守るだけの情シスから、社内の活用と改善を進める情シスへ

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最終更新: 2026.08.27

守るだけの情シスから、社内の活用と改善を進める情シスへ

情報システム担当者、いわゆる情シスの仕事は、社内システムを止めないことだけではありません。社員がITを安全かつ円滑に使える環境を整え、新しい仕組みを導入し、業務改善を前に進める役割も担っています。

一方、現場では、障害や問い合わせへの突発対応、アカウント管理、端末設定、資料探し、ベンダーとの確認などが次々に発生します。目の前の依頼に対応するほど、中長期の改善や導入計画に使える時間が減ってしまうこともあります。

業務AIエージェント Jiteraは、許可された運用資料、問い合わせ履歴、システム情報、導入検討資料などをもとに、情報の抽出・整理、回答や文書の初稿作成、比較、確認事項の洗い出しを支援します。情シスに代わって運用判断や導入判断を行うものではなく、担当者が根拠を確認し、より早く適切に判断するための土台を整える仕組みです。

情シスの役割は「問い合わせ窓口」だけではない

情シスは、社員からの質問に答える窓口として見られがちです。しかし実際には、既存環境を安定させる仕事、利用者を支援する仕事、将来の業務を支える仕組みを導入する仕事を並行して進めています。

領域 主な目的 代表的な業務 主な成果物
システム運用・保守 システムとIT環境を安定して利用できる状態に保つ 監視、障害対応、アカウント・権限管理、変更管理、バックアップ確認、保守会社との調整 運用手順、構成情報、障害記録、変更記録、点検報告
社内IT支援 社員がITを安全かつ円滑に利用できるよう支援する 問い合わせ受付、切り分け、回答、端末設定、申請案内、FAQ整備、利用教育 回答案、FAQ、申請案内、対応履歴、利用ガイド
新規システム・SaaS導入 業務課題に合う仕組みを選び、定着まで進める 要件整理、製品比較、セキュリティ確認、契約・費用確認、導入計画、移行、教育、運用設計 要件一覧、比較表、リスク一覧、導入計画、運用設計、社内説明資料

3領域は独立していません。たとえば、新しいSaaSを導入すると、アカウント管理や問い合わせ対応が運用業務に加わります。導入段階で運用手順やFAQを整えなければ、開始後の問い合わせが増え、改善業務に使える時間がさらに減ります。

情シスの1日と、突発対応が計画業務を圧迫する構造

情シスの一日は、監視結果と問い合わせの確認から始まり、運用作業、利用者対応、導入案件、ベンダー調整、報告へと続きます。ただし、障害や緊急のアカウント対応が発生すると、予定していた調査や改善は後ろ倒しになります。

時刻別の業務フロー

時刻 予定している主な業務 突発対応が入った場合
9:00 監視結果、障害通知、問い合わせ、申請の確認 影響範囲と緊急度を確認し、障害対応や利用者連絡を優先する
10:00 アカウント・権限、端末、SaaS運用の定型作業 緊急の権限付与、端末不具合、利用停止などへ対応する
11:00 ヘルプデスク対応、過去回答や手順の確認 類似事例が見つからない場合、担当者やベンダーへ確認する
13:00 導入案件の要件整理、製品比較、社内打ち合わせ 午前の未解決案件を引き継ぎ、導入検討が中断する
15:00 ベンダー確認、変更作業、テスト、手順書更新 障害の追加調査、関係部署への説明、暫定対応を行う
17:00 対応履歴、課題、日次報告、翌日の準備 記録作業が遅れ、判断理由や経緯が個人の記憶に残りやすくなる
時間外 原則として計画外 重大障害、切替、保守作業など必要な場合に対応する

突発対応そのものをなくすことはできません。問題は、必要な資料や過去の対応を探す時間、同じ内容を何度も説明する時間、対応後の記録を作り直す時間まで重なることです。日々の記録を次の対応で再利用できる形に整えることが、計画業務の時間を確保する第一歩になります。

繰り返し発生する定型作業

領域 繰り返し発生する作業
システム運用・保守 監視結果の確認、アカウント棚卸し、権限変更、ログやバックアップの確認、障害記録、変更申請、手順書更新、保守会社への照会
社内IT支援 問い合わせの分類、利用者情報の確認、過去回答の検索、一次切り分け、定型回答、エスカレーション、FAQ更新、対応状況の集計
新規システム・SaaS導入 要望の集約、要件一覧の更新、候補製品の比較、質問票の整理、ベンダー回答の照合、会議記録、課題・リスク管理、導入案内の作成

情シスが抱える3つの課題

1. 運用・保守の属人化

システム構成図や手順書が存在していても、「なぜこの設定なのか」「障害時にどの条件で切り分けるのか」「どこまで影響したら誰へ連絡するのか」といった判断の背景までは残っていないことがあります。

設定値、操作手順、障害記録が別々に管理され、過去の判断が個人のメールや記憶に閉じると、担当者の異動や退職のたびに調査がやり直しになります。また、古い手順を現行環境へ適用すると、誤った対応につながる可能性があります。

必要なのは、手順だけでなく、対象環境、適用条件、前提、例外、判断理由、確認者、更新日を一緒に残すことです。AIで整理する場合も、現行情報と旧情報を区別し、実環境や正式な手順と照合できる状態が欠かせません。

2. ヘルプデスクの繰り返し対応

「ログインできない」「権限がない」「申請方法が分からない」といった類似の問い合わせでも、利用者、端末、対象サービス、発生時刻、エラー表示などの条件は異なります。そのため、過去回答をそのまま再送するだけでは解決できません。

一方で、毎回ゼロから文章を作り、関連する手順を探し、確認項目を並べ直すのも非効率です。問い合わせ内容と過去の対応履歴、FAQ、利用ルールを照合し、回答案と追加確認事項を分けて作ることで、担当者は個別条件の確認に集中しやすくなります。

回答案は、利用者へ送る前に担当者が確認します。本人確認、権限変更、認証情報、セキュリティ事象、個人情報に関わる内容は、定められた本人確認、申請、承認、エスカレーションの手順を優先します。

3. 導入プロジェクトの情報整理負荷

SaaSや新規システムの導入では、利用部門の要望、機能要件、セキュリティ質問票、契約条件、費用、連携仕様、移行計画、ベンダー回答など、多くの情報を扱います。資料がメール、表計算、会議記録、提案書に分散すると、同じ項目を転記し、回答の差分を確認する作業が増えます。

さらに、製品ごとに資料の構成や表現が異なるため、単純に横並びにしても比較できないことがあります。要件を共通の観点にそろえ、確認済みの事実、ベンダーへ確認中の事項、自社で判断すべき事項を分ける必要があります。

Jiteraによる比較結果は、製品選定や契約の最終判断ではありません。最新の公式資料、契約条件、見積もり、セキュリティ評価、法務・購買・利用部門の確認を経て、責任者が導入可否を決定します。

Jiteraで変わる業務

Jiteraは、情シスが許可した範囲の資料をコンテキストとして参照し、情報整理と初稿作成を支援します。資料にない事実は推測で補わず、不足情報や確認先を分けて示す運用が重要です。

領域 入力するコンテキストの例 生成されるアウトプットの例
システム運用・保守 構成図、設計書、運用手順、監視通知、障害記録、変更履歴、ベンダー資料 事象の整理、影響範囲の候補、一次切り分け項目、類似障害、追加確認事項、障害報告の初稿
社内IT支援 問い合わせ本文、FAQ、利用ガイド、申請ルール、過去の対応履歴、対象サービスの注意事項 問い合わせ分類、回答案、確認質問、参照手順、エスカレーション候補、FAQ更新案
新規システム・SaaS導入 業務要望、要件一覧、候補製品資料、見積もり、質問票、ベンダー回答、会議記録、社内規程 要件比較表、差分、未回答項目、リスク候補、追加質問、導入計画・社内説明資料の初稿

コンテキストを登録するときの注意点

  • 対象システム、対象環境、版、更新日、所有者、確認者を明記する
  • 現行手順と旧手順、正式情報と検討中情報を区別する
  • 個人情報、認証情報、秘密情報は社内規程と権限に従って扱う
  • 参照してよい部署、案件、利用目的の範囲を定める
  • 出力には根拠となる資料と、不足している情報を示す
  • 古い資料の更新、利用停止、削除の運用を決める

実務で使えるプロンプト例

以下は、登録済みのコンテキストを使って初稿や確認事項を作るための例です。実際の業務では、対象システムや社内ルールに合わせて項目を調整してください。

ヘルプデスク回答案

登録済みのFAQ、利用ガイド、申請ルール、過去の対応履歴だけを参照してください。
次の問い合わせに対する回答案を作成してください。

【問い合わせ】
ここに利用者からの問い合わせを入力

次の形式で整理してください。
1. 問い合わせの分類
2. 利用者へ送る回答案
3. 回答前に確認する情報
4. 利用者に追加で確認する質問
5. 参照した手順またはFAQ
6. 担当部署へのエスカレーションが必要な条件
7. 情報が不足している事項

資料に根拠がない操作や設定を推測で案内しないでください。
本人確認、権限変更、認証情報、セキュリティに関わる場合は、正式な申請・承認手順を優先し、「担当者確認が必要」と明記してください。

障害の一次調査

登録済みのシステム構成図、運用手順、監視定義、変更履歴、過去の障害記録だけを参照してください。
次の事象について、一次調査の観点を整理してください。

【事象】
発生時刻、対象システム、利用者への影響、エラー内容、直前の変更を入力

次の形式で出力してください。
1. 確認できている事実
2. 影響範囲を確認する項目
3. 優先して確認するログ、監視、構成情報
4. 過去の類似障害と相違点
5. 原因仮説と、それぞれを確認する方法
6. 暫定対応を検討する際の注意点
7. エスカレーション条件と確認先
8. 不足情報

原因を断定せず、事実と仮説を分けてください。
変更、復旧操作、再起動、切り戻しを自動実行せず、正式な障害対応手順と担当者の承認を前提にしてください。

SaaS導入比較

登録済みの業務要望、要件一覧、候補製品の公式資料、見積もり、セキュリティ質問票、ベンダー回答だけを参照してください。
候補となるSaaSを、次の観点で比較してください。

1. 必須要件への適合状況
2. 利用者・管理者向け機能
3. 認証、権限、ログ、データ管理に関する確認事項
4. 既存システムとの連携条件
5. 初期費用、継続費用、追加費用
6. 導入、移行、教育、運用に必要な作業
7. ベンダー回答間の差分
8. 未回答または根拠不足の項目
9. ベンダーへ追加確認する質問
10. 社内で判断・承認が必要な事項

資料に記載がない項目は「要確認」とし、推測で評価しないでください。
総合順位を自動で決めず、評価軸ごとの事実と差分を示してください。

JiteraとAIの役割分担

Jitera・AIが支援する作業 情シス・関係者が担う作業
複数資料からの情報抽出、要約、分類 対象資料、参照範囲、優先順位の決定
問い合わせ回答、障害報告、FAQの初稿作成 利用者情報と事実の確認、正式回答、記録の確定
事象、変更履歴、類似障害、確認項目の整理 原因判断、復旧方針、変更・切り戻し、エスカレーション
要件、製品資料、ベンダー回答の比較 製品評価、契約、予算、導入可否の決定
不足情報、矛盾、確認事項の抽出 ベンダー、利用部門、法務、購買、セキュリティとの合意形成
手順書、比較表、社内説明資料のたたき台作成 実環境での検証、レビュー、承認、公開、更新管理

AIの出力は、障害原因、復旧操作、権限付与、セキュリティ評価、契約条件、製品選定、リリース可否の最終判断ではありません。情シス、システム責任者、セキュリティ、法務、購買、利用部門、ベンダーなど、必要な関係者が参照元と実環境を確認し、テスト、レビュー、承認を行います。

カプコン事例との関連

株式会社カプコンでは、担当者の入れ替わりや退職により、長期プロジェクトの開発経緯やインフラのノウハウが失われやすいことが課題でした。Jiteraを活用し、既存ソースコードのリバースエンジニアリング、仕様書や不具合対応の経緯を含むコンテキストの整理、IaCコードの解析・ドキュメント化を進めています。

この取り組みは、情シスにとっても参考になります。システム構成や手順だけでなく、変更の背景、不具合対応の経緯、構成の意図まで次の担当者が確認できる形にすることで、引き継ぎ時の再調査を減らしやすくなるためです。また、個人ごとに分散しがちなAI活用を、チームでコンテキストを共有・蓄積する取り組みへ広げる視点も共通しています。

詳しくは、カプコン様の導入事例ゲーム開発でのJitera活用ガイドをご覧ください。

製造・金融・SIer・ゲームへの展開例

業種 情シスでの活用例 人が確認・判断するポイント
製造 MES、基幹DB、設備・周辺システムの構成や依存関係を整理し、障害調査、改修影響調査、工場間の運用差異の確認を支援する 生産への影響、安全、停止可能時間、現場運用、変更・切替の可否
金融 レガシーコード、DB、バッチ、ジョブ、運用手順、障害記録を整理し、処理フローや影響範囲の把握を支援する 規程、セキュリティ、監査、業務継続、変更・リリースの承認
SIer 顧客案件ごとの設計書、コード、テスト、チケット、障害記録を整理し、保守引き継ぎや類似案件の調査を支援する 顧客ごとの機密区分、契約範囲、再利用可否、品質基準、顧客承認
ゲーム 長期運用サービスのコード、仕様、不具合履歴、IaCを整理し、仕様把握、インフラ引き継ぎ、DevOps資産の再利用を支援する サービス影響、性能、セキュリティ、公式仕様、テスト、リリース可否

製造業では、製造業のMES・基幹DBをJiteraで可視化する事例と組み合わせることで、現行システムの把握から改修前の影響調査までを具体化できます。

金融機関では、金融機関のレガシーコードをJiteraで解析する事例が、長期運用されているプログラムや周辺資料を起点に、保守に必要な情報を整理する参考になります。

ゲーム開発では、ゲーム開発でのJitera活用ガイドで、コードの仕様可視化、IaCのドキュメント化、担当者交代に備えた知識共有の例を紹介しています。

まとめ

情シスの役割は、システムを守り、問い合わせに対応するだけではありません。社員がITを活用できる環境を整え、運用から得た知識を次の改善へつなぎ、新しい仕組みを社内へ定着させることも重要な役割です。

Jiteraは、許可された運用資料、問い合わせ履歴、システム情報、導入資料などをコンテキストとして活用し、情報整理、回答案、一次調査の観点、比較表、文書の初稿作成を支援します。繰り返し作業をその場限りで終わらせず、確認済みの知識として蓄積・更新することで、担当者の経験をチームの業務資産へ変えていけます。

まずは、件数が多く回答基準を定めやすい問い合わせ、特定システムの障害記録、比較対象を限定したSaaS導入など、小さな範囲から始めます。入力資料、出力形式、確認者、承認手順、保存先を決め、AIが整理した内容と人が確認した内容を区別しながら、段階的に対象を広げることが大切です。

読むより、聞く。15分の個別相談

近い業種の導入例と、着手順序・体制・期間の目安をその場でお伝えします。

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