昨今、AIを使った開発において注目を集めているのが「GitHub Copilot」です。
GitHub Copilotは、プログラミングを支援するAIツールで、開発者が書き始めたコードを理解し、その続きを提案してくれます。
また、昨今では開発者向けAIツール「GitHub Copilot」のEnterpriseプランの一般提供を開始したこともあり、今話題沸騰中のツールです。
この記事では、このツールの料金体系、特徴、導入手順について詳しく解説します。

現役のシステムエンジニアとして10年程度のキャリアがあります。 Webシステム開発を中心に、バックエンドからフロントエンドまで幅広く対応してきました。 最近はAIやノーコードツールも触っています。
GitHub Copilotとは?
GitHub Copilotは、プログラミングの補助を提供するAI駆動のツールです。
GitHubとOpenAIが共同で開発されたもので、コードの記述をより迅速かつ効率的に行うことが可能です。
GitHub Copilotができることは、コードの自動補完、関数やクラスの生成、ドキュメントやコメントの自動生成など多岐に渡ります。
たとえば、ユーザーが一部のコードを入力すると、Copilotはその文脈を理解し、次に書くべきコードを提案します。
GitHub Copilotの利用によって、開発者はコーディングの時間を短縮し、より創造的な作業に集中できるとして多くの企業で導入されています。
GitHub Copilotのメリット
ここでは、GitHub Copilotのメリットを3つ紹介します。
- 開発スピードが向上しプログラマーの負担も軽減
- 慣れない開発言語を扱いやすくなる
- ドキュメントやコメントを自動生成してくれる
以下ではそれぞれについて説明します。
開発スピードが向上しプログラマーの負担も軽減
GitHub Copilotを採用するメリットの1つ目は、開発スピードの向上とプログラマーの負担軽減です。
GitHub Copilotは、AIを利用してコードの自動補完、一般的なプログラミングパターンや頻繁に使用される関数の提案を即座に行います。
そのため、開発者の開発スピードが向上し、複雑なコードの記述やバグの修正に要する時間を短縮可能です。
GitHub Copilotを使うと、プログラミング作業を効率化し、開発プロセス全体を加速させることができます。
慣れない開発言語を扱いやすくなる
GitHub Copilotを採用することで、慣れない開発言語を扱う際の学習曲線を軽減し、学習スピードが上がります。
GitHub Copilotは特定の関数の使い方や構文の形式をリアルタイムで提案してくれるため、開発者は新しい言語の記法やライブラリを簡単に習得できます。
また、GitHub Copilotは、多様なプログラミング言語にも対応しています。
具体的には、Python、JavaScript、Java、Go、Rubyなど、主要なプログラミング言語を広範囲にサポートしています。また、C++やTypeScriptなどの他の言語にも対応しており、多くの開発者にとって利用価値が高いです。
新しい技術を習得しながら同時に実際の開発作業を進められるため、生産性向上にもつながります。
ドキュメントやコメントを自動生成してくれる
GitHub Copilotは、コードの自動生成だけでなく、ドキュメントやコメントの自動生成も可能です。
関数やクラスの機能を説明するコメントを自動的に生成したり、APIドキュメントの作成を補助したりすることで、開発者の負担を軽減します。
適切なドキュメントはコードの可読性を向上させ、保守性を高める上で重要です。Copilotを活用してドキュメント作成の手間を省き、開発効率を向上させましょう。
GitHub Copilotのデメリット
GitHub Copilotは多くのメリットがある一方で、いくつかの重要なデメリットも存在します。
以下では、主な2つのデメリットについて詳しく説明します。
- サイバー攻撃される可能性がある
- 誤ったコードが提案される
GitHub Copilotを導入する前に、これらのデメリットについても理解しておきましょう。
サイバー攻撃される可能性がある
GitHub Copilotを使用する際には、セキュリティリスクに注意が必要です。
GitHub Copilotは、公開されている膨大なコードを学習データとして利用しています。
そのため、学習データに含まれる脆弱性やセキュリティ上の欠陥が、生成されるコードに反映される可能性があります。また、悪意のあるコードが生成されるリスクもゼロではありません。
開発者は、Copilotが生成したコードをそのまま利用するのではなく、セキュリティチェックを徹底する必要があります。
脆弱性診断ツールなどを活用し、生成されたコードにセキュリティ上の問題がないか確認することが重要です。
誤ったコードが提案される
GitHub Copilotを利用する際の注意点として、AIによるコード提案が必ずしも正確であるとは限らない点が挙げられます。
このツールはGitHub上の膨大なコードベースから学習を行い、開発者が書こうとしているコードに合致するとAIが判断したコードを提案します。
しかし、AIが提案するコードが常に最適または正確であるわけではなく、場合によっては誤ったコードを示すこともあります。
そのため、GitHub Copilotの提案を盲目的に信用するのではなく、提案されたコードを慎重にレビューし、必要に応じて修正を加えることが重要です。
GitHub Copilot4つの料金体制
GitHub Copilotには以下4つの料金体制があります。
- GitHub Copilot for Individuals
- GitHub Copilot for Business
- GitHub Copilot for Enterprise
- GitHub Global Campus
個人向け、ビジネス向け、エンタープライズ向け、そして学生・教職員向けのプランがあり、それぞれ機能や価格が異なります。ここでは、GitHub Copilotの料金体制について詳しく解説します。
プラン | Individuals | Business | Enterprise | Global Campus |
料金 | $10/月もしくは$100/年 | $19/月(1人あたり) | $39/月(1人あたり) | 無料 |
GitHubアカウントの種類 | 個人 | ビジネス | 企業 | 学生 |
テレメトリ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
パブリック コードに一致する候補をブロックする | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
エディタに直接接続する | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
複数行の関数の候補を提案する | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
Organization 全体にわたるポリシー管理 | × | ◯ | ◯ | × |
自己署名証明書による VPN プロキシのサポート | × | ◯ | ◯ | × |
無料期間 | 利用開始後1ヶ月 | なし | なし | なし |
GitHub Copilot for Individuals
GitHub Copilot for Individualsは、個人開発者向けに特化したAIのコード補完ツールです。
このサービスは、GitHub Copilotの技術を活用して、個人プロジェクトや趣味のプログラミングにおいて、コードの提案や問題解決を支援します。
たとえば、独自のアプリを開発する際、Copilotは即座にコードの提案を行い、エラーの可能性を減らし、開発時間を大幅に短縮できます。
GitHub Copilot for Individualsを使用することで、一人での作業でも大規模な開発チーム並みの生産性を得られるようになります。
GitHub Copilot for Business
GitHub Copilot for Businessは、企業や開発チームが効率的にコードを書くためのAIツールです。このバージョンでは、特にチームで活用することに特化した機能が用意されています。
たとえば、複数の開発者が共同でプロジェクトを進める際に、Copilotがリアルタイムでコードの提案を行うことで、コーディングの一貫性を保ちながら効率を大幅に向上させます。
さらに、企業固有のコーディングスタイルや規約に合わせたカスタマイズが可能で、大規模なプロジェクトでもその力を発揮することが可能です。
GitHub Copilot for Businessを導入することで、チームの生産性が飛躍的に向上し、開発プロセスがスムーズになります。
GitHub Copilot for Enterprise
大規模な企業や組織向けのカスタマイズ可能なプランです。
Businessプランの機能に加えて、企業固有のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。
例えば、独自のデータに基づいたチャット機能、ドキュメントの要約、コードレビュー、などが含まれます。
また、企業独自のAIモデルのトレーニングや、特定のコーディング規約の適用なども可能です。複雑な要件や厳格なコンプライアンスが求められる大規模組織に適しています。
GitHub Global Campus
学生や教育者向けの無料プランです。
GitHub Educationプログラムの一部として提供されており、教育目的での利用に限り、完全無料で利用できます。このプランでは、Individualsプランと同等の機能が利用可能です。
学生は実践的なコーディング経験を積むことができ、教育者は効果的なプログラミング教育を行うことができます。
ただし、利用には教育機関の認証が必要で、卒業後や教育目的以外での利用は制限されます。
GitHub Copilot導入の手順
GitHub Copilotを導入する手順は、以下の通りです。
- Step1: GitHub Copilotのサブスクリプション契約
- Step2: 対応するコードエディタのインストール
- Step3: コードエディタへのGitHub Copilot(拡張機能)のインストール
それぞれ詳しく解説します。
Step1:GitHub Copilotのサブスクリプション契約
まずは、GitHub Copilotのサブスクリプション契約を進めましょう。
サブスクリプション契約の手順は以下のとおりです。
-
- 公式サイトへアクセス
-
- プラン選択
-
- 請求先情報の入力
-
- 支払い情報の入力
-
- 設定
-
- 準備完了
それぞれ詳しく解説します。
公式サイトへアクセス
GitHub Copilotのサブスクリプション契約を開始するためには、まずGitHubの公式サイトにアクセスします。
ウェブブラウザを開き、検索エンジンで「GitHub Copilot」と検索するか、直接GitHubのCopilotページにアクセスしてください。
サイトには、GitHub Copilotに関する詳細情報が掲載されており、導入のメリットや機能を確認できます。
プラン選択
公式サイトにアクセスした後、利用可能なサブスクリプションプランを確認します。
GitHub Copilotは、個人ユーザー向けと企業向けの異なるプランを提供しているため、自分のニーズに合ったプランを選ぶことが重要です。
各プランの料金、提供される機能、利用できるリソースの詳細を比較検討してください。
請求先情報の入力
プランを選択したら、次に請求先情報を入力します。
このステップでは、名前、住所、電話番号など、請求に必要な個人情報や企業情報を提供する必要があります。
すべての情報は高いセキュリティ性で保たれているので、安心して入力できます。
支払い情報の入力
請求先情報の入力後、支払い情報を入力します。
支払い方法として、クレジットカードやデビットカード、場合によってはPayPalなどのオンライン決済サービスが利用できます。
入力する支払い情報には、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどを入力します。
設定
支払い情報の入力が完了すると、GitHub Copilotの設定を行います。
ここでは、特定の開発環境や言語に対する優先設定を行うことができます。
また、希望する通知設定や、プライバシー設定もこの段階でカスタマイズすることがおすすめです。
準備完了
最後に、すべての設定が完了したら、GitHub Copilotの利用開始準備が完了します。
登録したメールアドレスに確認メールが送られるので、リンクをクリックしてアカウントのアクティベーションを行います。
これで、GitHub Copilotを使用してコーディング作業を効率化できるようになります。
Step2:対応するコードエディタのインストール
続いて、対応するコードエディタをインストールします。
対応しているコードエディタとしては以下のようなものがあります。
- Visual Studio
- Neovim
- Visual Studio Code
- JetBrains IDEs
ここからは、Visual Studio Codeを例に、コードエディタのインストール手順について詳しく解説します。
- 公式サイトへアクセス
- OSの選択
- ファイルの展開
- 起動
1. 公式サイトへアクセス
GitHub Copilotが対応しているコードエディタをインストールするためには、まずそのエディタの公式サイトへアクセスする必要があります。
多くの開発者に人気のVisual Studio Code (vscode)の場合、Visual Studio Codeの公式サイトに直接アクセスします。
ウェブブラウザでサイトを開き、ダウンロードセクションを探して、オペレーティングシステム(Windows、Mac、Linuxなど)に合わせたインストーラーを見つけましょう。
2. OSの選択
Visual Studio Codeの公式サイトにアクセスした後、OSに合わせたバージョンのインストーラーを選択することが次のステップです。Visual Studio CodeはWindows、MacOS、Linuxの各OSに対応しています。
サイトのダウンロードセクションでは、それぞれのOS用のダウンロードオプションが明確に表示されているため、使用しているコンピュータのシステムに適したものを選びましょう。
各リンクをクリックすると、自動的にダウンロードが開始され、インストーラーがコンピュータに保存されます。
3.ファイルの展開
ダウンロードが完了したら、次にファイルの展開とインストールを行います。
Visual Studio Codeの場合、インストールプロセスはOSによって若干異なりますが、基本的には直感的で簡単です。
- Windows: ダウンロードした実行可能ファイル(
.exe
形式)をダブルクリックして開始します。インストーラーが起動し、画面の指示に従って進めます。通常、インストール先のフォルダの選択、ショートカットの作成、追加タスク(例えばPATHへの追加)の選択などが含まれます。 - MacOS: ダウンロードしたファイル(
.dmg
形式)をダブルクリックしてマウントします。開いたウィンドウで、Visual Studio Codeのアイコンをアプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップすることでインストールします。 - Linux: ダウンロードしたパッケージ(多くの場合
.deb
や.rpm
形式)を適切なパッケージマネージャ(dpkg
やrpm
など)を使ってインストールします。ターミナルを開いて、ダウンロードしたファイルがあるディレクトリに移動し、sudo dpkg -i package_name.deb
またはsudo rpm -i package_name.rpm
のようにコマンドを実行します。
これらの手順を完了すると、Visual Studio Codeがシステムにインストールされ、使用準備が整います。
インストール後は、アプリケーションを開いて、追加の設定やプラグインをインストールできます。
4.起動
続いて、Visual Studio Codeを起動しましょう。
Step3:コードエディタへのGitHub Copilot(拡張機能)のインストール
最後のステップは、コードエディタへのGitHub Copilot(拡張機能)のインストールです。
以下2つの手順を踏めば、GitHub Copilotをインストールできます。
- 拡張機能検索
- 完了
それぞれ詳しく解説します。
1.拡張機能検索
Visual Studio CodeでGitHub Copilotの拡張機能をインストールする際は、まずエディタ内の拡張機能検索機能を使用します。
Visual Studio Codeを開いて左側のサイドバーから「拡張機能」のアイコンをクリックし、表示される検索バーに「GitHub Copilot」と入力して検索を開始します。
この操作で、GitHub Copilotの拡張機能がリストアップされ、利用可能なオプションを確認可能です。
2.完了
上記の手順を終えれば、GitHub Copilotの拡張機能が追加できます。
GitHub Copilotの導入事例
最後に、GitHub Copilotの導入事例を6つ紹介します。
- サイバーエージェント
- ZOZO
- 東急株式会社
- Gaudiy
- GMOペポパ
- LINEヤフー
それぞれ詳しく解説します。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、日本の大手インターネット企業であり、広告やメディア、ゲームサービスを提供しています。
サイバーエージェントでは、開発スピードの向上とエンジニアのコーディング負担の軽減を目的に、GitHub Copilotを導入しました。
GitHub Copilotを導入することで、開発プロセスの効率化と品質向上効果があったと報告されています。
サイバーエージェントのGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
ZOZO
ZOZOは、日本最大級のファッションECサイトを運営する企業で、GitHub Copilotを導入して開発プロセスの革新を図りました。
GitHub Copilotの導入により、コーディングの速度を大幅に向上させるとともに、エラーの発生率を低減しました。
特に、多様な開発言語に対応するCopilotの助けを借りて、開発者は慣れない言語やフレームワークでも迅速にコードを書くことができるようになり、プロジェクトの多様化が進んでいます。
また、AIが推奨する最適なコーディングパターンを採用することで、全体的なコードの品質と安全性も向上しています。
ZOZOのGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
東急株式会社
東急株式会社は、不動産および交通業界の大手企業で、GitHub Copilotの導入により開発プロセスに革命をもたらしました。
このツールの導入により、東急の開発チームはコーディング時間の短縮とエラー率の減少を実現できたと報告されています。
Copilotは開発者がより効率的にコードを記述し、特に新しい技術や言語に対する適応時間を削減するのに役立ち、チームでの情報共有性向上の寄与につながりました。
東急株式会社のGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
Gaudiy
Gaudiyは、ファッションテック領域で活動するスタートアップ企業で、GitHub Copilotの導入によって開発プロセスやコーディングの効率が大きく改善されました。
CopilotのAI駆動のコード補完機能により、新しい技術や複雑なコード構造の迅速な理解と実装が可能になり、開発効率化につながったと報告されています。
また、定型的なコード作成から解放されたことで、エンジニアはより創造的な問題解決に時間を割くことが可能になり、プロジェクト全体のイノベーションが促進されたと評価されています。
GaudiyのGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
GMOペポパ
GMOペポパは、GMOインターネットグループの一員として、ウェブサービスの提供を行っています。
GMOペポパではGitHub Copilotを導入したことで、デプロイ頻度が向上したと報告されています。
新しい技術に早く対応できるようになることで、エラー率の低減とプロジェクトのリリース速度の向上が実現しました。結果として、企業全体のイノベーションと市場競争力の強化に貢献しています。
GMOペポパのGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
LINEヤフー
LINEヤフーは、LINEとYahoo Japanの統合企業であり、デジタルコミュニケーションと情報サービスの分野で活動しています。
GitHub Copilotの導入により、同社の開発チームはコーディングプロセスを大幅に効率化しました。資料によるとエンジニア1人あたりの1日のコーディング時間が約1~2時間削減されたと報告されています。
LINEヤフーでは今後もGitHub Copilotを積極的に活用して生産性向上を目指していくとのことです。
LINEヤフーのGitHub Copilot導入に関する記事はこちら
GitHub Copilotの料金まとめ
この記事では、GitHub Copilotの導入と利用方法について詳しく解説しました。
GitHub CopilotはAIを活用したコード補完ツールで、開発スピードの向上や、新しい開発言語を扱う際の学習曲線を軽減するというメリットがあります。ただし、セキュリティリスクや誤ったコード生成の可能性など、デメリットも存在するため、注意が必要です。
GitHub Copilotの料金プランは、個人向け、ビジネス向け、大企業向け、学生・教職員向けなど、多様なニーズに対応したプランが用意されています。それぞれのプランの特徴や値段を理解し、自身の状況に合ったプランを選択することが重要です。
また株式会社Jiteraでは、AIを活用したシステム開発を行っています。
AI開発に関する質問や案件の相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。