20年超のシステム開発経験を活かし、AI・機械学習のエバンジェリストとして活動中。新技術の追求と、日本のAI活用を世界一に導くことに情熱を注ぐ。開発の全工程に精通し、知識と行動力で未来を切り拓く。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは、ソフトウェアシステムを開発するための一連のプロセスです。新しいソフトウェアシステムを開発する場合、要件定義、基本設計、詳細設計、コーディング、テスト、運用・保守と、一つ一つのフェーズを順を追って進めていきます。SDLCは、こうしたソフトウェア開発における一連のライフサイクル活動と、それを管理するプロセスのことを指します。
SDLCには、ウォーターフォール型、プロトタイピング型、スパイラル型、アジャイル開発等の各種開発手法があります。適切な手法を選択しプロセスを管理することで、品質の高いソフトウェアを効率的に開発することができます。
システム開発においてSDLCは欠かせない考え方です。ソフトウェアプロジェクトがうまく進むには、要件から設計、開発、テストとライフサイクルの各プロセスを計画的に進める必要があります。SDLCに基づくプロセス管理が、成功するシステム開発のカギとなるのです。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の各フェーズとその目的
ソフトウェア開発には、要件定義から設計、実装、テスト、運用まで多くの工程があります。ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは、この一連の開発プロセスのことです。SDLCの各フェーズとそれぞれの目的を理解することは、開発を成功に導くために重要です。本記事では、計画から運用までのSDLCの各フェーズについて順を追って解説します。
計画フェーズ
計画フェーズでは、開発の目的、要件、スケジュール、資源、コスト等の計画を立てます。商品企画書の作成や要件の定義、技術検討を行います。プロジェクト計画書にまとめ、開発体制、工程、コストを確定させます。計画が明確でなければ開発は円滑に進みません。
要件定義フェーズ
要件定義フェーズでは、開発するソフトウェアの目的や機能、非機能要件を定義します。ユーザーが解決したい問題点や要望、システムの作るべき機能を洗い出し、要件定義書にまとめます。要件を明確化することで、開発方針を定めることができます。
設計フェーズ
設計フェーズでは、要件定義に基づき、システムのアーキテクチャ設計や詳細設計を行います。要件を実現するために、ハードウェア・ソフトウェアの設計を行います。データベーススキーマの設計や画面設計、処理の詳細設計が含まれます。
開発と実装フェーズ
開発と実装フェーズでは、設計に基づいてソフトウェアを実際に開発していきます。プログラマがソースコードを作成し、データベースを構築、GUIの作成、モジュールテスト等を進め、設計通りのソフトウェアを作り上げます。実装されたソフトウェアは次のテストフェーズに進みます。
テストフェーズ
テストフェーズでは、実装されたソフトウェアが要件を満たしているか、欠陥がないかを確認するためのテストを実施します。単体テスト、インテグレーションテスト、システムテストと段階を追ってテストしていき、問題なく動作することを確認します。
デプロイ(展開)フェーズ
デプロイフェーズでは、テストが完了したソフトウェアを本番環境に展開していきます。インストール、設定作業を経てリリースし、ユーザーが使える状態にします。リリース計画を立て、段階的に導入するケースも多いです。
メンテナンス・運用フェーズ
リリース後は、ユーザーの操作サポートやバグ修正等の保守を継続的に行います。安定稼働のためにモニタリングし、ユーザーのフィードバックをもとに改善を進めます。機能追加の要望にも対応していきます。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)モデルの種類と特徴
ソフトウェア開発にはさまざまなライフサイクルモデルがあります。ウォーターフォール型、アジャイル型、スパイラル型など代表的なモデルを知ることで、自分のプロジェクトに適した開発手法を選択できます。本記事では、ソフトウェア開発ライフサイクルの種類と特徴について説明します。開発モデルを理解して、効率的な開発を実現しましょう。
ウォーターフォールモデル
要件定義、設計、実装、テスト、保守と順に段階を追って進める線形のモデルです。各フェーズが独立しており、前の段階が完了しないと次に進めません。プロセスが明確で計画が立てやすいメリットがありますが、要件変更への対応が難しいデメリットもあります。
アジャイルモデル
要件定義と設計、実装、テストを短期のサイクルを繰り返し行うイテレーション型のモデルです。スクラムなどの手法が含まれます。要件変更に柔軟に対応でき、開発途中での顧客評価が可能な点が特徴です。ただし、十分な計画が必要です。
スパイラルモデル
計画、リスク分析、設計、プロトタイプ作成、評価とテスト、開発というスパイラルを循環させながら開発を進めるモデルです。プロトタイプを作成して早期に評価・改善を繰り返すことで、要件に沿った開発を目指します。文書作成が多く、熟練の技能が必要です。
SDLCのベストプラクティスと成功のポイント
ソフトウェア開発プロジェクトを成功に導くためには、SDLCを適切に管理する必要があります。本章では、SDLCをうまく進めるためのベストプラクティスとポイントを解説します。要件の明確化、適切な開発手法の選択、プロジェクト管理、品質重視、変化への対応など、ソフトウェア開発のプロフェッショナルな手法を参考に、あなたのプロジェクトを成功に導きましょう。
明確な要件を定義
開発の出発点となる要件を明確に定義することが成功のカギとなります。ユーザーが何を求めているかを具体的に確認し、機能と非機能要件を漏れなく定義しましょう。曖昧な要件のまま開発を始めると手戻りが発生します。要件定義の段階で十分な時間をかけることが大切です。
適切な開発モデルを選択
ウォーターフォール型、アジャイル型、スパイラル型などの開発モデルがあります。プロジェクトの規模や工数、要件の確定度合いなどを考慮して、最適なモデルを選択しましょう。型に捉われることなく、状況に応じた柔軟な運用も重要です。
チームでプロジェクトの進捗状況を共有
定期的な進捗報告と情報共有を実施することで、メンバー同士の認識のずれを防ぎましょう。開発ミーティングを活用して、進捗の確認、問題解決、方針決定を行います。コミュニケーションが成功の鍵となります。
品質を重視する
納期よりも品質を重視した開発を心がけましょう。テストを十分に行い、欠陥を早期に発見、修正できるプロセスが必要です。技術的負債も積み上げないようコーディングの質にも注力します。品質の高いシステム開発を目指します。
変化に柔軟に対応する
開発中に要件が変更されることがあります。柔軟に対応できる開発手法を取り入れ、計画的に変更要求を受け入れる体制が重要です。変化への対応力が、成功のプロジェクトを差別化します。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)でよくあるトラブルと対策
ソフトウェア開発では、要件定義の曖昧さや開発の遅延など、様々なトラブルが発生する可能性があります。トラブルを回避するためには、SDLCの各プロセスを適切に管理する必要があります。ここからは、開発現場でよくあるトラブルと、その対策について解説します。リスクを事前に回避し、円滑な開発を実現する参考にしてください。
要件定義や設計の不備
要件定義が不十分な状態で設計や開発が始まると、手戻りが発生します。要件を確定させる作業に十分な時間をかけ、優先順位や業務フローも明確化しましょう。設計フェーズでも、非機能要件が考慮されていないケースがあります。セキュリティや性能、拡張性を確保するよう設計します。
開発の遅延
開発工程の遅れは計画倒れを引き起こします。過度の重要タスク集中を避け、人員の不足やアンバランスも改善します。タスクの見積りも再確認し、工程表に余裕を持たせることが重要です。定期的な進捗確認と対策がカギです。
テスト運用が不十分
不十分なテストは欠陥製品のリリースにつながります。単体、結合、総合と段階的なテストを確実に実施します。テスト期間も十分取ることが大切です。ユーザー視点での検証も欠かせません。手戻り防止にテストは欠かせません。
運用体制の崩壊
リリース後の保守体制が手薄だとトラブルへの対応が遅れます。十分な人員の配置、運用ルールの策定、モニタリング体制の構築を行います。アフターサポートのサービスレベルを事前に定めることも重要です。
まとめ:ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)は効果的に活用しましょう
ソフトウェア開発には、要件定義、設計、コーディング、テスト、運用と保守まで、多くのプロセスがあります。ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは、この一連の開発プロセスを効果的に管理するためのフレームワークです。適切にSDLCを活用することで、開発の成功確率を高めることができます。
SDLCでは、ウォーターフォール型、アジャイル型、スパイラル型など、プロジェクトに適した開発手法を選択します。要件定義の質を高め、設計・開発・テストのプロセスを確実に実行することがポイントとなります。開発中もチーム内でのコミュニケーションを密に取り、品質と進捗を管理していきます。
一方で、要件変更や工程の遅延などのリスクが現実化することもあります。その場合は柔軟に対応し、計画を適宜見直すことが必要です。変化への対応力がプロジェクトを成功に導く鍵となるのです。
ソフトウェア開発には定式化された手順が存在しないため、SDLCは効果的な開発マネジメントの指針となります。過去の成功事例や教訓を活かしながら、SDLCを改善していくことが大切です。自社の開発力強化に、SDLCを最大限に活用しましょう。
ソフトウェア開発サイクルについて、ここまで解説してきました。Webアプリ開発会社の選定に迷った場合は、実績豊富な株式会社Jiteraに一度ご相談ください。貴社の要件に対する的確なアドバイスが提供されると期待できます。