オブジェクト指向データベース(OODB)とは?特徴から活用例まで初心者でもわかりやすく解説!

Webアプリケーションの開発や、インフラの構築を行っていると、必ずデータベースの構築作業が発生します。データベースの構築を行う際、データベースを導入する環境によっては、複雑なデータを取り扱う為、とにかく時間がかかることがあるのです。

今回は、オブジェクト指向データベースと呼ばれる、JavaやC++などの言語で、効率的に構築と運用ができるデータベースについて徹底解説していきます。

これからオブジェクト指向データベースの設計を行う方や、オブジェクト指向データベースとは何かを知らない方に向けて、出来るだけわかりやすく説明しますので、是非、最後までご参照ください。

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監修者 エンジニア 石島

某電子専門学校卒業後、サーバー/ネットワーク運用業務を通し、ネットワーク設計/構築事業をメインにインフラ業務全般を担当。その後、某情報セキュリティ会社にて、情報セキュリティ教育事業の教育係も担当。

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    オブジェクト指向データベースとは?

    オブジェクト指向データベースとは、複数のデータを一つのオブジェクトとして取り扱うデータベースの事を指します。

    オブジェクト指向データベースが登場する前は、データベースが使用するテーブル(表)に、データを一つずつ取り扱う事が主流でした。

    このオブジェクト指向データベースの登場により、JavaやC++などの、主にオブジェクト指向言語を使用する環境において、効率よくデータベースの設計と構築、及び運用が可能になったのです。

    データベースの設計について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

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    オブジェクト指向データベースの特徴

    オブジェクト指向データベースの特徴について、以下の4つの観点から解説していきます。

    • データのオブジェクト化して直感的に表現できる
    • クラスとインスタンスによって効率的な管理ができる
    • カプセル化によってデータの保護しつつ再利用できる
    • 継承とポリモーフィズムによってさらに表現を拡張できる

    それぞれ一つずつ、詳しく説明します。

    データのオブジェクト化して直感的に表現できる

    オブジェクト指向データベースの一番の特徴が、オブジェクトを使用してデータベースを構築できる点です。オブジェクト指向データベースにおけるデータのオブジェクト化とは、複数のデータを分類し、まとめる事を指します。

    これにより、複雑なテーブルにおいて、データを一つずつ設定していくのではなく、オブジェクト単位で設定するので、わかりやすくかつ、効率的にデータの処理が可能です。

    そのため、オブジェクト指向言語がメインに使用されている環境のサーバーでは、オブジェクト指向データベースを使用したサーバーとして構築されたものが多いです。

    クラスとインスタンスによって効率的な管理ができる

    オブジェクト指向データベースは、データをオブジェクト化することで、効率的にデータを処理すると述べました。

    オブジェクト指向データベースは、オブジェクトの他に、クラスとよばれる階層と、インスタンスと呼ばれる集合体が存在します。オブジェクトをインスタンス化することでデータの呼び出しを効率化し、それらをクラス分けすることで、データベースを階層化するのです。

    これらの技術により、オブジェクト指向データベースを使用して、プログラマーがプログラミングを社内サーバー上で行う際、より生産性が高く行えるようになりました。

    カプセル化によってデータの保護しつつ再利用できる

    オブジェクト指向データベースには、カプセル化とよばれる技術があります。カプセル化することでデータの隠ぺいと保護を行い、他のオブジェクトの変更や追加、実装などからカプセル化されたオブジェクトを守ります。

    特に、プログラマーが本番環境でデータの実装を行う際、その他の環境のプログラムが影響されないようにカプセル化を行う事が多いです。

    継承とポリモーフィズムによってさらに表現を拡張できる

    オブジェクト指向データベースは、継承とポリモーフィズムを活用することで、プログラムの記述の表現をある程度自由にできます。

    例えば、ポリモーフィズムの技術を利用すると、同じ動作を、それぞれ異なるプログラムでも行うといった事が可能です。

    この技術により、一つずつデータベースにプログラムするのではなく、まとめてデータベースに記述することが出来ます。

    オブジェクト指向データベースのメリット

    ここではオブジェクト指向データベースで得られるメリットについて解説していきます。オブジェクト指向データベースで得られるメリットは主に以下の3つとなります。

    • 複雑なデータ構造をより自然に表現できる
    • 実世界のモノ(オブジェクト)をより直接的にモデル化できる
    • 開発効率が向上する

    それぞれ一つずつ解説していきます。

    複雑なデータ構造をより自然に表現できる

    オブジェクト指向データベースで得られるメリットの一つ目は、複雑なデータの構造を、自然に表現できる事です。

    オブジェクト指向データベースは基本的に、データをオブジェクト化し、オブジェクト化したデータをクラスで階層化することで、それらを一つの集合体として、インスタンス化します。

    これらの技術により、通常のデータベースで表現されがちな難しいデータ構造を、具体的かつ自然に表現できるのがオブジェクト指向データベースの強みです。

    実世界のモノ(オブジェクト)をより直接的にモデル化できる

    オブジェクト指向データベースは、実在するモノをオブジェクトとして表現する事で、直感的にモデル化出来る点も強みです。

    データベースは、様々なモノをテーブルで集計し、分類していきます。オブジェクト指向データベースであれば、通常のデータベースにおいて、プログラミングのためにデータ化する必要がなく、オブジェクト化をするだけで簡単にプログラミングできるのです。

    それ故に、オブジェクト指向データベースの環境下でプログラミングを行う際は、実際のモノをオブジェクト化しているので、直感的にモデル化できるのです。

    開発効率が向上する

    オブジェクト指向データベースで得られる最大のメリットが、開発効率が向上することです。オブジェクト指向データベースは、データを一つずつプログラミングするのではなく、オブジェクト化してまとめるといった技術を使用します。

    さらに、クラス分けによる階層構造と、インスタンスでまとめることにより、わかりやすいデータベースの構造になります。

    これらを活用することで、利用するデータを効率的に流す事が出来、プログラミングを同じデータベース上で複数行えます。これにより、開発効率が大幅に上がります。

    オブジェクト指向データベースの注意点

    ここではオブジェクト指向データベースの注意点について解説します。主に以下の3つが挙げられます。

    • 標準化が進んでいない
    • 既存システムとの統合の複雑さ
    • 従来のリレーショナルデータベースと比較して、学習曲線が高い

    それぞれの注意点について、詳しく説明していきます。

    標準化が進んでいない

    オブジェクト指向データベースの注意点1つ目が、標準化が進んでいないという点です。現在のデータベースは、まだSQLと呼ばれる技術を使用したデータベースがメインとなっています。

    さらに、長い間SQLによるデータベースが普及している事もあり、オブジェクト指向データベースについて詳しい知識を持っているエンジニアが少ないといった問題点もあります。

    また、SQLデータベースと、オブジェクト指向データベースは現時点で互換性が無い為、プロジェクトによってはSQLデータベースとオブジェクト指向データベースの連結が必要となる場面があり、その場合どちらかの仕様を無くす必要があります。

    既存システムとの統合の複雑さ

    既存システムとオブジェクト指向データベースを統合する場合、難易度が高い点もデメリットの一つと言えます。

    オブジェクト指向データベースは標準化されていないと述べていますが、その点が付随しています。それ故に専門のエンジニアを配置する必要があります。

    さらに既存のシステムがSQL等他のデータベースの技術と組んである場合、そのデータベースを一度無くし、データベースをオブジェクト指向データベースへ再構築する必要もあります。

    従来のリレーショナルデータベースと比較して、学習曲線が高い

    オブジェクト指向データベースは、リレーショナルデータベースと違い、独自の技術を使用しています。それ故に、オブジェクト指向データベースを導入する際は、事前に学習する必要があります。そして、オブジェクト指向データベースは、リレーショナルデータベースと大きい違いがあるので、長い学習時間が必要です。

    しかし、実際にデータベースを構築するとなった場合、クライアントの条件によっては学習する時間が無い場合もあるので、専門のエンジニアを配置する必要性がでてきます。

    オブジェクト指向データベースとリレーショナルデータベースの違い

    項目 データモデルの違い 操作言語の違い
    オブジェクト指向データベース オブジェクト型 JavaやC++などのオブジェクト指向言語
    リレーショナルデータベース データ型 SQLなどのデータベース言語

    オブジェクト指向データベースとリレーショナルデータベースの違いについて、上記のように比較してみました。

    オブジェクト指向データベースはその名の通り、オブジェクト指向言語を主に使用します。対してリレーショナルデータベースは、SQL等のデータベース言語を使用します。

    使用するデータ型については、オブジェクト指向データベースがオブジェクト型、リレーショナルデータベースはデータ型になります。

    オブジェクト指向データベースが得意とする場面は、データではなくモノを取り扱う場面と言えます。

    例えば食品などを取り扱う在庫の管理等です。

    そしてリレーショナルデータベースが得意とする場面は、完全にデータを取り扱う場面です。

    例えばシステムにデータを登録する為の、システム管理等となります。

    オブジェクト指向データベースの活用例

    ここでは、オブジェクト指向データベースについて、以下の二つの活用例について解説していきます。

    • CADシステム
    • マルチメディアシステム

    これからオブジェクト指向データベースを導入したいと考えている方は、ご参照ください。

    では、それぞれ説明していきます。

    CADシステム

    オブジェクト指向データベースを活用した技術の一つが、CADシステムです。CADは様々な部品や材料、使用する配管等、多種多様なモノや経路を辿って作成します。このCADが使用されるのは、主に建物や工場の建築です。

    それ故に、CADシステムにオブジェクト指向データベースを使用する事で、社員が図面を作成・管理をする際に、とても使い勝手がよく、効率的になるのです。そのため業務効率の改善に役立ちます。

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    マルチメディアシステム

    オブジェクト指向データベースで活用される技術の二つ目が、マルチメディアシステムです。

    オブジェクト指向データベースは、様々なデータをオブジェクト化します。それ故に、画像や動画でも、オブジェクト化し、データベースとして活用できるのです。

    通常のデータベースではこういった画像や動画はデータベース化する事が難しいですが、オブジェクト指向データベースの特徴であるオブジェクト化を上手く活用する事で、小規模~大規模でオブジェクト指向データベースを利用したマルチメディアシステムを開発できます。

    オブジェクト指向データベースのまとめ

    オブジェクト指向データベースについて、特徴からメリットとデメリット、リレーショナルデータベースとの違いと活用例について解説していきました。

    現在でも主流なデータベースはリレーショナルデータベースです。しかし、オブジェクト指向の言語をよく使用して開発を行う企業であれば、積極的にオブジェクト指向データベースを導入するべきです。導入するだけで得られるメリットは多数あります。

    もしデータベースの導入を考えていて、自社に合っているデータベースは何なのか、そもそもデータベースとは何かについて知りたいという方は、株式会社Jiteraに相談すると良いです。簡単な質問から丁寧に回答を得られるので、少しでも気になるのであれば、質問してみるとよいでしょう。

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