SDXL Turboは、Stability AI によって発表された、最新のリアルタイム画像生成モデルです。
このモデルを利用すれば、作成したい画像イメージをプロンプトに入力することで、即座に画像を生成できます。
この記事では、SDXL Turboの使い方や料金、ほかにも注意点まで紹介しています。
この記事を読んで、SDXL Turboの使い方を学び、自社にてどのように活用できるかの参考にしてください。
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
SDXL Turboとは?
SDXL Turboは、 Stability AIによって発表された、最新のリアルタイム画像生成モデルです。これは、「SDXL 1.0」を基盤としており、新しい蒸留技術「絶対的拡散蒸留(ADD)」を実装しています。
この技術を活用して、高品質な画像を少ないステップで効率的に生成することが可能です。
ここでは、SDXL Turboを詳しく知るために、以下の項目に分けて詳細に解説します。
- SDXLの特徴
- 生成AIの新技術ADDを使用
各項目の内容を見ながら、SDXL Turboを理解していきましょう。
SDXLの特徴
SDXLは、Stability AIによって開発された高性能な画像生成モデルで、以下のような特徴があります。
- 高解像度出力
- 高速画像生成
- 高品質な画像生成
- 柔軟なプロンプト対応
- 商用利用の制限
- 多様な利用環境
SDXLは、512×512ピクセルの画像を生成することができ、追加の処理で1024×1024ピクセル以上の解像度もサポートしており、詳細で鮮明な画像が生成可能です。
また、画像生成のスピードが非常に速く、特に、SDXL Turboバージョンではリアルタイムでの画像生成ができるほど。
さらに、SDXLは新しい蒸留技術「敵対的拡散蒸留(ADD)」を採用しており、低ステップ数で高品質な画像を生成することができます。ADDを採用することで、従来の多段階プロセスでの処理と比べて効率的な高解像度の画像生成が可能です。
ほかにも、プロンプトの入力に基づいて、詳細かつカスタマイズ可能な画像を生成することができます。たとえば、特定のスタイルやテーマを決定して、そのスタイルやテーマにそっての画像生成が可能です。
このように、SDXLは高速かつ高品質な画像生成を実現する最新のモデルであり、リアルタイムでの画像生成や高解像度出力ができる画像生成モデルとなっています。
生成AIの新技術ADDを使用
SDXLは、新しい生成技術「敵対的拡散蒸留(ADD)」を使用しているのが特徴的です。ADDは、高品質な画像生成を少ないステップで実現するための技術で、以下のような特徴があります。
- 効率的なサンプリング
- 高い画像忠実度
- リアルタイム画像生成
- 比較実験での優位性
ADDは、従来の他段階プロセスに比べて、1〜4ステップで効率的に画像生成が可能です。効率的に画像生成ができるため、生成速度が大幅に向上し、リアルタイムでの画像生成を実現しています。
また、スコア蒸留を用いて、大規模な基礎画像拡散モデルを教師信号として活用。これにより、低ステップ領域でも高い画像忠実度を確保できます。
敵対的損失と組み合わせることで、従来の蒸留手法で見られるようなアーティファクトやぼやけを回避した、質の高い画像生成が可能です。
ほかにも、SDXLのリアルタイムでの画像生成が可能で、ユーザーはプロンプトに基づいて瞬時に高画質な画像を生成することができます。
このように、SDXLはADD技術を用いることで、従来の生成モデルに比べて大幅に効率化された高品質な画像生成を実現しています。
SDXL Turboの導入方法と使い方
SDXL Turboは、新しい生成技術ADDを用いることで、リアルタイムに画像を生成できる技術であることがわかりました。
次に、SDXL Turboをどのように導入していけばよいかみていきましょう。
ここでは、SDXL Turboの導入方法と使い方を以下の項目に分けて解説します。
- SDXL Turboの導入方法
- SDXL Turboのインストール
- メタパラメータを設定
- プロンプト入力
- 画像生成
これら項目の操作手順にそって操作すれば、SDXL Turboを導入して利用することができます。
SDXL Turboの導入方法
SDXL Turboを導入するためには、GitとPythonのインストールが必要です。それぞれ、公式サイトからダウンロードしてインストールを進めてください。
次に、Stable Diffusion WebUIをインストールします。
Stable Diffusion WebUIは、Stable Diffusionモデルを簡単に利用するためのウェブベースのユーザインターフェース(UI)です。
インストール手順は、まず、Stable Diffusion WebUIを格納するフォルダを作成します。次に、作成したフォルダ上で以下のコマンドを実行し、WebUIをクローンします。
コマンドを実行したあと、クローンしたフォルダに移動し、以下のコマンドを実行して必要な依存関係をインストールします。
SDXL Turboのインストール
SDXL Turboをインストールするために、まずは、SDXL Turboをダウンロードしましょう。
Hugging FaceやCivitaiなどからSDXL Turboのモデルファイルをダウンロードします。これらのファイルは、Stable Diffusion WebUIのフォルダに格納します。
SDXL Turboのファイルをダウンロードしたら、以下のコマンドを実行して、WebUIを起動します。
メタパラメータを設定
WebUI が起動したら、ブラウザで 「http://127.0.0.1:7860」 にアクセスします。プロンプト入力欄や各種パラメータの設定バーが表示されるため、以下の設定をおこなうとよいでしょう。
- サンプリングステップ数:1
- 幅:512
- 高さ:512
- CFGスケール:1.5以下
- パッチ回数:1
- パッチサイズ:1
なお、サンプリングステップ数やCFGスケールを上げると、画質が悪化することがあるため、設定には注意が必要です。
プロンプト入力
プロンプト入力欄に、生成したい画像の説明を英語で入力します。具体的で詳細なプロンプトほど、規模に沿った画像が生成されやすくなります。
プロンプトには、たとえば以下のような内容を入力するとよいでしょう。
画像生成
設定が完了したら、「生成」ボタンをクリックして、画像を生成します。
この画像は、SDXL Turbo を使用して生成されたサンプル画像で、ネオンや空飛ぶ車などの未来的な夜の街並みをサイバーパンク風に表現しています。
ライトアップされた高層ビル、星が輝く暗い空、賑やかな通りが描かれており、活気に満ちたハイテクな雰囲気を作り出しています。
SDXL Turboの使用料について
SDXL Turbo は、さまざまな使用レベルに応じた料金プランを用意しています。
以下は、その内容を表にまとめたものです。
プラン | 料金 | 特徴 |
非商用(Non-Commercial) | 無料 | 個人用途と研究用途で利用が可能。 |
プロフェッショナル(Professional) | 20ドル | クリエーター、開発者、スタートアップ向け。商業用途での自己ホストモデルへのアクセスが可能。 |
エンタープライズ(Enterprise) | 要お問い合わせ | 大企業向け。プロフェッショナルの全機能に加えて、エンタープライズサポートやソリューションエンジニアリングなどが利用可能。 |
詳細およびサブスクリプションの登録に関しては、SDXL Turboの料金ページを参考ください。
SDXL Turboは、非商用のオープンソースです。
ただし、商用利用する場合にはライセンス契約が必要となるため、プロフェッショナルかエンタープライズの利用を検討する必要があります。
SDXL Turboでの画像生成例5つをご紹介
ここでは、実際にSDXL Turboを使用して作成した画像生成例を5つご紹介します。
まずは、以下の画像です。
プロンプト:「sexy girl」
指定している内容が少ないため、生成速度はリアルタイムとほぼ同等。
しかしながら、予想していた画像とはかなりかけ離れた画像が生成されてしまいました。
次の画像は、指定する語句を少し増やした画像です。
プロンプト:「Sexy woman in uniform with cat ears sexy girl」
「猫耳をつけて制服を着たセクシーな女性」を指定して画像生成した結果です。
生成速度は、先ほどよりは若干時間がかかったものの、瞬時といってよいほど即座に画像生成されました。
指定した通りの画像にはなっていますが、セクシーな女性ではないため、もう少し詳細な指定が必要かもしれません。
次に、人物以外の画像を生成してみました。
プロンプト:「A futuristic cityscape at night with neon lights and flying cars, in a cyberpunk style. The buildings are tall and illuminated with colorful lights, and the streets are bustling with activity.」
事細かに指定したため、生成されるまでに数十秒の時間がかかりましたが、未来を想像させるような空飛ぶ車に高層ビルが立ち並ぶ風景が生成されました。
もう一枚、画像を見てみましょう。
プロンプト:「A magical forest with glowing mushrooms and fairies flying around, surrounded by ancient trees and mystical lights, creating an enchanting atmosphere.」
森の中に大小さまざまなキノコが生える幻想的な画像が生成されました。
このように、細かな指定をすれば、SDXL Turboで自身のイメージに近い画像の生成が可能です。
最後に、面白い画像を一枚。
プロンプト:「朝日が昇る山岳風景」
英語入力を受け付けるプロンプトに、日本語でプロンプトを入力。
そうすると、特に指定もないのに富士山と思える山やお城が見える画像が生成されました。
日本語が入力されたというだけで、日本を連想する画像が生成されたようです。
SDXL Turboを使用する際の注意点
SDXL Turboを利用すれば、思い描いた画像を瞬時に生成できることがわかりました。
次に、SDXL Turboを使用する際の注意点をみていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて注意点を詳細に解説します。
- 法的・倫理的な注意点
- 技術的な制約
それぞれの項目を理解して、正しくSDXL Turboを利用しましょう。
法的・倫理的な注意点
SDXL Turboを使用する際には、法的や倫理的な項目に注意が必要です。まずは、法的な注意点には以下のようなものがあります。
- 著作権と知的財産権
- 商用利用のライセンス
- プライバシーとデータ保護
SDXL Turboを使用して生成した画像には著作権がありますが、その利用には制限がある場合があります。特に、商用利用する際には、生成した画像に関する著作権やライセンス条項を確認しましょう。
次に、倫理的な注意点です。
- 不適切なコンテンツの生成
- 誤情報の拡散
- フェアユースとバランス
差別的・攻撃的・暴力的、またはそのほかの不適切なコンテンツを生成することを避けるようにしましょう。
AIツールを使用してこれらのコンテンツを生成することは、倫理的に問題があり、プラットフォームの利用規約にも違反する可能性があります。
これら法的・倫理的な点に注意しながら、SDXL Turboを適切かつ倫理的に利用しましょう。
技術的な制約
SDXL Turbo は特定のネットワーク環境におけるいくつかの注意点があります。以下はそのおもな内容です。
- ネットワークの制約
- 設定の最適化
- セキュリティとプライバシー
- ネットワークの可用性と信頼性
SDXL Turboは高速なネットワーク接続を必要とします。遅い回線では効果が発揮されず、パフォーマンスが低下する可能性があるため注意が必要です。
また、SDXL Turboを使用する際には、適切な設定と最適化が必要です。キャッシュの管理・帯域幅の最適化、およびサーバーの設定変更に最適な設定をしましょう。
さらに、SDXL Turboはデータを圧縮し高速化するため、セキュリティとプライバシーに関する考慮が必要です。特に機密性の高いデータの場合、適切な暗号化とセキュリティ対策を検討するようにしましょう。
まとめ:SDXL Turboでリアルタイムに高画質な画像を生成
今回は、SDXL Turboに関して、以下のことがわかりました。
- SDXLはStability AIによって開発された高性能な画像生成モデル
- SDXL Turboバージョンではリアルタイムでの画像生成が可能
- Webブラウザ上でSDXL Turboを利用できる
- SDXL Turboを使用する際には法的・倫理的な点に注意が必要
SDXLは、Stability AIによって開発された高性能な画像生成モデルです。SDXL Turboバージョンでは、リアルタイムでの画像生成ができます。
プロンプトでさまざまな内容を指定すれば、その内容にそって瞬時に画像生成できるのが魅力です。
しかしながら、SDXL Turboを使用する際に操作方法や注意点などわからないことも多くあるでしょう。
SDXL Turboに関してわからないことは、AI開発に知見の多い、株式会社Jiteraにお気軽にご相談ください。
SDXL Turboをどのように活用したいかをヒアリングさせていただき、最適なご提案をさせていただきます。