機械学習フレームワーク13選を比較!選び方や、深層学習(ディープラーニング)フレームワークについても解説

ITシステム導入でお困りの方も多いと思います。この記事を読めば、自社に合った機械学習フレームワークが見つかるはずです。システム開発の経験やリソースが不足している現状で、AIや機械学習の導入に踏み出せないでいるなら、この記事が解決の糸口になることでしょう。

ここでは、TensorFlowやPyTorchといった有名な機械学習フレームワークから、開発目的やニーズに合わせて選べる比較表を用意しています。実際にフレームワークを活用した開発事例も紹介します。

開発効率が上がり、コストも大幅に抑えられる上、品質の高いシステムを実現できるのがオープンソースの機械学習フレームワークの強みです。これからの、デジタルトランスフォーメーションを推進するうえで、欠かせないツールといえるでしょう。

ぜひこの記事を参考に最適なフレームワークを見つけ出してください。

監修者 mercy_writer

20年超のシステム開発経験を活かし、AI・機械学習のエバンジェリストとして活動中。新技術の追求と、日本のAI活用を世界一に導くことに情熱を注ぐ。開発の全工程に精通し、知識と行動力で未来を切り拓く。

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    機械学習フレームワークとは

    機械学習フレームワークとは、機械学習やディープラーニングを実装するための基盤となるソフトウェアのことです。

    機械学習アルゴリズムを自分で一から作成するのは、大変な労力が必要です。そこで、機械学習フレームワークを利用することで、アルゴリズムの実装部分を簡単に扱えるようになり、モデルの構築や学習、予測に注力できるようになります。

    例えば、画像認識のモデルを作りたい場合、学習用の画像データと機械学習フレームワークがあれば、ニューラルネットワークの構造を定義するコードを書くだけで簡単に実現できます。

    機械学習フレームワークには、TensorFlowやPyTorch、Kerasなどたくさんの種類が存在します。データの前処理機能、様々なアルゴリズムの実装、グラフィカルなモデルの可視化機能など、開発を支援する機能が揃っています。

    フレームワークを上手く活用することが、機械学習開発の効率化につながります。ただし、目的やスキルレベルに合わせたフレームワークを選ぶことが大切です。そのためにも、各フレームワークの特徴を理解しておく必要があります。

    深層学習(ディープラーニング)との違い

    機械学習フレームワークとは、機械学習モデルの構築や学習、評価、実装を支援するためのツールやライブラリの集合体です。一方、深層学習は機械学習の一種で、ニューラルネットワークを用いた手法の総称です。つまり、深層学習はその中の一つの手法に過ぎません。

    深層学習(ディープラーニング)とは

    深層学習(ディープラーニング)は、機械学習の中でも特に注目を集めている手法です。その特徴は、ニューラルネットワークを活用していることにあります。

    ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞のようにデータを処理するネットワーク構造を持っています。入力層、隠れ層、出力層から構成され、複数の隠れ層を重ねることで深い階層構造を実現しているため、「深層」と呼ばれています。

    深層学習では、大量の学習データからニューラルネットワークが自動的に特徴を抽出し、モデルを構築していきます。従来の機械学習手法に比べ、高度な認識・予測能力を発揮することが知られています。

    画像認識、音声認識、自然言語処理などさまざまな分野で活用が広がっており、近年のAI技術の進展を支える重要な技術と言えるでしょう。

    深層学習(ディープラーニング)の比較

    フレームワーク 開発元 プログラム言語 ハードウェア加速 特徴
    TensorFlow Google Python、C++、Java GPU、TPU 企業で幅広く利用、充実したドキュメント
    Keras フランス Python GPU 高水準API、簡潔なコード
    PyTorch Facebook、他 Python GPU 動的計算グラフ、柔軟性が高い
    Chainer 日本 Python GPU 定義とよりPythonらしいコード記述が可能
    MXNet アマゾン 多言語対応 GPU、CPU、専用チップ 軽量で高速、クラウド対応
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    機械学習フレームワーク一覧

    機械学習やディープラーニングを実現するためのフレームワークには、Pythonをベースとしたものが多数存在します。代表的なフレームワークとその特徴を紹介します。

    フレームワーク カテゴリ 開発言語 学習曲線 処理速度 主な用途 大規模データセット学習向き
    TensorFlow 汎用フレームワーク Python, C++ 画像/音声/文字認識、機械学習全般
    PyTorch 汎用フレームワーク Python 学術研究、機械学習全般
    Keras 汎用フレームワーク Python 機械学習、ディープラーニング
    Caffe 画像/動画処理 Python, C++ コンピュータビジョン、画像認識
    Microsoft Cognitive Toolkit 時系列/画像処理 Python, C++ 画像/音声処理、異常検知
    MXNet 汎用ディープラーニング Python, C++ ディープラーニング、エッジ向け学習
    Chainer ディープラーニング Python ディープラーニング、自然言語処理
    Scikit-learn 機械学習 Python 機械学習(ディープラーニング除く) ×
    OpenCV コンピュータビジョン Python, C++ リアルタイム画像/動画処理
    spaCy 自然言語処理 Python 文書分類、機械翻訳、chatbot
    Django Webアプリケーション Python Webサイト、Webアプリ構築 ×
    Flask Webアプリケーション Python API、マイクロサービス ×
    Tornado Webアプリケーション Python リアルタイムWebアプリ ×

    TensorFlow

    特徴

    Googleが開発した、汎用性の高い機械学習/ディープラーニングフレームワークです。複雑なニューラルネット構造が構築でき、画像/音声認識などの分野で幅広く利用されています。

    TensorFlowは、データフローグラフ(DAG)と呼ばれる構造を利用しており、ノードは演算処理を表し、エッジはデータの入力/出力を表しています。つまりグラフ上で表現された一連の計算処理の流れとして機械学習モデルを構築することができるのです。

    また、GPUなどのハードウェアアクセラレーションにも対応しているため、大規模データセットでの高速学習が可能です。データパイプラインや測定、可視化機能も豊富に揃っています。

    花形とされる画像認識や音声認識だけでなく、時系列データの処理にも実績があり、応用範囲の広さが特徴です。

    メリット

    • 機能が豊富で柔軟なモデル設計が可能
    • 多くのプリトレーニング済みモデルが利用できる
    • 大規模データセットでの学習に向いている

    デメリット

    • 他フレームワークより習得困難
    • 処理速度がPythonベースのPyTorchなどに劣る
    • 低いレベルな実装が必要な場合がある

    TensorFlow

    PyTorch

    特徴

    Facebookが開発した、Pythonベースの機械学習フレームワークです。研究開発向けに構築しやすくデバッグしやすいことが特徴です。

    PyTorchは、Pythonで記述されたフレームワークで、ニューラルネットワークの層をPythonのクラスとして定義できるのが大きな特徴です。またTensorFlowとは異なり、動的なデータフローグラフを構築できる点も重要な違いです。

    これにより、可読性やデバッグの容易さなど、研究開発向けの生産性が大きく向上しています。また、NumPyとの親和性が高く、他のPythonライブラリとの連携もスムーズです。

    一方で、TensorFlowほど汎用的でない部分もあるため、用途によっては複雑な実装が必要になることが課題とされています。しかし近年は、高水準なAPIも整備されつつあり、PyTorchの汎用性も向上しつつあります。

    メリット

    • Pythonでの開発がしやすく生産性が高い
    • NumPyとの親和性が高く、デバッグがしやすい
    • 動的グラフ構造により柔軟な実装が可能

    デメリット

    • 汎用性はTensorFlowほど高くない
    • モデルのデプロイがやや難しい
    • ドキュメントが不足している部分もある

    PyTorch

    Keras

    特徴

    TensorFlow/PyTorchの上位に位置する、高レベルなAPIです。ニューラルネットの構築を、一層簡単に実現できることが最大の特徴です。

    Kerasは、モデル開発の効率化を重視したフレームワークで、使いやすさと拡張性を両立した構造になっています。必要なレイヤーを準備レイヤーとして、事前に実装しておき、モデル構築時にいつでも呼び出せるようにしています。

    また、セッションやプレースホルダーといった低レベルな実装に関わる部分を Kerasが内包しており、ユーザーはモデル構造の定義だけに集中できます。このため余計なコーディングを減らし、生産性と可読性が向上します。

    加えて、TensorFlowやPyTorchのような、低レベルな実行機能を内部的に利用しているため、モデルの実行効率をある程度は確保しつつ、コーディング量の大幅削減を実現しているといえます。

    メリット

    • 導入と利用が非常に容易
    • TensorFlow/PyTorchとの親和性が高い

    デメリット

    • 機能面ではTensorFlow/PyTorchに劣る
    • 大規模データセットではパフォーマンス上の課題あり

    Keras

    Caffe

    特徴

    バークレーVisionが開発した、画像認識に強みを持つ機械学習フレームワークです。認識精度と、実行速度に優れているのが特徴です。

    Caffeは、画像認識をはじめとするコンピュータビジョン分野向けに高度に最適化されたフレームワークです。畳み込みニューラルネット(CNN)を効率的に定義・実行できる点が大きな特徴となっています。

    また、事前学習済みモデルを公開するなど、外部知見を活用しやすい点もユーザーに受け入れられている理由の一つです。入力画像データの正規化や、データオーギュメンテーションといった、前処理機能も豊富で、画像認識タスクへの取り組みを促進しているといえます。

    一方で、汎用性の面ではPythonベースのフレームワークほど高くなく、画像認識以外への展開は難しい側面もあります。

    メリット

    • 画像認識分野での認識精度が高い
    • GPUによる高速化に対応している
    • 事前学習済みモデルが豊富に公開されている

    デメリット

    • 汎用性に劣り、画像認識以外の対応が弱い
    • Pythonに比べ実装難易度が高い
    • モデルのデプロイが容易ではない

    Caffe

    Microsoft Cognitive Toolkit

    特徴

    Microsoftが開発する機械学習フレームワークです。異常検知や画像認識など、時系列データや画像データを扱う分野に対応しています。

    Microsoft Cognitive Toolkit(旧名CNTK)は、音声認識や画像認識といった分野で使用実績のあるMicrosoft Researchが手掛ける機械学習フレームワークです。微分可能なニューラルネットワークを効率的に記述・学習できる点が大きな特徴です。

    Pythonだけでなく、C++での記述も可能であり、研究開発向けの柔軟性と運用時のパフォーマンスを両立させています。 加えて、GPUを活用した高速化やオンライン/オフライン学習への対応など、実運用面での幅広いニーズに対応しているのが強みです。

    メリット

    • 画像/音声データの処理に優れている
    • 研究開発、運用の両面を支援
    • GPUによる高速化に対応

    デメリット

    • TensorFlowほど汎用的ではない
    • Pythonエコシステムとの親和性が低い
    • コミュニティ規模が小さい

    Microsoft Cognitive Toolkit

    MXNet

    特徴

    アマゾンが開発しているスケーラブルで、効率的なディープラーニングフレームワークです。画像認識以外に音声認識や自然言語処理にも対応しています。

    MXNetは、動的にグラフを生成する静的データフロー型のフレームワークで、異種デバイスに対する最適化が大きな特徴です。稼働効率の高いモデル構築を実現しており、アマゾンのAlexaなど実サービスへの活用実績があります。

    また、エッジデバイスに対応した小規模なモデル構築から、クラウド型の大規模分散学習まで、用途に合わせた最適化が可能です。IoT機器向けのオンデバイス学習等、応用領域は広がりつつあります。

    このため、汎用性とパフォーマンスの両立という点で、注目されているフレームワークであると言えます。

    メリット

    • 多様なハードウェアに最適化されている
    • スケーラビリティが高い
    • エッジデバイス向け学習にも対応

    デメリット

    • ドキュメントが不足している
    • 中小規模向きではない
    • 汎用性はやや劣る

    MXNet

    Chainer

    特徴

    Preferred Networksが開発した、Pythonベースのディープラーニングフレームワークです。CUDA/cuDNN利用による高速化が特徴です。

    Chainerは、Pythonで記述されたオープンソースのディープラーニングフレームワークで、動的に生成されるデータフローグラフ上での正規化をサポートしています。また、Numpyと高い互換性を保ちつつ、NVIDIA GPU向けにCUDAやcuDNNといった先進的なアクセラレーション技術をフルに活用しています。

    これにより、高水準なPythonのコーディングと、高速な実行処理を同時に実現できる点が大きな強みとなっています。CNNだけでなく、RNNやLSTMといったシーケンシャルデータの学習にも対応しており、自然言語処理や音声認識といった用途にも適していると言えます。

    一方で、KerasやTensorFlowほどコミュニティが成熟している訳ではなく、汎用性にも劣る部分があるのが現状です。しかし研究開発用途を中心に注目度が高まってきており、今後も進化が期待されています。

    メリット

    • Pythonでの開発生産性が高い
    • 実行速度が速く学習時間が短い
    • 画像認識分野での精度が高い

    デメリット

    • ドキュメントが足りない
    • 中小規模データセット向き
    • 汎用性に劣る部分がある

    Chainer

    scikit-learn

    特徴

    一般的な機械学習アルゴリズムを、簡単に利用できるPythonのライブラリです。ディープラーニングは非対応ですが、回帰、分類、クラスタリングといった機械学習の基本的な手法は効率よく実行できます。

    特徴としては、Python環境で数行のコードで様々なアルゴリズムが試せる点が大きなメリットになっています。線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、SVM、クラスタリング等のアルゴリズムを簡単なインタフェースで使用可能です。

    このため、プロトタイプの作成やアイデアテストに向いており、研究や教育の場面で広く利用されています。実際の運用では柔軟性に限界があるため、概念検証後は別のフレームワークへ実装移行するケースが多いのが現状です。

    メリット

    • 利用しやすく学習コストが低い
    • 様々なアルゴリズムをその場でテスト可能

    デメリット

    • ディープラーニングは非対応
    • 大規模データセットでの学習向きではない

    scikit-learn

    OpenCV

    特徴

    オープンソースのコンピュータビジョンと、機械学習のライブラリです。リアルタイム画像処理に強みを持っています。

    OpenCVは、インテルが開発を開始し、現在は独立したオープンソースプロジェクトとして、世界中の開発者により活発に開発が進められているライブラリです。リアルタイムの画像・動画処理に特化しており、カメラ入力映像の検出・追跡・認識といったコンピュータビジョン分野を得意としています。

    具体的には、顔認識や物体検出、バーコード読み取り、動作解析など、静止画だけでなく動画像の解析にも優れています。また、GPUを活用した高速化にも対応しており、自律走行などリアルタイム処理を必要とするシーンでの活用事例が多数存在します。

    一方で、動画像処理以外の画像分類やディープラーニング分野に関しては、TensorFlowやPyTorchほど高度な機能を有しておらず、用途の特化という側面があります。

    メリット

    • 画像処理・認識が高速である
    • リアルタイム処理に優れている
    • 様々な言語で利用可能

    デメリット

    • 主に画像処理向けで汎用性はない
    • ニューラルネット学習機能は薄い
    • コミュニティ規模が小さい

    OpenCV

    spaCy

    特徴

    Pythonの自然言語処理、および機械学習ライブラリです。NLP分野に特化しているのが特徴です。

    spaCyは、英語を中心とした自然言語のコーパスを統計的及びルールに基づいた手法で解析する、Pythonライブラリです。 トークン化、品詞タグ付け、固有表現抽出、意味役割ラベリングといった文書構造分析だけでなく、教師なし学習による文脈的意味表現のベクトル化もサポートしています。

    また、単語や文書の類似性比較が可能なword2vecやdoc2vecも実装されており、Chatbotや会話システムの開発にも利用されています。大規模コーパスを正確・高速に解析できる点が強みで、業界を代表するNLPライブラリの1つとして知られています。

    一方、多言語対応はまだ限定的であり、英語圏以外での適用には制限もあります。汎用的な機械学習ライブラリと比べると、用途も自然言語処理に集中するなどの特徴があります。

    メリット

    • 文書分類や感情分析などNLPに強い
    • 学習済みモデルを利用しやすい
    • 英語の解析精度が高い

    デメリット

    • 主に英語向けで多言語対応は今後の課題
    • Chatbot実装等の汎用性は低い
    • 中小規模データセット向き

    spaCy

    Django

    特徴

    Python向けの、高機能WEBアプリケーションフレームワークです。Webサービス構築を高速化できます。

    Djangoは、Python製のオープンソースWebアプリケーションフレームワークで、WebサイトやWebアプリの構築を高速化することを目指しています。Model View Template(MVT)アーキテクチャに基づいており、アプリの機能ごとに役割が明確化されているのが特徴です。

    データベース抽象化、テンプレートエンジン、静的ファイル管理、認証・認可フレームワークといった多彩な機能が標準実装されており、管理画面、ブログ、SNSといったWebサービスのプロトタイプを素早く構築できる点が高く評価されています。

    Djangoの提供する、ブラックボックス的な機能は大変便利ですが、高度なカスタマイズ性が必要となるケースには向いていないという制約もあります。

    メリット

    • Webアプリ構築の生産性が極めて高い
    • 管理サイトやCMSの機能を簡単に実装可能
    • SEO対策やセキュリティも万全

    デメリット

    • カスタマイズ性に多少の制限がある
    • パフォーマンスチューニングが必要になることも
    • データベースの選択肢が少ない

    Django

    Flask

    特徴

    Pythonの、軽量Webアプリケーションフレームワークです。小規模な、APIサービス構築に向いています。

    Flaskは、最小限の機能を実装したシンプルな、Python製のWebアプリケーションフレームワークです。ルーティング、テンプレートエンジン、リクエストオブジェクトといった、基本的な機能がコアとして提供されますが、認証やデータベース抽象化などの高度な機能は拡張パッケージとして必要に応じて、追加できるようになっています。

    このため、アプリケーションの構造自体の自由度が高く、軽量かつ柔軟なカスタマイゼーションがFlaskの大きな魅力となっています。反面、アプリの規模が大きくなるにつれて、実装効率の点で、機能の充実度を優先したDjangoなどに劣ってくる面もあるといえます。

    マイクロサービスアーキテクチャ上でのAPI実装や、アジャイル開発を行う場合のプロトタイピング用途としてのFlaskの有用性は高いです。

    メリット

    • 導入と習得が容易で生産性が高い
    • 自由度が高く柔軟なカスタマイズが可能

    デメリット

    • 機能面ではDjangoほど充実していない
    • 大規模システム構築には向いていない

    Flask

    Tornado

    特徴

    Pythonの、非同期Webアプリケーションフレームワークです。高いパフォーマンスを実現しています。

    Tornadoは、非同期I/Oに基づいたWebアプリケーションフレームワークで、高い並列処理性能を実現しています。同一コネクションでのリクエスト受付や、大量の開いたコネクションの処理といったシーンでその真価を発揮します。

    具体的には、WebSocketを利用したリアルタイムデータのストリーミング配信や、Webサーバとしての静的コンテンツの高速配信を得意としています。APIサーバとフロントエンドを分離したアーキテクチャにおいて、APIサーバ部分にTornadoを採用するケースも多いです。

    反面、テンプレートやデータベース接続といった、汎用的なWebアプリ機能は最小限に留められているため、機能面では機能満載のDjango等に及ばないという側面もあります。高負荷かつ低レイテンシが要求されるニッチな領域での活用が適しています。

    メリット

    • 非同期処理による高いパフォーマンス
    • リアルタイム更新型Webアプリに強い

    デメリット

    • 汎用的Webアプリ構築力では劣る
    • コミュニティ規模が小さい
    • 学習コストが高い

    Tornado

    機械学習フレームワークの比較と選び方

    機械学習フレームワークには、TensorFlow、PyTorch、Kerasなど数多くの選択肢があります。学習したいモデルの種類やデータセットの規模によって、適切なフレームワークは異なります。

    また、利用可能なハードウェア資源やエンジニアのスキルセットとの親和性も重要な選定要素です。アプリケーション開発の目的や要件に適合したフレームワークを選ぶことが成功のカギとなります。

    今回は、機械学習フレームワーク比較の際に注目すべき、主要な4つの観点を解説します。これらの要素を総合的に判断することで、最適なフレームワークの絞り込みが可能となります。

    学習したいモデルの種類はどれか

    画像認識のCNNや、音声文字起こしのRNNなど、学習目的に応じた適したアルゴリズムがフレームワークでサポートされている必要があります。

    例えば、画像分類を行いたい場合、Convolutional Neural Network(CNN)を構築できる、深層学習型のフレームワークが必要不可欠です。一方で線形回帰分析などの、浅層の機械学習テクニックを用いるだけで目的が達成できるのであれば、Scikit-learnのような汎用フレームワークでも十分対応可能です。

    つまり、画像認識、自然言語処理、データ分類といったアプリケーションの用途に応じて、TensorFlowやPyTorch、Keras、спаСуなどの中から、最適なフレームワークを選定する必要があります。アルゴリズム群だけでなく、学習済みモデルの利用可能性も含め、実現したいアプリの目的要件を明確化した上で判断することが大切です。

    利用するデータセットのサイズが適切か

    扱うデータ量に対して、フレームワークの性能が追い付いているかどうかも重要な視点です。

    機械学習に用いるトレーニングデータが、数GBから数TB以上の大量のデータセットとなるケースがしばしばあります。この場合、データ並列化に強いTensorFlowや、PyTorchといったフレームワークを利用することで、複数GPUを活用した高速化が図れます。

    一方で、学習データが比較的少量の場合は、KerasやScikit-learnなどの取り扱い容易なフレームワークでも事足りる場合が多くなります。データ量に合わせたスケーラブルなフレームワーク選定が重要です。

    加えて、エッジデバイス上で実行する際にはメモリ資源の制約も大きく影響します。データ量や入力の次元に応じて、リソース面で最適化されたフレームワークを選ぶことが望まれます。

    実行環境が適しているか

    利用できる計算資源の種類と量が、フレームワークの動作要件を満たしている必要があります。

    機械学習フレームワークを動作させる上で、使用するハードウェアリソースの種類とスペックが重要な選定条件となります。多くのフレームワークがGPUを活用した高速化に対応していますが、利用可能なGPUの数やメモリ容量によって並列度合いが左右されます。

    加えて、NVIDIA製GPUのみをサポートするフレームワークもあれば、CPUのみでも動作可能なフレームワークもあります。推論時の物理マシンスペックに合わせて、適切にフレームワークを選定することが肝要です。

    また、クラウド上での動作を前提にするのか、オンプレミスでの実行を想定するのかといったアーキテクチャの観点からも、フレームワーク比較が必要となります。

    利用者のスキルレベルに合っているか

    習得の難易度やコーディングの方法論も、利用者にあったフレームワークを選ぶ際の判断材料になります。

    機械学習フレームワークごとに、学習曲線の高低が異なり、ディープラーニング未経験の初心者から上級者まで、幅広い層を想定した製品が存在します。

    例えば、KerasやPyTorchは導入ハードルが低く、比較的容易に学習を開始できます。一方で、TensorFlowは設計思想が特殊で、多少の知識と経験が求められます。

    コーディングできる言語自体の習熟度も重要な要素で、Pythonはもちろんのこと、機械学習エンジニアにおいて数学・統計が不可欠なスキルセットであることに注意が必要です。

    利用者像に合わせた、最適なフレームワークの特定が、効果的な人材活用と直接結びつくことを認識しましょう。

    オープンソース機械学習フレームワークの活用メリット

    機械学習やディープラーニングの分野では、TensorFlowやPyTorch、Kerasなど、数多くのオープンソースフレームワークが活発に開発されています。これらのフレームワークを上手く利用することで、自社開発に匹敵する水準のアプリケーション創出が可能になります。

    オープンソースには、世界中の優秀な開発者が参画し、日々改良が加えられていることから、品質とセキュリティも担保されています。その結果、開発効率やコストの大幅な改善につながるので、中小企業にとって大きなメリットがあります。

    今回は、オープンソース機械学習フレームワークを活用することで得られる、開発効率向上、品質向上、コスト削減の3つのメリットについて具体的に見ていきます。

    開発効率の向上

    機械学習の基本アルゴリズムが実装済みで、すぐに利用できるため開発スピードが飛躍的に向上します。

    オープンソースの機械学習フレームワークでは、ニューラルネットの基本構成要素から高度なモデルまで、柔軟に組み立て可能な部品が用意されています。これらの汎用コンポーネントを適切に組み合わせることで、短時間で目的別のニューラルネットをカスタマイズできます。

    例えば、画像認識や物体検出を行うCNNの開発では、事前学習済みの構造を流用するトランスファーラーニングを行うことで、大幅に工数を減らすことが可能です。このように、共通の下地となる実装を再利用することで、開発効率の大幅な改善につながります。

    加えて、多くのフレームワークがPythonなどの高級言語を採用していることから、コーディングの容易さとデバッグ性の面でも生産性が大きく向上しています。

    品質の向上

    数多くの開発者による知見が集積されたオープンソースは、品質・安定性も保証されています。

    TensorFlowやPyTorchなどの人気オープンソースフレームワークは、多数の個人・法人によって精力的に開発が進められているのが大きな強みです。最先端の研究機関だけでなく、民間企業も参画しており、世界トップクラスの人材が集結していると言えます。

    こうした多方面からのフィードバックによって、継続的な品質改善がなされており、商用製品に匹敵する安定性と信頼性が担保されています。また、万が一不具合が見つかっても、迅速に修正パッチが当てられる体制が整っていることも大きいです。

    中小企業ならではの人材やリソースの制約を考えると、このような世界基準の品質を備えたフレームワークを利用することに対するメリットは計り知れません。

    コストの削減

    利用料のかからない、オープンソースを活用することで、コスト削減を実現できます。

    オープンソースの機械学習フレームワークは、基本的にライセンス費用が不要で、自由に利用できるのが大きなメリットです。簡易な利用であれば、商用製品の場合と比べて大幅にコストを抑えることが可能です。

    例えば、画像認識APIを利用する場合、1リクエストあたり数円から数十円の課金がされるケースが少なくありません。しかし、オープンソースを利用して同様の機能を実現した場合、インフラ稼働費用以外のコストはほぼゼロとなります。

    中小企業にとって、このコスト面でのメリットは非常に大きく、自社開発が難しい先進的なテクノロジーを手軽に活用できるチャンスが拓けます。限られた開発リソースの中で、効果を最大化するには、積極的にオープンソースを取り入れることが不可欠です。

    機械学習のまとめ

    機械学習を学ぶメリットは、AIやビッグデータ分析に求められるスキルを身につけられることです。今回解説したTensorFlow、PyTorch、Kerasなど、オープンソースのフレームワークを使いこなせば、実データを基に高度な予測モデルを構築できます。

    目的と条件に応じ、フレームワークを適切に選ぶことで、効率的なAIシステム開発が可能になります。データ規模、環境、スキルなど、多角的な観点での比較検討が重要であり、機械学習のスキルを身につけることは、企業が求める即戦力となり、データサイエンティストなど有望な専門職への途が開かれるでしょう。

    機械学習フレームワークは日々発展しています。適切に活用することで、中小企業においても最新テクノロジーで、競争優位を築くチャンスが訪れます。この記事を読んで、機械学習で事業を成長させたいと思った方は、ぜひ株式会社Jiteraまでお問い合わせください。

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