大規模言語モデル(LLM)の登場により、自然言語処理の世界は大きく変革しています。
しかし、LLMを効果的に活用するためには、適切なツールやフレームワークが必要です。その中で注目を集めているのが「LlamaIndex」です。
本記事では、LlamaIndexの特徴や使い方、さらにLangChainとの違いについて詳しく解説します。AI開発者やデータサイエンティストの方々にとって、有用な情報となるでしょう。
20年超のシステム開発経験を活かし、AI・機械学習のエバンジェリストとして活動中。新技術の追求と、日本のAI活用を世界一に導くことに情熱を注ぐ。開発の全工程に精通し、知識と行動力で未来を切り拓く。
LlamaIndexとは?

LlamaIndexは、大規模言語モデル(LLM)を活用したアプリケーション開発を支援するオープンソースフレームワークです。
大量データの効率的な索引付けとLLM連携により、高度な情報検索や質問応答システムを構築できます。名前は「ラマ」(LLMの象徴)と「索引」の組み合わせで、「言語モデルのための索引システム」を意味します。
データの前処理、インデックス作成、クエリ処理など、LLMを用いたアプリケーション開発に必要な一連の機能を提供しています。これにより、開発者はLLMの能力を最大限に引き出し、より高度で効率的なAIアプリケーションを作成することができます。
LlamaIndexは、LLM活用の可能性を広げる重要なツールとなっています。
LlamaIndexとLangChainの違い

LlamaIndexとLangChainは、どちらもLLMを活用したアプリケーション開発をサポートするフレームワークですが、いくつかの重要な違いがあります。
| 特性 | LlamaIndex | LangChain | 
| 主な特徴 | データのインデックス化と検索に特化 | 広範なAIアプリケーションのワークフロー管理 | 
| 機能の違い | 
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| 適用範囲 | 
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| 主な利用シーン | 
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| 利用シーン | LangChainのワークフローにデータを提供 | LlamaIndexの検索結果を活用して処理 | 
以下でその違いを詳しく見ていきましょう。
機能の違い
LlamaIndexは主にデータのインデックス化と検索に特化しています。大量のデータを効率的に処理し、LLMが利用しやすい形式に変換することが得意です。
LangChainは、データ処理だけでなく、タスクの連鎖、メモリ管理、外部リソースとの統合など、より包括的な機能セットを持っています。
適用範囲の違い
LlamaIndexは、主に情報検索や質問応答システムの構築に適しています。大規模なデータセットから関連情報を効率的に抽出し、LLMと連携させることで、高度な検索機能を実現できます。
LangChainは、より柔軟で汎用的なフレームワークと言えるでしょう。
利用シーンの違い
LlamaIndexは、大量のドキュメントや知識ベースを持つ企業や組織にとって特に有用です。例えば、社内文書の検索システム、カスタマーサポート用のナレッジベース、学術研究のための文献検索などに適しています。
Langchainとの使い分け
LlamaIndexとLangChainは、互いに排他的なものではなく、むしろ補完的に使用することができます。
プロジェクトの要件に応じて、LlamaIndexの効率的なデータ処理能力とLangChainの柔軟なワークフロー管理を組み合わせることで、より強力で効果的なAIアプリケーションを構築することができます。
LlamaIndexのメリット

LlamaIndexを使用することで、開発者は多くの利点を得ることができます。主なメリットは以下の3点です。
- 高速なデータ検索が可能
 - 設定と運用が簡単
 - 拡張性がある
 
これらのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
高速なデータ検索が出来る
LlamaIndexの最大の強みは、高速なデータ検索能力です。大量のデータを効率的にインデックス化することで、検索速度を大幅に向上させます。
従来の全文検索エンジンとは異なり、LlamaIndexはLLMの理解力を活用して、より意味的で文脈に即した検索を可能にします。
設定と運用が簡単
LlamaIndexは、使いやすさを重視して設計されています。インストールからセットアップ、基本的な使用まで、比較的簡単に行うことができます。
豊富なドキュメントとサンプルコードが提供されており、初心者でも迅速に開発を始めることができます。また、多くの一般的なユースケースに対応するデフォルト設定が用意されているため、複雑な設定作業なしでも効果的に使用できます。
拡張性がある
LlamaIndexは高い拡張性を持つフレームワークです。以下の点で拡張性を発揮します。
- カスタムインデックス:独自のインデックス構造を実装し、特定のデータ型や検索パターンに最適化することができます。
 - プラグイン機能:様々なデータソースやLLMプロバイダーと連携するためのプラグインを追加できます。
 - カスタム検索ロジック:独自の検索アルゴリズムや順位付けロジックを実装することが可能です。
 - スケーラビリティ:大規模なデータセットや高負荷な環境にも対応できるよう設計されています。
 
これらの拡張性により、LlamaIndexは小規模なプロジェクトから大規模な企業システムまで、幅広い用途に適応することができます。
LlamaIndexの使い方

LlamaIndexを使い始めるには、いくつかの基本的なステップを踏む必要があります。ここでは、インストールから基本的な使用方法までを解説します。
インストール方法
LlamaIndexのインストールは非常に簡単です。Pythonの環境が整っていれば、以下のコマンドでインストールできます。
基本的な設定と構成
LlamaIndexを使用するための基本的な設定と構成は以下の通りです
os.environ[“OPENAI_API_KEY”] = “your-api-key-here”
4.インデックスの作成
これらの基本的な設定により、LlamaIndexを使用してデータのインデックス化と検索を行う準備が整います。
データのインデックス化
LlamaIndexでデータをインデックス化する主な手順は以下の通りです。
1.データの準備 テキストファイル、PDFなど、インデックス化したいデータを用意します。
2.データの読み込み。
3.インデックスの作成
4.インデックスの保存(オプション)
この過程で、LlamaIndexは各ドキュメントを処理し、効率的な検索のためのインデックス構造を作成します。大量のデータでも効率的に処理できるよう最適化されています。
情報検索の方法
LlamaIndexを使用して情報を検索する方法は以下の通りです。
1.インデックスのロード(保存していた場合)
2.クエリの実行
3.結果の表示
このシンプルな方法で、インデックス化されたデータから関連情報を効率的に検索することができます。LLMの能力を活用することで、単純なキーワードマッチングを超えた、意味的な検索が可能になります。
LlamaIndexの使用例

LlamaIndexは様々な用途に活用できます。ここでは、2つの具体的な使用例を紹介します。
カスタマーサポート用のナレッジベース構築
LlamaIndexを使用して、効率的なカスタマーサポート用のナレッジベースを構築することができます。以下は、その手順の概要です。
1.サポート文書の準備 製品マニュアル、FAQドキュメント、過去の問い合わせ履歴などを収集します。
2.データのインデックス化
index = GPTSimpleVectorIndex.from_documents(documents)
3.クエリインターフェースの作成
def answer_query(question):
response = index.query(question)
return response
print(answer_query(“製品Xの返品手続きについて教えてください”))
このシステムにより、カスタマーサポート担当者は迅速かつ正確に顧客の質問に答えることができます。
また、顧客向けのセルフサービスポータルにも組み込むことができ、24時間対応の自動応答システムとして機能させることも可能です。
研究文献の効率的な検索システム
LlamaIndexを使用して、効率的な社内文書管理システムを構築できます。例えば、会社の方針文書、プロジェクト報告書、技術マニュアルなど、大量の社内文書をLlamaIndexでインデックス化します。
各文書はPDFやWord形式からテキストに変換され、適切にチャンク分割されてインデックスに追加されます。
システムの利用者は、自然言語で質問を入力するだけで、関連する情報を即座に取得できます。
さらに、定期的に新しい文書を追加し、インデックスを更新することで、常に最新の情報を検索可能な状態に保つことができます。
これにより、社員の情報アクセス効率が大幅に向上し、業務の生産性向上につながります。
LlamaIndexのまとめ

LlamaIndexは、大規模言語モデルを活用したアプリケーション開発を効率化する強力なツールです。
高速なデータ検索、簡単な設定・運用、高い拡張性を特徴とし、様々な用途に適用できます。LangChainと比較しながら使い分けることで、より柔軟で強力なAIアプリケーションの開発が可能になります。
今後のAI開発において、LlamaIndexは重要な役割を果たすことが期待されています。
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