プロックチェーンとは何かと言うと、知らない人はいるとおもいますが、ビットコインを知らない人はいないかとおもいます。
ビットコインなどの暗号資産(以前は仮想通貨と呼んでました。)を支える技術です。
データの改竄ができない仕組みと、データを複数のコンピュータで保存するため、安全性が保たれるため暗号資産だけでなく多くの用途に使われるようになり、現在とても注目されている技術です。
この記事では、プロックチェーン技術の開発に、使われるプログラミング言語と、プロックチェーン技術を実現させるための知識について説明します。
コンピュータの専門学校がプログラミング及び、コンピュータの基礎を学び、その後、日本電気の子会社で働きました。その後、いくつかの開発の仕事を経て,コンピュータの専門学校の講師兼担任を経験し、その後はフリーにてシステムエンジニアやプログラマーの開発の仕事を担当、そのかたわらプログラミングスクールや職業訓練所、企業の新人教育などを担当しました。 25年以上のシステムエンジニア、プログラマーの仕事の経験があります。
ブロックチェーン開発におすすめのプログラミング言語10選
プロックチェーンの開発には、ほとんどといってもよいほどプラットフォームというものを使います。
プラットフォームを使うと、0からプロックチェーンの開発をするよりは、簡単にプロックチェーンのシステムを開発することができます。
しかし、各プラットフォームごとに使うプログラミング言語が違っています。ここでは、それらの言語について解説していきます。
言語 | ブロックチェーン開発 | 学習しやすさ | その他の特徴 |
Solidity | イーサリアムのスマートコントラクトに特化 | 中程度(JavaScriptに似ている) | オブジェクト指向、JavaScriptに似た構文 |
JavaScript | フロントエンド開発での使用が一般的 | 易しい(多くのリソースが存在) | 動的型付け、非同期処理が得意 |
Go言語 | Hyperledger Fabricなどで使用 | 易しい(シンプルな文法) | シンプルな文法、高速な実行 |
Rust | 高い安全性が求められるプロジェクトに適用 | 難しい(学習曲線が急) | メモリ安全、パフォーマンスが高い |
C++ | ブロックチェーンの基盤技術に使用されることが多い | 難しい(複雑な文法) | 高いパフォーマンス、低レベルのメモリ管理 |
Python | ブロックチェーンのプロトタイプ作成に利用 | 易しい(簡潔な文法) | 簡潔な文法、豊富なライブラリ |
Ruby | ブロックチェーン開発の事例は少ない | 易しい(直感的な構文) | 開発効率が高い、柔軟な文法 |
Simplicity | 特にブロックチェーン向けに設計された | 中程度(新しい言語) | 形式的検証が可能、簡潔な構文 |
C# | Nethereumなどでイーサリアムと連携可能 | 易しい(良好なドキュメント) | Microsoftのプラットフォームで広く使用 |
Vyper | Solidityの代替としてイーサリアムで使用 | 中程度(Solidityよりも簡潔) | 簡潔さと安全性に重点を置く |
Solidity
Solidityは、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを実装するためのプログラミング言語です。
スマートコントラクトは、契約や取引を自動的に実行する仕組みであり、参加者の多数による承認を必要とするブロックチェーンの特性を活かしています。これにより、取引の時間を短縮できます。
Solidityはイーサリアムプラットフォームで使用され、他のプログラミング言語に似た構造を持つため、既に他の言語を習得している人でも容易に学ぶことができます。
Solidityの例文
contract Contract名 {
function 関数名() public {
関数の処理内容を記述
}
JavaScript
JavaScriptは有名なプログラミング言語で、主にWeb開発のフロントエンドに使用されます。
フロントエンドとは、ユーザーが直接見る画面のことで、JavaScriptはHTMLと組み合わせて画面の動きを作り出します。また、いくつかのブロックチェーンプラットフォームでも画面作成に活用されています。
JavaScriptでブロックチェーンを構築することも可能ですが、本格的な開発には向かないため、練習程度に留めるのが良いでしょう。
Javascriptの例文
window.open(“https://example.com”, “_blank”);
}
Go言語
Go言語はGoogle社によって開発されたプログラミング言語で、以下の特徴があります。
構文が簡単で覚えやすく、効率的な開発が可能です。コンパイルされたGo言語は処理スピードが速く、メモリ管理が行われるため大規模な開発にも適しています。また、複数の処理を並行して実行できる並行処理が可能で、標準ライブラリが豊富です。
このため、Web開発やAI開発など幅広く利用されています。ブロックチェーン分野では主にイーサリアムのプラットフォームで用いられますが、プラットフォームを使わない場合は複雑な技術が求められます。
Go言語の例文
package main
import “fmt”
func main() {
fmt.Println(“Hello, World!”)
}
Rust
RUSTは、cやc++と置き換わる最有力のプログラミング言語であるとMicrosoftが発表しています。
特にメモリ管理や、並行処理などが優れていますし、c++で書いたプログラミングのように処理スピードが早いというのが特徴です。
そのため、OSやカーネルなどコンピュータの中枢部で動くシステムの開発に使われています。
最近は、RUSTを使うweb開発も増えてきており、もちろんプロックチェーンのプラットフォームでの開発にも使われています。
今後、RUSTはもっと使われるようになるかもしれません。
RUSTの例文
// コンソールに「Hello World!」を出力
println!(“Hello World!”);
}
Ꮯ++
C++はC言語を拡張したプログラミング言語で、C言語はUNIXというOSが作られるなど非常に有名です。
C++はオブジェクト指向やライブラリが追加され、ゲーム開発やWeb開発など幅広く利用されています。
特に、最初の暗号資産であるビットコインはC++で開発されており、プラットフォームを使わずにゼロからブロックチェーンを構築する際にはC++が最も適しています。現在ではビットコイン用のプラットフォームもいくつか存在します。
C++の例文
#include
int main() {
std::cout << “Hello World” << std::endl;
return 0;
}
Python
Pythonは、シンプルで可読性の高い文法を持つ高級プログラミング言語です。
汎用性があり、データ分析、機械学習、Web開発などさまざまな分野で広く利用されています。豊富なライブラリとフレームワークが揃っており、初心者からプロフェッショナルまで多くの開発者に支持されています。
ブロックチェーン開発では、スマートコントラクトのプロトタイプやデータ解析ツールの構築に使用され、特にDAppの開発においても役立っています。
Pythonの例文
block = Block(1, “Genesis Block”)
print(block.data)
Ruby
Rubyは、直感的で柔軟な文法を持つ高級プログラミング言語で、特にWebアプリケーション開発において人気があります。
Ruby on Railsというフレームワークを使用することで、迅速かつ効率的にアプリケーションを構築できるため、多くのスタートアップや企業で広く採用されています。
Rubyはオブジェクト指向プログラミングを強くサポートしており、開発者がコードを簡潔に保てるように設計されています。ブロックチェーン開発では、DAppの作成やブロックチェーン関連のツール開発に利用されることが増えてきています。
Rubyの例文
def initialize(index, data)
@index = index
@data = data
end
endblock = Block.new(1, “Genesis Block”)
puts block.data
Simplicity
Simplicityは、特にブロックチェーンのスマートコントラクトに特化して設計されたプログラミング言語です。
形式的検証が可能で、コードの正確性を保証するためにシンプルさと明確さが重視されています。これにより、開発者は安全性の高いスマートコントラクトを作成できるため、特にセキュリティが重要視されるプロジェクトに適しています。
Simplicityの例文
C#
C#はMicrosoftによって開発されたプログラミング言語で、主にWindowsアプリケーションやゲーム開発に使用されます。
オブジェクト指向の特性を持ち、直感的な文法が特徴です。C#はASP.NETなどのフレームワークを通じてWeb開発にも広く利用されており、ブロックチェーン開発ではNethereumライブラリを使用してイーサリアムとの連携が可能です。これにより、スマートコントラクトのデプロイやトランザクションの管理が容易になります。
C#の例文
class Block
{
public int Index { get; set; }
public string Data { get; set; }
}public Block(int index, string data)
{
Index = index;
Data = data;
}var block = new Block(1, “Genesis Block”);
Console.WriteLine(block.Data);
Vyper
Vyperは、イーサリアムのスマートコントラクト開発のために特化して設計されたプログラミング言語です。
この言語は、安全性と簡潔さを重視しており、開発者が意図しない動作を防ぐために厳格な文法を採用しています。Vyperは、コードが明確で読みやすいことを目的としており、特にセキュリティが重要なプロジェクトでの使用が推奨されます。
また、形式的検証が可能であるため、スマートコントラクトの安全性を高めるのに役立ちます。これにより、開発者は信頼性の高いアプリケーションを構築できます。
Vyperの例文
@public
def get_data() -> string:
return self.data
ブロックチェーンアプリ開発におすすめのフレームワーク
フレームワーク名 | 概略 | 使用言語 | プラットフォーム |
Enterprise Ethereum | ・企業向けにカスタマイズされたEthereum
・プライバシーとスケーラビリティが強化されている |
Solidity, Vyper | Ethereumブロックチェーン |
Hyperledger Fabric | ・プライベートブロックチェーン向け
・企業向けのモジュラーアーキテクチャ |
Go, Java, JavaScript | Hyperledgerプラットフォーム |
Quorum | ・プライバシー機能を強化したEthereumのバリエーション
・金融業界に特化 |
Solidity | Ethereumブロックチェーン |
Corda | ・金融業界向けの分散型アプリケーション
・プライバシーと相互運用性を重視 |
Java, Kotlin | Cordaプラットフォーム |
Ripple | ・国際送金向けの分散型台帳技術
・高速かつ低コストのトランザクションを提供 |
Java, JavaScript | Rippleネットワーク |
Enterprise Ethereum(エンタープライス イーサリアム)
Enterprise Ethereumは、企業向けに最適化されたEthereumのバージョンです。
プライバシーやスケーラビリティを強化しており、特に金融サービスやサプライチェーン管理での利用が進んでいます。
例えば、MicrosoftやJP Morganがこのフレームワークを使用しており、スマートコントラクトの開発にはSolidityが使用されます。これにより、企業は透明性を保ちながら効率的な取引を実現できます。
詳しくは、Enterprise Ethereum Allianceの公式サイトの情報をご覧ください。
Enterprise Ethereum Allianceの公式サイト
Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)
Hyperledger Fabricは、Linux Foundationによって開発されたオープンソースのプライベートブロックチェーンフレームワークです。
モジュール設計により、プライバシーとパフォーマンスが向上しており、特に製造業や医療業界での採用が進んでいます。
例として、IBMがこのフレームワークを用いてサプライチェーンのトレーサビリティを実現しています。開発には主にGo言語やJava、JavaScriptが使用されます。
Quorum(クオラム)
Quorumは、Ethereumを基にしたプライベートブロックチェーンで、特に金融機関向けに設計されています。
トランザクションのプライバシーを重視し、例えば、J.P. Morganが資産のトークン化に利用しています。スマートコントラクトの開発にはSolidityが使用され、企業が必要とするカスタマイズ性を提供します。
Corda(コルダ)
Cordaは、金融業界特化型のブロックチェーンプラットフォームで、トランザクションのプライバシーを重視しています。
具体的には、保険や貿易金融の分野で活用されており、例えば、R3社がCordaを用いて取引の透明性と効率性を向上させています。開発にはJavaとKotlinが使用され、業務プロセスに合わせた柔軟な設計が可能です。
Ripple(リップル)
Rippleは、国際送金に特化したブロックチェーンプラットフォームです。
迅速かつ低コストなトランザクションを実現し、特に金融機関との連携が強みです。例えば、SantanderやAmerican ExpressがRippleの技術を採用し、国際送金の効率を向上させています。開発には主にC++、Java、JavaScriptが使用され、金融領域での実用性が高いことが特徴です。
ブロックチェーン開発に必要な4つのスキル
プロックチェーン開発では、プログラミング言語を習得して、web開発などができるようになっても、プロックチェーン技術の知識・スキルが必要とされます。
プロックチェーン技術のスキルは、範囲が広く、とても難しいものが多いです。
プラットフォームを使って、開発するにしても、スキルを身に着けておくことは必須かとおもいます。
以下は、ブロックチェーン開発に必要な4つのスキルについての説明です。
ブロックチェーン技術の基礎知識
ブロックチェーン技術の基礎知識は、分散型台帳や暗号技術の理解を含みます。
ブロックチェーンの仕組み、コンセンサスアルゴリズム(例:PoWやPoS)、トランザクションの流れを把握することは、実際の開発において不可欠です。
また、ブロックチェーンの種類(パブリック、プライベート、コンソーシアム)やその特性を理解することで、適切なプロジェクト選定や設計が可能になります。
スマートコントラクトとDAppsの開発
スマートコントラクトは、自動化された契約をブロックチェーン上で実行するプログラムです。
これを開発するためには、Solidityなどの特定のプログラミング言語の知識が必要です。DApps(分散型アプリケーション)は、スマートコントラクトを利用したアプリケーションです。
これらの開発には、フロントエンドとバックエンドの統合や、ユーザーインターフェース(UI)の設計も重要です。
プログラミングスキル
ブロックチェーン開発には、特定のプログラミング言語のスキルが求められます。
主に使用される言語には、Solidity(Ethereum)、Rust(Polkadot)、Go(Hyperledger Fabric)などがあります。
これらの言語を使いこなすことで、スマートコントラクトやDAppsの開発が可能になります。また、デバッグやテストの技術も重要で、セキュリティ上の問題を早期に発見するためのスキルも必要です。
システム設計とセキュリティ
ブロックチェーンシステムの設計には、スケーラビリティ、トランザクション速度、ユーザーのプライバシーなどを考慮する必要があります。
加えて、セキュリティは非常に重要です。攻撃手法(例:51%攻撃やスマートコントラクトの脆弱性)を理解し、それに対抗するための対策を講じることが求められます。
信頼性の高いシステムを設計するためには、リスク評価と適切な対策が不可欠です。
ブロックチェーン開発に必要な言語の学習方法
先程も解説しましたが、プロックチェーンの開発には、いくつかのプログラミング言語があります。
プログラミング言語を学習して習得するには、いくかのやり方があります。予算や使える時間によって、自分にあった学習方法を選びます。
また、どの学習方法でも、プログラミング言語の書籍は何冊か持っておくとよいです。
書籍はわからないところを確認するのに、とても役立ちます。
オンラインコースやチュートリアル
オンラインコースというのは、有料のプログラミングのスクールや無料で学べるものなど予算に応じていくつかあります。
チュートリアルは、それぞれのプログラミング言語の公式サイトに大抵は掲載されています。下記はGo言語の公式サイトです。
参照元:Go言語
他には、無料から始められるサイトで、progateというものがあります。
参照元:progate
progateではJavascriptやGo言語の基礎が学べます
公式ドキュメントやリソース
公式サイトにはドキュメントやリソース(サンプル)などが掲載されているので、それをみて勉強ができます。
Microsoftのサイトにて、visual C++のドキュメントやチュートリアルが勉強できます。
visual C++は、試しに無料でも使えます。
下記サイトでは、標準C++の情報もあります。
参照元:C++日本語リファレンス
visual c++を使わない場合は、無料のエディタと、GNUのgccコンパイラをインストールして使う必要があります。
プロジェクトベースの学習
ブロジェクトベースの学習となると、実際の現場に入っての学習ということになります。
システム開発会社に入社して、現場でプロジェクトに参加して、OJTで学習していくというやり方もあります。
いきなり、プロジェクトに入って勉強するのは、かなり根気と勇気が必要となりますが、成功すれば相当なスキルを身につけられます。
ネットワークを活用した学習
先程、説明した、オンラインコースや公式サイトもネットワークを使って勉強します。
しかし、ここでいうネットワークを活用するといつのは、無料でプログラミング言語について書いているサイトや、YouTubeなどを見て勉強もできるということです。
最近では、開発環境の作り方から、簡単なアプリケーションの作成ができるところまで、無料で記事にしてくれているサイトが数多くあります。
自分のスキルや知識に応じて学びやすいサイトを選びことができます。また、YouTubeでも、動画で学べます。
また、最近ではchatGptなどのAIを活用してプログラミング言語の学習することもできます。
chatGptは、実際のプログラミングのソースも作ってくれますので、学習には向いています。
※但し、最新のchatGpt4を使うことを、お勧めします。
実践プロジェクトの作成
プログラミング言語の学習サイトにおいては、実践的な内容も書かれているものもあります。
Pythonという言語を使って、プロックチェーンを0から構築するやり方を書いているものもあります。
また、イーサリアムのプラットフォーム(フレームワーク)を使って、スマートコントラクトを実装させて、実際の暗号資産(仮想通貨)の作リ方を教えてくれるものもあります。
そこまで、出来るようになれば、かなりプログラミング言語に精通していると言えるようになります。
ブロックチェーン開発言語のまとめ
ブロックチェーン開発をおこなうには、ブロックチェーン開発の基本的な知識と、プログラム言語の習得が必要です。この記事ではブロックチェーン開発に使われる代表的なプログラム言語10選と、フレームワークを紹介しました。
また、ブロックチェーン開発に必要な基本的知識にはどんなものがあるか。4つのポイントで説明しています。
ブロックチェーン開発には知っておきべき知識やプログラムの習得など難しい課題が多いので、多くの場合は、ブロックチェーン開発はシステム開発会社へ依頼することになります。
ブロックチェーン開発言語に関する質問、相談、案件や依頼があれば、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。