IPアドレスとは、インターネットなどに接続する機器を識別するために割り当てられる番号のことです。
PCで作業をするうえで、IPアドレスという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何かまではわからない…。
そんな方のために、この記事ではIPアドレスの基本や調べ方、変更方法、仕組み、そしてセキュリティなどについてわかりやすく解説します。
高校からHTML/CSS/COBOL/C++/Rubyに触れ、システム管理やCMSなど幅広く網羅。建築士から転身し、Webメディアの制作を主軸とした会社を設立。ITパスポート所有。趣味は建築物巡り。
IPアドレスとは?

IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、インターネット上でデバイスを識別するための一意の識別子です。
IPv4やIPv6などのバージョンがあり、各デバイスには割り当てられます。
これにより、データが正確な宛先に送信され、通信が可能になります。
IPアドレスは、ネットワーク通信において送信元と送信先を特定する基本的な仕組みであり、ウェブブラウジングや電子メールなどのオンラインアクティビティに不可欠です。
IPアドレスの仕組み

IPアドレスは、インターネットやネットワーク上でデバイス同士が通信を行うために欠かせません。
各デバイスには一意のIPアドレスが割り当てられており、これによって正確なデータ送受信が可能になります。
IPアドレスには、デバイスの場所やネットワーク構造を表す情報が含まれており、IPv4とIPv6という2種類のバージョンが使用されています。
それぞれ役割や特徴が異なり、ネットワーク内で効率的にデータを転送する重要な役割を果たしています。
アドレス割り当て
IPアドレスは、ネットワーク上の各デバイスに一意に割り当てられます。
この仕組みによってネットワーク内でどのデバイスがどこにあるのかが特定できるようになります。
IPアドレスの割り当てには、動的割り当てと静的割り当ての2つの方法があります。
動的割り当ては、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)という仕組みを使い、ネットワークに接続するたびに自動的にアドレスが付与されます。
一方で、静的割り当ては特定のデバイスに固定のIPアドレスを設定する方法で、サーバーやプリンターなどの重要な機器でよく使われます。
通信
IPアドレスは、ネットワーク内でデータを送信する送り元と送り先の役割を持ちます。
たとえば、ウェブサイトを開くとき、あなたのデバイスのIPアドレスがサーバーに送信され、その応答としてデータが送られてきます。
通信では、送信元と送信先のIPアドレスを含むデータパケットが利用され、正しい場所に情報が届けられる仕組みです。
IPアドレスが正確であることが、ネットワーク通信の成功を支える大切な要素なのです。
名前解決
IPアドレスは数字の組み合わせですが、一般的には「www.example.com」のようなドメイン名が使われます。
このドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みを「名前解決」といいます。
名前解決にはDNS(Domain Name System)が使われ、ドメイン名を問い合わせると対応するIPアドレスが返されます。
これにより、インターネットを簡単に利用できるのです。
パケット転送
IPアドレスは、ネットワーク内でデータパケットを正しい場所に届けるための役割を持ちます。
データは一度に大きな塊で送られるのではなく、小さな単位で分割されたパケットとして送信されます。
パケットには送信元と宛先のIPアドレスが含まれ、ルーターなどのネットワーク機器が宛先に向かって正しいルートで転送されます。
この仕組みのおかげで、インターネット上の膨大なデータがスムーズにやり取りされているのです。
IPアドレスでわかること
IPアドレスは、単にデバイスを識別するだけでなく、そこから以下のようなさまざまな情報を得ることができます。
- 地理的情報
- 接続環境
- アクセス傾向
- セキュリティ関連
ここでは、IPアドレスでわかることについて詳しく解説します。
地理的情報
IPアドレスからは、使用しているデバイスのおおよその地理的な位置を特定することができます。
具体的には、国や地域、都市、場合によっては接続しているインターネットプロバイダ(ISP)の位置などです。
この情報は、ウェブサイトやサービスが利用者の地域に合ったコンテンツを提供するために使われています。
ただし、正確な住所までは特定できないため、プライバシーはある程度守られています。
接続環境
IPアドレスからは、そのデバイスがどのようなネットワーク環境に接続しているかもわかります。
例えば、自宅のWi-Fiなのか、モバイルデータ通信なのか、あるいは職場やカフェのネットワークなのかを推測できます。
また、インターネットプロバイダの情報も取得できるため、接続速度や品質などを判断する材料にもなります。
この情報は、サービスの最適化やトラブルシューティングに役立てられています。
アクセス傾向
IPアドレスを基に、どの地域からどの時間帯にアクセスが多いのかといった傾向を分析することができます。
これにより、ウェブサイト運営者やマーケティング担当者は、ユーザーの行動パターンを把握し、広告やサービスを提供するための戦略を立てられます。
たとえば、アクセスが集中している時間がわかれば、その時間帯に合わせたコンテンツを表示するといった工夫が可能です。
セキュリティ関連
IPアドレスは、セキュリティ対策にも大きな影響を与えます。
不正アクセスやサイバー攻撃があった場合、その攻撃元を特定するためにIPアドレスが活用されます。
また、不審な動きを検知した場合、そのIPアドレスをブロックすることでシステムを守ることも可能です。
一方で、個人情報と直接結びつくわけではないため、悪用されないような管理が必要とされています。
IPアドレスの役割
IPアドレスには、以下の役割があります。
- 機器の識別
- 通信相手の特定
- 経路制御(ルーティング)
ここからは、上記3つの役割についてご紹介します。
機器の識別
IPアドレスは、各デバイスに一意のIPアドレスが割り当てられることで、どのデバイスがどこにあるのかがわかり、ネットワーク上で迷子にならずに通信を行えます。
この仕組みのおかげで、膨大な数のデバイスが接続されていても、スムーズに情報をやり取りできるのです。
静的IPアドレスや動的IPアドレスといった種類を状況に応じて使い分けることで、安定したネットワーク環境が保たれています。
通信相手の特定
IPアドレスでは、データがどこから来てどこへ行くべきかが正確に判断されます。
また、IPアドレスを利用することで、不正なアクセスを特定したりブロックしたりすることも可能です。
このような仕組みは、通信の安全性を保つために欠かせません。
経路制御(ルーティング)
IPアドレスは、データを目的地まで届けるための経路を決める場合にも活用されます。
このプロセスを「ルーティング」と呼びます。
データがどの経路を通って目的地に向かうべきかは、IPアドレスに基づいてネットワーク機器が判断します。
たとえば、ルーターはIPアドレスを使って最適な経路を選び、データをスムーズに送り届けるのです。
この仕組みによって、インターネット全体で効率的な通信が可能になります。
ルーティングは、ネットワークの渋滞を回避し、情報を迅速に届けるために重要です。
自分のIPアドレスの調べ方

IPアドレスは、自分で調べることができます。
ここからは、自分のIPアドレスを調べる方法を3つ紹介します。
スマホでの確認方法
iPhoneでの確認方法をご紹介します。
まずは設定から、「Wi-Fi」をタップ。
表示されるWi-Fiの中から、使用中のものを選びましょう。
画面の下の方にIPアドレスが表示されます。
次に、Androidでの確認方法をご紹介します。
設定から「ネットワークとインターネット」をタップ。
「インターネット」をタップしましょう。
Wi-Fiから、使用中のものを選択しましょう。
画面を下の方までスクロールすると、IPアドレスがわかります。
コマンドプロンプトでの確認方法
コマンドプロンプトを使用してIPアドレスを確認するには、以下の手順を実行します。
【Windowsの場合】
- コマンドプロンプトを開く・・・「スタート」メニューから「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを選択します。
- ipconfig コマンドの実行・・・コマンドプロンプトに「ipconfig」と入力し、Enterキーを押します。
- IPアドレスの確認・・・表示される情報の中から、”IPv4 アドレス”がある行に、現在のデバイスのIPアドレスが表示されます。
これがコンピュータのローカルIPアドレスです。
【LinuxやmacOSの場合】
- ターミナルを開く・・・ターミナルアプリケーションを起動します。
- ifconfigまたはip addr コマンドの実行・・・ターミナルに「ifconfig」または「ip addr」と入力し、Enterキーを押します。
- IPアドレスの確認・・・表示される情報の中から、”inet”と書かれている行に、現在のデバイスのIPアドレスが表示されます。
これがコンピュータのローカルIPアドレスです。
上記の手順を実行することで、コマンドプロンプトやターミナルを使用してデバイスのIPアドレスを確認できます。
これは、ネットワークのトラブルシューティングや設定確認に役立ちます。
Webサイトで簡単確認
WebサイトからIPアドレスを確認する方法もあります。
- IP確認サイトへアクセス・・・インターネットブラウザで「IP確認」などのキーワードで検索し、IP確認サイトにアクセスします。
- 表示されたIPアドレスを確認・・・サイトにアクセスすると、あなたのデバイスのグローバルIPアドレスが表示されるでしょう。
通常は「Your IP Address」や類似の表記で表示されます。 - 追加情報の確認・・・一部のサイトでは、地理的な情報やISP(Internet Service Provider)などの追加情報も提供されることがあります。
この方法は、ネットワークの構成や外部から見えるIPアドレスを確認したい場合に便利です。
上記の手順により、特別なコマンドや設定を行わずに、簡単にIPアドレスを確認できます。
IPアドレスの種類と違い

IPアドレスには、IPv4アドレスとIPv6アドレスの2種類があります。
また、グローバルIPとプライベートIPの2種類にも分かれています。
それぞれの違いについて説明します。
IPv4とIPv6
| 特徴 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| ビット数 | 32ビット | 128ビット |
| 表記 | 4つの10進数ブロック (例: 192.168.1.1) |
8つの16進数ブロック (例: 2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334) |
| アドレス数 | 2^32(約42億) | 2^128(膨大な数) |
| アドレス枯渇問題 | 既に発生している | 対処済み(膨大なアドレス空間) |
| サブネット構築 | 複雑で柔軟性に限界 | シンプルかつ柔軟性が高い |
| ネットワーク機器サポート | 標準的にサポート | 徐々にサポートが進行中 |
| NATの必要性 | 高い | 低い(アドレス数が豊富なため) |
| セキュリティ | 付加的なセキュリティ機能が必要 | IPsecが組み込まれておりセキュア |
IPv4とIPv6の主な違いは、以下の通りです。
- アドレスのビット数と表記法
- アドレス数
- アドレス枯渇問題
- サブネット構築の柔軟性
- ネットワーク機器サポート
- NATの必要性
- セキュリティ
IPv6はIPv4のアドレス枯渇問題を解決し、セキュアな通信を強化しています。
将来的にはIPv6が主流となることが期待されています。
グローバルIPとプライベートIP
グローバルIPとプライベートIPは、ネットワーク通信において異なる役割を果たします。
グローバルIPは、直接インターネット上で識別可能な公開アドレスであり、一般的にウェブサーバーやルーターに割り当てられます。
これにより、外部からアクセス可能なサービスやウェブページを提供できます。
一方、プライベートIPは内部ネットワークで使用され、通常はルーターによって割り当てられます。
プライベートIPアドレスは、インターネット上で一意である必要はなく、同じプライベートIPアドレスが複数のネットワークで使用されることがあります。
プライベートIPアドレスは、内部通信やネットワーク内のデバイス同士の通信に利用されます。
このように、グローバルIPは外部からアクセス可能な公開アドレスとして使用され、プライベートIPは内部ネットワーク内での通信に利用されます。
ルーターがネットワーク外と内部を分離し、ネットワークのセキュリティを向上させる一因となっています。
IPアドレスに関するよくある質問
IPアドレスに関するよくある質問をご紹介します。
IPアドレスで個人特定はできる?
IPアドレスだけで個人を完全に特定することはできません。
ただし、インターネットプロバイダー(ISP)にはIPアドレスと契約者情報が紐づいているため、法律に基づいた手続きが行われれば、特定の人物や住所を割り出すことが可能です。
また、IPアドレスからは利用している地域やネットワーク環境がわかる場合もありますが、それ以上の詳細な情報を知ることは難しいとされています。
IPアドレスはどのくらいで変わる?
IPアドレスの変わる頻度は、ネットワーク環境やプロバイダーの設定によって異なります。
動的IPアドレスの場合、ネットワークに再接続したときや、一定の期間が経過すると新しいIPアドレスが割り当てられることがあります。
一方で、静的IPアドレスを利用している場合は基本的に変わりません。
また、家庭用のインターネットでもプロバイダーが設定を変更しない限り、数週間や数カ月単位で同じIPアドレスを使用できることが多いとされています。
IPアドレスは固定できる?
IPアドレスを固定することは可能で、これを静的IPアドレスと呼びます。
家庭用のインターネットでも、特定のデバイスに常に同じIPアドレスを割り当てる設定ができます。
プロバイダーに依頼して契約内容を変更することもできますし、自分でルーターを設定して特定の範囲内で固定する方法もあります。
IPアドレスとWi-Fiアドレスの違いは?
IPアドレスとWi-Fiアドレスは異なる役割を持つものです。
IPアドレスは、インターネットやネットワーク上でデバイスを識別するための住所のようなものです。
一方、Wi-Fiアドレス(正確にはMACアドレス)は、Wi-Fiやネットワーク接続時に使用されるデバイス固有の識別番号です。
IPアドレスはネットワークごとに変わることがありますが、Wi-Fiアドレスは基本的に変わることはありません。
まとめ:IPアドレスとはインターネット上の住所のようなもの

IPアドレスは、インターネットやネットワーク通信をするために重要なものです。
デバイスを識別したり、通信相手を特定したりするだけでなく、データの経路を制御するルーティングにも欠かせない存在と言えるでしょう。
また、IPアドレスから地理的情報や接続環境が分かる一方で、個人特定には制限があり、適切に管理することでセキュリティを守ることができます。
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