数多くのプログラミング言語の一つ、Perl(パール)は長い歴史を持ち、今でも多くの開発者が使用している言語です。しかし最近は、多くのプログラミング言語があり、PythonやJavaなどが人気を占めています。
なので、Perl自体の名前を聞くことも少なくなっていますが、「Perlってどんな言語?」「Perlの特徴を知りたい!」と思っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、Perlの特徴やフレームワーク、そしてPerlで何ができるのかを解説します。合わせて、PythonやRubyと言った他の言語との違いも解説します。
本記事を最後まで読むことで、Perlとは何か理解できるのでぜひ、最後までご覧ください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
Perlの基本:何ができるプログラミング言語か
Perlはプログラミング言語の中でも、とくに昔からある言語で、開発されてから30年以上の歴史を持っています。
Webアプリケーションの開発に従事するプログラマーたちの間では、非常に広く知られ、人気のある言語であり、ほとんどの人がその存在を認識しているほどでした。
そんなPerlでは、何ができるのでしょうか。まずはPerlについて、どんな言語なのかを解説します。
Perlで実現できること
- Webアプリケーション開発
- Webサービス開発
- Iotシステム開発
- 基盤システム開発
Perlは、主にWebサイトやWebアプリケーションの開発に利用されますが、活用範囲は広く、基盤システム開発やIoTのシステム開発、Webサービス開発などにも適しています。
Webアプリケーション開発においては、単純な情報表示からデータベースからの情報読み込みや複雑な処理まで柔軟に対応可能です。
一般的にはPythonがIoTの開発に使われることが一般的ですが、Perlもまたテキスト関連の処理に長けており、現在でも基盤システムの開発で広く活用されています。
最近は、Perlの名前があまり耳にされなくなりつつあるかもしれませんが、未だに多くの場面で使われている言語と言えるでしょう。
Perlの歴史とその特徴
Perlは1987年に、アメリカ人のラリー・ウォールによって開発されました。Perlが開発された頃は、プログラミング言語の種類は少なく、テキスト処理にはC言語のようなコンパイル言語か、UNIXシェルでのプログラミングが一般的でした。
しかし、コンパイルの手間や処理の速度、シェルには制約が存在しました。Perlはこの課題を解決するために開発され、コンパイルが不要でありながらも強力なテキスト処理能力を持つ言語として誕生したのです。
そんな、Perlには他の言語と比較していくつかのユニークな特徴があります。その中の一つが「正規表現の処理能力」です。Perlは正規表現の処理能力が非常に強く、文字列のパターンマッチングや抽出、置換などが簡単に行えます。
つまり、Perlはテキスト処理において、とくに適しているプログラミング言語と言えます。
Perlのフレームワークとそのメリット
Perlを使用するにあたって、フレームワークを使うのがおすすめです。
大規模なWebアプリケーションやWebシステムを開発するには、多くのコードを記述する必要があります。しかし、フレームワークを利用することで、プログラムの記述量を大幅に削減し、開発にかかる工数の軽減が可能だからです。
経験が少ない開発者でも、効率良く開発ができます。そこで、Perlで使用できる代表的なフレームワークとメリットを紹介します。
代表的なPerlフレームワークとメリット
Perlで使用されるフレームワークは何種類かありますが、代表的なものは、「Mojolicios」です。
Mojoliciousは「Perl on Rails」とも呼ばれ、Ruby on Railsに影響を受けている一方で、Perlの柔軟性と表現力を活かした独自のデザインを持っています。
Mojoliciousを開発で使うメリットは、シンプルなWebアプリケーションから複雑なWebアプリケーションまで柔軟に対応できるように設計されています。保守性が高い特長も備え、小規模なプロジェクトから大規模なWeb開発まで幅広く利用可能です。
Mojoliciousの他にも、軽量で簡単なコーディングができる「Dancer」や、MVCアーキテクチャーを搭載している「Catalyst」が、広く利用されているPerlフレームワークです。
フレームワーク選定のポイント
多くの種類があるPerlフレームワークですが、有名だから選ぶのではなく、自身の目的に沿ったものを選ぶのが重要です。
とくに、以下のポイントを基準に選びましょう。
- プロジェクトの規模と性質
- 機能と拡張性
- コミュニティやサポート
プロジェクトの規模や性質に合ったフレームワークを選びましょう。小規模なWebサイトから大規模なWebアプリケーションまで、さまざまな規模に適したフレームワークがあります。
フレームワークが提供する機能や拡張性がプロジェクトの要件に適しているかも確認しましょう。必要な機能が組み込まれているか、拡張が簡単にできるかどうか選ぶポイントです。
また、フレームワークをサポートする活発なコミュニティがあるか確認しましょう。問題が発生した場合や新しい機能が必要な場合、コミュニティのサポートがあると安心できます。
これらのポイントを基準として、プロジェクトの要件に最適なPerlフレームワークを選ぶことが効率の良い開発へ繋がります。
Perlのフレームワークの注意点
先ほどの章では、Perlの代表的なフレームワークと、メリットを紹介しました。
フレームワークを使うことで、プログラムの記述量を大幅に削減し、開発にかかる工数の軽減が可能ですが、一方で、気をつけるべき注意点もあります。
とくに、以下の2つには注意が必要です。
- 開発の自由度が低い
- 学習コストがかかる
これらの注意点を詳しく解説します。
開発の自由度が低い
まず一つ目の注意点は、開発の自由度が低い点です。事前に多彩な機能が組み込まれたPerlのフレームワークは柔軟性がなく、その結果、開発の自由度が制限されてしまいます。
この制限によってプロジェクトの複雑さや変更の要望に対処するのが難しくなり、柔軟性を大切にする開発者にとってはやや不便に感じるかもしれません。
開発の自由度を求める場合は、より柔軟で拡張可能なPerlフレームワークを選択しましょう。一部のPerlフレームワークは、設定オプションやプラグインアーキテクチャが使えて、開発者がより自由にカスタマイズできるようになっています。
学習コストがかかる
Perlのフレームワークは使い方を習得すれば効率良く開発ができますが、学習コストが高くなるので、注意が必要です。Perl自体を学ぶのに加えて、Perlのフレームワークを学ぶ必要があります。
その上、Perlフレームワークの多くが十分なドキュメントやリソースがないため、学習に時間がかかります。
とくに、国外で開発されたフレームワークに関しては、情報が限られており、英語の技術ドキュメント理解が必要です。
この場合の解決策は、適切なリソースを見つけると、学習コストの軽減につながります。リソースを探すために、Perlコミュニティのサポートを活用するのも一つのポイントです。
Perlと他言語の比較:RubyやPythonとの違い
ここまで、Perlとは何ができるプログラミング言語か、そしてPerlのフレームワークについて解説しました。
Perlは、30年以上前に開発された長い歴史を持つプログラミング言語です。Perlは、主にWebサイトやWebアプリケーションだけでなく、基盤システム開発やIoTのシステム開発、Webサービス開発などにも適しています。
Perlの特徴がわかったところで、Perlと他の言語を比べてみましょう。数多くのプログラミング言語がある中で、今回は人気のあるRuby、そしてPythonと比較します。
RubyとPerlの比較
以下の表でRubyとPerlの違いを比較します。
特長 / 用途 | Ruby | Perl |
---|---|---|
特長 | エレガントな構文、オブジェクト指向に特化 | テキスト処理、システム管理に特化 |
文法の柔軟性 | シンプルで可読性が高く、動的型付け | 非常に柔軟で正規表現やテキスト処理に強み |
学習難易度 | 難しい | 初心者でも習得しやすい |
イテレータやブロック | 多機能 | 比較的シンプル |
用途 | Web開発に特化、一般的なプログラミング | Webサイト、Webアプリケーション開発、基盤システム開発、IoTシステム開発、Webサービス開発 |
フレームワーク | Ruby on Railsが人気 | 一般的には少ないが人気のものも多い |
コミュニティ | 活発で、特にRuby on Railsコミュニティが大規模 | 現在は減少傾向 |
RubyとPerlの主な違いは、Rubyはオブジェクト指向の言語として元々開発されましたが、Perlはオブジェクト指向ではないです。そのためオブジェクト指向の面で言うと、PerlよりRubyの方が優れています。
また、Rubyは日本人が開発したこともあり、日本語により情報が豊富なので、日本人のプログラマーにとって学習しやすい言語ですが、初心者には難しいです。一方で、Perlha
初心者でも習得しやすい言語なので、学習にコストはPerlの方に軍配が上がります。
PythonとPerlの比較
次に、プログラミング言語の中でも、とくに人気のあるPythonと比較します。
特長 / 用途 | Python | Perl |
---|---|---|
特長 | クリーンで可読性が高い、全体的なシンプルさ | テキスト処理やシステム管理に特化 |
文法の柔軟性 | シンプルで可読性が高い、動的型付け | 非常に柔軟で正規表現やテキスト処理に強み |
学習難易度 | 覚えるべき構文が少なく、Perl以上に習得しやすい | 初心者でも習得しやすい |
イテレータやブロック | シンプルで直感的な文法、ジェネレータをサポート | 比較的シンプル |
用途 | Web開発、データサイエンス、機械学習、自然言語処理など多岐にわたる | Webサイト、Webアプリケーション開発、基盤システム開発、IoTシステム開発、Webサービス開発 |
フレームワーク | DjangoやFlaskなどが人気 | 一般的には少なく、CGIスクリプトが一般的 |
コミュニティ | 大規模で活発なコミュニティ | 一部で使用が減少傾向 |
DjangoやFlaskなどの強力なWebフレームワークがあり、ウェブアプリケーションの開発に適しています。一方で、Perlはテキスト処理に強く、正規表現のサポートが優れています。ログ解析やテキストのパターンマッチングが得意です。
一般的には、Pythonは広範な用途に適しているため、多くの場面で使用されますが、Perlの特定の得意分野では引き続き重宝されているプログラミング言語です。
Perlの学習ができる入門書
Perlは初心者でも習得しやすい言語とお伝えしました。しかし、これから学習を考えている方の中には、どのように学習したら良いか迷っている方もいるでしょう。
ここでは、Perlの学習ができる、おすすめの入門書を2つ紹介します。
- 新版Perl言語プログラミングレッスン
- すぐわかるPerl(Software Technology)
上記2つの入門書は、Perlを学習する上でのバイブル的存在なのでぜひ、学習に取り入れてみましょう。
新版Perl言語プログラミングレッスン入門編
著者 | 結城浩 |
---|---|
出版社 | ソフトバンククリエイティブ |
出版年月 | 2006年10月21日 |
商品ページ | Amazon |
簡単な文章と、たくさんのサンプルプログラムで、Perlの基礎をわかりやすく解説した入門書です。正規表現をはじめとする、Perlならではのプログラム満載しています。本書1冊でPerlの基礎を完全にマスターできると言っても過言ではありません。
実際に読んだ方の、口コミは多数の高評価があります。
- かなり分かりやすかったです。今までPythonなどを本を買って勉強してましたが、バージョンの違いなどでエラーを吐いて挫折していました。
Perlはバージョンへの依存性が少ないこともあり、エラーも特になくスラスラ勉強出来ました!受験の教材などについても言える話ですが、解答ページが多いのもこの本の特徴です。基礎はこの本で学べますし、自分で作りたいプログラムがあるならある程度は実現が可能だと思います。(私は連番になっているテキストの3列目を抜き取り、平均化して別ファイルに出力しました)引用:Amazon公式
すぐわかるPerl (Software Technology)
著者 | 深沢千尋 |
---|---|
出版社 | 技術評論社 |
出版年月 | 1999年7月1日 |
商品ページ | Amazon |
『すぐわかるPerl (Software Technology)』は、Perlに限らず、プログラミング、あるいはコンピュータそのものに詳しくない人のためのやさしい解説書です。プログラムの作成と実行方法から、テキストファイルの処理の仕方、CGIプログラム入門まで解説しています。
Perlの入門書であると同時に、プログラミングそのもの、ひいてはコンピュータのやや高度な使い方の入門書なので、プログラミングやコンピュータに、あまりくわしくない方でも十分に知識を習得できます。
実際に読んだ方の口コミを紹介します。
引用:Amazon公式
初心者向けPerl学習のオンラインリソース
- Perlの公式ドキュメント
- YouTube
- Udemy
無料のものもあれば、有料のものもあります。ご自身に最適な学習方法を見つけましょう。
Perlの公式ドキュメント
Perlの公式が提供しているドキュメントで学習する方法です。公式が提供しているので、まず間違っていることはありません。
入門者向けのチュートリアルから高度なトピックまで幅広くカバーしているので、初心者でも学習しやすいです。
公式ドキュメントで学習するメリットは、常に最新の情報で学べることです。新しいリリースやアップデートに関する情報も迅速に更新されます。
しかし、公式ドキュメントで学ぶ注意点は、ある程度の技術的な知識を前提としている場合がある点です。そのため、初めてPerlに触れる場合は、公式ドキュメントだけでなく、入門書や他のオンラインチュートリアの併用がおすすめです。
YouTube
今や、使ったことがない人はいないくらいの動画共有プラットフォーム「Youtube」ですが、多くのプログラマーがPerlや他のプログラミング言語の講座を投稿しています。
Youtubeなので、料金はかからず無料で視聴できます。
Perl学習において、おすすめのチャンネルは、「Perl入学式」です。Perlのインストールから環境構築から変数・条件分岐、配列操作やハッシュ操作まで学習できます。
他にも、Perlの概要を解説しているチャンネルもあるので、コストを抑えてPerlを学習したい方にはおすすめの方法です。
Udemy
最後に紹介するのは、買い切り型の動画で学べる、オンライン学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」です。
Perlの将来性とビジネスへの応用
Perlは、プログラミング言語として歴史があり、幅広い用途で使われてきました。
しかし、時代の変化に伴い、需要は開発当初と比べると減少しているのが現状です。
しかしそれでも、今後も需要はある言語ですが、どのようになっていくのでしょうか。
最後に、Perlの将来性とビジネスへの応用を紹介します。
Perlの現在と未来のトレンド
Perlの強力なテキスト処理能力は現在でも、ログ解析やデータ変換などの用途で活用されています。セキュリティやシステム管理の分野でも重宝されています。
Perlは定期的に新しいバージョンがリリースされるのが特徴です。アップデートにより、将来的には言語仕様や機能が進化することが期待できます。
結論、Perlは依然として有用であり、とくに既存プロジェクトや特定の用途において重宝されるプログラミング言語です。将来的な展望も、バージョンアップや言語の進化、コミュニティの努力により、広いな範囲での利用が期待できるでしょう。
ビジネスにおけるPerlの活用事例
実際のビジネスシーンでPerlがどのように利用されているか、以下にいくつかの事例を紹介します。
用途 | 具体的な事例 | 利用方法 |
---|---|---|
ログ解析とセキュリティ | セキュリティ企業が異常アクティビティの検出に利用 | 大量のサーバーログを解析し、異常パターンを特定するスクリプトの開発 |
データ変換と統合 | 小売業者が異なるデータソースの統合に利用 | CSV、JSON、XMLなどのデータ形式を統一し、データウェアハウスに投入 |
ウェブスクレイピング | 旅行業者が競合サイトから価格情報を収集に利用 | Perlを使ったWebスクレイピングツールの構築 |
自動化ツールの開発 | システムインテグレーターがビジネスプロセスを自動化 | バッチ処理やデータ変換のスクリプトを開発し、業務プロセスの自動化 |
テスト自動化 | ソフトウェア開発企業が自動化テストに利用 | ユニットテストやCIプロセスにおいてテストスクリプトを作成 |
上記の事例からもわかるように、Perlは幅広いビジネスシーンで活用されています。それぞれの事例では、特定のビジネス課題や業務プロセスの改善にPerlが貢献していると言えます。
Perl言語まとめ
本記事では、プログラミング言語の一つ、Perlを紹介しました。
Perlはプログラミング言語の中でも、とくに昔からある言語で、開発されてから30年以上の歴史を持っています。
主にWebサイトやWebアプリケーションの開発に利用されますが、活用範囲は広く、基盤システム開発やIoTのシステム開発、Webサービス開発など多岐に渡ります。
Perlの導入や学習方法で迷った場合は、知識・実績が豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。