エンジニア全般
近年のIT技術の進化は目を見張るものがあり、農業やスポーツなど、従来のイメージではITとはかけ離れた業界もIT技術を積極的に活用し、ビジネスを進化させています。
このように近年、社会のデジタル化が浸透してきたことから、デジタルトランスフォーメーションやデジタルイノベーションなど、デジタルという単語が付く用語が大変流行しています。これらの言葉の中で、デジタルイノベーションの意味を本記事で解説してきます。
文系大学出身で、25歳の時にIT業界に足を踏み入れました。ヘルプデスクから要件定義まで、下流から上流まで文字通り叩き上げでキャリアを築き上げました。取得した資格もいつの間にかもう２桁に。趣味も資格取得。あと、映画鑑賞と飲み会。
デジタルイノベーションの基本
まずはデジタルイノベーションの基本的な概念や特徴を解説します。これらを理解したうえで、よく似た用語であるデジタルトランスフォーメーションやDXの意味や相違点を知ることで、より理解が深まります。
デジタルイノベーションとは
この章ではデジタルイノベーションの基本的な概念について解説します。
デジタルイノベーションとは
デジタルイノベーションとは、IT技術を駆使して社会そのものの構造に変化をもたらすことを指します。単なる業務効率のアップや経費削減に留まらず、利便性や安全性など、様々な点で社会がより良い方向に進化します。
デジタルイノベーションを生み出し続けることで、より良い社会を提供し続けることができますし、ビジネスの現場では業界のリーダーに君臨し続けて多くの雇用を生み出し続けることが可能になります。
デジタル技術を活用した革新
デジタル技術を活用することで、人の手を介在させる必要がなくなるだけでなく、新たな価値を生み出すことも可能になります。例えばUberはIT技術を駆使することで、シェアリングサービスという業界を生み出すことに成功し、ウーバー化という言葉を生み出すまでになりました。
その結果新たなビジネス領域が生まれ、同時に莫大な数の雇用とニーズの掘り出しに成功し、既存のビジネス領域の企業とは比べ物にならない経済効果を生み出しました。
デジタルイノベーションの特徴
この章ではデジタルイノベーションの特徴や影響を解説します。
デジタルイノベーションの特徴
デジタルイノベーションの特徴としては前述したように、新たな価値観を生み出すということがあげられます。新たな価値観とは、今までは想像上の産物でしかなかったものや、新たなビジネス領域を生み出すということです。
例えば、スマートフォンが良い例です。手のひらサイズでPCと同等の機能を持つデバイスなど、1990年代ではまさに夢のような産物でしたし、スマホアプリは新たなビジネス領域を幾つも創出しています。
ビジネスと社会への影響
デジタルイノベーションによって、より便利で安全性の高い社会にすることができますし、ビジネスにおいてはより低コスト且つ短時間で高い品質のサービスや商品を提供することが可能になります。
一方、デジタルイノベーションによって自動化や効率化が進むことによって、それまで中間業務を担っていた業界が衰退若しくは消滅するというデメリットもあります。ただ、デジタルイノベーションによって生まれる経済効果や雇用などのメリットはデメリット分を打ち消して余りあるには充分です。
デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーション（DX)の違い
デジタルイノベーションとよく似た言葉に、デジタルトランスフォーメーション（DX）があります。語感だけでなく意味も似ていますが、厳密には異なります。
デジタルトランスフォーメーション（DX）とは?
デジタルトランスフォーメーション（DX)とは、デジタルの力を使って業務効率を劇的に改善したり、既存のビジネスや商品を全く新しい形に昇華させることを指します。特に日本の場合ですと、前者の業務効率の改善の方を頻繁に取り上げていますが、本来の意味で言えば、後者の意味合いが強いです。
前述したUBerをまたしても例に取ると、今までですと旅客自動車運送業は様々な規制をクリアして事業登録したタクシー会社から提供されたタクシードライバーとその車両を使用する、という方法が一般的でした。
それがUBerの登場によって、事業登録や規制などがされていない、一般ドライバーが運転する自動車に相乗りという形で乗り込んで目的地まで輸送してもらう、という全く新しい形のビジネスを生み出すことに成功しました。そしてその結果として、既存のタクシー業界を衰退に追い込もうとしています。
このように、既存のビジネスを破壊してでも新たなビジネスを創出する取り組みをデジタルトランスフォーメーション（DX）と言います。
デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーション（DX)
デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーション（DX）について、両者を比較しながらその違いやそれぞれの意味について解説していきます。
デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーションの比較
デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーションは意味がとても似ている言葉で、どちらも抽象的な意味合いが強い言葉ですが、微妙に異なります。デジタルイノベーションは全く新しいものを作り出すという意味合いが強いですが、デジタルトランスフォーメーションの場合は既存の何かをデジタルの力で全く新しい何かに作り替える、またはより進化させる、という意味合いになります。
ただ、先ほど挙げたUBerの例のように、デジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーションは同時に起こることも多いため、両者の定義の違いは立場や状況による使い分けだけとも言えます。
| 既存のビジネスの存在 | 破壊するビジネスの存在 | |
| デジタルトランスフォーメーション | 有り | 有り |
| デジタルイノベーション | なし | 有り |
両者がビジネスに与える影響
前述した通り、両者ともにビジネスに与える影響は大きく、デメリットもメリットもあります。UBerで言えば、タクシー業界を衰退させたと同時に、シェアリングサービスという新たな業界を生み出しました。
そしてUBerのビジネスモデルをヒントに、車だけでなく自転車や部屋などのスペースをシェアする新たな事業も生まれています。つまりスムーズにデジタルイノベーションとデジタルトランスフォーメーションを行えばビジネスを急成長させられますが、怠れば淘汰される可能性も高いということです。
デジタルイノベーションの実践
デジタルイノベーションを実施すると言っても、トップだけが闇雲に進めても時間と労力、お金を無駄にするだけです。しっかりと準備し、適切に活用しなければなりません。
デジタルイノベーションの実践方法
この章ではデジタルイノベーションのための組織文化と適切な活用方法を解説します。
イノベーションのための組織文化
イノベーションを行うということは、既存のビジネスやサービスとは異なるものを作り上げる、ということでもあります。従ってミスを恐れず、常に新しいことにチャレンジし続ける組織文化を持っていることが重要になります。
イノベーションというものは全て成功するわけではありませんし、画期的な商品やサービスを生み出すまでには多くの時間とお金を投資する必要がある場合も多いです。従って、既存のビジネスで稼いだお金をどのようなことに使うのか、社員と定期的に意思疎通を図って納得してもらう必要があります。
テクノロジーの適切な活用
最新の技術を何でもかんでも使用すれば大きな効果が見込めるほど、ビジネスの世界は甘くありません。自社が提供しているサービスや商品、実現したい目標によって何を使用するかは変わってきます。
Webアプリケーションとハードウェアなどの組み込みシステムでは、お金の額も違いますし、使用できる用途もそれぞれ異なります。テクノロジーを適切に活用するには、まず自社についてしっかりと分析することが必要不可欠になります。
デジタルイノベーションの事例
デジタルイノベーションを上手く利用することでビジネスを進化させられることは前述した通りです。この章では具体的な事例について解説していきます。
参照：デジタル化の事例
成功したイノベーションの事例
イノベーションが成功した事例として、上記のリンク先のサイトでは4社の事例を紹介しています。それぞれ自社のビジネス領域と自社の目指す方向性をしっかり理解し、デジタル化を成功させたことがわかります。
特筆すべきはトヨタ自動車株式会社と日本郵船株式会社の事例で、双方とも業務効率の向上を目的としていますが、製造ラインに導入するのか、それとも船が実際に動いている現場に投入するのかでAI技術を使用するのか、IoT技術を使用するのか、効率的なデータの収集をするのか、など導入するテクノロジーが変わっています。
イノベーションによるビジネスモデルの変革
上記のリンクの中では、横浜銀行がイノベーションによるビジネスモデルの変革を達成した企業と言えます。銀行の主要な業務に窓口業務がありますが、従来では対面で行い、各種金融商品の販売や手続きを行うのが一般的でした。
しかし横浜銀行はWebアプリやAIチャットボットを導入したことにより、これらの窓口業務を省略し、オンラインで各種金融商品の販売や手続きを行うことが可能になりました。この試みにより、居住地の近辺に支店がない人でも気軽に横浜銀行を利用することもできるようになりました。
デジタルイノベーションの課題
デジタルイノベーションによってビジネスを飛躍的に進化することができますが、全ての企業でできている訳ではないのが実情です。この章ではデジタルイノベーションが抱える課題や心がける点について解説していきます。
デジタルイノベーションの課題
この章ではデジタルイノベーションが抱える点について、それぞれ具体的に解説します。
技術・組織の障壁
デジタルイノベーションの課題として、まず技術そのものや組織に関する課題は見逃せません。そもそも社内に技術を理解して使いこなせる人材や部門がない、というのは只でさえ少ない人数で業務をこなす中小企業であれば想像に難くありませんし、それが人手不足が長年叫ばれているITに関することであれば猶更です。
また、技術に関する部門があったとしても、技術部門が実務を行う部門のことをよく理解していないために、適切なイノベーションを行えないという事例も充分にあり得ます。
イノベーションへの抵抗と克服
イノベーションを導入するということは、既存の業務スタイルや商品から離れるということも意味しています。長年使用して慣れた物から離れた結果、トラブルが続出したり、売り上げが落ちるなどの減少を恐れて保守的になることは、ビジネスの規模や官民に関わらずよくあることです。
成功体験や経験はビジネスを成功に導くうえでとても重要な要素ではありますが、固執しすぎると逆にビジネスを衰退に導いてしまうため、常に情報を仕入れて自らを客観的に見る必要があります。
イノベーションを成功に導くために
イノベーションはこれからのビジネスに必要不可欠ですが、成功に導くことは決して簡単ではありません。この章ではイノベーションを成功に導くために必要なことを解説します。
リーダーシップと戦略
ビジネスにイノベーションを起こすには、まずリーダーが率先して行動することが重要です。前述したように成功体験や今までの経験に囚われて保守的になっている社員に対して、イノベーションを導入しないと長期的にどのような結果になるのか、逆にイノベーションを導入すればどのようなメリットがあるのか情報発信していくことが重要です。
定期的にセミナーなどを実施して、最新のビジネスやテクノロジーに関する社員の知見を底上げすることも必要不可欠です。
持続可能なイノベーションのためのアプローチ
イノベーションやデジタル革新は1度やったらお終いではなく、継続的に行っていく必要があります。従って、失敗も覚悟したうえで最新のテクノロジーを駆使した商品やサービスに投資し続けなければなりません。
テクノロジーに関する知見は、実際に商品やサービスに昇華するという工程を経ることでより理解が深まりますし、失敗したアイデアを基にしたアイデアが後に大きな成功を収めるというのは充分にあり得ます。
デジタルイノベーションの未来とビジネスへの影響
デジタルイノベーションはこれからも定期的で尚且つ頻繁に起こる可能性が高いです。技術のSカーブという言葉がありますが、スマホやAIなど、ハードかソフトかを問わず、今日のテクノロジーの進化は凄まじく、現在はかなり急激な角度の地点にいます。
この急激に進化しているテクノロジーを自社のビジネスに使用しない手はないですし、逆にもし使用しなければ同業他社に出し抜かれてあっという間に淘汰されてしまいます。
世界という広い視点から見ると、常人では思いつかないような、画期的な視点でテクノロジーを駆使し、市場を席捲しうる人材がまだ多く存在しています。この記事で何度も話題に出した企業以外でも、メルカリやAirbnbなど、新たなビジネス領域を作りながら既存のビジネスを破壊する強力な企業はまだまだ多くありますし、GAFAMなどのビックテック企業の開発力も絶大です。
このように、経営者は油断のできない環境でビジネスを行わなければなりません。しかし、テクノロジーに関する知見がないという悩みを持つ経営者の方も多いと思われます。株式会社Jiteraであれば、クライアントのビジネスに最適なテクノロジーの提案ができますので、もしお悩みの際は是非お問い合わせいただくことをお勧めします。
