ControlNet は、Stable Diffusionに追加機能を提供する強力な拡張機能であり、ユーザーが画像生成の精度をさらに高めるための多様なモデルを活用できます。
この記事では、ControlNetの基本機能から導入方法、具体的な使い方までを詳しく解説し、そのメリットや注意点も紹介します。
特に画像生成のプロンプト入力を簡略化したい方や、より細かい調整を求めるクリエイターには必見の内容です。
プログラマー兼ネットワークエンジニア。 24歳でエンジニアの世界に飛び込むも、いきなり大手企業機器の検証担当に。 その後も検証をこなしていく中で、自動的にできないものかと試行錯誤しているといつの間にかプログラマーへとステップアップ。 現在はプログラミングの方が好き。
ControlNetとは

ControlNet とは、Stable Diffusionの拡張機能であり、画像生成プロセスを細かく制御できるツール です。
従来の画像生成ツールと比較して、ControlNetはユーザーが指定したポーズや構図に基づき、より精密で高品質な画像を生成することが可能 です。
ControlNetには以下のようなモデルがあります
- Canny
画像のエッジを検出するモデル。 - Inpaint
画像の一部を修正・補完するモデル。 - Openpose
人物のポーズを細かく指定できるモデル。 - Depth
画像の奥行きを再現するモデル。
これらのモデルを使用することで、ユーザーは自身のクリエイティブなビジョンに合った画像をより正確に生成でき、プロジェクトの質を向上させることができます。
ControlNetのメリット

ControlNetのメリットを理解することで、画像生成のプロセスが大幅に向上 し、よりクリエイティブで精密な結果を得ることができます。
ここでは、ControlNetを使用することで得られる主な利点を紹介 します。
- より高品質な画像が生成できる
- ポーズや構図を細かく指定できる
- プロンプトを大幅に省略できる
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
より高品質な画像が生成できる
ControlNetを使用することで、より高品質な画像を生成することが可能になります。
通常のStable Diffusionでは、生成される画像の品質がプロンプトや設定に大きく依存しますが、ControlNetを導入することで、画像の構成やディテールを細かく制御できます。
これにより、背景やキャラクターの細部がより鮮明に描写されるだけでなく、複雑な構図や質感も正確に表現できる ため、プロフェッショナルな作品制作がより簡単になります。
特に商業用途やクリエイティブなプロジェクト において、その効果は非常に高いと言えるでしょう。
ポーズや構図を細かく指定できる
ControlNetを使用することで、ポーズや構図を細かく指定して画像を生成することが可能です。
通常のStable Diffusionでは、プロンプトの指示によりポーズや構図を大まかに決めることができますが、細部の指定は難しい 場合があります。
しかし、ControlNetを導入することで、特定のポーズや構図を正確に指示できる ため、意図通りの画像を生成しやすくなります。
これにより、より具体的なイメージに近い画像を得ることができます。
プロンプトを大幅に省略できる
ControlNetを使用することで、プロンプトを大幅に省略しつつ、希望通りの画像を生成することができます。
Stable Diffusionでは詳細な画像を得るために、プロンプトに多くの指示を追加する必要があります が、ControlNetを使えばその必要が減ります。
これにより、プロンプト作成にかかる時間や労力を削減でき、さらに意図した結果を得やすくなります。
また、プロンプトの精度に依存しないため、初心者でもクオリティの高い画像を生成することができる でしょう。
ControlNetの使い方

ControlNetの使い方を理解することで、Stable Diffusionでの画像生成の幅が大きく広がります。
まずは以下の手順を踏み、ControlNetの環境を構築していきましょう。
- Stable Diffusionをインストール
- ControlNetのインストール
- 最新バージョンか確認・アップデート
- ControlNetのモデルをダウンロード
- ControlNet Cannyの設定
- イメージ画像を挿入し生成する
それぞれのステップについて、詳しく説明していきます。
Stable Diffusionをインストール
Stable Diffusionをインストールするには、以下の手順で実施すると良いでしょう。
- Python(3.7以上)とGitがインストールされていることを確認し、未インストールの場合は公式サイトからダウンロード、インストールする。
- ターミナルまたはコマンドプロンプトで以下を入力し、Stable Diffusionのリポジトリをクローン。
git clone https://github.com/CompVis/stable-diffusion.git
- リポジトリのディレクトリに移動し、次のコマンドで必要なPythonパッケージをインストールする。
pip install -r requirements.txt
- 必要なモデルファイル(.ckptファイル)を公式サイトからダウンロードし、指定されたフォルダに保存。
この手順を実施することで、Stable Diffusionのインストールが完了し、ControlNetを使う準備が整います。
ControlNetのインストール
ControlNetをインストールするためには、以下の手順を実行してください。
- Stable Diffusion WebUIを開き、上部の「Extensions」タブを選択。
- 「Install from URL」タブをクリック。
- 「URL for extension’s git repository」欄に、ControlNetのインストール用URL(https://github.com/Mikubill/sd-webui-controlnet.git)を入力。
- 「Install」ボタンをクリックして、インストールを開始する。
- インストール完了後、「Apply and restart UI」ボタンをクリックしてWebUIを再起動する。
- 再起動後、「txt2img」タブに「ControlNet vxxxx」が表示されていることを確認。
これで、ControlNetのインストールが完了し、各種モデルを利用した画像生成が行えるようになります。
最新バージョンか確認・アップデート
ControlNetの最新バージョンであるか確認し、必要に応じてアップデートするためには、以下の手順を実行してください。
- Stable Diffusion Web UIを開き、上部の「Extensions」タブを選択。
- 「Installed」タブをクリック。
- 「Check for updates」ボタンをクリックして、アップデートが必要な拡張機能を確認。
- 「Update」に「latest(最新版)」「new commits(更新可能)」「unknown(不明)」のいずれかが表示される。
- 「Apply and restart UI」ボタンをクリックして、ControlNetを含むすべての拡張機能を一括で更新します。
これで、ControlNetを含む拡張機能が最新バージョンにアップデートされます。
ControlNetのモデルをダウンロード
ControlNetで使用するモデルをダウンロードするためには、以下の手順を実行してください。
- ControlNetの公式GitHubリポジトリまたは公式サイトにアクセスする。
- 使用したいモデルのページで、ダウンロードリンクを確認し、必要なモデルファイルをローカルに保存する。
- ダウンロードしたモデルファイルを、ControlNetの設定ディレクトリ(通常はmodelsディレクトリ)にコピーする。
- ControlNetを再起動し、新しいモデルが正常に読み込まれることを確認する。
この手順を踏むことにより、ControlNetで新しいモデルを利用可能になります。
ControlNet Cannyの設定
ControlNetにはさまざまなモデルがありますが、ここでは「Canny」を用いた場合の設定手順を紹介します。
設定は以下の手順で行うことができます。
- ControlNetの設定画面を開く。
- モデルリストから「Canny」を選択する。
- パラメータ設定画面で、エッジ検出の閾値や強度などの設定項目を調整する。
- 変更を保存し、設定を適用する。
これでControlNet Cannyの設定は完了です。
設定により、エッジ検出を活用した画像生成が可能となります。
イメージ画像を挿入し生成する
イメージ画像を挿入し生成するための手順は以下の通りです。
- ControlNetの設定画面を開く。
- 生成に使用するイメージ画像をアップロードする。
- 生成したい画像の内容やスタイルのプロンプトを入力する。
- モデルリストから、使用するモデル(例:CannyやOpenposeなど)を選択する。
- 必要に応じて、各種パラメータを調整する。
- 「Generate」ボタンをクリックし、画像生成を開始する。
プロンプトを詳細に入力することで、イメージ画像の内容に加え、スタイルや詳細な要素を指定でき、よりカスタマイズされた画像生成が可能になります。
ControlNetの機能モデル一覧

ControlNetには、多様な機能モデルが用意されており、それぞれ異なる用途や効果があります。
ここでは、ControlNetで利用できる主なモデルをすべて紹介 します。
- canny
- inpaint
- openpose
- reference only
- tile
- depth
- scribble
- mlsd
- lineart
- normal
- segmentation
- softedge
それぞれのモデルについて詳しく見ていきましょう。
canny
canny は、エッジ検出アルゴリズムを使用して画像の輪郭を抽出し、その情報を基に画像生成を行うモデルです。
このモデルは、画像のディテールを強調し、鮮明なエッジを持つ画像を生成するのに適しています。
cannyモデルを使用することで、エッジ情報を活かした精密な画像生成が可能となります。
Inpaint
Inpaint は、画像の一部を修正・補完するためのモデルです。
このモデルを使うと、画像内の不要な要素を消したり、欠損部分を自然に埋めたりすることができます。
Inpaintモデルを利用することで、元の画像と違和感なく調和する修正が可能となり、画像編集のクオリティを大幅に向上させます。
Openpose
Openpose は、人間のポーズを精密に指定するためのモデルです。
このモデルを使うと、画像内の人物の姿勢や体の動きを細かくコントロールすることができます。
Openposeモデルを活用することで、ポーズの自由度が大幅に広がり、より表現力豊かな画像を作成することが可能になります。
Reference only
Reference only は、指定した画像を元に、その特徴を忠実に再現した画像を生成するためのモデルです。
このモデルを使用すると、元画像の色合いや構図、スタイルを保持しつつ、新しい画像を作成することができます。
Reference onlyモデルを利用することで、オリジナル画像に近いビジュアルを簡単に再現できます。
Tile
Tile は、画像のタイルパターンを生成するためのモデルです。
このモデルを使用すると、画像をシームレスに繰り返し配置できるタイル状のパターンを作成することができます。
Tileモデルを活用することで、デザインの一貫性を保ちながら、視覚的に魅力的なパターンを効率的に作成することができます。
Depth
Depth は、画像の深度情報を利用して立体感を強調するためのモデルです。
このモデルを使用すると、2D画像に奥行きや高さの要素を追加し、立体的な表現が可能になります。
Depthモデルは、シーンの奥行きを強調し、視覚的なインパクトを高めるために非常に有用です。
Scribble
Scribble は、手描きの線やスケッチを元に画像を生成するためのモデルです。
このモデルは簡単なスケッチを元に、詳細な画像やアート作品を作り上げることができるため、アイデアの具現化やコンセプトアートの制作に役立ちます。
Scribbleモデルは、デザインやイラスト制作を効率化し、クリエイティブな表現をしたい場面において有効です。
mlsd
MLSD は、ラインアートや構造的な描画を解析し、そのラインに沿った画像生成を行うモデルです。
このモデルを使用すると、建物の設計図や機械のスケッチなど、複雑なラインアートを基にしてリアルな画像やイメージを生成できます。
MLSDモデルは、デザインの可視化やコンセプトアートの制作に役立ちます。
lineart
Lineart は、画像内の輪郭やエッジを抽出して、そのラインに基づいた画像生成を行うモデルです。
このモデルを使用することで、既存のイラストやスケッチを元に、より詳細な描画やカラーリングを加えた作品を作成できます。
Lineartモデルはイラストレーターやデザイナーにとって、スタイルの一貫性を保ちながら効率的に作品を仕上げるための強力なサポートを実現しています。
normal
Normal は、3Dレンダリングにおける法線マップを活用した画像生成モデルです。
このモデルは、通常の2D画像では表現しづらい陰影や奥行きを、より立体的かつ詳細に描写することが可能です。
NormalモデルはゲームデザインやCG制作などで、より現実感を求める場面において特に有効です。
segmentation
Segmentation は、画像内の異なる領域を識別し、それぞれを個別のセグメントとして区分けする画像生成モデルです。
このモデルは、物体の境界や領域を正確に把握し、背景や前景、複数のオブジェクトを区別するのに役立ちます。
Segmentationモデルは、画像編集や広告制作、医療分野での画像解析などで特に有効です。
softedge
Softedge は、画像内の輪郭やエッジを柔らかく表現し、滑らかで自然な境界を生成するモデルです。
このモデルは、硬いエッジや不自然な境界線を避け、絵画的な風合いやふんわりとした印象を与える画像を作成するのに適しています。
Softedgeモデルは、滑らかなエフェクトを加える際に特に効果的です。
ControlNetの対処法

ControlNetの利用中に発生するさまざまな問題に対処するためには、適切な方法を理解しておくことが重要です。
ここでは、ControlNetを使用する際によくある問題とその対処法について、具体的な解決策を紹介 します。
- ControlNetが反映されない
- モバイルファイルが表示されない
- 適切なバージョンか確認する
それぞれの状況に応じた対策を詳しく説明していきます。
ContorolNetが反映されない
ControlNetが反映されない 場合、以下のような原因が考えられます。
- モデルの設定が不適切
対策:ControlNetの設定画面で選択したモデルやオプションが正しいか確認する。 - GPUのメモリ不足
対策:入力画像の解像度を下げるか、メモリ消費の少ないモデルを使用する。 - バージョンの問題
対策:ControlNetのバージョンが最新であるか確認し、必要に応じてアップデートを行う。 - プラグインの競合
対策:他のプラグインが影響しているか確認し、不要なプラグインを無効化する。
これらの方法を試すことで、ControlNetが正常に反映される可能性があります。
モバイルファイルが表示されない
ControlNetでモバイルファイルが表示されない 場合、以下のような原因が考えられます。
- ファイルパスの設定ミス
対策:モバイルファイルの保存先のパスが間違っていないか確認する。 - ファイル形式の非対応
対策:利用するファイル形式のサポート有無を確認し、必要に応じて対応形式に変換する。 - 読み込み権限の問題
対策:ファイルの読み込み権限設定を確認し、不足している場合は適切な権限を付与する。 - キャッシュの問題
対策:キャッシュが原因でファイルが正しく読み込まれない場合があるため、キャッシュをクリアする。
これらの対処法を試すことで、モバイルファイルが表示される可能性があります。
適切なバージョンか確認する
ControlNetが正しく機能しない場合、使用しているバージョンが適切かどうか確認する ことが重要です。
特に、ControlNetとStable Diffusion、他の拡張機能のバージョンが互換性のあるものでなければ、エラーや不具合が発生することがあります。
最新バージョンでない場合も問題が生じる可能性があるため、定期的にアップデートを行い、インストールや設定手順が正確か再確認することが必要です。
適切なバージョンを保つことにより、ControlNetの正常な動作が保証されます。
ControlNetのまとめ

今回は、ControlNetについてその基本的な機能から、導入方法、使い方までを詳しく解説しました。
ControlNetは、Stable Diffusionの拡張機能として、生成画像の品質向上やプロンプトの簡略化、構図やポーズの細かい調整が可能な点で注目されています。
多様なモデル(Canny、Inpaint、Openposeなど)を活用する ことで、さまざまな用途に対応した画像生成が実現できます。
ControlNetを活用する主なメリットは以下の通りです。
- 高品質な画像生成が可能
- ポーズや構図を自由に指定できる
- プロンプトを大幅に簡略化できる
ControlNetの導入により、クリエイティブなプロジェクトがより効率的に進行し、想像以上の成果を得られるでしょう。
ぜひ、この記事を参考にして、ControlNetの機能を最大限に活用してください。
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