MDFとは、光回線に用いられる用語で、通信ネットワークの中核部分をなす、光ファイバーケーブルが集まって配線が管理される場所のことです。
この記事では、光回線に使用するMDFの設置方法などを基礎から解説しています。
この記事を読んで、MDFを利用する際の参考にしてください。
PHPを独学で勉強した後にWeb業界に参入。大手企業でプログラマーとして活躍後、自社サービスの立ち上げ、大手検索エンジンサービスの保守運用作業、ソーシャルゲーム開発などに携わりながら、SE・管理職の道を歩んで現在に至る。現在は、管理職に携わる傍ら、これまでの経験を活かした執筆活動を続けている。
MDFとは?

MDFとは、Main Distribution Frame(メイン配線枠)の略称です。光回線で用いられる用語で、通信ネットワークの中核部分であり、光ファイバーケーブルが集まって配線が管理される場所を指します。
ここでは、MDFについて深く理解するために、以下の項目に分けて、MDFの基本を解説します。
- MDFとは何か
- MDF室とその重要性
これらの項目をみて、MDFの基本的な知識を理解していきましょう。
MDFとは何か
MDFは、通信ネットワークの中核部分で、光ファイバーケーブルが集まった、配線が管理される場所です。光回線のMDFは、データセンターや通信施設、建物の通信室などでよくみられます。
光ファイバーケーブルが建物や地域の間でデータを伝送するため、これらのMDFは、通信ネットワークの要で重要な役割を果たしています。この、光ファイバーケーブルは、高速で大容量のデータを伝送が可能です。
MDFは、ネットワークの効率的な運用や保守管理を支援し、通信ネットワークの信頼性と性能を確保する腕不可欠な要素となっています。
MDF室とその重要性
MDF室(Main Distribution Frame Room)は、通信ネットワークにおける重要な施設の1つです。通信業界や情報技術の分野では、MDF室は通信機器が設置され、通信ケーブルや光ファイバーが配線される場所をさします。
MDF室は通常、データセンターや通信会社の中心部、ビルや施設内の通信ハブ、または通信基地局などの場所にも受けられることが多いです。
以下は、そのMDF室の重要性のおもなポイントです。
- 通信の中継点である
- 配線の管理
- 通信機器の配置
- 拡張性と柔軟性
MDF室は、通信ネットワークの中核部分であり、異なる部門や領域、建物間でデータや通信を中継するものです。MDF室でからデータのや通信が中継されることで、ユーザー間やサービス間の通信が円滑に行われます。
また、複数の通信ケーブルや光ファイバーが集約されて適切に接続されることで、ネットワークの信頼性やパフォーマンスが向上し、トラブル発生時の迅速な対応が可能です。
MDF室には、通信機器が設置され、たとえば、ルーター・スイッチ・ファイアウォール・光ファイバーの接続装置などです。これらの機器は、ネットワークの管理やデータの送受信を担当しており、通信の安定性やセキュリティを確保しています。
MDF室は通常、ネットワークの成長や変化に対応するために設計されることが多いです。このため、十分なスペースや設備を備え、新しい機器やケーブルを追加することができます。
MDFをはじめとした、光通信技術に関して、以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にしてください。
MDFの基本的な構造と機能

MDFは、通信ネットワークの中心部分であり、重要な役割を果たしているものであることがわかりました。次に、MDFの基本的な構造や機能にふれていきます。
ここでは、以下の項目に分けて、MDFの構造要素と役割を解説します。
- MDFのおもな構造要素
- 光回線でのMDFの役割
これらの項目をみながら、MDFの基本構造を理解していきましょう。
MDFのおもな構造要素
MDFのおもな構造要素は、以下のとおりです。
- フレーム(Frame)
- パッチパネル(Patch Panel)
- クロスコネクション(Cross-Connections)
- 配線
MDFの基本的な構造はフレームで、このフレームは通常、金属やプラスチック製となっており、通信機器や配線を保持するための支持架となります。
MDFでは、パッチパネルが配線を接続するための主要な構成要素です。通常、パッチパネルには、複数のポートが備わっており、各ポートは通信ケーブルや光ファイバーを接続するためのコネクタが取り付けられています。
MDFでは、異なる通信ケーブルや回線を接続するためのクロスコネクションが行われることが多いです。クロスコネクションを行うことで、データのルーティングや通信の中継が可能となります。
MDFでは、複数の通信ケーブルや光ファイバーが配線されます。これらの配線は、パッチパネルやクロスコネクションを介して接続され、通信の伝送を可能にしています。
このような構造要素は、MDFが、通信ネットワークの中核部分となって信頼性と効率性を確保するための不可欠な要素です。
光回線でのMDFの役割
光回線でのMDFの役割は、光ファイバーを利用した通信ネットワークにおいて、中核的な役割を果たすことです。
以下は、そのおもな役割です。
- 光ファイバーの集約
- 配線の管理
- 光ファイバーの分配
- 光ファイバーの接続
- ネットワークの制御と監視
MDFでは、複数の光ファイバーケーブルが集約され、これらのケーブルは異なる地域や建物からきたデータを集め、1つの中心地に集約されます。
また、MDFの役割は、光ファイバーケーブルの配線の管理です。正確な配線を確保することで、ネットワークの信頼性とパフォーマンスを向上させ、また、配線の管理はトラブルシューティングや保守作業を容易にします。
集約された光ファイバーケーブルを必要な部分に分配するのも、MDFの役割の1つです。光ファイバーを分配することで、異なる建物や地域間でのデータ伝送が可能となります。
MDFでは、光ファイバーケーブルを通信機器に接続します。光ファイバーを正しく接続することで、データの送受信を行う各機器間での信号伝達の確保が可能です。
ネットワーク制御や監視を行うための機器の保持は、MDFの役割の1つです。これには、ルーターやスイッチ、光ファイバーの接続機器などがあり、これらの機器はネットワークのトラフィックを制御して、ネットワークの安定性とパフォーマンスを管理します。
MDFの設置と接続方法

ここからは、MDFの設置と接続方法をみていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて、MDFの設置基準と接続手順を解説します。
- MDF室の設計と設置基準
- 光回線とMDFの接続手順
それぞれの項目の内容を理解しながら、MDFをどのように設置していけばよいかの参考にしてください。
MDF室の設計と設置基準
MDF室の設計と設置には、通信ネットワークの効率的な運用や信頼性を確保するために、いくつかの基準があります。
以下は、そのおもなポイントです。
- 適切な場所の選定
- 適切な広さと環境
- 電源とバックアップ
- 適切な配線設備
- セキュリティ
- ラベリングとドキュメンテーション
MDF室は、建物内の中心部に設置されることが一般的です。建物の安全な場所に位置し、通信機器や配線にアクセスできるように設計する必要があります。
MDF室は、通信機器や配線を収容するための十分な広さを持ち、通気性や温度管理が考慮された環境である必要があります。温度や湿度の調整ができるように、冷却装置や空調装置が設置されることが望ましいです。
MDF室には、信頼性の高い電源が必要で、また、電源障害に備えてUPS(無停電電源装置)や発電機などのバックアップ電源も必要となるでしょう。
また、配線や配線架(ラック)などの設備も必要で、これらは、光ファイバーケーブルを整理し、管理するためのものです。配線設備は十分明日ペースと容量を持ち、将来の拡張やアップグレードに対応できるように設計されていなければなりません。
MDF室には、適切なセキュリティ対策が必要で、アクセス制御や監視カメラ、防犯システムなどが設置され、未承認のアクセスや機器への不正な操作を防ぐための措置が講じられるのが一般的です。
MDF室内の配線や機器は適切にラベリングされ、ドキュメント化して管理されるべきです。ラベリングして管理していれば、配線や機器を迅速に識別し、トラブルシューティングや保守作業を効率的に行えるでしょう。
光回線とMDFの接続手順
光回線とMDFの接続は、ビルや施設の通信基盤を構築する際の重要な工程です。この作業は専門的な技術が求められるため、通常は訓練を受けた技術者によって行われます。
以下は、光回線とMDFを雪像する一般的な手順の概要です。
- 計画と設計
- 光ファイバーケーブルの敷設
- 光ファイバーケーブルの保護
- 光ファイバーケーブルのMDFへの接続
- スプライシング
- テストと検証
- ラベリングとドキュメント化
まず、接続する光回線の数や種類、MDFの位置や容量を確認します。また、光回線のルーティングとMDFまでのパスを計画します。
計画と設計が終わったら、次は、建物外部からMDFまでの光ファイバーケーブルの敷設です。この際、地中に埋設するか、建物の外壁や専用の配管を使用するかを検討します。
光ファイバーの敷設後は、ケーブルが物理的な損傷から保護されるよう、光ファイバーへ適切な保護措置を施します。たとえば、コンジット(保護管)やケーブルトレイの設置などです。
次は、MDF内で光ファイバーケーブルを適切な位置に配線します。ケーブルをMDF内の適切なポートに接続するために、必要に応じて光ファイバーを切断し、端末を取り付けることもあります。
光ファイバーケーブルが切断された場合に、ファイバー同士を正確に繋ぐためのスプライシング(継ぎ手作業)も重要な作業の1つです。この作業は非常に精密な作業であるため、専用の機器と高い技術力が必要となります。
全ての接続が完了したら、光ファイバーテスターを使用して信号の強度と品質をテストします。これには、OTDR(光時域反射計)などの機器が使用されるのが一般的です。
接続された光ファイバーケーブルとそのルート、およびMDF内の接続ポイントについて詳細をドキュメント化し、将来のトラブルシューティングや保守が容易になるようにします。また、ケーブルや端子に適切なラベリングを行い、後からの識別が容易になるようにするのがポイントです。
MDFを利用した電話システムの構築

光回線とMDFの接続には、専門の機器や高度な技術を持つ技術者が必要であることがわかりました。次に、MDFを利用した電話システムの構築をみていきましょう。
ここでは、以下の項目に分けて、MDFを利用した、電話システムの構築を解説します。
- MDFを使用した電話線の接続
- 電話システムと光回線の統合
これらの項目を見ながら、MDFを利用した電話システムがどのような仕組みになっているかを理解していきましょう。
MDFを使用した電話線の接続
MDFを使用した電話線の接続は、建物内の通信インフラを構築する際の基本的な作業です。MDFは、電話サービスプロバイダからの外線と建物内の内線を物理的に接続する「点」であり、電話やデータ通信の中心的役割を果たします。
以下は、そのおもな接続手順です。
- MDFの準備
- 外線の接続
- 内戦の準備と配線
- 接続の確認
- ドキュメント化とメンテナンス
MDFは通常、建物の技術室や電話室に設置することが多いです。また、MDFには外線用の端子と内線用の端子があり、それぞれが適切にラベリングされている必要があります。
電話サービスプロバイダーからの外線は、通常、地下や地上の配線を通じて建物に入ります。これらのケーブルは、通常、MDFの凱旋端子に接続されるものです。
外線ケーブルの末端には接続ブロックが設置され、それをMDFの適切な端子に接続します。
内線は、建物内の各オフィスや部屋からMDFへ配線されます。これらのケーブルもMDFに接続される前に適切にラベリングされ、管理される必要があるでしょう。各内線ケーブルは、MDFの内線端子に接続されます。
全ての接続が完了した後、接続の整合性と機能を確認するためのテストが必要です。これには、電話機を使用してダイヤルトーンの存在を確認することや、特定の内線から外線への通話試験を含むことが多いでしょう。
接続されたすべての外線と内戦の詳細をドキュメント化して、MDFのスキーマティック図に更新を加えます。これは、将来的なトラブルシューティングやメンテナンスを容易にするための必要な事項です。
定期的なメンテナンスと障害発生時の迅速な対応を確実にするため、ドキュメントを常に最新の状態に保つ必要があります。
電話システムと光回線の統合
電話システムと光回線の統合は、モダンな通信インフラストラクチャの構築において重要な要素です。光回線を利用した通信は高速で信頼性が高く、データ通信だけでなく音声通話もサポートすることができます。
以下は、電話システムと光回線の統合に関する一般的な手法や利点です。
- IP電話システムの導入
- データと音声の統合の適用
- クラウドベースの統合ソリューションの利用
IP電話システムは、デジタル音声をインターネットプロトコル(IP)を介して転送する技術です。IP電話システムを活用すれば、従来の電話回線の代わりに光回線やほかのデータ回線を利用することが可能となります。
また、データと音声の両方を同じネットワークインフラストラクチャでき管理できるため、運用が簡素化されます。ほかにも、光回線を介して高品質の音声通話ができるのも利点の1つです。
光回線を介したデータ通信と、IP電話システムを介した音声通信とを統合することができます。この統合によって、建物やシステム内で一元管理された通信インフラの実現が可能です。
また、一元管理された通信インフラストラクチャは管理が簡素化され、効率性が向上するという利点があります。ほかにも、ユーザーは、同じネットワーク接続を介してデータ通信と音声通話を行うことができます。
クラウドベースの通信サービスプロバイダーは、データ通信と音声通信の稜堡を統合したサービスを提供していることが多いです。これらのサービスは、光回線を介して、インターネットに接続されることが一般的となっています。
クラウドサービスの通信サービスプロバイダーを活用する利点は、通信インフラの管理やメンテナンスがクラウドプロバイダーに委任されることです。
管理やメンテナンスをクラウドプロバイダーに委任することで、経費や労力が削減されることがメリットとなります。また、クラウドベースのサービスはスケーラブルであり、ビジネスの成長に柔軟に対応できます。
MDFのまとめ

今回は、MDFに関して、以下のことがわかりました。
- MDFは通信ネットワークの中核部分であり、光ファイバーケーブルが集まって配線が管理される場所
- MDFで使用される光ファイバーケーブルは大容量データの伝送が可能
- 光ファイバーケーブルの集約がMDFの役割の1つであり配線のトラブルシューティングを容易にする
- MDFの設置には専門の機器や深い知識を持った技術者が必要
- MDFを使用した電話システム(IP電話システム)が構築できる
MDFは、通信ネットワークの中核部分であり、光ファイバーケーブルが集まって配線が管理される場所のことをさします。
光ファイケーブルは、MDFにて利用されるもので、大容量データの伝送が可能です。この、光ファイバーケーブルの集約が、MDFの役割の1つであり、これは配線のトラブルシューティングを容易にします。
MDFの設置には多くの手順が必要で、これには、専門の機器や深い知識を持った技術者が必要です。
MDFとIP電話システムを利用した、電話システムの構築が可能です。
このように、MDFには専門的な知識や技術力が必要となるため、自社で利用したいと思ってもわからないこともあるでしょう。
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