で構成されます。親ウィジェットは、子ウィジェットを配置し、子ウィジェットは、親ウィジェットから受け継いだ情報を元に、画面に描画されます。
Flutterには、さまざまなウィジェットが用意されており、ウィジェットはカスタマイズすることも可能です。
状態管理
Flutterのアプリは、状態管理によって、アプリの状態を管理します。状態管理とは、アプリの状態を、一元的に管理する仕組みです。
状態管理を行うことで、アプリの状態を簡単に管理することができ、アプリの動作をより一貫したものにすることが可能です。
Flutterでは、さまざまな状態管理の方法があります。その中でも、ProviderやRiverpodなどのライブラリがよく利用されています。
フレームワーク
Flutterは、モバイルアプリ開発用のフレームワークです。
フレームワークとは、アプリ開発の基盤となる仕組みや機能を提供するものであり、Flutterでは、ウィジェットや状態管理、レンダリングなどの機能を提供しています。
Flutterのフレームワークは、以下のような機能を提供しています。
- ウィジェット
- 状態管理
- レンダリング
- プラットフォームネイティブなUI
- マルチプラットフォーム
Flutterの特徴
Flutterは、以下の3つの特徴を備えています。
- 高速な開発
- 美しいUI
- クロスプラットフォーム対応
高速な開発
Flutterは、独自の描画エンジンを使用しているため、高速で滑らかなパフォーマンスを実現できます。
これは、特にユーザーの操作に対する反応速度が重要なアプリ開発において、重要な要素となります。
フレームワークの描画エンジンは、Flutterの独自の描画エンジンです。この描画エンジンは、フレームごとに必要な部分のみを描画する「レンダリングオンデマンド」という手法を用いています。
そのため、画面の変化が少ない場合は、描画の処理を省略して、高速なパフォーマンスを実現することができます。
美しいUI
Flutterには、豊富なウィジェットとデザインオプションが用意されています。
これらのウィジェットやデザインオプションを利用することで、さまざまなデザインのアプリを開発することができます。
Flutterのウィジェットは、StatelessWidgetとStatefulWidgetの2種類に分けられます。
StatelessWidgetは、状態を持たないウィジェットです。一方、StatefulWidgetは、状態を持つウィジェットです。
StatelessWidgetは、状態を持たないため、比較的シンプルなウィジェットです。
一方、StatefulWidgetは、状態を持つため、より複雑なウィジェットを作成することができます。
クロスプラットフォーム対応
Flutterは、単一のコードベースでAndroid、iOS、Webのアプリを開発できます。
そのため、リソースや体制が限られた企業や個人でも、効率的にアプリ開発を行うことができます。
Flutterの入門
ここでは、Flutterの開発環境を構築する方法について必要なソフトウェアのインストールからプロジェクトの作成までの手順を解説していきます。
また、Flutterで使用するDart言語についても解説していきます。
環境構築方法
Flutterの開発環境を構築するには、以下のソフトウェアをインストールする必要があります。
- Dart SDK:Flutterのプログラミング言語であるDartの実行環境
- Flutter SDK:Flutterの開発ツール
- Android StudioまたはVS Code:Flutterの開発に使用するエディタ
Dart SDKのインストール
Dart SDKは、Dartの公式ウェブサイトからダウンロードできます。ダウンロードしたインストーラーを実行して、インストールしてください。
Flutter SDKのインストール
Flutter SDKは、Flutterの公式ウェブサイトからダウンロードできます。ダウンロードしたインストーラーを実行して、インストールしてください。
Android StudioまたはVS Codeのインストール
Android StudioまたはVS Codeは、いずれも無料でダウンロードできます。
インストール方法は、それぞれの公式ウェブサイトを参照してください。
プロジェクトの作成
Flutterのプロジェクトを作成するには、Android StudioまたはVS CodeでFlutterプロジェクトを作成する機能を使用します。
Android Studioでプロジェクトを作成する場合は、以下の手順に従います。
1. Android Studioを開きます。
2. メニューの「ファイル」→「新規」→「プロジェクト」を選択します。
3. 「Flutter」を選択して、プロジェクト名や保存場所を入力します。
4. 「次へ」をクリックします。
5. ウィジェットの種類を選択します。
6. 「完了」をクリックします。
VS Codeでプロジェクトを作成する場合は、以下の手順に従います。
1. VS Codeを開きます。
2. メニューの「ファイル」→「新規」→「プロジェクト」を選択します。
3. 「Flutter」を選択して、プロジェクト名や保存場所を入力します。
4. 「作成」をクリックします。
Flutterに使用するDart言語とは
Dart言語は、Googleが開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。Dart言語は、C言語やJava言語などの既存のプログラミング言語によく似た文法や構文を備えているため、JavaやC#などの言語を習得したことがある人であれば、比較的スムーズに習得することができます。
また、Dart言語は、JITコンパイラを採用しているため、実行時にコードを機械語に変換して実行します。そのため、ネイティブコードとほぼ同等の高速な実行速度を実現することができます。
Flutterのメリットとデメリット
Flutterには、さまざまなメリットとデメリットがあります。
ここでは、その代表的なものを解説していきます。
メリット
一度の開発で様々なOSに対応
Flutterは、単一のコードベースで、Android、iOS、Web、Windows、macOS、Linuxなど、さまざまなプラットフォームに対応できます。
そのため、プラットフォームごとに異なるアプリを開発する必要がなく、開発コストや運用コストを削減できます。これは、ベンチャー中小企業にとって大きなメリットです。
例えば、ベンチャー中小企業が、AndroidアプリとiOSアプリの両方を開発する場合、通常は、それぞれ別の開発チームを編成する必要があります。
しかし、Flutterを利用すれば、同じ開発チームで、両方のアプリを開発することができます。これにより、開発チームの人員やコストを削減することができます。
再利用性の高いコード
Flutterのウィジェットは、再利用性が高いのが特徴です。
そのため、一度作成したウィジェットを、さまざまな画面で再利用することができます。これにより、開発の効率化を図ることができます。
これも、ベンチャー中小企業にとって大きなメリットです。
ベンチャー中小企業は、限られたリソースでシステム開発を行う必要があります。Flutterを利用することで、ウィジェットを再利用することで、開発の効率化を図ることができます。
例えば、ベンチャー中小企業が、アプリ内に複数の画面を用意する場合、通常は、それぞれの画面ごとに、独自のウィジェットを作成する必要があります。
しかし、Flutterを利用すれば、汎用的なウィジェットを作成しておき、それを複数の画面で再利用することができます。これにより、開発工数を削減することができます。
ホットリロード機能
Flutterには、コードを変更したときに、すぐに画面に反映される「ホットリロード」機能があります。
そのため、開発中にコードを修正しながら、リアルタイムに画面を確認することができます。これにより、開発のスピードアップを図ることができます。
これも、ベンチャー中小企業にとって大きなメリットです。
ベンチャー中小企業は、限られたリソースでシステム開発を行う必要があります。Flutterを利用することで、ホットリロード機能を活用することで、開発のスピードアップを図ることができます。
例えば、ベンチャー中小企業が、アプリのUIを頻繁に変更する場合、通常は、コードを修正した後に、アプリを再ビルドする必要があります。
しかし、Flutterを利用すれば、ホットリロード機能を活用することで、コードを修正した直後に、画面の変更を確認することができます。これにより、開発効率を向上させることができます。
UIデザインの自由度が高い
Flutterは、独自のグラフィックエンジンを使用してウィジェットをレンダリングするため、プラットフォームの差異を吸収し、美しいUIを実現することができます。
また、ウィジェットのカスタマイズが自由にできるので、個性的なUIを作成することも可能です。
これも、ベンチャー中小企業にとって大きなメリットです。
ベンチャー中小企業は、独自のUIを採用したいというニーズがあります。Flutterを利用することで、独自のUIを実現することができます。
例えば、ベンチャー中小企業が、アプリのUIに、独自のデザインを採用したい場合、通常は、独自のウィジェットを作成する必要があります。
しかし、Flutterを利用すれば、ウィジェットのカスタマイズ機能を活用することで、独自のデザインを実現することができます。これにより、開発コストを抑えることができます。
アニメーションのサポート
Flutterは、アニメーションのサポートが充実しています。そのため、滑らかなアニメーションを簡単に作成することができます。
これも、ベンチャー中小企業にとって大きなメリットです。
ベンチャー中小企業は、ユーザーに魅力的なUIを提供する必要があるため、アニメーションを活用したUIを作成したいというニーズがあります。
Flutterを利用することで、滑らかなアニメーションを簡単に作成することができます。
例えば、ベンチャー中小企業が、アプリのUIに、アニメーションを活用した演出を施したい場合、通常は、独自のアニメーション機能を開発する必要があります。
しかし、Flutterを利用すれば、アニメーション機能を活用することで、簡単にアニメーションを作成することができます。これにより、開発コストを抑えることができます。
デメリット
クロスプラットフォームの制約
Flutterは、クロスプラットフォームに対応していますが、完全にすべてのプラットフォームの機能をサポートしているわけではありません。
そのため、一部のプラットフォーム独自の機能は、個別に開発する必要があります。これは、ベンチャー中小企業にとって注意すべきデメリットです。
例えば、ベンチャー中小企業が、AndroidアプリとiOSアプリの両方を開発する場合、通常は、それぞれのプラットフォームの独自機能を個別に開発する必要があります。
しかし、Flutterを利用する場合も、一部のプラットフォーム独自の機能を個別に開発する必要があります。これにより、開発コストや運用コストの増加につながる可能性があります。
学習コスト
Flutterは、比較的新しいフレームワークであるため、まだ情報が少ない部分があります。そのため、学習コストがかかる場合があるかもしれません。
ベンチャー中小企業は、限られたリソースでシステム開発を行う必要があります。そのため、学習コストを抑える必要があります。
学習コストを抑えるためには、以下の方法があります。
- オンライン学習や書籍などのリソースを活用する
- 無料のトレーニングやセミナーに参加する
- 他の開発者から学ぶ
各OS独自の機能は個別に開発
Flutterは、クロスプラットフォームに対応していますが、完全にすべてのプラットフォームの機能をサポートしているわけではありません。
そのため、一部のプラットフォーム独自の機能は、個別に開発する必要があります。
ベンチャー中小企業は、限られたリソースでシステム開発を行う必要があります。
そのため、一部のプラットフォーム独自の機能を個別に開発する必要がある場合は、開発コストや運用コストの増加につながる可能性があります。
各OS独自の機能の対応状況を把握するために、以下の方法があります。
- Flutterの公式ドキュメントを確認する
- 他の開発者の事例を参考にする
- 各OSの開発者向けドキュメントを確認する
Flutterは、さまざまなメリットとデメリットを持つフレームワークです。
ベンチャー中小企業がFlutterを活用する場合は、メリットを活かして、デメリットを抑えるようにしましょう。
Flutterの活用事例
Flutterは、さまざまな企業や団体で活用されています。ここでは、その中からいくつかの事例を紹介していきます。
Google Ads
Google Adsは、世界中の多くの企業や個人が利用する広告管理ツールです。
Flutterを活用することで、プラットフォームやデバイスを問わず、一貫したUIとUXでGoogle Adsの管理を行うことができます。
これにより、ユーザーは異なるデバイスやプラットフォームであっても、スムーズにGoogle Adsの管理を行うことができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | Google Ads |
じゃらん
じゃらんは、国内最大級の旅行予約サイトです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、高速で滑らかなパフォーマンスのアプリを開発することができました。
これにより、ユーザーは快適に旅行の予約や検索を行うことができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | じゃらん |
ahamo
ahamoは、シンプルでわかりやすい料金プランが特徴のオンライン専用料金プランです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、シンプルで使いやすいアプリを開発することができました。
これにより、ユーザーは簡単にahamoのプランやサービスを理解することができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | ahamo |
Xianyu by Alibaba
Xianyu by Alibabaは、中国で人気のフリマアプリです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、豊富な機能とデザインを備えたアプリを開発することができました。
これにより、ユーザーはさまざまなニーズに合わせてXianyu by Alibabaを利用することができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | Xianyu by Alibaba |
tents
tentsは、株式会社スペースマーケットが提供するキャンプ用品レンタルサービスです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、使いやすいUIとUXのアプリを開発することができました。
Flutterの高速で滑らかなパフォーマンスにより、キャンプ場の検索や予約、キャンプ記録の保存などを快適に行うことができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | tents |
Green
Greenは、株式会社グリーが提供する転職アプリです。Greenは、Flutterを活用して開発されています。
Flutterの特徴である、単一のコードベースでAndroid、iOS、Webのアプリを開発できるというメリットを活かし、リソースや体制が限られた企業でも、効率的に転職アプリを開発することができました。
また、Flutterの特徴である、高速で滑らかなパフォーマンスを実現できるというメリットを活かし、求職者がスムーズに求人情報を閲覧・応募できるようにしています。
項目 | 内容 |
サービスURL | Green |
youbride
youbrideは、株式会社youbrideが提供する婚活アプリです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、使いやすいUIとUXのアプリを開発することができました。
youbrideのアプリでは、婚活プロフィールの作成やパートナー検索、婚活コンシェルタントとの相談予約などが行えます。また、Flutterの洗練されたデザインオプションを活用して、婚活をイメージさせるスタイリッシュなアプリを実現しています。
項目 | 内容 |
サービスURL | youbride |
My BMW App
My BMW Appは、BMWが提供するスマートフォンアプリです。
Flutterを活用することで、Android、iOSの両プラットフォームで、BMWの車と連携した機能を備えたアプリを開発することができました。
My BMW Appでは、車の遠隔ロック解除や燃料残量確認、メンテナンススケジュールの確認など、様々な機能を利用できます。また、Flutterの高速で滑らかなパフォーマンスにより、快適に車の情報を管理することができます。
項目 | 内容 |
サービスURL | My BMW App |
これらの活用事例から、Flutterは、さまざまな業界や目的のアプリ開発に活用できることがわかります。
ベンチャー中小企業でも、Flutterを活用することで、限られたリソースで効率的にシステム開発を進めることができるでしょう。
flutterのまとめ
ここまで、Flutterとは何か、メリット・デメリット、活用事例までを解説してきました。
Flutterは、単一のコードベースで、Android、iOS、Web、Windows、macOS、Linuxなど、さまざまなプラットフォームに対応できるフレームワークです。
また、再利用性の高いコード、ホットリロード機能、UIデザインの自由度など、さまざまなメリットがあります。
一方で、クロスプラットフォームの制約や学習コストなどのデメリットもあります。
ベンチャー中小企業がFlutterを活用する際には、これらのメリット・デメリットを把握した上で、自社に適したかどうかを検討する必要があります。
もし、Flutterに関する不明点や困ったこと、相談があれば、株式会社Jiteraまでお問い合わせください。
株式会社Jiteraでは、Flutterに関する豊富な実績とノウハウを活かして、ベンチャー中小企業のシステム開発を支援しています。