システム開発で迷っていることはありませんか?
オープン系かWeb系か汎用系か…それぞれの特徴がよく分からずにお困りの方も多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、それぞれの定義からメリット・デメリットまでを詳しく解説しているので、総合的にシステム開発について理解することができます。また、開発目的や要件に合わせた選び方のコツも書かれています。
システム開発のプロフェッショナルである株式会社Jiteraが、様々な開発プロジェクトから得たノウハウを基に、わかりやすくオープン系とWeb系の違いを解説いたします。
開発方式の特徴が一目で分かる表も用意しています。迷わずに最適な開発方式を選べるはずです。
ぜひこの機会に、システム開発の疑問を解決されてみてはいかがでしょうか。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
オープン系・Web系・汎用系の定義と特徴
システム開発には、大きく分けてオープン系、Web系、汎用系の3つの方式があります。簡単に特徴を説明すると、オープン系は自由度が高い反面コストがかかりやすい開発方式です。Web系は迅速な開発が可能だがカスタマイズ性に制限がある方式です。そして、汎用系は標準化された安定したシステム構築が特徴です。これらの3つについて、以下くわしく解説していきます。
開発方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
オープン系 | 完全カスタマイズが可能
ゼロから新規開発 |
開発期間が長期化しやすい
要件に完全対応 |
開発コストが高価
開発期間が長期化しやすい |
Web系 | パッケージ基盤を活用
設定とカスタマイズで構築 |
開発期間が短期間
ランニングコストが低い |
パッケージ依存のため機能制限がある
カスタマイズに制限あり |
汎用系 | 標準業務機能を搭載したパッケージ | 導入実績が多い
ベンダーサポートが手厚い |
ベンダーサポートが手厚い |
オープン系の特徴
オープン系は、無制限にカスタマイズが可能なシステム開発です。企業の要件に完全に合わせた、独自のシステムをゼロから構築できることが大きなメリットです。一方で、開発工数が多くなりがちな反面、品質のバラつきも出やすいのが難点です。
オープン系は、プログラミング言語やデータベース等のIT技術を利用し、顧客要件に特化したソフトウェアを開発する手法です。要件定義から設計、開発、テストとすべての工程を新規に行うため、自由度が非常に高く理想的なシステムを構築できます。
反面、すべてを新規開発する関係上、開発コストと工数が多大にかかります。また要件変更への対応にも、多くの手間が伴うので、開発期間が長引くリスクもあります。開発品質の好不調は受託側の技術力に大きく左右されるため、設計ミスや不具合が後々発生する可能性も否定できません。
このため、オープン系はある程度の規模以上で、カスタマイズ要件が強くあり予算に余裕がある案件に適しています。自由な開発が可能な反面、リスクも高い開発方式といえます。
Web系の特徴
Web系は既存のパッケージソフトを利用し、設定とカスタマイズによってシステム開発を行う方式です。開発速度は速いものの、パッケージ商品の機能に依存するため自由度は制限されます。保守性や信頼性は高く、低コストで安定稼働が期待できます。
Web系は、ECサイトやグループウェア、会計ソフトなどの市販されているパッケージ製品をベースにシステム構築する手法です。パッケージ製品そのものが、汎用的な機能を持っているため、導入から稼働までスピーディーに行えるメリットがあります。
一方で、パッケージ商品の持つ標準機能の範囲内でしかカスタマイズができないという制限が伴います。商品によっては、カスタマイズ可能なレベルが異なるので事前の確認が必要不可欠です。
多くの類似導入実績があるWeb系ですが、パッケージ商品自体の品質如何ではシステム障害を起こす可能性もゼロとは言えません。ただし、保守体制が整っていることがほとんどなので、トラブル時の対応は迅速である場合が多いです。
汎用系の特徴
汎用系は、主要な業務機能が標準搭載された汎用的なシステムパッケージを利用する方式です。導入実績の多さから、信頼性が高く、簡易なカスタマイズによる低コストな構築が可能です。一方、アップデート時の改修コストが生じるデメリットもあります。
汎用系は、ERPやグループウェアなどの基幹業務システムを中心に多く利用されています。パッケージベンダーが長年のノウハウと顧客ニーズに基づき標準機能を搭載しているため、必要最小限の設定作業で利用できます。
加えて多大な導入実績があることから、システム障害等のリスクを抑えることができます。ベンダーサポートの質も安定しており、トラブルが起きた際の迅速な対応が期待できるメリットがあります。
その反面、パッケージのバージョンアップ時は、機能改修に対応するためのコストが別途必要になるというデメリットが存在します。自社の業務要件に合致しない機能もあるかもしれません。汎用系の特徴を理解した上で、導入を検討することが重要です。
※ERP・・・企業の経営資源を効率的に管理・運用するための総合的なソフトウェアパッケージのことです。
具体的には、財務・会計管理、受発注管理、在庫管理等の基幹業務機能を備えたアプリケーションで、グローバルでの利用実績が豊富な大手ベンダーの製品が主流です。
ERPパッケージを利用することで、複数の部門やプロセスをまたいだ業務データの一元管理が可能となります。
オープン系のメリット
オープン系は、0からの新規開発を行うため、最初から規模の大きなシステムを構築するには向いていません。しかしながら、初期段階やスモールスタートを考えている場合はコスト面でもメリットが大きい開発方式といえます。
メリット | 特徴 |
初期コストが安い | ・ライセンス料不要で低コスト導入が可能
・最小構成でスモールスタート可 |
カスタマイズ性が高い | ・自由な発想で理想のシステム設計が可能
・他社との差別化要素実現可 |
要件変更へ柔軟 | ・追加開発工数で機能改修拡張を実施可
・アジャイル開発手法と高い親和性 |
初期コストが安い
オープン系は独自のシステムを開発する方式ですが、最低限の機能だけ開発すれば、結構低コストで立ち上げることができます。スモールスタートを目指すスタートアップ企業や、手軽に社内システムを試験的に構築したい場合などに向いています。
オープン系は、パッケージソフトを利用しない全くの独自開発のため、ライセンス費用や初期導入費用が不要です。必要最小限の機能モジュールだけを組み合わせて、アプリケーションを作成する「ミニマムバイアブルプロダクト」の考え方を取り入れることで、初期コストを抑えることが可能です。
例えば、基本的な社内連絡システムであれば、メール機能+日報機能のみを簡易的に開発することで、低予算での試験的サービス開始が実現できます。
将来的に、機能拡張や業務改善の必要性が出てきたタイミングで、オープン系なら機能を追加していくことが自由にできます。最初から、すべてを完璧に構築しようとする必要がないのが強みです。
カスタマイズ性の高さ
オープン系システムは、0からカスタマイズ設計できるため、企業ニーズに完全対応したシステムを構築可能です。戦略上重要な、独自機能を実現したい場合など、他方式では難しい開発要件でも実現可能です。
オープン系は、要件定義時に自由な発想で理想のシステムを企画できるのが最大の特徴です。例えば、業界や業種毎に大きく異なる業務プロセスをゼロベースでシステム化することが可能です。
既成概念にとらわれない、斬新な機能を取り入れたい場合や、他社との差別化要素をIT面で実現したい場合など、オープン系なら外部要件でも対応範囲が広くなります。
一方で、オープン系は高度なカスタマイズに別のコストが伴うのが難点です。戦略上の必要性とコストメリットを十分に勘案して外部要件を検討する必要があります。
要件変更への柔軟性
事業拡大に伴い変化するニーズに、迅速に対応するには、オープン系のように柔軟性の高いシステムが向いています。機能追加や仕様変更といった、変更リクエストにも素早く対応が可能です。
オープン系は、独自仕様のアプリケーションを最初から開発しているため、後からの機能改修や拡張が自由に行えます。要件変更への対応スピードが速く、追加開発工数だけのコストで済むのが大きなメリットです。
例えば、新サービスを立ち上げた結果、当初予測していなかった機能が追加で必要になった、といったビジネス要件の変更が起こったケースでも、オープン系ならスピーディに対応できます。アジャイル開発手法との親和性が高いのが特徴です。
柔軟性の高さと引き換えに、再構築コストが高騰するリスクがあるため、要件定義の質を上げることがオープン系構築の鍵となります。
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オープン系のデメリット
オープン系は多くのメリットがある反面、プロジェクト管理や開発品質の難しさから、コスト面やスケジュール面でのリスクが高まりがちです。とくに大規模なシステム構築案件では、こうしたデメリットが顕在化するケースが少なくありません。
デメリット | 特徴 |
開発工数の多さ | ・すべて独自開発のため工数が増大しやすい |
保守コストの高さ | ・バグ修正やバージョンアップ時の対応コストが高額化 |
開発リスクが高い | ・設計ミスや開発品質のバラつきで失敗リスク大 |
開発工数の多さ
オープン系は、独自仕様のすべてを一から開発するため、他の方式と比べて工数がかさみがちです。規模や要件変更に対する工数増加も抑えづらく、開発生産性やコスト面で課題が出てきます。
オープン系は要件定義から設計、プログラミング、テストとシステム開発工程のすべてにおいて、完全独自のリソースが投入されます。機能が豊富になればなるほど、工数は累積的に増加する一方です。
また、要件変更や仕様変更の影響範囲が広範囲に及ぶため、小規模な修正でも想定以上の工数が必要となるケースが出てきます。プロジェクト規模が大きくなればなるほど、この傾向は顕著となり、工数予測やスケジュール管理が難しくなっていきます。
オープン系の開発生産性と、コストパフォーマンスを高めるには、設計品質と要件定義の完全性が極めて重要です。ただし一定のリスクは内包した上での、プロジェクト遂行が前提となります。
保守コストの高さ
オープン系は、カスタム仕様のため保守コストが大きくなりがちです。バグ対応や、バージョンアップ時の対応コストは標準仕様のパッケージソフトと比較すると格段に高額になる場合があります。
オープン系は、独自仕様のアプリケーション開発のため、システム障害が発生した際の原因特定やバグ修正に非常に手間がかかります。またバージョンアップ時には、以前のカスタム仕様との互換性や影響範囲の確認・修正といった保守作業が発生します。
こうした保守対応は、オープン系ならではの追加工数/コストが長期にわたり発生する要因となります。一方で、標準仕様のパッケージソフトなら保守ベンダーによる安定稼働や修正パッチの迅速な対応が望めるうえ、バージョンアップ時の保守コストも、抑えられます。
結果としてトータルのシステム保守コストは、オープン系のほうが格段に高くつくことが多いのです。ライフサイクルコストも考慮した上での方式選定が欠かせません。
開発リスクが高い
独自仕様での新規構築ということから、設計ミスや開発品質のばらつきが生じやすく、オープン系はプロジェクト失敗のリスクを内包しがちです。開発力差の影響を、マネジメントできるかが鍵を握ります。
オープン系は、自由度が高い反面、システム設計の失敗やプログラミングミスによる品質の格差が出やすい開発方式です。要件定義や基本設計の精度が低い場合、最終的なシステム品質に大きな差が出てしまいがちです。
さらに、オープン系では受託開発会社の技術力や開発経験による成果物の質のばらつきが、生じることが課題としてあげられます。開発会社選定の失敗は、直接的にプロジェクトの成功/失敗につながりやすいのです。
こうしたオープン系特有のリスクを回避するには、設計・開発体制のしっかりとした評価・監理が欠かせません。自社による十分なプロジェクト管理能力があるかを、見極めた上での導入が重要だと言えます。
Web系のメリット
Web系は既製品を利用するアプローチのため、比較的安定した品質での開発実現が可能です。オープン系に比べて、大幅に開発期間を短縮でき、保守コストの削減や失敗リスクの回避といったメリットも期待できる方式です。
メリット | 特徴 |
開発速度が速い | ・既製品活用で短期間で構築可 ・素早いサービス提供が可 |
保守コストが低い | ・パッケージベンダー保守でコスト削減 ・保守体制構築の必要なし |
開発リスクが低い | ・安定稼働が見込める ・開発失敗への不安が低減できる |
開発速度の速さ
既存の基盤システムを流用できるため、オープン系と比較してはるかに開発工程を短縮できます。素早いサービス提供や、市場投入が実現可能です。
Web系は独自開発の必要がないため、短期間でのシステム構築が可能です。基本機能が搭載されたアプリケーションを利用することで、要件定義や設計フェーズを大幅に省略し、実装とテストに集中することができます。
例えば、既成のグループウェアや会計ソフトの利用であれば、1~2ヶ月以内でのシステム立ち上げも夢ではありません。早期にサービスインすることでユーザーからのフィードバックを迅速に得ることが可能で、アジャイル開発を実現できる点も魅力的です。
一方で、業務要件に合致しない標準機能の排除やデータ移行などの追加作業が後工程で発生する場合もあります。Web系のメリットを最大限引き出すには、事前要件定義の質を高めることが重要です。
保守コストの低さ
保守は、パッケージベンダーに委ねられることが多いため、システムアップデートなどの保守コストを抑えることが出来ます。
Web系の大きなメリットの一つに、保守面でのコスト削減効果があります。システム保守はパッケージベンダーが行うケースがほとんどで、バージョンアップに伴う改修作業も標準仕様の範囲内で対応が可能です。
自社での運用・保守体制の構築が不要なため、長期的なTCO削減を見込むことができます。また障害発生時には、ベンダーサポートに問い合わせすることで迅速な原因究明と回復が望めるのも大きなメリットだと言えます。
開発リスクの低さ
標準化された製品を使うことで、品質面でのリスクが縮小します。安定稼働が得られやすく、開発失敗につながりにくいのが特徴です。
Web系の大きな魅力は、開発失敗のリスクを大幅に抑えられる点にあります。数多くの類似導入実績がある標準製品を利用することで、未知のトラブル発生を防ぐことができるのです。
業務処理の論理や画面遷移など、基本的な品質は担保されており、 常時システム構築に集中できます。テスト工程での不具合発見リスクも低減されるため、工数とコストの削減につながります。
また、仮に品質問題が発生した場合でも、ベンダーサポートによる迅速な対応が望めます。保守体制の確立が製品信頼性の向上に直結するといえます。
Web系のデメリット
Web系は既製品を利用する分、自由度が制限される傾向にあります。パッケージ商品を利用する関係上、導入コストの高騰や機能面での制約を伴いがちなケースが少なくありません。
デメリット | 特徴 |
カスタマイズ性が低い | ・標準仕様からの外れ要件は実現困難 |
導入コストが高い | ・高額なライセンス費用の場合がある ・更新時の移行コスト発生 |
要件変更への対応力が低い | ・変化需要への柔軟な対応が難しい |
カスタマイズ性の低さ
外部パッケージの機能に依存するため、独自要件の実現は難しくなりがちです。想定外の機能拡張に対する制限が生じます。
Web系の課題は、パッケージ商品の標準仕様から外れる案件では機能面での制約が大きいことです。商品ごとに、カスタマイズ可能レベルが異なるため、事前の精査が必要不可欠です。
例えば、業界固有の業務処理を反映したシステム改修は難易度が高く、改修費用対効果を慎重に判断する必要があります。想定外の要件変更に、柔軟に対応することもパッケージ依存のWeb系では難しい側面があるといえます。
自社ニーズに合致する製品か確認し、カスタマイズが必須な要件の有無も事前検討することが欠かせません。
導入コストが高い
パッケージライセンス購入の必要性から、初期のシステム構築コストが嵩みがちです。更改時の移行コストも発生します。
Web系のデメリットとして、プロプライエタリなパッケージ商品を利用する分、初期コストがかさむことがあげられます。中には高額なライセンス料金設定のソフトウェアもあり、予算確保の際の課題になりかねません。
また、バージョン変更時のデータ移行作業や、複数パッケージとの連携改修など、更新時の改修コスト負担もWeb系特有のデメリットです。システム更改のタイミングで、発生するこれらのコストも含めたトータルコストの比較検討が欠かせません。
要件変更への対応力が低い
標準仕様のため、機能追加や仕様変更を行うことが難しく、事業拡大に伴う機動的な対応がしづらい傾向があります。
Web系のもう一つの課題は、変化するビジネス要件への対応力の低さです。パッケージ商品の標準仕様からの仕様変更が難しく、新たな案件要件に柔軟に対応することが難しい側面があります。
例えば、新規事業進出に伴うシステム改修や、業容拡大に応じた処理内容変更など、変化する要件への対応コストがネックとなるケースが出てきます。自社ニーズとパッケージ機能のフィット感が重要になります。
改修断念を選択肢に据えた上でのパッケージ選定、もしくは定期的改修コストの確保がWeb系活用上の課題であるといえます。
汎用系のメリット
汎用系は標準化されたパッケージを利用することで、安定稼働や低コスト運用といったメリットが大きいシステム開発方式です。大規模システム構築時の信頼性確保に向いていると言えます。
メリット | 特徴 |
システム安定性が高い | ・多くの導入実績から信頼性が確保 |
保守コストが低い | ・保守サポート体制が手厚い ・更新コストが見込み可能 |
開発ノウハウが蓄積 | ・顧客ニーズを反映した高品質な仕様 |
システム安定性の高さ
多くの導入実績があるからこそ、処理内容や品質面で安定稼働が期待できます。業務を停止する重大障害を、回避できるメリットがあります。
汎用系の最大の強みは、業界標準のパッケージを利用することによるシステム障害リスクの低減にあります。類似業務導入実績の積み重ねで、信頼性が高められており、未知の問題が起因する全停止を避けられるメリットが存在します。
例えば、ERPパッケージは大量取引に対する安定性が厳しい状況下で検証されています。想定外のエラーが原因で業務そのものをストップさせてしまう事態を避けられるだけのしっかりとした品質基準が担保されています。
また、パッケージベンダーによる手厚い保守体制も、システムの安定稼働に直結すると言えます。ワンストップサポートを受けられるのも魅力といえます。
保守コストの低さ
保守サポートが手厚いうえ、バージョン更新時の対応コストも一定水準に抑えられます。トータルの運用コスト削減が可能です。
汎用系の大きなメリットの一つに、パッケージベンダーによる保守コストの抑制があります。バージョンアップ時の改修対応は機能改善が主体となるため、保守費用の予測も立てやすい特長があります。
また、保守・サポート体制が手厚いのも汎用系の魅力ポイントといえます。24時間365日の電話サポート提供や、複数言語に対応した海外拠点との連携など、大手ベンダーならではの充実ぶりはシステム担当者の作業負担も下げてくれます。
一方で、そうしたサポートサービスの快適性と引き換えに、若干高めの保守料金設定となることが一般的です。コストメリットとのトレードオフを比較検討しつつ、自社に適した支持を選択することが大切です。
開発ノウハウの蓄積
長年の運用経験や顧客ニーズの蓄積が生かされた、信頼性の高いシステムを構築できます。
汎用系の大きな強みは、パッケージベンダーが数多くの顧客導入実績を基に蓄積した、開発ノウハウが活用できる点です。業界トレンドや要望を踏まえた、高品質な仕様設計がなされているため、自社での試行錯誤を重ねることなく安心して構築できます。
例えば、受発注や在庫管理といったコアな業務機能は必要十分な処理能力やデータ容量が考慮されており、想定外の大量処理トラブルを回避できるのが強みです。
その反面、自社の業務ワークフローに完全にマッチしないケースも少なからず存在します。個別要件に対する対応力が課題といえます。
汎用系のデメリット
汎用系は標準仕様のパッケージを利用する分、自社の業務要件に合致しない機能が含まれていたり、カスタマイズが制限されることが課題としてあげられます。
デメリット | 特徴 |
カスタマイズ性が低い | ・標準仕様のため自由なカスタマイズが難しい |
導入コストが高い | ・高額なライセンス購入費用が発生するケースあり |
要件変更への対応力が低い | ・変化要件への柔軟な対応がしづらい |
カスタマイズ性の低さ
標準仕様のため、独自の業務要件を反映したカスタマイズが難しい制限があります。
汎用系の共通の課題点として、標準仕様ゆえに自社の業務要件に特化したカスタマイズが難しい点があげられます。パッケージ側の機能改修スケジュールに左右されるため、短期的な要望への対応は困難な場合が少なくありません。
例えば、競合他社のサービスとの差別化を図るために求められる新機能追加や、急成長に伴う処理容量の引き上げといったニーズに対して、柔軟かつ速やかな対応が難しい側面があるのです。
そのため汎用系選定時には、業務要件と標準機能の適合性を慎重に事前検証する必要があります。要件定義の質や将来予測の精度がより重要になってきます。
導入コストが高い
有償のパッケージ製品を利用することから、ライセンス購入を含めた初期コストが掛かります。
汎用系のデメリットとして、その会社の独自的なパッケージ製品を利用するために、高額なライセンス購入費用が必要となるケースが少なくありません。特に大規模システムの場合はその傾向が強まります。
またバージョンアップに伴うデータ移行作業や機能改修のための改修コストも、追加でかさむ可能性があり注意が必要です。せっかく導入したシステムを短期間で刷新する場合、導入コストの回収に時間がかかることが懸念材料となります。
汎用系選定の際には、短期的コストと中長期的コストの比較も行い、投資対効果を総合的に判断することが欠かせません。
要件変更への対応力が低い
標準仕様のため、変化するニーズへの対応力に制限が生じがちです。
汎用系のもう一つの課題は、事業の成長や新ビジネス展開に伴う変化要件への対応力の低さです。アジャイル開発のように、機動的かつ柔軟なシステム改修が難しく、想定外の要件変更が発生した際の迅速な対応が難しいのが実情です。
このため汎用系システムを継続利用する以上は、業務要件と標準仕様の適合性を定期的に検証・見直しを行うといった継続的コストの発生を覚悟する必要があります。
変化対応力よりも、安定稼働を重視するなら汎用系が有効ですが、前提条件を理解した上での決断が欠かせません。
オープン系・Web系・汎用系の選び方のポイント
それぞれの開発方式には特徴があります。業務の目的や要件に応じて、最適な方式を選択することが求められます。コスト最優先かカスタマイズ性を重視するかなど、優先すべき事項を明確にした上で比較検討が必要です。
コストを抑えたい場合
低予算かつ小、規模なシステム立ち上げを考えている場合は、オープン系が向いています。最小構成のモジュール開発から始めることをおすすめします。
オープン系はライセンス費用が不要な上、機能を限定したミニマム構成で立ち上げる「ミニマムバイアブルプロダクト」の手法を取り入れやすいメリットがあります。
例えば、社内文書共有システムの場合、初期段階では基本的なファイルアップロードとダウンロード機能だけ開発し、コストを抑えた小規模な構築から始めることができます。
その後、利用者の成長や要望に応じて、追加機能を継ぎ足すいわゆるアジャイル開発手法とも親和性が高く、継続的に低コスト体制を保ちやすいのが強みです。
カスタマイズ性を高めたい場合
業務要件に特化した高度なカスタマイズを必要とする場合は、オープン系が向いています。ただし、十分な予算確保が前提条件となります。
オープン系こそが自由な発想で、理想の業務システムを構築できる最適な方式といえます。業界/業種毎の細やかな業務ルールを可能な限り網羅した高度なカスタマイズに対応できます。
例えば、競合他社との差別化要素を強化したい場合や、新規事業の成功に成功に不可欠な戦略システムを構築したい場合など、他方式では対応不可能なシーンでオープン系の真価が発揮されます。
ただし、想定外の機能追加要求への対応コストもあるため、十分な予算確保と要件定義の質を高めることが肝要です。
開発速度を重視したい場合
サービスインを早期に実現したい場合は、Web系が向いています。既製品の活用で開発期間の短縮が図れます。
スピード感を重視する場合、既存のパッケージ製品を活用できるWeb系が最適です。市販ソフトを利用することで設計・開発の必要がなくなり、即実装に集中できるため開発期間の大幅短縮が可能になります。
例えば、クラウド型スケジュール共有サービスの利用で、社内スケジュール管理システムを1ヶ月程度で構築できるようになります。機能面での妥協を覚悟のうえで開発期間短縮を優先したい場合に有効な選択肢といえます。
一方で、パッケージ商品に業務要件がマッチしない場合の改修コスト/工数がネックになるリスクがあるため、事前要件定義の質が鍵となります。
保守コストを抑えたい場合
運用コストの低減を重視するなら、Web系や汎用系がおすすめです。ベンダー保守によるランニングコスト削減が見込めます。
保守面でのコストメリットを重視する場合は、パッケージベンダーによる保守/運用体制が構築しやすいWeb系/汎用系がおすすめです。
バージョンアップの管理や日常的な稼働監視といった、保守業務をベンダーにアウトソースすることで、インフラや運用担当人材など自社保有リソースに係るコストを抑えられます。
一方で、パッケージ非対応の独自改修部分の保守については自社対応が必要です。自社開発リソースも合わせて試算のうえで方式を選定する必要があります。
システム停止リスクを回避したい場合
安定稼働は汎用系がおすすめです。多くの類似導入実績から、信頼性が担保されています。
基幹システムの安定稼働を最優先し、停止リスクを避けたい場合、積み重ねられた多数の類似導入実績がある汎用系が最適です。
例えば、ERPは大規模データと複雑な業務処理を含むシステムですが、過酷な状況下でのストレステストを経て一定の信頼性水準を満たした製品が市場投入されています。
パッケージ選定時に稼働実績や機能対応表を確認することで、後々想定外の機能障害を招くリスクの回避につながります。
システム開発会社を選ぶポイント
外注開発を検討する際には、実績と体制、提案力に基づいて開発力を評価し、信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。失敗すると多額の再開発コストが発生するリスクがあるため、相手方の技術力と開発生産性を見極めることが欠かせません。
開発実績を確認する
どのような開発案件をこなしてきたか、実績内容と導入先を確認することをおすすめします。
開発会社を選ぶ大きなポイントの一つが、実績です。受託開発の場合、その会社が過去に手掛けてきたシステム開発案件の内容を確認する必要があります。業務領域と規模感が自社の開発想定案件に近いものが望ましいでしょう。
加えて、実際の導入先を明示してもらい、可能であれば他社への参考情報提供に同意いただけないか確認してみることも大切です。実績案件の完成度と、導入後の保守体制への評価を直接ヒアリングできれば開発力とサポート力の判断材料になります。
開発体制を確認する
社内の開発体制と平均勤続年数などを確認し、安定した開発が担保できる体制が整っているかを判断する必要があります。
開発能力以上に重要なのが、安定的な開発体制です。受託開発の場合、担当者の退職による代わり映えで技術力が急落することがあってはならないからです。
そのため、社内の開発要員規模と平均勤続年数を確認し、人材流出のリスクが管理されているかを判断することが大切です。
またプロジェクト管理体制がしっかりしているか、設計・開発・テストと役割分担が明確にされているかなど、継続的な品質水準を担保できる体制整備状況を確認する必要があります。
提案力を見極める
単なる要件定義の受け手でなく、相談に乗り解決策を提案できる力量が求められます。想定外の課題解決力こそが信頼できるパートナーの証となります。
単に、要件定義書を受け取って開発を実行するだけの体制では失敗のリスクが高まります。業務理解と解決策提案の力が求められるのです。
自社では気づかない課題やリスク事項を指摘し、より良いシステム提案ができることこそが信頼できるパートナーといえます。単なる作業受託者ではなく、業務課題を解決するコンサルティングマインドを有することが大切です。
そのためにはヒアリング時だけでなく、要件定義後の解決策提案力を試すことが欠かせません。想定外の追加要望にどこまで対応可能かをみることで、柔軟な対応力と幅広い能力が判断できます。
オープン系とWeb系のまとめ
自社の業務ニーズと予算に合わせて、メリット・デメリットを比較検討し、最適なシステム開発の方式を選択することをおすすめします。
オープン系は、自由度と拡張性に優れる反面、リスクも高く管理が難しい部分があります。一方のWeb系は開発効率とコスト面でメリットが大きい反面、汎用特性上しがらみも生じやすいポイントです。
特徴を理解した上で、自社の強みやリソースを考慮し、戦略的観点から方式を選定する事が重要だと考えます。ぜひ一度ご相談ください。
システム開発でお悩みの方はお気軽に株式会社Jiteraまでご相談ください。ご要望に沿った最適なシステム構築支援をさせていただきます。