Pythonを使ってスマホアプリを開発する方法を解説します。
初心者でも取り組みやすいフレームワークを活用することで、iOSやAndroidのネイティブアプリを手軽に作ることが可能です。
この記事では、Pythonを使ったスマホアプリの具体的な作り方や、実際に作ってみたアプリの例を紹介します。
Windows環境でも簡単に始められるため、Pythonで作れるものの幅広さを理解し、自分だけのアプリを開発しましょう!

現役のシステムエンジニアとして10年程度のキャリアがあります。 Webシステム開発を中心に、バックエンドからフロントエンドまで幅広く対応してきました。 最近はAIやノーコードツールも触っています。
Pythonでアプリ開発とは
Pythonでの、スマホアプリ開発の特徴には、以下のようなものがあります。
- クロスプラットフォーム開発が可能
- フレームワークを利用できる
- 迅速な開発が可能
- 豊富なライブラリがある
Pythonでは、クロスプラットフォーム開発が可能です。これは、一つの開発言語で、パソコンの場合では、Windows・macOS・LINUXなど異なるプラットフォーム上でのアプリ動作が可能となる開発手法のことです。
スマホアプリの場合には、同じコードベースから、iOSとAndroidの両方のプラットフォームに対応した、アプリの作成が可能となります。
しかし、クロスプラットフォーム開発の場合、ネイティブ言語(iOSならSwift/Objective-C、AndroidならKotlin/Java)で開発されたアプリと比較すると、処理速度やメモリ使用量で劣ることがあったり、カメラ、GPS、通知など、プラットフォームが提供するネイティブ機能へのアクセスが限定される場合があったりするので注意が必要です。
ほかにも、Pythonのスマホ開発をサポートするさまざまなフレームワークを利用したり、豊富なライブラリを利用したりすることで、迅速な開発が可能です。
Pythonでスマホアプリ開発をする際に必要なもの
スマホアプリをPythonで開発するには、いくつかの重要な要素が必要です。
まず、開発環境が整っていることが大切で、Windows・MacOSでの開発が可能なツールを選ぶことがポイントです。
また、iOSとAndroidそれぞれのプラットフォームに応じた要件や、モバイル開発フレームワークの選定も重要です。
これらの要素を理解し、準備を進めることで、スムーズにアプリ開発を始められます。
開発環境
スマホアプリ開発には、まずPython環境を整える必要があります。
Pythonをインストールし、適切なIDEやエディタを選ぶことで、効率的なコーディングが可能になります。
人気のあるIDEにはPyCharmやVisual Studio Codeがあり、それぞれの特長を活かして開発を進めることができます。これらはWindowsでもmacOSでも問題なく動作し、プロジェクトを管理しやすくするための便利なツールです。また、macOS上で使えるXCODEというIDEもあります。
ただ、スマホアプリの開発環境は、Python自体のインストールやコードエディター、パッケージ管理ツール、デバッグツールなどの基本的な要素に加え、IDEのような各プラットフォームに対応したツール群が必要です。
また、Pythonのバージョン互換性や依存関係の管理、さらにフレームワークとの連携においても制約が存在するため、システム全体の整備やトラブルシューティングに手間がかかる可能性があります。
モバイル開発フレームワーク
Pythonでスマホアプリを開発する際は、KivyやBeeWareなどのモバイル開発フレームワークを利用することで、ネイティブアプリを簡単に作成できます。
これらのフレームワークは、PythonコードをiOSやAndroidアプリに変換するための機能を提供しています。
特にKivyはマルチプラットフォームに対応しており、直感的なUIを構築するための豊富なウィジェットを備えています。
KivyやBeeWareは、Pythonでモバイルアプリを開発するためのフレームワークですが、実際に活用するときはいくつかの制限がある点に注意が必要です。
例えば、Kivyは高度なグラフィックスを必要とするアプリには向いていない場合があります。また、BeeWareはネイティブのUIコンポーネントも使用できるものの、プラットフォームごとの一貫性を保つのが難しいことがあります。
さらに、パフォーマンスの課題もあり、特にリソースを多く消費するアプリでは、ネイティブアプリに比べて動作が遅くなることがあります。
モバイル開発フレームーワークを使用するときは、各フレームワーク特有の制限がないかも事前に確認しておきましょう。
プラットフォーム固有の要件
iOSやAndroidそれぞれに特有の要件を理解することが、アプリ開発の成功に繋がります。
iOSアプリの場合、Apple Developer Programへの登録が必要で、Xcode等のIDEを用いたビルドとテストが求められます。
一方、AndroidではAndroid Studio等を使用し、Google Playにアプリを公開するための署名が必要です。
これらのプラットフォーム特有の要件を満たすことで、アプリが正しく動作し、ユーザーに提供できるようになります。
ただし、App StoreやGoogle Playには独自の審査基準や動作要件が設けられています。
例えば、Appleはアプリのデザインやユーザー体験に厳しい基準を設けており、これに適合しない場合は審査に通らないことがあります。
Androidの場合も、パフォーマンス、メモリ管理、ユーザーインターフェースの整合性が重視され、特にバックグラウンド処理やバッテリー消費に対する改善要求が厳しく出されることがあります。
Pythonベースのアプリは通常のネイティブアプリに比べてパフォーマンスや機能が劣ることがあるため、審査の基準をクリアするための対応が必要になることもある点に注意が必要です。
Google Playでは、アプリのANR率(Application Not Responding)とクラッシュ率が重視されており、これらの数値が高いアプリは評価が下がる可能性があります。ANR率を0.47%以下に抑えることを目標に、徹底的なテストと最適化を行いましょう。
追加ツール・ライブラリ
アプリ開発をスムーズに進めるためには、デバッグテストやUI/UXデザイン、データベース、API通信などをサポートする追加ツールやライブラリが欠かせません。
たとえば、FlaskやDjangoを使ってAPIを構築し、SQLiteやFirebaseでデータベースを管理することができます。
また、デバッグにはPytestやUnitTestを利用することで、アプリの品質を向上させることが可能です。
これらのツールを組み合わせることで、完成度の高いアプリを開発できます。
このように、Pythonでのアプリ開発には、さまざまなツールやライブラリが利用可能ですが、実際の開発においては制限や互換性の問題が発生することがある点に注意が必要です。
特に、異なるプラットフォーム間でのライブラリの互換性が問題となることが多く、問題対処のために想定外の時間がかかることもあると覚えておきましょう。
【iOS/Android別】Pythonでスマホアプリを開発する方法
iOSとAndroidアプリの開発の手順を解説していきます。以下のような構成になっています。
- 1.PythonでiOSアプリを開発する手順
- 2.PythonでAndroidアプリを開発する手順
それぞれ、詳しく説明していきます。
1.PythonでiOSアプリを開発する手順
Pythonを使用して、iOSアプリ開発を行うための手順は以下のとおりです。
- 1.1.アプリのアイデアと要件定義
- 1.2.開発環境の構築
- 1.3.デザインとUI/UXの基本実装
- 1.4.機能コーディングとデバッグの実施
- 1.5.テストとデプロイ
- 1.6.App Storeへの提出
それぞれみていきましょう。
1.1.アプリのアイデアと要件定義
iOSアプリを作成するために、まずはアプリのアイデアと要件を明確にしましょう。
ユーザーのニーズを理解して、どのような機能やデザインが良いかを決めていきます。
アプリの目的・開発時間・予算などを考慮して、どれだけの要件を詰め込めるかを検討します。
1.2.開発環境の構築
要件定義ができたら、次は、開発環境の構築します。
PythonのインストールやKivy(フレームワーク)のセットアップなどを行いましょう。
コードエディターやデバッグツール(IDE)も用意しておけば、その後のスムーズな開発に役立ちます。
1.3.デザインとUI/UXの基本実装
アプリ開発における、デザインとUI/UXの基本実装は、重要な要素の一つです。
ユーザーが直感的に操作できるUIを設計し、快適なエクスペリアンスの提供を目指していくことがポイントです。
このとき、プラットフォームごとのデザインガイドラインに沿ったデザインを検討すると良いでしょう。
1.4.機能コーディングとデバッグの実施
アプリの要件とデザインを決めたら、実際にコーディングを始めていきます。
Pythonはシンプルなコードであるため、容易にコーディングができるでしょう。
選択したツールやフレームワークをうまく使ってUIを構築していけば、堅牢性や保守性の高いアプリ開発ができます。
開発中に発生するエラーやバグは、適切なデバッグ手法を用いて修正します。
こまめなデバッグを実施していけば、精度の高いアプリが作成できるでしょう。
以下は、Kivyで簡単なボタンを作成するコード例です。
from kivy.uix.button import Button
class MyApp(App):
def build(self):
return Button(text=’Hello Kivy’)
if __name__ == ‘__main__’:
MyApp().run()
より複雑な例として、以下はAPIからデータを取得して表示するコード例です。
from kivy.app import App
from kivy.uix.gridlayout import GridLayout
from kivy.uix.label import Label
from kivy.network.urlrequest import UrlRequest
import jsonclass DataGrid(GridLayout):
def __init__(self, **kwargs):
super(DataGrid, self).__init__(**kwargs)
self.cols = 2 # 2 columns for label and datadef update_data(self, data):
# Clear existing widgets
self.clear_widgets()# Add headers
self.add_widget(Label(text=’Key’))
self.add_widget(Label(text=’Value’))# Add data rows
for key, value in data.items():
self.add_widget(Label(text=str(key)))
self.add_widget(Label(text=str(value)))class ExampleApp(App):
def build(self):
grid = DataGrid()
self.grid = grid
req = UrlRequest(“https://jsonplaceholder.typicode.com/todos/1”, self.got_json)
return griddef got_json(self, req, result):
# Update the grid with the JSON data
self.grid.update_data(result)if __name__ == ‘__main__’:
ExampleApp().run()
このコードは、https://jsonplaceholder.typicode.com/todos/1 からJSONデータを取得し、それをKivyのGridLayoutに表示します。UrlRequestは非同期でデータを取得し、got_jsonメソッドがデータを受け取ってUIを更新します。
1.5.テストとデプロイ
アプリの開発が完了したら、テストとデプロイを実施します。
アプリの動作やパフォーマンスを確認し、バグや改善点がないかを検証します。
テストはエミュレータを利用するとテスト実施が容易になりますが、実機でしかわからないこともあるため、実機でのテストもおすすめします。。
テストが無事に完了したら、アプリをリリースするためにデプロイの準備を行います。
1.6.App Storeへの提出
アプリが完成したら、Apple Store Connect を使用して、iOSアプリをApp Store に提出します。
アプリの情報やスクリーンショットなどを提供して、審査に提出し、結果が出るのを待ちます。
審査を通過できたらユーザーへ公開できます。
ただ、App Storeの審査は非常に厳しく、アプリの操作性、UIの一貫性、セキュリティ、及びパフォーマンスが厳しくチェックされるため、Pythonから生成したコードをどのようにネイティブ仕様に近づけ、かつ最新機能に対応させるかが重要となります。
2.PythonでAndroidアプリを開発する手順
Pythonを使用して、Androidアプリ開発を行うためのステップは、以下のとおりです。
- 2.1.アプリのアイデアと要件定義
- 2.2.クロスプラットフォームの選択
- 2.3.開発環境の設定
- 2.4.UIの設計と実装
- 2.5.ビジネスロジックの実装
- 2.6.テストとデバッグ
- 2.7.Androidデバイスでのテスト
- 2.8.ビルドとデプロイをしてGoogle Playへ提出
それぞれみていきましょう。
2.1.アプリのアイデアと要件定義
アプリ作成の前に、どのようなアイデアや要件定義をもってアプリを作成するかを決めていきます。
ユーザーのニーズを洗い出し、そのニーズを叶えるための機能やデザインを決定していきましょう。
要件定義の際は、プロジェクトにおける予算や開発時間なども考慮して、要件を決定していくのがポイントです。
2.2.クロスプラットフォームの選択
Pythonを使用してAndroidアプリを開発する場合、KivyやBeeWareなどの、クロスプラットフォームのフレームワークを検討するとよいでしょう。
フレームワークを利用すれば、PythonコードをAndroidアプリにコンパイルできます。
2.3.開発環境の構築
選択したフレームワークに必要な開発環境を構築します。
Pythonのバージョン管理・依存関係のインストール・Android開発用ツールのインストールなどを行います。
2.4.UIの設計と実装
ユーザーインターフェイス(UI)を設計して、必要な画面や機能を実装します。
UIデザインのためのツールやライブラリを使用すると、自身の求めるようなUIを設計しやすいでしょう。
2.5.ビジネスロジックの実装
要件定義で決めた、アプリの主要な機能やビジネスロジックをPythonコードで実装します。
データ処理・ネットワーク通信・データベースアクセスなどのビジネスロジックを実装します。
以下はフレームワークKivyを使ったAndroidアプリのサンプルコードです。
※税金を計算して総額を表示するアプリのサンプルコードです。
from kivy.uix.boxlayout import BoxLayout
from kivy.uix.label import Label
from kivy.uix.textinput import TextInput
from kivy.uix.button import Buttonclass PriceCalculatorApp(App):
def build(self):
self.layout = BoxLayout(orientation=’vertical’, padding=10, spacing=10)# 商品価格の入力フィールド
self.price_input = TextInput(hint_text=’Enter product price’, multiline=False, input_filter=’float’)
self.layout.add_widget(self.price_input)# 税率の入力フィールド
self.tax_rate_input = TextInput(hint_text=’Enter tax rate (%)’, multiline=False, input_filter=’float’)
self.layout.add_widget(self.tax_rate_input)# 計算ボタン
calculate_button = Button(text=’Calculate Total’, on_press=self.calculate_total)
self.layout.add_widget(calculate_button)# 結果表示用ラベル
self.result_label = Label(text=’Total: $0.00′, font_size=24)
self.layout.add_widget(self.result_label)return self.layoutdef calculate_total(self, instance):
try:
# 入力値の取得
price = float(self.price_input.text)
tax_rate = float(self.tax_rate_input.text)# ビジネスロジック: 税込みの総額を計算
total = price + (price * (tax_rate / 100))
self.result_label.text = f’Total: ${total:.2f}’
except ValueError:
self.result_label.text = ‘Please enter valid numbers.’if __name__ == ‘__main__’:
PriceCalculatorApp().run()
2.6.テストとデバッグ
ユニットテストやUIテストを実施し、アプリが期待通りに動作していることを確認します。
デバッグには、デバッグツールを利用すればバグやエラーが見つけやすく、精度の高いアプリが作成できるでしょう。
2.6.Androidデバイスでのテスト
エミュレータでもテストは実施できますが、実機でしか見つけられないバグも多いため、Androidデバイス(スマホ)でのテストを推奨します。
デバイスの挙動やパフォーマンスを確認し、必要に応じて修正を行いましょう。
2.7.ビルドとデプロイをしてGoogle Playへ提出
テスト実施が終わったら、アプリをビルドしてAndroidデバイスやエミュレータにデプロイします。
最終的な動作確認を終えたら、Google Play Console を使用して、Androidアプリを Google Playに提出します。
Google Playでの審査が通れば、ユーザーへの公開が可能となります。
Google Play審査では、UIの統一感、効率的なメモリ管理、バッテリー消費、及びセキュリティがチェックされ、特にバックグラウンド処理やデータ通信の最適化が求められます。
また、パフォーマンスについても注意が必要です。Pythonで開発したアプリはネイティブアプリに比べて動作が遅くなることがあるため、パフォーマンスの問題が発生しやすい傾向があります。
パフォーマンスの改善が必要になったときは、アルゴリズムの見直しや不要な処理を削除するなどの対応を行いましょう。
Pythonでスマホアプリを開発するメリット
Pythonが得意とする開発分野は、おもに以下のとおりです。
- Web開発
- データサイエンスと機械学習
- 自動化とスクリプティング
- ゲーム開発
- ネットワークプログラミング
- 科学計算
Pythonは、これらの開発分野の中でも、数値計算・統計処理・データ解析を得意としています。
Pythonには、さまざまなフレームワークがあり、とくにAI分野の開発が進めやすいとされています。たとえば、SNSの顔認証・Webの検索結果表示・音声認識・カーナビというような分野で、Pythonで開発したAI技術が使われています。
このようなAI技術は、スマホアプリでも活用できると考えられており、Python特有の開発分野です。
ここでは、Pythonでスマホアプリを開発するメリットについて解説しています。
開発効率がいい
Pythonはシンプルで読みやすい文法を持っており、開発効率が非常に高いです。
特に、KivyやBeeWareなどのフレームワークを活用することで、モバイルアプリの開発がスピーディに行えます。これらのフレームワークは、ユーザーインターフェースの設計や機能の実装を簡単にするための豊富なライブラリとツールを提供しています。
また、Pythonの豊富なエコシステムにより、既存のライブラリやモジュールを活用して機能を迅速に追加することが可能です。これにより、開発者はコーディングに多くの時間を費やすことなく、効率的にアプリを構築できます。さらに、テストやデバッグのプロセスも簡素化されており、迅速なフィードバックを得ることができるため、開発サイクル全体が短縮されます。
コストが削減できる
Pythonを使用したスマホアプリの開発は、コスト削減に寄与する要素がいくつかあります。
まず、Pythonはオープンソースであり、フリーで利用できるため、ライセンス費用が発生しません。また、Pythonのシンプルな文法と豊富なライブラリにより、開発者が少人数でも効率的に作業できるため、開発チームの人件費を抑えることができます。
さらに、KivyやBeeWareなどのフレームワークは、クロスプラットフォーム対応であるため、iOSとAndroidの両方に対応するアプリを一度の開発で作成でき、二重の開発コストを削減できます。これらの要素を総合的に考慮すると、Pythonを使用したスマホアプリの開発は、企業や個人にとって経済的な選択肢となります。
初心者でも学びやすい
Pythonはそのシンプルな文法と直感的な構文から、プログラミング初心者にとって非常に学びやすい言語です。
特に、Pythonの豊富なドキュメントやコミュニティのサポートは、学習者にとって大きな助けとなります。KivyやBeeWareなどのフレームワークも、初心者向けのチュートリアルやサンプルコードが充実しており、実際に手を動かしながら学ぶことができます。
また、Pythonの基本的な概念を習得することで、他のプログラミング言語への応用がしやすく、将来的なスキルアップにも繋がります。初心者がモバイルアプリ開発に挑戦する際の敷居が低く、自己学習を促進する環境が整っています。
これにより、独自のアイデアを形にする楽しさを早い段階で体験できることも、大きな魅力です。
機能の実装や連携が簡単にできる
Pythonを使用することで、アプリにさまざまな機能を簡単に実装したり、他のサービスと連携させることができます。
Pythonの豊富なライブラリとAPIが利用できるため、データベース接続や外部サービスとのインターフェースがスムーズに行えます。
たとえば、FlaskやDjangoを使用してバックエンドを構築し、RESTful APIを介してアプリとデータをやり取りすることが可能です。また、Kivyのウィジェットを使えば、ユーザーインターフェースを簡単にカスタマイズでき、アプリの見た目や動作をユーザーのニーズに合わせて調整できます。
これにより、機能追加や改善が迅速に行えるため、ユーザーからのフィードバックを反映させやすく、アプリの品質向上にも寄与します。この柔軟性は、競争の激しい市場においても大きな強みとなります。
Pythonでスマホアプリを開発するデメリット
Pythonが不得意とする開発分野は以下のとおりです。
- リアルタイム処理
- 大規模かつ高パフォーマンスなシステム
- 低レベルなハードウェア制御
- GPUプログラミング
Pythonは汎用性が高く、よいところばかりが見えがちですが、弱点もあります。
それは、実行速度の遅さ、です。
処理が複雑であったり処理速度が高速であることが求められるような開発には向いておらず、とくに、リアルタイム性が求められるゲーム開発には不向きです。ほかにも、大規模かつ高パフォーマンスが必要なシステムにも向いていません。
スマホンアプリ開発でも、リアルタイムなレスポンスを求める動きは得意としていないため、開発の際は注意が必要でしょう。
ここでは、Pythonでスマホアプリを開発するデメリットについて解説しています。
パフォーマンスが良くない
Pythonはインタプリタ型のプログラミング言語であり、コンパイル型の言語と比較して実行速度が遅いという特性があります。
このため、特にパフォーマンスが重要なアプリケーションや、リアルタイム処理が必要なゲームなどでは、パフォーマンスが劣ることがあります。
例えば、アニメーションや複雑な計算を多く含むアプリでは、Pythonの遅延が顕著になり、ユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性があります。また、KivyやBeeWareといったフレームワークを使用する場合、これらのフレームワーク自体のオーバーヘッドが追加され、さらにパフォーマンスが低下することがあります。
そのため、特にリソースを多く消費するようなアプリの場合、Pythonの選択は慎重に行う必要があります。アプリのスムーズな動作を求める場合、他の言語(例えばSwiftやC++)を検討することも一つの手段です。
プラットフォームに制約がある
Pythonを用いたスマホアプリ開発には、プラットフォームに関する制約が存在します。
特に、KivyやBeeWareなどのフレームワークは、iOSやAndroidに対応していますが、ネイティブアプリに比べて機能やパフォーマンスで制限があることが多いです。
例えば、特定のデバイス機能(カメラ、GPS、センサーなど)へのアクセスが制限される場合があり、開発者が意図する全ての機能を実装することが難しいことがあります。
また、アプリのデプロイメントや配布においても、App StoreやGoogle Playの厳しい審査基準に適合しにくい場合があります。これにより、開発したアプリが公開できないリスクも考慮しなければなりません。
さらに、プラットフォーム固有のUIコンポーネントやデザインガイドラインに従うのが難しく、ユーザーの期待に応えられない可能性もあります。
UI/UXを実現するのが難しい
Pythonでスマホアプリを開発する際、特にユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の実現には課題が伴います。
KivyやBeeWareといったフレームワークは、基本的なUIコンポーネントを提供していますが、特定のプラットフォームに最適化されたネイティブなデザインと比べると、見た目や操作感が劣ることがあります。特に、iOSやAndroidのネイティブなUIコンポーネントは、それぞれのプラットフォームのユーザーに熟知されており、これらを再現するのは簡単ではありません。
また、Kivyなどのフレームワークでは、カスタマイズ性があるものの、複雑なアニメーションやトランジションを実装するのが難しく、結果としてアプリの魅力が損なわれることがあります。
ユーザーが求める滑らかな操作性や直感的なインターフェースを提供することが難しいため、競合アプリと比較した際にユーザーから選ばれにくくなる可能性があります。これらの理由から、UI/UXの設計には特に注意が必要です。
Pythonを活用したスマホアプリの成功事例
Pythonを活用すれば、IOSアプリもAndroidアプリも作成できることがわかりました。
では、実際にどのようなアプリがあるのでしょうか。
ここでは、以下3つの成功事例を解説します。
- QPython
- 業務効率化アプリ
それぞれみていきましょう。
QPython
QPythonはAndroid向けに提供されるPythonプログラミング環境で、Androidデバイス上でPythonコードを実行できます。
Pythonインタープリタや各種ライブラリを搭載し、ユーザーが直接Pythonスクリプトを実行・編集できる点が特徴です。
Python学習者や開発者にとって便利なツールとなっています。
業務効率化アプリ
在庫管理アプリやデータ収集アプリなどの特定の業務プロセスを効率化するためのカスタムアプリが、Pythonで開発されることがあります。
BeeWareやKivyといったフレームワークを使用すると、PythonでiOSやAndroidアプリを開発できます。
これらのフレームワークを活用して特定の業務を行うスマホアプリを開発する事例も報告されています。
Kivyの公式ドキュメントには、Kivyを活用したスマホアプリの事例がいくつか紹介されているので参考にしてみてください。
Instagramは、ユーザーが写真や動画を共有し、フォロワーとコミュニケーションを取るためのソーシャルメディアアプリです。
フィルターや編集ツールを使って魅力的なコンテンツを作成し、ストーリーズやリール機能を通じてリアルタイムの瞬間を共有できます。また、ショッピング機能やブランドとのコラボレーションを通じて、ビジネスのプロモーションにも活用されています。
視覚的な表現を重視したプラットフォームで、クリエイターやインフルエンサーに人気です。
このアプリは、Pythonを主要なプログラミング言語として採用しており、InstagramのサーバーサイドやデータベースにはPythonが利用されています。
まとめ:Pythonでスマホアプリ開発をしてみましょう
Pythonを利用すれば、iOSおよびAndroidスマホアプリの開発が可能です。Pythonはシンプルなコードで誰でも手軽に学習することができ、初心者から上級者までさまざまな人がアプリを開発できます。
Pythonで開発されたアプリは多くあり、Instagram・Dropbox・Spotifyなどが有名です。
プログラム言語の習得や、ドキュメントの作成などに時間をかけなくても、AIでユースケースの作成から、データベースの設計、APIの設計、プログラムコードの作成まで一気通貫して作成するアプリ(ソフトウェア)があります。それがJiteraです。
Jiteraは、株式会社Jiteraが開発・販売しており、すでにいくつかの実績と成果をあげております。
Jiteraアプリの問い合わせ、スマホアプリの開発などの疑問については、ぜひ株式会社Jiteraへお問い合わせください。