ReactとVue.jsは、それぞれJavaScriptを基本としており、UIを構築する点も同じで似ていますが、それぞれ特徴が異なります。
この記事では、ReactとVue.jsの基本やそれぞれの比較ポイント、ほかにもどちらを選べばよいかを解説しています。
この記事を読んで、これから開発するシステムをReactかVue.jsどちらで開発するかの参考にしてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
ReactとVue.jsの基本
Reactは、Facebookによって開発された、オープンソースのJavaScriptライブラリで、ユーザーインターフェース(UI)を構築するために利用します。
一方、Vue.jsは、Java Scriptのオープンソースフロントエンドフレームワークで、こちらもUIを構築するために利用されます。
どちらもJavaScriptである点とUIを構築する点は同じですが、それぞれどういったものなのでしょうか。
ここでは、ReactとVue.jsの基本にふれていきます。
- Reactとは?
- Vue.jsとは?
それぞれみていきましょう。
Reactとは?
Reactは、Facebookによって開発された、オープンソースのJavaScriptライブラリでUIを構築するために使用されるものです。
UIを後置するための効果的な手段を提供しており、特にSPA(シングルページアプリケーション)や大規模なWebアプリケーションに適しています。
Reactのおもな特徴は以下のとおりです。
- コンポーネントベースのアーキテクチャ
- JSX(JavaScript XML)
- 仮装DOM
- 一方向データフロー
Reactは、UIを小さな再利用可能なコンポーネントに分割して、これらコンポーネントを組み合わせてアプリケーション全体を構築します。再利用可能なコンポーネントを利用することで、コードの再利用性が向上し、メンテナンスが容易になります。
JSXは、JavaScriptの構文拡張であり、HTMLのような構文でコンポーネントを記述することが可能です。
Reactは、仮装DOMを使用して、実際のDOMヘの変更を最小限に抑えます。
仮装DOMは、メモリ内のDOM表現であり、変更があった場合に実際のDOMとの差分を計算して最小限の変更を実際のDOMに適用します。最小限の変更を実際のDOMに適用することで、パフォーマンスを向上させます。
Reactの表示の仕組みは、データを一方向に流し、親コンポーネントから子コンポーネントへデータを渡して、渡されたデータを変更せずにそのまま表示する仕組みです。
Reactは、柔軟性がありほかの技術とも組み合わせしやすいため、多くの技術者や企業に採用されています。
Vue.jsとは?
Vue.jsは、JavaScriptのオープンソースフロントエンドプロジェクトで、UIを構築するために使用するものです。
導入が容易で柔軟性があり、プログレッシブなフレームワークとして知られています。
Vue.jsのおもな特徴は以下のとおりです。
- コンポーネントベースのアーキテクチャ
- リアクティブデータバインディング
- 仮装DOMの利用
- 単一ファイルコンポーネント
- 柔軟性とプログレッシブな導入
Vue.jsは、Reactと同様に、コンポーネントベースのアーキテクチャを採用しています。
ほかにも、データとビューが双方向にバインドされる仕組みが提供されており、データの変更は自動的にビューに反映され、ビューでの変更もデータに反映されるために開発者は手動でDOMを変更する必要がありません。
Reactと同様に、Vue.jsも仮装DOMを使用して、実際のDOMへの変更を最小限に抑えてパフォーマンスを向上させます。
Vue.jsでは、HTML・JavaScript・CSSを1つのファイルにまとめる単一ファイルコンポーネントと呼ばれるファイル形式が使用されます。単一ファイルコンポーネントを使用すれば、コンポーネントの構造やスタイリングが容易になります。
Vue.jsは、ほかライブラリや既存のプロジェクトに容易に統合できるため、既存のコードベースへの段階的な導入が可能です。
これにより、必要に応じて機能を使いながら、プロジェクトをさらに進化させることができるでしょう。
Vue.jsは、Reactと同様に人気のあるフロントエンドフレームワークの1つであるため、プロジェクトの要件や好みに応じて最適なフレームワークを選ぶことが重要です。
ReactとVue.jsの比較ポイント
ReactとVue.jsには似たような機能があるものの、それぞれ特徴的なものであることがわかりました。
このように比較するポイントが多いReactとVue.jsですが、以下5つのポイントでそれぞれを比較してみました。
- 構文とコンポーネント
- 学習コスト
- プロジェクト規模への適合性
- 生態系とサポート
- 将来性とトレンド
それぞれみていきましょう。
構文とコンポーネント
Reactでは、UIを記述するためにJSXを使用しており、これはJavaScriptの構文拡張でHTMLのような構文でコンポーネントの記述が可能です。Reactのコンポーネント内では、Java Scriptを使用してロジックを組み込むことが一般的です。
クラスコンポーネントと関数コンポーネントの2つの主要なコンポーネントの定義スタイルがあります。
Vue.jsでは、HTMLのような構文を使用してテンプレートを記述し、このテンプレートはデータとビューのバインディングを定義するために使用されます。ディテクティブを使用してDOMへの動的なバインディングや条件付き表示などを行います。
Vue.jsでは、コンポーネントを1つのファイルにまとめて記述する、シングルファイルコンポーネントの利用が一般的です。
ほかにも、データをリアクティブに扱うことができ、データが変更されるとそれに基づくビューが自動的に更新されます。
ReactとVue.jsは、どちらもコンポーネントベースのアプローチを採用しており、UIの構築を容易にするために設計されています。
どちらを使用するかは、プロジェクトの要件や開発者の好みによって選ぶとよいでしょう。
学習コスト
Reactでは、JSXの理解が必要で、初めてReactを学ぶ人にとっては学習コストが高くなるでしょう。Reactは、コンポーネントがライフサイクルメソッドを持ち、それに基づいてコンポーネントの振る舞いを制御します。
このライフサイクルメソッドは、初めてReactを学ぶ人にとっては、学習コストが高くなる可能性があります。
ほかにも、状態管理やHooksの理解をする必要があるでしょう。
Vue.jsでは、HTMLに似たテンプレート構文とディレクティブを使用してコンポーネントを記述します。Vue.jsの学習では、このコンポーネントの理解に時間を要することがあるでしょう。
Reactと同様に、Vue.jsもコンポーネントのライフサイクルフックを提供しており、コンポーネントの作成から破棄までの各段階のコードを理解する必要があります。
大規模なVue.jsアプリケーションを構築する場合、Vue RouterとVuexを使ってルーティングと状態管理を行う必要があり、これらライブラリの理解も学習に時間を要するでしょう。
このように、ReactとVue .jsどちらも学習が必要となるものがあるものの、総合的な学習コストはどちらも低く、初心者から経験者までさまざまな人が利用しています。
Reactでは、大規模で幅広いコミュニティを持ち、Vue.jsはシンプルな内容で学習しやすいといわれてます。
プロジェクト規模への適合性
Reactは、大規模で複雑なアプリケーションに適しており、仮装DOMの利用や状態管理の柔軟性、ほかにも豊富なコミュニティがプロジェクトへ役立っています。アーキテクチャの選択肢が豊富で、開発者はライブラリや状態管理ツールを自由に選択できるのが特徴です。
Reactには豊富なサードパーティライブラリやモジュールが存在し、機能の追加や特定のニーズに対応する際に役立ちます。
Vue.jsは、シンプルな構文と直感的なデザインとなっており、小規模なプロジェクトから始める際にも適しています。
初心者が、すぐに学習してプロジェクトを迅速に開発するのに向いています。Vue.jsの学習コストは比較的低いとされており、これは小規模プロジェクトや初心者がVue.jsを活用するのに適しています。
単一ファイルコンポーネントを採用しており、プロジェクトの構造がシンプルになるため、小規模なプロジェクトで採用されることが多いです。
ReactとVue.jsはどちらも柔軟性がありますが、Reactはより多くの選択肢が提供されている点が特徴的です。
一方で、Vue.jsはより標準的で統一されたアプローチを採用しています。
総じて、Reactは大規模で複雑なプロジェクトで採用される一方で、Vue.jsは初めて学ぶ人や小規模なプロジェクトで採用されることが多いです。
生態系とサポート
Reactには非常に大規模なコミュニティを有しており、これらコミュニティを活用して、多くの企業や開発者がReactを使用しています。Reactの生態系には、豊富なサードパーティライブラリが存在し、これらのライブラリを使用することで開発効率を向上させることができます。
Facebookという大規模な企業からのサポート体制があるため、セキュリティの問題やバグに対する素早い対応が期待できるでしょう。
Vue.jsにもアクティブなコミュニティがあり、今も急速に成長しています。Vue.jsは、プラグインとして使用できる機能が多いため、プロジェクトの要件に合わせて拡張が可能です。
Vue.jsでも大企業が採用してますが、Reactほどの大規模な企業のサポートは受けていません。代わりに、Vue.jsには公式サポートが存在し、創設者であるコアチームがプロジェクトの進化とサポートに関与しています。
このような内容から、ReactとVue.jsどちらもサポートがしっかりしており、大きなコミュニティが存在しています。
Reactは、大規模なプロジェクトや企業のサポートがあり、Vue.jsは柔軟性と拡張性が魅力的です。
将来性とトレンド
ReactはFacebookによって開発され、多くの企業が採用されており、強力なコミュニティと開発体制があるため将来性が期待できる言語です。ほかにも、React Nativeの存在のおかげで、モバイルアプリをReact で開発が可能となっており、この拡張性がReactの将来性を高めています。
Vue.jsは急速に成長しており、初心者から経験者までさまざまな技術者が利用しています。特に新規プロジェクトや小規模プロジェクトでの利用が増加しており、これからも多くの利用者が増えることを考えると、将来性がある言語であるといえるでしょう。
Vue.jsには3が登場しており、Composition APIと呼ばれるAPIを導入し、開発者が効率的にコードを書くことを可能にしています。
このように、ReactとVue.jsのどちらにも将来性があり、どちらを選択するかはプロジェクトの要件や開発者の好みによって選ぶとよいでしょう。
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どちらを選ぶべきか?
ここまで、ReactとVue.jsの比較ポイントをみてきましたが、改めて一覧にまとめてみました。
React | Vue.js | |
---|---|---|
構文とコンポーネント | UIを記述するためにJSXを使用しており、これはJavaScriptの構文拡張でHTMLのような構文でコンポーネントの記述が可能 | HTMLのような構文を使用してテンプレートを記述する |
学習コスト | JSXの理解が必要で、初めてReactを学ぶ人にとっては学習コストが高くなる | HTMLに似たテンプレート構文とディレクティブを使用してコンポーネントの学習に時間を要する |
プロジェクト規模への適合性 | 大規模で複雑なアプリケーションに適している | シンプルな構文と直感的なデザインとなっており、小規模なプロジェクトから始めるのに適している |
生態系とサポート | 非常に大規模なコミュニティを有しており、これらコミュニティを活用して、多くの企業や開発者がReactを使用している | プラグインとして使用できる機能が多いため、プロジェクトの要件に合わせて拡張が可能 |
将来性とトレンド | React Nativeの存在のおかげで、モバイルアプリをReact で開発が可能となっており、この拡張性がReactの将来性を高めている | 新規プロジェクトや小規模プロジェクトでの利用が増加している |
このような内容から、ReactとVue.jsどちらを選ぶべきかのポイントを以下、解説していきます。
- Reactを選んだほうがよい場合
- Vue.jsを選んだほうがよい場合
それぞれみていきましょう。
Reactを選んだほうがよい場合
Reactを選んだほうがよいのは、以下のケースです。
- 大規模で複雑なアプリケーションの構築を行う
- 既存のJavaScriptエコシステムと統合する
- クロスプラットフォームなモバイルアプリケーションを開発する
- 柔軟な状態管理が必要
- JSX構文に慣れておりJavaScriptスキルが豊富
Reactは、大規模で複雑なアプリケーションの開発に適しています。仮装DOMの利用や豊富なサードパーティライブラリ、クラスコンポーネントと関数コンポーネントの組み合わせで、大規模なアプリケーションのアーキテクチャの効果的な設計が可能です。
また、ReactはJavaScriptエコシステムと深く統合しており、既存のJavaScriptライブラリやフレームワークがあれば、これらシステムへReactを統合することができるでしょう。
React Nativeは、Reactをベースにしたクロスプラットフォームで、モバイルアプリケーション開発のフレームワークですReactのスキルをそのまま活かしてネイティブアプリを開発できます。
Reactでは、ReduxやMobXなどのライブラリを使用して、状態管理を効率的に行うことが可能です。大規模なアプリケーションでは、複雑な状態管理が求められるため、Reactが適しています。
ReactはJSXと呼ばれる構文を使用するため、JavaScriptとHTMLを組み合わせたこの構文に慣れているエンジニアや、JavaScriptのスキルを豊富にもつエンジニアがいれば、Reactは扱いやすいでしょう。
このように、Reactは大規模なアプリケーション開発や複雑な要件、既存のJavaScriptエコシステムとの統合が必要なケースで適している言語です。
Vue.jsを選んだほうがよい場合
Vue.jsを選んだほうがよいのは、以下のケースです。
- 即座にスキルを身につけて使いたい
- 中小規模のプロジェクトで採用する
- コンポーネントを整理した形で利用したい
- CLI を活用してシステム構築したい
- コンポーネントの複雑性を管理したい
- 動的なUIの実装が多い
Vue.jsはシンプルで直感的な構文を持ち、学習コストが低いといわれているため、即座にスキルを身につけて使っていきたいケースに適しています。初めてVue.jsを触る人や小規模なプロジェクトであっても、迅速に学習を始められるでしょう。
Vue.jsは、中小規模のプロジェクトや、個人での開発に適しています。プロジェクトの規模が小さく、軽量なフレームワークが求められるケースでは、Vue.jsが適しています。
コンポーネントを整理した形で利用したいケースでは、Vue.jsが適しています。単一ファイルコンポーネント(SFC)を利用すれば、HTML・JavaScript・CSSが1つのファイルにまとめられるため、コンポーネントを非常に整理した形での管理が可能です。
Vue.jsにはVue CLIと呼ばれる、プロジェクトのスケルトンを簡単にセットアップできるツールがあり、このツールを利用すればプラグインや設定を容易に追加できます。Vue CLIを利用すれば、プロジェクトの構築が容易となり、迅速に開発が進められるでしょう。
Vue.js 3 ではComposition APIが導入され、より柔軟で効率的なコードの記述が可能となったため、コンポーネントの複雑性を管理しやすくなっています。動的なUIの実装が多いケースでは、Vue.jsが適しています。
リアクティブデータとコンピューテッドプロパティを活用して、データの変更に応じて動的なUIを簡単に構築できるため、複雑なUIの実装が可能です。
このように、Vue.jsはシンプルな構文・学習のしやすさから、小規模から中規模程度のプロジェクトに適しています。初めてVue.jsを触る人や個人での開発者、または軽量なフレームワークが必要なケースで、Vue.jsは役立つでしょう。
ReactとVueの違いのまとめ
Reactは、Facebookによって開発された、オープンソースのJavaScriptライブラリで、ユーザーインターフェース(UI)を構築するために利用します。
一方、Vue.jsは、Java Scriptのオープンソースフロントエンドフレームワークで、こちらもUIを構築するために利用されます。
ReactもVue.jsどちらもJavaScriptを利用することは変わりませんが、それぞれ特徴が異なります。
Reactは大規模なアプリケーション開発や複雑な案件、Vue.jsは初心者や個人での開発などの軽量なフレームワークが必要な際に採用されることが多いです。
このような、ReactやVue.jsを利用してシステム開発を行う際に、どちらを選べばよいかわからなくなることもあるでしょう。どちらを選んでよいかわからなくなった際は、株式会社Jiteraにご相談ください。
どのようなアプリケーションを構築したいのかをヒアリングさせていただき、その内容に応じてReactがよいのかVue.jsがよいのかご提案させていただきます。