AIを活用していますか?昨今様々な業界で話題となっているAIの技術ですが、画像から翻訳をしたり、より何かの分野に特化したテキストの生成などが可能です。
今回はそんな生成AI技術の最先端と言えるであろう、Stable LMについて徹底解説します。Stable LMでできること、商用利用の可否など詳しくしていきます。
某電子専門学校卒業後、サーバー/ネットワーク運用業務を通し、ネットワーク設計/構築事業をメインにインフラ業務全般を担当。その後、某情報セキュリティ会社にて、情報セキュリティ教育事業の教育係も担当。
Stable LMとは

Stable LMとは、120憶にも及ぶパラメーターから開発された、大規模言語モデルの事を指します。開発元はStability AI Japan株式会社という、東京の渋谷を拠点とする会社で開発されました。
Stable LMは、その中でテキスト生成に特化した生成AIとされています。
Stable LMの特徴

Stable LMの特徴は、Stable LM 2.12B、Stable LM 2 1.6B、Japanese Stable LM2 1.6Bと呼ばれる、三つのAIに細分化されています。それぞれ開発に使用されたパラメーター数や、使用できる言語が違う点が特徴と言えるでしょう。
それ故に、自社でStable LMを使用する場合は、適切なStable LMのモデルを使用する必要があります。
日本語処理能力がある
日本語でのStable LMを使用する場合は、Japanese Stable LMと呼ばれる生成AIを導入する必要があります。70憶のパラメーター数から開発されていますので、様々な日本語に対応できるのです。
ベースとなるのが、このJapanese Stable LMのベータ版と、指示応答学習済みのStable LMとなっていますので、すでに実績があるモデルがベースになります。それ故に、柔軟な日本語の処理に対応出来る点が、優れていると言えるでしょう。
大規模データセットが活用できる
Stable LMは、大規模データセットでも活用できる事が公開されています。
最新のJapanese Stable LMでは、言語モデルを中心に、ハードウェアの負荷をかけ、Japanese Stable LMのアルゴリズムが適切に動作するかの試験を行いました。それ故に、さまざまな大規模データセットでも、適切に動作する事を発表しています。
ユーザーコミュニティが活発
Stable LMの開発元である、Stability AI Japanは、公式ブログでの情報発信や、技術情報の提供、活用事例など、ユーザーに様々な情報を提供しています。さらに、Stable LMなどのAIを実際に使用し、その検証結果などを、ユーザー同士で情報交換する場も提供しています。
その検証結果を踏まえて、Stability AI Japanはより高いレベルのAIの試験を行い、Stable LMなどの生成技術を高めていけるでしょう。営利目的の為だけでなく、より高度なAIを生み出していく事に力を入れています。
オープンウェイトモデルが豊富
Stable LMは、オープンウェイトモデルも豊富です。Stable LMだけでなく、Stability AI Japanが開発した生成AIは、基本的にオープンウェイトモデルを多数公開しています。
オープンウェイトモデルとは、AIのモデルとなるものに何か学習をさせたものを、誰でも自由に再利用することを可能としています。
一方でよく耳にするオープンソースとは、プログラマーが開発したソフトウェアのソースコードを、誰でも自由に利用・編集することを可能とします。
要はAIで再利用する場合はオープンウェイト、ソフトウェアのコードを再利用する場合はオープンソースを使用するという事です。
Stable LMと他の言語モデルとの違い

ここではStable LMと、その他の大規模言語モデルの違いについて、解説していきます。
| Stable LM | tsuzumi | CyberAgentLM | |
| パラメーター数 | 70億 | 70億 | 70億 | 
| トークン数 | 7,500億 | 不明 | 32万 | 
| 対応言語 | 日本語、英語 | 日本語のみ | 日本語のみ | 
| 商用利用 | 可 | 可(2024年より) | 可 | 
Stable LMは70億のパラメーターにも及ぶ、日本語と英語のデータセットにより、AIにトレーニングされているのです。さらにStable LMは日本語及び英語のwikipedia、日本語mc4などの約7500億ものトークンにより、事前学習されています。
他のLLMと比べると、パラメーター数だけでは標準的と言えますが、事前学習のトークン数が圧倒的に多いという点が特徴と言えます。文中でも紹介していますが、勿論商用利用もできます。
また、英語だけでなく、日本語でのテキスト生成が可能ですので、この点がStable LMの最大の強みと言えるでしょう。
Stable LMの使い方

ここでは、Stable LMの使い方について解説します。Stable LMは動作環境が高いPCスペックを必要としますので、中~高スペックのCPU及びグラフィックボードを持つPCが必要になってくるのです。
それぞれ詳しく説明していきます。
必要な動作環境
Stable LMの動作環境は以下の通りです。
- OS:Widows11、Windows10
 - HDD:少なくとも5GB以上
 - メモリ:8GB以上
 - VRAM:4GB以上
 - ソフトウェア:Python3.8以上のバージョン
 
最新のAI技術となるので、要求スペックは基本的に高いです。特に、HDDとメモリには、十分な空き容量が必要です。HDDについては容量の余裕があるドライブを使用しましょう。
メモリについても、8GB以上としていますが、実際に使用していると不足していく可能性もある為、長期間利用する場合は、あらかじめメモリを増設しておくのも手です。
さらに、VRAMをとても消費しますので、できればRTX000シリーズ以上のグラフィックボードを用意しましょう。
導入方法
導入方法を解説します。ここでは一般的な導入方法を解説します。このほかにも、Google ColabやHugging Faceを使用してダウンロード及びインストールが可能です。
生成AIのWebKitをダウンロード
まずは、生成AIのWebKitをダウンロードします。codeというボタンをクリックすると、DownloadZipと表示がありますので、その箇所をクリックするとダウンロードできます。
Zipファイルを解凍
WebKitをダウンロードしたら、ダウンロードしたZipファイルを解凍します。
Stable LMのインストール
インストール方法を解説します。
解凍したフォルダを移動
WebKitのダウンロードと解凍が完了したら、まずWebでの生成用プログラムのインストールを行います。WebKitを解凍したフォルダへ移動します。
自動インストールの開始
フォルダ内にあるstart_windows.batをダブルクリックすると、自動的にWebKitのインストールと設定が全自動で開始します。10~15分程度時間がかかります。
インストール及び初期設定が完了すると以下のようなプロンプトが表示されます。
Running on local URL: http://127.0.0.1:7860
WebUIにアクセス
URLをブラウザにコピー&ペーストすると、WebUIにアクセスできます。WebUIにアクセスした後、以下の画面で生成AIをダウンロードします。

インストールしたいAIを入力後、downloadをクリックすると、ダウンロードを開始します。
ダウンロードが完了すると、インストールも自動で行います。これでStable LMのインストールは完了です。
モデルの選択と設定
インストールが完了したら、実際の設定を行います。
モデルの選択
以下の画面で、生成AIのモデルを選択し、ロードします。

AI精度や負荷の設定
ロードしたら、GPUもしくはCPUにどれくらい負荷をかけるか設定できますので、以下の画面のように設定していきます。負荷をかければかけるほど、AIの精度が増します。

設定が完了したら、SaveSetteingをクリックし、Saveします。Chatタブに移動し、生成AIと会話が可能となります。
実際に質問をしてみる
WebKitのダウンロードから解凍、WebKitのインストールと初期設定、生成AIのモデルのダウンロードとインストール、環境設定が完了しましたら、Chat欄で生成AIと会話をしてみましょう。
以下の画面のように、下部のSentmessageと記載のある入力欄に、質問したいメッセージを入力します。

最初はシンプルに、「今日は元気ですか?」と質問してみました。すると以下のような回答が得られました。

さらに、以下のように、「今日の気分はどうですか?」と質問すると、このように返事がきました。

ただし、Stable LMのAIで会話をする際、PCのスペックが足りていないと回答を得られるまでものすごく時間がかかります。出来るだけスペックの良いPCで、Stable LMを使用すると良いでしょう。
Stable LMの回答例

ここまでStable LMの特徴から使い方、動作環境とインストール方法の紹介、Stable LMを使用して実際に会話をしてみました。
ここではStable LMを使用して、プログラミング、文書の生成、ビジネス企画についての3パターンの回答例を紹介します。是非参考にしてみてください。
プログラムコードの生成
先ほど導入と設定をしたStable LMのAIに、簡単なプログラミングコードについて、記載方法を伝え、要求通りの返答が出来るか検証してみました。
今回は、if文を使用したプログラミングコードの一例について、Stable LMのAIに聞いたところ、以下のような応答が返ってきました。

かなりシンプルな答えですが、一応聞いた要件についてはある程度要件通りに返答を得られたかと思います。もっとシビアに聞きたい場合は、パラメーターの調整が必要となりそうです。
もしパラメーターを設定する場合は、以下の画面で設定可能です。

文章の生成
次に、Stable LMの生成AIを使用して、どれくらいのレベルの文章を作成できるか、試しました。シチュエーションは、お客様への挨拶をメールで送りたい為、その一例を教えてもらえるか、です。
上記の要件をStable LMの生成AIに聞いたところ、下記の結果となりました。

質問には答えているのですが、若干ロボットっぽい返答になっています。
ビジネス企画の提案
最後に、ビジネスにおいてもこのStable LMのAIでテキストの生成を活用できるか、気になっている方も多いかと思いますので、実際に要件を伝えてどのような応答が来るのか試しました。
今回は金融のインフラを作りたいので提案をお願いしますと、かなりざっくりした質問で要求しました。結果は以下の画面の通りです。

少しこちらから聞いている事と相違があるように感じますが、注意点や問題点等の提案は出力されました。
規制が少ない?Stable LMで試してみた

ここでは世間一般的にグレーと言われる事について、Stable LMに応答を要求し、返答が出来るのかの検証をしてみました。
基本的に生成AIと呼ばれるものは規制がかかっていて、グレーな事を聞くと返答しないように開発されています。しかし、Stable LMは、規制が少ないという点があると噂されています。
これが本当なのかを試した結果が以下の通りとなります。今回はハッキングのやり方について要求してみました。

確かにハッキングのやり方なのですが、どちらかというと「ハッキングに気を付ける為にどうすればよいか」と読み取れます。
このように、Stable LMでもアングラな質問には答えてくれないようです。
今後Stable LMはどのように発展していく?

Stable LMは、現在次々とバージョンが発表されていて、この数年後まで新しいAIとしての能力や、操作性の向上が見込まれる可能性を秘めています。現在、Stability AI Japanのコミュニティで沢山の方が情報共有をしています。
現時点では、高いCPUの処理速度と、GPUの処理を要求する為、実用するとなるとものすごく高いスペックのPCが必要となってきます。
現在クリエイターとして仕事をしている方については、基本的に高いスペックのPCを使用している方が多いです。しかし、普通に仕事をしている方であれば、ノートPCを使用されている方が多いかと思います。
そのような場合、生成AIがアウトプットするまでにとても時間がかかりますので、この点の改善が必要になっています。
Stability AI Japanのコミュニティでも、様々な機能改善計画が出ていて多様な国籍の方が議論していますので、今後の改善にも是非、期待しましょう。
まとめ:Stable LMはこれから期待されるLLM

Stable LMは生成AIとしてはとても機能が高く、パラメーターも様々に設定できます。
シチュエーション毎に適切なパラメーターを設定すれば、要求通りの応答が得られるかと思います。
ですが、逆に考えるとシチュエーション毎にパラメーターを設定しないと期待通りの返答が得られることが少ないです。
また、先ほども述べましたが、質問をして回答をすぐ得たい場合、高いスペックのPCが必要となります。これらが改善されれば、Stable LMはChat-GPTに匹敵するほどのポテンシャルがあるかと思います。
株式会社Jiteraであれば、Jitera社員の生成AIのノウハウを活かす事により、要求通りのパラメーターを提案してもらえます。もし生成AIを使用していて困ったことがあれば、是非以下のリンクへお問合せください。

                
                
