今日では、ネットショッピングも盛んになり、ECサイトの数も年々、増加しています。一方では、今後、トラックの運転手も方も減っていくということで、物流の管理をコンピュータシステムで行う物流管理システムの要望が日に日に高まっています。
物流を制するものは、市場を制すると言われるほど、コストを抑えながら、お客様へ届けるのはより早く、確実に安全に届けるということが、今、物流には求められます。そのため優秀な物流管理システムが求められます。しかし、物流管理システムはコストがかかるため、事前の検討が欠かせません、
2014年 大学在学中にソフトウェア開発企業を設立
2016年 新卒でリクルートに入社 SUUMOの開発担当
2017年 開発会社Jiteraを設立
開発AIエージェント「JITERA」を開発
2024年 「Forbes 30 Under 30 Asia 2024」に選出
物流管理システムとは?定義や特徴について解説
物流管理システムは、初期の頃は、倉庫の商品(製造されたものや、買い上げたもの・もしくは工場などでは材料の場合もある。)を管理するものから始まりました。
最初は倉庫の在庫や、出庫数を管理するだけのものでしたが、やがては、入荷・出荷・棚卸・在庫管理・ピッキング(どの棚の位置から商品を取ってくるか)・配送を一括して管理するシステムになっていき、人事のシステムまで含まれるようになりました、
同時に配送のシステムも最初は、どのトラックにどの商品を積むかだけでしたが、進化をとげています。ここでは物流管理システムとは何か、目指すものはなにかを説明します。
物流管理システムの定義
そもそも物流とはなんでしょうか?物流とは単純にお客様に商品を届けるということだけでなく、商品の入荷から倉庫に保管して、注文があれば倉庫から出して、梱包または包装して、トラックに載せて届けるまで、一連の業務のことを指します。
物流管理システムはそれらの一連の業務を人間の勘や経験だけに頼らずに、数値化してコンピュータシステムによる管理とコントロールをします。
特に近年では、ロジスティックスと言う言葉もでてきており、物流は会社の経営において重要な位置にあります。
実はロジスティックスと物流は違っています。物流は入荷・保管・加工(工場などでは加工もあり)包装・出荷・配送の過程のものの流れ自体を指しますが、ロジスティックスはそれらの流れを最適化することを狙い、プロセスや構造などを考えることです。
物流管理システムは、ロジスティックスの概念の中に含まれるものと考えられます。ロジスティックスは元々、軍事の際に軍の部隊に武器や食料などを補給する「兵站(Military Logistics)」の言葉の一部です。
軍の活動においては、後方支援がとても大事で、適切なタイミングで、武器や食料などが補給される必要があります。
日本がアメリカに負けたのは、この後方支援がまずかったととも言われておりますが、最前線の戦場へと武器や食料など必要なものを早く適切に届けるということをコントロールすることを兵站と言いますが、その意味がロジスティックスと似ているので、その名前の一部をとっています。
ちなみに、ロジスティックスという概念の中に物流が含まれていると言えます。
物流管理システムが目指すこと
物流管理システムが目指すことは先程からの説明の中にも少しでてきているのですが、物流の流れを効率化することです。
効率化することで何がよいのかですが、結局、会社の経営というのは、大雑把に言えば、売上からコストを引いたものになります。なので、売上を多くするか、コストを下げるか、どちらかが利益を拡大することになります。
会社は利益を拡大して、社員の生活の保障と、その利益を使ってさらによい商品を開発し、提供することで社会にも貢献できます。利益を拡大することは会社のエゴだけでなく、世の中のためにもなることなので、それを目指しますが、物流は、売上を上げることとコストを下げること両方にかかわることになります。
何故ならば、お客様に適切なタイミングで商品を素早く届けるということが、お客様の満足を生み、また買って見ようという売上への貢献になります。
また、物流全体のかかるコストを管理して、最適化していくことによりコストが下がるということができます。結局、物流管理システムは、会社の利益を上げるため、物流を効率化していくということが目的となります。
物流管理システムの種類と特徴
先程も説明しました。物流は、入荷・出荷・在庫管理・棚卸・ピッキング・配送という業務をとうして、商品(工場では加工された製品)を空間的・時間的に離れているお客様のところに届けるということですが、現代ではいかに効率的にコストを抑えるかということが求められます。
物流の業務を改めてみてみると、倉庫において行われる業務と、配送に関わる業務の2つがあります。
そこで、この2つの業務を管理するために、WMS(倉庫管理システム)と、TMS(配送管理システム)という2つの種類のシステムから物流管理システムは構成されています。しかし、まったく別々のものでなく、この2つのシステムが一括して管理できるようになっています。
WMS
WMS(Warehouse Management System)とは、日本語にすると、倉庫管理システムになります。
倉庫管理システムとは、倉庫内(物流センター)の一連の業務である【商品の入荷】・【倉庫内の在庫】・【発送の際の流通加工】・【帳票類の出力】・【商品の出荷】・【商品の棚卸】などの業務を効率的に行えるようにして、バラバラに管理するのではなく、一元的な管理をするコンピュータソフトウェア(アプリケーションとも言います。)です。
最近では、【倉庫内在庫の照会】・【入荷と出荷の履歴管理】・【商品の補充】・【ロット(ロットというのは商品をいくつかの固まりしたもの)管理】、【SKU管理(商品の最小単位をSKUといいます。バーコードを使った管理をします。)】、【温度管理(主に食品や、薬剤などを扱う場合)】などを、リアルタイムでの管理をおこなうものが増加しています。物流管理システムを導入すると、いくつかのメリットがあります。
人手に頼った作業は、人的なミスを起こしがちですが、それを最小化し、人手による作業を、システム化することで、時間短縮や、生産性の向上に役立ちます。
倉庫管理システムには、大きく分けて完全な開発で0からつくるもの、または、ソフトウェアパッケージ(どこの会社の業務でも使えるように汎用化したソフトウェアのこと)を導入するというものがあります。
価格は数十万円から数千万円と大きく違いがあります。
大規模な物流管理システムの開発には、億単位の予算が必要なものもあります。
業界、または会社の希望により、倉庫の規模が違う、また、扱う商品の種類が多岐に渡るなどの違いがありますので、自社に合わせた選定が必要になります。
ソフトウェアパッケージは、価格は安いですが、一般的な汎用的に使えるようになっており、自社にあわせて、カスタマイズが必要なこともあります。カスタマイズするとおもわぬ予算が実はかかってしまうということもあります。
いろいろな業界や、会社において、倉庫管理システムの特徴もさまざまですが、代表的なものを挙げると
- 1.いろいろな業種・様々な規模に対応</li>
- 2.無線によるハンディターミナルや、タブレットを利用した入出庫の検品ができる。※通常は、バーコードやQRコードを使いますが、最近ではRFIDタグというものを使うものもあります。RFIDタグは離れた場所からの在庫の検品ができます。
- 3.自由にカスタマイズができる。
- 4.倉庫数が増えても、柔軟な対応ができる。
- 5.在庫の分析(在庫の日数・コスト分析・ABC分析等)に対応していて、わかりやすい分析ができる。
- 6.数々の、ハンディターミナルに対応している
- 7.音声による指示ができる。
などに対応するソフトウェアが主流となっています。
最近の傾向では、クラウドシステムに対応しているものがでてきています。クラウドシステムは自社で、サーバーなどのコンピュータを持たず、ソフトウェアを使うことができるものです。(使うコンピュータはクラウドを提供する会社が持っています。)クラウドは雲の意味で、どこか遠くにある不特定なものということで付けられました。
TMS
TMS(Transport Management System)は日本語に訳すと配送管理システムになります。
倉庫管理システムは倉庫内の業務を管理するものですが、配送管理システムは倉庫から出荷された後のお客様へ商品が届くまでの業務を管理します。まずは、どのトラックを使うか、ドライバーは誰にするかという配車管理をおこないます。
配車管理は人間がやるととてもではないですが、大変で、空いているトラックや運転手がないようにするのは至難のわざです。時間単位にトラックと積む荷物とどこまでいくかを考えて、割り振りをするのでコンピュータでなくてはできません。
また、配送のルートを決めるのもシステムがない場合は、人間の観と経験値が頼りでした。
しかし、それでは、その担当者が倒れた時に代わりがいないという問題があります。また、本当にその配送ルートが早いのかは判断ができません。システムによって、渋滞や道路状況なども判断して最適な配送ルートを決めたり、過去の配送の履歴から配送ルートを決めることができます。さらに配送中のトラックが今、どこを走っているか、リアルタイムで、地図上で追いかけることもできます。
それによってお客様へいつどのくらいで届けられるかを伝えることができて、サービスの向上にもなりますし、遅れているトラックへの連絡や、補助もできます。また、配送だけでなく、運転手の勤怠情報も管理できるシステムもあります。
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物流管理システム導入のメリット
物流の業務をしている会社で、なんらかの問題に直面しているとおもいます。それは配車で、どうしてもトラックが余ってしまう。運転手が足りない・配送に時間がかかる・違う商品を届けるなどのミスが多い・配送が遅い・発注ミスが多い・棚からピッキングするのに時間がかかる・倉庫の在庫管理がいい加減なので、在庫ロスが多い・倉庫内作業が人的に頼りすげて、非効率的であるなど様々な問題がありますが、ここでは物流管理システムを導入した際のメリットについて解説していきます。
コストダウンを実現
物流管理システムを導入することでコストの削減ができます。特に配送の業務においては、多くのコストダウンができると言われております。物流において、ほどんど100%に近いのは、トラックによる配送や輸送です。
このトラックによる配送における業務をいかにするかで、コストがかなり違ってきます。物流管理システムの導入以前は、ベテランの社員によって、経験即や勘による配車計画や、人員の配置や確保、また配送ルートなどが決められてきました。
これは人によってばらつきがあり、その人がいなくなるとできなくなったり、性格な数値による判断ではないので、やはり、狂いが生じ、車が余ることや、人員のダブつき、配送の遅れなどが頻繁に起こり、コストが多大になります。
そういう人に能力にたよる属人的なやり方を物流管理システムを導入することで、システム化及び標準化することができ、誰でも取り組むことができるようになりますし、適格な配車やルート設定なとができます。
また、数値としてリアルタイムに把握することができるために改善がやりやすくなり、どこを直せば、よりコストをカットできるかがわかるようになります。物流管理システムを導入することで得られるメリットの一つにコストダウンが挙げられます。
業務効率化を促進
倉庫の作業においては、業務の効率化が得られます。入荷においても在庫数が確実に把握でき、足りないものをアラームとしてあげるなどのことができて、ご発注による在庫過多や、逆に在庫が少なくなり、売上を逃すということがなくなります。
商品が倉庫に入ってきたときも、どの棚にいれればいいか、商品がどの棚にあるかがリアルタイムでわかるので、作業がスムーズにいきます。
商品が売れて棚から取り出す作業をピッキングと言いますが、これも棚の位置などが一発でわかるので、早くなります。(有名なネットショップでは、ロボットを使ったシステムもある。)人手をたくさん使って探していたのが、人手が少なく済みます。
また、発送先によって、積むトラックなどを決めるのも早くなります。トラックの過剰な積み込みや、積み込みが足りないことも解消されます。他にも、発注書や、納品書などの帳票もシステムにより発行ができます。(手書きする必要がない、自動的に印刷してくれるシステムもある)。
等の人手によって行われていた業務には、効率的ではない、無駄な作業がありました。そういう無駄な作業をカットして、業務の効率化が物流システムの導入により達成できるメリットです。
物流管理システム導入のデメリット
メリットばかりのようにおもえる物流管理システムですが、当然、デメリットもあります。メリットばかりに目がいくととんでもないトラブルになる場合もありますので、デメリットも知ってることは重要になります。
ちなみにデメリットは、物流管理システムの仕組みや、その構造、使われ方に問題があるのではありません。物流管理システムでなくても、コンピュータシステムを開発して、導入する場合には、必ずこの問題が起こるといってもよいでしょう。ということで、デメリットを解説していきたいとおもいます。
初期コストが嵩む
物流管理システムを導入する工程を考えると、まずは、全部を0から開発するとしたら、要件定義・基本設計・詳細設計・開発・単体テスト・結合テスト・結合テスト・導入という工程を通常はおこないます。
それぞれの工程で、規模が大きいシステムになれば、なるほど人手が必要のなります。また、コンピュータや、通信設備、通信回線などのインフラと呼ばれる物理敵なハードウェアも必要になります。つまりは、開発にともなう初期コストが大きくなるということがデメリットとなります。
実は要件定義の段階でも、担当部署の責任者や担当者へのインタビューや、アンケートという調査も必要で、実際の業務をしている社員への負担もかかります。また、要件をまとめるのも、希望が大きくなればなるほど時間後がかかり、工数が拡大していきます。工数の拡大は、予算の拡大にもつながります。
大規模なシステムの開発ですと、数千万円から、もしかしたら億かかることもあります。なので、大企業でない場合は、バッケージソフト(業務用に汎用的にすてに作られているソフトウェア)を使ったり、1部のシステムから開発して、拡大するなどのやり方をする場合が多いかとおもいます。どにらにせよ、デメリットのひとつは、初期投資が大きくかかるということです。
運用が難しい
次のデメリットもコンピュータシステムの導入するときに起こる問題ですが、いままでは人手でやっていた業務をコンピュータシステムに変えるのは、使い方がまず現場の人達がわからないということがあります。
この事に関してはよく説明するか、賛同を最初の時点で得てないと、操作がますわからないとか、いままで慣れていたことをやめるというのは苦情がでてきて、揉めるトラブルにねりかねません。
そのため、操作については、わかりやすいマニュアルの整備や、トレーニングということが必要となります。トレーニングを業務の時間以外にやるとなると、相当な抵抗が予想されるので、業務の時間にやることになりますが、業務への営業がでることも懸念されますので、スケジュールをかなり考えておく必要もあるでしょう。
また、いきなりシステムに切り替えるのも、トラブルを起こすことになりやすいので、一部から徐々に、また、現在のやり方と並行して新しいやり方に変えていくことが必要になります。
まったく、新規の物流センターなら問題ないとおもわれるかもしれませんが、それでも、そこで働く従業の片手へのトレーニングは必要になります。
また、まったく経験のない従業員の方々なので、どんなトラブルが発声するかも予測できませんので、注意は必要かとおもいます。導入後のアフターケアは必須となります。
とちらにせよ、物流監理システムの導入には、使う人へのトレーニングが必要となり、また、それがコストを拡大させることにもなるので、デメリットといえます。
物流管理システムの事例
一口に物流といっても、業種によって様々なものを扱います。お客様も個人であったり、お店であったり、対会社のこともあるでしょう。それぞれの倉庫での管理の仕方も違います。服であれば、汚れや、カビ、虫食いなどにも気をつけないといけないし、食品であれば、腐らないように温度管理もシステムでやる必要があるでしょう。医療機関の場合も、薬剤を扱いますので、やはり、温度には気をつけないといけないし、劇薬などの薬にはセキュリティも強固なものを求められます。ここでは、2つの業界の物流管理システムを解説します。
アパレル企業の事例
アパレル業界の他の業界との違いは、取り扱う商品が同じ服であってもサイズやカラーが違うため、種類がとても多くなります。
最小の管理単位をSKUと呼びますが、さらに同じ種類のSKUをまとめて扱う単位をロットといいますが、ロットも細かく、多くて、取扱いが煩雑になり、出荷ミスが起こりやすいです。そのため、バーコードや、RFIDタグを使ったシステム化が求められます。
また、季節ごとに服が変わるため、倉庫が広く必要ですし、商品の入れ替えも早いと言えます。ここでもどこにどの商品が存在してるかをリアルタイムに把握することが必要です。
また、服は人が身につけるものであるため、検品がとても重要になります。たまにあるのが針が刺さっていたとか、汚れがあるとか、破れているとかです。これらを確実に見つけることが検品に求められますが、そのため、この検品にもx線による検品などシステム化が必要となります。
さらに、大手のアパレル会社では、全国に店舗がたくさんあるため、出荷の際に各店舗で、必要な数を間違えないようにしなくてはなりません。そのためにもコンピュータシステムでの出荷管理が必要です。しかも、納品書なども大量になるため、自動的に出力するシステムが必要となるでしょう。
病院の事例
医療機関を業界というと、なにか語弊があるように感じますが、医療機関にも物流は存在しています。病院内における薬剤ももちろんですが、聴診器などの医療器具や、包帯、絆創膏、また細かくみるとノートや筆記用具などの補充や保管など、物流と捉えることができます。
最近では、SPDシステムと呼ばれるものがでてきております。SPDとは「Supply Processing and Distribution」の略称であります。病院内で必要なものを出荷・入荷・在庫管理・加工などを一元管理するまさに物流管理システムと同一な考え方のものです。
特に薬は、消費期限もあり、いつ入れ替えるかや、特別なあまり普段使わない薬等の保管をどうするのか等、人間に頼ると間違いやすいことがあります。また、大病院では、部署によって必要とするものが異なっていて、人間が対処していると看護師さんやお医者さんの負担が大きくなってしまうこともあります。
そういった課題の解決のため、病院にも物流管理システムが必要とされています。
物流管理システムのまとめ
物流管理システムとは、入荷・出荷・棚卸・ピッキング(どの棚の位置から商品を取ってくるか)・配送を一括して管理するシステムです。
物流管理システムは、倉庫管理システム(WMS)と、配送管理システム(TMS)から構成されます。
倉庫管理システム(WMS)は、入荷・出荷・在庫・棚卸・ピッキングなどの業務を効率化します。
配送監理システム(TMS)は、配車・配送を管理して、最適なものを目指します。
2つのシステムは別々のものでなく、一括の管理をできるように連関したシステムです。
物流管理システムを導入するメリットは、コストカットができるということです。配車においても無駄のない配車や、最短の配送ルートを数値的にシステムが割り出します。それによって、無駄をなくし、コストダウンをさせます。
また、倉庫の作業の効率化がはかれるということもメリットのひとつです。いままで、人間がおこうことで起こっていたミスや無駄なくし、リアルタイムでの在庫の把握が可能にします。
物流管理システムのデメリットとしては、初期投資が必要ということです。ひとくちに物流管理システムと言っても、数十万から、数千万のお金がかかります。
大規模な物流管理システムで、0から開発となると数億円かかることもあります。
また、導入時には、必ずドーレニングが必要となります。これもコストが大きくなる要因です。
導入後も何かトラブルや、わからないことは起こる可能性はありますので、開発会社へ開発を頼む際には、アフターフォローがよい会社を選ぶことが大切です。
物流管理システムを開発する会社の選定に迷った場合は、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。