昨今仕事をしていて、インシデントという言葉を聞いたことがあると思います。社内でインシデントを使用する事で、社内に起きている問題を解消する事ができます。
しかし、インシデントについて詳しくない方や、これからインシデント管理ツールを社内に導入したいという方もいらっしゃるかと思います。
今回は、そんなインシデント管理ツールの役割や、おすすめのツール、導入方法について詳しく解説していきます。
某電子専門学校卒業後、サーバー/ネットワーク運用業務を通し、ネットワーク設計/構築事業をメインにインフラ業務全般を担当。その後、某情報セキュリティ会社にて、情報セキュリティ教育事業の教育係も担当。
インシデント管理ツールの重要性とは?

インシデント管理の基本
インシデント管理とは、何か社内で問題が発生した場合に迅速に情報周知を行い、出来るだけ早く問題を解消するためのものです。
このインシデント管理の意識が無いと、社内でトラブルが発生した際、その問題が放置された場合、社内に何か重大な影響が発生する可能性があります。そのような事態が起きないように、インシデント管理を徹底していくことが必要です。
インシデント管理の基本は、ツール等を利用して機械的に周知を行い、その周知に対して人間が対応を行っていくことになります。特に社内のネットワーク状況や、社内で運用しているシステム等に障害が発生した場合は、業務に支障が発生する為、即座に復旧することが望ましいです。
そのようなケースには、必ずインシデント管理を行うようにしましょう。
インシデント管理ツールの役割
インシデント管理ツールの役割は、社内で問題が発生した場合の通知や、社内の人間へのエスカレーション、その他部署への周知を、全てツールによって行うことができます。これにより、インシデント管理を行う人間の負担が減り、効率よくインシデント通知を行えます。
さらに、インシデント管理ツールを使えば、インシデントに関する履歴を細かく残すことができるので、以前同じ状況になった際の対応状況をすぐ確認できます。このような事は、人間の手作業ではほぼ不可能であり、インシデント管理ツールの強みとも言えます。
また、インシデント管理ツールは、導入する企業の規模を問わず、大企業でも効率的にインシデント管理を行えます。このような、ソフトウェアでしかできない管理体制を構築する事が、インシデント管理ツールの役割と言えるでしょう。
おすすめのインシデント管理ツール15選

ServiceNow

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | ServiceNow |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1ユーザー/月額300円~ |
ServiceNowは、AIによるカスタマーエクスペリエンスの提供と、ユーザーが抱えている問題を迅速に解決に導くインシデント管理ツールです。全てのワークフローにAIを導入する事で、様々なシーンのカスタマーサービスにより、効率性を高める事ができます。
料金体系は、1ユーザー300円となっていて、無料お試し期間があります。初期費用については、公式ページからお問合せが必要となります。
インシデント管理ツールを導入してみたいが、どのようなメリットがあるかわからない場合は、無料お試しを利用してみるとよいでしょう。
Jira Service Management

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | アトラシアン |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1エージェント/月額2880円~※無料プランもあり |
JiraServiceManagementは、主にIT運用や、システム開発におけるワークフローで利用されるインシデント管理ツールです。
開発チームと運用チームのワークフローを一つにつなげ、生産性の高いIT運用と開発を行えます。テンプレートと呼ばれるものも存在し、テンプレートを利用することで、インシデント管理ツールを導入し始めた場合でも、効率よくインシデント管理を行えます。
価格は1エージェントあたり、2880円から開始することができます。さらに、エージェント数が3つまでとなりますが、無料プランも存在しますので、会社の規模がまだ小規模である場合は、無料プランを使用するとよいでしょう。
Zendesk

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社Zendesk |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1エージェント/月額55ドル~ |
Zendeskは、AIによるQA表の作成や、インシデント管理の自動化により、カスタマーサポートの担当者の負担を軽減できます。カスタマーサポートに特化したインシデント管理ツールとして利用できます。業務の効率化とこの自動化の機能により、社内のサポート業務を低コストで行えます。
価格は1エージェントに対して月額55ドルから開始できます。無料で試すこともできますので、導入を検討している場合はお試しで利用してみるとよいでしょう。
Freshservice

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | Freshworks |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1ユーザー/月額29ドル~ |
Freshserviceは、主にIT運用におけるインシデント管理ツールです。Freshserviceの強みは、クラウドによるカスタマーサポート支援を行えることです。
導入する際の手間があまりなく、IT運用中に発生した問題を、一元管理できます。これにより低コストでのインシデント管理ツールの導入と運用が可能です。ナレッジベース機能も搭載していますので、同じ問題が発生した場合に、どのような対処をすべきか迅速に把握できます。
価格は、初心者向けプランで月額29ドルからあり、無料トライアル期間もありますので、お試しでトライアルから利用するのもよいでしょう。
PagerDuty

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | PagerDuty株式会社 |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1ユーザー/月額41ドル~ |
PagerDutyは、システム障害が発生した際の復旧を、可能な限り速める為のインシデント管理ツールです。さまざまなIT運用をしている企業が導入していて、JCBやサントリー、Docomo等誰もが知る大企業も導入しています。
AIによる機械学習を利用したカスタマーサポートの自動化や、システム運用のプロセスを自動化する事により、人間ではできないシステム復旧の速さを実現しています。
価格は、企業向けプランで1ユーザー月額41ドルから契約できます。
Opsgenie

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | アトラシアン |
| AI | 対応している |
| 価格 | 5ユーザー/無料~ |
Opsgenieは、インシデントにおけるアラート通知に特化したインシデント管理ツールです。
アラートをグループ化する事で、さまざまなチャンネルに通知を行います。これにより、インシデントが発生した際のアラートを見逃しません。
また、オンコールのプロセスを分析できますので、分野ごとのインシデントの対応状況を可視化できます。これにより、次のインシデント発生時に効率よく対応できます。
価格は小規模チームであれば5ユーザーまで無料で使用可能です。有償プランでも1ユーザーあたり月額9ドルで利用できます。
Incident IQ

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | Incident IQ |
| AI | 対応している |
| 価格 | 要見積もり |
IncidentIQは主に教育機関で利用を想定されたインシデント管理ツールです。
地区のシステムとデータを統合することにより、インシデントを効率よく通知していきます。この機能により、学校への治安に関するアラートを、即座に配信することができます。
価格は、学区によって異なるため、契約時は公式ページの見積もりのページから問い合わせする事が必要となります。
SolarWinds Service Desk

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | SolarWinds |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1ユーザー/月額39ドル~ |
SolarWindsServiceDeskは、ITヘルプデスクとサービスデスクに特化したインシデントツールです。6種類ものプラットフォームを一つのプラットフォームへと統合し、インシデント管理における効率化と生産性の向上を図っています。
また、操作も比較的簡単で、誰でも扱いやすいという点も評価されています。
価格は39ドルからとなっており、30日間の無料トライアルも行っています。
SysAid

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | SysAid |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1ユーザー/月額79ドル~ |
SysAidは、次世代のITサービス運用を目的としており、AIによるトラブルシューティングで、迅速的に問題を解決します。
24時間365日、インシデント管理ツールによって、インシデントが管理されます。ワークフローの自動化もできますので、社員のインシデント管理の負担を軽減できます。
コカ・コーラ社やAdobe株式会社等、大企業も複数導入しています。
価格は1ユーザーにつき79ドルから使用可能となっています。また、無料トライアルもありますので、お試しで使用してみるのもよいでしょう。
BMC Helix ITSM

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | BMCソフトウェア |
| AI | 対応している |
| 価格 | 要見積もり |
BMCHelixITSMは、さまざまな環境下でも導入可能なインシデント管理ツールです。クラウドでの利用はもちろん、データセンターでも利用が可能です。
リアルタイムでインシデント管理を行うので、社員によるインシデント管理に負荷をかけさせないようにします。
価格は公式ページから見積もりをしてもらう必要があります。
Zoho Desk

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | ZohoJapan株式会社 |
| AI | 対応している |
| 価格 | 1エージェント/月額800円~ |
ZohoDeskはクラウドを利用したカスタマーサポートプラットフォームです。問い合わせをした内容を可視化する事により、インシデント管理の効率性を向上させます。
また、ユーザーとカスタマーの問い合わせ種類を一元管理することで、社内のデータのリソースを削減できます。
価格は初期費用無料となっていて、1エージェント月額800円から使用できます。
ProProfs Help Desk

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | ProProfs |
| AI | 対応している |
| 価格 | シングルユーザーのみ/永続無料 |
ProProfsHelpDeskは、ヘルプデスク業務の効率化を行えるインシデント管理ツールです。共同のカスタマーページから、さまざまな担当者が同じページにて作業を行えます。
SonyやDell、Cisco社など、大企業の導入実績がありますので、安心して利用できるインシデント管理ツールです。
シングルユーザーであれば永続的に無料で利用できます。全ての機能を利用したい場合は、月額1ユーザー99ドルから使用できます。
Spiceworks

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社スパイスワークス |
| AI | 対応していない |
| 価格 | 無料 |
Spiceworksは、IT運用を効率化するインシデント管理ツールです。インシデントのアラート通知や、チケットの発行や管理を行えます。
インシデントにおけるチケットにおいては、年間1400万以上のチケットを発行できますので、安定したインシデント管理を行えます。
価格は初期費用及び月額無料です。IT運用を行っていて、低コストでインシデント管理を行いたい場合は導入すべきツールと言えます。
Snipe-IT

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社デージーネット |
| AI | 対応している |
| 価格 | 要見積もり |
Snipe-ITは、Webインターフェースを使用する事で、社内の資産や物品の管理を行えます。加えてインシデント管理も行えますので、社内の状況を管理したい企業に向いているツールです。
QRコードを使用して資産や物品の管理が行えますので、様々なシーンで使用できるツールと言えるでしょう。
価格は公表されていませんが、公式ページからデモとして使用できるソフトウェアがありますので、試しにデモを使用してみるのもいいでしょう。
OTRS

| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社ブロードリーフ |
| AI | 対応している |
| 価格 | 要見積もり |
OTRSは、Webインターフェースを使用して、シンプルで直感的に利用できるインシデント管理ツールです。こちらもさまざまなシーンで活用できるツールで、多言語に対応しています。
インシデントだけでなく、サービスの利用状況を可視化できるツールです。
価格は公表されていませんが、公式ページからデモツールを利用できますので、お試しでデモツールを使用してみるといいでしょう。
インシデント管理ツールの選定に悩んでいる、自社に最適なインシデント管理システムが欲しいとお考えなら、ぜひJiteraにご相談ください。
Jiteraでは、企業の業務特性やインシデント対応プロセスに合わせたカスタマイズ性の高いインシデント管理システムを開発することができます。
Jiteraのインシデント管理システム開発の強み
- ヘルプデスク、サービスデスク、セキュリティなど、多様なインシデント管理ニーズに対応
- 既存システムやツールとのスムーズな連携による運用効率の向上
- AIやマシンラーニングを活用したインシデントの自動分類や優先度付け
- 高度なセキュリティとコンプライアンス対策による安全性の確保
独自のインシデント管理システムを導入することで、自社の業務フローに最適化されたインシデント対応により、問題解決までの時間を大幅に短縮できます。また、インシデントデータの分析や可視化により、問題の再発防止と継続的な改善が可能となります。
Jiteraの開発力を活かせば、理想的なインシデント管理システムを低コストかつスピーディーに構築し、早期の運用開始によるサービス品質の向上が期待できます。
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インシデント管理ツールの選び方

ビジネスタイプに合わせて選ぶ
ヘルプデスク向けのインシデント管理ツール
ヘルプデスクでは、ユーザーからの技術的な質問や、製品についての詳しい質問に対応する必要があります。その場合インシデント管理ツールは24時間365日動作するものを選ぶとよいです。
また、問い合わせも多数受けることが予測されるため、大規模な環境下でも問題なく使用できるインシデント管理ツールを導入しましょう。
サービスデスク向けのインシデント管理ツール
サービスデスクでは、社内と社外問わず、さまざまな質問に対応する事が求められます。ただし、ヘルプデスク程深い問題の対応に問われることはありません。
ですので、大きなリソースと大規模な環境下でも動作するツールを使用しても問題ありませんが、24時間365日対応する製品は必要ないと言えます。
セキュリティインシデント管理ツール
セキュリティに関しては、即座に対応できる点と、あらゆる環境下でも対応できるインシデント管理ツールを利用する事をお勧めします。
また、リアルタイムでAIが動作するものや、24時間365日監視できるインシデント管理ツールを使用しましょう。
オープンソース vs. プロプライエタリ
オープンソースはフリーのソースコードにより、改変が可能です。
対してプロプライエタリは、商用目的のソースコードとなっていて、商用での製品となっています。それゆえ、改変などは禁止とされています。
オープンソースのインシデント管理ツールを導入する場合は、主にIT運用を行っていく企業に向いています。IT運用は様々なアプリ開発環境下で運用しているので、ソースコードの改変は必須となっています。
そのような場合は、オープンソース型のインシデント管理ツールを選びましょう。
対してヘルプデスクは、アプリの開発等は行いませんし、特定のマニュアルが存在しますので、ソースコードの改変を行う必要がありません。そういった場合は、プロプライエタリのインシデント管理ツールを導入すべきです。
このような形で、インシデント管理ツールを選んでいくとよいでしょう。
クラウドベース vs. オンプレミス
クラウドベースは、システム開発事業者が用意した環境を、自社として運用している場合に適しています。一方でオンプレミスは、自社が独自に開発したシステム環境下で、利用している場合に適していると言えます。ですので、どちらも一長一短ですが、運用しているシステムの環境で使い分けていく必要があります。
ただし、クラウドでインシデント管理ツールを導入する場合、価格が高い場合が多いので、低コストでインシデントツールを利用したい場合は、一度さまざまな開発会社へお見積り依頼をし、提案してもらうとよいでしょう。
インテグレーションの可能性
多種多様な分野で、まとめてシステムを運用しているケースもあります。
例えば教育の分野です。ITによる運用に加えて、教育を行っている場合は、さまざまなケースでインシデント管理をしなければなりません。その場合は、柔軟性の高いインシデント管理ツールを導入すべきです。
インシデント管理ツールには、異なる分野をまとめている場合にも対応できる製品も現在は多数ありますので、そういったケースでもインシデント管理ツールの導入は可能です。
インシデント管理ツールの導入手順

ここまでインシデント管理についての概要からツールの紹介、選び方まで紹介していきました。インシデント管理といっても、どのように導入すべきか分からないというケースもあるでしょう。
ここからはインシデント管理ツールにおいての導入手順を解説します。
インシデント管理ツールの導入ステップ
インシデント管理ツールの導入ステップは、下記の通りとなります。
まずインシデント管理ツールの選定を行います。インシデント管理ツールを導入するにあたって、どのようなメリットがあるのか、コストなどの観点から選定していきます。
選定が終わったら、要件の定義をしていきます。既存のシステムとの連携や、どのような機能を追加するか、などです。これら選定と要件定義の軸がぶれないようにしましょう。
選定と要件定義が終わったら、設計をしていきます。既存のシステムや機器にどのようなパラメーターを設定するのか、等を設計します。
設計が完了したら、実際にインシデント管理ツールの構築及び開発を行っていきます。開発と構築が完了したら、正しく動作するのか検証を行います。
開発及び構築、検証段階では動作した結果をエビデンスとして残していきましょう。検証が完了したら、マニュアル等のドキュメントを作成していきます。
ドキュメントの作成が完了したら、実際にインシデント管理ツールの運用となります。
インシデント管理ツールのトレーニングと教育
インシデント管理ツールを導入する際は、事前に社員への教育や、社内の担当者のトレーニングをしましょう。これにより、インシデント管理ツールの使用中に不明点が出た際に、すぐに解決できます。
社員への教育を行うことにより、社内に他部署から異動してきた社員がいる場合にも、インシデント管理ツールの教育を受けた者から、その社員に教育することができます。これにより教育のリソースとコストを削減できます。
インシデント管理のベストプラクティス
インシデント管理のベストプラクティスは、きちんと社内の情報を把握しておくことと、インシデント管理ツールを導入する際には環境にあったインシデント管理ツールを導入する事です。
企業にはさまざまな環境があります。例えばクラウド環境下での運用を行っている場合はクラウドで導入実績のあるシステム開発会社を選ぶ必要があります。もしくは自社独自のシステム構成となっている場合もあります。
また利用されるシーンがヘルプデスクであるのかサービスデスクであるのか、それともIT運用なのか、でもインシデント管理方法は違ってきます。
それぞれの環境とシーンに適したインシデント管理を行っていきましょう。
インシデント管理ツールのまとめ

インシデント管理ツールの概要からツールの紹介、導入方法まで解説してきました。インシデント管理といっても、さまざまな管理方法があります。
インシデント管理を行う場合は必ずこれをすればよいといった正解は、ほぼないと言えます。ただし、インシデント管理を行う組織や企業の情報によっては、ある程度選択肢は絞られていきます。
インシデント管理を行う場合は、自社の情報をしっかり管理し、導入するインシデント管理ツールは自社のニーズに沿っているか、慎重に選んでいくことをおすすめします。
もしインシデント管理にお悩みであれば、株式会社Jiteraへ相談するとよいでしょう。さまざまな企業に対応してきた担当者が、目的に沿ったインシデント管理の提案をします。
