次世代通信規格「6G」とは?5Gとは何が違うのか、いつ実現するのかなど通信技術の進化を徹底解説

次世代通信規格「6G」とは?5Gとは何が違うのか、いつ実現するのかなど通信技術の進化を徹底解説

5Gに変わる次世代の移動通信システムである6Gが本格的なサービス実現に向かっています。

6Gはより高度な通信やサービスの実現が期待されており、人工知能やIoT、拡張現実などの技術との統合も進められています。

しかし、「6Gの特徴がわからない」「5Gと何が違うの?」と疑問を持っている方も多いでしょう。

本記事では、6Gとは何なのか、現在の移動通信システムである5Gとの比較や、6Gの動向を解説します。

本記事を最後まで読むと、今知っておきたい6Gについて理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。

監修者 輝渡部

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    6Gとは何か?5Gとの主な違い

    そもそも6Gとはどのような移動通信システムで、5Gと何が違うのでしょうか。以下の表で違いを確認しましょう。

    5G 6G
    通信速度 1 Tbps以上 最大20 Gbps
    周波数帯域 テラヘルツ帯域 ミリ波帯域
    遅延 1 ms未満 最大1 ms
    サービス開始時期 2030年以降 2020年半ば
    応用される分野 メタバースや高品質なオンライン会議 動画配信や投稿、SNS

    5Gとの違いを踏まえた上で、6Gの特徴やどのような進化が期待されているのかを解説します。

    6Gの基本的な特徴

    6G通信は、通称「Beyond 5G」とも呼ばれ、5Gの性能を超えた次世代の移動通信システムです。日本では2020年頃に、現在の5Gが本格的にサービスの提供が始まりましたが、世界各国では同時期に6G実現に向けた研究開発がすでにスタートしていました。

    6Gの普及によって、高速大容量化や低遅延、多数同時接続といった通信の性能が5Gよりも飛躍的に向上し、社会に大きな変革をもたらすと期待されています。

    具体的に6Gでは5Gの性能にプラスして、6つの特徴を持っています。

    • 超高速
    • 超カバレッジ拡張
    • 超低遅延
    • 超知能接続
    • 超空間
    • 超高信頼通信

    6Gはまさに、空間を超えた通信技術へと進化するのが期待されています。

    5Gと6Gの技術的な差異

    5Gと6Gの技術は、以下の点で大きな違いがあります。

    • 周波数帯域の拡大:より高い周波数帯域の利用が予想されており、通信速度の向上が期待される
    • 波長の短縮:短い波長の利用が進み、より高速な通信が可能になる
    • 量子通信の導入:量子通信技術の導入が期待されており、セキュリティや通信の安定性が向上
    • AIとの統合:AIとの統合が進み、より効率的な通信管理やサービスの提供が可能

    上記の技術進化により、通信速度や安定性が向上し、より高度なサービスやアプリが実現されると期待されています。

    また、新たな産業やビジネスモデルの創出、さらなるIoTの普及、スマートシティの発展など、社会全体に大きな影響を与えると予想されています。

    6Gの実現に向けた動き

    6Gの特徴や期待される点を解説しました。5Gより高速通信が可能で、社会全体に大きな影響を与えると期待されていますが、「実際にいつから使えるようになるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

    結論からお伝えすると、来年・再来年と近々でのサービス開始は難しく、2030年頃の実現が予想されています。まだまだ先のように感じるかもしれませんが、開発は着実に進んでいます。

    そこで、6Gの世界各国での研究開発の現状や、本格移行時期について詳しくお伝えします。

    世界の6G研究開発の現状

    アメリカと中国、韓国、EU、日本の研究開発の現状を紹介します。

    • アメリカ:政府として提示している内容は少ないが、民間企業・大学が中心となり、団体を立ち上げて 活動を行っている。また、複数のテストベッドを構築。
    • 中国:多くの民間企業・大学が参画しているIMT-2030での作業を中心として、6Gの研究開発 を進めている。
    • 韓国:、Samsung・LGの民間企業を中心として、韓国政府と共に6Gの研究開発だけでなく、実装まで見据えて計画。
    • EU:6Gの研究開発の基本軸を設定し、軸に沿ったホワイトペーパーや研究開発を進めている。
    • 日本:Beyond 5Gの定義を基に総務省・NICT等の公的組織が中心となり、研究開発プログラ ム・共通基盤の作成を促進。

    三菱総合研究所の「Beyond 5G海外動向調査」によると、各国では上記のように6Gの研究開発が進められています。

    6Gの実現予測時期

    6Gの実現については専門家によってさまざまな見解がありますが、一般的には2030年代後半から2040年代初頭に実用化されると予想されています

    現在、5Gの普及が進行中であり、6Gの開発に関する研究も早期段階にありますが、次世代通信技術の確立には多くの時間と投資が必要です。6Gの実現には新たな技術やインフラの整備、標準化の取り組みなどが不可欠であり、その過程でさまざまな技術的・経済的な課題に対処する必要があります。

    また、移動通信システムはおよそ10年ごとに進化を遂げてきたので、6Gへと移行するのは5Gが始まった10年後の2030年頃が目安です。

    6Gがビジネスに与える影響

    6Gの研究開発は進行中であり、要件が具体化しています。2030年頃にはサービスが実現する見込みです。

    5Gよりもより性能の高い6Gは、ビジネスにおいても大きな影響を与えると期待されています。

    ここでは、6Gがビジネスに与える影響を3つ紹介します。

    新たなビジネスモデルの創出

    6Gの普及により、さまざまな業界で新たなビジネスモデルが創出される可能性が高いです。例えば、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用したエンタメ業界では、よりリアルな体験ができるため、ユーザーにとって新しい体験ができるでしょう。

    また、自動運転車やドローンなどの移動システムは、6Gの低遅延通信を活用して、新たな移動サービスや物流システムの実現が期待されます。さらに、医療や教育分野では、遠隔診療や遠隔教育などのサービスが拡大し、地理的な制約を乗り越えたサービスが可能です。

    これらの新しいビジネスモデルは、6Gの高速・大容量通信、低遅延通信、多数同時接続などの特性を活かして実現され、ビジネスモデルの創出に役立ちます。

    業務効率の向上

    ビジネスモデルだけではなく、業務効率にも影響を与えるのが予想されます。

    高速で安定した通信により、ビジネスにおける一つひとつの過程が迅速化します。さらに、6Gの低遅延通信を活用すれば、リモートワーカーにとって、スムーズな遠隔作業が可能です。

    IoT(Internet of Things)デバイスとの接続がより密接になり、ビジネスの自動化やデータ収集・分析が効率よく行えます。総じて、6Gの導入により、ビジネスプロセス全体の効率性が向上し、企業の競争力強化に効果的です。

    働き方の変革

    高速かつ安定した移動通信システムにより、従来のオフィスでの勤務にとらわれず、より柔軟な働き方が可能です。つまり、リモートワークがさらに普及し、場所や時間にとらわれない柔軟な労働環境が整備されるでしょう。

    さらに、リモートワークにおいても6Gの低遅延通信により、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用した職場環境が強化され、まるで出社しているようなコミュニケーションや共同作業ができます。

    リモートワークでは、生産性が下がると思われがちですが、6Gで実現した労働環境によって、従業員はより生産性高い仕事ができるでしょう。

    結果として、6Gの普及により企業の新しいビジネスモデルの創出による競争力と従業員の働き方に対する満足度の向上が期待できます。

    6Gの課題と対策

    ビジネスにおいても6Gは良い影響があると解説しました。

    しかし、6Gの課題があるのも事実です。6Gにおける課題には大きく分けて「技術的な課題」と「社会的な課題」の2つです。

    それぞれの課題を詳しく解説し、対策についてもお伝えします。

    技術的な課題

    技術的な課題としてはまず、周波数帯域の確保が挙げられます。6Gの高速・高密度通信を実現するには、広帯域の周波数スペクトラムが必要ですが、その確保には課題があります。対処方法としては、周波数の効率的な利用や新たな通信方式の開発が必要です。

    また、エネルギー効率も課題です。通信機器や基地局の高性能化に伴い、エネルギー消費量が増大する可能性があります。エネルギーの課題を解決するには、省エネルギー技術やエネルギーハーベスティングの研究も必要です。

    他にもプライバシーとセキュリティの問題もあります。個人情報の保護やセキュリティ対策が不十分な場合、ユーザーがリスクにさらされる可能性があります。法規制の強化や技術的なセキュリティ対策の課題があります。

    社会的な課題

    新たな通信技術が導入されると、都市部と地方、高所得者と低所得者の間でのアクセス格差が広がる可能性があります。この課題に対処するためには、普及促進策やデジタルリテラシー教育の充実が必要です。

    また、プライバシーとセキュリティの問題も重要です。個人情報の保護やセキュリティ対策が不十分な場合、ユーザーがリスクにさらされる可能性があります。法規制の強化や技術的なセキュリティ対策の充実が求められます。

    さらに、6Gの普及により、さらに自動化やAIが進むと、一部の職種が不要になるでしょう。すでにいくつかの職はAIに変わっていますが、今後より早くAIへの転換が予想されます。しかし、逆も言えて、新たな職種が生まれる可能性もあります。そのため、地方団体や国による労働者のスキルアップや再教育プログラムの充実が必要です。

    6Gと既存の通信技術

    6Gは、既存の通信技術と比較して、より高速で高密度な通信、低遅延、多数同時接続などの特徴を持っています。

    しかし、既存の通信技術との連携ができないのか疑問が出てくる方もいるでしょう。

    6Gが既存の通信技術、特にwifiなどとどのように連携するかについて解説します。

    6Gとwifiの関係

    6Gとwifiは、両方とも無線通信技術ですが、異なる用途や特性を持っています。6Gは、広範囲のモバイル通信を提供する次世代の携帯電話通信技術であり、高速で大容量のデータ通信が可能です。

    一方、wifiは、比較的短距離の無線LAN通信を提供し、家庭やオフィスなど限られた範囲内でのデータ通信に主に使用されます。

    6Gは、広域のモバイル通信インフラストラクチャーを構築し、移動中や屋外での高速通信を実現する一方、wifiは、特定の場所でのローカルな通信サービスを提供します。

    将来的には、両者が相互に補完し合う形で、より高度な無線通信環境が実現されるでしょう。

    6Gと既存の通信技術の共存

    6Gは既存の通信技術と共存し、異なる用途や要件に応える網羅的な通信インフラを提供します。

    例えば、5Gやwifiが主に高速通信やデータ転送に利用される一方で、6Gはより高密度で広域の通信ができ、遠隔地などの通信に重点を置けます。

    既存の通信技術が進化する一方で、6Gはさらに高速化や低遅延化、多数同時接続などの機能を強化し、より高度なモバイル通信を実現が可能です。

    6Gと既存の通信技術が相互に補完し合いながら共存すると、より高性能な通信インフラが構築され、さまざまな分野において重宝されるでしょう。

    6GとIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)

    IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、日本の通信大手企業であるNTTドコモが提唱する、現在の通信インフラでは実現が難しい新たな社会の実現に向けた革新的な試みです。

    そして当然、IWONには6Gが関係してきます。

    IOWN構想と6G技術との関連性について詳しく見ていきましょう。

    IOWN構想の概要

    IOWN構想は、次世代の通信技術に関する取り組みです。

    具体的には、電子技術から光通信やAI技術へシフトし、大容量かつ低遅延で高品質な通信インフラの構築を目指しています

    IWONは3つの主要技術から構成されています。

    • オールフォトニクス・ネットワーク:光のみを用いてデータを伝送、処理、制御する技術です。光信号を直接処理することで、高速かつ低エネルギー消費の通信が可能に。
    • コグニティブ・ファウンデーション:センサーデータやビデオ、音声などの多種多様な情報を高速かつ高精度で処理・分析し、重要な情報を抽出する技術。AI、ネットワーク、セキュリティ、ブロックチェーンなどの複数の技術が統合され、相互に連携してより高度な処理を実現。
    • デジタルツインコンピューティング:物理世界のデジタルモデルを作成し、リアルタイムでデータと連携させる技術。ネットワークやサービスの状態をリアルタイムに把握し、効果的な制御や最適化が可能に。

    IWON構想は、次世代のデジタル社会の基盤として、革新的な通信インフラの構築を進めて、次世代の情報社会を支える重要な基盤として注目されています。

    6GとIOWNのシナジー

    6GとIOWNは、次世代の通信技術とデータ処理技術を統合し、より高速で効率的な通信の実現を目指しています。

    主な役割としては、6Gは高速・大容量通信を提供、IOWNは光通信やAIを活用したデータ処理の強化です。

    両者の統合により、超低遅延通信やエネルギー効率の向上、セキュアな通信環境の構築などが実現されます。

    また、スマートシティや自動運転などの新たな応用領域が開拓され、革新的なサービスや新たなビジネスモデルの創出が期待されます。

    まとめ:6Gの将来展望と企業へのアドバイス

    本記事では、5Gの後継である6Gについて解説しました。

    日本では今まさに5Gの展開が進んでいますが、すでに6Gの研究が進んでいます。現在注目されている5Gだけでなく、将来の6Gにも注目し、情報収集を行うのが重要です。

    6Gは企業において、新しいビジネスの創出や業務効率化なにど良い影響を与えると期待されています。6Gの普及に備えて、新たなアイデアを出しておくと、いち早く新たなチャンスを掴めるでしょう。

    もしも、6Gについての疑問点や、6Gの普及で備えるべき企業戦略の相談があれば実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。

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