ChatGPT APIは、ChatGPTの機能を他のアプリケーションでも利用するためのツールです。
ChatGPT APIの名前は知っていても、ChatGPTとの違いや使い方を知らないという方は多いでしょう。
本記事では、ChatGPT APIのメリットやデメリット、使い方や料金をわかりやすく紹介します。
この記事を読むと、ChatGPT APIのどのように使えばいいのか、使うにあたってどのくらいの予算を見積もればいいのかがわかるので、ぜひご覧ください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
ChatGPT APIとは?
ChatGPT APIとは、自分のWebサービスやアプリケーションからChatGPTの自然言語処理機能を使うためのAPIです。
ChatGPTのAPIがリリースされたことにより、様々なアプリケーションやサービスにChatGPTの機能を実装することができるようになりました。
ここでは、以下の4点について紹介します。
- ChatGPT API
- ChatGPTのAPIでできること
- ChatGPT APIの料金体制
- ChatGPT の利用手順とChatGPT APIの使い方
APIとは何かについても解説しているので、是非ご覧ください。
ChatGPT API
ChatGPT APIとは、2023年にリリースされたChatGPTの機能を他のアプリケーションに組み込むためのツールです。
そもそも『API』とは、アプリケーション・プログラミング・インターフェースの略称で、ソフトウェアやWebサービス、プログラムをつなぐためのツールです。
ChatGPT APIを使用することで、自分のアプリケーションやWebサービスからChatGPTの自然言語処理機能を使用できます。
ただし、自分のアプリケーションやWebサービスからChatGPT APIを呼び出すためのプログラムを開発、実装する必要があります。
また、チャットサービスであるChatGPT 4とChatGPT APIでは料金体制が異なるので注意が必要です。
ChatGPTのAPIでできること
ChatGPT APIは、様々なことに利用できる優れたツールです。
ここでは、ChatGPT APIが具体的にどのようなことができるのかを紹介します。
ChatGPT APIでできることは主に以下の4点です。
- 自動応答システムを使い問い合わせ自動解析し回答ができる
- 質問応答システムを使いデータベースから適切な回答を探す
- 自動で文章の生成をし業務を効率化できる
- 別のプログラミング言語への翻訳ができる
それぞれ紹介します。
自動応答システムを使い問い合わせ自動解析し回答ができる
ChatGPT APIを利用することで、自動応答システムを作ることができます。自動応答システムとは、ユーザーからの問い合わせに自動で回答するシステムのことです。
例えば、カスタマーサポートのチャットボットなどがあります。ChatGPT APIを使うことで、ユーザーの問い合わせを自動で解析し、適切な回答を生成できます。また、会話として自然な文章を生成できるので、ユーザーにとって心地よい会話の実現が可能です。
自動応答システムを使えば、人件費や時間を節約できるだけでなく、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上にもつながります。
質問応答システムを使いデータベースから適切な回答を探す
ChatGPT APIは、質問応答システムにも利用できます。質問応答システムとは、ユーザーからの質問に対して、データベースから適切な回答を探すシステムのことです。
ChatGPT APIを使えば、ユーザーの質問を自動で解析し、データベースから関連する情報を抽出し、回答を生成できます。ChatGPT APIは、多様なトピックや知識に対応できるので、ユーザーにとって有益な情報の提供が可能です。
質問応答システムを使えば、ユーザーの知識や興味を満たすだけでなく、データベースの活用にもつながります。
自動で文章の生成をし業務を効率化できる
ChatGPT APIは、自動で文章の生成をすることができます。テーマや文字数、表現のルールなどを提示すると、それに従って文章を生成します。
例えば、レポートや記事、メールなどに利用できます。ChatGPT APIで文章を生成し、できた文章をレポートやメールに利用します。
事実確認や表現方法の確認をする必要がありますが、文章のたたき台を自動で生成することができれば、業務の効率化や品質の向上にもつながります。
別のプログラミング言語への翻訳ができる
ChatGPT APIを利用することで、別のプログラミング言語へ翻訳することもできます。
プログラミング言語とは、コンピューターに命令するための言語のことです。例えば、PythonやJava、C++などがあります。
ChatGPTのAPIを使えば、あるプログラミング言語で書かれたコードを、別のプログラミング言語に変換できます。例えば、C++で作られた古いシステムを刷新するために、ChatGPT APIを利用してJavaへ書き換えることが可能です。
正しいかどうかの確認やテストを実施することは必要ですが、開発期間の短縮や人件費などのコストを削減することができます。
ChatGPT APIの料金体制
ChatGPT 4とChatGPT APIは料金体制が異なります。
ChatGPT4は、定額制のサービスで月額20ドルで利用できます。
一方で、ChatGPT APIは、利用量に応じて金額を計算する従量課金制のサービスです。
ChatGPT APIの料金は、トークンという単位で計算されます。トークンとは、ChatGPTが生成する文字の数のことで、1000トークンは約750語に相当します。ChatGPT APIの料金は、1000トークンで$0.0200です。つまり、750語の文章を生成するのに$0.0200かかります。
ChatGPT APIの料金は、利用する機能やタスクによっても異なります。例えば、文章の生成は、文章の分析や翻訳よりも高い料金がかかります。なお、ChatGPT APIの料金体制は公式サイトで詳しく確認するKとが可能です。
ChatGPT の利用手順とChatGPT APIの使い方
ChatGPT APIを利用するには、所定の手続きとプログラムの開発が必要です。
ここでは、以下の2点に分けて解説します。
- ChatGPT の利用手順
- ChatGPT APIの使い方
こちらを読めば、ChatGPT APIのAPIキーの取得から実際にプログラムへの導入の仕方がわかります。
ChatGPT の利用手順
ChatGPTやChatGPT APIを利用するには、まずOpenAIのアカウントを取得する必要があります。OpenAIの公式サイトの『Sign up』から必要情報を入力し、メールで認証をすることでアカウントの取得が可能です。
アカウントを作成したら、APIキーを取得します。APIキーとは、ChatGPTのAPIを利用するための認証コードのことです。OpenAIの公式サイトの『API』タブから必要情報を入力し、APIキーを発行します。
APIキーを発行出来たら、ChatGPT APIを使用する準備は完了です。
ChatGPT APIの使い方
自分のアプリケーションからChatGPT API呼び出すには、実行環境にライブラリ『openai』をインストールする必要があります。
ソースコードは以下の通りです。
ライブラリをインストールしたら、ChatGPT APIのAPIキーを実行環境に入力します。
ソースコードは以下の通りです。
※取得したAPIキーをペーストしてEnter
これでChatGPT APIを呼び出す準備は完了です。
ChatGPT APIを活用するメリット・デメリットは?
ChatGPT APIは自然言語処理機能を自分のアプリケーションからでも使えるようにする便利なツールです。
ChatGPT APIには多くのメリットがありますが、その反対にデメリットも存在します。
ここではChatGPT APIを活用するメリットとデメリットを紹介します。メリット・デメリットを理解して適切に利用しましょう。
ChatGPT APIを活用するメリット
ChatGPT APIを利用するメリットは、以下の3つです。
- ユーザーエクスペリエンスの向上
- 開発の効率化
- 多様なトピックや知識など多くのタスクに対応
得られるメリットを理解し、自分のアプリケーションへ適切に取り込みましょう。
ユーザーエクスペリエンスの向上
ChatGPT APIを活用すると、ユーザーエクスペリエンスの向上が期待できます。
ユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーがアプリケーションやサービスを利用する際に感じる満足度や快適さのことです。ChatGPT APIを使えば、自然な会話や文章を生成できるので、ユーザーにとって快適な体験を提供できます。
例えば、カスタマーサポートのチャットボットを使えば、ユーザーの問い合わせに自動で迅速に回答できるので、ユーザーの満足度や信頼感を高めることができます。また、ChatGPT APIは、ユーザーの感情やニーズに応じて、適切なトーンや言葉遣いを選択できるので、ユーザーにとって親しみやすい対話をすることが可能です。
開発の効率化
ChatGPT APIを活用すると、開発の効率化が期待できます。
これまでの開発では、自分のシステムやアプリケーションにAIを搭載しようとすると、AIから開発する必要がありました。
一方で、ChatGPT APIを利用することですでに開発されている高性能なAIの機能を利用できるので、AIを開発する手間を省けます。APIを呼び出すためのプログラムを開発する必要はありますが、一からAIを開発するよりも難易度は低いです。
また、ChatGPT APIは、膨大なテキストデータを学習しているので、自分でデータを収集や整理する必要がありません。開発の効率化をすることができれば、開発のコストや時間を節約できるだけでなく、開発の品質やスピードの向上にもつながります。
多様なトピックや知識など多くのタスクに対応
ChatGPT APIを活用すると、多様なトピックや知識など多くのタスクに対応できます。
ChatGPT APIはインターネット上の膨大なテキストデータを学習しているので、さまざまなトピックや知識に関する会話や文章を生成できます。例えば、スポーツや政治、芸能や科学などのトピックに関する会話や文章の生成が可能です。
また、ChatGPT APIは、GPTという汎用的なテキスト生成モデルをベースにしているので、さまざまな場面に対応できます。例えば、自動応答や質問応答、文章の生成や翻訳などの様々な用途に対応が可能です。
多様なトピックや知識など多くのタスクに対応できれば、ユーザーのニーズや興味を満たすだけでなく、アプリケーションやサービスの価値や魅力にもつながります。
ChatGPT APIを活用するデメリット
ChatGPT APIは、とても便利なツールですが、デメリットも存在します。
ChatGPT APIのデメリットは主に以下の3つです。
- 情報漏えいリスク
- 不適切な文章を生成する可能性がある
- ハルシネーションに注意
デメリットを理解し、適切な対処をすることでChatGPT APIを効果的に利用することが可能です。
情報漏えいリスク
ChatGPT APIを活用すると、情報漏えいリスクがあります。ChatGPT APIで送信するパラメータにユーザー自身の個人情報や機密情報が含まれると、ChatGPTに送られることになります。ChatGPTは、パラメータに含まれている重要情報を学習します。
そうすると、他のユーザーがChatGPTに個人情報や機密情報などの重要情報について問い合わせをすると、重要情報を回答する可能性があります。情報漏えいが起きると、ユーザーのプライバシーやセキュリティが侵害されるだけでなく、法的な責任や損害賠償の問題になる可能性があります。情報漏えいリスクを回避するには、以下の対策が必要です。
- ChatGPTに送る情報は、必要最小限にすること
- ChatGPTに送る情報は、暗号化や匿名化などの処理をすること
- ChatGPTの利用規約やプライバシーポリシーを確認すること
- ChatGPTの生成する文章は、慎重に確認すること
不適切な文章を生成する可能性がある
ChatGPT APIは、誤った情報や偏見や差別などの表現を含む不適切な文章を生成する可能性があります。
ChatGPTが学習しているのは、インターネット上の膨大なテキストデータです。もちろん、インターネット上にある不適切な文章も学習している可能性があります。そのため、ChatGPT APIへの入力パラメータ次第で、不適切な文章が生成されます。
不適切な文章を生成すると、ユーザーの信頼や評判を損ないます。問題となるような文章を生成する可能性を減らすには、以下の対策が必要です。
- 情報の正確さや妥当さを検証すること
- 生成された文章が、倫理や法律に適合するかを確認すること
- ユーザーの感情やニーズに配慮すること。
ハルシネーションに注意
ChatGPT APIを活用する際には、ハルシネーションに注意する必要があります。
ハルシネーションとは、存在しないことや事実と異なることを事実のように説明することです。ChatGPTは、フェイクニュースなど事実とは異なる文章や小説のような空想の文章も学習の対象としています。そのため、ハルシネーションを起こす可能性があります。
例えば、ChatGPTが生成する文章の中に、実在しない人物や出来事が含まれる可能性があります。ハルシネーションを起こすと、ユーザーの認識や判断を誤らせるだけでなく、場合によっては法的な責任や損害賠償の問題にもなる可能性があります。ハルシネーションに注意するには、以下の対策が必要です。
- 生成された文章の内容が、事実と一致するかを確認すること
- 生成された文章の内容が、論理的に整合性があるかを確認すること
- 実在する人物や出来事に関する引用や出典を添えること
ChatGPT APIの活用事例
ChatGPT APIは、様々な場面で利用されており、実際に多くのアプリやWebサービスに実装されています。
ここでは、ChatGPT APIの活用事例を5つ紹介します。
- LINE:AIチャットくん
- Slack:Slackbot
- Chatwork:AI社員ボット for Chatwork
- タップル:恋活・婚活マッチングサービス
- Microsoft Teams:業務のアシスタントとして活用
- Excel:ChatGPT for Excel
これからChatGPT APIを利用しようという方は、是非参考にしてください。
LINE:AIチャットくん
LINEは、日本で最も人気のあるメッセージングアプリです。
LINEには、ChatGPT APIを使った『AIチャットくん』という機能を提供しています。『AIチャットくん』とは、LINEの友だちになるとChatGPTと会話できる機能です。
AIチャットくんは、ユーザーのメッセージに応じて、自然な会話や文章を生成します。また、ユーザーの趣味や嗜好に合わせて、おすすめの情報やサービスを紹介したり、クイズやゲームを楽しんだりできます。
Slack:Slackbot
Slackは、ビジネス向けのコラボレーションツールです。
Slackでは、ChatGPT APIを利用した『Slackbot』という機能が提供されています。Slackbotとは、Slackのチャンネルやダイレクトメッセージで、ChatGPTと会話できる機能です。
Slackbotに対してメッセージを送るとチャットのように自然な回答が返ってきます。Slackbotは、ユーザーの業務やプロジェクトに関する質問に回答したり、リマインダーやタスクの管理をしたりすることもできます。
Slackbotは、ただ楽しむだけでなく仕事を効率的で快適にできる機能です。
Chatwork:AI社員ボット for Chatwork
Chatworkは、Slackと同様のビジネス向けのコミュニケーションツールです。
Chatworkは、ChatGPT APIを使った『AI社員ボット for Chatwork』という機能を提供しています。『AI社員ボット for Chatwork』とは、ChatworkのグループチャットでChatGPTと会話できる機能です。
『AI社員ボット for Chatwork』は、ユーザーの業務やプロジェクトに関する質問に回答したり、スケジュールや進捗の管理をしたり、レポートや資料の作成を手伝ったりできます。『AI社員ボット for Chatwork』は、その名の通り社員のような働きができる機能を持っています。
タップル:恋活・婚活マッチングサービス
タップルは、恋活・婚活を目的としたマッチングサービスです。
タップルが提供する業界初のサービスは、ChatGPT APIを使ったプロフィール文添削機能です。プロフィール文を送信すると、プロフィール文に対するアドバイスが返答されます。その後、アドバイスを参考にユーザーが自分でプロフィールを改善します。
マッチングを成功させるためにもプロフィール文は重要です。多くのテキストを学習したChatGPTだからこそ適切なアドバイスができるのでしょう。
Microsoft Teams:業務のアシスタントとして活用
Microsoft Teamsは、SlackやChatworkと同様のビジネス向けのコラボレーションツールです。
Microsoft TeamsにChatGPTを組み込むことによって、業務のアシスタントとしての活用できます。
例えば、ちょっとした質問をしたいときやアイディア出しの際にChatGPTを利用することで、人に質問するよりも迅速に回答を得ることが可能です。特にリモートワークなどですぐに他の社員に質問できない場合などに重宝されます。
また、社内やチーム内で情報が共有されることにより、知識の属人化を防ぎ、社内の業務が円滑に進む手助けとなります。
Excel:ChatGPT for Excel
Excelは、Microsoft社が開発している表計算ソフトウェアです。
Microsoft社は、ExcelでChatGPTを利用できるようにするプラグイン『 ChatGPT for Excel』を提供しています。『ChatGPT for Excel』を利用すると、Excel内からChatGPTに関数の使い方を質問したり、表やグラフの作成を手伝ってもらうことができます。
Excelの使い方がわからないときに『ChatGPT for Excel』を利用することで、インターネットで調べる手間が省けるため、業務の効率を向上させることが可能です。
ChatGPT APIのまとめ
本記事では、ChatGPT APIのメリットやデメリット、使い方や料金などをわかりやすく紹介しました。
ChatGPT APIは、ChatGPTの持つ自然言語処理機能を他のアプリケーションでも使えるようにするためのツールです。APIキーを取得し、自身のアプリケーションに組み込むことで、ChatGPTの機能を呼び出すことができます。
ChatGPT APIを利用することで得られるメリットは、ユーザーエクスペリエンスの向上、開発の効率化、多様なトピックや知識など多くのタスクに対応できることが挙げられます。
一方で、情報漏洩のリスクや不適切な文章の生成、ハルシネーションなどのデメリットもあります。ただし、適切な処置をすれば、ChatGPT APIの機能を最大限に利用することが可能です。
ChatGPT APIは、LINEやSlack、Chatworkなどのコミュニケーションツールや、タップルやMicrosoft Teams、Excelなどのビジネスツールなど多くのサービスで利用されています。ChatGPT APIは、自然言語処理の可能性を広げる革新的なツールです。
ChatGPT APIの導入やアプリに関する質問や案件のご相談などがある場合は、株式会社Jiteraへお気軽にお問い合わせください。貴社のご要望に合わせたアドバイスを提供いたします。