AI半導体は、AIの処理に特快した半導体の総称で、AIの頭脳を役割を果たすものです。
ChatGPTなどの生成AIは、大量のデータを同時に高速処理するため、性能に特化した半導体を使う必要があります。
この記事では、AI半導体の特徴や種類、ほかにも主要な半導体企業を紹介しています。
この記事を読んで、AI半導体に関して深く学んでいきましょう。

PHPを独学で勉強した後にWeb業界に参入。大手企業でプログラマーとして活躍後、自社サービスの立ち上げ、大手検索エンジンサービスの保守運用作業、ソーシャルゲーム開発などに携わりながら、SE・管理職の道を歩んで現在に至る。現在は、管理職に携わる傍ら、これまでの経験を活かした執筆活動を続けている。
AI半導体とは?
AI半導体とは、人工知能(AI)の処理を効率的に行うために設計された半導体デバイスのことです。
また、AIの演算処理に特化した半導体デバイスを「AI半導体(AIチップ)」と呼びます。さらに、学習プロセスを使うAIチップの場合はGPU(Graphics Processing Unit)と呼び、推論プロセスを使うAIチップをFPGA(Field Programmable Gate Array)やASICと呼びます。
AI半導体の特徴
AI半導体とは、AIの処理を効率的に行うために設計された半導体デバイスのことであることがわかりました。
次に、AI半導体の特徴をみていきましょう。
AI半導体は、AIアルゴリズムの計算に必要な、膨大なデータを処理するために設計されており、従来の汎用プロセッサより特定の処理を高速におこなえるように最適化されています。
ここでは、以下の項目に分けて、AI半導体の特徴を解説します。
- 高度な計算を迅速に実行
- 消費電力を抑える設計
- 拡張性やカスタマイズが可能
- 専用アクセラレータを含む
それぞれの項目から、AI半導体の特徴を学んでいきましょう。
高度な計算を迅速に実行
AI半導体を活用すれば、高度な計算を迅速に実行できます。以下は、AI半導体が高度な計算を迅速に実行できる理由です。
- 並列処理アーキテクチャ
- 専用の計算ユニット
- 高度なメモリ管理
- カスタマイズ可能なハードウェア
- 低レイテンシ
- エネルギー効率
多くの半導体は、並列処理を効率的に行うために設計されています。また、AI半導体は、AI計算に特化したユニットを持っています。
このような特徴から、AI半導体はAI技術の発展とその応用範囲の大幅な拡大に貢献しています。
消費電力を抑える設計
AI半導体の特徴の1つとして、消費電力を抑える設計、があります。特にモバイルデバイスやエッジデバイスで重要なものです。
以下は、AI半導体が消費電力を抑えるために、どのような設計が施されているかの詳細です。
- 特定用途向けの最適化
- 低電圧動作
- クロックゲーティング
- パワーゲーティング
- 高効率メモリ管理
- コンパクトなデザイン
- 高度な製造プロセス
- エネルギー効率の高い演算ユニット
AI半導体の消費電力を抑える設計により、高性能なAI処理を効率的に行うことが可能となっています。
拡張性やカスタマイズが可能
拡張性やカスタマイズが可能な点は、AI半導体の重要な特徴の1つです。以下は、AI半導体の拡張性やカスタマイズ可能性についての詳細です。
- モジュール設計
- プログラミング可能なロジック
- ソフトウェア定義アーキテクチャ
- スケーラブルな設計
- 特定用途向け最適化
AI半導体の拡張性やカスタマイズ可能な設計によって、さまざまなアプリケーションやニーズに応じた最適なAIソリューションを提供することが可能となります。
専用アクセラレータを含む
アクセラレータ(accelerator)とは、特定の計算タスクを高速化するための専用ハードウェアのことです。AI半導体は、専用アクセラレータを持っており、これが大きな特徴の1つとなっています。
以下は、AI半導体に組み込まれる専用アクセラレータの詳細です。
- 高性能
- エネルギー効率
- 低レイテンシ
- スケーラビリティ
専用アクセラレータは、特定の計算タスクに対して最適化されているため、汎用プロセッサよりも高い計算性能を発揮します。
専用アクセラレータを含むAI半導体は、その高性能と効率性により、現在のAIアプリケーションにおいて不可欠な要素となっています。
AI半導体(AIチップ)の半導体の種類
ここまで、AI半導体の特徴をみてきました。
AI半導体は、活用シーンや処理性能あたりの消費電力、価格などがそれぞれ異なります。
ここでは、以下の項目に分けて、AI半導体の種類を解説します。
- GPU(Graphics Process Unit)
- ASIC(Application Specific Integrated Circuit/エーシック)
- FPGA(Field-Programmable Gate Array)
- SoC(System on a Chip)
それぞれの半導体の特徴を理解して、どのようなシーンでAI半導体を活用すればよいか学んでいきましょう。
GPU(Graphics Process Unit)
GPUは、画像処理装置として画像や動画、3DやCADデータの処理に使われる半導体チップです。
パソコンのディスプレイ表示を処理するパーツで、ゲームやビットコインのマイニング、生成AIのサービス化などにも必要とされています。
GPUの最大手となったのが、NVIDIA(エヌビディア)社で、おもにGPUを開発・販売する世界最大の半導体メーカーです。
NVIDIAに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ASIC(Application Specific Integrated Circuit/エーシック)
ASICは、ある特定の機器や用途のために、必要な機能を組み合わせて設計、製造されるカスタムチップです。
このチップの最大手は、エプソンで、時計の製造会社としてスタートした企業です。1968年には世界初の小型電子プリンターを発表するなど、時計やプリンター、半導体など多岐にわたる製品を開発しています。
FPGA(Field-Programmable Gate Array)
FPGAは、現場でプログラミングができるゲートアレイです。目的に合わせてIC(集積回路)の内部ロジック(配線情報)を作り込めるカスタムチップとなっています。
Amazon AWSやMicrosoft、旧IBMといった世界的企業も採用してます。FGPA大手である、ルネサス エレクトロニクス株式会社は、半導体専業メーカーです。
マイコンやSoC・アナログ・パワー半導体などの製品を幅広く展開しています。自動車や産業分野、インフラ、IoTアプリケーションなどに向けて、革新的な半導体ソリューションを提供しています。
SoC(System on a Chip)
SoCは、システムに必要なすべてのコンポーネントを1つのシリコンチップに集積した半導体です。
スマホに搭載されているスマホ用SoCが最も一般的です。マイクロプロセッサ・チップセット・ビデオチップ・メモリーなど、装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを統合しています。
SoCの最大手は、日本エイ・エム・ディ株式会社(AMD)で、コンピューターのプロセッサーなどを卸売する会社として知られています。
AI半導体(AIチップ)の主要メーカー
ここまで、AI半導体の種類をみてきました。
AI半導体にはさまざまな種類があることがわかりましたが、どのようなメーカーがAI半導体を取り扱っているのでしょうか。
ここでは、以下の項目に分けて、AI半導体の主要メーカーを解説します。
- NVIDIA
- IBM
- Arm
- Samsung
- AMD
- Xilinx
- Huawei
- Alibaba
- Hailo
どの企業もAI半導体の最大手であり、一度は名前を聞いたことがある企業も多いため、ぜひ参考にしてください。
NVIDIA
NVIDIA(エヌヴィディア)は、半導体企業としてグラフィックスカードやAI半導体の開発・販売を行っている企業です。
GPUの開発で培った技術力を基に、ゲーミングやプロ用ビジュアリゼーション、データセンター、自動車市場向けのプラットフォームを提供しています。また、GPUの機能をグラフィック表示以外に利用するGPGPUの開発にも携わり、人工知能や自動運転の分野で高いシェアを誇っています。
NVIDIAの製品には、GeForce(ジーフォース)やQuadro(クアドロ)などのグラフィックスカード、NVIDIA製グラフィックカードの性能を最大限に引き出すためのソフトウェアであるNVIDIAドライバなどがあります。
IBM
IBM(アイビーエム)は、世界170カ国以上でビジネスを展開するグローバルIT企業です。
企業向けITコンサルティングやシステム導入・運用、アウトソーシングなど、ビジネスのあらゆる局面で、業界の専門知識や実践的な洞察、最先端のテクノロジーを活用して企業変革を支援しています。
IBMは、グローバル・テクノロジーのイノベーターとして、ビジネスの成長を支援するAIやハイブリッドクラウドなどのソリューションの進歩を1世紀以上にわたり牽引してきました。
また、企業経済活動における環境側面でのリーダーシップもとり、企業活動の全てのオペレーションにおいて環境保全に努めています。
Arm
Arm(アーム)は、半導体IP分野の世界的リーダー企業で、AI半導体も提供しています。
Arm AIは、AI開発に必要な要素を1つにまとめ、アイデアを商品化に適したイノベーションへと素早く変えるための環境です。最適なIP、ツール、ソフトウェア、サポートを組み合わせた汎用的なもので、スケーラブルな特徴があります。
Armは、半導体の基本設計を手掛け、半導体を開発する事業者に回路設計図を提供する企業です。特に低消費電力のプロセッサー設計に強みを持ち、スマートフォンなどモバイル機器用の中央演算処理装置(CPU)向けの基本設計で大きな市場シェアを握っています。
Samsung
Samsung(サムスン)は韓国の総合電機メーカーで、財閥サムスングループの中核を担っています。
1969年に設立され、液晶テレビや液晶パネル、半導体、携帯電話、エアコンや冷蔵庫などの家電製品などを扱っています。
安価で性能が良いとされ、世界でのシェアを急速に伸ばしています。また、スマートフォン業界ではアップル社とシェアを競うなど、目覚ましい発展を見せています。
AMD
AMD(エーエムディー)は、Advanced Micro Devices(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の略称で、米国に本社を置く半導体製造会社です。
Radeon(ラデオン)シリーズなどのグラフィックボード(GPU)やプロセッサー(APU)を製造しており、パソコンでゲームを遊ぶ人や動画編集を行う人にはおなじみのメーカーです。
高性能モデルではゲーム機並の高精細画像でゲームを楽しむことができ、コストパフォーマンスに優れているという特徴があります。
また、家庭用ゲーム機であるPS5やPS4、Xbox Series X/SのGPUもAMDベースのものが使われています。
Xilinx
Xilinx(ザイリンクス)社はZilog社をスピンアウトした技術者が1984年に設立した米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く半導体メーカーで、製造設備を持たないファブレスモデルを確立したことでも知られています。
FPGAを最初に製品化した企業でしたが、2023年6月にAMDに吸収合併されています。
Huawei
ファーウェイ(HUAWEI)は、中国・深センに1987年に設立された従業員持株制の民間企業で、情報通信技術(ICT)インフラとスマートデバイスを提供する世界的なリーディングカンパニーです。
携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末などの通信端末の製造や、ICTソリューションの提供を行っており、170か国以上で事業を展開しています。
ビジネスモデルは、外国で発明されたコンセプトの高品質版をより安価に作り、世界に販売して国際的な市場シェアを奪い取るというものです。
Alibaba
Alibaba(アリババ)は、中国の電子商取引(eコマース)市場で最も大きな存在感を持つ企業です。
1999年に中国で創業され、BtoB(企業間取引)向けのECサイト「1688.com」を運営しています。工場との直接取引や大量ロットでの注文が可能なため、大量購入すると安く買い付けることができます。
Hailo
Hailoは、AI専用chip及びModuleを提供するメーカーです。
イスラエルに本社があり、米国、ドイツ、台湾、日本、中国にも支社があります。AI処理に特化した専用品となっているため、汎用のGPUと比較して面積/消費電力に大きなメリットを提供することができます。
AI半導体のまとめ
今回は、AI半導体に関して、以下のことがわかりました。
- AI半導体は人工知能の処理を効率的に行うために設計された半導体デバイスである
- 高度な計算を迅速に実行できたり消費電力を抑える設計になっていたりするのがAI半導体の特徴
- AI半導体の一種であるGPUは画像処理装置として3DやCADデータの処理をおこなう
AI半導体は、人工機能の処理を効率的に行うために設計された半導体デバイスのことです。
高度な計算を迅速に実行できたり、消費電力を抑える設計になっていたりするのが、AI半導体の特徴です。
AI半導体の一種であるGPUは、画像処理装置として3DやCADデータの処理を行うことができます。
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