AIフリー素材とは、商用利用や個人利用を問わず、無料で使用できる素材のことをさします。
このフリー素材には、提供しているサイトごとに規約や使用規程が設定されており、規約や規定を無視して使用すると、著作権に抵触する可能性があるため注意が必要です。
この記事では、AIのフリー素材を生成できるサイトだけでなく、商用利用の用途や実例なども紹介しています。
この記事を読んで、AIのフリー素材をどのように活用するかの参考にしてください。

PHPを独学で勉強した後にWeb業界に参入。大手企業でプログラマーとして活躍後、自社サービスの立ち上げ、大手検索エンジンサービスの保守運用作業、ソーシャルゲーム開発などに携わりながら、SE・管理職の道を歩んで現在に至る。現在は、管理職に携わる傍ら、これまでの経験を活かした執筆活動を続けている。
AIフリー素材が作れるサイト・ソフト
AIフリー素材とは、人工知能(AI)技術を使用して生成された画像・音声・テキストなどのデジタルコンテンツで、商用利用や個人利用を問わず、無料で使用できる素材のことを指します。
これらの素材は、著作権の問題がないため、クリエイターや企業がコンテンツ制作に利用する際に著作権侵害のリスクを避けることができます。
ここでは、AIフリー素材が作れるサイトやソフトを紹介します。
- MyEdit
- PhotoDirector
- Canva
- Picsart
- Fotor
それぞれのサイトやソフトの特徴を掴みながら、自社にあったツールを選びましょう。
MyEdit
MyEdit(マイエディット)は、AI技術を搭載したオンラインの画像・音声編集ツールです。ブラウザ上で簡単に利用でき、PCやスマホにアプリをダウンロードする必要はありません。
MyEditのおもな機能は、AIによる画像編集で、既存画像の不要な部分の削除・アニメ風変換・アバター作成・画質向上などが可能です。
また、画像生成AIにも対応しており、既存の人物写真をAIで着せ替えたり、自分に似たアバターを生成したりすることもできます。
音声編集では、プロフェッショナルレベルの音声編集を可能にする豊富な機能が備わっています。
MyEditは無料で利用でき、直感的な操作が可能です。
また、アップロードされたファイルはすぐに削除され、他の人がファイルにアクセスすることはできないため、100%のプライバシーが保証されています。
PhotoDirector
PhotoDirectorは、画像編集・調整、AI技術を使ったアニメーション化ができるオールインワンの写真編集アプリです。光や色の調整やトリミングがワンタップで可能で、手ブレの修正・美肌加工・置き換えなども容易にできます。
PhotoDirectorでは、人物写真のレタッチも可能です。鼻や腕・目・眉毛・足・シワ・お尻・ウエストなどのサイズやシェイプを調整したり、肌色を補正したりすることができます。
また、PhotoDirectorはRAWデータに対応した画像管理・レタッチソフトとしても機能します。画像インポートしてカラーラベル、フラグ、テキスト情報を追加して管理することができます。
Canva
Canva(キャンバ)は、オンラインで利用できる無料のグラフィックデザインツールです。
パソコン、スマートフォン、タブレットなどから利用でき、作成したデザインは数クリックで印刷注文することも可能です。
Canvaには無料版、Canva Pro、企業用プランの3つの価格帯があり、無料版でも25万点以上のテンプレートや無料の写真や素材を利用できます。
Picsart
Picsart(ピクスアート)は、写真や動画を編集できるスマホやWebアプリです。
文字入れやフィルターなどの基本的なツールから、クローンや人物切り抜きなどの本格的な機能まで揃っています。また、インスタグラムのように、作成した画像をアプリ内でシェアしたり、おしゃれなユーザーをフォローしたりできるSNS機能も備えています。
Picsartの画像編集機能は、基本的には無料で利用できますが、一部王冠のマークがついている機能があります。王冠マークがついている機能は、有料ユーザーだけが使える機能で、Picsart Goldとは、その王冠マークがついた機能を無制限で利用できる有料プランです。
Fotor
Fotorは、オンラインで利用可能なAI機能を備えた多機能画像編集ツールです。
このツールは、写真編集・グラフィックデザインの作成・フォトコラージュ制作など、様々なビジュアル作品の作成に適しています。
おもな機能には、ぼかし・明るさ補正・美顔機能・コラージュ作成・アイキャッチ作成などがあります。
AIが生成した素材の著作権は?
ここまで、AI素材を作成できるサイトやソフトをみてきましたが、これらツールで作成したAI素材の著作権はどのようになっているのでしょうか。
一般的に、AIが完全に自動で生成したコンテンツには、著作権が認められないことが多く、これは、著作権法が「人間の創造性」に基づいているためです。
ただし、生成された画像やコンテンツに、既存の画像・コンテンツとの類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作権侵害者として損害賠償請求・差上請求が可能であるほか、刑事罰の対象となる場合があります。
また、商用利用の場合は特に注意が必要なため、不安な場合は法的助言を専門家に求めるとよいでしょう。
以下の記事では、AI画像やイラスト生成ができるアプリを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
AIが生成した素材を商用利用する方法
AIが生成した素材の著作権は、一般的には認められないことが多いですが、既存の画像やコンテンツとの類似性や依拠性が認められればその限りではないことがわかりました。
このため、特に商用利用の場合は注意が必要となりますが、どのような方法で商用利用するとよいのでしょうか。
AI素材の商用利用は、その生成に使用された学習データに依存します。サービスの利用規約で商用利用を許可しており、他者の著作物を学習に使用していなければ、商用利用は基本的に問題ありません。
以下は、AIが生成した素材を商用利用する方法の一例です。
- 広告・プロモーションのコンテンツ作成
- アニメ・ゲーム等のコンテンツ作成
- 建築や製造現場等での設計デザインの作成
これらの商用利用の方法を理解して、AI素材を問題なく利用するようにしましょう。
広告・プロモーションのコンテンツ作成
AI素材を利用した、広告・プロモーションのコンテンツ作成が可能です。
以下は、AIが生成した素材を広告やプロモーションのコンテンツ作成に商用利用するための具体的な手順です。
- プラットフォーム選定と利用規約の確認
- コンテンツの生成
- ライセンスの取得とクレジット表記
- コンテンツの制作と統合
- 公開とモニタリング
まずは、利用するAIプラットフォームを選定し、その利用規約を確認します。商用利用が許可されているかどうか、またどのような制約があるかどうかを理解することが需要です。
次に、広告やプロモーション用の具体的なコンテンツを生成します。たとえば、広告に適したビジュアル素材を生成して、画像コンテンツとして使用したり、広告用のバックグランドミュージックやジングルを生成し、音声や音楽コンテンツとして使用するなどです。
生成したコンテンツを商用利用する前に、必要なライセンスを取得し、クレジット表記が必要な場合は、その通りにおこないましょう。
ライセンスの取得やクレジット表記をおこなったあとは、生成したAIコンテンツを広告やプロモーション素材に組み込みます。
広告やプロモーション素材を作成できたら、コンテンツを公開し、そのパフォーマンスをモニタリングします。
必要に応じて、AI生成コンテンツの効果を評価し、調整しましょう。
このように、AIが生成した素材を広告やプロモーションに商用利用する際には、まずは利用規約を確認し、ライセンスを取得することが重要です。
アニメ・ゲーム等のコンテンツ作成
AIが生成した素材をアニメやゲーム等のコンテンツ生成に利用することができます。
以下は、そのおもな手順と注意点です。
- プラットフォームの選定と利用規約の確認
- コンテンツの生成
- ライセンスの取得とクレジット表記
- コンテンツの制作と統合
- 公開とモニタリング
まず、利用するAIプラットフォームを選定し、その利用規約を確認します。商用利用が許可されているかどうか、または、どのような制約があるかどうかを理解することが重要です。
次に、アニメやゲーム用の具体的なコンテンツを作成します。たとえば、キャラクターデザイン・背景アート・アイテムデザインなどを生成したり、ChartGPTなどを利用して、ゲームのストーリーボードやアニメのシナリオ・キャラクターの台詞などを生成したりします。
生成したコンテンツを商用利用する前に、必要なライセンスを取得し、クレジット表記が必要な場合は、そのとおりにおこないましょう。
ライセンスの取得やクレジット表記をおこなったら、生成したAIコンテンツをアニメやゲームの素材に組み込みます。たとえば、デザインツールを使用して、生成された素材を統合したり、アニメーションツールを使用して生成された画像をアニメーションに変換したりします。
コンテンツの制作ができたら、そのコンテンツを公開し、そのパフォーマンスをモニタリングをおこないます。必要に応じて、AI生成コンテンツの効果を評価し、調整しましょう。
このように、AIが生成した素材をアニメやゲームのコンテンツに商用利用する際には、まず利用規約を確認し、ライセンスを取得することが重要です。
建築や製造現場等での設計デザインの作成
AI素材は、建築や製造現場などでの設計デザインの作成にも役立ちます。
以下は、その具体的な手順と注意点です。
- プラットフォームの選定と利用規約の確認
- 建築デザインや製品デザインなどのコンテンツ生成
- ラインセンスの取得とクレジット表記
- 公開とフィードバック
まず、利用するAIプラットフォームを選定し、その利用規約を確認しましょう。確認する項目は、商用利用が許可されているかどうか、またはどのような制約があるか、などです。
次に、建築や製造の設計デザインに必要となる、具体的なコンテンツを生成します。具体的には、建築デザインやインテリアデザインのコンプリートアートの生成や、製品デザインのコンセプトや設計図の生成などです。
ただし、生成したコンテンツを商用利用する際には、必要なライセンスの取得が必要となります。利用規約の内容によっては、クレジット表記が必要となる場合もあるため、注意しましょう。
このように生成したコンテンツを建築や製造の設計デザインに組み込みます。たとえば、CADソフトウェアを使用して、AI生成のデザインを統合したり、3Dモデリングソフトを使用して、AI生成のデザインを3Dモデルとして具現化したりします。
設計デザインができたら、できたものをクライアントやチームに共有して、フィードバックを収集しましょう。必要に応じて、AI生成コンテンツの効果を評価し、調整を行うことも重要です。
このような手順で設計デザインを生成しますが、重要なのは利用規約を確認し、ライセンスを取得することです。
生成したコンテンツを効果的に統合して適切なクレジット表記をおこなった上で、公開後にフィードバックを収集して調整することで、より効果的で実用的な設計デザインを作成できます。
AIが自動生成した画像の商用利用例
ここまで、AIが生成した素材の商用利用の方法をみてきました。次に、AIが自動生成した画像を実際に商用利用した例をみていきましょう。
以下は、AIが自動生成した画像を商用利用しているサービスの一例です。
- パルコ
- 日本コカ・コーラ
- キンチョール
- 大林組
- mign
それぞれの商用利用例をみて、自社でAI素材を有効に活用する参考にしてください。
パルコ
パルコは、ファッションビルや商業施設を運営しており、「PARCO」を全国に展開して雑貨や食品などの専門店・商業施設での設備や内装工事、カルチャースクールの経営などもおこなっています。
パルコでは、実際のモデル撮影は行わず、生成AIを駆使して制作したファッション広告を公開しています。これは、ホリデーシーズンのキャンペーンに活用するものです。
この広告は、グラフィックのほか、動画・音楽・ナレーションまで、全て生成AIで生成しています。ムービーでは、複数の生成AIを使用しており、ナレーションにはパルコ社員を含む複数の女性からサンプリングした声を使っています。
日本コカ・コーラ
日本コカ・コーラは、2023年12月19日にAI画像生成ツール「Create Real Magic」を使って、自分だけのクリスマスカードを作成できるWebサイトを公開しました。
また、2023年12月20日には、Winterキャンペーンの一環として屋外広告の制作にも「Create Real Magic」を使用しています。
日本コカ・コーラは、2023年3月にも消費者が撮影した写真を生成AIでイラストタッチにできる「AIイラストメーカー」を開始し、2024年5月時点で生成回数は145万回を超えています。
また、2023年3月には写真1枚から生成AIがオリジナルソングを作る「AIソングメーカー」も開始しています。
キンチョール
キンチョールは、大日本除虫菊(金鳥)が発売している家庭用殺虫剤です。
これは、ハエや蚊・ゴキブリ・ノミ・トコジラミ・イエダニ・マダニなどの害虫駆除に効果があるものです。1934年に発売されて以来、ロングセラー商品となっています。
キンチョールでは、自社が考える「ヤング向け映像」として企画し、画像生成AIを活用してCMを制作しています。
アイデア検討の際、あまりみたことがない、無視されないものを作ろうと意気込むあまりアイデアが路頭に迷っていました。このため、AIに画像アイデアのブレスト相手になってもらうという若々しいアイデアで、新たな活路を見出してCMを作成しています。
大林組
株式会社大林組(おおばやしぐみ)は、土木・建築工事を請け負う日本の総合建設会社(スーパーゼネコン)です。
大林組では、アイコルブと呼ばれる、文章から3DデザインをAI生成するツールを作成しています。これは、手描きのスケッチと建物をイメージした文章を基に、様々なファサード(建物の正面外観)のデザイン案を短時間で出力し、生成したデザインを基に3次元(3D)モデルを作成するツールです。
アイコルブは、大林組と米シリコンバレーに拠点を置く研究機関のSRI Internationalが共同で開発されたものです。
米スタートアップ企業のHypar(ハイパー)が提供する設計プラットフォーム「Hypar」の拡張機能として実装されています。Hypar上では敷地条件などを入力することで、自動で建物のボリュームスタディー(どのくらいの規模の建物を建てられるか検討すること)ができます。
アイコルブはHypar上で作成したボリュームモデルやスケッチの画像データなどを基に、多様なファサードデザインを出力することが可能です。
mign
株式会社mign(マイン)は、東京都荒川区に所在するスタートアップ企業で、AIやVR・ARなどの先端技術を活用したソフトウェア開発を行っています。不動産・建設業界の生産性向上をビジョンに掲げ、建設現場の進捗確認システムや画像生成ツールなどを開発しています。
mignでは、画像生成AIを組み込んだウェブサイト制作サービスを提供しています。このサービスでは、ユーザーのウェブサイト内のクリックやスクロールなどの行動や関心に合わせて、背景の画像を変化させることが可能です。
AIフリー素材のまとめ
今回は、AIフリー素材に関して、以下のことがわかりました。
- AIフリー素材とは商用利用や個人利用を問わず無料で使用できる素材のこと
- AIフリー素材を作れるサイトやソフトがある
- AIが生成した素材の著作権は認められないことが多い
- 広告・プロモーションやアニメ・ゲームなどのコンテンツ作成にAIフリー素材が活用できる
- AIが自動生成した画像を商用利用した例が多くある
AIフリー素材とは、商用利用や個人利用を問わず、無料で使用できる素材のことをさします。
これらAIフリー素材を作れるサイトやソフトがあり、うまく利用するとよいでしょう。
AIフリー素材は、著作権が認められないことが多いですが、既存のコンテンツとの類似性や依拠性が認められてしまうと著作権侵害者となってしまい、問題となる可能性があるため注意が必要です。
AIフリー素材の商用利用では、広告・プロモーションや、アニメ・ゲームなどのコンテンツ作成に活用されています。
このように、多くの分野で活用が期待できるAIフリー素材ですが、自社でどのように扱えばよいかわからないこともあるでしょう。AIフリー素材のことでわからないことがあれば、AI開発に強みを持つ、株式会社Jiteraにお気軽にご相談ください。
自社にてAIフリー素材をどのように活用したいかをヒアリングさせていただき、適切なアドバイスをご提案させていただきます。